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@ -0,0 +1,45 @@
{
"201022211_0": "スイッチオン",
"201022211_1": "「記録の再生を開始します」",
"201022211_2": "「だーッ! なんでてめーはいつもいつも、\\n 掃除するたびにアタシを起こすんだよッ」",
"201022211_3": "「フォルテ、ララが掃除したいところでいつも寝てるの」",
"201022211_4": "「なわけねーだろッ!」",
"201022211_5": "「今日も仲が良くて羨ましいわ」",
"201022211_6": "「どこがだッ!?」",
"201022211_7": "「そうだ、お掃除なら\\n 人で一緒にやらない」",
"201022211_8": "「話を先に進めんなよッ!\\n うっぜーな」",
"201022211_9": "「歌でも唄いながらやったら\\n あっという間に終わるわよ」",
"201022211_10": "「掃除が終わったら、\\n 人でお昼寝しようッ」",
"201022211_11": "「ララも?」",
"201022211_12": "「そうよ。ララはわたしの抱き枕に任命するわッ!」",
"201022211_13": "「断るッ! そばにいられたら寝にくいだろッ!」",
"201022211_14": "「わかったわかった。\\n ちゃんとフォルテのことも抱きしめてあげるから」",
"201022211_15": "「てめーの耳はぶっ壊れてんのかッ!?」",
"201022211_16": "「フフ、フォルテ真っ赤」",
"201022211_17": "「っざけんなーッ!」",
"201022211_18": "「……」",
"201022211_19": "「これがブリッツァーか……。\\n こうしてみると、オレたちと何も変わらないよな……」",
"201022211_20": "「こんなの見るんじゃなかった」",
"201022211_21": "「え?」",
"201022211_22": "「きっとまた、戦わなくちゃいけないから……」",
"201022211_23": "「ああ……。",
"201022211_24": " でもそれは、殺し合うための戦いじゃないだろ?」",
"201022211_25": "「ヒビキの想いをちゃんと伝えるための戦いだ」",
"201022211_26": "「わたしも、そんな風に気持ちを\\n ぶつけたことがあるからよくわかるの……」",
"201022211_27": "「怖くても、本心を言葉にしないと、\\n 相手には伝わらない……」",
"201022211_28": "「ごめん……。そうだったね」",
"201022211_29": "「あの2人にも手を伸ばすって、\\n 絶対に救うって決めたんだ」",
"201022211_30": "「もちろん、オレたちも一緒だ」",
"201022211_31": "「うん。1人じゃないって、忘れないで」",
"201022211_32": "「まもなく、ニコラ・テスラの本拠地に到着しますッ!」",
"201022211_33": "「みんな、覚悟はいいわねッ!\\n 総員戦闘準備よッ」",
"201022211_34": "「来やがったなッ!」",
"201022211_35": "「行こう」",
"201022211_36": "「ついに……決着の時だ……」",
"201022211_37": "「フォルテ、ララ……そしてテスラと」",
"201022211_38": "「でも、その戦いからわたしは逃げない」",
"201022211_39": "「エレクライト、スイッチオン――ッ!」",
"201022211_40": "(スターリットが託してくれたこの力。\\n 最初は復讐を果たすためだけに振るってきた",
"201022211_41": "(でも、今は違う……ッ!)",
"201022211_42": "(わたしの想いを伝える……、\\n そのために――ッ"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,59 @@
{
"201022311_0": "ユートピア",
"201022311_1": "「はぁ……」",
"201022311_2": "「フォルテ、ため息ばっかり。\\n もうすぐワールドシステムが完成するのに……」",
"201022311_3": "「……やっぱり、ヒビキのこと?」",
"201022311_4": "「まあな……。\\n やっぱり、考えちまうんだ」",
"201022311_5": "「もしも、スターリットが生きてて\\n ヒビキとも違う形で仲間になってたらって……」",
"201022311_6": "「ヤー……。\\n ララも、どんなに幸せだろうって思う」",
"201022311_7": "「もしも、T.E.C.のみんな、\\n 一緒に穏やかな時間、過ごせたら……」",
"201022311_8": "「もしも……か……」",
"201022311_9": "「なあ、これバレてねえよな」",
"201022311_10": "「ヤー、大丈夫」",
"201022311_11": "「……」",
"201022311_12": "「……」",
"201022311_13": "「ねえ、これのどこが『重要任務』なの?\\n 陰からスターリットとテスラを覗き見してるだけって」",
"201022311_14": "「バカッ! 声がでけーんだよ……ッ!\\n てめーだって気にならねえのか、あの人のこと」",
"201022311_15": "「ああ。\\n そう言えば、スターリットってテスラのことが好――」",
"201022311_16": "「は、はっきり言うなよバカッ!」",
"201022311_17": "「ヒビキ、大胆……ッ!」",
"201022311_18": "「はあ。わかったわかった」",
"201022311_19": "「見て。テスラ様の前だと、スターリット可愛い」",
"201022311_20": "「髪をいじったりなんかしちゃって、\\n あんな姿なかなかおがめねーぜ……ッ」",
"201022311_21": "「……あんまり、覗き見しない方がいいんじゃない?」",
"201022311_22": "「でもなッ! ボスは鈍いし、\\n スターリットはいつまでもウジウジしてやがるッ」",
"201022311_23": "「だから、いっちょアタシが――」",
"201022311_24": "「いっちょ、どうするのかしら?」",
"201022311_25": "「だから、それは……げッ!?」",
"201022311_26": "「ちょっとお話しましょうか?」",
"201022311_27": "「まさか、小一時間も説教されるなんてな……」",
"201022311_28": "「巻き込まれた方の身にもなってよ」",
"201022311_29": "「2人とも、いつもこんなことしてるの?」",
"201022311_30": "「なわけねーだろ」",
"201022311_31": "「普段はララの料理の毒見役させられたり、\\n スターリットの実験の餌食になったり――」",
"201022311_32": "「あれ? ろくな想い出がねー……」",
"201022311_33": "「ほんとだね……」",
"201022311_34": "「この際だ、アタシの苦労を聞いてくれッ!」",
"201022311_35": "「この前だってあいつが発明したこの、\\n 『こむら返り返し』の実験台にされて――」",
"201022311_36": "「ヒビキ、ララの料理の腕も見てッ!」",
"201022311_37": "「ほら、今日はおいしそうなサンドイッチッ!」",
"201022311_38": "「ぷッ――」",
"201022311_39": "「て、てめー今笑ったなッ!?\\n こっちは死活問題なんだぞッ」",
"201022311_40": "「ヤーッ!\\n ララ真剣ッ」",
"201022311_41": "「ごめんごめん。\\n なんか楽しくって」",
"201022311_42": "「3人とも、そろそろ戻るわよッ!」",
"201022311_43": "「……ララ、食事の支度を」",
"201022311_44": "「ヤー、テスラ様」",
"201022311_45": "「行くぞ、ヒビキッ!」",
"201022311_46": "「ヒビキ、手を」",
"201022311_47": "「……うん」",
"201022311_48": "「なんて……」",
"201022311_49": "「……フォルテ」",
"201022311_50": "「わかってるよ、こんなもん空想でしかねー」",
"201022311_51": "「もう叶うわけがないんだ……」",
"201022311_52": "「でも、ララたち、ちゃんと幸せに向かってるはず」",
"201022311_53": "「テスラ様についていけば、大丈夫」",
"201022311_54": "「ああ、そうだな……。\\n もうすぐ、ウォーデンクリフタワーが起動する」",
"201022311_55": "「ララたちの<ruby=ユートピア>理想郷</ruby>、そこにある」",
"201022311_56": "「アタシも覚悟を決める。\\n きっと、ブリッツァーとしての最後の仕事だッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,74 @@
{
"201022411_0": "キャロルのバースデー2021",
"201022411_1": "「……これなら、きっとマスターも喜んでくださるはずですわ」",
"201022411_2": "「間違いなしだゾッ!」",
"201022411_3": "「声が大きいッ!!!\\n マスターに聞こえたら、どうするんだよッ」",
"201022411_4": "「そう言うガリィの声が1番大きいんだゾ」",
"201022411_5": "「うるさいッ!」",
"201022411_6": "「仲間割れをしてどうする。マスターの誕生日のため、\\n 力を合わせなければならないところを」",
"201022411_7": "(……あいつら、最近コソコソと\\n 何かをやっているのかと思っていたら",
"201022411_8": "(たかが誕生日ごときで……めでたいやつらだ)",
"201022411_9": "「フッ、まったく……。\\n 当日は騒がしくなりそうだな」",
"201022411_10": "(ついにこの日が来てしまったな。\\n さて、あいつらは何を仕掛けてくるか……",
"201022411_11": "「マスター、今お時間よろしいでしょうか」",
"201022411_12": "「ああ、構わない。そろそろ来る頃だと思っていたからな」",
"201022411_13": "「来る頃、ですか?」",
"201022411_14": "「いや、なんでもない。こちらの話だ」",
"201022411_15": "「では、こちらのお召し物へ派手に着替えてください。\\n お手伝いします」",
"201022411_16": "「きっとマスターに似合うと思いますよー」",
"201022411_17": "「これは……着物か?」",
"201022411_18": "「はい。マスターをお祝いするため、\\n 特注でご用意しました」",
"201022411_19": "「マスターに似合いそうなのを\\n みんなで考えて選んだんだゾッ」",
"201022411_20": "「それは結構だが……何故、こんなものを?」",
"201022411_21": "「いいから、まずは着ちゃってくださいな」",
"201022411_22": "「早く早くッ!\\n マスターが着替えたところ、早く見たいんだゾッ」",
"201022411_23": "「ではマスター、こちらへ」",
"201022411_24": "「ったく、強引なやつらだ……」",
"201022411_25": "「マスター、お誕生日おめでとうございますッ!」",
"201022411_26": "「ああ、一応礼を言っておく……」",
"201022411_27": "「フフッ、そんなに照れないでくださいよー、\\n こっちまで恥ずかしくなっちゃうじゃないですか」",
"201022411_28": "「黙れッ! そんなことよりも、\\n なんでこんな服装をさせるのか、いい加減に説明しろッ」",
"201022411_29": "「マスターは今日、3月3日がどのような日か\\n ご存知でしょうか」",
"201022411_30": "「知ってるも何も、オレの誕生日だろう」",
"201022411_31": "「ええ、もちろんその通りです」",
"201022411_32": "「同時に、日本では『ひな祭り』という、\\n 様々な催しが行われる日だというのです」",
"201022411_33": "「……どこかで聞いたことある気がするな。\\n だからといって、なんでオレがこれを着る必要がある」",
"201022411_34": "「ひな祭りは女の子の健やかな成長を\\n 派手に祝う催しとのことです」",
"201022411_35": "「ですから、マスターの健やかな成長を願いつつ、\\n 一緒にお祝いしようと思ったのですわ」",
"201022411_36": "「お前たち……オレが何者なのか、\\n 忘れたわけじゃないだろうな……」",
"201022411_37": "「着物のサイズはいかがでしょうか。\\n マスターに合うように仕立ててもらったのですが……」",
"201022411_38": "「……動きにくい服だな」",
"201022411_39": "「しかしとてもお似合いだッ!\\n 派手に美しいですよ」",
"201022411_40": "「マスター、お姫様みたいで可愛いゾッ!」",
"201022411_41": "「ええ、どこをどう見ても可愛い女の子ですよ。\\n お雛様姿が似合いますねー」",
"201022411_42": "「くッ……もう十分だろうッ! そろそろ着替えるぞ」",
"201022411_43": "「何言ってるんですか。\\n せっかく着たのに、もう脱ぐなんてもったいないですよ」",
"201022411_44": "「今日のため地味に用意したものもたくさんあります。\\n もう少しだけお付き合いください」",
"201022411_45": "「他に用意したもの……?\\n 一体なんだ」",
"201022411_46": "「こちらをどうぞ。ひなあられというもので\\n ひな祭りで定番のお菓子だそうです」",
"201022411_47": "「ほう……なら、試してみるとするか」",
"201022411_48": "「いかがですか、マスター?」",
"201022411_49": "「……まあ、悪くない」",
"201022411_50": "「随分と気に入ったみたいですねー。\\n そんなにパクパク食べちゃうんですから」",
"201022411_51": "「……残されるよりはマシだろう」",
"201022411_52": "「あッ、でも食べ過ぎちゃだめだゾ。\\n まだ用意してるものがあるゾ、マスター」",
"201022411_53": "「まだあるのか?\\n 今度は何が出てくるんだ」",
"201022411_54": "「ケーキ入場だゾッ!」",
"201022411_55": "「お、おいッ!\\n なんだ、そのバカでかいケーキはッ」",
"201022411_56": "「どうぞ、マスター。\\n 好きなところからお食べください」",
"201022411_57": "「どうぞって……、\\n お前たち、それを人で食えというのか」",
"201022411_58": "「じゃあ、あたしが切り分けるから、\\n どんどん食べてほしいんだゾッ」",
"201022411_59": "「まったく、好きにやってくれ……」",
"201022411_60": "「やっと脱ぐことができた……、\\n それにしても、やたらと肩が凝る服だったな」",
"201022411_61": "「ひな祭り誕生日、楽しかったカ?」",
"201022411_62": "「……そうだな、随分と騒がしい1日になったが、\\n 悪くはなかった」",
"201022411_63": "「喜んでいただけて嬉しいですわ」",
"201022411_64": "「マスターってば、素直にありがとうって言えばいいのにー」",
"201022411_65": "「う、うるさいッ!」",
"201022411_66": "「私たちはいつでも、いつまでもマスターの\\n 幸福を派手に願っています」",
"201022411_67": "「マスターにはずっと\\n あたしたちの強いマスターでいてほしいゾッ」",
"201022411_68": "「お前たち……」",
"201022411_69": "「……仕方ない。その望み、叶える努力はしてやろう」",
"201022411_70": "「長い時を生きるオレの姿を見続けたいのなら、\\n お前たちも健やかでいることだな」",
"201022411_71": "「はい、マスターッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,94 @@
{
"201022511_0": "たまにはのんびり一休み",
"201022511_1": "「マスター。今日も1日、部屋にこもってるんですねー」",
"201022511_2": "「やっておきたい研究があるからな。\\n お前は何をしに来たんだ」",
"201022511_3": "「食事を持ってきてあげたんですよー。\\n あと散らかってるので部屋の掃除もしちゃいますねー」",
"201022511_4": "「……」",
"201022511_5": "「――って、お前もいたのかッ!」",
"201022511_6": "「ずっとマスターの護衛してたんだゾッ!」",
"201022511_7": "「邪魔の間違いでは?\\n とりあえず掃除するからそこをどきな」",
"201022511_8": "「……ファラとレイアはまだ任務から戻ってないのか」",
"201022511_9": "「ファラちゃんは戻ってきてましたね。\\n 報告が終わったら手伝いに来てくれるそうです」",
"201022511_10": "「そうか……」",
"201022511_11": "(身の回りの世話に、簡単な任務まで……。\\n 最近はこいつらを酷使し過ぎている気もするな……",
"201022511_12": "(今日はもう急ぎの用事もないし、\\n のんびりさせてやってもいいんだが……",
"201022511_13": "「ガリィ、ガリィッ!」",
"201022511_14": "「うっさい、こんな近くで大声出すなッ!」",
"201022511_15": "「あたしにも何か手伝わせてほしいゾッ!」",
"201022511_16": "「お前は掃除やら料理やら細かい作業ができないだろうが。\\n 大人しく座ってればいいんだよ」",
"201022511_17": "「うーん……。\\n マスターはあたしに手伝ってほしいことないカ」",
"201022511_18": "「……手伝ってもらうことはない。\\n 逆にお前はオレにしてほしいことはないのか」",
"201022511_19": "「マスターに? あたしはマスターの手伝いがしたいゾ」",
"201022511_20": "「そう言われてもな……」",
"201022511_21": "(オレの手伝いをしてもらっては意味がない。\\n のんびりさせるにはどうすれば……",
"201022511_22": "「じゃあ今日は天気がいいから公園にでも行ってこい」",
"201022511_23": "「公園に行って何をすればいいんダ?」",
"201022511_24": "(適当に遊んでこい、休んでこいと言っても、\\n それも結局は任務みたいになりそうだな……",
"201022511_25": "「ひとまず任務とか難しいことは忘れて、人間が時間を\\n 無駄に使ってるときみたいなことをしてくればいい」",
"201022511_26": "「全然わからないゾ」",
"201022511_27": "「ガリィッ!」",
"201022511_28": "「はいはい、なんですか、マスター?」",
"201022511_29": "「オレたちの話は聞いていたか?」",
"201022511_30": "「掃除してたんですから、聞いてるわけないですよー」",
"201022511_31": "「まあいい。\\n お前も掃除は終わらせて、ミカに付き合え」",
"201022511_32": "「なぜですか? ガリィちゃんはそこまで暇じゃないんですよ?」",
"201022511_33": "「いいから行ってこい。ファラにも同じことを伝えておけ。\\n レイアには戻り次第、オレから伝えておく」",
"201022511_34": "「よくわかりませんけど、マスターのご命令ということなら……。\\n ほら、お前も行くんだよ」",
"201022511_35": "「マスター、行ってくるゾッ!」",
"201022511_36": "(これでゆっくり休んでくれるといいんだが……)",
"201022511_37": "「……ということなんだゾ」",
"201022511_38": "「報告へ行っている間にそのような話になっていたのね。",
"201022511_39": " しかし、どういう意図が……」",
"201022511_40": "「あたしもわからないゾ」",
"201022511_41": "「どうせマスターの気まぐれなんですから、\\n 適当に言われたことをやってればいいのでは」",
"201022511_42": "「でも、もしかしたら何か深い意味があるのかもしれませんわ。\\n 離れたところから、まずは人間を観察してみましょうか」",
"201022511_43": "「……人間はアレの何が楽しいんでしょうね」",
"201022511_44": "「隠れた人を探したり、追いかけ回したり、\\n 木に登ったりしてるんだゾ」",
"201022511_45": "「マスターの命令を遵守するなら、\\n 無駄に見えるアレをやれ、ということなのでしょうね」",
"201022511_46": "「じゃあ、あたしが追いかける役やるゾッ!」",
"201022511_47": "「まだやるって言ってないだろッ!」",
"201022511_48": "「しかし、このまま帰るわけにもいかないでしょう。\\n マスターに報告できませんわ」",
"201022511_49": "「仕方ないですね。\\n それじゃ手っ取り早く済みそうなことを真似て……」",
"201022511_50": "「あそこにも人間がいるゾッ!」",
"201022511_51": "「家族連れで……膝枕をしているみたいね。\\n ここで眠るつもりなのかしら」",
"201022511_52": "「さっさと家に帰ってベッドで寝ればいいのに」",
"201022511_53": "「あれならすぐにできるから、やってみるんだゾ」",
"201022511_54": "「ガリィ、ガリィッ!\\n あたしが寝るから、膝枕してほしいゾッ」",
"201022511_55": "「なんでそうなるんだよッ!」",
"201022511_56": "「これもマスターの命令だから。\\n とりあえず、やるだけやってみましょう」",
"201022511_57": "「だったら、あなたがやればいいんじゃないんですかねー」",
"201022511_58": "「ご指名みたいだから」",
"201022511_59": "「ガリィッ!」",
"201022511_60": "「ああ、わかりましたよ。\\n ほら、さっさと寝転がって頭乗せろ」",
"201022511_61": "「これでいいのカ?」",
"201022511_62": "「チッ……別にいいんじゃないですか……」",
"201022511_63": "「うーん……やっぱり、よくわからないゾ」",
"201022511_64": "「まったく、マスターもどういうつもりなんですかね?」",
"201022511_65": "「……いろいろ考えてみたけれど、よくわからないわ」",
"201022511_66": "「でも、なんだかぽかぽかで気持ちいいゾ……」",
"201022511_67": "「まあ、今日は陽気がいいですからね。\\n それだけ大の字で寝転がってたらそうでしょうよ」",
"201022511_68": "「あたしも考えるのは疲れましたし、\\n 適当にのんびりやったら戻りますか……」",
"201022511_69": "「……ああ、なるほどッ!\\n マスターの意図がわかったかもしれませんわ」",
"201022511_70": "「マスターはきっと私たちにのんびり休んでこいと\\n 言いたかったんじゃないかしら」",
"201022511_71": "「あのマスターがあたしたちに?」",
"201022511_72": "「ええ。でも、そのまま面と向かって言うのは照れくさくて、\\n 少し遠回しに伝えることになったんだと思いますわ」",
"201022511_73": "「相変わらず面倒な性格をしてますねぇ……」",
"201022511_74": "「2人ともどうしたんダ?」",
"201022511_75": "「マスターは適当にのんびりしてこいって言いたかったんだよ。\\n だから、お前はもう寝てればいい」",
"201022511_76": "「そうだったのカッ!?」",
"201022511_77": "「今日はマスターの気づかいに感謝して、\\n ゆっくりさせてもらいましょう」",
"201022511_78": "「見つけた。地味に休めているようだな」",
"201022511_79": "「ええ、少し遠回りしたけど」",
"201022511_80": "「とにかく、これで命令は果たせましたね。\\n もう帰っていいんじゃないですか」",
"201022511_81": "「それはダメだ。私もマスターから同じ命令を受けている。\\n 帰っては派手に命令を果たせない」",
"201022511_82": "「とはいってもですねー」",
"201022511_83": "「マスターからも4人でと言われてますから。\\n ここは命令に従いましょう」",
"201022511_84": "「次はレイアがガリィに膝枕してもらう?」",
"201022511_85": "「ああ、地味にそうさせてもらおうか」",
"201022511_86": "「いつまであたしが枕をやらなきゃいけないんです?\\n 交代ですよ、交代」",
"201022511_87": "「次はこいつが枕になるべきだと――」",
"201022511_88": "「くー……」",
"201022511_89": "「…………」",
"201022511_90": "「…………」",
"201022511_91": "「この……1人だけいつまでものんびり寝やがって……、\\n とっとと起きやがれってのッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,54 @@
{
"201022611_0": "風鳴翼特集号",
"201022611_1": "(確か、今日は本部で翼が訓練しているはずよね。\\n 差し入れでも持っていこうかしら",
"201022611_2": "(疲れてるだろうし、甘いものがいいと思うけれど、\\n ここは、あえてがっつり食べられるものでも――",
"201022611_3": "(あら? 何かしら、すごい人だかり……。\\n 書店ってことは、誰かのサイン会でもあるのかもしれないわね",
"201022611_4": "(ん? あそこに並んでいる雑誌って、もしかして……)",
"201022611_5": "「お疲れ様、もう訓練は終わったの?」",
"201022611_6": "「ああ、さっき終わったところだ」",
"201022611_7": "「それならちょうど良かったわ。\\n 差し入れを持ってきたのよ」",
"201022611_8": "「そうだったのか。ありがとう、マリア」",
"201022611_9": "「それとね、途中で本屋の前を通ったんだけど、\\n あなたが表紙の雑誌が売ってたわよ」",
"201022611_10": "「雑誌?」",
"201022611_11": "「もしかして今日が発売日だって知らなかったの?\\n 『風鳴翼特集号』って大きく書いてあったけれど」",
"201022611_12": "「ああ、思い出した。\\n この前インタビューを受けた雑誌だ」",
"201022611_13": "「ただ、完成した原稿は緒川さんがチェックしているから、\\n どんな内容になっているのかは知らないんだ」",
"201022611_14": "「あなたの歌に対する想いを知ることができる\\n いい特集記事になってるわよ」",
"201022611_15": "「そうか……、\\n 嬉しいが、少し照れくさいな」",
"201022611_16": "「って、なんで内容を知ってるんだ?\\n もしかして見たのか」",
"201022611_17": "「もちろん買ったに決まってるでしょッ!」",
"201022611_18": "「なんといっても、このコーナーが1番いいわね。\\n ほら、見て」",
"201022611_19": "「なッ!?」",
"201022611_20": "「な、なぜ、これが載っているんだッ!?」",
"201022611_21": "「あなたが描いた絵、なかなか芸術的よね」",
"201022611_22": "「待ってくれ、これは違うッ! 記者の方と雑談で\\n 絵の話になって、その時に描いた落書きなんだ」",
"201022611_23": "「まさか、こんな落書きまで載せられるなんて……」",
"201022611_24": "「ストイックな部分だけじゃなくて、\\n お茶目なところもあるっていうのがいいのよ」",
"201022611_25": "「この雑誌はあとでみんなにも見せてあげるわね」",
"201022611_26": "「ダメだッ!」",
"201022611_27": "「いいじゃない、こんなに愛らしい絵なんだし」",
"201022611_28": "「その雑誌はわたしが預かる。\\n 大人しく渡してもらおうかッ」",
"201022611_29": "「別にいいけれど、わたしから取り上げたところで、\\n これはすでに全国で発売されてるのよ」",
"201022611_30": "「ぐッ……」",
"201022611_31": "「あなたの大ファンであるあの子たちが、\\n まだ手に入れていないとでも思うの」",
"201022611_32": "「確かにそのとおりだ、不覚……」",
"201022611_33": "「翼さん、こちらにいらっしゃったんですね。\\n 何か賑やかですが、いいことでもありましたか」",
"201022611_34": "「緒川さん、どういうことですか。\\n どうしてあの絵を雑誌に載せたんですかッ」",
"201022611_35": "「実は……その件で報告と相談があるんです」",
"201022611_36": "「まず報告ですが、すでにネット界隈では、\\n そのイラストが大きな反響を呼んでいます」",
"201022611_37": "「唄っている時とのギャップがステキ。\\n 歌姫の意外な一面を見た、可愛らしいと……」",
"201022611_38": "「そんな……」",
"201022611_39": "「実際の書き込みも確認されますか?」",
"201022611_40": "「そうね、見せてちょうだい」",
"201022611_41": "「お、おい、マリア……ッ!」",
"201022611_42": "「……なるほど。概ね好評みたいよ。安心したわね」",
"201022611_43": "「なんと言えばいいのか……」",
"201022611_44": "「それで相談のほうなのですが、雑誌社から定期的に\\n イラストを掲載させてほしいと依頼が来ています」",
"201022611_45": "「そんなバカなッ!?」",
"201022611_46": "「フフッ、よかったじゃない。\\n 次はどんなイラストが見られるのか、今から楽しみだわ」",
"201022611_47": "「翼さん。僕はこの依頼、ぜひ受けたいと思っています。\\n ファンのみなさんだって待っているはずです」",
"201022611_48": "「……確かにそうですね。ファンが望んでいるというのなら、\\n その期待に応えなければ」",
"201022611_49": "「さすがは翼ね。素晴らしい決断だわ」",
"201022611_50": "「では、そのようにお返事させていただきますね」",
"201022611_51": "「ファンが喜んでくれていることは嬉しいのだが、\\n 本当にあの絵の何がいいんだろうか……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,81 @@
{
"201022711_0": "秘密の特訓ッ!",
"201022711_1": "「……はい、やめて」",
"201022711_2": "「……どうかな?」",
"201022711_3": "「響、ダンスの振り付けや歌は問題ないわ」",
"201022711_4": "「でも、間違えないようにと必死になっていて、\\n 『魅せる』ということからはかけ離れてしまっている」",
"201022711_5": "「レヴューでは正確さも大切。\\n けれど、それ以上に『魅せる』ことが重要なの」",
"201022711_6": "「一通りの流れが掴めた今、あとは練習を繰り返して\\n 自分のものにしていくことが大切なのかもしれないわね」",
"201022711_7": "「なるほど……」",
"201022711_8": "「もう一度だけお願いしますッ!」",
"201022711_9": "「はぁ、はぁ、はぁ……」",
"201022711_10": "「お疲れさま、響ちゃん。\\n 少しずつよくなってるよ」",
"201022711_11": "「本当に?\\n 嬉しいッ」",
"201022711_12": "「でも、わたし以外のみんなは\\n もっと『魅せる』ことができている……」",
"201022711_13": "「このままじゃ、きっとオーディションで\\n 足を引っ張ってしまうから」",
"201022711_14": "「練習、もっと頑張るよッ!」",
"201022711_15": "「1・2……、\\n ここではターンして」",
"201022711_16": "「……あッ! ダメダメッ!\\n また間違えないようにって必死になってる」",
"201022711_17": "「ひかりちゃんからは唄って踊ってる時に、\\n レッスン室の鏡を見てみるといいって言われたけど――」",
"201022711_18": "「今のわたし、必死な顔してて\\n 全然魅力的じゃない……」",
"201022711_19": "「どうしたら、翼さんやみんなみたいに\\n 素敵に唄って踊れるんだろう……」",
"201022711_20": "「響ちゃん、お疲れッ!」",
"201022711_21": "「もしかして、あれからずっと練習してたの?」",
"201022711_22": "「うん……やっぱりどうしても唄って踊ると、\\n 必死になっちゃって」",
"201022711_23": "「ひかりちゃんやみんなにアドバイスをもらったから、\\n ちゃんとできるようになりたいんだ」",
"201022711_24": "「それなら、またここで見ているね」",
"201022711_25": "「ありがとう、華恋ちゃんッ!\\n よーし、頑張るぞ……ッ」",
"201022711_26": "「その前に……響ちゃんに『とっておきのもの』\\n 貸してあげるね」",
"201022711_27": "「とっておきのもの……?」",
"201022711_28": "「やっぱり『これ』を着ると、動きが変わるなって\\n 思うの。はいッ レオタード」",
"201022711_29": "「ええッ!? こ、これをわたしが……?」",
"201022711_30": "「舞台少女って感じがするでしょ?\\n さ、早く早く♪」",
"201022711_31": "「は、初めて着るからちょっと恥ずかしいよぉ……」",
"201022711_32": "「こ、こんな感じかな……」",
"201022711_33": "「とっても似合ってるよ、響ちゃんッ!」",
"201022711_34": "「それじゃあ、さっそくビシバシ練習していくからね」",
"201022711_35": "「今日もお願いしますッ! 先生ッ!」",
"201022711_36": "「まずは……響ちゃん、ダンスで足を上げる時\\n もうちょっと高くまで上げられるといいかも」",
"201022711_37": "「わたしがサポートするから、一緒にやってみようッ!」",
"201022711_38": "「はいッ!」",
"201022711_39": "「それじゃー、足上げてー」",
"201022711_40": "「はいッ! ……て、え、え……ええ~~~ッ!?\\n 無理だよッ こんなに高く……ッ」",
"201022711_41": "「大丈夫。わたしが支えててあげるから。\\n で、そのまま右手は上ー、左手は横ー」",
"201022711_42": "「あわわわわ……。こんなの、1秒だって\\n 自分じゃ立ってられない……」",
"201022711_43": "「普通はここまで足は上がらないんだけどね。\\n 響ちゃん、身体柔らかいー」",
"201022711_44": "「ここに来て毎日ストレッチやってたから、\\n その成果が出てるのかも」",
"201022711_45": "「けど、さすがにこのバランスは……、\\n 放さないでね、ホントに」",
"201022711_46": "「華恋ちゃんたちって、こういうポーズも\\n 人でできるんだよね。すごいなぁ、舞台少女って」",
"201022711_47": "「わたしも、最初はいっぱいっぱいだったけどね」",
"201022711_48": "「けど、繰り返し練習を積み重ねてきたから、\\n 自然にできるようになったんだよ」",
"201022711_49": "「少なくとも、この姿勢には慣れてきたんじゃない?」",
"201022711_50": "「支えててくれれば……」",
"201022711_51": "「それじゃ、足はそのまま、鏡に向かって\\n 笑顔で手を振ってみよー」",
"201022711_52": "「こんにちはーッ!」",
"201022711_53": "「うんうん、グッドグッド♪」",
"201022711_54": "「すごい……華恋ちゃんが教えてくれると、\\n これまでできなかったことも不思議とできちゃう」",
"201022711_55": "「エヘヘ、そうかな?」",
"201022711_56": "「でも、やっぱり『誰かに教える』って難しいね」",
"201022711_57": "「小さい頃、どうやって教えてもらったっけ、とか\\n 思い出しながら――」",
"201022711_58": "「どうしたら響ちゃんに伝わるかなって\\n わたしも必死だもん」",
"201022711_59": "「そっか……」",
"201022711_60": "「だけど、響ちゃんが踊るの好きそうだから\\n 先生のしがいがあるよ」",
"201022711_61": "「うん、わたしってこんなに踊るの好きなんだって\\n 新たな発見かもッ」",
"201022711_62": "「フフッ、よかった」",
"201022711_63": "「レヴューで『魅せる』ということは、\\n 誰かを『楽しませる』ということ」",
"201022711_64": "「誰かを楽しませるには、\\n まずは自分が楽しまなきゃ♪」",
"201022711_65": "「だって、イヤイヤやってるように見えたら、\\n 見てる方だって楽しめないでしょ」",
"201022711_66": "「なるほど……確かにそうだね。\\n じゃあ、わたしも信じてみることにするよ」",
"201022711_67": "「わたしは踊ることも好きなんだって」",
"201022711_68": "「うんうん、その意気。\\n それじゃあ、もっと別のポーズにも挑戦してみようか」",
"201022711_69": "「はいッ、お願いしますッ!」",
"201022711_70": "「すごいよ、響ちゃんッ!\\n とっても自然に唄って踊れるようになってる」",
"201022711_71": "「本当にッ!?\\n 華恋ちゃんのおかげだね、ありがとッ」",
"201022711_72": "「ううん、こっちこそありがとう」",
"201022711_73": "「え? どうして?」",
"201022711_74": "「わたしも、いい復習になったみたい。\\n これまで覚えてきたことがしっくりくるようになったというか」",
"201022711_75": "「そっか……\\n それなら、わたしたち舞台少女は」",
"201022711_76": "「日々進化中♪」",
"201022711_77": "「さ、もう一度最初から最後まで通してみよう」",
"201022711_78": "「うんッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,185 @@
{
"201022911_0": "もしも未来の中にシェム・ハが……",
"201022911_1": "「<size=25>んー</size><size=28>……むにゃ……</size>もう、あさ……、",
"201022911_2": " んん……今……何時……?」",
"201022911_3": "「え、もうこんな時間ッ!?」",
"201022911_4": "「響ッ!\\n 急がないと学校遅刻しちゃう――」",
"201022911_5": "「あ……そっか。\\n 任務でいないんだっけ」",
"201022911_6": "「それじゃ、準備して早く出ないと……ッ!」",
"201022911_7": "(少し身体がだるい気がするけど……、\\n 大丈夫だよね……",
"201022911_8": "「はぁはぁ……急げばまだ間に合うかな……?」",
"201022911_9": "(わたしは小日向未来。\\n どこにでもいる普通の高校生……",
"201022911_10": "(……のはずなんだけど、\\n 実は最近、少し変わった生活を送っていて――",
"201022911_11": "「あの……どうして起こしてくれなかったんですか?」",
"201022911_12": "(…………)",
"201022911_13": "「シェム・ハさん、聞こえてますか?」",
"201022911_14": "(なんだ? 不要な時に話しかけるなと言ったのは、\\n お前のほうではないか",
"201022911_15": "「遅刻しないようにわたしを起こすのは、\\n 必要なことだと思いますけど……」",
"201022911_16": "(学校とやらがそんなに大事か)",
"201022911_17": "「大事に決まってるじゃないですか」",
"201022911_18": "(足が止まっているぞ。\\n 急がなくてよいのか",
"201022911_19": "「――そうだったッ!」",
"201022911_20": "(やれやれ、今日はいつにも増して騒々しいな)",
"201022911_21": "「騒々しいって……仕方ないじゃないですか。\\n シェム・ハさんがわたしの中にいる状態なんだし……」",
"201022911_22": "(難儀な状況よな。こうなった理由もわからぬし、\\n いまだ解決策も見つからぬとは……",
"201022911_23": "(まあ、仕方ない。しばらくはお前を見守っておいてやろう。\\n お前はあまりにも危なっかしいからな",
"201022911_24": "「むぅ……ただ見てるだけなら意味ないじゃないですか」",
"201022911_25": "(では本当に苦境に陥ったときは、\\n 何かしら力になってやるとしよう",
"201022911_26": "(それと、一応忠告しておいてやろう。\\n どうやら今日のお前の身体は、不調なようだぞ",
"201022911_27": "「……え? あッ、言われると確かに……。",
"201022911_28": " そういえば、起きる時も少し辛かった気が……」",
"201022911_29": "(体温が平均値を大きく上回っている。\\n 頭痛、倦怠感、眩暈も感知……",
"201022911_30": "(風邪というやつであろう。\\n ヒトという生き物は脆い。すぐに療養が必要だ",
"201022911_31": "「……ううん、これくらいで\\n 休むわけにはいかないですから」",
"201022911_32": "「響の代わりに授業を聞いて、\\n ちゃんとートも取っておかないと……」",
"201022911_33": "(……響、響と、\\n お前はそればかりを話題にする",
"201022911_34": "「話したらダメなんですか?」",
"201022911_35": "(……やつのことは好かぬ)",
"201022911_36": "「そうですか……」",
"201022911_37": "(そういえば、この身体になったことは\\n 響も知っているけど……",
"201022911_38": "(こうなってから、シェム・ハさんと響が直接話したことは、\\n まだないんだよね",
"201022911_39": "(せっかくだし、仲良くしてほしいところだけど……)",
"201022911_40": "「えー、人類が誕生したのは、400万年前のアフリカ、\\n アウストラロピテクスと呼ばれる猿人が……」",
"201022911_41": "「…………」",
"201022911_42": "「――小日向さん」",
"201022911_43": "「…………」",
"201022911_44": "「小日向さん、大丈夫ですか?」",
"201022911_45": "「は、はいッ!?\\n わたしですかッ」",
"201022911_46": "「ぼうっとするなんて、あなたらしくないわね。\\n どこか具合でも悪いの」",
"201022911_47": "「いえ、その……、\\n すみません、少し考えごとをしていて……」",
"201022911_48": "(何故、真実を言わぬのだ?)",
"201022911_49": "(別に、これくらい大したことないですから……)",
"201022911_50": "(我に嘘をつけると思うのか?)",
"201022911_51": "(…………)",
"201022911_52": "(それにしても腑に落ちぬな。\\n そこまで意地を張る必要がどこにあるというのだ",
"201022911_53": "(……響に心配をかけたくないですから)",
"201022911_54": "(またあいつの話か)",
"201022911_55": "(だって響は、きっと今もどこかで戦ってるんです)",
"201022911_56": "(それなのに、わたしの体調不良なんかで\\n 心配事を増やしたくなくて……",
"201022911_57": "(響が安心して家を空けられるように、\\n わたしは元気でいなきゃいけないんです",
"201022911_58": "(青ざめた顔で言う台詞ではない)",
"201022911_59": "(……………)",
"201022911_60": "(……む)",
"201022911_61": "「…………はぁ……はぁ……」",
"201022911_62": "(どうやら脳が休眠を必要としているようだな)",
"201022911_63": "(ちょっと、眩暈がしただけ……、\\n 分したら……おこ……して……",
"201022911_64": "(……不服である。\\n 我を目覚ましか何かだと――",
"201022911_65": "「えー、では小日向さん。人類の文明の成り立ちについて、\\n 私が言ったことをまとめてみなさい」",
"201022911_66": "「…………」",
"201022911_67": "(呼びかけられたところで、\\n こやつが答えることはできぬのだがな",
"201022911_68": "「どうしたの? 居眠り?\\n ……ん もしかして、どこか具合でも悪いの」",
"201022911_69": "「寝てるの? 珍しくない? あの小日向さんが……」",
"201022911_70": "「大丈夫かな? ちょっと様子がおかしかったみたいだけど……」",
"201022911_71": "「ちょっと、大丈夫?\\n まさか意識がないんじゃ……」",
"201022911_72": "(……このままでは騒ぎが大きくなってしまうな。\\n それでは結局、心配させることになるではないか",
"201022911_73": "(仕方ない。先ほど口約束をしてしまった手前、\\n 見過ごすわけにもいかぬ",
"201022911_74": "「誰かッ! 急いで保健室に行って――」",
"201022911_75": "「――愚問である」",
"201022911_76": "「……は?」",
"201022911_77": "「あまりにも稚拙な質問だったので、\\n 欠伸をしていたところだ」",
"201022911_78": "「では逆に問おう。アヌンナキ――カストディアンは、\\n 何故ルル・アメルから統一言語を奪った」",
"201022911_79": "「ちょ、ちょっと待って小日向さん。\\n 急になんの話をしている……というか大丈夫なの」",
"201022911_80": "「あの時バラルの呪詛が発動されなければ、\\n お前たちの今は全く違ったものになっていたということだ」",
"201022911_81": "「いや、だから体調は……」",
"201022911_82": "「そうやって築かれた文明をただ享受しているお前が、\\n 起源を語ろうなどとは――」",
"201022911_83": "「わ、わかったわッ! もう十分ッ!\\n 調子もいいみたいだし、もう座っていいわよ……」",
"201022911_84": "(論戦では我に勝てぬと思い逃げたか。\\n まあ、それもよいだろう",
"201022911_85": "(周りの者たちも静まり返っておるし、\\n 無事に場を収められたな",
"201022911_86": "(……我にかかれば、なり代わることなど造作もない。\\n では暫く、こやつを休ませてやるとするか",
"201022911_87": "「……ねえ、今日のヒナ、なんか変じゃない?」",
"201022911_88": "「変というかまるで別人ですわ。\\n 体育の授業、100m走でぶっちぎりの位でしたし……」",
"201022911_89": "「世界史の先生とのやり取り覚えてる? 数学のときにも、\\n 先生によくわからない問題けしかけて泣かせてたし」",
"201022911_90": "「ビッキーロスでおかしくなっちゃったのかな……」",
"201022911_91": "「いいえ、誰しも一度は通る道、\\n 彼女もまた堕ちたのよ」",
"201022911_92": "「どこに?」",
"201022911_93": "「ずばり、中二病の道にねッ!」",
"201022911_94": "「きっとアニメの登場人物に憧れて、\\n なりきってるに違いないわッ」",
"201022911_95": "「なりきっただけで、\\n いきなり足が速くなったりしないと思うけど……」",
"201022911_96": "「――お前たち、我の言動に不服でもあるのか?」",
"201022911_97": "「ヒ、ヒナ……」",
"201022911_98": "(いや、不服っていうか……)",
"201022911_99": "(何から何まで突っ込みどころしかないですわ……)",
"201022911_100": "「ねえ、ビッキーも心配するし、\\n あんまりその、変なことはしない方が……」",
"201022911_101": "「…………」",
"201022911_102": "「えっと……1人が寂しいなら、\\n わたしたちを頼ってくれてもいいですわよ」",
"201022911_103": "「…………」",
"201022911_104": "「あ……そ、それとも構ってほしくて\\n わざと変なキャラ演じてるとか」",
"201022911_105": "「…………ッ!」",
"201022911_106": "「ひッ……」",
"201022911_107": "「下らぬ……」",
"201022911_108": "「ええッ!? ウソ……、\\n 今あの子、ジャンプして木の枝に飛び上がったよね……」",
"201022911_109": "「しかもぴょんぴょんと、枝の上を移動していきましたわ……。\\n あれは演じてるとかそういうレベルではないのでは……」",
"201022911_110": "「ていうか、信じられないくらい怖い目で睨まれたんだけどッ!」",
"201022911_111": "(……全く、何をしているのだ我は)",
"201022911_112": "(たかがヒトのために、何故ここまで……)",
"201022911_113": "「あそこにいますわ……。\\n どうやら木の上で立ったまま休んでるみたいですけれど……」",
"201022911_114": "「カ、カッコイイ……ッ!」",
"201022911_115": "「えー……」",
"201022911_116": "(次は……ふむ。音楽の授業か)",
"201022911_117": "「未来ーーーッ!\\n ただいまーーーーッ」",
"201022911_118": "「……ッ!?\\n 貴様がなぜここに……ッ」",
"201022911_119": "「任務が思ったより早く終わったのッ!」",
"201022911_120": "「そのまま家に帰ってもよかったんだけど、\\n 未来に会いたくて、登校してきたんだッ」",
"201022911_121": "「そ、そうか……」",
"201022911_122": "「……それよりクラスの子から聞いたよ?\\n 未来の様子がおかしいって」",
"201022911_123": "「われ――わたしは、\\n 別にいつも通り、普通……だよ……」",
"201022911_124": "「そっか。ならよかったッ!」",
"201022911_125": "「……ッ!\\n なぜ寄りかかろうとする……」",
"201022911_126": "「会えなくて寂しかったからだよ。\\n 未来こそなんでよけるの さあ、いつも通りに――」",
"201022911_127": "「や、やめろ……ッ!」",
"201022911_128": "「…………」",
"201022911_129": "(迂闊……ッ!\\n つい拒否反応が……",
"201022911_130": "「……やっぱり未来、なんか変だよ」",
"201022911_131": "「き、気のせいだ……」",
"201022911_132": "「ううん、未来のことなら\\n なんでもわかるもん」",
"201022911_133": "「ぜーったいなんか隠してるッ!」",
"201022911_134": "「否……、\\n 隠しごとなどある訳が……」",
"201022911_135": "「じゃあもうちょっと\\n くっついてもいいじゃーんッ」",
"201022911_136": "「む、無茶苦茶な理屈を……ッ!」",
"201022911_137": "「ほらほら、さあさあ……」",
"201022911_138": "(くッ……だ、ダメだ……ッ!\\n 立花響に……抱き着かれるのだけは……",
"201022911_139": "(不快な……あの時の記憶が蘇る……ッ!)",
"201022911_140": "「あッ!\\n 待ってよ未来ッ」",
"201022911_141": "「これ以上、我に構うな……ッ!」",
"201022911_142": "「構わせてよッ! 何があったのッ!?」",
"201022911_143": "「悩みがあるなら、わたしに相談してッ!」",
"201022911_144": "「悩みだと……ッ!?」",
"201022911_145": "(愚問である……ッ!\\n 元を正せば家を空けた貴様が原因……ッ",
"201022911_146": "(なぜ我が、ここまでしてやらねばならぬのか……ッ!)",
"201022911_147": "「もーッ! こうなったら話してくれるまで、\\n 絶対逃がさないんだからーッ」",
"201022911_148": "「やめろ……ッ! 我に……我に……」",
"201022911_149": "「<size=40>抱き着くのはよせーッ!!</size>」",
"201022911_150": "「なーんだ。じゃあ、あの時の未来は未来じゃなくて\\n シェム・ハさんだったんだ」",
"201022911_151": "「ごめんね。意識を失ったわたしの代わりに、\\n 授業を受けてくれてたみたいで……」",
"201022911_152": "「もう、無理しちゃダメだよ?」",
"201022911_153": "「そうだね。これからはちゃんと休むときは休むことにする。\\n 余計に心配させちゃうもんね」",
"201022911_154": "「今はもうだいぶよくなったから、大丈夫だよ」",
"201022911_155": "「そっか、安心した。\\n 今日は代わりに授業に出てくれて本当にありがとうね」",
"201022911_156": "「わたしも未来のことは信じてるから。\\n 過ぎた心配はしないよ」",
"201022911_157": "「それに、シェム・ハさんもいることだしね」",
"201022911_158": "「シェム・ハさん、これからもわたしがいないときは\\n 未来のことを助けてあげてください」",
"201022911_159": "(…………)",
"201022911_160": "「……断るって」",
"201022911_161": "「えー、そんなぁ~……」",
"201022911_162": "(……結局、杞憂に終わるとはな。\\n 我の苦労は一体なんだったのか……",
"201022911_163": "(ご、ごめんなさい……でも、嬉しかったです。\\n わたしのためにいろいろと頑張ってくれたこと",
"201022911_164": "(……遺憾である。\\n 二度と手助けなどするつもりはないからな",
"201022911_165": "(そ、そんなこと言わないでください……シェム……)",
"201022911_166": "「……しぇむ、しぇむ……」",
"201022911_167": "「フフ、変な寝言」",
"201022911_168": "「ん……あれ? わたし……」",
"201022911_169": "「珍しいね。わたしの方が早起きなんて」",
"201022911_170": "「やっぱり、まだ体調は悪い?\\n 今日のお出かけは、また今度にしよっか」",
"201022911_171": "「お出かけ? 学校は……」",
"201022911_172": "「今日は休みでしょ。昨日から少し体調が悪そうだったから、\\n 起こさなかったんだけど……大丈夫」",
"201022911_173": "「……そっか。うん、体調はよくなったと思う。\\n ただ、ちょっと変な夢を見てたみたい」",
"201022911_174": "「変な夢?」",
"201022911_175": "「えーっとね、はっきりとは覚えてなくて……」",
"201022911_176": "「……うん。変だけど、すごく楽しい夢だった気がする」",
"201022911_177": "「うまく説明できないんだけど……、\\n 『もしも、こんなことがあったら……』みたいな感じで……」",
"201022911_178": "「よくわからないけど、\\n 未来が元気になってきたならいいや」",
"201022911_179": "「うん、変な夢を見たのもきっと体調のせいなんだと思う。\\n もしもまた体調を崩したらそのときは――」",
"201022911_180": "「あッ……」",
"201022911_181": "「どうかした?」",
"201022911_182": "「ううん、なんでもない。\\n もしもの話はこれでおしまいッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,111 @@
{
"201023011_0": "切歌のバースデー2021",
"201023011_1": "「ねえ、もうすぐ切ちゃんのお誕生日だけど、\\n 当日はどんな風に過ごしたい」",
"201023011_2": "「どんな風、デスか?」",
"201023011_3": "「うん。こうしてもらいたいとか希望があるなら、\\n 叶えてあげたいなと思って」",
"201023011_4": "「うーん、そうデスね……」",
"201023011_5": "「せっかくの誕生日だし、\\n 調と一緒にご飯を食べたいデスッ」",
"201023011_6": "「うんうん、それから?」",
"201023011_7": "「そ、それからデスか?」",
"201023011_8": "「だって、それは毎日してることだもん」",
"201023011_9": "「た、確かにそうデスね……」",
"201023011_10": "「せっかくのお誕生日なんだから、\\n 特別なお祝いをしてあげたいな」",
"201023011_11": "「調……とっても嬉しいデスッ!」",
"201023011_12": "「でも、弱ったデスね。\\n 特別なお祝いが思い浮かばないデス」",
"201023011_13": "「そうなの?\\n 切ちゃん、お誕生日のお祝い大好きなのに」",
"201023011_14": "「調と一緒にいると、毎日が幸せだから\\n これ以上の何かが思いつかないデスよ」",
"201023011_15": "「もう、切ちゃんってば……」",
"201023011_16": "「だけど、わかった。\\n それならわたしに任せて」",
"201023011_17": "「切ちゃんの誕生日を特別にするために、\\n 素敵な日を考えてみるからッ」",
"201023011_18": "「おおッ! それは楽しみデス。\\n 調が考えてくれるのなら、特別なこと間違いなしデスッ」",
"201023011_19": "(期待されてる……。頑張らなきゃ……)",
"201023011_20": "1週間後――",
"201023011_21": "「切ちゃん、起きて起きて」",
"201023011_22": "「うぅ……まだ眠いデス……。\\n お休みの日くらい、ゆっくり寝てたいデス……」",
"201023011_23": "「切ちゃん、いいの?\\n せっかくのお誕生日だけど……」",
"201023011_24": "「そうデスッ! 今日は誕生日だったデスッ!\\n ただの休みの日じゃないのデスッ」",
"201023011_25": "「そのために、昨日の夜も早く寝たしね。\\n 今日は特別なこと、いっぱいやろう」",
"201023011_26": "「なるほど、それで今日の調は\\n 早起きだったんデスね」",
"201023011_27": "「朝からテンションマックスデースッ!\\n 誕生日を思いっきり楽しむデスよッ」",
"201023011_28": "「フフッ、そうだね」",
"201023011_29": "「けど……まだ7時デスよ? 今から準備して家を出ても……、\\n 開いてるお店、あるんデスか」",
"201023011_30": "「あるんだよ、そんなお店が。\\n そして、特別な時間帯でしか食べられないハンバーガーが」",
"201023011_31": "「それってもしかして……ッ!?」",
"201023011_32": "「うん、切ちゃんが前に食べてみたいって言ってた……」",
"201023011_33": "「まさかのパンケーキ・アンド・お肉ッ!\\n 未知との遭遇デースッ」",
"201023011_34": "「うん、お肉をパンケーキで挟むなんて、\\n わたしも初めての体験」",
"201023011_35": "「満足感がすごいね。お腹いっぱい」",
"201023011_36": "「そうデスね。これはもう、1日分のエネルギーが\\n フル充電されたって感じがするデス」",
"201023011_37": "「朝ご飯、ここにしておいてよかった」",
"201023011_38": "「時間もちょうどいいデス。\\n そろそろ他のお店も開き始める頃合いデスよ」",
"201023011_39": "「それじゃ次はお買い物だね。\\n 可愛いもの、いっぱい買っちゃおう」",
"201023011_40": "「はいデースッ!」",
"201023011_41": "「ふぃー……たくさん買ってしまったデース」",
"201023011_42": "「切ちゃんに似合う洋服がたくさんあってよかった」",
"201023011_43": "「帰ったら、さっそくファッションショーするデスよッ!」",
"201023011_44": "「そうだね。\\n でも、まだ帰るわけにはいかないよ」",
"201023011_45": "「おおお……まだお買い物デスか……。",
"201023011_46": " けど、さすがに疲れたデス……」",
"201023011_47": "「大丈夫、次はケーキ屋さん。\\n そこで食べながら、少し休もう」",
"201023011_48": "「目当てのお店があるの。\\n そろそろ混んでくる時間だし、急ごう切ちゃんッ」",
"201023011_49": "「ま、待つデス、調ーッ!」",
"201023011_50": "「お、お、おぉ……これは……ッ!」",
"201023011_51": "「チョコか……イチゴか……むむぅ……、\\n チーズも捨てがたいデス……」",
"201023011_52": "「ややッ!? あっちはものすごいメロンが乗ってるデスよッ!?\\n こっちは綺麗なキャラメルが……うーん、うーん……」",
"201023011_53": "「みんな美味しそうで選べないデースッ!」",
"201023011_54": "「それなら、全部食べよう」",
"201023011_55": "「ほ、ほ、ホントデスかッ!?」",
"201023011_56": "「うん、切ちゃんが食べたいの、\\n 全部注文していいよ」",
"201023011_57": "「これはヤバイデスよッ!\\n アタシの歴史が記録更新されちゃうデスッ」",
"201023011_58": "「じゃあ……イチゴとチョコとメロンとチーズと……、\\n それから、こっちのキャラメルのもッ」",
"201023011_59": "「でも、こんなにたくさん頼んだら\\n 食べきれないかもしれないデス」",
"201023011_60": "「大丈夫だよ、切ちゃん。\\n ここのお店は、食べ切れなかった分は持ち帰れるから」",
"201023011_61": "「ただいまデス~……」",
"201023011_62": "「お疲れさま。でも、まさかあの量を食べきれるとは\\n 思わなかったよ」",
"201023011_63": "「山盛りケーキがナンボのもんかデスッ!\\n 美味しいものなら、いくらでも別腹デスよ」",
"201023011_64": "「調のおかげで特別な1日が過ごせたデスよ。\\n ありがとうデス、調」",
"201023011_65": "「何言ってるの、切ちゃん。\\n まだまだ切ちゃんのお誕生日祝いは終わらないよ」",
"201023011_66": "「どういうことデスか……?」",
"201023011_67": "「今日の晩ご飯には、切ちゃんの大好きなメニューを\\n 昨日から仕込んでおいたんだ」",
"201023011_68": "「しかも、今日はみんなも呼んであるんだよ」",
"201023011_69": "「調がいてくれれば素敵なお食事デスけど、\\n みんなで食べられるのなら、さらに素敵デスッ」",
"201023011_70": "「それじゃあ、切ちゃんは少し休んでて。\\n まだお料理の準備に時間かかるから」",
"201023011_71": "「わかったデス。最後まで特別な1日を満喫するために、\\n ここは休息をとることにするデスッ」",
"201023011_72": "「というわけで……ソファーでゴロ寝するデスよッ!」",
"201023011_73": "「あぁ……今日は本当に幸せな1日だったデス……。\\n それがまだ終わっていないというのが信じられないデス」",
"201023011_74": "「これから……調のごちそうデス……。\\n みんなが来てくれるデス……」",
"201023011_75": "「幸せデス……<size=28>幸せデース……</size>」",
"201023011_76": "「あ、そうだ切ちゃん。\\n さっき買ってきたぬいぐるみなんだけど……」",
"201023011_77": "「<size=28>すぅ……すぅ……</size>」",
"201023011_78": "「……そうだよね、ちょっと疲れたよね」",
"201023011_79": "「せっかくのお誕生日だからって、\\n 予定を詰め込みすぎちゃったかな」",
"201023011_80": "「けど……」",
"201023011_81": "「<size=28>んん……</size><size=25>とっても幸せデス……</size>」",
"201023011_82": "「切ちゃん、寝ててもニコニコしてる……。\\n それなら、これでよかったのかも」",
"201023011_83": "「むにゃ<size=28>むにゃ……</size>」",
"201023011_84": "「切ちゃん、そろそろ起きて」",
"201023011_85": "「んん……?」",
"201023011_86": "「おはよう、切ちゃん。\\n そろそろみんなが来る時間だよ」",
"201023011_87": "「みんな……あれ……?\\n どこ行っちゃったデス……」",
"201023011_88": "「じゃなくて、これから来るんだよ」",
"201023011_89": "「わぁ、すごいデスッ!\\n お部屋が飾り付けされてるデスッ」",
"201023011_90": "「あまり派手にはできなかったけど、\\n 少しでも特別にしたくて」",
"201023011_91": "「すごく特別な部屋になってるデスよ。\\n 素敵デスッ」",
"201023011_92": "「……やっぱり、誕生日ってすごいデス」",
"201023011_93": "「4月13日はクリスマスやお正月みたいな\\n 特別な日じゃないデスよ」",
"201023011_94": "「でも誕生日のおかげで、調にこんなに祝ってもらえて、\\n アタシにとってはすごく特別な日になったデスッ」",
"201023011_95": "「わたしにとっても、\\n 切ちゃんをいっぱいお祝いすることができて――」",
"201023011_96": "「4月13日は特別な日になったよ」",
"201023011_97": "「ありがとうね、切ちゃん」",
"201023011_98": "「あ、みんなが来たみたい」",
"201023011_99": "「切歌ちゃん、誕生日おめでとーッ!」",
"201023011_100": "「どうにか間に合ったようだな。\\n ……誕生日、おめでとう」",
"201023011_101": "「おめでとさん。\\n 後輩を祝ってやるのも先輩の務めだからな」",
"201023011_102": "「みんな、来てくれて嬉しいデスッ!?」",
"201023011_103": "「おめでとう、切歌。\\n とっておきのプレゼントを用意してきたのよ」",
"201023011_104": "「ええッ!? 本当デスか!」",
"201023011_105": "「切歌ちゃんに気に入ってもらえるといいなぁ」",
"201023011_106": "「とっても嬉しいデスッ!」",
"201023011_107": "「みんなにお祝いしてもらえるなんて、\\n アタシは幸せ者デスッ」",
"201023011_108": "「やっぱり、誕生日って最高デスねッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,80 @@
{
"201023111_0": "おかえりなさいませ",
"201023111_1": "「ふんふふんふふ~~ん♪」",
"201023111_2": "「ニッポン~、ジャパン~♪\\n 日本に、お邪魔するゼ♪」",
"201023111_3": "「フフ、そんなに日本行きが嬉しいのかしら?」",
"201023111_4": "「だってさ、女の子なら誰もが憧れる夢の国だゼ」",
"201023111_5": "「あら、そうだったの。\\n エルザちゃん知ってた」",
"201023111_6": "「いえ、初耳であります」",
"201023111_7": "「ふふん、ならウチが教えてあげるゼ」",
"201023111_8": "「ずばり日本とは――」",
"201023111_9": "「KAWAIIの聖地なんだゼッ」",
"201023111_10": "「……可愛い?」",
"201023111_11": "「サムライとかニンジャとかではないでありますか?」",
"201023111_12": "「そういうのに並ぶくらい、\\n 趣深いカルチャーなんだゼ」",
"201023111_13": "「なんと、勉強不足だったであります」",
"201023111_14": "「そのKAWAIIカルチャーっていうのは、\\n 具体的にはどういうものなの」",
"201023111_15": "「色々あるけど、\\n ウチのイチ押しはメイド喫茶ッ」",
"201023111_16": "「可愛いメイド服を着た店員が、\\n もてなしてくれるんだゼ」",
"201023111_17": "「ウチも本場のKAWAIIを体験して、\\n 自分磨きしたいんだゼーッ」",
"201023111_18": "「あらあら、ミラアルクちゃんは\\n そんなことしなくても可愛いわよ」",
"201023111_19": "「そうであります。\\n 自信を持つであります」",
"201023111_20": "「う、嬉しいけど\\n そういうことじゃなくて――」",
"201023111_21": "「じゃあ……、はっきり言うわね。\\n 残念だけど、メイド喫茶には行かせられないわ」",
"201023111_22": "「ええ……ッ!?」",
"201023111_23": "「とっても楽しみにしていたのは、\\n お姉ちゃんにも痛いほどわかるわ」",
"201023111_24": "「でも、日本行きはあくまで私たちの目的のため。\\n 目立つような行動を容認する訳にはいかないの」",
"201023111_25": "「わかってくれるわね?」",
"201023111_26": "「…………」",
"201023111_27": "「その……、\\n また機会はあるかもでありますし――」",
"201023111_28": "「ウチらの目的のため、目立つ行動はできない……。\\n そんなの、分かりきってるんだゼ」",
"201023111_29": "「だいたいウチは一言も、\\n 行きたいなんて言ってないよな」",
"201023111_30": "「だからエルザ。\\n そんな辛気臭い顔するもんじゃないゼ」",
"201023111_31": "「ミラアルクちゃん……」",
"201023111_32": "「……っとと。\\n 無駄口叩いてる場合じゃなかったゼ」",
"201023111_33": "「宿替えのための準備がまだだったから、\\n ウチが片付けてくるゼッ」",
"201023111_34": "(……いつもそうやって、\\n 面倒な仕事ばかり請け負ってくれる……",
"201023111_35": "(たまのワガママ1つ、\\n 聞いてあげられないのは辛いであります……",
"201023111_36": "「…………」",
"201023111_37": "「ただいまだゼーッ!」",
"201023111_38": "「……あれ?\\n エルザ ヴァネッサ」",
"201023111_39": "「――ほら、帰って来たわよ」",
"201023111_40": "「うー……このような格好は、\\n 少し恥ずかしいであります……」",
"201023111_41": "「おーい、そんなとこに隠れて\\n 何してるんだゼー」",
"201023111_42": "「いいわね? お姉ちゃんと息を合わせて、\\n 練習した通りにやるのよ」",
"201023111_43": "「ガ、ガンス。\\n これも、ミラアルクのため……ッ」",
"201023111_44": "「おかえりなさいませ、お嬢様ッ!!」",
"201023111_45": "「え……ッ!?」",
"201023111_46": "「うわ、うわ……うわ~~~ッ!\\n ど、どうしたんだゼ人ともッ」",
"201023111_47": "「超超超可愛いッ!!\\n 可愛いの大盤振る舞いだゼッ」",
"201023111_48": "「頑張り屋のミラアルクちゃんに、\\n お姉ちゃんたちから、メイドのプレゼントよ」",
"201023111_49": "「衣装は近くの閉鎖区画から\\n くすねてきたであります」",
"201023111_50": "「もしかして……、\\n ウチがさっきあんなこと言ったから」",
"201023111_51": "「ミラアルクちゃんに喜んでほしかったのよ」",
"201023111_52": "「いつだってミラアルクは、文句も言わずに\\n 汚れ役を進んで買ってくれるでありますから」",
"201023111_53": "「ミラアルクちゃんの見たかった本物のメイドじゃないけど……、\\n 少しはご褒美になったかしら」",
"201023111_54": "「……チェキ」",
"201023111_55": "「……?」",
"201023111_56": "「本物のメイドは、一緒に\\n チェキ撮ってくれるって聞いたことあるんだゼッ!」",
"201023111_57": "「え~と、カメラカメラ……。\\n 確かこっちに拾ったのが……」",
"201023111_58": "「あったッ!\\n それじゃあ一緒に撮るゼッ」",
"201023111_59": "「いいのであります?\\n わたくしめらで」",
"201023111_60": "「もちろん、\\n 人で撮りたいんだゼッ」",
"201023111_61": "「…………」",
"201023111_62": "「よし、ポーズはウチが教えるゼッ!\\n ここをこうして……最後に決め台詞だゼッ」",
"201023111_63": "「いくゼー、せーの――」",
"201023111_64": "「萌え萌え~、キュ~~ン♪」",
"201023111_65": "「うんうん、よく撮れてるゼ」",
"201023111_66": "「ヴァネッサの褐色お姉ちゃんメイドも、\\n エルザの犬耳メイドもレベル高すぎだゼ」",
"201023111_67": "「そんなに喜んでもらえるなら、\\n 毎日着ちゃおうかしら」",
"201023111_68": "「さすがに毎日は……それにほら、\\n やっぱり本物ではないでありますし」",
"201023111_69": "「本物とか関係ないゼ。\\n 今この瞬間、ウチの中で――」",
"201023111_70": "「世界一KAWAIIメイドは、\\n エルザとヴァネッサに決まったんだゼ」",
"201023111_71": "「あらあら、さすがのお姉ちゃんも\\n 少し照れちゃうわね」",
"201023111_72": "「でも、そういわれると嬉しいであります」",
"201023111_73": "「今度はウチも混ざって、\\n 人でコスプレしたいゼ……ッ」",
"201023111_74": "「そうね……。\\n いつか、全てが終わった時には必ず」",
"201023111_75": "「はい。そしてその時は3人で、\\n メイド喫茶も行くであります」",
"201023111_76": "「ええ、本物のKAWAIIを思う存分堪能しないとね」",
"201023111_77": "「ああ、約束だゼッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,123 @@
{
"201023211_0": "試練の十番勝負ッ!",
"201023211_1": "「――踏み込みが浅いッ!\\n 漫然と拳を振るなッ」",
"201023211_2": "「は、はいッ!\\n もう一度お願いしますッ」",
"201023211_3": "「おお、随分盛り上がってるじゃないか」",
"201023211_4": "「奏……ッ!?\\n 来ていたの」",
"201023211_5": "「ああ、定期報告が終わったから、\\n 顔を見せに来たんだ」",
"201023211_6": "「でも――」",
"201023211_7": "「訓練中なんだろ?\\n なら、あたしは邪魔になる前に帰るとするよ」",
"201023211_8": "「待ってください奏さんッ!\\n もし、お時間に余裕があるなら――ッ」",
"201023211_9": "「うん?」",
"201023211_10": "「そのぉ……奏さんからも、わたしの戦い方に\\n アドバイスがあれば教えてもらいたいなーって……」",
"201023211_11": "「確かに、奏ほどの実力者の意見であれば\\n 立花のためにもなるだろう」",
"201023211_12": "「はいッ!」",
"201023211_13": "「同じガングニールを纏う装者として\\n 奏さんにも聞いてみたかったんです」",
"201023211_14": "「最近、ちょっと伸び悩んでる気もしてて……」",
"201023211_15": "「……なるほどな、\\n そういうことなら任せとけッ」",
"201023211_16": "「アドバイスなんてケチなことは言わない。\\n あたしが特別な訓練方法を教えてやる」",
"201023211_17": "「ええッ!?\\n いいんですかッ」",
"201023211_18": "「別世界とはいえ、可愛い後輩が悩んでるんだ。\\n 手を貸さないわけにはいかないだろ」",
"201023211_19": "「ではお言葉に甘えて、\\n よろしくお願いしますッ」",
"201023211_20": "「大船に乗ったつもりでついて来るといい」",
"201023211_21": "(特別な訓練って\\n 何をするつもりなんだろう……",
"201023211_22": "「何かあったの?」",
"201023211_23": "「それが……」",
"201023211_24": "「おりゃあああああああッ!!」",
"201023211_25": "「いい調子だッ!\\n もっと腰を低くッ 絶対に膝をつけずにッ」",
"201023211_26": "「あ、あのッ!」",
"201023211_27": "「どうしたッ!?」",
"201023211_28": "「本部の雑巾がけって、\\n 特別な訓練なんでしょうかッ」",
"201023211_29": "「もちろんだッ!」",
"201023211_30": "「は、はいッ!」",
"201023211_31": "「けんけんぱッ!」",
"201023211_32": "「……け、けんけんぱッ!」",
"201023211_33": "「お姉ちゃんたち、たのしそ~」",
"201023211_34": "「わたしたちもまぜて~」",
"201023211_35": "「悪いが今は秘密の訓練中なんだ。\\n また今度な」",
"201023211_36": "「え~、遊んでるだけでしょ~?」",
"201023211_37": "「そんなことないよッ!\\n お姉ちゃん、すーっごく真剣なんだからッ」",
"201023211_38": "「真剣に遊んでるの~?」",
"201023211_39": "「うぐ……、\\n やっぱり、訓練には見えないよね……」",
"201023211_40": "「はい、おまちどうさまッ!\\n イカ玉大盛りのイカ増量だよッ」",
"201023211_41": "「うわ~~~ッ!\\n もうこの匂いだけで我慢が出来なくなっちゃいそう……ッ」",
"201023211_42": "「ああ、たらふく食べてもらわないとな。\\n なにせ、この訓練はお好み焼きの大食いだからだッ」",
"201023211_43": "「えぇッ!? \\n これも訓練だったんですかッ」",
"201023211_44": "「全然特別じゃないっていうか……、\\n なんなら普段からやってるような……」",
"201023211_45": "「普段からやってることだからいいんだよ。\\n ちゃんとしっかり噛んで食べるんだぞ」",
"201023211_46": "「そ、そういうものですか……?」",
"201023211_47": "(奏さんを疑うわけじゃないけど……、\\n 本当にこれで強くなれるのかな……",
"201023211_48": "「……」",
"201023211_49": "「あわわ、急に頭なんて撫でてどうしたんですかッ!?\\n 駄目ですってッ 今汗かいてますから」",
"201023211_50": "「悪い悪い。\\n 心配が顔に出てたからつい、な」",
"201023211_51": "「でも騙されたと思ってついてきてほしい。\\n 絶対に後悔はさせない」",
"201023211_52": "「……ッ!」",
"201023211_53": "「訓練は全部で10個。残り7個。どうだ?」",
"201023211_54": "「わ、わたしは――」",
"201023211_55": "「ただいまー……。\\n もう一歩も動けない……」",
"201023211_56": "「お疲れさま。\\n ここ最近、忙しそうだね」",
"201023211_57": "「うん、奏さんに\\n 特別訓練をつけてもらってるんだ」",
"201023211_58": "「そうなんだ。\\n よかったねッ」",
"201023211_59": "「それがさ、雑巾がけしたり、\\n けんけんぱしたり、大食いしたり……」",
"201023211_60": "「全然特別って感じじゃないんだよ~ッ!!」",
"201023211_61": "「でも、途中で投げだしたりはしてないんだよね?」",
"201023211_62": "「うん」",
"201023211_63": "「なら、響がちゃんと信頼してる証拠だよ」",
"201023211_64": "「……うん。そうだね」",
"201023211_65": "「わたしよりずっと前から、\\n 装者として戦っていた、すごい人だもん」",
"201023211_66": "「訓練の内容がちょっとだけ、\\n 心配になったけど……」",
"201023211_67": "「この人についていけば、\\n きっと変われるはずだって、ワクワクしてるッ」",
"201023211_68": "「じゃあ、もうちょっと頑張らないとね」",
"201023211_69": "「うんッ!」",
"201023211_70": "「けんけんぱッ!」",
"201023211_71": "「けんけんぱッ!!」",
"201023211_72": "「お、気合い入ってるじゃないかッ!」",
"201023211_73": "「はいッ!\\n どんな訓練もばっちこいですッ」",
"201023211_74": "「よし、それなら――」",
"201023211_75": "「市内にアルカ・ノイズが出現したッ!\\n 響くんが番現場に近いッ」",
"201023211_76": "「至急向かってくれッ!」",
"201023211_77": "「敵のお出ましか。\\n さっそく訓練の成果を見せる時だッ」",
"201023211_78": "「きゃああああッ!」",
"201023211_79": "「やめろぉおおおおおッ!!」",
"201023211_80": "「……ッ!\\n 間に合ったッ」",
"201023211_81": "(……あれ? なんだか――)",
"201023211_82": "「いつもよりいいッ!\\n 踏ん張れてるかもおおおッ」",
"201023211_83": "「どうだぁぁぁぁッ!!」",
"201023211_84": "「――ッ!\\n そっちに体行ったぞッ」",
"201023211_85": "「任せてくださいッ!!」",
"201023211_86": "「とりゃああああああッ!!」",
"201023211_87": "「うそ……ッ!\\n 前より速くなって……ッ」",
"201023211_88": "(これってやっぱり、\\n 訓練の成果――",
"201023211_89": "「これで、トドメぇぇぇぇッ!!」",
"201023211_90": "「響、お待たせッ!",
"201023211_91": " ……って、もう終わっちゃった?」",
"201023211_92": "「2人とも、怪我はしてませんかッ!?」",
"201023211_93": "「へいき、へっちゃらだよッ!」",
"201023211_94": "「ああ、こいつのおかげで\\n 被害は最小限に済んだ」",
"201023211_95": "「どうやら、\\n わたしたちの出る幕はなかったようだな」",
"201023211_96": "「どうだ、訓練の効果は?」",
"201023211_97": "「はいッ!! けんけんぱで、\\n 下半身に安定感が出た気がしますッ」",
"201023211_98": "「それだけじゃない、\\n 雑巾がけは全身を満遍なく鍛えられる」",
"201023211_99": "「大食いも、噛み応えのあるもので顎を鍛えて\\n いざって時の踏ん張りが効くようにするためだ」",
"201023211_100": "「日常のちょっとしたことってさ、\\n 関係ないと思えばそのままなんだ」",
"201023211_101": "「けど、自分の意識1つで\\n 訓練にまで昇華出来たりするもんさ」",
"201023211_102": "「どうだ、あたしの言った通りだっただろう」",
"201023211_103": "「す、すごい……ッ!\\n すごすぎますッ」",
"201023211_104": "「わたしもいっぱい訓練をして、\\n 奏さんみたいになれるように、頑張りますッ」",
"201023211_105": "「ああ、いくらでも付き合ってやるよッ!\\n 次は『だるまさんが転んだ』だッ」",
"201023211_106": "「はいッ!!」",
"201023211_107": "「……フフ」",
"201023211_108": "「どうかしました?」",
"201023211_109": "「いや……さっきの奏の言葉が、\\n 映画で聞いたセリフと同じものだと思ってな」",
"201023211_110": "「えッ!?」",
"201023211_111": "「かつて奏も同じような悩みにぶつかり、\\n こちらの世界の司令に相談したのだ」",
"201023211_112": "「その時の司令からの答えは\\n 『映画を見ろッ』という言葉だったらしくてな」",
"201023211_113": "「……なるほど。\\n なんとなく理解しました」",
"201023211_114": "「――あれ? でも『だるまさんが転んだ』って\\n 人だけだと寂しくないですか」",
"201023211_115": "「確かにな。\\n 公園の子供たちにも手伝ってもらうかッ」",
"201023211_116": "「いいですねッ!\\n みんなでやった方が絶対盛り上がりますッ」",
"201023211_117": "「このやり方は、あの2人には効果てきめんなのだろうな」",
"201023211_118": "「はい、2人とも、\\n すごく楽しそうですから」",
"201023211_119": "「それじゃあいくぞッ!\\n だーるまさんがー……」",
"201023211_120": "「こーろんだッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,87 @@
{
"201023311_0": "会いたいドレス姿",
"201023311_1": "「――では、ライブ演出はこの方向で進めていきますね」",
"201023311_2": "「はい、よろしくお願いします」",
"201023311_3": "「あれ? 2人ともなんの相談してるんですか?」",
"201023311_4": "「次回のライブの打ち合わせをしていたんですよ」",
"201023311_5": "「えッ、ライブッ!?",
"201023311_6": " 絶対観に行きたいですッ!」",
"201023311_7": "「ああ、身命を賭して最高のライブにしてみせるから、\\n ぜひ観に来てくれ」",
"201023311_8": "「はいッ! 未来たちも誘わなくっちゃ。楽しみだなーッ!」",
"201023311_9": "「あ、そうそう、ライブといえば……」",
"201023311_10": "「この前、あっちの世界の奏さんとお話したんですけど、\\n 向こうでもライブ公演があるって言ってたんです」",
"201023311_11": "「奏のライブか。",
"201023311_12": " それはぜひとも、この目で見届けたいものだ」",
"201023311_13": "「もし叶うのなら……、\\n わたしのライブも奏に観てもらいたい」",
"201023311_14": "「奏さんなら、必ず観に来てくれますよッ!」",
"201023311_15": "「1つお伺いしたいのですが、あちら側のライブは、\\n もう日程が決まっているんですか」",
"201023311_16": "「えっと、確かライブはこの日から……、\\n ここまでの予定だって言ってました」",
"201023311_17": "「そうですか……」",
"201023311_18": "「……これも1つの巡り合わせなのだろうな」",
"201023311_19": "「え……それってどういう意味ですか?」",
"201023311_20": "「見事なまでに翼さんのライブと被っていますね」",
"201023311_21": "「……日程をずらしたりはできないですよね?」",
"201023311_22": "「大規模なライブですから。\\n 様々な人が関わっているので、今からの変更は難しいです」",
"201023311_23": "「やっぱり、そうですよね……」",
"201023311_24": "「そう気に病むな」",
"201023311_25": "「ライブは週末に開催されることがほとんどだ。\\n 被ってしまうのは無理からぬ話だろう」",
"201023311_26": "「いつかまた2人であの舞台の上に立ちたいものだ」",
"201023311_27": "「……あッ、そうだッ!」",
"201023311_28": "「わたし、任務で\\n 今からあっちの世界へ行くことになっているんです」",
"201023311_29": "「わたしから、司令にお願いをしてみます。\\n だから……翼さん、わたしの代わりに行ってくれませんか」",
"201023311_30": "「奏さんと話したいこと、たくさんあるでしょうし」",
"201023311_31": "「それは願ってもない話だが、いいのか?」",
"201023311_32": "「もちろんですよッ! \\n あっちの世界でじっくりお話ししてきてくださいねッ」",
"201023311_33": "「ライブの準備は僕の方で進めておきますので、\\n おふたりの時間を満喫してきてください」",
"201023311_34": "「すまない、2人とも。ありがとう」",
"201023311_35": "「……無事に着いたようだな。\\n さっそく報告を――」",
"201023311_36": "「翼ーッ!」",
"201023311_37": "「この声はッ!」",
"201023311_38": "「急にどうしたんだ?\\n まさかあたしに会いたくなっちゃったとか」",
"201023311_39": "「奏は相変わらずだね……」",
"201023311_40": "「ハハッ、今の顔つき、\\n 話したいこといっぱいあるって顔してるぞ」",
"201023311_41": "「うん……やっぱり奏には、\\n わたしが考えていることは全部お見通しなんだ」",
"201023311_42": "「でも……定期報告がまだ済んでないの。\\n 話をするにしても、それが済んでからの方がいいんだけど……」",
"201023311_43": "「なるほど、そういうことか。\\n そんじゃ、あたしは待ってるから旦那へ報告してきな」",
"201023311_44": "「いいの? それなら、すぐに行ってくるねッ!」",
"201023311_45": "「――お待たせッ! ごめんね、奏ッ!\\n すぐに終わると思ったら、予想より時間がかかって……」",
"201023311_46": "「別にいいさ。\\n あたしが翼と一緒に居たいから待ってただけだし」",
"201023311_47": "「にしても、ちょうど翼のことを考えてた時に会えるなんてね。\\n こんなに嬉しいことはないな」",
"201023311_48": "「それはわたしだって同じ……会いたかった」",
"201023311_49": "「お互い思い合っていたなんて、さすがあたしたちだな」",
"201023311_50": "「それで、あたしに話したいってのは、どんなことだ?」",
"201023311_51": "「ライブのことを聞いたの。開催おめでとう。",
"201023311_52": " それで、実は全く同じ日にわたしもライブがあって……」",
"201023311_53": "「ホントかッ!? おめでとうッ!」",
"201023311_54": "「うん、ありがとう。\\n でも、奏のライブも観たかったな……」",
"201023311_55": "「確かに、お互いのライブを応援したいよな。\\n でもあたしはさ、こうも思うんだ」",
"201023311_56": "「同じ日、同じ時に、互いを思って唄うこと――」",
"201023311_57": "「たとえ世界は違っていても、\\n 唄えば互いを感じることができるはずだって」",
"201023311_58": "「唄うことで……、\\n 確かにそのとおりかも」",
"201023311_59": "「ありがとう。胸のつかえが取れた気がする」",
"201023311_60": "「ヘヘッ、どういたしまして」",
"201023311_61": "「そうだ、ライブのことでもう1つ話したいことがあるんだけど」",
"201023311_62": "「ん、どんなことだ?」",
"201023311_63": "「実は……今度のライブで着る衣装を持ってきたの。\\n 奏に番に見てほしくて」",
"201023311_64": "「おーッ! じゃあさ、お互いに衣装を見せ合わないかッ!?」",
"201023311_65": "「うんッ!」",
"201023311_66": "「準備できたかー?」",
"201023311_67": "「ええ、いつでも大丈夫」",
"201023311_68": "「それじゃいくぞッ! 3、2、1ッ!」",
"201023311_69": "「そ、その衣装って……ッ!?」",
"201023311_70": "「へー……こんな偶然があるんだな」",
"201023311_71": "「こんなにも見事に対のデザインになっているなんて……。\\n 狙っていたわけじゃないよね」",
"201023311_72": "「そりゃ当然」",
"201023311_73": "「なら、これは偶然じゃない……。\\n 必然……ううん、これこそ運命と呼べるのかも……」",
"201023311_74": "「運命か……いいね」",
"201023311_75": "「わたしたちは両翼そろってこそ。\\n ……ということなんだろうね」",
"201023311_76": "「たとえ住む世界が違っていたとしても、な」",
"201023311_77": "「あたしと翼、両翼そろったツヴァイウイングは――」",
"201023311_78": "「どこまでも遠くへ飛んでいけるッ!」",
"201023311_79": "「どんなものでも越えてみせるッ!」",
"201023311_80": "「……やっぱり、隣に翼がいると落ち着くな」",
"201023311_81": "「うん、わたしも」",
"201023311_82": "「一緒に唄えないのは寂しい……けれど、いつか、\\n いつかきっと人だけでライブができる……」",
"201023311_83": "「いまは互いにそう信じて進んでいこう」",
"201023311_84": "「そうだな、あたしたちが願い続けていればきっとッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,171 @@
{
"201023411_0": "翼のバースデー2021",
"201023411_1": "「やっぱりこういうのは、\\n 予想外の一撃というのが有効デスッ」",
"201023411_2": "「うん、そうだよね。\\n 油断してるところを狙って……」",
"201023411_3": "「……2人とも、なんの話をしてたの?」",
"201023411_4": "「よーし、あたしが当ててやる……。\\n 訓練であたしらをとっちめようって作戦だなッ」",
"201023411_5": "「クリス先輩、ハズレです」",
"201023411_6": "「フフ、もうすぐ5月25日なのデースッ!」",
"201023411_7": "「5月25日……ってーと」",
"201023411_8": "「翼さんの誕生日だよねッ!」",
"201023411_9": "「……それにしては、なんだか\\n 物騒なことを言ってたような……」",
"201023411_10": "「先輩の誕生日に何かやらかすつもりだな?\\n 面白そうだ。あたしにも一枚噛ませてくれ」",
"201023411_11": "「もちろん歓迎デスッ!\\n サプライズパーティの計画を立てていたのデスよッ」",
"201023411_12": "「もともと、いいアイデアが浮かんだら、\\n みなさんにも相談しようと思っていたんです」",
"201023411_13": "「フッフッフ……じつはデスねぇ……。\\n たった今、ビッグアイデアが浮かんでしまったのデスッ」",
"201023411_14": "「おお~ッ!\\n 聞かせて、切歌ちゃんッ」",
"201023411_15": "「もちろん、お答えするデス。\\n まず緊急任務と称して全員で出撃デスッ」",
"201023411_16": "「『ああ、みんなわたしの誕生日は覚えていないのか……』\\n と心の中で悲しむ翼さんが現場に来ると……」",
"201023411_17": "「なんとそこは、特設のバースデー会場になっているのデスッ!\\n S.O.N.G.のみんなも一緒になってお出迎えデスッ!」",
"201023411_18": "「驚く翼さんに対して、\\n みんなでバースデーソングを合唱して……」",
"201023411_19": "「超特大ケーキでお祝いをして、翼さんもニッコリなのデスッ!\\n どうデスか、この完璧な作戦はッ」",
"201023411_20": "「……悪くねえけど、却下だな」",
"201023411_21": "「ガーンッ!?\\n 完璧だと思ったのデスが……」",
"201023411_22": "「そこまで大掛かりになったら、翼さんにバレないように\\n 隠れて準備をするのは難しいかも……」",
"201023411_23": "「言われてみれば確かにデス……」",
"201023411_24": "「まあ、バレても派手に祝えば\\n 先輩は十分驚くとは思うけどな」",
"201023411_25": "「ムムム……でも、翼さんを驚かせるためには、\\n ドーンッ とサプライズをしてあげたいんデスッ」",
"201023411_26": "「……切ちゃん、後ろ」",
"201023411_27": "「……もしや、わたしは聞かなかったことにして\\n この場を去った方がいいだろうか」",
"201023411_28": "「聞いてしまったものはしょうがないわ。\\n それで、翼の誕生日の話」",
"201023411_29": "「はい。サプライズは失敗しちゃったけど\\n 翼さんの誕生日は、ぜひお祝いさせてくださいねッ」",
"201023411_30": "「……それなのだが、すまない。\\n 実は、当日にファンを交えてのバースデーイベントがあるのだ」",
"201023411_31": "「おお、ピッカピカの大ホールで誕生日コンサートデス?」",
"201023411_32": "「いや、そこまで大きな催しではない。\\n 熱心なファンに向けた、せいぜい数百人程度のイベントだ」",
"201023411_33": "「数百人規模……十分すごいような……」",
"201023411_34": "「つっても、先輩の人気を考えたら\\n 小さい会場にはなっちまうんだろうな」",
"201023411_35": "「人数を制限する分、プログラムを濃密にしていてな。\\n だから、当日は帰りが遅くなる」",
"201023411_36": "「それだと、仕方ないですね……」",
"201023411_37": "「ファンの人たちとの交流も大切デス」",
"201023411_38": "「みんなの翼さんを、わたしたちだけで\\n 独占しちゃうわけにはいかないからね」",
"201023411_39": "「祝ってくれようとしていたのに、すまない」",
"201023411_40": "「別にいいですよ。その分、他の日で盛大に\\n 先輩のことを祝ってやりますから」",
"201023411_41": "「ですねッ!\\n 精一杯お祝いをしますからねッ」",
"201023411_42": "「……ありがとう。\\n その日を楽しみに待っておこう」",
"201023411_43": "「でも、数百人規模のバースデーイベント……、\\n どんなことをするのか、ちょっと気になる」",
"201023411_44": "「そうね……バースデーイベントだと、\\n トークをしたり、唄ったり、パフォーマンスをしたり……」",
"201023411_45": "「その熱量は決して大きなライブに引けを取るものじゃないわ」",
"201023411_46": "「そのバースデーイベントなのだが、気がかりなことがあってな。\\n 皆に少々、相談に乗ってもらってもいいだろうか」",
"201023411_47": "「わかりましたッ!\\n わたしに出来ることであれば、なんでも手伝いますッ」",
"201023411_48": "「内容を聞いてから安請け合いしろッ!\\n ……ま、でも先輩の真面目な相談なら手伝いますけどね」",
"201023411_49": "「まったく……素直じゃないんだから。\\n ――それで、なにが気になっているのかしら」",
"201023411_50": "「……こうしてわたしがアーティストとしていられるのは、\\n 色々な人が支えてくれていたおかげだと思っている」",
"201023411_51": "「しかし、今回のプログラムはスタッフの主導。\\n わたし自身から提案したものがないのだ」",
"201023411_52": "「まあ、そりゃスタッフ側の都合もあるだろうからな。\\n プログラムに先輩は不満があるんですか」",
"201023411_53": "「いや、そうではない。\\n 進行や催しに不服などは全くないのだが……」",
"201023411_54": "「わたしの誕生日を祝おうと集まってくれた人たちに\\n わたしから何かをしてあげたい……そう思ってな」",
"201023411_55": "「わかりますッ! お世話になってる人たちには、\\n 自分の手でお返ししたいですもんねッ」",
"201023411_56": "「スタッフの人たちに相談はしないの?\\n 多少の無茶くらいは聞いてくれると思うわ」",
"201023411_57": "「最初はそう考えたのだが……、\\n 忙しいであろうスタッフの手を煩わせたくはなくてな」",
"201023411_58": "「これはあくまでもわたしの我儘だ。\\n わたしに出来る範囲で、ファンに報いたいのだ」",
"201023411_59": "「……すっごくいい考えだと思いますッ!」",
"201023411_60": "「その言葉だけでも\\n ファンの人は大感激間違いなしデスッ」",
"201023411_61": "「ありがとう……しかし、何をすればいいのか。\\n 考えても思いつかなくてな……」",
"201023411_62": "「確かに……。\\n 簡単に出来る事なら、スタッフがやっているでしょうからね」",
"201023411_63": "「なるほどな。\\n だからあたしたちに聞いてみたってわけか」",
"201023411_64": "「ああ、すまないが知恵を貸してくれ」",
"201023411_65": "「スタッフの人の邪魔にならなくて……、\\n それでいて、ファンへのお返しとなると……」",
"201023411_66": "「難しい問題デスねぇ……」",
"201023411_67": "「ファン代表として、お前から意見はねーのか?」",
"201023411_68": "「……それってわたしッ!?」",
"201023411_69": "「この中で、1番の先輩のファンと言ったらお前だろうからな」",
"201023411_70": "「きゅ、急にそういうことを言われましても……。\\n えーっと、そうですね……あッ」",
"201023411_71": "「立花、何か思いついたのか?\\n それならば、ぜひとも聞かせてほしい」",
"201023411_72": "「会場に入る時、翼さんに挨拶してもらえたら、\\n わたしなら飛び上がるくらい嬉しいですッ」",
"201023411_73": "「微笑みかけられたり、握手とかしてもらえたら、\\n 一生の想い出ですよッ」",
"201023411_74": "「ほー、思ったよりもいい意見だな」",
"201023411_75": "「なるほど、確かに悪くない……。\\n だが、流石に入る前のファンに挨拶というのは難しいな」",
"201023411_76": "「そうね。直接挨拶をするとなると、警備だって必要になるわ。\\n 結局スタッフの手を煩わせることになるわね」",
"201023411_77": "「イベントの前に楽屋での準備もある。\\n 意見を出してもらったのにすまないな」",
"201023411_78": "「しかし、とても参考になる意見だった。\\n わたしが出迎えられたら良かったのだが……」",
"201023411_79": "「……でしたらッ!\\n 入口から会場までを飾り付けるっていうのはどうでしょうッ」",
"201023411_80": "「会場までの飾り付けを……?」",
"201023411_81": "「はいッ! 翼さんが自分で飾り付けてくれたって聞けば\\n 来てくれたファンの人たちも喜ぶと思いますッ」",
"201023411_82": "「……なるほど、それもいいアイデアね。\\n 会場までなら、スタッフからの許可も下りそうだし……」",
"201023411_83": "「それに、装飾だったら写真に撮ったりすることもできます」",
"201023411_84": "「記録にも記憶にも残る歓迎デースッ!」",
"201023411_85": "「確かに……わたしは直接ファンを出迎えることはできない。\\n それはいいかもしれないな」",
"201023411_86": "「そうと決まれば、早速準備をしなければ。\\n では、わたしはこれで失礼するッ」",
"201023411_87": "「待ってくださいよ。\\n あたしたちだっていること、忘れてないですか」",
"201023411_88": "「そうですよッ!\\n わたしたちも、翼さんのお手伝いをしますッ」",
"201023411_89": "「いいのか?\\n しかし、これはわたしの我儘で……」",
"201023411_90": "「あら、水臭いわね。\\n そのくらい、頼まれなくても手伝うわ」",
"201023411_91": "「それに、1人で任せたら先輩の部屋みたいに\\n 前衛芸術にでもなっちまうかも」",
"201023411_92": "「な……ッ!?\\n それは今、関係がないだろう……ッ」",
"201023411_93": "「冗談ですよ。\\n でも、1人でやるよりは全員でやった方がいいんじゃないですか」",
"201023411_94": "「……すまない。\\n だが、ありがとう……みんな」",
"201023411_95": "「そうと決まれば、さっそく買い出しですねッ!」",
"201023411_96": "「……ずいぶんたくさん買ってしまったな」",
"201023411_97": "「作り応えがあっていいじゃないですか。\\n 派手な方がファンも喜んでくれるだろうし」",
"201023411_98": "「来てくれた人がビックリするくらい\\n 豪華に飾り付けるデスッ」",
"201023411_99": "「小日向もすまない。\\n わざわざ、わたしの手伝いのために来てくれて……」",
"201023411_100": "「いえ、気にしないでください。\\n わたしだって、みんなと同じ気持ちですから」",
"201023411_101": "「先輩のことを手伝いたいっていう気持ちは\\n 一緒ってことだな」",
"201023411_102": "「はい。ですから、ファンの人たちに\\n 喜んでもらえるように頑張りましょうね」",
"201023411_103": "「……ああ、そうだな」",
"201023411_104": "(――わたしが歌手としていられるのは\\n 支えてくれたファンの人々のおかげだ",
"201023411_105": "「わたしに出来るささやかなことではあるが……、\\n これでファンのみんなは喜んでくれるだろうか」",
"201023411_106": "「あなたが気持ちを込めて作ってくれたら、\\n みんな喜んでくれるわ」",
"201023411_107": "「マリア……」",
"201023411_108": "「そんなに不安そうな顔をしないの。\\n 大切なのは豪華さじゃないわ。感謝の気持ちよ」",
"201023411_109": "「そうか……そうだったな。\\n ならば、全身全霊をもって作らねば」",
"201023411_110": "「ええ、その勢いよ」",
"201023411_111": "(元気づけてくれたマリアには感謝せねば。\\n ……いや、マリアだけではない",
"201023411_112": "「ええっと……ここをこう切って……」",
"201023411_113": "「響、逆になってるよ。\\n ほら、ここをこう切って……」",
"201023411_114": "「あたしにも見せてくれ。\\n ……なるほど、そうやって作んのか」",
"201023411_115": "「おお、調の作った飾りはプロ級デスッ!」",
"201023411_116": "「切ちゃんの作った飾りも……、\\n うん、個性があると思うよ」",
"201023411_117": "(わたしのためにこうして手伝ってくれてる\\n みんなにも感謝の念しかない",
"201023411_118": "(……バースデーイベントは、最高のものにしなければな)",
"201023411_119": "「……さて、そろそろ時間か。\\n 会場へ向かわねば」",
"201023411_120": "「緒川さんはどこに……あそこか。",
"201023411_121": " む? なぜ一緒に立花と小日向が?」",
"201023411_122": "「翼さん、そろそろ出発しますか?」",
"201023411_123": "「そのつもりでしたが……、\\n 立花たちと何のお話をしていたのですか」",
"201023411_124": "「実は、響さんたちに特別任務が下りまして……。\\n 今回は、翼さんのイベントにはいけないことになったんです」",
"201023411_125": "「特別任務?\\n しかし、わたしの方に連絡は何も……」",
"201023411_126": "「今日は翼さんのバースデーイベントですから。\\n イベントに集中できるように気を使ってくれたようです」",
"201023411_127": "「……そうなのか?」",
"201023411_128": "「はいッ! わたしたちで任務を\\n やり遂げてみせますッ」",
"201023411_129": "「わたしたちも頑張りますから、\\n 翼さんもバースデーイベント、頑張ってください」",
"201023411_130": "「……ああ、気持ちは受け取った。\\n 一緒に楽しめないのは残念だが……最高のイベントにしてみせよう」",
"201023411_131": "「ファンの人たちに思いっきりお祝いされてきてくださいね」",
"201023411_132": "「翼さん、それではそろそろ現場へ向かいますか」",
"201023411_133": "「はい。\\n それでは、行ってくる」",
"201023411_134": "(みんなと飾り付けた入り口は見事なものだった。\\n わたしが作った飾りが目立つようにしてくれた心遣いも",
"201023411_135": "(……出来る事なら、みんなにもわたしのイベントを\\n 見てほしかったが……任務であれば仕方のないことだ",
"201023411_136": "「控室はこちらです。\\n 案内をしますよ」",
"201023411_137": "「ありがとうございます、緒川さん。\\n ……入口の飾り付けはどうでしたか」",
"201023411_138": "「ええ、みなさんで張り切って準備をしましたからね。\\n とても素敵でしたよ」",
"201023411_139": "「それならばよかった。\\n ……では、イベントに向けて準備を……」",
"201023411_140": "「なッ!? これは……ッ!?」",
"201023411_141": "「わたしのメイク台が、飾り付けられて……。\\n いったい、いつの間に……ッ」",
"201023411_142": "「ハッピバースデー翼さん~♪」",
"201023411_143": "「ハッピバースデー翼さんデ~ス♪」",
"201023411_144": "「なッ……みんなッ!? 特別任務はどうしたッ!?\\n 緒川さん、これは一体……」",
"201023411_145": "「不意打ちになってしまってすいません。\\n これが、彼女たちの特別任務です」",
"201023411_146": "「飾りを作ってるときに、折角だから翼さんの楽屋も\\n 飾りたいですってそこのバカが言い出してな」",
"201023411_147": "「クリスちゃん、酷いッ!\\n それいいじゃねえかってリだったのにッ」",
"201023411_148": "「言うな、このバカッ!」",
"201023411_149": "「そこで、サプライズの話を思い出したんデスッ!\\n 翼さんをビックリドッキリさせてのお祝いデスッ」",
"201023411_150": "「ちなみに、緒川さんも快く協力してくれたわよ」",
"201023411_151": "「緒川さんまで……。\\n しかし……これは……」",
"201023411_152": "「翼さんに、頑張ってくださいっていう気持ちと\\n 誕生日おめでとうの気持ちをいっぱい込めましたッ」",
"201023411_153": "「さすがに飾りが足りなくて、\\n メイク台だけですけど……」",
"201023411_154": "「……いいや、こんな素敵なメイク台で\\n みんなに会う支度ができようとは……」",
"201023411_155": "「こんなに嬉しいことはない……ッ!」",
"201023411_156": "「あたしたちの気持ちも乗ってるからなッ!\\n イベントも頑張れよッ」",
"201023411_157": "「この後は、わたしたちもイベントに参加して\\n 楽しませてもらいますね」",
"201023411_158": "「響さんなんて楽しみすぎて、アタシたち全員分の\\n サイリウムまで持ってきたんデスよ」",
"201023411_159": "「ええッ!?\\n 翼さんのイベントだよッ 必需品だよねッ」",
"201023411_160": "「……ありがとう、みんな。\\n きっと最高のイベントにしてみせよう」",
"201023411_161": "「翼さんの準備もありますから、\\n わたしたちはそろそろ失礼しますね」",
"201023411_162": "「それじゃあ、頑張ってね翼。\\n 素敵な時間を期待しているからッ」",
"201023411_163": "「ああ、勿論だともッ!」",
"201023411_164": "(……こうして、わたしのことを応援してくれている仲間がいる。\\n わたしを応援してくれている人たちがいる",
"201023411_165": "(そして……、\\n わたしの歌を待つファンのみんながいる",
"201023411_166": "(そうして、みんなのおかげで、わたしは今ここに……。\\n アーティストの風鳴翼として立っている",
"201023411_167": "(だからこそ、\\n わたしの今のありったけの想いを伝えよう",
"201023411_168": "「いざ往かん……ッ!\\n わたしの、戦場へッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,54 @@
{
"360000111_0": "お留守番任務",
"360000111_1": "「――はあッ!?」",
"360000111_2": "「お前が何を言っているのかよく聞き取れなかった。\\n もう一度話せ」",
"360000111_3": "「働き方改革だよ、いわゆる」",
"360000111_4": "「馬鹿も休み休み言えッ!\\n オレの研究は労働ではないッ」",
"360000111_5": "「なんなのかな、それでは」",
"360000111_6": "「我が魂の全てをかけるべき命題だ」",
"360000111_7": "「聞いたかい、<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>の諸君。\\n きちんと判断できなくなっているのだよ、多忙のあまり」",
"360000111_8": "「貴様、パパからの命題を愚弄する気かッ!?」",
"360000111_9": "「マスターを悪く言うのは許さないゾッ!」",
"360000111_10": "「ですが、マスターがここのところ、\\n 全く休みをとっていないのは私も地味に気になっていました」",
"360000111_11": "「問題ない。疲労回復のために独自の栄養剤を錬成し、\\n 摂取しているからな」",
"360000111_12": "「聞いたかい、<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>の諸君」",
"360000111_13": "「それはもういいッ!」",
"360000111_14": "「そんなことまでして無理をされているとは……、\\n さすがにマスターのお身体が心配になりますわ」",
"360000111_15": "「マスター、栄養剤なんかに頼っていると、\\n そのうち中毒になってしまいますよ」",
"360000111_16": "「オレがそんなものに溺れると思うのか?」",
"360000111_17": "「いずれにしろ栄養剤を必要とするほど\\n 疲労が溜まっているというのは確かなようですね」",
"360000111_18": "「なんだかよくわからないけど、\\n あたしもマスターが心配になってきたゾ」",
"360000111_19": "「チッ、ミカまで……」",
"360000111_20": "「おい、オレに休めと言うのなら、\\n まずは協会からの任務を減らしてみたらどうだ」",
"360000111_21": "「意味がないのだよ、\\n 代わりにプライベートの研究に没頭されては」",
"360000111_22": "「離れる必要があるのだよ、この部屋から。\\n 用意したんだ、そのためにね」",
"360000111_23": "「こ……これは……ッ!」",
"360000111_24": "「旅券、みたいですね」",
"360000111_25": "「オレに旅行なんかに行けと言うのか?」",
"360000111_26": "「招待券が手に入ったんだ、とあるリゾート地の。\\n 楽しんでくるといい、全てを忘れて」",
"360000111_27": "「旅券によれば6泊7日ということですし、\\n 週間くらいなら良い休暇になるのでは」",
"360000111_28": "「しつこいやつらだ。\\n そろそろ言い合うのも疲れてきた……」",
"360000111_29": "「もういい。今回だけは譲ってやる」",
"360000111_30": "「決まりだね」",
"360000111_31": "「だが、オレが留守にしている間に発生した任務は\\n どうするつもりだ」",
"360000111_32": "「それでしたら、\\n 私たちが代わりに承りますわ」",
"360000111_33": "「そこまで言うのなら……、",
"360000111_34": " いや、やはりダメだ。大事な用事が残っていた」",
"360000111_35": "「大事な用事……?」",
"360000111_36": "「お前のメンテナンスだ。\\n サマエルとの戦いでは、随分無理をさせてしまったからな」",
"360000111_37": "「いえ、それでしたらすでに修理していただきましたし、\\n 以降はさほど消耗するようなことも……」",
"360000111_38": "「だからこそ、つい後回しにしてしまったが、\\n あの激戦の後だ。微調整しておきたい箇所も多い」",
"360000111_39": "「では、レイアも同伴したらどうでしょう?\\n マスターの護衛も必要ですから」",
"360000111_40": "「マスターさえよければ、私は派手にご同行します」",
"360000111_41": "「……そうか、わかった。今回はオレが折れてやる。\\n お前たちの厚意も無碍にはできんからな」",
"360000111_42": "「任務も任せるとしよう。\\n だが、その前に……」",
"360000111_43": "「こ……これは……」",
"360000111_44": "「もしかして、ラピス……ですか?」",
"360000111_45": "「ああ、ラピス・クォーターズだ」",
"360000111_46": "「オレのラピス・フィロソフィカスが割れて、\\n つの欠片となったものをお前たちが使えるよう調整した」",
"360000111_47": "「これがあればレイアだけでなく、\\n お前たちもゴールデンハート・メカニクスを使える」",
"360000111_48": "「ご配慮に感謝いたしますわ」",
"360000111_49": "「扱いは難しいが、お前たちなら大丈夫だろう」",
"360000111_50": "「では、後のことは頼んだぞ」",
"360000111_51": "「はい(だゾ)ッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,67 @@
{
"360000121_0": "「おいッ! わたしへの報告を放り投げて、\\n 国外逃亡とはいい度胸なワケダッ」",
"360000121_1": "「<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>風情に、まともなレポートなど――」",
"360000121_2": "「こちらでよろしくて?」",
"360000121_3": "「む……この内容は……ッ! 悪くないワケダ……」",
"360000121_4": "「マスターの任務を疎かにするということは、\\n マスターその人の名を貶めること」",
"360000121_5": "「私には、そのような真似はできませんッ!」",
"360000121_6": "「フン、その忠誠心のおかげで、\\n マスター並みの仕事をしてくれるワケダ」",
"360000121_7": "「しかし、そうなると……」",
"360000121_8": "「……………………」",
"360000121_9": "「鏡の中の自分を無言で睨みつけている\\n あいつが何をしているのか気になるワケダが」",
"360000121_10": "「あちらは、レポートを書かせたところ、\\n 余計な謎解きや暗号文を随所に盛り込んだため……」",
"360000121_11": "「書類自体を取り上げられた挙句に暇を持て余し、\\n 表情の研究に精を出しているガリィですわ」",
"360000121_12": "「なるほど、お前が妥当かつ懸命な判断を下したワケダ」",
"360000121_13": "「……いつもマスターに食って掛かるようなヤツへの\\n 報告書なんて、真面目に書けるかってんですよー」",
"360000121_14": "「おお? 何かわたしに\\n 言いたいことがありそうなワケダが」",
"360000121_15": "「……………………」",
"360000121_16": "「チッ、人形のフリでだんまりとは都合のいいヤツなワケダ」",
"360000121_17": "「フリも何も、私たちは元々人形なのですけど」",
"360000121_18": "「まあいい。\\n それで、あっちはどんな余計なことをしたワケダ」",
"360000121_19": "「む、む、く……」",
"360000121_20": "「うぅ……また失敗したゾ……」",
"360000121_21": "「あちらは、止められているのも聞かずに、\\n 書類に手を出して穴をあけてしまったので……」",
"360000121_22": "「まずはペンを持つ練習から始めることにしたミカですわ」",
"360000121_23": "「……お前も意外と苦労しているワケダ」",
"360000121_24": "「マスターほどではございません」",
"360000121_25": "「いや、むしろ、お前の方が上手に\\n 仕事をこなしている気さえしてくるワケダ」",
"360000121_26": "「キャロルの報告書は節々の言葉選びにトゲを混ぜ込んできて\\n 読む方をイラつかせるワケダし……」",
"360000121_27": "「お互い様だろ」",
"360000121_28": "「文句があるなら、はっきり言うべきなワケダが」",
"360000121_29": "「ガリィも少し虫の居所が悪いようなので、\\n 聞き流してくださいな」",
"360000121_30": "「フンッ! キャロルがこのまま二度と帰ってこなくとも、\\n お前がいれば大丈夫そうなワケダ」",
"360000121_31": "「……………………」",
"360000121_32": "「うん? お前たちのマスターに対する\\n 軽い挑発のつもりだったワケダが」",
"360000121_33": "「あなたの軽口は茶飯事ですので、\\n 逐一抗議することはございません」",
"360000121_34": "「ですが、あまりにも度が過ぎるようでしたら、\\n マスターに報告し、指示を仰ぐことになりましょう」",
"360000121_35": "「本当によくできた人形なワケダ」",
"360000121_36": "「わたしとて、キャロルのことは気に障るが、\\n その仕事っぷりまで否定はしないワケダ」",
"360000121_37": "「つまりお前たちも、マスターの名に恥じぬよう、\\n 懸命に働いてもらいたいワケダ」",
"360000121_38": "「相変わらずイヤなヤツですねー。\\n あんなのに下手に出るなんてどうかしてますよ」",
"360000121_39": "「私たちがマスターより託されたのは、\\n 任務の代行なのですわよ」",
"360000121_40": "「それを怠るようなことは、\\n 如何なる理由があっても容認できませんわ」",
"360000121_41": "「相変わらず真面目ですねぇ」",
"360000121_42": "「あなたが不真面目すぎるのよ。\\n マスターの顔に泥を塗るほどに」",
"360000121_43": "「……なんですって?\\n それは聞き捨てならないですよ」",
"360000121_44": "「キャロル……は、ああ、休暇中だったか。\\n 邪魔したな、出直すことにしよう」",
"360000121_45": "「いえいえ、マスターへの任務でしたら、\\n 主にそこのマジメチャンがお請けしますのでー」",
"360000121_46": "「ええ、そうですわね。\\n 私がしっかりこなせばいいだけのことですわ」",
"360000121_47": "「……何やら不穏な気配を感じるが、\\n そんな調子でキャロルの代わりが務まるのか」",
"360000121_48": "「ご心配なく。すでにいくつもの任務をこなしていますので」",
"360000121_49": "「そうですよー。イヤなヤツの依頼じゃなければ、\\n ガリィちゃんだってそれなりに働きますから」",
"360000121_50": "「……そうか。では、お前たち3人に頼むとしよう」",
"360000121_51": "「いいのカ?\\n あたしまだ、ペンを握るの成功してないゾ」",
"360000121_52": "「……何を言ってるのかわからないが、\\n むしろお前向きだろう。何やらキナ臭い任務だからな」",
"360000121_53": "「おッ、戦闘なのカ? それならあたしの出番だゾッ!」",
"360000121_54": "「……任務を説明する。場所は追って伝達するが、\\n ターゲットは、とある武装組織となる」",
"360000121_55": "「その組織は、どうやら錬金術師も集めているらしく、\\n 尋常ではない数のアルカ・イズを保有しているようなのだ」",
"360000121_56": "「お前たちの任務は、アルカ・ノイズの討伐及び\\n 施設の制圧となる」",
"360000121_57": "「制圧……ですか」",
"360000121_58": "「錬金術の研究をしているなら、設備や遺物もあるだろう。\\n 錬金術師との繋がりを示す証拠も押さえておきたい」",
"360000121_59": "「了解しましたわ。マスターに代わって\\n 完璧にこなしてみせましょう」",
"360000121_60": "「ただしお前たちもアルカ・ノイズに分解される危険性はある。\\n 数も多いので、油断せず協力して事に当たるように」",
"360000121_61": "「……ええ、可能な限り」",
"360000121_62": "「……ガリィちゃん、頑張りまーすッ!」",
"360000121_63": "「こういうことなら任せてほしいゾッ!」",
"360000121_64": "(協力と言った瞬間、空気が張り詰めた気がしたが、\\n 本当に任せて良かったのだろうか……"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,47 @@
{
"360000122_0": "「大人しく消えなさいッ!」",
"360000122_1": "「おおーッ! ファラ、すごいゾッ!」",
"360000122_2": "「ファラちゃんがほとんど全部やっちゃって……、\\n あたしらはついてこなくても良かったんじゃないですかね」",
"360000122_3": "「私たち3人でマスターの代わりを任されてるのだから、\\n ついてこないという選択肢はありませんわ」",
"360000122_4": "「はーい、わかりましたよーっと」",
"360000122_5": "「見つけたッ! あそこにもいるゾッ!」",
"360000122_6": "「う、うわッ、もうこんなところまで……」",
"360000122_7": "「とにかくアルカ・ノイズを放て放てッ!」",
"360000122_8": "「くッ、このままでは逃げられてしまう……。\\n ガリィ、足止めしてッ」",
"360000122_9": "「あーい」",
"360000122_10": "「なんだ……? アルカ・ノイズとの間に\\n 氷の壁ができたぞ」",
"360000122_11": "「よくわからんが、今のうちに撤退だッ!」",
"360000122_12": "「――あ、待ちなさいッ!」",
"360000122_13": "「ガリィッ! あなた一体なんのつもりッ!?」",
"360000122_14": "「えぇー? 言われた通り足止めしただけですけどぉ?\\n アルカ・イズの」",
"360000122_15": "「な……ッ!?\\n 止めるのは人間の方に決まってるじゃないッ」",
"360000122_16": "「よーし、今のうちにやっちゃうゾッ!」",
"360000122_17": "「そうそう、あたしたちの任務は、\\n アルカ・イズの討伐と施設の制圧ですからねぇ」",
"360000122_18": "「人間なんてどーでもいーし」",
"360000122_19": "「あいつらを捕らえられれば、大量のアルカ・ノイズの\\n 出どころを掴めたかもしれないじゃない」",
"360000122_20": "「正直に話すわけないでしょ。\\n 余計な仕事が増えるのはごめんですよー」",
"360000122_21": "「次は誰を倒せばいいんだゾ?」",
"360000122_22": "「今から追いかけるにも、\\n 建物の構造が込み入ってて……」",
"360000122_23": "「わかったゾッ! この壁が邪魔なのカッ!」",
"360000122_24": "「え、え……きゃあああああああッ!」",
"360000122_25": "「気づけば外に出てましたけど……、\\n あらぁ、もう人影ひとつなさそうねー」",
"360000122_26": "「よーし、他にも邪魔なものはどんどん壊すゾッ!」",
"360000122_27": "「待ちなさいッ!\\n なんでいきなり建物を破壊したのッ」",
"360000122_28": "「敵に追いつくには壁が邪魔だったんだゾ?」",
"360000122_29": "「このバカにしては、発想は悪くなかったんだけどねぇ。\\n ちょっと加減ができなかったみたいですね」",
"360000122_30": "「施設の制圧も任務の内だったのに、これでは……。",
"360000122_31": " 大体、ガリィが変な邪魔をしなければ――ッ!」",
"360000122_32": "「あたしは自分なりに仕事をしたつもりですよ?」",
"360000122_33": "「そもそも、あたしに命令できるのは\\n マスターだけなんですから。覚えておいてくださいね」",
"360000122_34": "「……もういいわ。あなたたちはもう帰って。\\n 私は後始末と報告をしておきますから」",
"360000122_35": "「はぁ、マジメチャンですねぇ。\\n ほらッ、ミカ、帰るわよ」",
"360000122_36": "「あたしも手伝うゾ」",
"360000122_37": "「本当に邪魔しないでッ!」",
"360000122_38": "「……わかったゾ」",
"360000122_39": "「まったく、どうしてあの子たちはこんな……」",
"360000122_40": "「え? 誰かが瓦礫の下敷きに……?」",
"360000122_41": "「なッ!? アルカ・ノイズがまだこんなに……ッ!\\n この数を人で相手するのはさすがにまずいかしら……」",
"360000122_42": "「いえ、ガリィとミカには頼りませんわッ!\\n マスターより授かったこのラピス・クォーターズで……ッ」",
"360000122_43": "「おお……力が溢れてきますわ……。\\n これが……ラピス……ッ」",
"360000122_44": "「もはや、負ける気がしませんわよッ!\\n 何体束になろうと、私人で十分ですわッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,88 @@
{
"360000131_0": "「よくやってくれた。施設は倒壊してしまったが、\\n 集めてくれた書類は重要な証拠となるだろう」",
"360000131_1": "「遺物のようなものも回収してきましたが、\\n こちらはどこに保管しておきましょうか」",
"360000131_2": "「そうだな……ひとまず地下の保管庫にしまっておいてくれ」",
"360000131_3": "「私はこれからプレラーティたちと別の任務があるので、\\n 急いで出なければならない。任せていいか」",
"360000131_4": "「ええ、確かに保管庫に収納しておきますわ」",
"360000131_5": "「では、また任務があれば頼むとしよう。",
"360000131_6": " ……ところで他の2人はどうした?」",
"360000131_7": "「あの2人は……いえ、問題ありませんわ。\\n どのような任務でも私が責任を持って果たしてみせますので」",
"360000131_8": "「念のため言っておくが、キャロルの代わりを務めるつもりなら、\\n しっかり人で協力することだ」",
"360000131_9": "「ええ、もちろんですわ」",
"360000131_10": "(その必要はありません。\\n 私が人で人分の働きをしてみせますから……",
"360000131_11": "「――♪ ――♪」",
"360000131_12": "「ガリィ、手伝う気がないのなら、\\n 出ていってくれませんか」",
"360000131_13": "「ナニナニ? 何もするなって言ったのは、\\n ファラちゃんじゃないですか」",
"360000131_14": "「何もしないというのなら、踊るのもやめてほしいですわね。\\n チラチラと視界に入って鬱陶しいから」",
"360000131_15": "「ふぅん、そうやってアレも追い出したんですか?」",
"360000131_16": "「アレ?」",
"360000131_17": "「窓の向こうでずーっと突っ立ってる、アレですよ」",
"360000131_18": "「ミカのことですか。\\n あの子のはそういう任務なのですわ」",
"360000131_19": "「ハァ?」",
"360000131_20": "「目視による外敵の見張りですわよ。\\n じっとしてくれてた方が安心でしょ」",
"360000131_21": "「まー、気持ちはわからなくもないですけどね」",
"360000131_22": "「どうせなら、あなたもミカの隣で見張りをしててくれると\\n 助かりますわ」",
"360000131_23": "「イヤですよー」",
"360000131_24": "「……けど、ここにいてもお小言ばっかでうっさいから、\\n お望み通り出ていってやりますか」",
"360000131_25": "「……やっぱり、私がしっかりしなくちゃ\\n いけないみたいですわね」",
"360000131_26": "「あー、ほんと面白くないッ!」",
"360000131_27": "「なんであたしが指図されるような形になってるのよッ!\\n 何か思い知らせてあげたいところだけど……」",
"360000131_28": "「あー、うん、そうだ。\\n クックック……」",
"360000131_29": "「異常ないゾ。",
"360000131_30": " けど、なさすぎて退屈だゾ……」",
"360000131_31": "「お前も変なとこで真面目ねぇ」",
"360000131_32": "「おッ、ガリィ、一緒に見張るゾ」",
"360000131_33": "「いいですよ~。ただし、あたしが見張るのは、\\n 外側じゃあないけどねぇ」",
"360000131_34": "「あのマジメチャンが怠けるところ見つけて、\\n 二度とエラソーなこと言えないようにしてやるわ」",
"360000131_35": "「けど……」",
"360000131_36": "「うわ、マジであいつサボりませんね……」",
"360000131_37": "「見張りはいいのカ?」",
"360000131_38": "「飽きた。\\n あたしの代わりにお前がファラちゃんのことを見ときな」",
"360000131_39": "「わかったゾ」",
"360000131_40": "「おッ、ファラが動いたんだゾッ!」",
"360000131_41": "「へー、正直興味も薄れてきたけど、何をしてる?」",
"360000131_42": "「もう部屋から出ていったんだゾ。\\n もしかして新しい任務なのカ」",
"360000131_43": "「ふぅん……任務、ねぇ」",
"360000131_44": "「ファラちゃんに任せておけば1人で片付けるだろうが、\\n さっきのお返しに、からかいにでも行きましょうかね」",
"360000131_45": "「あたしも行くゾッ!」",
"360000131_46": "「まさか、錬金術師協会内に\\n 何者かが侵入した形跡があるとは……」",
"360000131_47": "「先ほどの収納したばかりの遺物を\\n 取り戻しにきたのかしら」",
"360000131_48": "「幹部も出払っているし、ここは私がしっかりと\\n マスターの代わりを果たさなければなりませんわね」",
"360000131_49": "「あらあら、真面目な真面目なファラさんは、\\n まぁた新しい任務にご執心」",
"360000131_50": "「あたしも手伝うゾ」",
"360000131_51": "「いいえ、任務ではありませんので気になさらず。\\n あなたたちには引き続き見張りをお願いいたしますわ」",
"360000131_52": "「あら? 任務じゃないんですか?\\n それなら一体どこへ行こうというのかしら サボリ」",
"360000131_53": "「気にしないでと言ったのが聞こえませんでしたか?」",
"360000131_54": "「いいですよ、サボリならサボリと言っても。\\n ガリィちゃんは、黙っててあげますから」",
"360000131_55": "「……時間の無駄ね。\\n 私はもう行くから、好きにすればいいわ」",
"360000131_56": "「はーい、サボリっぷりを存分に観察させてもらいまーす」",
"360000131_57": "「あたしも一緒に行くんだゾ」",
"360000131_58": "「侵入者の形跡を追ってきたら、こんなところに……。\\n どうやら当たりのようですわね……」",
"360000131_59": "「結局、侵入者探しですか。面白くもなんともないですよ」",
"360000131_60": "「だからついてこなくていいと言ったのに」",
"360000131_61": "「ん……でも、この先は確か保管庫……でしたっけ?」",
"360000131_62": "「おおッ、楽しそうだゾッ!」",
"360000131_63": "「うーむ……さっきの反応……、\\n やはり、結界の解除に失敗したのでは……」",
"360000131_64": "「はッ、誰か来るッ!?\\n 隠れなければ……ッ」",
"360000131_65": "「ふむ、荒らされた様子は……、\\n 元から荒れているからわかりませんわね」",
"360000131_66": "「これじゃ、どこかに侵入者が隠れていたとしても――」",
"360000131_67": "「お宝探しだゾーッ!」",
"360000131_68": "「なッ、ちょっと待ちなさいッ!\\n 何をするつもりですか」",
"360000131_69": "「探し物があるんでしょう? 手伝ってあげますよ」",
"360000131_70": "「その手に持っている鍵束は何?」",
"360000131_71": "「さっきそこで拾ったんです。\\n きっと面白いお宝でも眠っているに違いないですよ」",
"360000131_72": "「ふざけないでッ!\\n 邪魔するつもりなら、今すぐ立ち去りなさいッ」",
"360000131_73": "「邪魔にはなってないと思いますよ。\\n 侵入者もお宝も、探すという意味では一緒ですし」",
"360000131_74": "「それに、あたしはあたしで、あなたはあなたで、\\n 互いにしたいことをしてればいいんじゃないですか」",
"360000131_75": "「……いいですわ。私は1人でも何も問題ありませんから」",
"360000131_76": "「おッ! この奥にお宝がありそうだゾッ!」",
"360000131_77": "「あッ……」",
"360000131_78": "「侵入者ッ!?\\n やはりここに隠れていたんですわねッ」",
"360000131_79": "「クソッ! こうなれば仕方ない……ッ!」",
"360000131_80": "「はぁ……あのバカ、面倒なものを見つけやがって」",
"360000131_81": "「面倒だと言うのなら、休んでいて構いませんわ。\\n この程度の相手、私だけで十分ですから」",
"360000131_82": "「はーい、それじゃガリィちゃんは休ませてもらいまーす」",
"360000131_83": "「よーし、あたしがみんな倒しちゃうゾーッ!」",
"360000131_84": "「話が通じてないやつが1人いますね。\\n まあ、好きにすればいいですけど……」",
"360000131_85": "「いきますわよッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,31 @@
{
"360000132_0": "「最後はあなたですわよッ!」",
"360000132_1": "「ぎゃああああ――」",
"360000132_2": "「やれやれ、これで全部?」",
"360000132_3": "「もう他に敵は見当たらないんだゾ?」",
"360000132_4": "「どうやら、そのようですわね。\\n これで無事に侵入者の件は片付きましたが……」",
"360000132_5": "「じゃ、いいわ。あたし、もう帰るんでー」",
"360000132_6": "「待ちなさい。この荒れっぷりを放置していく気ですか?\\n ここを片付けるから、手伝ってください」",
"360000132_7": "「なんであたしが片付けなんかしなきゃならないんですか?\\n そもそも、ここは元から荒れまくってたじゃないですか」",
"360000132_8": "「あなたたちが暴れたせいで、ここまで酷くなったんですわ」",
"360000132_9": "「せっかく気まぐれで手伝ってあげたっていうのに、\\n この言われようはあんまりじゃないですか」",
"360000132_10": "「ミカはともかく、ガリィは適当に攻撃して、\\n 周りを荒らしていたようにしか見えませんでしたわ」",
"360000132_11": "「そうだゾッ! 全然、違う方に攻撃してたゾッ!」",
"360000132_12": "「チッ、こいつバカのくせに意外と目ざといわね……。\\n お前だって派手な攻撃で周りを荒らしてただろッ」",
"360000132_13": "「要するに2人とも責任があるのだから、\\n 片付けを手伝ってもらいますわ」",
"360000132_14": "「あれ~? でも、さっきはなんでも1人でやるって\\n 言ってませんでしたっけ」",
"360000132_15": "「それは任務のことですわ。\\n 掃除するなら、人手は多い方がいいですから」",
"360000132_16": "「あたしは手伝うゾッ!」",
"360000132_17": "「ミカは……いえ、やっぱり厚意だけ受け取っておくわ」",
"360000132_18": "「それじゃお許しが出たということで、お疲れさまでーす」",
"360000132_19": "「あッ! ガリィ、あなたは――」",
"360000132_20": "「ファラ……ごめんなさいだゾ……」",
"360000132_21": "「はぁ、仕方ないわね……。\\n 片付けは後にして、先に侵入者を連れ出しましょうか」",
"360000132_22": "「ふぅ、危ない危ない……。\\n どうにか見つからずに済んだな……」",
"360000132_23": "「しかし、あいつらが好き放題に暴れるから、\\n そこら中に遺物が飛び散ってるじゃねぇか……」",
"360000132_24": "「まあ、おかげで鍵を使う必要もなさそうだし、\\n さっさと目的のブツを見つけて退散するか……」",
"360000132_25": "「ん? なんの音……」",
"360000132_26": "「な、なんだ……これはッ!\\n 聖遺物が合体して……」",
"360000132_27": "「オオオオッ!」",
"360000132_28": "「ぎゃああああ――」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,28 @@
{
"360000211_0": "孤独なファラ",
"360000211_1": "「結局、特に面白いこともなかったですねー。\\n さて、これから何して暇をつぶしましょうか」",
"360000211_2": "「あたしは、また見張りをするんだゾ」",
"360000211_3": "「お前には聞いてねぇよッ!」",
"360000211_4": "「あ、ファラちゃんは、手伝ってほしいことがあれば、\\n いつでも言ってくださいね」",
"360000211_5": "「あなたたちに頼むことは何もありませんわ。\\n 人の方がよほど効率的ですから」",
"360000211_6": "「あっそ、それじゃ好きにしてください」",
"360000211_7": "「まったく、荒らすだけ荒らして……」",
"360000211_8": "(そういえば、保管庫はどうしましょうか。\\n さすがにあのまま放置するのはまずい気が……",
"360000211_9": "「やはり、片付けておくべきですわね」",
"360000211_10": "「はぁ……また報告書を書かなくてはなりませんね。\\n 部屋の片付けくらい手伝わせれば良かったかしら……」",
"360000211_11": "「いえ……やめておいた方がいいですわね。\\n どうせまた宝探しを始めて――」",
"360000211_12": "「ッ! なんだか怪しげな気配がしますわ。",
"360000211_13": " まさか、またアルカ・ノイズが……?」",
"360000211_14": "「た、助けてくれッ!」",
"360000211_15": "「あなたはッ!?\\n もしかして、さっき捕まえた賊の――」",
"360000211_16": "「ああ、仲間だよッ! 2人で組んで侵入したんだッ!\\n ほら、白状したから助けてくれッ」",
"360000211_17": "「助けてくれって、一体なんの話をしているのですか?」",
"360000211_18": "「あの化物だ――」",
"360000211_19": "「ッ!!」",
"360000211_20": "「うわあああ――ッ!」",
"360000211_21": "「こ……これは……」",
"360000211_22": "「た……」",
"360000211_23": "「助けて……」",
"360000211_24": "「オオオオオオオオッ!」",
"360000211_25": "「来るッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,55 @@
{
"360000212_0": "「オオッ! オオオオッ!」",
"360000212_1": "「くッ……ぐぐッ……、\\n この化物……一体何者なの……ッ」",
"360000212_2": "「聖遺物だ……」",
"360000212_3": "「お前ッ! 生きているのッ!?」",
"360000212_4": "「なんとか……次第に身体の感覚が無くなってきてるが……、\\n た、頼む……助けてくれ……」",
"360000212_5": "「じゃあ今の内に、そいつが何者なのか説明なさいッ!」",
"360000212_6": "「俺たちは、励起したまま封印されてる聖遺物があると知り、\\n 奪いに来たのだ……」",
"360000212_7": "「錬金術を利用する武装組織にカネで雇われ……」",
"360000212_8": "「武装組織? まさかそれはこの前の……」",
"360000212_9": "「しかし目的のブツはすでに封印の箱から飛び出していて……、\\n 周りの遺物を取り込み、このような形に……」",
"360000212_10": "「それでは、この化物は、\\n 偶然生まれたって言うんですか」",
"360000212_11": "「オオオッ!」",
"360000212_12": "「周りの遺物……聖遺物を次々と食らっていく……、\\n いわば『アーティファクトイーター』……」",
"360000212_13": "「オオ……ッ!」",
"360000212_14": "「確かに……そう形容するのに相応しく、\\n 周りの聖遺物を食い荒らしてますわね」",
"360000212_15": "「――って、急にこっちにッ!?」",
"360000212_16": "「オオオッ! オオオッ!」",
"360000212_17": "「くッ……先ほどよりも力が増していますわ……。\\n 遺物を食って力を得ているのか――ッ」",
"360000212_18": "「オオ……オオオッ!」",
"360000212_19": "「どうやら私も食らいたいようですが……、\\n やられるわけがありませんわ――」",
"360000212_20": "「このラピス・クォーターズがある限りッ!」",
"360000212_21": "「オオオーーッ!! オオッ! オオッ!」",
"360000212_22": "「興奮している……?」",
"360000212_23": "「コイツは力を持つ遺物を食って……成長するのだ……。\\n 知性はなく、本能のまま動いている……」",
"360000212_24": "「そうであれば、このラピス・クォーターズは\\n 上等の料理になりますわね……けど――」",
"360000212_25": "「マナーも知らない化物はお断りですわッ!」",
"360000212_26": "「――ッ! バ……バケ……」",
"360000212_27": "「……え?」",
"360000212_28": "「オオオーーッ!」",
"360000212_29": "「あ……あ……あああ……」",
"360000212_30": "「あの人間が……どんどん取り込まれて……」",
"360000212_31": "「あぁぁ…………」",
"360000212_32": "「オオオーーッ!」",
"360000212_33": "「――くッ、なんて馬鹿力なのッ!\\n 長引くほど不利になりそうね……」",
"360000212_34": "「ウ……ゴゴ……ッ!」",
"360000212_35": "(ここは一旦退くべき……?\\n いえ、早めに叩かねば後々厄介なことになるわね",
"360000212_36": "(何より……退いたところでどうなるというの?\\n 私は人でも戦えるし、実際それだけの力があるッ",
"360000212_37": "「この程度の化物、新たに得たこの力で、\\n 容易くひねって差し上げますわッ」",
"360000212_38": "「ウゴオオォッ!?」",
"360000212_39": "「そろそろ、フィナーレといたしましょう」",
"360000212_40": "「ウゴ……ウゴゴ……ッ!」",
"360000212_41": "「フ、向こうの攻撃自体は単調なもの。\\n あとは、こちらの火力で押し切れば……」",
"360000212_42": "「ぐッ――アルカ・ノイズッ!? このッ!」",
"360000212_43": "「アルカ・ノイズがどうして……ハッ」",
"360000212_44": "「オオオーーッ!」",
"360000212_45": "「しま……ッ!」",
"360000212_46": "「ユ、ユユ……油断したな……」",
"360000212_47": "「なッ!? 言葉を話せるの?」",
"360000212_48": "「食ったものから言葉を……知性を――オオオーーッ!」",
"360000212_49": "「まさか……あの錬金術師を食ったことで、\\n 知性を得たということ……」",
"360000212_50": "「バカなフリで……お前、騙されたな……。\\n ク、クク、ククク……」",
"360000212_51": "「私としたことが……、\\n まさか、こんな化物に裏をかかれるなんて……」",
"360000212_52": "「申し訳ありません……マスター……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,52 @@
{
"360000221_0": "「……………………」",
"360000221_1": "「マスター、カクテルジュースはいかがでしょうか」",
"360000221_2": "「もらおう」",
"360000221_3": "「……………………」",
"360000221_4": "「……よし」",
"360000221_5": "「研究室に帰るか」",
"360000221_6": "「マスターッ!?」",
"360000221_7": "「やはり、こういうのはオレの性に合わん。\\n 時間を無駄にしているようにしか感じられない」",
"360000221_8": "「それに、オレのいない間に\\n 大きな事件が起こらないとも限らないからなッ」",
"360000221_9": "「なりません、マスター。\\n せっかくファラたちがお膳立てしてくれたのです」",
"360000221_10": "「その想いを裏切るようなことをするのは、\\n たとえマスターであっても派手に反対します」",
"360000221_11": "「彼女たちを信じてくださいッ!」",
"360000221_12": "「確かに……ラピス・クォーターズも渡してある」",
"360000221_13": "「ならば、ファラたちも大丈夫に違いない。\\n 信頼してやるのがマスターとしてのオレの務めか……」",
"360000221_14": "「それに、帰りの便も決まっているしな」",
"360000221_15": "「マスター……ありがとうございます……ッ!」",
"360000221_16": "「……もうすぐダンスショーの時間だったな。\\n 行くぞ、レイアッ」",
"360000221_17": "「はいッ!」",
"360000221_18": "「なんだ?」",
"360000221_19": "「大変申し訳ございません、お客様ッ!」",
"360000221_20": "「いえいえ、私は大丈夫だから。\\n けど……食器の方が残念だったわね」",
"360000221_21": "「せっかく綺麗な緑色のお皿でしたのに」",
"360000221_22": "「緑……ファラ……」",
"360000221_23": "「ん? 何か気になることでもあるのか?」",
"360000221_24": "「い、いえ……何も問題はありません。\\n そろそろ会場へ向かいましょう」",
"360000221_25": "「失礼いたします。\\n ダンスショー観覧をご予約のお客様でしょうか」",
"360000221_26": "「そうだが、何かあったのか?」",
"360000221_27": "「大変申し訳ありません。本日、フラメンコのダンサーの\\n 調子が悪く、ショーは中止とさせていただくことになりました」",
"360000221_28": "「そうか。まあ、それほど見たかったわけでもないし、\\n オレは構わんぞ」",
"360000221_29": "「フラメンコのダンサーの調子が悪いだと?\\n またファラの……」",
"360000221_30": "「ファラに何かあったのか?」",
"360000221_31": "「いえ、何もありませんッ! マスターは何も気にせず、\\n お休みになられてください」",
"360000221_32": "「ああ、わかっている。\\n オレは、休むためにこの地へ来たんだ」",
"360000221_33": "「それにしても、ここは暑くないか?」",
"360000221_34": "「申し訳ございません。現在、このフロア全体で\\n 送風機が止まってしまっている状況でして……」",
"360000221_35": "「風が止まる……?」",
"360000221_36": "「原因は調べているところでして……、\\n 復旧まではお客様の自室にお戻りいただければと……」",
"360000221_37": "「それなら仕方ない。じゃあ、戻るとするぞ」",
"360000221_38": "(緑の皿、フラメンコのダンサー、そして風。ファラを連想\\n させるものに、こうも立て続けに不吉なことが起きると……",
"360000221_39": "「レイア、聞いているのか?」",
"360000221_40": "「え……あ、はい……」",
"360000221_41": "「ぼうっとしてるようだが、大丈夫か?」",
"360000221_42": "「も、問題ありませんッ!\\n ファラもきっと大丈夫かとッ」",
"360000221_43": "「ん? ファラのことなど話していないぞ」",
"360000221_44": "「あッ! いえ、その……少し気になったもので……。\\n ですが、ファラたちはしっかり任務をこなしてるはずですッ」",
"360000221_45": "「オレも先ほどは信頼すると言った手前、\\n 今さら何か言うつもりはない」",
"360000221_46": "「今回は全てあいつらに任せるッ!\\n オレは意地でも帰らないからな」",
"360000221_47": "「そ、そうですよね。たとえファラたちが心配でも、\\n 帰るべきではありませんよね……」",
"360000221_48": "「…………」",
"360000221_49": "「ところでマスター、地味に相談があるのですが……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,57 @@
{
"360000311_0": "ガリィとミカの反省",
"360000311_1": "「外を見てても、ずっと何も起こらないゾ……。\\n あたし、いつまでこうしてればいいんダ……」",
"360000311_2": "「おい、ファラちゃんのこと見なかったか?」",
"360000311_3": "「あッ! そういえば……見てないゾ」",
"360000311_4": "「……チッ、どこ行ったんだか」",
"360000311_5": "「せっかくサボリの証拠現場を押さえて\\n 責め立ててやろうと思ったのに」",
"360000311_6": "「ファラがサボるなんて想像できないゾ」",
"360000311_7": "「じゃあ、なんでどこにもいないんだよ?\\n 任務に出たって話も聞いてないのに」",
"360000311_8": "「まさかの家出だゾッ!?」",
"360000311_9": "「んなワケあるかッ!」",
"360000311_10": "「……どーせ、あたしたちに黙って任務に出たんでしょ。\\n クソマジメチャンのことだから」",
"360000311_11": "「まさかッ! あたしたちがサボってるって\\n アダムにチクリに行ったんじゃ……」",
"360000311_12": "「あたしは、ちゃんと見張りしてたゾ。\\n サボってるのはガリィだけダロ」",
"360000311_13": "「あんただってサボってんのと変わんないのよッ!」",
"360000311_14": "「とにかく探すのよッ! 勝手に妙な報告されたんじゃ\\n こっちはたまったものじゃないわッ」",
"360000311_15": "「うーん、この部屋の様子を見る限り、\\n ファラちゃんは戻ってないみたいだけど……」",
"360000311_16": "「それじゃあ、ここで待つことにするゾ」",
"360000311_17": "「うん? 机の上にあるのは……」",
"360000311_18": "「報告書だゾ。たくさんあるゾ」",
"360000311_19": "「調査に、護衛に……そして、その結果の報告書作成。\\n ほーんと、マメねぇ」",
"360000311_20": "「これを、全部ファラ1人でやってたんだゾ」",
"360000311_21": "「はいはい、すごいわね」",
"360000311_22": "「とりあえず、この報告書を提出して、\\n あたしが仕事をしてることもアピールしておきましょうか」",
"360000311_23": "「ガリィは何もしてないのに、ズルい気がするんだゾッ!」",
"360000311_24": "「お前だって何もしてないことになってるんだからなッ!」",
"360000311_25": "「やあ、奇遇だね」",
"360000311_26": "「その声は……ゲゲッ!?」",
"360000311_27": "「おかしいね、その反応は。\\n どうしたのかな、もう人の<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>は」",
"360000311_28": "「実は、あたしたちも探してるんだゾ」",
"360000311_29": "「バカ……ッ!」",
"360000311_30": "「ほう……あったのかな、トラブルでも」",
"360000311_31": "「そんなわけないですってばーッ!\\n もう、ミカちゃんてばメモリ異常」",
"360000311_32": "「……………………」",
"360000311_33": "「行かなくていいのかな、君たちは任務に」",
"360000311_34": "「それは……作業分担ですよ、分担ッ!」",
"360000311_35": "「あたしたちは報告書作成のために残っただけですよ。\\n ほら、これこれッ」",
"360000311_36": "「ふむ……ふむ……なるほど。\\n こなしているようだね、しっかりと任務を」",
"360000311_37": "「聞いているよ、君たちの仕事ぶりについては。\\n 頼まれたんだ、感謝を伝えてほしいと」",
"360000311_38": "「へ……?」",
"360000311_39": "「こなしてくれたそうじゃないか、面倒な任務も。\\n 積極的に赴いてくれたそうだね、各協会支部にも」",
"360000311_40": "「そ、そうですねぇ……。\\n いろいろと苦労した任務もありましたけど……」",
"360000311_41": "「苦労した任務なんてあったのカ?」",
"360000311_42": "「お前は少し黙ってろッ!」",
"360000311_43": "「あッ、そういえばまだ任務が残ってたの思い出しました。\\n そろそろ行かないといけませんねー」",
"360000311_44": "「置いてかないでほしいゾッ!」",
"360000311_45": "「ファラは1人でいろんな任務をしていてすごいんだゾッ!」",
"360000311_46": "「あたしたちの知らないところで、\\n 好き勝手してたなんてね……」",
"360000311_47": "「やってもいないことで感謝を伝えられるなんて、\\n どうも気分が良くないわね……。本人に言えばいいってのに」",
"360000311_48": "「でもファラは見つからないんだゾ。\\n どこに行っちゃったんダ」",
"360000311_49": "「やっぱり家出しちゃったのカ……?」",
"360000311_50": "「……最後に見たのはいつだっけ?\\n えーと、えーと……」",
"360000311_51": "「一緒にお宝探しをした時だゾッ!」",
"360000311_52": "「まさか、1人で掃除しに行ったんじゃないでしょうねッ!」",
"360000311_53": "「さすがファラ、偉いんだゾ」",
"360000311_54": "「チッ……これ以上やってもいないことで\\n 礼を言われるのは勘弁よッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,51 @@
{
"360000321_0": "「……保管庫の方から、\\n 何やら妙な気配を感じるわね」",
"360000321_1": "「ファラがいるんじゃないのカ?」",
"360000321_2": "「そうだといいけど",
"360000321_3": " ――これはッ!?」",
"360000321_4": "「布切れが落ちてるゾ」",
"360000321_5": "「バカッ! ただの布じゃないだろッ!\\n よく見ろよッ」",
"360000321_6": "「うーん……見てるとなぜかファラを思い出すゾ」",
"360000321_7": "「そうだよッ! これはファラちゃんの服の切れ端だッ!」",
"360000321_8": "「なんでこんなところに落ちてるんダ?」",
"360000321_9": "「……もしかしたら、\\n まずいことになってるのかもしれないわねッ」",
"360000321_10": "「なッ!? 何よ、あいつはッ!」",
"360000321_11": "「オオッ……グオ……オオ……」",
"360000321_12": "「なんか食べてるのカ?\\n でも、こんな奴初めて見る気がするゾ」",
"360000321_13": "「当たり前だろッ!\\n ……この化物、一体どこから湧いてきたのよ」",
"360000321_14": "「ク、グ、クゥ……」",
"360000321_15": "「ファラちゃんッ!?」",
"360000321_16": "「大丈夫カッ!?」",
"360000321_17": "「こいつは……アーティファクトイーター……。\\n 周囲の物品や生物を食らう化物……」",
"360000321_18": "「数多くの聖遺物も取り込んで、\\n こんな姿に……」",
"360000321_19": "「気をつけて……こいつ……、\\n 人間を人取り込んだことで、知恵をつけ――」",
"360000321_20": "「ファラッ!?」",
"360000321_21": "「クク……ククク……、\\n また美味そうな人形がやってきおったわ」",
"360000321_22": "「喋った? 言葉も話せるんですか……」",
"360000321_23": "「こいつの狙いはラピス・クォーターズ……。\\n 絶対に渡してはいけない……ッ」",
"360000321_24": "「黙っておれッ!」",
"360000321_25": "「くぁッ!」",
"360000321_26": "「まったく、大人しく吸収されておればよいものを、\\n いつまでも抵抗しおってからに」",
"360000321_27": "「――ッ! この化物が……」",
"360000321_28": "「しかし、まあ……ククク。コイツが1人で\\n 向かってくる身の程知らずで助かったぞ」",
"360000321_29": "「一度に3つは食えんからな。グフ、グフフ……」",
"360000321_30": "「ファラは身の程知らずなんかじゃないゾッ!」",
"360000321_31": "「ならば、なぜ1人きりで無謀な戦いに挑んだ?」",
"360000321_32": "「それは……」",
"360000321_33": "(1人で戦うことになったのは、\\n あたしたちのせいでもあるんでしょうけど……",
"360000321_34": "「まあ、良かろう。逃げられてはもったいない。\\n その足くらいはもいでおくか」",
"360000321_35": "「誰が逃げるですって?」",
"360000321_36": "「この女も逃げようとしてたんだぞ。\\n だが、逃げることすらできなかった……クク」",
"360000321_37": "「お前、ファラのことを笑ってるのカ……?」",
"360000321_38": "「ファラというのか、この無責任で無謀なバカの名前は」",
"360000321_39": "「…………」",
"360000321_40": "「……いろいろありましたけど、さすがにお前みたいな奴に\\n 侮辱されると腹が立ちますね」",
"360000321_41": "「ん? 何か言いたいことでもあるのか?」",
"360000321_42": "「確かに、あたしは彼女に任務を任せきりにして、\\n サボってましたけど……」",
"360000321_43": "「嫌いだからやってたわけじゃないんですッ!」",
"360000321_44": "「ファラは大切な仲間なんだゾッ!」",
"360000321_45": "「お前みたいな奴に、傷つけられて笑ってられるほど、\\n あたしの性根は腐りきってませんよッ」",
"360000321_46": "「急に声を荒げてどうした?\\n 怖いのか 怖いならお前たちも逃げていいんだぞ」",
"360000321_47": "「チッ、会話にならない……。\\n いえ、もう話す必要はないですね」",
"360000321_48": "「お前を倒してファラを助け出すんだゾッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,29 @@
{
"360000322_0": "「ええい、ちょこまかと。\\n 大人しく食われないかッ」",
"360000322_1": "「はーい、残念でしたー」",
"360000322_2": "「おのれ……ッ!」",
"360000322_3": "「はいはい、鬼さん、手の鳴る方へ」",
"360000322_4": "「オオオーーッ!!」",
"360000322_5": "「こいつをひらりとよけてっと……」",
"360000322_6": "「オオオッ……オオ……」",
"360000322_7": "「よーし、ドテッ腹に乱れ打ちだゾッ!\\n だゾだゾだゾだゾだゾだゾだゾだゾーッ」",
"360000322_8": "「オゴゴゴ……オゴッ、オゴッ……、\\n ウゴォェッ」",
"360000322_9": "「あの化物の中から、ファラが出てきたゾッ!」",
"360000322_10": "「それを確保してっと……、\\n よしッ、一旦退くよッ」",
"360000322_11": "「了解だゾッ!」",
"360000322_12": "「う……うぅ……」",
"360000322_13": "「しっかりするんだゾ」",
"360000322_14": "「とりあえず部屋に戻って休ませましょうか。\\n あ、それとも報告をした方が――」",
"360000322_15": "「オオオーーッ!! 逃がさぬ逃がさぬッ!\\n 逃がさぬぞオオォォ……ッ」",
"360000322_16": "「想像以上に頑丈……。\\n このまま戦うのは少し厳しいですね」",
"360000322_17": "「まあ、とりあえず逃げましょうか」",
"360000322_18": "「いえ、逃げませんわ……ッ!」",
"360000322_19": "「ちょっと、何言ってんのッ!?\\n ファラちゃんは戦える状態じゃないじゃないッ」",
"360000322_20": "「退いた方がいいゾ。まずは安全なところに避難だゾ」",
"360000322_21": "「ここで退いては、協会の方々にご迷惑をかけてしまう……。\\n それは、マスターの名に傷をつけるということッ」",
"360000322_22": "「チッ、相変わらずのクソマジメね」",
"360000322_23": "「けど……今はそんな余裕は無いんです。\\n ほら、お前がファラちゃんをかつぐんだよッ」",
"360000322_24": "「ああ、人をかついで運ぶのは得意だから、\\n 任せてほしいんだゾッ」",
"360000322_25": "「不甲斐ありませんわ……」",
"360000322_26": "「オオオーーッ!!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,37 @@
{
"360000411_0": "レイアの決断",
"360000411_1": "「オオオーーッ!」",
"360000411_2": "「まったく、しつこいったらないですねーッ!」",
"360000411_3": "「ちょこざいなッ!」",
"360000411_4": "「チッ、あんまり効いてないわね」",
"360000411_5": "「協会の中でおいかけっこなんだゾ」",
"360000411_6": "「何をちょっと楽しんでんのよッ!」",
"360000411_7": "「オオオーーッ!!」",
"360000411_8": "「ぐッ――、これはまともに食らったらまずいですね……」",
"360000411_9": "「あたしに任せるんだゾッ!」",
"360000411_10": "「フンッ、ぬるいわああぁ――、\\n オオオォォッ」",
"360000411_11": "「おおっとだゾ」",
"360000411_12": "「オオオ……オオ……ッ!」",
"360000411_13": "「クク、バーカ。\\n 今のうちに距離を取りますよッ」",
"360000411_14": "「わかったんだゾッ!」",
"360000411_15": "「私も、もう自分で動けますから……ッ!」",
"360000411_16": "「オオオッ! どこ行ったーッ!\\n オレの餌どもオオッ」",
"360000411_17": "「ここまで声が響いてくるゾッ!」",
"360000411_18": "「本当に元気ですね……。こっちの攻撃も通じてない\\n みたいですし、本格的にまずいかも……」",
"360000411_19": "「けれど、このままにしておくわけには……」",
"360000411_20": "「……くッ!?」",
"360000411_21": "「あなたはもう少し休んでいた方がいいんじゃないですか?」",
"360000411_22": "「あいつの相手はあたしたちに任せるんだゾ」",
"360000411_23": "「……我ながら、不甲斐ないわ」",
"360000411_24": "「マスターの代わりにこなさねばならない任務は\\n まだまだあるのに……」",
"360000411_25": "「この失態、マスターになんと詫びれば……」",
"360000411_26": "「…………」",
"360000411_27": "「ファラ……」",
"360000411_28": "「あなただけが悪いわけじゃ――」",
"360000411_29": "「見つけた――オオオーーッ!!」",
"360000411_30": "「チッ、意外と早かったッ!」",
"360000411_31": "「オオオ――オオーッ!」",
"360000411_32": "「これ以上は逃げられませんわッ!」",
"360000411_33": "「死なばもろともってやつですかねー」",
"360000411_34": "「本気でやってやるんだゾッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,80 @@
{
"360000412_0": "「私が責任を持って倒してみせますわッ!」",
"360000412_1": "「こんな攻撃、効かぬわッ!\\n オオオ――ッ」",
"360000412_2": "「ぐッ! うぅ……」",
"360000412_3": "「ファラッ! 大丈夫なのカッ!?」",
"360000412_4": "「ええ、どうにか……」",
"360000412_5": "「あたしたちに任せて休んでた方がいいんだゾッ!」",
"360000412_6": "「さすがは聖遺物を食いまくる化物ですね……。\\n それにしても、少々しつこくないですか」",
"360000412_7": "「グフ、グフ、グフ……。\\n キサマらの中にある巨大な力……逃してなるものか」",
"360000412_8": "「私たちの……そうかッ! ラピス・クォーターズよッ!\\n やはり、あいつの狙いはそれなんですわ……ッ」",
"360000412_9": "「マスターからいただいたアレですか。\\n 使うタイミングをすっかり逃してしまいましたけど……」",
"360000412_10": "「ガリィ、やるなら今しかないゾッ!」",
"360000412_11": "「お前なんかに言われなくてもわかってるッ!」",
"360000412_12": "「……え? なんでッ!?」",
"360000412_13": "「レイアみたいになれてないゾッ!」",
"360000412_14": "「オオオ――ッ!」",
"360000412_15": "「うわああああああッ!?」",
"360000412_16": "「弱いな……。\\n そこの緑は人でも、もう少し粘ったぞ……」",
"360000412_17": "「くッ……なんですって、この……」",
"360000412_18": "「うぅ……失敗だったのカ……」",
"360000412_19": "「2人とも、大丈夫ッ!?」",
"360000412_20": "「ええ……まだ死にはしませんよ」",
"360000412_21": "「だけど、結構キツいんだゾ……」",
"360000412_22": "「……そうでしょうね。でも、諦めてはダメですわ」",
"360000412_23": "「ラピス・クォーターズを使えるようになるまで、\\n 何度も挑戦するのよッ」",
"360000412_24": "「なかなか酷なことを言いますね……」",
"360000412_25": "「何をするつもりか知らないが、\\n 大人しく見てるとでも思うのか」",
"360000412_26": "「少しの時間くらいなら私でも稼げる。\\n だから、あなたたちの手で……」",
"360000412_27": "「ファラ、無理しちゃダメだゾッ!」",
"360000412_28": "「あなただって、あと一撃も\\n 耐えられそうにないじゃないですかッ」",
"360000412_29": "「それでも、この局面を打破するには、\\n あなたたちがラピス・クォーターズを使いこなすしか――」",
"360000412_30": "「だけど、どうすればできるのかわからないんだゾ……」",
"360000412_31": "「何かが足りないんでしょうけど……」",
"360000412_32": "「ククク……もう終わらせてやるッ!」",
"360000412_33": "「来るなら来なさいッ! 2人は私が必ず護って――」",
"360000412_34": "「クオオオオオオッ!!」",
"360000412_35": "「ファラアアッ!」",
"360000412_36": "「グオオオオ――オオ……ォォ……」",
"360000412_37": "「えッ……何が……?」",
"360000412_38": "「派手に苦戦しているようだな」",
"360000412_39": "「レイアッ!?」",
"360000412_40": "「急に現れてファラちゃんを護るなんて、\\n タイミング良すぎじゃないですか」",
"360000412_41": "「でも、あなたはマスターと共に\\n リゾート地に旅行に行っていたはずでは……」",
"360000412_42": "「マスターも帰ってきたのカッ!?」",
"360000412_43": "「案ずることはない。戻ってきたのは私だけだ。\\n マスターには派手に休暇を謳歌していただいている」",
"360000412_44": "「どうにも、お前たちのことが気になってな。\\n マスターから許可をいただき、人で戻ってきたんだ」",
"360000412_45": "「ところでマスター、地味に相談があるのですが……」",
"360000412_46": "「好きにしろ」",
"360000412_47": "「え……? それはどういう意味でしょうか?」",
"360000412_48": "「オレは意地でもここを動かないと決めた。\\n それはファラたちを信頼し、好きにさせるためだ」",
"360000412_49": "「もちろん、お前のことも信頼しているし、\\n 何か気になることがあるなら、好きにすればいい」",
"360000412_50": "「マスター……ありがとうございますッ!」",
"360000412_51": "「そういうことだったんですのね……」",
"360000412_52": "「しかし……お前たちは一体何をしている。\\n マスターから大切な物を預かっておきながら」",
"360000412_53": "「う、それは……」",
"360000412_54": "「いくら強いとはいえ、お前たちが力を合わせれば\\n 勝てない相手ではないはずだッ」",
"360000412_55": "「力を合わせるのが難しいから無理なんだゾッ!」",
"360000412_56": "「このバカッ! 適当なことを言って……」",
"360000412_57": "「なぜ力を合わせられないんだ?」",
"360000412_58": "「それは……私が慢心していたせいだわ……。\\n なんでも人でやろうとして、こんなことに……」",
"360000412_59": "「けど、ファラが頑張ってくれなかったら、\\n 任務はつもできてなかったんだゾ」",
"360000412_60": "「そうですねー、あたしが邪魔しまくってたのに、\\n 本当に上手くやってくれましたよ」",
"360000412_61": "「あなたなら1人で任せておいても平気だって思って、\\n ついついサボっちゃったんですよね……」",
"360000412_62": "「だから今回はあたしが悪かったです」",
"360000412_63": "「あたしも力になれなくて、ごめんなんだゾ……」",
"360000412_64": "「ガリィ、ミカ……。いいえ、私の方こそごめんなさい」",
"360000412_65": "「詳細な事情は地味にわからないが、\\n 互いのわだかまりが解けたことは派手にわかったッ」",
"360000412_66": "「うわッ、あたしたちのラピス・クォーターズが……」",
"360000412_67": "「光り出したんだゾッ!?」",
"360000412_68": "「オオオーーッ!」",
"360000412_69": "「奴が起き上がりましたわッ!」",
"360000412_70": "「ラピス・クォーターズは4つで1つ。\\n どれかつが欠けても不完全なのだッ」",
"360000412_71": "「それは私たちも変わらないッ!\\n マスターの精神構造から作られた人なのだからッ」",
"360000412_72": "「ゆえに、力を合わせてこそ、\\n ラピス・クォーターズは本来の輝きを取り戻すと……」",
"360000412_73": "「あたしたちが力を発揮できるのも、\\n 同じことって言いたいんですね」",
"360000412_74": "「みんなで一緒に戦えばいいんだゾッ!」",
"360000412_75": "「うむ、これこそが私たちの……」",
"360000412_76": "「<size=40>ゴールデンハート・メカニクスッ!</size>」",
"360000412_77": "「オオ……では、その輝きとやらも食わせてもらおうかッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,30 @@
{
"360000511_0": "ゴールデンカルテット",
"360000511_1": "「私たちの力、派手に食らうがいいッ!」",
"360000511_2": "「オオッ!? こ、これは……」",
"360000511_3": "「まだまだ終わりませんわよッ!」",
"360000511_4": "「グオオォ……なんだ、この力……ッ!?」",
"360000511_5": "「さっきまでのガリィちゃんとはひと味違うのよッ!」",
"360000511_6": "「目一杯お見舞いしてやるゾッ!」",
"360000511_7": "「グオオオォォォッ!? こんなわけが……ッ!\\n 餌の分際で……」",
"360000511_8": "「え、餌……ッ! そうだ、もっと食って――」",
"360000511_9": "「どこへ行くつもりだッ!」",
"360000511_10": "「まずいですわッ! 保管庫に逃げて、\\n さらに聖遺物を取り込むつもり――」",
"360000511_11": "「――グオオッ!? なんだ、壁が……ッ!」",
"360000511_12": "「残念、ガリィちゃんは、\\n そういうのを見抜くのは得意なんです」",
"360000511_13": "「なんか前にも見たことあるんだゾッ!」",
"360000511_14": "「これでいいんでしょう?」",
"360000511_15": "「ええ、あの時と違って今回は大正解ですわッ!」",
"360000511_16": "「オオオ――ッ! 食わせろッ! 食わせろオオッ!」",
"360000511_17": "「そんなに食い足りないのなら……」",
"360000511_18": "「お腹一杯ご馳走して差し上げますわよ」",
"360000511_19": "「ゴールデンハート・メカニクスの力を、ふんだんにね」",
"360000511_20": "「残さず食べるんだゾーッ!」",
"360000511_21": "「ふ……ふざけ……グ、グオ……、\\n この程度……オオ……全て飲みこんで……」",
"360000511_22": "「グオ、オ、まさか……これほどとは……、\\n このままでは……ウグ、ウグ、ウググ……」",
"360000511_23": "「フフ、のみこむことができず、苦しんでるようですわ」",
"360000511_24": "「あたしたちが錬成した黄金は、\\n そこら辺の遺物なんかとは訳が違いますからねー」",
"360000511_25": "「ラピスによって生み出された黄金は浄化の力を持つッ!\\n のみこむことなどできるわけがないッ」",
"360000511_26": "「ウゴオオォォォ……オオオッ! オオォ――」",
"360000511_27": "「よーし、一気に押し切っちゃうゾッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,71 @@
{
"360000512_0": "「随分と攻撃の手も緩んできたなッ!」",
"360000512_1": "「ウオオオォォ――ッ!\\n こんなわけ……こんなわけが……ッ」",
"360000512_2": "「もう、そんな攻撃は通じないんだゾッ!」",
"360000512_3": "「万策尽きたみたいですし、\\n そろそろトドメといきましょうか」",
"360000512_4": "「こんなことなら……」",
"360000512_5": "「なんか変な気配がするゾ……」",
"360000512_6": "「あの化物から、とてつもないエネルギーを感じるわ」",
"360000512_7": "「まるで私たちの黄金錬成のように、\\n 内部でエネルギーを圧縮しているようだ……」",
"360000512_8": "「クオオ……全てバラバラにして……、\\n オオ……またつになって……オオ……」",
"360000512_9": "「バラバラにするって、まさか――」",
"360000512_10": "「自爆する気なのかッ!」",
"360000512_11": "「次はお前たちもまとめて、1つになるんだ……」",
"360000512_12": "「もう完全なるやけっぱちですね……」",
"360000512_13": "「けれど、こんなところで爆発なんて起きたら……」",
"360000512_14": "「錬金術師協会本部が吹っ飛ぶゾッ!」",
"360000512_15": "「マスターの研究なんかも全て消えて――」",
"360000512_16": "「冗談じゃないですよッ!\\n そんなことになったら、どれだけどやされることかッ」",
"360000512_17": "「どやされるだけで済めばいいですけれど……」",
"360000512_18": "「くッ……わざわざ無理を言って帰ってきたというのに、\\n これなら地味に留まっておくべきだったか」",
"360000512_19": "「ちょっとちょっと、あれだけ説教しておいて、\\n 本音では自分だけ責任を逃れたいんですか」",
"360000512_20": "「グオオォ……もう……限界……」",
"360000512_21": "「まずいッ! 悠長に話している時間はないぞッ!」",
"360000512_22": "「こうなったら一か八かやるしかありませんわッ!」",
"360000512_23": "「ああ、今こそ再びラピスの力を1つに……ッ!」",
"360000512_24": "「でもガリィちゃんは、さっきの発言を忘れませんからね」",
"360000512_25": "「ガリィはいちいち細かいことを気にしすぎなんだゾッ!」",
"360000512_26": "「なんだとッ! お前も後で覚えてろよッ!」",
"360000512_27": "「<size=40>さあ、力を1つに――ッ!</size>」",
"360000512_28": "「バ……バカな……オオオオッ!」",
"360000512_29": "「あ、やばい。爆発しそう……」",
"360000512_30": "「くッ、足りませんでしたの……ッ!?」",
"360000512_31": "「グオオオオオオオオオオオオオ――」",
"360000512_32": "「爆発は……」",
"360000512_33": "「起きてないのカ……?」",
"360000512_34": "「どうやらそのようですね。\\n あたしはあたしのままですし」",
"360000512_35": "「どういう意味だ?」",
"360000512_36": "「あいつの爆発に巻き込まれて、その反動で合体して、\\n 本当の意味でみんなつになるのかと、覚悟したんですよ」",
"360000512_37": "「あなたと1つになるなんてゾッとしますわね」",
"360000512_38": "「お互い様ですねー」",
"360000512_39": "「またケンカするのカ?」",
"360000512_40": "「フンッ!」",
"360000512_41": "「しかし……あいつはどこへ? 逃げたのでしょうか?」",
"360000512_42": "「いや、見ろ。そこら中に飛び散っているものを」",
"360000512_43": "「無数の聖遺物……委細はわからないが、\\n これがあいつの正体だった、ということじゃないのか」",
"360000512_44": "「そうだゾ。あいつが食い散らかしたのが\\n 全部出てきたみたいだゾ」",
"360000512_45": "「大きな爆発は起こせなかったけれど、\\n 自分がバラバラになる程度には弾けたということですわね」",
"360000512_46": "「ん? あそこにいるのは……ッ!」",
"360000512_47": "「人間みたいだが……」",
"360000512_48": "「あれは、侵入者ですわッ! \\n 人組の片割れが、あの化物に食われたんです」",
"360000512_49": "「へー、1人かと思ったら2人いたんですか。\\n それなら、こんな大事になっても仕方ないですよね」",
"360000512_50": "「違うゾ。あたしたちが協力しなかったせいだゾ」",
"360000512_51": "「くッ、こいつはいちいち……」",
"360000512_52": "「うッ……く……」",
"360000512_53": "「まあ、どうやらあの人間も生きているようだし、\\n これで一息つけますわね」",
"360000512_54": "「一時はどうなるかと思ったけど、\\n ここに散らばってる物を保管庫に戻せば全て元通りですね」",
"360000512_55": "「それじゃあ、みんなで片付けましょうか」",
"360000512_56": "「もちろんだゾッ!」",
"360000512_57": "「ああ、私も地味に手を貸すとしよう」",
"360000512_58": "「さあさあ、証拠はさっさと隠滅するに限りますからね」",
"360000512_59": "「手伝った方がいいのかな、僕も」",
"360000512_60": "「ええ、暇ならぜひお願いしま――、",
"360000512_61": " うわッ!? なんでここにッ!」",
"360000512_62": "「当然だろう、あれだけ騒ぎを起こしたのだから。\\n 説明してくれないかな、何があったのか」",
"360000512_63": "「は、はいだゾ……」",
"360000512_64": "「ええっと、私は……」",
"360000512_65": "「そちらは、その……後ほど報告書にまとめて提出しますわ」",
"360000512_66": "「チッ、まったく間の悪い……」",
"360000512_67": "「別に報告書をもらおうかな、君だけは」",
"360000512_68": "「クソッ! なんなのよ、もうッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,59 @@
{
"360000521_0": "――2日後――",
"360000521_1": "「戻ったぞ、お前たち」",
"360000521_2": "「マスター、おかえりだゾッ!」",
"360000521_3": "「ゆっくりお休みになられましたか?」",
"360000521_4": "「当然だ。オレくらいになれば、\\n リゾート地で休暇を過ごすことなど造作もない」",
"360000521_5": "「朝食はビュッフェ方式でしたがバランス良く配膳できましたか?\\n チェックアウトの際に部屋のキーは返却しましたか」",
"360000521_6": "「当たり前だッ!\\n 飛行機だって人で乗って帰ってきたぞッ」",
"360000521_7": "「帰ってきたようだね」",
"360000521_8": "「おや、錬金術師協会局長が\\n わざわざお訪ねになられるとは」",
"360000521_9": "「呼ばれたんだよ、キャロルにね。\\n あるのだろう、土産物が」",
"360000521_10": "「もちろん、土産くらいは買ってある。\\n だが、その前に聞かせてもらおうか」",
"360000521_11": "「オレが不在だった間のこいつらの仕事ぶりについて」",
"360000521_12": "「ッ!」",
"360000521_13": "「そ、それは……これから報告しようと……」",
"360000521_14": "「もちろん上手くやったに決まってるじゃないですか。\\n ねぇ、ファラちゃん」",
"360000521_15": "「ガリィ、オレは大体のことは聞いてるんだぞ」",
"360000521_16": "「……なるほど、そうですか。\\n マスターってば、本当に底意地が悪いですねー」",
"360000521_17": "「お前に言われたくないッ!」",
"360000521_18": "「ったく……それで、危うくこの協会本部を\\n 吹き飛ばしそうになったっていうのは本当なのか」",
"360000521_19": "「逆だよ、それについてはね。\\n 防いでくれたんだよ、むしろ爆発を」",
"360000521_20": "「保管庫を荒らしまくったとも聞いたが」",
"360000521_21": "「元から荒れていたんだよ、君も知っての通り」",
"360000521_22": "「ああ、確かに。初めてあそこに入った時は\\n ごみの山かと思ったほどだ」",
"360000521_23": "「手厳しいじゃないか、相変わらず。\\n だから必要だと思っていたのだよ、そろそろ掃除がね」",
"360000521_24": "「つまり起こるべくして起きたのだよ、あの事件は」",
"360000521_25": "「なるほど、半分はお前のせいだということか」",
"360000521_26": "「言ってないけどね、そこまでは。\\n でも出なかったのは事実だよ、人的被害もね」",
"360000521_27": "「あの侵入者2人組もちゃんと捕まえられましたしね~」",
"360000521_28": "「それに手伝ってくれたんだ、反省して保管庫の掃除も」",
"360000521_29": "「あれは大変だったゾ……」",
"360000521_30": "「ええ……廊下一面、\\n 派手に散乱しておりましたから……」",
"360000521_31": "「……今回は多かっただろう、学ぶべきことが。\\n <ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>の諸君にとっても」",
"360000521_32": "「マスター、全ては私の至らなさのせいですわ。\\n せっかく新たな力を与えていただいたのに……」",
"360000521_33": "「そのことで慢心し、1人でなんでもできると思い、\\n ミカやガリィをないがしろにしてしまったのです……」",
"360000521_34": "「そんなことないゾ? ファラはいつも通りだったゾッ!」",
"360000521_35": "「このバカッ! 今はお前が喋る時じゃないんだよッ!」",
"360000521_36": "「あたしも協力できなくて悪かったんだゾ」",
"360000521_37": "「ミカは……私が遠ざけてしまったようなものですし」",
"360000521_38": "「そうですねー。あたしは違うんでしょうけれど」",
"360000521_39": "「こんな時でも、お前は地味に皮肉しか言えないのか?」",
"360000521_40": "「ぐッ……ま、まあ悪かったとは思ってますよ。\\n 協力する意義も理解できましたし」",
"360000521_41": "「ガリィが反省するとは驚きだな……。\\n 多少は変わったということか」",
"360000521_42": "「イヤですよ、マスター。ガリィちゃんはいつまでも、\\n マスターの好きなガリィちゃんのままですからね」",
"360000521_43": "「何も変わってないな……」",
"360000521_44": "「冗談はさておき、私も地味に学べました。\\n ラピス・クォーターズの真価は人では発揮できない……」",
"360000521_45": "「私たち4人でこそ発揮できるものなのだと」",
"360000521_46": "「そうだゾッ!」",
"360000521_47": "「ガリィちゃんもそう思います~」",
"360000521_48": "「ええ。これからはレイアも一緒に、\\n 人で力を合わせて任務に当たりますわ」",
"360000521_49": "「ちゃんと自戒しているのなら……まあ、良い。\\n 次からはもっと上手くやれよ」",
"360000521_50": "「次から……? まあ、また私たちを\\n 頼っていただけるのですかッ」",
"360000521_51": "「汚名返上の機会は早い方がいいですからね」",
"360000521_52": "「マスター、いつでも休むんだゾ。\\n このまますぐに休んでもいいんだゾッ」",
"360000521_53": "「お、おい、お前たち……。\\n そんなに休んでばかりもいられないだろう」",
"360000521_54": "「これからは、ぜひ定期的に休暇をとってください」",
"360000521_55": "「なんなら、招待しようかな、\\n プロビデンス・パークに、次回は」",
"360000521_56": "「それは休暇ではなく、ただの仕事だッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,19 @@
{
"361000111_0": "わたしが望む星は?",
"361000111_1": "(何故、こんなことになってしまったのか……。\\n いつになったらこの『レヴュー』は終わるのか……",
"361000111_2": "「危ないッ!!」",
"361000111_3": "「大丈夫ですか、翼さんッ!」",
"361000111_4": "「……すまない、わたしとしたことが」",
"361000111_5": "「くッ、まだ現れるというのか……」",
"361000111_6": "「倒しても倒してもキリがないわね」",
"361000111_7": "「それなら、戦い続けるしかありませんッ!\\n ここでわたしたちが負けたら――」",
"361000111_8": "「みんなの『キラめき』が、奪われてしまう……ッ!」",
"361000111_9": "「そうね……それに、この程度でやられる、\\n わたしたちじゃないわッ」",
"361000111_10": "「行くわよッ!」",
"361000111_11": "「負けるかあああッ!」",
"361000111_12": "「立花、マリア……」",
"361000111_13": "(2人が必死になって護ろうとしている、『キラめき』……)",
"361000111_14": "(果たして今のわたしには、\\n 『キラめき』があるのだろうか……",
"361000111_15": "(わからない……。思えば、先ほどのリハーサルの時から、\\n わたしは自分自身を見失っていたんだ――",
"361000111_16": "(しかし、今は目の前の敵に集中しなくては……ッ!)"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,18 @@
{
"361000112_0": "「覚悟ッ!!」",
"361000112_1": "「くッ……何故、効かないのだッ!」",
"361000112_2": "「~~~~~♪」",
"361000112_3": "「こいつら、唄い踊るたびに強くなっている……」",
"361000112_4": "「それなら……ッ!」",
"361000112_5": "「相手に唄い踊る隙を与えなければいいだけッ!\\n これで終わりよッ」",
"361000112_6": "「やったわね」",
"361000112_7": "「さすがです、マリアさんッ!」",
"361000112_8": "「……って、またおかわりッ!?」",
"361000112_9": "「まったく……いつまで続くの?」",
"361000112_10": "(すべては、あのメールを受信した時から\\n 始まったこと……",
"361000112_11": "(つまり、わたしが2人を巻き込んだというのか?)",
"361000112_12": "(わたしは、どうすれば……ッ!)",
"361000112_13": "「果たして、彼女たちに何が起こったのか……。\\n そして、この先にどんな結末が待っているのか……」",
"361000112_14": "「気になりますよね……わかります」",
"361000112_15": "「何故なら私も、あなた方と同じ……。\\n この『レヴュー』の行く先を待ち望んでいるのですから」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,41 @@
{
"361000121_0": "数時間前――",
"361000121_1": "「~~♪」",
"361000121_2": "「……ダメだ、こんなことでは。\\n もうすぐ本番だというのに、わたしは何をしているのだ」",
"361000121_3": "「翼さん、どうされたのですか?」",
"361000121_4": "「緒川さん……」",
"361000121_5": "「実は、自分の歌に納得がいかないのです。\\n このままではステージに上がれない……『何か』が違う……」",
"361000121_6": "「何か、ですか?」",
"361000121_7": "「はい……自分でも何故こんなに、\\n 不甲斐ないのかと思うばかりで……」",
"361000121_8": "「翼さん、この後は通しのリハーサルが控えています。\\n 今のところは、ここまでにしておきましょう」",
"361000121_9": "「これ以上、唄い続ければ喉に負担をかけてしまいますし、\\n 身体を休めて備えておいた方が――」",
"361000121_10": "「いえ、もう一度……もう一度だけ。\\n お願いします」",
"361000121_11": "「……」",
"361000121_12": "「わかりました。\\n でも、次が最後ですよ」",
"361000121_13": "「ありがとうございます」",
"361000121_14": "(……こんな歌では、せっかく足を運んでくれる人たちに、\\n 申し訳が立たない",
"361000121_15": "(皆の気持ちに応えたい……。\\n わたしを待っているすべての人の……",
"361000121_16": "(しかし、このままでは……)",
"361000121_17": "「~~♪」",
"361000121_18": "「ッ!?」",
"361000121_19": "(声が……さっきよりも出ていない……)",
"361000121_20": "(ただでさえ、観客の期待に応えられる領域に達していない、\\n 満足のいかない歌だというのに……",
"361000121_21": "(翼さん……。\\n きっと本番になれば気持ちも切り替えられるとは思いますが",
"361000121_22": "「――ッ!」",
"361000121_23": "「はい、こちら緒川です」",
"361000121_24": "「……はい、はい。今、翼さんはリハーサルに臨むところで……。\\n 響さんとマリアさんが……はい、了解しました」",
"361000121_25": "「見ていましたよ。\\n 本部からの連絡ですね」",
"361000121_26": "「それは――」",
"361000121_27": "「緒川さんはマネージャー業務の時だけ、\\n メガネをかける――」",
"361000121_28": "「電話をしながら、メガネを外すということは指令が入った証拠。\\n それぐらいわかります」",
"361000121_29": "「今回はすでに響さんとマリアさんが対応しています。\\n ですから、翼さんはリハーサルを――」",
"361000121_30": "「しかし、こちらに連絡が来たということは、\\n 苦戦を強いられているということでしょう」",
"361000121_31": "「ならば、わたしも行きますッ!」",
"361000121_32": "「待ってくださいッ!」",
"361000121_33": "「今日は、ライブの本番なんですよ……ッ!」",
"361000121_34": "「わたしは、アーティストであると同時に\\n 防人なのです」",
"361000121_35": "「まだ本番まで時間がある。\\n 急いで片付ければ間に合うはずです」",
"361000121_36": "「お願いします」",
"361000121_37": "「……わかりました。車でお送りします。\\n 任務の詳細は、その際に」",
"361000121_38": "「ありがとうございます。\\n 急ぎましょう、立花とマリアの元にッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,38 @@
{
"361000122_0": "「倒しても倒しても現れるなんて、\\n このままじゃキリがない……」",
"361000122_1": "「でも、今戦えるのは2人だけですッ!\\n わたしたちで頑張りましょうッ」",
"361000122_2": "「ええ、そうね」",
"361000122_3": "「待たせたな。立花、マリアッ!\\n わたしも加勢するッ」",
"361000122_4": "「翼さんッ!?」",
"361000122_5": "「なぜ、あなたがここに?\\n ライブのリハーサル中でしょッ」",
"361000122_6": "「わたしは防人だ、\\n この状況を放っておけるわけがないッ」",
"361000122_7": "「翼さん……」",
"361000122_8": "「わたしたちも行くわよッ!\\n 早く片付けなくっちゃ、翼のファンに申し訳が立たないわ」",
"361000122_9": "「そうですねッ!」",
"361000122_10": "(遅れてしまった分、この剣をもって取り戻さねば)",
"361000122_11": "(だが、歌にもまだ不安が残る……。\\n 先ほどは声の出方に違和感があったし……",
"361000122_12": "(こんなわたしがステージに上がっていいのか?\\n 皆の期待にしっかりと応えられるだろうか……",
"361000122_13": "「しま……ッ!?」",
"361000122_14": "「これで終わりよッ!」",
"361000122_15": "「はぁ、はぁ、はぁ……」",
"361000122_16": "「すまない、マリア。\\n 不覚を取った」",
"361000122_17": "「どうかしたの? あなたらしくもない」",
"361000122_18": "「ああ……」",
"361000122_19": "「何かあったの?」",
"361000122_20": "「実は、来る前の稽古で納得がいかなくてな……」",
"361000122_21": "「そう……」",
"361000122_22": "「でも、そんなに落ち込んでばかりじゃダメよ」",
"361000122_23": "「アーティスト本人が心から楽しんでいないと、\\n 聴いているファンたちだって楽しめないわ」",
"361000122_24": "「……果たしてそうだろうか?」",
"361000122_25": "「え?」",
"361000122_26": "「わたしにはできない。ファンを楽しませることもできずに、\\n 自分が楽しむなんて、そんなことは……」",
"361000122_27": "「翼……」",
"361000122_28": "「翼さん、時間です。\\n 会場に向かいましょう」",
"361000122_29": "「……はい、わかりました」",
"361000122_30": "「いってらっしゃい」",
"361000122_31": "「頑張ってくださいね、\\n 本番にはわたしたちも駆けつけますからッ」",
"361000122_32": "「ああ、また後で」",
"361000122_33": "「……翼さん、大丈夫ですかね」",
"361000122_34": "「気になるわね。\\n 翼らしくない……」",
"361000122_35": "「今日のライブ、無事に終わればいいんだけど……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,39 @@
{
"361000131_0": "「リハーサルお疲れさまでした。\\n 本番までゆっくり身体を休めてください」",
"361000131_1": "「わかりました」",
"361000131_2": "(やはり声が出ていない……。\\n この体たらくでは、ファンの皆を失望させてしまう",
"361000131_3": "(何をしているのだ、わたしは……。\\n さっきも助っ人として駆けつけた場で助けられてしまった",
"361000131_4": "(アーティストとしても、防人としても中途半端……。\\n このままでは……ッ",
"361000131_5": "「翼さーんッ!\\n よかった、間に合ったッ」",
"361000131_6": "「気にかかったから、\\n 様子を見に来たのよ」",
"361000131_7": "「そうか、心配をかけてしまったようだな」",
"361000131_8": "「今日は客席から応援させてもらいますよッ!」",
"361000131_9": "「ありがとう、2人とも。\\n その分、頑張らなくては……」",
"361000131_10": "「翼さん……?」",
"361000131_11": "「大丈夫よ。\\n このライブに向けて、ずっと練習してきたじゃない」",
"361000131_12": "「そうですよ。\\n いつもの翼さんならきっと……」",
"361000131_13": "「いつものわたしでは不十分なんだ」",
"361000131_14": "「え……? それって、どういう……?」",
"361000131_15": "「いつもと同じパフォーマンスを見せても、\\n それは、これまでの焼き増しだ」",
"361000131_16": "「ファンの皆はわたしに期待して、わざわざ時間を割いて\\n この場に集まってくれるんだ」",
"361000131_17": "「その期待にしっかり応えなくては……」",
"361000131_18": "「そんな、大丈夫ですって。\\n みんな翼さんの大ファンなんですからッ」",
"361000131_19": "「……だからこそ、大切にしたいのだ。皆を」",
"361000131_20": "「それができないのなら、\\n わたしがステージに立っている意味なんて――」",
"361000131_21": "「ん? メールの着信音……?\\n マリアさんですか」",
"361000131_22": "「わたしじゃないわ。翼の端末じゃない?」",
"361000131_23": "「どうやら、そのようだ。\\n 差出人が不明だが……」",
"361000131_24": "お持ちなさい",
"361000131_25": "あなたの望んだその星を",
"361000131_26": "「あなたの望んだ……」",
"361000131_27": "「その星……?\\n 一体、なんのことかしら」",
"361000131_28": "「うーん、この文章だと、\\n 翼さんに『何かを望みなさい』ってことなんですかね」",
"361000131_29": "「わたしが何かを望む……?」",
"361000131_30": "(望みか……それならば……)",
"361000131_31": "(常に皆の期待に応えられるアーティストでありたい。\\n そして、世界中に歌を届けたい……",
"361000131_32": "(それができたのなら、わたしは――)",
"361000131_33": "「な、なんですかこれッ!?\\n 地面が揺れて……」",
"361000131_34": "「揺れているのではないッ!\\n 空間ごと、どこかに移動している……ッ」",
"361000131_35": "「どこかって、どこに……ッ!?」",
"361000131_36": "「<size=40>うわあああああああッ!</size>」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,77 @@
{
"361000211_0": "闇のオーディション開幕",
"361000211_1": "「うわあああああああッ!」",
"361000211_2": "「……あれ?」",
"361000211_3": "「どこかへ辿り着いたようだが、\\n 一体ここはどこなんだ」",
"361000211_4": "「あれは……2人とも見てッ!」",
"361000211_5": "「たあッ!」",
"361000211_6": "「はあッ!」",
"361000211_7": "「やあッ!」",
"361000211_8": "「ここは……舞台?」",
"361000211_9": "「誰かが戦っている……」",
"361000211_10": "「あれはお芝居なんですかね?\\n でも……本気で戦ってるように見えます」",
"361000211_11": "「彼女たちは舞台少女」",
"361000211_12": "「舞台少女……」",
"361000211_13": "「――って、ええええぇぇッ!!」",
"361000211_14": "「キリンが喋ってるッ!?」",
"361000211_15": "「上演中に大声を出さないでください。\\n 何に驚いているのかわかりかねますが……」",
"361000211_16": "「あ、あなたは一体……?」",
"361000211_17": "「私はレヴューを心待ちにしている普通の観客です」",
"361000211_18": "「『普通の観客』って」",
"361000211_19": "「ここで行われているレヴューについて、\\n ご存じないのなら、ご説明いたしましょう」",
"361000211_20": "「歌とダンスが織りなす魅惑の舞台\\n 『レヴュー』」",
"361000211_21": "「舞台少女はオーディションとして、\\n レヴューで『キラめき』を競い合っているのです」",
"361000211_22": "「もしかして――?」",
"361000211_23": "「ああ……」",
"361000211_24": "「合格すれば、トップスタァとして、\\n 望む舞台に立つことができるでしょう」",
"361000211_25": "「望む……舞台……?」",
"361000211_26": "「なかなか興味深い話ね。\\n これは、あなたが仕組んだことなの」",
"361000211_27": "「いいえ。私ではありません」",
"361000211_28": "「今回のオーディションは、\\n とある舞台少女によって開催されたものなのです」",
"361000211_29": "「本来はあり得ないことですが……、\\n その舞台少女が手にしたとある力が、可能にしました」",
"361000211_30": "「ゆえに、私も一傍観者にすぎません」",
"361000211_31": "「ですが……ほら、素晴らしい舞台でしょう?」",
"361000211_32": "「2人とも、ここはわたしに任せてッ!」",
"361000211_33": "「いいえ、華恋。わたしも行くわ」",
"361000211_34": "「うん。\\n こんなところで倒れるわけには……ッ」",
"361000211_35": "「鬼気迫るあの殺陣……とても演技だとは思えないわ」",
"361000211_36": "「これは、オーディションだと言ったな?\\n では、判断基準は 審査員はどこにいる」",
"361000211_37": "「審査員は必要ありません」",
"361000211_38": "「より強い『キラめき』を見せることができるか……」",
"361000211_39": "「そして、彼女たちが身に着けている\\n あの上掛け」",
"361000211_40": "「先に相手の上掛けを落とし、ポジションゼロに\\n 立つことができた者が――」",
"361000211_41": "「次のオーディションに進むことができるのです」",
"361000211_42": "「えっと、その『ポジションゼロ』ってなんですか?」",
"361000211_43": "「ステージの中心には印がついているんだ。\\n それをポジションゼロと呼ぶ」",
"361000211_44": "「そこに立つのは、舞台の主役……」",
"361000211_45": "「なるほど……。\\n つまりあの戦いは、舞台の主役を奪い合って……」",
"361000211_46": "「……だけど、主役だけが勝ちで、他の役はみんな負けって、\\n なんだか悲しいですね」",
"361000211_47": "「きっとどんな役だって、いらない人なんていないのに……」",
"361000211_48": "「ちょっと待ってッ!\\n 大変、あの子たち……ッ」",
"361000211_49": "「くッ……」",
"361000211_50": "「うぅ……なんで……」",
"361000211_51": "「わたしたち、負けるわけには……」",
"361000211_52": "「わかります。\\n あの迫真の演技……まさに真剣勝負」",
"361000211_53": "「見ていてください、今にきっと……ッ!」",
"361000211_54": "「わたしたちは……」",
"361000211_55": "「みんなのためにも……」",
"361000211_56": "「負けられない……ッ!」",
"361000211_57": "「もう一度行くよ、ひかりちゃんッ!\\n ばななッ」",
"361000211_58": "「ええ、華恋ッ!」",
"361000211_59": "「こんなところで倒れるわけにはいかないわ……ッ!」",
"361000211_60": "「きっと、もうすぐ……だから……ッ!」",
"361000211_61": "「絶対、負けないッ!」",
"361000211_62": "「うんッ! 諦めるなんて、ノンノンだよッ!」",
"361000211_63": "「まだまだここからなんだからッ!」",
"361000211_64": "「敵を圧倒しながらもあれほど美しく魅せられるとは……」",
"361000211_65": "「歌も、つい聴き入ってしまうわ。素晴らしい……」",
"361000211_66": "「よくわからないけど……すごいですッ!\\n あっという間に全部倒しちゃって……」",
"361000211_67": "「しかし、これで終わり……という雰囲気ではなさそうだな」",
"361000211_68": "「わかります。\\n このオーディションを開始した舞台少女がまだ――」",
"361000211_69": "「わたしの歌を、聴きなさい……」",
"361000211_70": "「この歌声は……」",
"361000211_71": "「みんな、気をつけて。来るッ!」",
"361000211_72": "「来たわね。\\n 闇の……舞台少女……ッ」",
"361000211_73": "「主役は、わたしのもの……ッ!」",
"361000211_74": "「きゃああああッ!?」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,96 @@
{
"361000221_0": "「なんという覇気……ッ!?\\n 闇の舞台少女……と言ったか」",
"361000221_1": "「3人の女の子が、圧倒されてます……ッ!」",
"361000221_2": "「でも、これはレヴューであり、\\n オーディションなんでしょ」",
"361000221_3": "「もし、負けたらどうなるんですか?」",
"361000221_4": "「心配ですか。わかります」",
"361000221_5": "「この地下舞台で行われているのは、\\n 舞台少女たちのオーディション」",
"361000221_6": "「勝者が『自分の望む舞台に立つことができる』代わりに、\\n 敗者は――」",
"361000221_7": "「舞台少女としての『キラめき』を奪われるのです」",
"361000221_8": "「『キラめき』……?\\n そういえば、先ほどもそのようなことを言っていたな」",
"361000221_9": "「見てください、あの舞台少女たちを。\\n 美しいでしょう、輝いているでしょう」",
"361000221_10": "「ええ、確かに」",
"361000221_11": "「唄って踊って戦って……、\\n すごくキラキラしてますッ」",
"361000221_12": "「そう。『キラめき』こそが、舞台少女の原動力なのです」",
"361000221_13": "「では、敗れた舞台少女はステージに立つ原動力を、\\n 失うということなのか……ッ」",
"361000221_14": "「ええ。『キラめき』が無ければ、舞台に立つ意味も、\\n 喜びも、きっと見いだせなくなってしまうでしょう」",
"361000221_15": "「そんな……ッ!」",
"361000221_16": "「本来のオーディションは、\\n 最終日まで結果がわかりません」",
"361000221_17": "「しかし、今回はすべてが例外。負ければその場で\\n 『キラめき』を失ってしまう。それがルール」",
"361000221_18": "「今日のレヴューも、とても素晴らしいものでした。\\n しかし、それもここまでのようですね」",
"361000221_19": "「これで終わりよッ!」",
"361000221_20": "「お願い……これまであなたと戦った、\\n みんなの『キラめき』を返して……ッ」",
"361000221_21": "「うるさいッ!\\n あれは全部わたしのものなの……ッ」",
"361000221_22": "「きゃああああッ!」",
"361000221_23": "「『キラめき』っていうのがなんなのか、\\n まだいまいちわからないけど……」",
"361000221_24": "「彼女たちが傷つけられているのを見過ごすわけにはいかないッ!」",
"361000221_25": "「取り返しがつかなくなる前に、\\n あのオーディションを止めないとッ」",
"361000221_26": "「突貫しま――」",
"361000221_27": "「……あれ?」",
"361000221_28": "「いけません。上演中は、お静かに」",
"361000221_29": "「そのようなことを言っている場合かッ!」",
"361000221_30": "「攻撃が……やんだ……?」",
"361000221_31": "「どうして……」",
"361000221_32": "「まさか……客席に誰かいるッ!?」",
"361000221_33": "「……フフ。わたしの招待状が届いた人間が、\\n 他にもいたようね」",
"361000221_34": "「ダメよ、ここから逃げてッ!」",
"361000221_35": "「目の前に困っている人がいるのに、\\n 逃げることなんてできないよッ」",
"361000221_36": "「でも……どうしてッ!?\\n 目の前に壁があって、これ以上は近づけない……ッ」",
"361000221_37": "「舞台の上は、舞台少女たちの聖域ですから」",
"361000221_38": "「ならば、こちらも舞台少女に\\n なれば問題ないということだな」",
"361000221_39": "「わたしは、傷ついた彼女たちの『代役』として\\n あのステージに立とうッ」",
"361000221_40": "「――ッ!?」",
"361000221_41": "「面白い、確かに舞台に代役は付き物」",
"361000221_42": "「しかし、部外者のあなたたちが……」",
"361000221_43": "「部外者だと? わたしは部外者ではない。\\n 何故ならば……」",
"361000221_44": "「わたしもまた、このオーディションの招待状を\\n 受け取っているッ」",
"361000221_45": "「招待状、ってさっきの謎のメッセージ?\\n あなたの望んだ星をお持ちなさい、っていう……」",
"361000221_46": "「それって招待状だったんですかッ!?」",
"361000221_47": "「わからない。が、わたしがここへ導かれた理由……。\\n そうとしか思えない」",
"361000221_48": "「おお、異なる世界からの招待ですか。これは楽しみです」",
"361000221_49": "「あなたが、代役になると宣言すれば、\\n それで参加は成立することでしょう」",
"361000221_50": "「わかった、それならば……ッ!」",
"361000221_51": "「あなたの代役として、わたしを舞台に立たせてもらえるか?\\n 大丈夫、戦う術なら持っている……ッ」",
"361000221_52": "「代役……? わたしの代わりになんて、そんな……、",
"361000221_53": " でも……今は……」",
"361000221_54": "「――お願い。\\n このままでは、あの舞台少女にすべてを奪われてしまう……」",
"361000221_55": "「護るべき者を前にして、\\n 防人の剣に納める鞘は無し」",
"361000221_56": "「風鳴翼、代役の任をつかまつるッ!」",
"361000221_57": "「ギアが変化した……。\\n 舞台に上がるための、舞台少女ギアってことね」",
"361000221_58": "「待ってくださいッ!\\n わたしも行きますッ」",
"361000221_59": "「公演終了までお静かに。\\n それとも招待状をお持ちですか」",
"361000221_60": "「ありませんッ!\\n だからくださいッ」",
"361000221_61": "「そのように言われても……私はただの傍観者。\\n そのような権限など持ち合わせてはいないのです」",
"361000221_62": "「でも……翼さん1人に\\n 戦わせることなんて……」",
"361000221_63": "「ねぇ、あなた。さっき言ってたわよね?」",
"361000221_64": "「このオーディションは、\\n とある舞台少女によって開催されたと」",
"361000221_65": "「あの様子だと、あそこにいる不気味な子、\\n 闇の舞台少女が主催なのでしょう」",
"361000221_66": "「ならば……聞きなさいッ!\\n 倒れている舞台少女は人ッ」",
"361000221_67": "「当然、代役も3人必要なんじゃない!?」",
"361000221_68": "「主催に直接訴えかけるとは……。\\n これは面白くなってきましたね」",
"361000221_69": "「……フフ、いいでしょう。\\n あなたたちも『キラめき』を持っているようだし――」",
"361000221_70": "「あッ、わたしの端末にも翼さんと同じメールが……ッ!」",
"361000221_71": "「わたしのところにも……。\\n これで、部外者ではなくなったわね」",
"361000221_72": "「それなら、立花響ッ!\\n 代役やりますッ」",
"361000221_73": "「わたしの、代わりに……?」",
"361000221_74": "「うんッ! わたしに人助け、させてくれるかなッ!?」",
"361000221_75": "「…………」",
"361000221_76": "「お願いッ! みんなのためにも、\\n わたしたちがここで負けるわけにはいかないのッ」",
"361000221_77": "「任せてッ!」",
"361000221_78": "「わたしも。\\n マリア・カデンツァヴナ・イヴ、代役を務めさせていただくわ」",
"361000221_79": "「それじゃあ、今回だけ。もう立ち上がる力が残ってない\\n わたしたちの代わりに、お願いできるかな……」",
"361000221_80": "「ええッ! 正直まだ、何が起きているのかすら\\n わかっていないけど、やるべきことはわかっているわッ」",
"361000221_81": "「それでは、オーディションの再開です」",
"361000221_82": "「トップスタァを目指して\\n 歌って、踊って、奪い合いましょう」",
"361000221_83": "「あとはわたしたちに任せろッ!」",
"361000221_84": "「どうして……身代わりなんて」",
"361000221_85": "「わたし、立花響ッ! 趣味は人助け。\\n あなたは」",
"361000221_86": "「えッ!? わ、わたしは99期生、出席番号1番、愛城華恋。\\n ごめんなさい……でも、ありがとう」",
"361000221_87": "「わたしはあの子ほどじゃないけれど、\\n 目の前で困っている人を放っておけるほど薄情じゃないわ」",
"361000221_88": "「代役を承ると名乗り出たのだ。\\n その名に恥じぬ舞台を演じてみせるッ」",
"361000221_89": "「そう……先ずは試させてもらうわ。\\n あなたたちの『キラめき』を」",
"361000221_90": "「口だけじゃないとわかったら、\\n 望み通り正式にオーディションに参加させてあげましょう」",
"361000221_91": "「オーディションに参加するためにも審査が必要とは、\\n ずいぶん回りくどいことしてくれるじゃない」",
"361000221_92": "「それだけ、『キラめき』が大切なものってことですよね。\\n だったら絶対に負けられませんッ」",
"361000221_93": "「護る者のある限り、わたしの剣は折れたりしないッ!\\n 舞台少女に代わって、いざ推して参るッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,16 @@
{
"361000222_0": "「食らいなさいッ!」",
"361000222_1": "「ほう、ここまで力強く唄いながら立ち回るとは……面白い」",
"361000222_2": "「唄い踊る敵なんて、変な感じです……。\\n どうしたらいいのかわからないけどッ」",
"361000222_3": "「わたしにできる精一杯でッ!!」",
"361000222_4": "「気迫で押し通すわけね。\\n ならば、わたしたちも負けるわけにはいかないわッ」",
"361000222_5": "「ああッ!」",
"361000222_6": "「これで……」",
"361000222_7": "「最後ですッ!」",
"361000222_8": "「トドメだッ!!」",
"361000222_9": "「ハァ、ハァ……ようやく……勝ったわね」",
"361000222_10": "「おめでとう……あなたたちを代役ではなく、\\n 正式にオーディションへ参加することを認めましょう」",
"361000222_11": "「あなたたちの『キラめき』をもっと見せて……。\\n わたしを『トップスタァ』にするために」",
"361000222_12": "「次のレヴューを楽しみにしているわ。\\n そして……」",
"361000222_13": "「……いつかは……『女神の歌』の主役に……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,81 @@
{
"361000311_0": "舞台少女と『女神の歌』",
"361000311_1": "「……あれ? ここは?」",
"361000311_2": "「地下劇場から飛ばされたようだが……」",
"361000311_3": "「学園の近くみたいね。とにかく帰りましょう。\\n 急がないと、門限になるわ」",
"361000311_4": "「待って、詳しい話を聞かせてちょうだい」",
"361000311_5": "「話したいのは山々だけど、門限に遅れると\\n とんでもないことになっちゃうから……」",
"361000311_6": "「点呼に遅れると『伝説のしごき』が待ってるの」",
"361000311_7": "「伝説……? なんだかすごそう……」",
"361000311_8": "「……そうだッ! 点呼が終わるまでは空いている部屋に\\n 隠れていてもらおうよ」",
"361000311_9": "「そうね、わたしたちも聞きたい話がたくさんあるし」",
"361000311_10": "「この状況について聞かせてもらえるのであれば、\\n こちらは一向に構わない」",
"361000311_11": "「それなら決まりね。\\n 案内するわ、わたしたちの寮に」",
"361000311_12": "「お待たせッ!\\n 無事に点呼終わったよ」",
"361000311_13": "「あなたたちが舞台少女だと聞いた時から、\\n もしやと思っていたけれど――」",
"361000311_14": "「ここに来て、わかったわ。\\n わたしたちは一度、任務でここに来たことがある」",
"361000311_15": "「その時、真矢ちゃんとクロちゃんには、\\n すっごくお世話になりましたよねー」",
"361000311_16": "「2人とも元気にしてる?」",
"361000311_17": "「2人は……」",
"361000311_18": "「あのオーディションに挑んだ後、行方がわからないの」",
"361000311_19": "「……ッ!」",
"361000311_20": "「そんなの大問題じゃないッ!\\n 行方不明だったら、きっと警察にも捜索願いが……」",
"361000311_21": "「それがね……。レヴューでさらわれた人たちについては、\\n 都合よくみんなの記憶が書き換えられてるみたいなの」",
"361000311_22": "「記憶が書き換えられて……?」",
"361000311_23": "「真矢ちゃんは留学、\\n クロちゃんは入院……」",
"361000311_24": "「みんな、いろんな理由で休学っていうことになっているの」",
"361000311_25": "「本当のことを知っているのは、\\n レヴューに参加したわたしたちだけみたい」",
"361000311_26": "「事実改変……。\\n あのオーディションには、そんな力まであるの……」",
"361000311_27": "「あの2人は相当の手練であったはず……。\\n にわかに信じがたいことだな」",
"361000311_28": "「1人1人脱落していって……。\\n 残っているのはわたしたちだけ」",
"361000311_29": "「だから、みんなを助けるために、\\n わたしたちは負けられないんだッ」",
"361000311_30": "「奪われたみんなの『キラめき』を\\n 取り戻さなくっちゃ……ッ」",
"361000311_31": "「『キラめき』を失ったら、\\n 舞台には立てなくなってしまう……」",
"361000311_32": "「そんなの、絶対イヤだから……ッ!」",
"361000311_33": "「それなら、わたしたちも力になるよッ!\\n 真矢ちゃんやクロちゃんたちを助けなくっちゃ」",
"361000311_34": "「待って、これはわたしたちの戦いよ。\\n あなたたちを巻き込むわけには……」",
"361000311_35": "「とっくに巻き込まれてるから気にしなくていいわ。\\n さっきのレヴューで正式な参加が認められたしね」",
"361000311_36": "(確かに、わたしたちは招待状を受け取り\\n 舞台へと上がった……",
"361000311_37": "(しかし……敵は天堂や西條さえも打ち負かす相手だ)",
"361000311_38": "(自分のライブすら満足にこなせないわたしに、\\n 彼女たちを助けることなど……",
"361000311_39": "「それに、翼さんもマリアさんも、\\n わたしの世界ではとってもすごい歌手なんですよッ」",
"361000311_40": "「お、おい……立花……」",
"361000311_41": "「ええ、翼の『キラめき』は、\\n 共にステージに立ったことのあるわたしも保証するわ」",
"361000311_42": "「マリアまで……」",
"361000311_43": "「レヴューのときから、\\n 何か特別なものを感じていたけれど……」",
"361000311_44": "「それじゃあ、歌に関しては\\n たくさん吸収させてもらわなくっちゃッ」",
"361000311_45": "「そうと決まれば、わたしたちは\\n 一度本部に戻って方針を立てましょう」",
"361000311_46": "「そうですねッ!」",
"361000311_47": "「地下劇場にギャラルホルンのゲートは\\n 見当たらなかった……」",
"361000311_48": "「ということは、前に使った\\n ゲートを探さなくてはいけないということね」",
"361000311_49": "「ああ、そうだな。\\n 急ごう」",
"361000311_50": "「ちょっと待って、どういうこと?」",
"361000311_51": "「ゲートが無いです……」",
"361000311_52": "「ということは、今回のわたしたちは\\n 何か別の力で引き寄せられたという可能性も考えられるな」",
"361000311_53": "「事実改変……って言ったわよね、さっき」",
"361000311_54": "「現実はあの『闇の舞台少女』のレヴューのために\\n 都合よく書き換えられているわ」",
"361000311_55": "「もしかすると、あなたたちの世界に戻るための装置も\\n 消されているのかもしれない」",
"361000311_56": "「余計なことは一切させない、という心づもりか」",
"361000311_57": "「……ねぇ、提案があるんだけど」",
"361000311_58": "「レヴューに向けて訓練するなら、\\n 聖翔音楽学園に入ってもらった方がいいと思うの」",
"361000311_59": "「わたしたちが?」",
"361000311_60": "「本来なら、部外者のあなたたちが潜入すれば、\\n 大騒ぎになるでしょうけれど――」",
"361000311_61": "「レヴューのために都合よく事実改変されるというのなら\\n あなたたちに関することだって『変わる』はず」",
"361000311_62": "「つまり……うーん?」",
"361000311_63": "「わたしたちは堂々と、聖翔音楽学園の授業に混ざればいい、\\n ということよ」",
"361000311_64": "「わかりましたッ!\\n それなら堂々と混ざることにしますッ」",
"361000311_65": "「ま、待て、立花ッ!\\n そんなことができるわけ……」",
"361000311_66": "「でも、今の状況だとその方法しかないようにも\\n 思えるわね。やってみる価値はあるんじゃないかしら」",
"361000311_67": "「マリアまで……」",
"361000311_68": "「そうと決まったら、改めて自己紹介させてもらうね」",
"361000311_69": "「わたしは愛城華恋ッ! 聖翔音楽学園99期、\\n 俳優育成科 出席番号1番ですッ!」",
"361000311_70": "「よろしくね、華恋ちゃん」",
"361000311_71": "「それじゃあ、次はわたしかな。\\n 大場ななです。ばななって呼んでね」",
"361000311_72": "「お次は、ひかりちゃんッ♪」",
"361000311_73": "「神楽ひかりよ」",
"361000311_74": "「みんな、よろしくね」",
"361000311_75": "「こちらこそ」",
"361000311_76": "「それじゃあ、今日はもうこんな時間だし、\\n 明日に備えて休もうか」",
"361000311_77": "「ええ、そうね」",
"361000311_78": "「明日からよろしくお願いしますッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,72 @@
{
"361000321_0": "翌日――",
"361000321_1": "「ええッ!? もうこんな時間ッ!?」",
"361000321_2": "「ね、寝坊しちゃいましたッ!!」",
"361000321_3": "「ようやく起きたようね」",
"361000321_4": "「華恋は朝からずっと\\n 『女神の歌』の戯曲を読んでいたから……」",
"361000321_5": "「早く朝ごはんにしましょうって声をかけたんだけど」",
"361000321_6": "「それぞれ、慌てて支度している音が聞こえるわね」",
"361000321_7": "「みんな、おはようッ!」",
"361000321_8": "「おはようございますッ!」",
"361000321_9": "「さぁ、2人とも出発するぞ」",
"361000321_10": "「えッ、朝ごはんは?」",
"361000321_11": "「遅刻しちゃうよ、華恋ちゃん。\\n 先生の雷が落ちたら、どうなるか知ってるでしょ」",
"361000321_12": "「でも、お腹ペコペコだったら、\\n 日頑張れないよぉ」",
"361000321_13": "「あーあ、今日はとっておきの\\n バナナパンケーキだったのになぁ」",
"361000321_14": "「お、美味しそう……ッ!」",
"361000321_15": "「こんな絶品をみすみす逃すとはな」",
"361000321_16": "「とっても美味しかったわ、ごちそうさま」",
"361000321_17": "「お粗末さまでした♪」",
"361000321_18": "「2人のためにおにぎり握っておいたから、\\n 学校に着いたら急いで食べてね」",
"361000321_19": "「さすが、ばななッ!\\n ありがと」",
"361000321_20": "「それじゃあ、今日も1日頑張るぞッ!」",
"361000321_21": "「えいえいおーッ!」",
"361000321_22": "「2人とも、すっかり息ぴったりね」",
"361000321_23": "「ここが俳優育成科の教室……」",
"361000321_24": "「あっさり入ることはできたけど――」",
"361000321_25": "「先生、おはようございます」",
"361000321_26": "「おはよう。……あら?\\n そこに座っているのは……」",
"361000321_27": "「えっと、わたしたちは――」",
"361000321_28": "「聞いてる、イギリスの歌手育成学校からの留学生だな。\\n よろしく」",
"361000321_29": "「えッ、あッ、はい……ッ!」",
"361000321_30": "「これが事実改変……」",
"361000321_31": "「あら、どうかした?」",
"361000321_32": "「い、いえッ!\\n なんでもありません。今日からよろしくお願いします」",
"361000321_33": "「すでに、世界の舞台で活躍してるのだったな」",
"361000321_34": "「えッ!?」",
"361000321_35": "「えっと、翼さんとマリアさんは世界的アーティストですけど\\n わ、わたしは――」",
"361000321_36": "「立花さんはまだ研修生だと聞いている」",
"361000321_37": "「はッ、はいッ!\\n いつも先輩たちから学ばせていただいていますッ」",
"361000321_38": "「歌については多くを知っていると思うが、\\n 演技やダンスについても、しっかり勉強していってくれ」",
"361000321_39": "「はいッ! よろしくお願いしますッ!」",
"361000321_40": "「はい、ナチュラルターンからの……」",
"361000321_41": "「ルンバ・クロスッ!」",
"361000321_42": "(なるほど……ステージの振り付けにも、\\n このようなステップはあったな",
"361000321_43": "(きっと、何気ない動きの一つひとつに、\\n このような名前が付いているのね",
"361000321_44": "「足元見ないでー。ちゃんとステップ入れてー」",
"361000321_45": "「わー……あわわー……」",
"361000321_46": "「わぁッ!?」",
"361000321_47": "「ご、ごめん……」",
"361000321_48": "「ドンマイだよ、響ちゃん」",
"361000321_49": "「わたしも、最初は同じだったんだから。\\n もうついていくだけでいっぱいいっぱい」",
"361000321_50": "「だから、少しずつ一緒に頑張っていこうッ!」",
"361000321_51": "「うぅ、ありがとう……ッ!」",
"361000321_52": "「すなわち、スタァの身体性と、\\n 非日常的空間とは……」",
"361000321_53": "(演劇の舞台とは、楽曲のステージとは\\n 比較にならないほど複雑なのだな……",
"361000321_54": "「んん……んん……」",
"361000321_55": "「ちょっと、しっかりしなさい……ッ!」",
"361000321_56": "「だんだん眠気が……」",
"361000321_57": "「~~♪」",
"361000321_58": "「すごい……」",
"361000321_59": "「……ありがとうございましたッ!」",
"361000321_60": "「見習いとはいえ、さすがは歌手育成校……」",
"361000321_61": "「聴いてるだけで、こっちも元気になってきちゃった」",
"361000321_62": "「それでは最後、風鳴翼さん、お願いできる?」",
"361000321_63": "「はい」",
"361000321_64": "「~~♪」",
"361000321_65": "「これが……プロの歌声……」",
"361000321_66": "「やっぱり、プロってすごい……」",
"361000321_67": "(……いえ、確かに、翼の歌声は綺麗だけれど……)",
"361000321_68": "(いつもなら、こんな迷いのある歌声じゃないわ)",
"361000321_69": "(翼……本当にどうしてしまったの……?)"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,84 @@
{
"361000331_0": "「やっと放課後――」",
"361000331_1": "「レッスン室に来たってことは、レッスンの続きだね」",
"361000331_2": "「やる気になっているところ申し訳ないけれど、\\n ここに集まった目的は作戦会議よ」",
"361000331_3": "「作戦……?」",
"361000331_4": "「それについては、わたしも気になっていた。\\n 受けに回っているばかりでは、どうしても不利になってしまう」",
"361000331_5": "「あと、闇の舞台少女が言っていたことも気になるわ。\\n 確か……『女神の歌』……って」",
"361000331_6": "「その主役に、と口にしていたということは、\\n 演劇の題目なのだろうか」",
"361000331_7": "「そうだよー。はい、3人の分の台本」",
"361000331_8": "「ありがとう、ばななちゃん。\\n ……で、これって有名な話なの」",
"361000331_9": "「有名……といえば、有名ね。\\n わたしたち、舞台少女の間では」",
"361000331_10": "「もうすぐ、『女神の歌』の役者選考が\\n 始まるからね」",
"361000331_11": "「毎年、全国から舞台少女を集めて、\\n つの作品を演じるんだよ」",
"361000331_12": "「とはいえ、去年のわたしたちは初のスタァライトだったから。\\n 別のことまで気が回らなくて」",
"361000331_13": "「だから、今回はみんなで受けてみるんだ」",
"361000331_14": "「合格したら、大きな舞台が2連続ッ!\\n お祭り延長戦、って感じだよね」",
"361000331_15": "「けれど、そんな輝かしいステージを、\\n 闇の舞台少女が口にした、ということは……」",
"361000331_16": "「光が眩ければ、影もまた相応に暗くなるもの。\\n 何か思うところがあるに違いない」",
"361000331_17": "「これまで、今回のオーディションについての手がかりが\\n なかったから、ようやく一歩前進って感じだよ」",
"361000331_18": "「だから、みんなで『女神の歌』の内容の中から\\n ヒントを見つけ出したいと思って」",
"361000331_19": "「朝からずっと読み込んでるし、\\n 誰の役を振られてもばっちり演じきれちゃうよ」",
"361000331_20": "「言ったわね、華恋」",
"361000331_21": "「こんなこともあろうかと、作ってきたよ。\\n じゃーん、バナナくじ」",
"361000331_22": "「さっそく演じるつもり……?」",
"361000331_23": "「3人の演技見るの、楽しみッ!」",
"361000331_24": "「舞台少女の『キラめき』……見せてもらおう」",
"361000331_25": "「~~~~~♪」",
"361000331_26": "「なるほど、人々が奏でる不安の音を、\\n 歌で祓っていく女神の物語か」",
"361000331_27": "「え、え……アポロン様がお見えに?\\n けど、わたしは……その……」",
"361000331_28": "「どうやら、このアルケーって子が主人公のようだけど、\\n なんだか頼りないわね」",
"361000331_29": "「アポロン様ッ!\\n アルケー、あの子まーた引きこもってるのよ」",
"361000331_30": "「すごい、まるで別人が乗り移ったかのようだわ……」",
"361000331_31": "「えーと、ひかりちゃんはメレテーちゃん?\\n 実践の女神、って書いてあったっけ」",
"361000331_32": "「もう……アポロン様ったら……。\\n でも、わたしならこのまま……よろしくてよ」",
"361000331_33": "「よくないよッ! こんな……こんな……、\\n ひゃあ……」",
"361000331_34": "「落ち着いて。あの子はテルクシノエーっていう……、\\n 魅惑の女神、だったかしら」",
"361000331_35": "「妖艶な魅力……、\\n 舞台少女、侮りがたし……ッ」",
"361000331_36": "「ほらッ、アルケー。\\n アポロン様が来てるのよッ」",
"361000331_37": "「わたしなんかが……うう、\\n ごめんなさい」",
"361000331_38": "「アポロン様、なんならわたしと2人きりで……、\\n いかがです」",
"361000331_39": "「テルクシノエーッ!\\n 余計なことすんなっての」",
"361000331_40": "「あたしたちは、みんなで唄わなきゃいけないんだから」",
"361000331_41": "「なんか、ばななちゃんじゃなくてひかりちゃんが\\n 主人公みたいに見えるけど……」",
"361000331_42": "「メレテー、ね。だからこそ、これから\\n アルケーが成長していくんじゃない」",
"361000331_43": "「~~~~~♪」",
"361000331_44": "「おお……、冒頭の舞いとは、\\n また一味違った『キラめき』が……」",
"361000331_45": "「さっきのは戦うための歌で、\\n 今度はアポロンに捧げる歌なのでしょう」",
"361000331_46": "「ライブでの翼さんやマリアさんを観てるみたい。\\n すごい、綺麗……」",
"361000331_47": "「……と、第1幕はこんな感じかな」",
"361000331_48": "「どう? イメージ掴めたんじゃない?」",
"361000331_49": "「すごいッ! すっごいよかったよ、\\n 華恋ちゃんッ、ひかりちゃんッ、ばななちゃんッ」",
"361000331_50": "「……不覚にも演目に\\n 見入ってしまっていた……」",
"361000331_51": "「想像を超える演技だったから、つい。\\n 普通に楽しんでいる場合じゃなかったわね」",
"361000331_52": "「フフ、ありがとうございます♪」",
"361000331_53": "「それにしても、みんなすごかったよ。\\n まるで別人みたい」",
"361000331_54": "「それが、舞台少女ッ! ……ってね」",
"361000331_55": "「……現実という舞台には、1人の主役はいない。\\n 誰もが自分という演目の主役なのだから」",
"361000331_56": "「でも、舞台の上には主役が存在する。\\n 脚本は、主役のために築かれたものだもの」",
"361000331_57": "「だからこそ、舞台少女は主役を目指す」",
"361000331_58": "「闇の舞台少女は言っていたわね。\\n『女神の歌』の主役に……って」",
"361000331_59": "「でも、\\n あんなことをしてまで……」",
"361000331_60": "(……今のわたしに必要なのは、\\n そのように貪欲な渇望なのだろうか",
"361000331_61": "「あの様子だと、闇の舞台少女の目的は、\\n『女神の歌』の主役になりたいみたいだから……」",
"361000331_62": "「正体は去年の選考で落選してしまった参加者、\\n という線が濃厚ね」",
"361000331_63": "「その未練が、あのようなレヴューの形式に\\n 繋がっているのでしょう」",
"361000331_64": "「今年も開催されるんだから、今度こそ、\\n って頑張ればいいのに……」",
"361000331_65": "「できない事情があるのかも。\\n なんらかの理由で舞台を続けられなくなったとか」",
"361000331_66": "「それはそれで探っていく必要があるでしょうけど、\\n 先ずはレヴューの対策から――」",
"361000331_67": "「みんなの端末が一斉に……ッ!」",
"361000331_68": "「こちらを待ってはくれない、ということか」",
"361000331_69": "「全員まとめて相手するってことね。\\n いいわ、遠慮なくやらせてもらおうじゃないのッ」",
"361000331_70": "開幕のレヴュー",
"361000331_71": "「レヴューでは、あの人たちを倒せばいいんだよね?」",
"361000331_72": "「本来のレヴューはそうじゃないけれど……、\\n この場においては、それで正解」",
"361000331_73": "「本来のレヴューは舞台少女同士の一騎打ち。\\n こんな、集団で囲い込んだりしないから」",
"361000331_74": "「すべては闇の舞台少女が\\n 自分の都合のいいように歪めてるってことね」",
"361000331_75": "「だから、みんながあんなことに……」",
"361000331_76": "「彼女がどんな姑息な手段で仕掛けてこようとも、\\n わたしたちは負けるわけにはいかないわ」",
"361000331_77": "「無論だ。防人として、このような輩に\\n 遅れを取ることなど断じてないッ」",
"361000331_78": "(だが……)",
"361000331_79": "(防人としてではなく、舞台少女としては……、\\n どうなのだろう",
"361000331_80": "(もしここに観客がいて、\\n わたしの歌声は、皆の心に届くのだろうか……",
"361000331_81": "「……翼?」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,45 @@
{
"361000332_0": "「……地上に戻ってきたってことは」",
"361000332_1": "「今回のレヴューも無事に乗り切ったってことね」",
"361000332_2": "「でも、闇の舞台少女は出てこなかった……」",
"361000332_3": "「このままずっと出てこない、ってこともないと思うけど」",
"361000332_4": "「だったら、きっと次は会えるよね」",
"361000332_5": "「会いたいの?」",
"361000332_6": "「うん、会って、話してみたいんだ。\\n どうしてこんなことするのか、って」",
"361000332_7": "「あの子はスタァとして『キラめき』たいって\\n 一心だと思うけど……」",
"361000332_8": "「でも、みんなでキラめくことだってできるでしょ?」",
"361000332_9": "「いえ……わたしたち舞台少女は、負ければ大事なものを失うと\\n 覚悟してレヴューに臨んできたの」",
"361000332_10": "「相手に、大事なものを失わせる覚悟でね」",
"361000332_11": "「そんな……ッ!\\n どうしてみんなで仲良くできないの」",
"361000332_12": "「それが、舞台に立つ者の覚悟だからよ」",
"361000332_13": "「マリアさん……」",
"361000332_14": "「目指すステージは違えども、\\n わたしもそんな世界に身を置いてきた」",
"361000332_15": "「けれど、今回のレヴューは普通じゃない。\\n そうでしょう」",
"361000332_16": "「うん。舞台少女自身がああやって\\n レヴューを取り仕切るなんて、本来あり得ない」",
"361000332_17": "「だから、あの子を止めることができれば……」",
"361000332_18": "「みんなで仲良く舞台に立てる?」",
"361000332_19": "「少なくとも、今回はね」",
"361000332_20": "「そっか……。\\n なら、絶対にあの子を止めてみせる……ッ」",
"361000332_21": "(しかし、他人を踏みつけてでも上に立ちたいという願い……。\\n それは、舞台に生きる者として当然のこと……",
"361000332_22": "(わたしに足りないものは、そんな『覚悟』なのか?)",
"361000332_23": "「……今、あなたが考えてること、\\n 多分間違いよ」",
"361000332_24": "「え?」",
"361000332_25": "「レヴューの間も、ずっとそんな顔してた」",
"361000332_26": "「これまで競い合ってきた舞台少女の中に、\\n そんな顔つきで勝てた人はいないわ」",
"361000332_27": "「…………」",
"361000332_28": "「あの戦いの最中に皆の表情にまで\\n 気を配っていたとは恐れ入る」",
"361000332_29": "「わたしたちは、舞台少女。\\n ただ剣を振るうだけではキラめけない」",
"361000332_30": "「――スタァとして、観衆を魅了することはできないッ!」",
"361000332_31": "「ッ!」",
"361000332_32": "(今のわたしは、舞台少女としても、\\n アーティストとしても力不足",
"361000332_33": "(だが、もしも聴衆を魅了する舞台少女としての\\n 『キラめき』の片鱗に触れることができれば……",
"361000332_34": "「わたしは……」",
"361000332_35": "「あなたのようになりたい」",
"361000332_36": "「翼……?」",
"361000332_37": "「もっとわたしに舞台のことを教えてもらえないだろうか。\\n 舞台少女として、『キラめき』を会得するために」",
"361000332_38": "「……いいわ。あなたも歌の一線に立つ者。\\n 相応の覚悟はできているのでしょうし」",
"361000332_39": "「恩に着る。\\n 未熟者ではあるが、よろしく頼む」",
"361000332_40": "「翼……」",
"361000332_41": "(ライブのリハーサルの時から様子がおかしかったし、\\n さっきのレヴューを見ていても気にかかる……",
"361000332_42": "(でも、翼が舞台少女に新たな可能性を見出したというのなら……、\\n わたしは見守るわ"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,71 @@
{
"361000411_0": "望む星を掴むために……",
"361000411_1": "「おはよう、ひかりちゃん。\\n いつもより早いけど……朝練」",
"361000411_2": "「ちょっと待ってて、すぐ支度するからわたしも――」",
"361000411_3": "「ごめんなさい、華恋。\\n 今日は翼と朝練の約束をしていて」",
"361000411_4": "「それじゃあ、わたしも一緒にやるッ!」",
"361000411_5": "「……華恋、今日は翼と2人でいいかしら?\\n きっと……翼は見られたくないんじゃないかと思うの」",
"361000411_6": "「どういうこと……?」",
"361000411_7": "「彼女はプロのアーティストだから……。わたしの言いたいこと、\\n 華恋だったらわかってくれるでしょう」",
"361000411_8": "「うん、なんて言ったらいいのかわからないけど……」",
"361000411_9": "「翼さんは懸命になっている姿、\\n 他人に見られたくないかもしれないね」",
"361000411_10": "「きっと、これまでもそうやって、\\n 努力を重ねてきたんだろうなぁ」",
"361000411_11": "「だって、とっても魅力的な歌だったもんね。\\n わたしも惚れ惚れしちゃった……」",
"361000411_12": "「だから――」",
"361000411_13": "「わかってるよ、ひかりちゃんッ!\\n このオーディションが終わったら、また一緒に朝練しよう」",
"361000411_14": "「ええ、必ず」",
"361000411_15": "「華恋……ありがとう」",
"361000411_16": "「うんッ!」",
"361000411_17": "「……ひかりちゃん、行っちゃった」",
"361000411_18": "「わたしも2人に負けてられないな。\\n 早く目覚めたし、別のレッスン室に行こっとッ」",
"361000411_19": "「出席番号1番、愛城華恋入りますッ!」",
"361000411_20": "「あッ、おはよう。華恋ちゃんッ!」",
"361000411_21": "「響ちゃん、自主練してたのッ!?」",
"361000411_22": "「うん、わたしは翼さんやマリアさんのように、\\n ステージに立った経験ないから」",
"361000411_23": "「その差を頑張って埋めなきゃ、って」",
"361000411_24": "「……そうだッ! ねぇ、華恋ちゃん。\\n わたしの先生になってよッ」",
"361000411_25": "「えッ、わ、わたしが先生ッ!?」",
"361000411_26": "「でも、わたしはいつも上手いみんなに\\n 引っ張ってもらってて……」",
"361000411_27": "「わたしから見れば、華恋ちゃんのレヴューは、\\n とっても魅力的だよッ」",
"361000411_28": "「だから、いろいろ教えてもらいたいなって思ったんだ」",
"361000411_29": "「響ちゃん……」",
"361000411_30": "「わかったッ!\\n わたしでよかったら、先生させてッ」",
"361000411_31": "「新米の『先生』だけど……、\\n 力になれるように頑張るからッ」",
"361000411_32": "「ありがとう。\\n よろしくお願いしますッ」",
"361000411_33": "「それじゃあ、まずはストレッチからやっていこうか」",
"361000411_34": "「はい、先生ッ!」",
"361000411_35": "「じっくりしっかりやっていこうね。\\n 息を止めないで、」",
"361000411_36": "「いてッ! いてて……。\\n うぅ、普段から身体は動かしてる方なんだけどなぁ」",
"361000411_37": "「もしかしたら、普段の身体の動かし方とは\\n ちょっと違うのかも」",
"361000411_38": "「わたしがお手本やってみるね」",
"361000411_39": "「わぁ、すごい……ッ!」",
"361000411_40": "「最初は痛くても、だんだん柔らかくなってくるよ」",
"361000411_41": "「だんだんってことは、日々の積み重ねなんだね。\\n わたしも頑張らなきゃ」",
"361000411_42": "「それじゃあ、レッスン始めようか。\\n 新米先生だけど、ビシバシいくからねッ」",
"361000411_43": "「よろしくお願いします、先生ッ!」",
"361000411_44": "「……ふぅ、ちょっと休憩にしようか」",
"361000411_45": "「最初から結構トバしちゃったけど、大丈夫?」",
"361000411_46": "「へいき、へっちゃらッ!\\n まだまだ頑張れるよッ」",
"361000411_47": "「すごいなぁ。\\n 普通だったらすぐ根上げちゃうのに」",
"361000411_48": "「なんで、そんなに頑張れるの?」",
"361000411_49": "「うーん……翼さんもマリアさんも、すごいからかな」",
"361000411_50": "「どういうこと?」",
"361000411_51": "「華恋ちゃんに見せてあげたいぐらい、\\n 人のステージって素敵なんだ」",
"361000411_52": "「もしわたしがこのオーディションで足を引っ張って、\\n 負けちゃうようなことがあったら……」",
"361000411_53": "「わたしのせいで2人が『キラめき』を失ったら……、\\n そんなの、絶対耐えられないんだ」",
"361000411_54": "「でも、今のわたしじゃ\\n 人の『キラめき』を護れないから……」",
"361000411_55": "「舞台も舞台少女も未完成。\\n わたしたちは日々進化中なんだよッ」",
"361000411_56": "「だから、響ちゃんだってこうして特訓を重ねていれば\\n 素敵な舞台少女になれるよッ」",
"361000411_57": "「持つべきは『強い信念』かな」",
"361000411_58": "「強い……信念……?」",
"361000411_59": "「そう、どんなツライ時だって\\n 信念があれば乗り越えられるはずだよ」",
"361000411_60": "「ということは……華恋ちゃんも持ってるんだよね?\\n 強い信念」",
"361000411_61": "「もちろんッ!」",
"361000411_62": "「わたしが舞台少女を目指したきっかけはひかりちゃんと\\n 子供の頃に観たスタァライトって舞台だったんだ」",
"361000411_63": "「すっごく感激して、ひかりちゃんと\\n 『いつか一緒にあの舞台に立とう』って約束したの」",
"361000411_64": "「そのための努力なら、\\n わたし、なんだって乗り越えられちゃうッ」",
"361000411_65": "「そっか……その気持ちが\\n 華恋ちゃんの『キラめき』の元になってるんだね」",
"361000411_66": "「わたしは……翼さんとマリアさんの『キラめき』を護りたいッ!」",
"361000411_67": "「お互い、頑張ろうね」",
"361000411_68": "「うんッ!\\n 先生、練習の続きをお願いしますッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,56 @@
{
"361000421_0": "「みんな、よく聞きな。\\n アポロン様からのお達しだよ」",
"361000421_1": "「あたしたちの歌は、もっと広く届けなくちゃいけない。\\n みんなでここにいちゃダメなんだ」",
"361000421_2": "「でも、わたし……アポロン様のお傍から離れたくない」",
"361000421_3": "「もちろん、あたしだって同じ気持ちよ。\\n だから……決めなくちゃいけないの」",
"361000421_4": "「アポロン様はおっしゃったわ、\\n 最も歌に優れた者を、お傍に残してくださるって」",
"361000421_5": "「ふぅん、そしたら、歌で勝負ってことねぇ?」",
"361000421_6": "「負けたら、遠くへ……どうしよう……」",
"361000421_7": "「……ここまでが第2幕。\\n 選考の課題シーンだって」",
"361000421_8": "「みんな、歌が好きで仲良しなのに\\n 歌で競うことになるなんて……」",
"361000421_9": "「悲しい運命だな」",
"361000421_10": "「この『女神の歌』に何が隠されているのかしら……?」",
"361000421_11": "「うーん……」",
"361000421_12": "「わたしたちで戯曲を読み込んだんだけど、\\n 見えてこなくって――」",
"361000421_13": "「実際に参加した人に話を聞くのが1番じゃないかって、\\n 話になったの」",
"361000421_14": "「ええ、近くの学校にいるらしいわ。\\n 名前は確か、井手碧菜さん」",
"361000421_15": "「井手……碧菜……」",
"361000421_16": "「去年の『女神の歌』のパンフレットは\\n 目を通したのだけれど、そんな名前は見なかったわ」",
"361000421_17": "「だとしたら、落選した者なのだろうな」",
"361000421_18": "「でも、それなら『今年こそ』って\\n 燃えてるかもッ」",
"361000421_19": "「彼女に接触してみる価値はありそうね」",
"361000421_20": "「じゃあ、すぐに行きましょう。\\n 次のレヴューまでに何か手を打っておきたいし」",
"361000421_21": "「ここが、えーと……井手、碧菜さんの学校?」",
"361000421_22": "「ええ、そうよ。\\n でも、ここからが大変ね」",
"361000421_23": "「これだけ多くの生徒がいる中で、わたしたちが知っているのは\\n 名前だけなんだから」",
"361000421_24": "「それじゃ、片っ端から聞いてきますッ!」",
"361000421_25": "「待って、そんなことしたら不審者扱いで\\n つまみ出されちゃうかもしれないわ」",
"361000421_26": "「でも、そうしたらどうやって見つけ出すんですか?」",
"361000421_27": "「ちょっと待ってッ!\\n あれって……」",
"361000421_28": "「……………………」",
"361000421_29": "「あの子だけ、まとっているオーラが違う……」",
"361000421_30": "「この学校ではよほどの有名人みたいね。\\n ほら、他の生徒たちも進んで道を開けていくわ」",
"361000421_31": "「ね、ねえ……声かけてみようよ」",
"361000421_32": "「でも、なんて……?」",
"361000421_33": "「あの、井手碧菜さんですか?」",
"361000421_34": "「ひ、響ちゃんッ!?」",
"361000421_35": "「さ、さすが一番槍ね……」",
"361000421_36": "「……ええ、そうだけど」",
"361000421_37": "「えっと……聞きたいことがあるんです」",
"361000421_38": "「何?」",
"361000421_39": "「去年の『女神の歌』の\\n 選考のことなんですけど」",
"361000421_40": "「それは……」",
"361000421_41": "「その話はやめてちょうだい。\\n もうたくさん」",
"361000421_42": "「待って」",
"361000421_43": "「佇まいだけで、あなたが只者ではないことはわかる。\\n そんなあなたが、なんの役も得られないとは考えられない」",
"361000421_44": "「一体……去年の選考で、何があったの……?」",
"361000421_45": "「知らないわ。あの芝居のことはもう、忘れたの」",
"361000421_46": "「碧菜さん……?」",
"361000421_47": "「これは、もっと調べないわけにはいかないわね」",
"361000421_48": "「一度戻って、これからどうするか改めて考えましょう」",
"361000421_49": "「賛成ッ!\\n ついでにレヴューに向けて特訓も――」",
"361000421_50": "「これは……くッ、ろくに準備もできていない状態で、\\n 地下舞台に向かわなくてはいけないとは」",
"361000421_51": "「仕方がないわ。不戦敗だなんてごめんだからね」",
"361000421_52": "「行きましょう」",
"361000421_53": "「ええ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,21 @@
{
"361000431_0": "憧憬のレヴュー ",
"361000431_1": "「大人しくしていなさいッ!」",
"361000431_2": "「今日も勝つことができそうね――」",
"361000431_3": "「照明が……」",
"361000431_4": "「一体、何が起こったの?」",
"361000431_5": "「……来るわね、『彼女』が」",
"361000431_6": "「ああ……ッ、これが世界……。\\n とても広く……そして……悲しい」",
"361000431_7": "「これって、『女神の歌』でアポロンが世界の様子を\\n 示しているシーンのセリフ……」",
"361000431_8": "「むッ、下から?」",
"361000431_9": "「舞台が左右に割れて……、\\n ど、どうなっちゃうのッ」",
"361000431_10": "「立花、大丈夫かッ!?」",
"361000431_11": "「は、はいッ!\\n わたしは華恋ちゃんと一緒にいます」",
"361000431_12": "「待っててください、いますぐ壁を壊して――」",
"361000431_13": "「響ちゃん、そんな必要はノンノンだよッ!\\n 見て、ほら……」",
"361000431_14": "「あれって……ポジションゼロ?」",
"361000431_15": "「うん。舞台が転換したら、わたしたち舞台少女は\\n そこで精一杯を演じなきゃッ」",
"361000431_16": "「でも、わたしたちだけでなんて……」",
"361000431_17": "「こんなときのために、2人で特訓してきたじゃない。\\n だから、きっと大丈夫だよッ」",
"361000431_18": "「そうだね、華恋ちゃんと一緒なら……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,35 @@
{
"361000432_0": "「わたしが相手だッ!!」",
"361000432_1": "「すごいよッ!\\n 特訓の成果がでてるッ」",
"361000432_2": "「ホントにッ!? よかったぁ……。\\n それなら、このまま――」",
"361000432_3": "「あッ、響ちゃんッ! 上ッ!」",
"361000432_4": "「えッ!?」",
"361000432_5": "「させないッ!!」",
"361000432_6": "「うッ……」",
"361000432_7": "「大丈夫ッ!?」",
"361000432_8": "「う、うん……」",
"361000432_9": "「華恋ちゃんが狙われてる……ッ!」",
"361000432_10": "「そうは……させるかあああッ!!」",
"361000432_11": "(だって、だって、華恋ちゃんの『キラめき』は……)",
"361000432_12": "「すっごく感激して、ひかりちゃんと\\n 『いつか一緒にあの舞台に立とう』って約束したの」",
"361000432_13": "「そのための努力なら、\\n わたし、なんだって乗り越えられちゃうッ」",
"361000432_14": "「奪われるわけにはいかないんだッ!」",
"361000432_15": "「すごい……あのステップ……。\\n 練習のときより、ずっと……」",
"361000432_16": "「きっと、無心になって……身体が勝手に動いてるんだ。\\n 覚えた通りに」",
"361000432_17": "「ハァ、ハァ……これで……」",
"361000432_18": "「や、やった……わたし……」",
"361000432_19": "「響ちゃんッ!」",
"361000432_20": "「大丈夫?\\n ごめんね、わたしが油断したばっかりに……」",
"361000432_21": "「ううん。とってもキラキラしてたよ」",
"361000432_22": "「わたしが……?」",
"361000432_23": "「うん、舞台少女としての『信念』が\\n 見えたのかもしれないね」",
"361000432_24": "「信念、かぁ……」",
"361000432_25": "「うーん、自分だとまだよくわからないかも」",
"361000432_26": "「フフ、それもまた、響ちゃんらしいね」",
"361000432_27": "「けど、また見てみたいな。\\n 響ちゃんの舞台」",
"361000432_28": "「うん、ちゃんと『キラめき』を持ててるかはわからないけど……、\\n もっともっと、頑張るよッ」",
"361000432_29": "「そうだね、わたしも。\\n 舞台少女は日々進化中なんだから」",
"361000432_30": "「だから、夢に向かって……」",
"361000432_31": "「うんッ!」",
"361000432_32": "「<size=40>ポジションゼロッ!</size>」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,72 @@
{
"361000511_0": "護ること、見守ること",
"361000511_1": "「みんな、寮にいなかったから、レッスン室にいるのかな」",
"361000511_2": "「翼さんたちが来てから、ひかりちゃんも華恋ちゃんも\\n 燃えてるみたいだし、わたしも頑張らなくっちゃね」",
"361000511_3": "「……ん? あれは――」",
"361000511_4": "「マリアさん、どうしたの?」",
"361000511_5": "「ッ!?」",
"361000511_6": "「そんなに驚かなくてもいいのに。\\n レッスン室、入らないの」",
"361000511_7": "「え、ええ……そんな雰囲気でもなくて」",
"361000511_8": "「誰がレッスンしてるの?」",
"361000511_9": "「翼、これはレヴューの練習なのよ。振り付けは歌のために\\n あるものではなくて、歌も踊りも等しく主役なの」",
"361000511_10": "「すまない……もう一度頼むッ!」",
"361000511_11": "「ひかりちゃん、熱入ってるね。\\n 確かに、これは入れる雰囲気じゃないかも」",
"361000511_12": "「……大丈夫かしら」",
"361000511_13": "「ひかりちゃんの練習についていけるなんて、\\n さすがって感じだけど……」",
"361000511_14": "「でも……」",
"361000511_15": "「翼はね、仲間にさえも自身の葛藤を\\n なかなかさらけ出そうとしないのよ」",
"361000511_16": "「ここに招待される前から、\\n ずっと何かを抱え込んでいたみたいで」",
"361000511_17": "「このままでは、きっと……」",
"361000511_18": "「マリアさんの心配をよそに、翼さんは\\n 猛練習をやめないってことね」",
"361000511_19": "「ええ。でも、少しずつ、\\n 変わってきているようにも見えるのよ」",
"361000511_20": "「翼の成長を止めたくない。\\n けれど、何もできない自分がもどかしくて……」",
"361000511_21": "「ねぇ、マリアさん。わたしたちもレッスンしない?」",
"361000511_22": "「え?」",
"361000511_23": "「翼さんが変わってきているなら、\\n わたしたちも負けられないでしょ」",
"361000511_24": "「……そうね、行きましょう」",
"361000511_25": "「……ふぅ、一度休憩しましょ」",
"361000511_26": "「ええ」",
"361000511_27": "「翼さんのことで頭いっぱいになってるでしょ?」",
"361000511_28": "「えッ!?」",
"361000511_29": "「ぜーんぶお見通し」",
"361000511_30": "「……そろそろあの2人の練習も、\\n 終わった頃かしらって考えてたわ」",
"361000511_31": "「ねぇ、マリアさん。次はちょっと気分転換しない?」",
"361000511_32": "「気分転換?」",
"361000511_33": "「そう。わたしのお手伝いをしてほしくって――」",
"361000511_34": "「手伝いって……料理?」",
"361000511_35": "「そうそう。バナナマフィンを作るの♪」",
"361000511_36": "「なんでまたお菓子作りを?」",
"361000511_37": "「料理って無心になれるから、\\n リフレッシュできるんじゃないかと思って」",
"361000511_38": "「それに、わたしのバナナマフィンって人気なの。\\n だからたくさん作らなくっちゃ」",
"361000511_39": "「マリアさん、いっぱい手伝ってもらうからよろしくね」",
"361000511_40": "「ええ……」",
"361000511_41": "「翼もこれを食べて元気になってくれればいいんだけど」",
"361000511_42": "「マリアさんにとって、翼さんってとっても大きな存在なのね」",
"361000511_43": "「でも、舞台少女は仲間であると同時にライバルだから……」",
"361000511_44": "「翼さんも、マリアさんが想像もしないような\\n レヴューを魅せるようになるかも」",
"361000511_45": "「えッ……」",
"361000511_46": "「わたし、翼さんなら大丈夫だと思うな」",
"361000511_47": "「マリアさんは優しいから、翼さんが気にかかると思うけど……、\\n それぞれが別の方向を向いて励む時間が必要なのかも」",
"361000511_48": "「それぞれが励む時間……」",
"361000511_49": "「あなたは、周りのことがよく見えているのね」",
"361000511_50": "「えッ、わたしが?」",
"361000511_51": "「うーん、ただみんなのことが大好きなだけかな」",
"361000511_52": "「こんなにいっぱい、\\n バナナマフィンを作るくらいだものね」",
"361000511_53": "「うん、みんなに元気になってもらいたいから。\\n それで、元気に競い合っていきたいから」",
"361000511_54": "「そうね。ここでわたしが翼の方ばかり見ていたら、\\n 翼だって張り合いがないでしょうし」",
"361000511_55": "「バナナイス♪\\n それじゃ、じゃんじゃん焼き上げちゃおうねー」",
"361000511_56": "「ええ、そうね。\\n 翼だけじゃなく、みんなもわたしも元気になるために……」",
"361000511_57": "「いい香り、バナナマフィン?」",
"361000511_58": "「あら、ひかりちゃん。\\n レッスンは終わったの」",
"361000511_59": "「ええ。それに、話したいことがあって」",
"361000511_60": "「井手碧菜……彼女から話が聞けなかったから、\\n 別の学校に問い合わせたの」",
"361000511_61": "「『女神の歌』の選考に参加した、\\n っていう生徒がいる学校にね」",
"361000511_62": "「話を聞く条件として『演技の練習に付き合ってほしい』と\\n 言われたんだけど……」",
"361000511_63": "「わたしたち自身が手土産、ってことね」",
"361000511_64": "「それじゃ、みんなを呼びに行かないと……」",
"361000511_65": "「わぁ、美味しそうな匂いッ!」",
"361000511_66": "「バナナマフィンの予感がしてたんだよー。\\n 戻ってきて正解♪」",
"361000511_67": "「残念だけど、華恋ちゃん。すぐに行かなくっちゃ」",
"361000511_68": "「ええッ!? そんなぁ……」",
"361000511_69": "「去年のオーディションで何があったのか、\\n 突き止めなくっちゃ……ッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,76 @@
{
"361000521_0": "「先輩、本日はお時間いただき、ありがとうございます」",
"361000521_1": "「去年の『女神の歌』の選考について、\\n 知りたいことがあると聞いたけれど……」",
"361000521_2": "「はい、そうなんですッ!」",
"361000521_3": "「こちら、つまらないものですが……」",
"361000521_4": "「ばなな特製のバナナマフィンですッ!」",
"361000521_5": "「まぁ、ありがとう。とっても美味しそうね。\\n あとでゆっくりいただくわ」",
"361000521_6": "「さっそくだけど……、\\n 約束の稽古、付き合ってもらっていいかしら」",
"361000521_7": "「もちろんです」",
"361000521_8": "「第4幕、アポロンと女神たちのシーンね。\\n 行くわよ」",
"361000521_9": "「去年の選考で最終審査まで残った彼女と\\n 神楽たちの演技……楽しみだな」",
"361000521_10": "「……アポロン様、ずっとメレテーの方ばかり見てる……」",
"361000521_11": "「メレテー、やはり、そなたの歌は美しいな」",
"361000521_12": "「当然でしょ? これまで、みんなの歌を束ねてきたのは、\\n あたしなんだからッ」",
"361000521_13": "「でも……そんな仲間たちがいなくなるのは寂しいよ。\\n みんな一緒にいられたらいいのに」",
"361000521_14": "「だが、世界は広いのだ。\\n 私と共にこの地に残る者は、人でいい」",
"361000521_15": "「そっか……。じゃあ、仕方ないね。\\n あたしだって、他の人に譲るつもりはないし」",
"361000521_16": "「ふぅん、さすが言ってくれるわ。\\n けれど勝負はここから……よね アルケー」",
"361000521_17": "「どうしよう……やっぱり、わたしには……。\\n けど……唄うことだけは……負けたくない……ッ」",
"361000521_18": "「これまで負けっぱなしだった\\n アルケーちゃんが……」",
"361000521_19": "「歌に賭ける信念を感じる……。\\n わたしも、彼女のような心の強さを持てたら……」",
"361000521_20": "「……さすがは聖翔さん、いい練習になったわ」",
"361000521_21": "「これは今年の選考も気が抜けないな。\\n 去年以上に完成度を高めなくっちゃ」",
"361000521_22": "「その、去年の選考についてですが……」",
"361000521_23": "「安心しなさい、\\n 今更情報を出し惜しんだりはしないわ」",
"361000521_24": "「でも、今年は去年以上に厳しくなるんじゃないかしら。\\n 何しろ、去年、あんなことがあったばかりだから」",
"361000521_25": "「あんなこと……?」",
"361000521_26": "「昨年の選考で、何かトラブルでも?」",
"361000521_27": "「舞台そのものが大盛況だったから、\\n あまり話題にならなかったようだけど……」",
"361000521_28": "「選考事務局に直談判しにいった子がいたの。\\n 選考に納得できない、って」",
"361000521_29": "「ま、結局『審査は厳正な選考のもとに\\n 判断されたもの』って発表されたんだけど……」",
"361000521_30": "「でも、その子、\\n ちゃんとメレテーの役には選ばれてたのよね」",
"361000521_31": "「主役のアルケー以外で出演するつもりはないって言って、\\n 辞退したって聞いてるわ」",
"361000521_32": "「それは残念ですね……」",
"361000521_33": "「その子が辞退したメレテーだって、\\n わたしが狙ってた役だったのに」",
"361000521_34": "「ま、でもあの子が役を射止めるんだったら、\\n 仕方ないかと思えるぐらいの演技だったけどね」",
"361000521_35": "「どうしても主役のアルケーがやりたいって想いが\\n 強かったのね……」",
"361000521_36": "「その執念……。\\n きっと、彼女が……」",
"361000521_37": "「でも、それ以降、他の舞台でも、\\n 彼女の名前をまったく聞かなくなったの」",
"361000521_38": "「あれほどの演技力だから、\\n 他の舞台に立っていてもおかしくないのに……」",
"361000521_39": "「もし、彼女と『女神の歌』の舞台に立てるのならって\\n 思わなくもないんだけど」",
"361000521_40": "「彼女、確か碧菜……。\\n 井手碧菜って名前だったと思うわ」",
"361000521_41": "「やはり、あの時の……ッ!」",
"361000521_42": "「だけど、彼女が今年選考を受けたところで、\\n 上手くいかないかもしれないわね」",
"361000521_43": "「……それは去年のことがあるからですか?」",
"361000521_44": "「いいえ。運営事務局だってそんなことを\\n いちいち根に持ったりしないはずよ」",
"361000521_45": "「でも……一度舞台から離れた舞台少女が、\\n 感覚を取り戻すことは難しい」",
"361000521_46": "「まあ、仕方がないことだけどね」",
"361000521_47": "「どんな天才でも、歯車が1つ食い違っただけで、\\n 動けなくなってしまう……」",
"361000521_48": "「些細なスランプが原因で、舞台を下りてしまった人なんて\\n この世界では珍しくもないでしょ」",
"361000521_49": "「それは……」",
"361000521_50": "「結局、そういうのは自分で乗り越えるしかないからね。\\n 残念だけど……」",
"361000521_51": "「迷いは自分で乗り越えるしかない、か……」",
"361000521_52": "「翼……?」",
"361000521_53": "「スランプを乗り越えられなかったら……、\\n その時、わたしはどうなってしまうのだろう」",
"361000521_54": "「みんな一斉にスマホ鳴らして、\\n 誰かの呼び出し」",
"361000521_55": "「……そのようです。\\n 本日は、貴重なお話をありがとうございました」",
"361000521_56": "「次は『女神の歌』の選考で会いましょう」",
"361000521_57": "「その日が楽しみです」",
"361000521_58": "「急ぎましょう。\\n オーディションが始まってしまうわ」",
"361000521_59": "「立花、学園はこっちだぞ。\\n どこへ行くつもりだッ」",
"361000521_60": "「碧菜さんの学校ですッ!\\n ちゃんと話し合えば、きっと……ッ」",
"361000521_61": "「何を話し合うつもり?」",
"361000521_62": "「こんなこと、もうやめよう、って。\\n みんなで仲良く舞台に上がろう、って……ッ」",
"361000521_63": "「なんのために?」",
"361000521_64": "「え、なんのためにって……」",
"361000521_65": "「もちろん、碧菜さんのためだよ。\\n こんなこと続けていても、彼女はきっと幸せになれない」",
"361000521_66": "「そう。でも、彼女のことを思うのなら……、\\n 舞台に立つの、あなたが」",
"361000521_67": "「どうして……」",
"361000521_68": "「わたしたちは舞台少女。\\n 舞台の上でしか語り合うことはできない」",
"361000521_69": "「それに、レヴューに行けなかったら\\n 負けになっちゃうしね」",
"361000521_70": "「行こう、レヴューに。\\n ……舞台に」",
"361000521_71": "「華恋ちゃんまで……」",
"361000521_72": "「言いたいことは舞台の上で。\\n それが、舞台少女の流儀だよ」",
"361000521_73": "「……うん、わかった」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,32 @@
{
"361000531_0": "煩悶のレヴュー",
"361000531_1": "「これから碧菜さんと戦うなんて……」",
"361000531_2": "「やっぱり、こんなのって悲しいです。\\n だって……碧菜さんとみんなは絶対同じ気持ちだから」",
"361000531_3": "「ステージがとっても好き、大好き。\\n そのためだったら、どんなことでも頑張れる」",
"361000531_4": "「それって、とってもすごいことだと思うんです」",
"361000531_5": "「立花……」",
"361000531_6": "「その想いがきっと今は違う方向に向かっちゃってるから……、\\n ちゃんとわたしたち、分かり合えると思う」",
"361000531_7": "「……そうだね。響ちゃんの気持ち、レヴューを通して、\\n ちゃんと伝わると思うッ」",
"361000531_8": "「だから……わたしたち、やるしかないよねッ!」",
"361000531_9": "「うんッ!」",
"361000531_10": "「来たか……」",
"361000531_11": "「行きましょう」",
"361000531_12": "「ここで立ち止まるわけにはいかないッ!」",
"361000531_13": "「特訓の成果を見せる時だ……ッ!」",
"361000531_14": "「わたしたちも見てばかりじゃいられないッ!」",
"361000531_15": "「ええ。行くわよッ!!」",
"361000531_16": "「やったわね」",
"361000531_17": "「この調子でどんどん行きましょうッ!」",
"361000531_18": "「うわあッ!\\n な、何これッ」",
"361000531_19": "「前回のレヴューの時と同じく、\\n わたしたちを分断するつもりみたいね……」",
"361000531_20": "「皆、足元に気をつけろッ!」",
"361000531_21": "「はいッ!!」",
"361000531_22": "「……止まったわね」",
"361000531_23": "「みんな、どこにいるのッ!?」",
"361000531_24": "「マリアさん、ここにいるよ」",
"361000531_25": "「今回はあなたと一緒に戦えってことなのね。\\n 心強いわ」",
"361000531_26": "「マリアさんにそう言ってもらえてよかった。\\n 行きましょうッ」",
"361000531_27": "「ええッ!」",
"361000531_28": "「覚悟なさいッ!\\n これ以上、あなたたちの好き勝手にはさせないッ」",
"361000531_29": "「わたしたち、舞台少女の想い……。\\n レヴューで伝えてみせるッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,58 @@
{
"361000532_0": "「すごい数……気を付けて」",
"361000532_1": "「ええ……ッ!」",
"361000532_2": "(オーディションの回数を重ねるごとに、\\n 相手も手強くなっている……",
"361000532_3": "(みんなは大丈夫かしら……)",
"361000532_4": "(特に翼は……何か引っかかってる様子だったし)",
"361000532_5": "「どんな天才でも、歯車が1つ食い違っただけで、\\n 動けなくなってしまう……」",
"361000532_6": "「些細なスランプが原因で、舞台を下りてしまった人なんて\\n この世界では珍しくもないでしょ」",
"361000532_7": "「それは……」",
"361000532_8": "「結局、そういうのは自分で乗り越えるしかないからね。\\n 残念だけど……」",
"361000532_9": "「迷いは自分で乗り越えるしかない、か……」",
"361000532_10": "「翼……?」",
"361000532_11": "「スランプを乗り越えられなかったら……、\\n その時、わたしはどうなってしまうのだろう」",
"361000532_12": "「……思い悩むことなんてないのよ、あなたは」",
"361000532_13": "「早く、翼の元に向かわなきゃ……だから、今はッ!」",
"361000532_14": "「こっちはわたしに任せてッ!」",
"361000532_15": "「わたしが相手ッ!!」",
"361000532_16": "「助かるわッ!」",
"361000532_17": "「この調子で行けば――」",
"361000532_18": "「マリアさんッ!」",
"361000532_19": "「しまったッ!?」",
"361000532_20": "「うッ! うぅ……」",
"361000532_21": "「ごめんなさい、わたしのせいで……」",
"361000532_22": "「言ったでしょ……、\\n まず、自分のことを考えて……」",
"361000532_23": "「え?」",
"361000532_24": "「マリアさんがそんなかっこ悪いレヴューをしてたら、\\n 翼さんはどう思うかな……」",
"361000532_25": "「そ、それは……」",
"361000532_26": "「舞台少女は仲間であると同時に、\\n ライバルだから――」",
"361000532_27": "「翼さんも、マリアさんが想像もしないような\\n レヴューを魅せるようになるかもって」",
"361000532_28": "「今は翼さんを信じて、わたしたちはわたしたちの\\n レヴューを魅せるしかない……違う」",
"361000532_29": "「……そうね、翼は日々成長している。\\n わたしだって、負けていられないッ」",
"361000532_30": "「かかっていらっしゃいッ!\\n わたしが相手になるわッ」",
"361000532_31": "「すごい、マリアさん……」",
"361000532_32": "「もう、感心してる場合?\\n あなたも舞台少女なのでしょう」",
"361000532_33": "「そう言われたら、やるしかないよね……ッ!」",
"361000532_34": "「わたしも魅せます、『キラめき』をッ!!」",
"361000532_35": "「やっぱりあなたは凄まじいわ……。\\n だからこそ燃えてくるッ」",
"361000532_36": "「よーし、どんどん行こうッ!」",
"361000532_37": "「ええ、こんな連中に止められる\\n わたしたちではないッ」",
"361000532_38": "(わたしったら、何をしていたのかしら……。\\n 翼はこの世界に来てもなお、努力を続けている",
"361000532_39": "(今、思い悩んでいることがあったって、\\n 懸命に答えを見つけ出して、きっと乗り越えてみせる……",
"361000532_40": "(そんな彼女に不甲斐ない姿を見せるわけにはいかない。\\n それに……",
"361000532_41": "「わたしはッ!\\n 翼を信じるッ」",
"361000532_42": "「それじゃあ、\\n 最後の仕上げといきますか」",
"361000532_43": "「ええ、そうね」",
"361000532_44": "「<size=40>ポジションゼロッ!</size>」",
"361000532_45": "「また舞台機構が動き始めた……」",
"361000532_46": "「やっと終わったのね……」",
"361000532_47": "「マリアッ!\\n 大丈夫かッ」",
"361000532_48": "「ええ、大丈夫よ。\\n あなたに引けを取るようなわたしじゃないわ」",
"361000532_49": "「ああ、そうだったな……。\\n すまない、心配には及ばなかったな」",
"361000532_50": "「いいえ、こんな大きな口を叩いておいて、\\n わたしだってあなたが心配で堪らなかったもの」",
"361000532_51": "「でも、翼。あなたも、わたしに引けを取るような\\n あなたじゃないでしょう」",
"361000532_52": "「……ああ。\\n そうでありたいのだが……」",
"361000532_53": "(マリアも、立花も、舞台少女としての『キラめき』を\\n ものにしている……",
"361000532_54": "(なのに、わたしだけ、まだ……)",
"361000532_55": "「…………」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,47 @@
{
"361000611_0": "わたしたちの約束",
"361000611_1": "「すまない。\\n 早い時間から自主練に付き合わせてしまって」",
"361000611_2": "「いいえ。\\n 一緒に練習することで、わたしも学ぶことがあるから」",
"361000611_3": "「じゃあ、早速殺陣の動きを合わせてみましょう」",
"361000611_4": "「ああ、頼む」",
"361000611_5": "「行くわよ、せーのッ!」",
"361000611_6": "「ハァッ! フッ!」",
"361000611_7": "「ヤァッ!!\\n ……スムーズに動けているわ、さすがね」",
"361000611_8": "「しかし、まだ改善の余地はある。どうしたら、\\n もっと華麗に立ち回ることができるのだろうか……」",
"361000611_9": "「あなたを見ていると、\\n ロンドンの演劇学校にいた頃を思い出すわ」",
"361000611_10": "「その時の先生が教えてくれたの。一流の者は\\n 道を極めし時、常に勤勉な『生徒』である……って」",
"361000611_11": "「あなたほどの歌手がレヴューを前にして、\\n こんなに懸命にレッスンを重ねている」",
"361000611_12": "「わたしも懸命に励まなきゃって気持ちになる」",
"361000611_13": "「一流は常に勤勉な『生徒』……か」",
"361000611_14": "「神楽はそう言ってくれるが、実際のわたしは防人としても\\n アーティストとしても、未熟者」",
"361000611_15": "「ましてや、舞台少女としては一流などとは程遠い……」",
"361000611_16": "「皆の期待に応えるため、\\n 少しでも一流に近づきたいのに……」",
"361000611_17": "「翼……」",
"361000611_18": "「あなたが、別の世界の人なのが残念」",
"361000611_19": "「共に舞台に立つことができれば、\\n さぞ演じ甲斐があったでしょうに」",
"361000611_20": "「そうか……」",
"361000611_21": "「……なぁ、神楽は舞台に立つことが怖くなることはないか?」",
"361000611_22": "「そうね……。\\n あなたは怖いの」",
"361000611_23": "「ああ……思ってしまうのだ。\\n こんなわたしが、ステージに立っていてよいのかと」",
"361000611_24": "「……わたしもね、迷ったことがあるわ」",
"361000611_25": "「それこそ、もう二度と舞台に立てなくなるほどに」",
"361000611_26": "「神楽ほどの者でも……」",
"361000611_27": "「聞かせてくれないか?\\n その迷いから、どのように再起したのか」",
"361000611_28": "「わたしには『約束』があったから、\\n もう一度舞台と向き合えたのかもしれない」",
"361000611_29": "「約束……?」",
"361000611_30": "「ええ、この髪飾りはその証。\\n 華恋とわたしは同じ舞台に立つと昔、誓い合ったの」",
"361000611_31": "「子供の頃に交わした約束だから、覚えているのは\\n わたしだけだと思っていたけれど――」",
"361000611_32": "「でも、華恋は覚えていてくれた。\\n 『2人でスタァライトの舞台に立とう』って」",
"361000611_33": "「華恋との約束はわたしの舞台少女としての原点。\\n それと同時に、わたしが舞台に立ち続ける理由でもある」",
"361000611_34": "「さっき、翼は舞台に立つのが怖くなることがあると\\n 言ったけれど……」",
"361000611_35": "「あなたが舞台に上がる理由って何?」",
"361000611_36": "「それは、当然ファンの皆のためだ。\\n 風鳴翼を待ってくれている人の気持ちに応えたい」",
"361000611_37": "「そう……」",
"361000611_38": "「それじゃあ、翼はファンがいなくなったら、\\n 何も期待されなくなったら唄うことを辞めてしまうの」",
"361000611_39": "「そ、それは……」",
"361000611_40": "「そうだろう。聴いてくれる相手がいなくなったら、\\n わたしに唄う資格はないのではないか」",
"361000611_41": "「唄うことに資格なんているのかしらね」",
"361000611_42": "「……」",
"361000611_43": "(唄う……今まで当たり前のようにしてきたことだからか、\\n 考えがまとまらない",
"361000611_44": "「わたしにとって『唄う』とはなんなのだろうか……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,59 @@
{
"361000621_0": "「つ、疲れたぁ……」",
"361000621_1": "「お疲れ、響ちゃん。\\n 練習、飛ばしすぎちゃったかな」",
"361000621_2": "「ううん、とっても楽しかったッ!\\n 今日も付き合ってくれてありがとう、華恋ちゃん」",
"361000621_3": "「……あれ? いい匂いがする」",
"361000621_4": "「練習、お疲れさま」",
"361000621_5": "「頑張ってる2人のために、とーっても美味しい\\n 晩ご飯作っておいたよ」",
"361000621_6": "「わぁッ! ありがとうッ!」",
"361000621_7": "「もうお腹ペコペコだよ~」",
"361000621_8": "「それじゃあ、早速晩ご飯にしようか」",
"361000621_9": "「あら、他の2人は?」",
"361000621_10": "「翼ちゃんもひかりちゃんも、今日はじっくり『女神の歌』の\\n 戯曲を読みたいって言ってたから――」",
"361000621_11": "「それぞれ、自分の部屋にいるんじゃないかな」",
"361000621_12": "「それなら、2人とも呼んでこないと」",
"361000621_13": "「えッ!?\\n そ、それは……」",
"361000621_14": "「どうかしたの?」",
"361000621_15": "「えっと、その、\\n わたしたちのお部屋に行くのは……ッ」",
"361000621_16": "「入るわよ」",
"361000621_17": "「だ、ダメ~~~ッ!!」",
"361000621_18": "「こ、これは……」",
"361000621_19": "「あぁ、マリアさんに見られちゃった……」",
"361000621_20": "「アハハッ! 翼とひかりって、こんなところまで\\n 似た者同士なのね」",
"361000621_21": "「どういうことですか……?」",
"361000621_22": "「ねえ、翼たちの部屋を見てみて」",
"361000621_23": "「えッ、2人のお部屋を?」",
"361000621_24": "「そんな、だ、ダメですよッ!\\n わたしたちのお部屋は……ッ」",
"361000621_25": "「……わぁッ!\\n わ、わたしたちのお部屋と一緒ッ」",
"361000621_26": "「な、何事だ? 一体」",
"361000621_27": "「――せッ! \\n 説明させてくださいッ」",
"361000621_28": "「あ……あの……翼さんとわたしだと、\\n なかなかお片付けできなくて……」",
"361000621_29": "「マリアさんも、身内の恥をさらすだなんて\\n 鬼ですよ……」",
"361000621_30": "「ひかりちゃんと翼さん、\\n こんな共通点があったなんて」",
"361000621_31": "「翼があなたにはいろんなことがさらけ出せる理由が\\n わかった気がするわ」",
"361000621_32": "「そう……」",
"361000621_33": "「4人のお部屋はちゃんとお掃除しないとね」",
"361000621_34": "「でも、その前に晩ご飯にしましょ」",
"361000621_35": "「そうだねッ!\\n もうお腹ペコペコ」",
"361000621_36": "「温かいうちにいただきましょう」",
"361000621_37": "「は~いッ!」",
"361000621_38": "「そもそも、何故すぐに使うタオルを\\n わざわざクローゼットの奥にしまわなくちゃならないの」",
"361000621_39": "「何故なのだ?」",
"361000621_40": "「わからない。ただ、そういう決まりだから、と」",
"361000621_41": "「ふむ、古き風習に縛られていては新しきは生まれない。\\n 規則とは、常に見直していくべきだろう」",
"361000621_42": "「マリアさん……。\\n わたしの考え方は古いのでしょうか……」",
"361000621_43": "「いえ、あなたは間違っていない。\\n 何も間違っていないわ。けれど……」",
"361000621_44": "「そうよね、必要なものが手元にあるのが\\n 生活していく上で一番効率的なのに」",
"361000621_45": "「その通りだ。すぐに再び使うかもしれないものを、\\n 見えない場所に隠してしまうのも不条理というものだろう」",
"361000621_46": "「ええ、ええ。わかるわ。\\n 今度、まひるが戻ってきたら――」",
"361000621_47": "「……絶対叱られると思うよ……」",
"361000621_48": "「華恋、どうしてッ!?」",
"361000621_49": "「部屋を散らかしてると、\\n 物がなくなるから……」",
"361000621_50": "「華恋ちゃんが常識人みたいなこと言ってるッ!?」",
"361000621_51": "「よ……よかった……。そうだよね。\\n わたし、自分の中の良識が揺らぎかけていました……」",
"361000621_52": "「気を強く持ちなさい。そのためにも……、\\n ルームメイトであるあなたが、しっかりするのよ」",
"361000621_53": "「わかりましたッ! 強い意志で、お片付けしますッ!」",
"361000621_54": "「おのれ、多勢に無勢とはまさにこのこと……」",
"361000621_55": "「けど、初めて味方に出会えたわ。ならば、いつの日か\\n わたしたちの考えが認められる日も来るはずよ」",
"361000621_56": "「多分、来ないんじゃないかな……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,26 @@
{
"361000631_0": "「このシーンで『女神の歌』のお話は\\n おしまいなんですよね……」",
"361000631_1": "「ええ、そのはずよ」",
"361000631_2": "「それじゃあ、最後のシーンやってみましょう」",
"361000631_3": "「わ……わたしを……お傍に……?\\n ……アポロン様の……」",
"361000631_4": "「フッ、負けたわ。やるじゃない。\\n あんたの歌、あたしの胸にも響いたわ」",
"361000631_5": "「アポロン様のこと、お願いね」",
"361000631_6": "「そんな……わたしが、アポロン様の……なんて……」",
"361000631_7": "「前を向きなさいな。\\n アポロン様が認めてくださったのよ」",
"361000631_8": "「それに……あたしたちには歌がある。\\n だから、心配しないで」",
"361000631_9": "「わたしたちが唄い続けている限り、\\n 世界のどこにいても繋がり続けるんだから」",
"361000631_10": "「……はい。\\n みなさまも、どうか、お達者で……」",
"361000631_11": "「……って感じだね」",
"361000631_12": "「皆それぞれ想いを抱えていて、\\n まさに信念のぶつかり合いだった」",
"361000631_13": "「うん……いいお芝居で、いいお話で……。\\n だからこそ思うんだけど……」",
"361000631_14": "「離れ離れになってしまって、なんだか可哀想……」",
"361000631_15": "「でも、セリフにあったでしょ?\\n 女神たちは歌で繋がってるって」",
"361000631_16": "「けど、最初にみんなで楽しそうに唄ってたことを思い出すと、\\n なんだか悲しくなってきちゃって……」",
"361000631_17": "「響ちゃん……」",
"361000631_18": "「さて、こうして最後まで演じてもらったところだけど……」",
"361000631_19": "「何か、わかったことはあるかしら?」",
"361000631_20": "「正直なところ、闇の舞台少女の想いの深いところはわからない。\\n けれど……終幕は近い、ということね」",
"361000631_21": "「待っているのは、きっと闇の舞台少女との最終決戦ッ!」",
"361000631_22": "「うん、だから……」",
"361000631_23": "「行くしかないよねッ!\\n 最速で、最短で、まっすぐに、一直線にッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,48 @@
{
"361000641_0": "(わたしにとって『唄う』とは……、\\n 『ステージに立つ』とはどういうことなのだろう",
"361000641_1": "(あの時、神楽に問われたことが引っかかる――)",
"361000641_2": "「あなたが舞台に上がる理由って何?」",
"361000641_3": "「それは、当然ファンの皆のためだ。\\n 風鳴翼を待ってくれている人の気持ちに応えたい」",
"361000641_4": "「そう……」",
"361000641_5": "「それじゃあ、翼はファンがいなくなったら、\\n 何も期待されなくなったら唄うことを辞めてしまうの」",
"361000641_6": "「そ、それは……」",
"361000641_7": "(あの時、わたしは何も答えることができなかった……)",
"361000641_8": "(今、同じことを問われたら……、\\n わたしははっきりと答えることができるだろうか",
"361000641_9": "(いや……今のわたしでは――)",
"361000641_10": "「……どうかしましたか?」",
"361000641_11": "「えッ……」",
"361000641_12": "「台本をじーっと見つめたままだから、\\n どうかしたのかなって」",
"361000641_13": "「あぁ、すまない。なんでもないんだ」",
"361000641_14": "「何か心に引っかかることがあるなら、言ってくださいねッ!」",
"361000641_15": "「ああ……」",
"361000641_16": "「舞台少女はライバルでもあるけど、仲間だから。\\n 翼さんは人じゃないですよッ」",
"361000641_17": "「とっても心強いマリアさんに、\\n 翼さんのことが大好きな響ちゃん」",
"361000641_18": "「わたしも、ひかりちゃんも、ばななもいますからッ!\\n 」",
"361000641_19": "「愛城……ありがとう」",
"361000641_20": "「オーディションの通知……」",
"361000641_21": "「終幕が近いということは、\\n これが最後のオーディションになるかもしれないわね」",
"361000641_22": "「碧菜さん……わたしたちの気持ち、伝わるかな」",
"361000641_23": "「伝えるんだよッ!」",
"361000641_24": "「うん、そうだったねッ!」",
"361000641_25": "「レヴューで精一杯伝えるんだ、\\n こんな悲しいステージはやめようって」",
"361000641_26": "「ここで立ち止まるわけにはいかないわ。\\n 行きましょう」",
"361000641_27": "「ええ」",
"361000641_28": "「翼も、行くわよ」",
"361000641_29": "「……ああ」",
"361000641_30": "終幕のレヴュー",
"361000641_31": "「碧菜さんは……?」",
"361000641_32": "「まだお出ましじゃないようね」",
"361000641_33": "「ということは――」",
"361000641_34": "「やっぱりあなたたちなのね」",
"361000641_35": "「さぁ、行くわよ。みんなッ!」",
"361000641_36": "「ええ」",
"361000641_37": "「わたしたちの相手はあなたたちじゃないッ!」",
"361000641_38": "「井手碧菜、早く出てきなさい……\\n 舞台少女として、あなたに問いたいことがあるッ」",
"361000641_39": "「この音はまた……舞台装置が動き始めたッ!」",
"361000641_40": "「またそれぞれに分かれて、\\n レヴューに挑まなくてはならないのか……」",
"361000641_41": "「終幕のレヴュー、\\n 彼女はわたしたち人でのレヴューを望んでいるようね」",
"361000641_42": "「ああ、そのようだな」",
"361000641_43": "「でも、終幕のラストシーン。\\n ステージに立っているのはわたしたちよ」",
"361000641_44": "「そうだな」",
"361000641_45": "「こんなところで折れるわたしではないッ!\\n 風鳴る剣にて、参るッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,28 @@
{
"361000642_0": "「これまで鍛錬に付き合ってもらった神楽に\\n 無様な姿は見せられない……」",
"361000642_1": "「覚悟ッ!!」",
"361000642_2": "「まだまだッ!」",
"361000642_3": "「踏み込みすぎよッ!」",
"361000642_4": "「しまったッ!」",
"361000642_5": "「しっかりして、翼ッ!」",
"361000642_6": "「すまない……わたしはすぐに己を見失い、\\n 神楽の足手まといになってしまう」",
"361000642_7": "「何を言ってるのッ!」",
"361000642_8": "「あなたの中にはきちんと答えがあるはず。\\n これ以上、見失わないで。自分をッ」",
"361000642_9": "「神楽……」",
"361000642_10": "「もう一度聞くわ。あなたは何のために舞台に立つの?」",
"361000642_11": "「それは……」",
"361000642_12": "「く……ッ!」",
"361000642_13": "(講義を受け、鍛錬を積んだというのに……\\n 何故だッ 何故、わたしはこんなにも……ッ",
"361000642_14": "「危ないッ!」",
"361000642_15": "「ッ! もはやこれまでか……ッ!?」",
"361000642_16": "「うわああああああッ!」",
"361000642_17": "「翼ーーーーーッ!」",
"361000642_18": "「翼さんを1人にはしませんッ!!!」",
"361000642_19": "「立花ッ!?\\n 舞台は分断されているのに……どうやって、ここに」",
"361000642_20": "「舞台が繋がったんですッ!\\n きっと、舞台がわたしの気持ちに応えてッ」",
"361000642_21": "「翼さんの『キラめき』を奪われるわけにはいかないからッ!」",
"361000642_22": "「行くよ、響ちゃんッ!」",
"361000642_23": "「うんッ!」",
"361000642_24": "「立って、翼。\\n わたしたちは、まだここで倒れるわけにはいかないわ」",
"361000642_25": "「皆……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,18 @@
{
"361000651_0": "「皆に助けられるばかりで、\\n なんと不甲斐ない……」",
"361000651_1": "「そんなことないですよ」",
"361000651_2": "「わたしは、翼さんの歌を聴くために、\\n 舞台機構を飛び越えてやってきたんです」",
"361000651_3": "「翼さんの歌、翼さんの『キラめき』のために」",
"361000651_4": "「言ったわよね、あなたは\\n トップを駆けるアーティストだって」",
"361000651_5": "「もっと大きなステージが、あなたを待っているわ」",
"361000651_6": "「だから……ここで、\\n 『キラめき』を奪われている場合じゃないのよ」",
"361000651_7": "「ねぇ、翼。\\n みんな、あなたの歌を待っているのよ」",
"361000651_8": "「そんなあなたの『キラめき』が足りないはずはないッ!」",
"361000651_9": "「信じて、あなたに秘められた『キラめき』を」",
"361000651_10": "「そして、あなたが大切にしてきた『唄う』ということを」",
"361000651_11": "「唄うということ……」",
"361000651_12": "「さぁ行くわよ、翼。共に」",
"361000651_13": "「強く掲げた掌すり抜け、奈落に落としたあの日の誓い。\\n 再びのぼる運命の舞台、例え悲劇で終わるとしても」",
"361000651_14": "「99期生、神楽ひかり。\\n すべてはスタァライトのためにッ」",
"361000651_15": "「そして、防人・風鳴翼。\\n 舞台少女として、いざ尋常に……勝負ッ」"
}

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@ -0,0 +1,16 @@
{
"361000711_0": "闇の舞台少女は宣言する",
"361000711_1": "「これ以上、皆に\\n 不甲斐ない姿を見せるわけにはいかない……ッ」",
"361000711_2": "「その調子よッ!」",
"361000711_3": "「すごい……これが……」",
"361000711_4": "「翼さんの持っている『キラめき』……」",
"361000711_5": "「行くわよ。\\n 最後の仕上げッ」",
"361000711_6": "「ああ、これで終わりにするッ!!」",
"361000711_7": "「よし……ッ!」",
"361000711_8": "「これで、あとは……ッ!」",
"361000711_9": "「ッ! 照明が落ちたということは……」",
"361000711_10": "「彼女のお出ましね」",
"361000711_11": "「見せてもらったわ、\\n 眩いばかりの『キラめき』を」",
"361000711_12": "「けれど……すべては無意味に終わる」",
"361000711_13": "「わたしの圧倒的な『キラめき』の前ではッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,29 @@
{
"361000712_0": "「きゃあッ!」",
"361000712_1": "「これがあの子の本気……」",
"361000712_2": "「このオーディションが『女神の歌』に基づいているなら、\\n ここからはラストシーンのはず」",
"361000712_3": "「本来であれば、女神たちが\\n 互いをたたえ合っているシーンのはずよ」",
"361000712_4": "「互いをたたえ合うなんて、できるはずない……。\\n だって、選ばれた女神は人だけ」",
"361000712_5": "「選ばれた者に選ばれなかった者の気持ちなんて、\\n わかるはずがないッ」",
"361000712_6": "「すッ……すごい力……ッ!」",
"361000712_7": "「こんな力を持っていたなんて……」",
"361000712_8": "「わたしたちも相手も舞台少女。\\n 根底にあるのは同じもののはず」",
"361000712_9": "「なのに、どうしてここまで……?」",
"361000712_10": "「わたしとあなたたちが同じ舞台少女?\\n その認識から間違っているわ」",
"361000712_11": "「わたしは、選ばれし舞台少女なのよッ!」",
"361000712_12": "「それは、この狂ったオーディションに選ばれた、\\n ということかしら」",
"361000712_13": "「こんなものは茶番劇にすぎない。\\n わたしが立つべき舞台はただつ」",
"361000712_14": "「『女神の歌』の主役……ッ!」",
"361000712_15": "「なのに……よりにもよって、メレテー役だなんて……。\\n 主催者たちの目は節穴なのッ」",
"361000712_16": "「やはりお前は、\\n 井手……碧菜……」",
"361000712_17": "「わたしは主役になるため、\\n ずっと努力に、努力を重ねてきた……ッ」",
"361000712_18": "「その努力が足りなかっただなんて、認めないッ!」",
"361000712_19": "「…………」",
"361000712_20": "「その努力が認められたからこそ、わたしは導かれたのよ。\\n 学校の倉庫の奥に眠る『黄金のリボン』のもとへ」",
"361000712_21": "「それを手にしたとき、わたしは知ったの。ここで\\n 『キラめき』を競い合うオーディションが行われていることを」",
"361000712_22": "「そして、このリボンの力をもってすれば、\\n そのルールを自由に書き換えることができるとッ」",
"361000712_23": "「リボンにそんな力が……?\\n それは恐らく……」",
"361000712_24": "「いや、間違いなく聖遺物……ッ!」",
"361000712_25": "「わたしがレヴューを行う理由はただ1つッ!\\n 我が障害となる舞台少女の『キラめき』を奪うためッ」",
"361000712_26": "「他の主役候補となる舞台少女の『キラめき』を\\n 奪い尽くしてやるのよッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,31 @@
{
"361000721_0": "「あなたたちの『キラめき』を奪って、\\n わたしだけがスポットライトを浴びてみせる……ッ」",
"361000721_1": "「うわあああああッ!?」",
"361000721_2": "「大丈夫ッ!?」",
"361000721_3": "「あなたに他人の心配をしている余裕はあるのかしら?」",
"361000721_4": "「ああッ!!」",
"361000721_5": "「マリアさんッ! わたしが……わたしがみんなを\\n 護らなきゃ……ッ」",
"361000721_6": "「そんなことができると思うの?」",
"361000721_7": "「リボンから、そして、数多の舞台少女から奪い取った\\n この『キラめき』の前でッ」",
"361000721_8": "「きゃあああああああッ!」",
"361000721_9": "「大場ッ! わたしは……防人として、あまりに……」",
"361000721_10": "「そんなことないよッ!」",
"361000721_11": "「愛城……?」",
"361000721_12": "「さっきの、ひかりちゃんとのデュエット、\\n すごくカッコよかった」",
"361000721_13": "「思わず嫉妬しちゃうくらいに。\\n そんな翼さんなら……ッ」",
"361000721_14": "「そうよ、翼。迷わないでッ!」",
"361000721_15": "「神楽……」",
"361000721_16": "「あなたに思い出してほしいの。\\n あなた自身が唄う、本当の理由を」",
"361000721_17": "「脇役風情が、無駄なことを」",
"361000721_18": "「きゃあッ!」",
"361000721_19": "「うぅ……」",
"361000721_20": "「愛城ッ! 神楽ッ!」",
"361000721_21": "「翼さんなら、絶対に……、\\n もっと輝ける……から……」",
"361000721_22": "「自分自身の気持ちを……、\\n 信じて……ッ」",
"361000721_23": "「…………」",
"361000721_24": "「残すところは、あなた1人のようね」",
"361000721_25": "「神楽も、愛城も、大場も……。\\n あなたと同じ舞台を愛する舞台少女だった」",
"361000721_26": "「なのに……何故、こんな悲しい戦いを\\n 続けなければならない……」",
"361000721_27": "「それは、アポロンも言っていたでしょう?」",
"361000721_28": "「傍にいるのは1人でいい、とッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,22 @@
{
"361000722_0": "「フフッ、やはりあなたの『キラめき』は不十分……。\\n その程度では、観客は満足してくれないわ」",
"361000722_1": "「な、んだと……?」",
"361000722_2": "「剣が鈍ってるわよ。\\n 何か、心当たりでもあるのかしら」",
"361000722_3": "「それは……」",
"361000722_4": "「あなたは、わたしには勝てないの。\\n 何故ならば……」",
"361000722_5": "「あなたの『キラめき』は、\\n わたしに到底及ばないからッ」",
"361000722_6": "「わたしの、上掛けが……」",
"361000722_7": "「わたしは……負けたのか……?」",
"361000722_8": "「そう、負けたのよ。わたしの『キラめき』の前に」",
"361000722_9": "「この『キラめき』は努力の結晶。\\n わたしの人生そのもの」",
"361000722_10": "「そんなわたしこそ、\\n 主役の座に相応しい……ッ」",
"361000722_11": "「そうか……わたしは……」",
"361000722_12": "「もう、わたしに匹敵する『キラめき』の持ち主はいない」",
"361000722_13": "「こんなわたしを見れば、あの大人たちだって、\\n わたしを主役に選ばざるを得ないでしょう」",
"361000722_14": "「やっと……やっと、この時がやって来たのね……。\\n 心から求め続けた、この瞬間……ッ」",
"361000722_15": "「もう決して誰にも譲らない……。\\n この『わたし』が主役ッ」",
"361000722_16": "「高らかに宣言するわ、",
"361000722_17": " ポジションゼロッ!!!!」",
"361000722_18": "「……どうやら、もう代役も現れないようですね」",
"361000722_19": "「名残惜しいですが、このオーディションは終了のようです」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,26 @@
{
"361000811_0": "すべては奇妙な夢なのか?",
"361000811_1": "「……翼さん、翼さんッ!」",
"361000811_2": "「翼さん、まもなく本番ですよ」",
"361000811_3": "「……本番? ここは……」",
"361000811_4": "「どうかしましたか?」",
"361000811_5": "(一体、わたしは何を……?\\n あれは夢だったのか",
"361000811_6": "(わからない……。\\n けれど、今はステージに集中しなくては",
"361000811_7": "(ステージに上がらなくては……。\\n なのに……なんだろう、この違和感は……",
"361000811_8": "(これまで何度も立ってきたステージ……。\\n この会場だって初めてじゃない",
"361000811_9": "(なのに……まるで、初めてのような感覚……。\\n 緊張ではなく……これは……",
"361000811_10": "「翼さん、お願いします」",
"361000811_11": "(何故、何故身体が動かない……?)",
"361000811_12": "「翼さんッ! もう入りのタイミングですッ!」",
"361000811_13": "「どうしたんですかッ!?」",
"361000811_14": "「……わからないのです」",
"361000811_15": "「翼さん……?」",
"361000811_16": "「わたしはどうしてステージに上がるのか……」",
"361000811_17": "「……」",
"361000811_18": "「わたしはアーティスト・風鳴翼……」",
"361000811_19": "「しかし何故、わたしは唄う?\\n 誰がわたしを求めている……」",
"361000811_20": "「わからない、わからないのです……」",
"361000811_21": "(……待てよ、まさかッ!?\\n あれは夢ではなかったのか……",
"361000811_22": "(何かが欠落してしまったような、この感覚……。\\n 意識をステージに向けても、心と身体が全く動かない……",
"361000811_23": "(『『キラめき』を失う』というのは、\\n こういうことだったんだ……ッ"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,69 @@
{
"361000821_0": "(何故だ、何故なんだ?\\n 何も感情が湧いてこない……",
"361000821_1": "(あの瞬間にわたしが『キラめき』を奪われたから……)",
"361000821_2": "(終幕のラストシーン、ステージに立っていたのは\\n わたしではなく『彼女』だったのだ――",
"361000821_3": "「やっと……やっと、この時がやって来たのね……。\\n 心から求め続けた、この瞬間……ッ」",
"361000821_4": "「もう決して誰にも譲らない……。\\n この『わたし』が主役ッ」",
"361000821_5": "「高らかに宣言するわ、",
"361000821_6": " ポジションゼロッ!!!!」",
"361000821_7": "「そんな……」",
"361000821_8": "「これで……終わり……?」",
"361000821_9": "「ええ、そうよ。\\n あなたたちの舞台少女人生はここでおしまい」",
"361000821_10": "「アハハッ! 可哀想……。\\n 舞台少女が『舞台』を失ったら何が残るっていうの」",
"361000821_11": "「せいぜい、刺激のない無味な時間を生きればいい……\\n それがステージに居場所を作れなかった者の運命ッ」",
"361000821_12": "「みんなの『キラめき』が奪われて……」",
"361000821_13": "「もうステージには立てないというの?\\n そんなこと……許せるわけ……ッ」",
"361000821_14": "「笑わせないで、何が『許せない』よ。\\n 胸の張り裂けそうな想いをしたことがあなたたちにある」",
"361000821_15": "「わたしは……わたしの力で『居場所』を作っただけッ!\\n 努力は何よりも尊いのよ……努力は才能を凌駕するのッ」",
"361000821_16": "「何を言ってるの?\\n これはあなたの努力ではない、聖遺物の力よ……」",
"361000821_17": "「そうだよ……碧菜さん、もうこんなことやめよう?」",
"361000821_18": "「去年の選考を受けた人たちは、\\n みんな碧菜さんのことを認めてた」",
"361000821_19": "「そんな素敵な舞台少女なら、\\n きっと今年の選考だって――」",
"361000821_20": "「うるさいうるさいうるさいッ!!」",
"361000821_21": "「あなたたちには絶対わからない……。\\n 物心ついた頃から全部をステージのために捧げてきた……」",
"361000821_22": "「すべて背負ってきたのよ、周囲からの期待に\\n 『できる子』としてのプレッシャーも……」",
"361000821_23": "「去年だってそうよ、わたし以外に主役をやる子なんて\\n いないってみんなが口を揃えて言っていたわ……」",
"361000821_24": "「なのにあのザマッ!!」",
"361000821_25": "「選考結果が発表された瞬間、\\n みんながわたしの顔色をうかがうのよ」",
"361000821_26": "「その時の目……今でも忘れられない。\\n 『あぁ、可哀想に』『あの子もこれで終わりね』って」",
"361000821_27": "「口では『きっと調子が悪かったのよ、またチャンスが』なんて\\n 言って、心の内ではわたしを嘲笑って……ッ」",
"361000821_28": "「そんなこと……」",
"361000821_29": "「だから、誓ったの。\\n どんなことをしてでも主役を勝ち取ってみせる……」",
"361000821_30": "「それがわたしが最後にできる『努力』だから」",
"361000821_31": "「さぁ、哀れな舞台少女たち……ッ!\\n 歌とステージとお別れしてちょうだいッ」",
"361000821_32": "「……このままじゃ、わたしたちも捕らえられて、\\n どこかに連れ去られちゃう」",
"361000821_33": "「このようなところで\\n 膝を折っている場合ではない。だが……ッ」",
"361000821_34": "「身体が……身体が動かない……」",
"361000821_35": "「それが『キラめき』を失うということ……。\\n もう二度と味わいたくなかった、なのに……」",
"361000821_36": "「でも、諦めない……ッ!\\n こんなの……へいき、へっちゃらッ」",
"361000821_37": "「わたしたちも続きましょうッ!\\n 最後まで諦めない……ッ」",
"361000821_38": "「フッ、嘆かわしい」",
"361000821_39": "「ようやく己の不甲斐なさに気づき、\\n 慌ててもがき始めるとは」",
"361000821_40": "「だとしても……ッ!」",
"361000821_41": "「ここはもうわたしのステージ。\\n そんな無様な姿を見るのはもうたくさんッ」",
"361000821_42": "「あッ……」",
"361000821_43": "「そんな……嘘でしょ……」",
"361000821_44": "「やめてッ!!\\n もうイヤ……目の前で大切な人を失うのはッ」",
"361000821_45": "「わたしは負けられないッ!\\n だって、わたしは……わたしは……ッ」",
"361000821_46": "「99期生、大場なな。\\n わたしが守るの。ずっと何度でもッ」",
"361000821_47": "「ダメよッ!\\n そんなことしたら、あなたまで……ッ」",
"361000821_48": "「わたしが……わたしが守らなきゃ……」",
"361000821_49": "「うッ……ああッ!」",
"361000821_50": "「ななッ!!」",
"361000821_51": "「許さない……\\n 嫉妬に狂ったあなたがステージ立つ資格なんてないッ」",
"361000821_52": "「口を慎みなさいッ!」",
"361000821_53": "「ああああああああッ!」",
"361000821_54": "「マリアッ!!」",
"361000821_55": "「立花に続いて、マリアまで……。\\n わたしは、わたしはもう……」",
"361000821_56": "「翼さん、しっかりしてッ!」",
"361000821_57": "「しまったッ! ここは……舞台の端……?\\n 落ちる……ッ」",
"361000821_58": "「手をッ!」",
"361000821_59": "「神楽……もういい……。\\n もういいんだ……」",
"361000821_60": "「わたしは、舞台に立つ資格などない……」",
"361000821_61": "「何を言っているのッ!」",
"361000821_62": "「ステージにかけるあなたの想いは本物よ。\\n だから――」",
"361000821_63": "「あなたの『キラめき』は奪えない。奪わせない……ッ!」",
"361000821_64": "「あなたに『これ』を託すからッ!\\n 思い出して、あなたの、原点を……ッ」",
"361000821_65": "「すまない、神楽……」",
"361000821_66": "「本当に……すまない……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,64 @@
{
"361000831_0": "(……あの時、わたしは『キラめき』を失ってしまった。\\n だからもう、二度とステージに立つことはできない",
"361000831_1": "(『キラめき』を失ったわたしに、ファンの皆も\\n 失望して去っていくだろう",
"361000831_2": "(わたしはもう、唄えない……。\\n 唄えないわたしなど、存在する意味があるのだろうか",
"361000831_3": "「……これは」",
"361000831_4": "「髪飾り……。\\n これは神楽が大切にしていたものではなかったか」",
"361000831_5": "「わたしには『約束』があったから、\\n もう一度舞台と向き合えたのかもしれない」",
"361000831_6": "「ええ、この髪飾りはその証。\\n 華恋とわたしは同じ舞台に立つと昔、誓い合ったの」",
"361000831_7": "「華恋との約束はわたしの舞台少女としての原点。\\n それと同時に、わたしが舞台に立ち続ける理由でもある」",
"361000831_8": "「神楽が大切にしている髪飾りをわたしに握らせた意味。\\n 神楽はわたしに何を伝えようとしたのか……」",
"361000831_9": "「彼女はわたしに『原点』を思い出せと、\\n 何度も語りかけてくれた……」",
"361000831_10": "「その原点こそが、すべてを失ったわたしに残された\\n 最後の『ひかり』なのかもしれない……ッ」",
"361000831_11": "「…………」",
"361000831_12": "「行かないと」",
"361000831_13": "「皆と、そして、わたしの『原点』を\\n 裏切らぬために……ッ」",
"361000831_14": "「緒川さん、\\n 今日わたしはこのステージで唄うことはできません」",
"361000831_15": "「そんな……」",
"361000831_16": "「ですが、ファンの皆に伝えたいことがあります。\\n 行かせてください」",
"361000831_17": "「この気持ちをきちんと伝えなければ、\\n 仲間たちの元には戻れない……」",
"361000831_18": "「マイクをわたしにくださいッ!」",
"361000831_19": "「集まってくれた皆に、\\n お詫びしなくてはいけないことがあります」",
"361000831_20": "「今からここで、唄うことができないのです。\\n ごめんなさい……本当にごめんなさい」",
"361000831_21": "「多くは語れません。しかし、わたしが唄う理由を\\n 見失いかけた時――」",
"361000831_22": "「必死に語りかけてくれた、支えてくれた仲間が\\n 今わたしを待っている」",
"361000831_23": "「その仲間たちに、わたしがステージに立つ理由を\\n 再確認できたことが伝えられなかったら――」",
"361000831_24": "「わたしはずっと後悔し続ける。",
"361000831_25": " ……だからッ!」",
"361000831_26": "「すべてに打ち勝って、必ずステージに帰ってきます。\\n それまで、わたしの歌を……」",
"361000831_27": "「風鳴翼を、待っていてくれますか……?」",
"361000831_28": "「当たり前だろーッ!」",
"361000831_29": "「だって、俺たちはファンなんだからッ!」",
"361000831_30": "「行ってきてッ!\\n そして、最高の風鳴翼をわたしたちに見せてッ」",
"361000831_31": "「皆……ありがとうッ!」",
"361000831_32": "「闇に心を落とした舞台少女、井手碧菜……。\\n もうわたしは迷わない」",
"361000831_33": "「さあ……防人の生き様、\\n 覚悟を見せてあげる……ッ」",
"361000831_34": "「フ、フフフ……わたしが……わたしこそが、\\n このオーディションの勝者」",
"361000831_35": "「これで、舞台少女たちの『キラめき』は\\n わたしのもの」",
"361000831_36": "「炉に燃料が焚べられ、火が灯った」",
"361000831_37": "「わたしが望む、運命の舞台は……ッ!」",
"361000831_38": "「誰ッ!?\\n わたしの邪魔をするのは……ッ」",
"361000831_39": "「悪いが……今一度、飛び入りさせてもらおうッ!」",
"361000831_40": "「あなたは……ッ!」",
"361000831_41": "「驚きました……が、しかし面白い。\\n 最後の最後まで目が離せませんね、この展開は」",
"361000831_42": "「喜んでいる観客には申し訳ないけれど……、\\n もう決着はついているわ」",
"361000831_43": "「敗者1人がのこのこ戻ってきたところで、\\n 一体何ができるというの」",
"361000831_44": "「わたし1人では、『キラめき』を失って\\n この世界に戻ってくることさえ叶わなかった」",
"361000831_45": "「しかし、愛城に大場、そして神楽が思い出させてくれたのだ」",
"361000831_46": "「わたしはいつの間にか、すっかり己を見失ってしまっていた」",
"361000831_47": "「プロのアーティストである、風鳴翼として\\n ファンの期待に応え続けなければいけないと」",
"361000831_48": "「しかし、神楽は……愛城と大場もわたしを\\n アーティストではなく、いち舞台少女として接してくれた」",
"361000831_49": "「プロのアーティストとしてではなく……、\\n 歌が大好きな、風鳴翼として」",
"361000831_50": "「……いや、立花やマリアとて、ずっとそうだったのだろう。\\n わたしが気づこうとしなかっただけで」",
"361000831_51": "「2人が一緒に舞台に立ってくれたことで、\\n わたしは『原点』に気づくことができたのだ」",
"361000831_52": "「大好きな皆のために……」",
"361000831_53": "「大好きな皆が支えてくれた、わたしのために……」",
"361000831_54": "「わたしは、もう一度この舞台に……立つッ!」",
"361000831_55": "「そして、もう二度と忘れまい。\\n わたしは……」",
"361000831_56": "「唄うことが、大好きなのだと……ッ!」",
"361000831_57": "「こ……これは……再演? いや……ッ!?」",
"361000831_58": "宿願のレヴュー",
"361000831_59": "「素晴らしいッ! 一度倒れた戦士が、\\n 生まれ変わってかつての宿敵に挑むッ」",
"361000831_60": "「これは、再演ではない。第2幕だ。\\n そして……」",
"361000831_61": "「<size=40>終幕としてみせようッ!</size>」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,10 @@
{
"361000911_0": "Revue must go on",
"361000911_1": "「さあ、ここからが本番だ。\\n どちらがステージでキラめくことができるか……」",
"361000911_2": "「決着をつけるぞッ!」",
"361000911_3": "「ここからが本番、ですって……?\\n 勝手に割り込んできた分際で……」",
"361000911_4": "「そうやってあなたは踏み潰すのね、\\n わたしの決死の努力を……」",
"361000911_5": "「そして、すべてをかすめ取っていく……。\\n そんなこと、絶対許せないッ」",
"361000911_6": "「掴んだ主役、絶対に離さない……。このステージで\\n 最高の『キラめき』を魅せるのはこのわたしッ」",
"361000911_7": "「邪魔するというのなら、ただでは済まさない……ッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,16 @@
{
"361000912_0": "「どうしたッ! その程度で今のわたしの『キラめき』を\\n 奪えるとでも思っているのかッ」",
"361000912_1": "「わたしの胸には、数多の舞台少女の『キラめき』が\\n 宿っているというのに……」",
"361000912_2": "「何故終わらせることができないの?\\n この舞台は、わたしの……ッ」",
"361000912_3": "「何故終わらないか、だと?\\n それは……」",
"361000912_4": "「お前にとっての『本当の舞台』が\\n まだ始まってすらいないからだッ」",
"361000912_5": "「何よ、それ……ッ!」",
"361000912_6": "「舞台に立ち続けるうちに、わたしもお前も、\\n『原点』を忘れてしまったのだろう」",
"361000912_7": "「お前は……主役になるために舞台を始めたのかッ!?」",
"361000912_8": "「それは……だけど……舞台少女として……ッ!」",
"361000912_9": "「お前とて、最初から主役に立てたわけではあるまい。\\n それでもお前は舞台に立ち続けた……」",
"361000912_10": "「その頃の想い、本来の舞台への気持ちを――ッ!」",
"361000912_11": "「黙れッ! わたしは……わたしは……ッ!」",
"361000912_12": "「そんなお前に今のわたしが屈するわけがないッ!」",
"361000912_13": "「うるさいッ! 減らず口を叩けないようにしてやるッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,19 @@
{
"361000922_0": "「風鳴翼……あなたは目障りよッ!\\n わたしの舞台から消え去ってッ」",
"361000922_1": "「この舞台の主役はわたしッ!\\n このオーディションの主催はわたしッ」",
"361000922_2": "「わたしによる……わたしのための……、\\n だから……あなたなんて……ッ」",
"361000922_3": "「そのような心構えでは、この舞台に終わりはないッ!」",
"361000922_4": "「お願いだ……思い出してくれ、\\n あなたの舞台への純粋な想い、原点を」",
"361000922_5": "「わたしは……主役に……、\\n『女神の歌』の……ッ」",
"361000922_6": "「それは違うッ!」",
"361000922_7": "「わたしも一度は自分を見失った……。\\n がしかし、再び見つけることができたッ」",
"361000922_8": "「あなたもわたしと同じ情熱を持つ者。\\n 闇に心を堕としてはいけないッ」",
"361000922_9": "「わたしは……わたしは……」",
"361000922_10": "「ただ、演じたかっただけ……。\\n 自分の心を、表現するために……」",
"361000922_11": "「でも……初めての主役が、嬉しくて……。\\n わたしなんかでも、舞台の中心になれるって……」",
"361000922_12": "「けれど……それが……いつしか……」",
"361000922_13": "「気が付いてしまった……どうしよう、わたし……」",
"361000922_14": "「わたしだって再起できたんだ。\\n あなたにできないはずはない」",
"361000922_15": "「そして、そのための――」",
"361000922_16": "「<size=40>ポジションゼロッ!</size>」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,44 @@
{
"361000931_0": "「オーディション、お疲れさまでした。\\n 実に素晴らしいレヴューでしたよ」",
"361000931_1": "「今度こそ、本当に終わったのだな」",
"361000931_2": "「はい、主催が敗れた今、オーディションは中止。\\n 優勝者もなく、集められた『キラめき』も元に戻るでしょう」",
"361000931_3": "「そして、捕らわれていた舞台少女たちも」",
"361000931_4": "「解放された……。\\n 翼さん、ありがとうございますッ」",
"361000931_5": "「ぐっどだよ、翼さん」",
"361000931_6": "「翼ちゃん、バナナイス♪」",
"361000931_7": "「信じていたわ、翼」",
"361000931_8": "「皆……。\\n 本当によかった」",
"361000931_9": "「それが、本当の……、\\n アーティスト・風鳴翼の顔なのね」",
"361000931_10": "「ありがとう。神楽のおかげで、\\n 自分自身を取り戻すことができた」",
"361000931_11": "「……おかえり、翼」",
"361000931_12": "「ただいま」",
"361000931_13": "「オーディションが終わったのだから、\\n わたしたちは帰らねばならないわね」",
"361000931_14": "「えーッ! みんなの舞台、\\n もっと観てみたかったのに」",
"361000931_15": "「でも、我々にも、\\n 我々の帰りを待つ者がいるからな」",
"361000931_16": "「だが、その前にこれは返しておこう」",
"361000931_17": "「わたしの髪飾り……」",
"361000931_18": "「神楽の見せてくれた『原点』のおかげで、\\n わたしも『原点』を取り戻すことができた」",
"361000931_19": "「神楽のおかげで、今のわたし\\n これからのわたしがある。ありがとう」",
"361000931_20": "「そんな……」",
"361000931_21": "「でも、演者として観客に影響を与えるだけでなく、\\n こんな形で誰かの希望になれるなんて……」",
"361000931_22": "「あなたと過ごした時間はわたしにとっても\\n 忘れられないものになったわ。ありがとう」",
"361000931_23": "「この髪飾りにかけて約束する」",
"361000931_24": "「わたしはステージに生きる者としてこれからも\\n 精進せねばならない。さらなる高みを目指して……」",
"361000931_25": "「しかし、唄うことへの想い、\\n 唄うことの楽しさだけは決して忘れない」",
"361000931_26": "「わたしの誓い、受け取ってくれるか?」",
"361000931_27": "「大切な約束が、また増えたみたい」",
"361000931_28": "「あなたにはいろいろなことを教わったわ」",
"361000931_29": "「護るばかりでは相手のためにならない……。\\n これからは共に成長できる関係を築いていくわ」",
"361000931_30": "「うんッ!\\n バナナマフィンの作り方も忘れないでね」",
"361000931_31": "「ええ、もちろんッ!\\n 戻ったら、わたしもみんなに振る舞うわ」",
"361000931_32": "「あなたがみんなを笑顔にするように、わたしも」",
"361000931_33": "「いっぱいいろんなこと教えてくれてありがとうね」",
"361000931_34": "「わたしも先生になるのは初めてだったから\\n すっごく勉強になったよ」",
"361000931_35": "「華恋ちゃんだったら\\n 絶対に夢を叶えられるはずッ」",
"361000931_36": "「いつまでも応援してるからねッ!」",
"361000931_37": "「ありがとう。絶対に叶えるから……\\n ね、ひかりちゃん」",
"361000931_38": "「ええ」",
"361000931_39": "「いつか、また会えるその時まで……」",
"361000931_40": "「さようならとは言わないわ」",
"361000931_41": "「今度はきっと、平和な舞台の上で……。\\n また共に唄い舞おうッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,46 @@
{
"361001011_0": "舞台少女は日々進化中",
"361001011_1": "「オーディションが終わって、\\n みんなが帰って来てくれてよかったねッ」",
"361001011_2": "「留学も入院も、全部なかったことになってたよ。\\n オーディションに参加したみんなは覚えてるけどね」",
"361001011_3": "「改変された情報は元に戻っているのね」",
"361001011_4": "「でも、オーディションのことを覚えているのは\\n 最後に残ったわたしたち人だけでよかったのだけど……」",
"361001011_5": "「いいえ、オーディション参加者みんなに\\n きちんと謝罪がしたいから、覚えていてくれてよかったわ」",
"361001011_6": "「あ、あなたは……ッ!」",
"361001011_7": "「きちんと自己紹介するのは初めてだったわね。\\n わたしは、井手碧菜」",
"361001011_8": "「地下オーディションの主催者。\\n もっとも……」",
"361001011_9": "「力をくれたリボンはボロボロになってしまったから、\\n もう二度と開催することはないわ」",
"361001011_10": "「わざわざわたしたちの学校まで\\n 何をしに」",
"361001011_11": "「もちろん、謝罪よ」",
"361001011_12": "「舞台少女として、とんでもない過ちを犯してしまった……。\\n 心からお詫びするわ」",
"361001011_13": "「到底許されることではないということも、\\n わかっている……」",
"361001011_14": "「舞台少女なら誰しも\\n 『キラめき』たいって願うもの」",
"361001011_15": "「うん。気持ちはわかるよ」",
"361001011_16": "「でも――」",
"361001011_17": "「あなたは、純粋すぎるほどの舞台少女なんですね。\\n だからこそ、観てみたい」",
"361001011_18": "「『女神の歌』の舞台で、あなた自身の『キラめき』を」",
"361001011_19": "「去年その権利を自ら放棄してしまった。\\n そんなわたしが、どんな顔をしてもう一度……」",
"361001011_20": "「舞台少女は日々進化中ッ!\\n 昨日は昨日で今日は今日ッ」",
"361001011_21": "「次の舞台に進みましょう、碧菜さんも」",
"361001011_22": "「……そうね。きっとわたしが前へ進むためには、\\n そこからやり直さなくてはならない」",
"361001011_23": "「わかったわ。選考を受けてみる。\\n この先、何度でも。主役じゃなくても、わたしらしく」",
"361001011_24": "「今度は正々堂々と、ステージで競い合いましょう」",
"361001011_25": "「ええ」",
"361001011_26": "「うわっと、ここって……」",
"361001011_27": "「わたしたちが激励に来た楽屋裏……みたいね」",
"361001011_28": "「ライブはどうなったのだろうか、\\n わたしは観客たちを置いて……」",
"361001011_29": "「翼さん、任務お疲れさまでした。\\n リハーサルの時間は取れませんが、本番には間に合います」",
"361001011_30": "(時間が、進んでいないッ!?)",
"361001011_31": "「先ほどのアルカ・ノイズ出現の件もありますし、\\n 不調であれば、それを理由に延期も……」",
"361001011_32": "「いえ、やりましょう」",
"361001011_33": "「翼さん……?」",
"361001011_34": "「今のわたしは唄いたくて仕方がない……」",
"361001011_35": "「それに、ファンの皆が\\n わたしの歌を待ってくれているのですから」",
"361001011_36": "「わたしだって待ってますよッ!」",
"361001011_37": "「何より誰より……翼自身もね」",
"361001011_38": "「わかりました……ッ!\\n それでは、予定通り進行しましょう」",
"361001011_39": "「ありがとうございますッ!」",
"361001011_40": "「わたしたちも客席から観ているわ」",
"361001011_41": "「あなたの歌、聴かせてちょうだい」",
"361001011_42": "「ああ」",
"361001011_43": "「そうやって耳を傾けてくれる仲間がいるからこそ、\\n わたしはこれからも楽しく唄っていけそうな気がする」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,40 @@
{
"361001021_0": "「翼さん、マリアさん、訓練ありがとうございましたッ!」",
"361001021_1": "「最近の訓練では連携がとても上手くいっているな」",
"361001021_2": "「同じ舞台で演じたからかしら」",
"361001021_3": "「あぁ、あの時の時間が\\n わたしたちを確実に成長させてくれた気がする」",
"361001021_4": "「みなさん、お疲れさまです」",
"361001021_5": "「緒川さん、すぐに支度をしますので\\n 少し待っていてください」",
"361001021_6": "「訓練の後は歌のレッスンなのね」",
"361001021_7": "「その前に翼さんにお話がありまして。\\n 新たなオファーのことなのですが……」",
"361001021_8": "「今回、翼さんにミュージカルへのオファーが来ています」",
"361001021_9": "「ミュージカル?」",
"361001021_10": "「はい。最近発見された古典戯曲の\\n ミュージカル化とのことで――」",
"361001021_11": "「近く、オーディションが開催されますので、\\n 是非参加していただきたい、と」",
"361001021_12": "「すごいですッ! 翼さん、ミュージカルのお仕事って\\n 初めてですよね」",
"361001021_13": "「はい。役者ではないので、お断りしようかとも思ったのですが。\\n 他のライブも控えていますし……」",
"361001021_14": "「とはいえ、お断りをする前に\\n 翼さんの意向を確認しておこうかと思いまして」",
"361001021_15": "「というのも、実はタイトルが……」",
"361001021_16": "「どういったタイトルなのですか?」",
"361001021_17": "「『女神の歌』という戯曲だそうです」",
"361001021_18": "「女神の歌ッ!?」",
"361001021_19": "「それは……」",
"361001021_20": "「緒川さん、やらせてください」",
"361001021_21": "「その戯曲とは、何か強い縁を感じます……。\\n ぜひとも挑戦させてください」",
"361001021_22": "「わかりました。\\n それでは、そのようにお返事させていただきます」",
"361001021_23": "「こちらが『女神の歌』の台本です」",
"361001021_24": "「ありがとうございます」",
"361001021_25": "「不思議なことがあるものだ……」",
"361001021_26": "「まさか、翼さんが『女神の歌』に出演するなんてッ!」",
"361001021_27": "「まだオーディション参加のオファーだ。\\n 出演すると決まったわけではない」",
"361001021_28": "「気を引き締めて挑まなければ……」",
"361001021_29": "「翼さん、練習だったら付き合いますよッ!」",
"361001021_30": "「そうね、わたしたちだったら\\n 力になれるかも」",
"361001021_31": "「ありがとう」",
"361001021_32": "「3人の、いや、4人の舞台少女に\\n わたしの信念や想いが届くように……」",
"361001021_33": "「絶対にこのチャンスは逃したくない」",
"361001021_34": "「その調子よ、翼」",
"361001021_35": "「嬉しい報告ができるよう、\\n 精一杯挑もうッ」",
"361001021_36": "「アーティスト・風鳴翼の新たなステージへ……」",
"361001021_37": "歌:スタァライト九九組\\n作詞中村彼方\\n作曲本多友紀Arte Refact\\n編曲本多友紀Arte Refact"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,19 @@
{
"363000111_0": "わたしが望む星は?",
"363000111_1": "(何故、こんなことになってしまったのか……。\\n いつになったらこの『レヴュー』は終わるのか……",
"363000111_2": "「危ないッ!!」",
"363000111_3": "「大丈夫ですか、翼さんッ!」",
"363000111_4": "「……すまない、わたしとしたことが」",
"363000111_5": "「くッ、まだ現れるというのか……」",
"363000111_6": "「倒しても倒してもキリがないわね」",
"363000111_7": "「それなら、戦い続けるしかありませんッ!\\n ここでわたしたちが負けたら――」",
"363000111_8": "「みんなの『キラめき』が、奪われてしまう……ッ!」",
"363000111_9": "「そうね……それに、この程度でやられる、\\n わたしたちじゃないわッ」",
"363000111_10": "「行くわよッ!」",
"363000111_11": "「負けるかあああッ!」",
"363000111_12": "「立花、マリア……」",
"363000111_13": "(2人が必死になって護ろうとしている、『キラめき』……)",
"363000111_14": "(果たして今のわたしには、\\n 『キラめき』があるのだろうか……",
"363000111_15": "(わからない……。思えば、先ほどのリハーサルの時から、\\n わたしは自分自身を見失っていたんだ――",
"363000111_16": "(しかし、今は目の前の敵に集中しなくては……ッ!)"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,18 @@
{
"363000112_0": "「覚悟ッ!!」",
"363000112_1": "「くッ……何故、効かないのだッ!」",
"363000112_2": "「~~~~~♪」",
"363000112_3": "「こいつら、唄い踊るたびに強くなっている……」",
"363000112_4": "「それなら……ッ!」",
"363000112_5": "「相手に唄い踊る隙を与えなければいいだけッ!\\n これで終わりよッ」",
"363000112_6": "「やったわね」",
"363000112_7": "「さすがです、マリアさんッ!」",
"363000112_8": "「……って、またおかわりッ!?」",
"363000112_9": "「まったく……いつまで続くの?」",
"363000112_10": "(すべては、あのメールを受信した時から\\n 始まったこと……",
"363000112_11": "(つまり、わたしが2人を巻き込んだというのか?)",
"363000112_12": "(わたしは、どうすれば……ッ!)",
"363000112_13": "「果たして、彼女たちに何が起こったのか……。\\n そして、この先にどんな結末が待っているのか……」",
"363000112_14": "「気になりますよね……わかります」",
"363000112_15": "「何故なら私も、あなた方と同じ……。\\n この『レヴュー』の行く先を待ち望んでいるのですから」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,41 @@
{
"363000121_0": "数時間前――",
"363000121_1": "「~~♪」",
"363000121_2": "「……ダメだ、こんなことでは。\\n もうすぐ本番だというのに、わたしは何をしているのだ」",
"363000121_3": "「翼さん、どうされたのですか?」",
"363000121_4": "「緒川さん……」",
"363000121_5": "「実は、自分の歌に納得がいかないのです。\\n このままではステージに上がれない……『何か』が違う……」",
"363000121_6": "「何か、ですか?」",
"363000121_7": "「はい……自分でも何故こんなに、\\n 不甲斐ないのかと思うばかりで……」",
"363000121_8": "「翼さん、この後は通しのリハーサルが控えています。\\n 今のところは、ここまでにしておきましょう」",
"363000121_9": "「これ以上、唄い続ければ喉に負担をかけてしまいますし、\\n 身体を休めて備えておいた方が――」",
"363000121_10": "「いえ、もう一度……もう一度だけ。\\n お願いします」",
"363000121_11": "「……」",
"363000121_12": "「わかりました。\\n でも、次が最後ですよ」",
"363000121_13": "「ありがとうございます」",
"363000121_14": "(……こんな歌では、せっかく足を運んでくれる人たちに、\\n 申し訳が立たない",
"363000121_15": "(皆の気持ちに応えたい……。\\n わたしを待っているすべての人の……",
"363000121_16": "(しかし、このままでは……)",
"363000121_17": "「~~♪」",
"363000121_18": "「ッ!?」",
"363000121_19": "(声が……さっきよりも出ていない……)",
"363000121_20": "(ただでさえ、観客の期待に応えられる領域に達していない、\\n 満足のいかない歌だというのに……",
"363000121_21": "(翼さん……。\\n きっと本番になれば気持ちも切り替えられるとは思いますが",
"363000121_22": "「――ッ!」",
"363000121_23": "「はい、こちら緒川です」",
"363000121_24": "「……はい、はい。今、翼さんはリハーサルに臨むところで……。\\n 響さんとマリアさんが……はい、了解しました」",
"363000121_25": "「見ていましたよ。\\n 本部からの連絡ですね」",
"363000121_26": "「それは――」",
"363000121_27": "「緒川さんはマネージャー業務の時だけ、\\n メガネをかける――」",
"363000121_28": "「電話をしながら、メガネを外すということは指令が入った証拠。\\n それぐらいわかります」",
"363000121_29": "「今回はすでに響さんとマリアさんが対応しています。\\n ですから、翼さんはリハーサルを――」",
"363000121_30": "「しかし、こちらに連絡が来たということは、\\n 苦戦を強いられているということでしょう」",
"363000121_31": "「ならば、わたしも行きますッ!」",
"363000121_32": "「待ってくださいッ!」",
"363000121_33": "「今日は、ライブの本番なんですよ……ッ!」",
"363000121_34": "「わたしは、アーティストであると同時に\\n 防人なのです」",
"363000121_35": "「まだ本番まで時間がある。\\n 急いで片付ければ間に合うはずです」",
"363000121_36": "「お願いします」",
"363000121_37": "「……わかりました。車でお送りします。\\n 任務の詳細は、その際に」",
"363000121_38": "「ありがとうございます。\\n 急ぎましょう、立花とマリアの元にッ」"
}

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@ -0,0 +1,38 @@
{
"363000122_0": "「倒しても倒しても現れるなんて、\\n このままじゃキリがない……」",
"363000122_1": "「でも、今戦えるのは2人だけですッ!\\n わたしたちで頑張りましょうッ」",
"363000122_2": "「ええ、そうね」",
"363000122_3": "「待たせたな。立花、マリアッ!\\n わたしも加勢するッ」",
"363000122_4": "「翼さんッ!?」",
"363000122_5": "「なぜ、あなたがここに?\\n ライブのリハーサル中でしょッ」",
"363000122_6": "「わたしは防人だ、\\n この状況を放っておけるわけがないッ」",
"363000122_7": "「翼さん……」",
"363000122_8": "「わたしたちも行くわよッ!\\n 早く片付けなくっちゃ、翼のファンに申し訳が立たないわ」",
"363000122_9": "「そうですねッ!」",
"363000122_10": "(遅れてしまった分、この剣をもって取り戻さねば)",
"363000122_11": "(だが、歌にもまだ不安が残る……。\\n 先ほどは声の出方に違和感があったし……",
"363000122_12": "(こんなわたしがステージに上がっていいのか?\\n 皆の期待にしっかりと応えられるだろうか……",
"363000122_13": "「しま……ッ!?」",
"363000122_14": "「これで終わりよッ!」",
"363000122_15": "「はぁ、はぁ、はぁ……」",
"363000122_16": "「すまない、マリア。\\n 不覚を取った」",
"363000122_17": "「どうかしたの? あなたらしくもない」",
"363000122_18": "「ああ……」",
"363000122_19": "「何かあったの?」",
"363000122_20": "「実は、来る前の稽古で納得がいかなくてな……」",
"363000122_21": "「そう……」",
"363000122_22": "「でも、そんなに落ち込んでばかりじゃダメよ」",
"363000122_23": "「アーティスト本人が心から楽しんでいないと、\\n 聴いているファンたちだって楽しめないわ」",
"363000122_24": "「……果たしてそうだろうか?」",
"363000122_25": "「え?」",
"363000122_26": "「わたしにはできない。ファンを楽しませることもできずに、\\n 自分が楽しむなんて、そんなことは……」",
"363000122_27": "「翼……」",
"363000122_28": "「翼さん、時間です。\\n 会場に向かいましょう」",
"363000122_29": "「……はい、わかりました」",
"363000122_30": "「いってらっしゃい」",
"363000122_31": "「頑張ってくださいね、\\n 本番にはわたしたちも駆けつけますからッ」",
"363000122_32": "「ああ、また後で」",
"363000122_33": "「……翼さん、大丈夫ですかね」",
"363000122_34": "「気になるわね。\\n 翼らしくない……」",
"363000122_35": "「今日のライブ、無事に終わればいいんだけど……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,39 @@
{
"363000131_0": "「リハーサルお疲れさまでした。\\n 本番までゆっくり身体を休めてください」",
"363000131_1": "「わかりました」",
"363000131_2": "(やはり声が出ていない……。\\n この体たらくでは、ファンの皆を失望させてしまう",
"363000131_3": "(何をしているのだ、わたしは……。\\n さっきも助っ人として駆けつけた場で助けられてしまった",
"363000131_4": "(アーティストとしても、防人としても中途半端……。\\n このままでは……ッ",
"363000131_5": "「翼さーんッ!\\n よかった、間に合ったッ」",
"363000131_6": "「気にかかったから、\\n 様子を見に来たのよ」",
"363000131_7": "「そうか、心配をかけてしまったようだな」",
"363000131_8": "「今日は客席から応援させてもらいますよッ!」",
"363000131_9": "「ありがとう、2人とも。\\n その分、頑張らなくては……」",
"363000131_10": "「翼さん……?」",
"363000131_11": "「大丈夫よ。\\n このライブに向けて、ずっと練習してきたじゃない」",
"363000131_12": "「そうですよ。\\n いつもの翼さんならきっと……」",
"363000131_13": "「いつものわたしでは不十分なんだ」",
"363000131_14": "「え……? それって、どういう……?」",
"363000131_15": "「いつもと同じパフォーマンスを見せても、\\n それは、これまでの焼き増しだ」",
"363000131_16": "「ファンの皆はわたしに期待して、わざわざ時間を割いて\\n この場に集まってくれるんだ」",
"363000131_17": "「その期待にしっかり応えなくては……」",
"363000131_18": "「そんな、大丈夫ですって。\\n みんな翼さんの大ファンなんですからッ」",
"363000131_19": "「……だからこそ、大切にしたいのだ。皆を」",
"363000131_20": "「それができないのなら、\\n わたしがステージに立っている意味なんて――」",
"363000131_21": "「ん? メールの着信音……?\\n マリアさんですか」",
"363000131_22": "「わたしじゃないわ。翼の端末じゃない?」",
"363000131_23": "「どうやら、そのようだ。\\n 差出人が不明だが……」",
"363000131_24": "お持ちなさい",
"363000131_25": "あなたの望んだその星を",
"363000131_26": "「あなたの望んだ……」",
"363000131_27": "「その星……?\\n 一体、なんのことかしら」",
"363000131_28": "「うーん、この文章だと、\\n 翼さんに『何かを望みなさい』ってことなんですかね」",
"363000131_29": "「わたしが何かを望む……?」",
"363000131_30": "(望みか……それならば……)",
"363000131_31": "(常に皆の期待に応えられるアーティストでありたい。\\n そして、世界中に歌を届けたい……",
"363000131_32": "(それができたのなら、わたしは――)",
"363000131_33": "「な、なんですかこれッ!?\\n 地面が揺れて……」",
"363000131_34": "「揺れているのではないッ!\\n 空間ごと、どこかに移動している……ッ」",
"363000131_35": "「どこかって、どこに……ッ!?」",
"363000131_36": "「<size=40>うわあああああああッ!</size>」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,77 @@
{
"363000211_0": "闇のオーディション開幕",
"363000211_1": "「うわあああああああッ!」",
"363000211_2": "「……あれ?」",
"363000211_3": "「どこかへ辿り着いたようだが、\\n 一体ここはどこなんだ」",
"363000211_4": "「あれは……2人とも見てッ!」",
"363000211_5": "「たあッ!」",
"363000211_6": "「はあッ!」",
"363000211_7": "「やあッ!」",
"363000211_8": "「ここは……舞台?」",
"363000211_9": "「誰かが戦っている……」",
"363000211_10": "「あれはお芝居なんですかね?\\n でも……本気で戦ってるように見えます」",
"363000211_11": "「彼女たちは舞台少女」",
"363000211_12": "「舞台少女……」",
"363000211_13": "「――って、ええええぇぇッ!!」",
"363000211_14": "「キリンが喋ってるッ!?」",
"363000211_15": "「上演中に大声を出さないでください。\\n 何に驚いているのかわかりかねますが……」",
"363000211_16": "「あ、あなたは一体……?」",
"363000211_17": "「私はレヴューを心待ちにしている普通の観客です」",
"363000211_18": "「『普通の観客』って」",
"363000211_19": "「ここで行われているレヴューについて、\\n ご存じないのなら、ご説明いたしましょう」",
"363000211_20": "「歌とダンスが織りなす魅惑の舞台\\n 『レヴュー』」",
"363000211_21": "「舞台少女はオーディションとして、\\n レヴューで『キラめき』を競い合っているのです」",
"363000211_22": "「もしかして――?」",
"363000211_23": "「ああ……」",
"363000211_24": "「合格すれば、トップスタァとして、\\n 望む舞台に立つことができるでしょう」",
"363000211_25": "「望む……舞台……?」",
"363000211_26": "「なかなか興味深い話ね。\\n これは、あなたが仕組んだことなの」",
"363000211_27": "「いいえ。私ではありません」",
"363000211_28": "「今回のオーディションは、\\n とある舞台少女によって開催されたものなのです」",
"363000211_29": "「本来はあり得ないことですが……、\\n その舞台少女が手にしたとある力が、可能にしました」",
"363000211_30": "「ゆえに、私も一傍観者にすぎません」",
"363000211_31": "「ですが……ほら、素晴らしい舞台でしょう?」",
"363000211_32": "「2人とも、ここはわたしに任せてッ!」",
"363000211_33": "「いいえ、華恋。わたしも行くわ」",
"363000211_34": "「うん。\\n こんなところで倒れるわけには……ッ」",
"363000211_35": "「鬼気迫るあの殺陣……とても演技だとは思えないわ」",
"363000211_36": "「これは、オーディションだと言ったな?\\n では、判断基準は 審査員はどこにいる」",
"363000211_37": "「審査員は必要ありません」",
"363000211_38": "「より強い『キラめき』を見せることができるか……」",
"363000211_39": "「そして、彼女たちが身に着けている\\n あの上掛け」",
"363000211_40": "「先に相手の上掛けを落とし、ポジションゼロに\\n 立つことができた者が――」",
"363000211_41": "「次のオーディションに進むことができるのです」",
"363000211_42": "「えっと、その『ポジションゼロ』ってなんですか?」",
"363000211_43": "「ステージの中心には印がついているんだ。\\n それをポジションゼロと呼ぶ」",
"363000211_44": "「そこに立つのは、舞台の主役……」",
"363000211_45": "「なるほど……。\\n つまりあの戦いは、舞台の主役を奪い合って……」",
"363000211_46": "「……だけど、主役だけが勝ちで、他の役はみんな負けって、\\n なんだか悲しいですね」",
"363000211_47": "「きっとどんな役だって、いらない人なんていないのに……」",
"363000211_48": "「ちょっと待ってッ!\\n 大変、あの子たち……ッ」",
"363000211_49": "「くッ……」",
"363000211_50": "「うぅ……なんで……」",
"363000211_51": "「わたしたち、負けるわけには……」",
"363000211_52": "「わかります。\\n あの迫真の演技……まさに真剣勝負」",
"363000211_53": "「見ていてください、今にきっと……ッ!」",
"363000211_54": "「わたしたちは……」",
"363000211_55": "「みんなのためにも……」",
"363000211_56": "「負けられない……ッ!」",
"363000211_57": "「もう一度行くよ、ひかりちゃんッ!\\n ばななッ」",
"363000211_58": "「ええ、華恋ッ!」",
"363000211_59": "「こんなところで倒れるわけにはいかないわ……ッ!」",
"363000211_60": "「きっと、もうすぐ……だから……ッ!」",
"363000211_61": "「絶対、負けないッ!」",
"363000211_62": "「うんッ! 諦めるなんて、ノンノンだよッ!」",
"363000211_63": "「まだまだここからなんだからッ!」",
"363000211_64": "「敵を圧倒しながらもあれほど美しく魅せられるとは……」",
"363000211_65": "「歌も、つい聴き入ってしまうわ。素晴らしい……」",
"363000211_66": "「よくわからないけど……すごいですッ!\\n あっという間に全部倒しちゃって……」",
"363000211_67": "「しかし、これで終わり……という雰囲気ではなさそうだな」",
"363000211_68": "「わかります。\\n このオーディションを開始した舞台少女がまだ――」",
"363000211_69": "「わたしの歌を、聴きなさい……」",
"363000211_70": "「この歌声は……」",
"363000211_71": "「みんな、気をつけて。来るッ!」",
"363000211_72": "「来たわね。\\n 闇の……舞台少女……ッ」",
"363000211_73": "「主役は、わたしのもの……ッ!」",
"363000211_74": "「きゃああああッ!?」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,96 @@
{
"363000221_0": "「なんという覇気……ッ!?\\n 闇の舞台少女……と言ったか」",
"363000221_1": "「3人の女の子が、圧倒されてます……ッ!」",
"363000221_2": "「でも、これはレヴューであり、\\n オーディションなんでしょ」",
"363000221_3": "「もし、負けたらどうなるんですか?」",
"363000221_4": "「心配ですか。わかります」",
"363000221_5": "「この地下舞台で行われているのは、\\n 舞台少女たちのオーディション」",
"363000221_6": "「勝者が『自分の望む舞台に立つことができる』代わりに、\\n 敗者は――」",
"363000221_7": "「舞台少女としての『キラめき』を奪われるのです」",
"363000221_8": "「『キラめき』……?\\n そういえば、先ほどもそのようなことを言っていたな」",
"363000221_9": "「見てください、あの舞台少女たちを。\\n 美しいでしょう、輝いているでしょう」",
"363000221_10": "「ええ、確かに」",
"363000221_11": "「唄って踊って戦って……、\\n すごくキラキラしてますッ」",
"363000221_12": "「そう。『キラめき』こそが、舞台少女の原動力なのです」",
"363000221_13": "「では、敗れた舞台少女はステージに立つ原動力を、\\n 失うということなのか……ッ」",
"363000221_14": "「ええ。『キラめき』が無ければ、舞台に立つ意味も、\\n 喜びも、きっと見いだせなくなってしまうでしょう」",
"363000221_15": "「そんな……ッ!」",
"363000221_16": "「本来のオーディションは、\\n 最終日まで結果がわかりません」",
"363000221_17": "「しかし、今回はすべてが例外。負ければその場で\\n 『キラめき』を失ってしまう。それがルール」",
"363000221_18": "「今日のレヴューも、とても素晴らしいものでした。\\n しかし、それもここまでのようですね」",
"363000221_19": "「これで終わりよッ!」",
"363000221_20": "「お願い……これまであなたと戦った、\\n みんなの『キラめき』を返して……ッ」",
"363000221_21": "「うるさいッ!\\n あれは全部わたしのものなの……ッ」",
"363000221_22": "「きゃああああッ!」",
"363000221_23": "「『キラめき』っていうのがなんなのか、\\n まだいまいちわからないけど……」",
"363000221_24": "「彼女たちが傷つけられているのを見過ごすわけにはいかないッ!」",
"363000221_25": "「取り返しがつかなくなる前に、\\n あのオーディションを止めないとッ」",
"363000221_26": "「突貫しま――」",
"363000221_27": "「……あれ?」",
"363000221_28": "「いけません。上演中は、お静かに」",
"363000221_29": "「そのようなことを言っている場合かッ!」",
"363000221_30": "「攻撃が……やんだ……?」",
"363000221_31": "「どうして……」",
"363000221_32": "「まさか……客席に誰かいるッ!?」",
"363000221_33": "「……フフ。わたしの招待状が届いた人間が、\\n 他にもいたようね」",
"363000221_34": "「ダメよ、ここから逃げてッ!」",
"363000221_35": "「目の前に困っている人がいるのに、\\n 逃げることなんてできないよッ」",
"363000221_36": "「でも……どうしてッ!?\\n 目の前に壁があって、これ以上は近づけない……ッ」",
"363000221_37": "「舞台の上は、舞台少女たちの聖域ですから」",
"363000221_38": "「ならば、こちらも舞台少女に\\n なれば問題ないということだな」",
"363000221_39": "「わたしは、傷ついた彼女たちの『代役』として\\n あのステージに立とうッ」",
"363000221_40": "「――ッ!?」",
"363000221_41": "「面白い、確かに舞台に代役は付き物」",
"363000221_42": "「しかし、部外者のあなたたちが……」",
"363000221_43": "「部外者だと? わたしは部外者ではない。\\n 何故ならば……」",
"363000221_44": "「わたしもまた、このオーディションの招待状を\\n 受け取っているッ」",
"363000221_45": "「招待状、ってさっきの謎のメッセージ?\\n あなたの望んだ星をお持ちなさい、っていう……」",
"363000221_46": "「それって招待状だったんですかッ!?」",
"363000221_47": "「わからない。が、わたしがここへ導かれた理由……。\\n そうとしか思えない」",
"363000221_48": "「おお、異なる世界からの招待ですか。これは楽しみです」",
"363000221_49": "「あなたが、代役になると宣言すれば、\\n それで参加は成立することでしょう」",
"363000221_50": "「わかった、それならば……ッ!」",
"363000221_51": "「あなたの代役として、わたしを舞台に立たせてもらえるか?\\n 大丈夫、戦う術なら持っている……ッ」",
"363000221_52": "「代役……? わたしの代わりになんて、そんな……、",
"363000221_53": " でも……今は……」",
"363000221_54": "「――お願い。\\n このままでは、あの舞台少女にすべてを奪われてしまう……」",
"363000221_55": "「護るべき者を前にして、\\n 防人の剣に納める鞘は無し」",
"363000221_56": "「風鳴翼、代役の任をつかまつるッ!」",
"363000221_57": "「ギアが変化した……。\\n 舞台に上がるための、舞台少女ギアってことね」",
"363000221_58": "「待ってくださいッ!\\n わたしも行きますッ」",
"363000221_59": "「公演終了までお静かに。\\n それとも招待状をお持ちですか」",
"363000221_60": "「ありませんッ!\\n だからくださいッ」",
"363000221_61": "「そのように言われても……私はただの傍観者。\\n そのような権限など持ち合わせてはいないのです」",
"363000221_62": "「でも……翼さん1人に\\n 戦わせることなんて……」",
"363000221_63": "「ねぇ、あなた。さっき言ってたわよね?」",
"363000221_64": "「このオーディションは、\\n とある舞台少女によって開催されたと」",
"363000221_65": "「あの様子だと、あそこにいる不気味な子、\\n 闇の舞台少女が主催なのでしょう」",
"363000221_66": "「ならば……聞きなさいッ!\\n 倒れている舞台少女は人ッ」",
"363000221_67": "「当然、代役も3人必要なんじゃない!?」",
"363000221_68": "「主催に直接訴えかけるとは……。\\n これは面白くなってきましたね」",
"363000221_69": "「……フフ、いいでしょう。\\n あなたたちも『キラめき』を持っているようだし――」",
"363000221_70": "「あッ、わたしの端末にも翼さんと同じメールが……ッ!」",
"363000221_71": "「わたしのところにも……。\\n これで、部外者ではなくなったわね」",
"363000221_72": "「それなら、立花響ッ!\\n 代役やりますッ」",
"363000221_73": "「わたしの、代わりに……?」",
"363000221_74": "「うんッ! わたしに人助け、させてくれるかなッ!?」",
"363000221_75": "「…………」",
"363000221_76": "「お願いッ! みんなのためにも、\\n わたしたちがここで負けるわけにはいかないのッ」",
"363000221_77": "「任せてッ!」",
"363000221_78": "「わたしも。\\n マリア・カデンツァヴナ・イヴ、代役を務めさせていただくわ」",
"363000221_79": "「それじゃあ、今回だけ。もう立ち上がる力が残ってない\\n わたしたちの代わりに、お願いできるかな……」",
"363000221_80": "「ええッ! 正直まだ、何が起きているのかすら\\n わかっていないけど、やるべきことはわかっているわッ」",
"363000221_81": "「それでは、オーディションの再開です」",
"363000221_82": "「トップスタァを目指して\\n 歌って、踊って、奪い合いましょう」",
"363000221_83": "「あとはわたしたちに任せろッ!」",
"363000221_84": "「どうして……身代わりなんて」",
"363000221_85": "「わたし、立花響ッ! 趣味は人助け。\\n あなたは」",
"363000221_86": "「えッ!? わ、わたしは99期生、出席番号1番、愛城華恋。\\n ごめんなさい……でも、ありがとう」",
"363000221_87": "「わたしはあの子ほどじゃないけれど、\\n 目の前で困っている人を放っておけるほど薄情じゃないわ」",
"363000221_88": "「代役を承ると名乗り出たのだ。\\n その名に恥じぬ舞台を演じてみせるッ」",
"363000221_89": "「そう……先ずは試させてもらうわ。\\n あなたたちの『キラめき』を」",
"363000221_90": "「口だけじゃないとわかったら、\\n 望み通り正式にオーディションに参加させてあげましょう」",
"363000221_91": "「オーディションに参加するためにも審査が必要とは、\\n ずいぶん回りくどいことしてくれるじゃない」",
"363000221_92": "「それだけ、『キラめき』が大切なものってことですよね。\\n だったら絶対に負けられませんッ」",
"363000221_93": "「護る者のある限り、わたしの剣は折れたりしないッ!\\n 舞台少女に代わって、いざ推して参るッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,16 @@
{
"363000222_0": "「食らいなさいッ!」",
"363000222_1": "「ほう、ここまで力強く唄いながら立ち回るとは……面白い」",
"363000222_2": "「唄い踊る敵なんて、変な感じです……。\\n どうしたらいいのかわからないけどッ」",
"363000222_3": "「わたしにできる精一杯でッ!!」",
"363000222_4": "「気迫で押し通すわけね。\\n ならば、わたしたちも負けるわけにはいかないわッ」",
"363000222_5": "「ああッ!」",
"363000222_6": "「これで……」",
"363000222_7": "「最後ですッ!」",
"363000222_8": "「トドメだッ!!」",
"363000222_9": "「ハァ、ハァ……ようやく……勝ったわね」",
"363000222_10": "「おめでとう……あなたたちを代役ではなく、\\n 正式にオーディションへ参加することを認めましょう」",
"363000222_11": "「あなたたちの『キラめき』をもっと見せて……。\\n わたしを『トップスタァ』にするために」",
"363000222_12": "「次のレヴューを楽しみにしているわ。\\n そして……」",
"363000222_13": "「……いつかは……『女神の歌』の主役に……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,81 @@
{
"363000311_0": "舞台少女と『女神の歌』",
"363000311_1": "「……あれ? ここは?」",
"363000311_2": "「地下劇場から飛ばされたようだが……」",
"363000311_3": "「学園の近くみたいね。とにかく帰りましょう。\\n 急がないと、門限になるわ」",
"363000311_4": "「待って、詳しい話を聞かせてちょうだい」",
"363000311_5": "「話したいのは山々だけど、門限に遅れると\\n とんでもないことになっちゃうから……」",
"363000311_6": "「点呼に遅れると『伝説のしごき』が待ってるの」",
"363000311_7": "「伝説……? なんだかすごそう……」",
"363000311_8": "「……そうだッ! 点呼が終わるまでは空いている部屋に\\n 隠れていてもらおうよ」",
"363000311_9": "「そうね、わたしたちも聞きたい話がたくさんあるし」",
"363000311_10": "「この状況について聞かせてもらえるのであれば、\\n こちらは一向に構わない」",
"363000311_11": "「それなら決まりね。\\n 案内するわ、わたしたちの寮に」",
"363000311_12": "「お待たせッ!\\n 無事に点呼終わったよ」",
"363000311_13": "「あなたたちが舞台少女だと聞いた時から、\\n もしやと思っていたけれど――」",
"363000311_14": "「ここに来て、わかったわ。\\n わたしたちは一度、任務でここに来たことがある」",
"363000311_15": "「その時、真矢ちゃんとクロちゃんには、\\n すっごくお世話になりましたよねー」",
"363000311_16": "「2人とも元気にしてる?」",
"363000311_17": "「2人は……」",
"363000311_18": "「あのオーディションに挑んだ後、行方がわからないの」",
"363000311_19": "「……ッ!」",
"363000311_20": "「そんなの大問題じゃないッ!\\n 行方不明だったら、きっと警察にも捜索願いが……」",
"363000311_21": "「それがね……。レヴューでさらわれた人たちについては、\\n 都合よくみんなの記憶が書き換えられてるみたいなの」",
"363000311_22": "「記憶が書き換えられて……?」",
"363000311_23": "「真矢ちゃんは留学、\\n クロちゃんは入院……」",
"363000311_24": "「みんな、いろんな理由で休学っていうことになっているの」",
"363000311_25": "「本当のことを知っているのは、\\n レヴューに参加したわたしたちだけみたい」",
"363000311_26": "「事実改変……。\\n あのオーディションには、そんな力まであるの……」",
"363000311_27": "「あの2人は相当の手練であったはず……。\\n にわかに信じがたいことだな」",
"363000311_28": "「1人1人脱落していって……。\\n 残っているのはわたしたちだけ」",
"363000311_29": "「だから、みんなを助けるために、\\n わたしたちは負けられないんだッ」",
"363000311_30": "「奪われたみんなの『キラめき』を\\n 取り戻さなくっちゃ……ッ」",
"363000311_31": "「『キラめき』を失ったら、\\n 舞台には立てなくなってしまう……」",
"363000311_32": "「そんなの、絶対イヤだから……ッ!」",
"363000311_33": "「それなら、わたしたちも力になるよッ!\\n 真矢ちゃんやクロちゃんたちを助けなくっちゃ」",
"363000311_34": "「待って、これはわたしたちの戦いよ。\\n あなたたちを巻き込むわけには……」",
"363000311_35": "「とっくに巻き込まれてるから気にしなくていいわ。\\n さっきのレヴューで正式な参加が認められたしね」",
"363000311_36": "(確かに、わたしたちは招待状を受け取り\\n 舞台へと上がった……",
"363000311_37": "(しかし……敵は天堂や西條さえも打ち負かす相手だ)",
"363000311_38": "(自分のライブすら満足にこなせないわたしに、\\n 彼女たちを助けることなど……",
"363000311_39": "「それに、翼さんもマリアさんも、\\n わたしの世界ではとってもすごい歌手なんですよッ」",
"363000311_40": "「お、おい……立花……」",
"363000311_41": "「ええ、翼の『キラめき』は、\\n 共にステージに立ったことのあるわたしも保証するわ」",
"363000311_42": "「マリアまで……」",
"363000311_43": "「レヴューのときから、\\n 何か特別なものを感じていたけれど……」",
"363000311_44": "「それじゃあ、歌に関しては\\n たくさん吸収させてもらわなくっちゃッ」",
"363000311_45": "「そうと決まれば、わたしたちは\\n 一度本部に戻って方針を立てましょう」",
"363000311_46": "「そうですねッ!」",
"363000311_47": "「地下劇場にギャラルホルンのゲートは\\n 見当たらなかった……」",
"363000311_48": "「ということは、前に使った\\n ゲートを探さなくてはいけないということね」",
"363000311_49": "「ああ、そうだな。\\n 急ごう」",
"363000311_50": "「ちょっと待って、どういうこと?」",
"363000311_51": "「ゲートが無いです……」",
"363000311_52": "「ということは、今回のわたしたちは\\n 何か別の力で引き寄せられたという可能性も考えられるな」",
"363000311_53": "「事実改変……って言ったわよね、さっき」",
"363000311_54": "「現実はあの『闇の舞台少女』のレヴューのために\\n 都合よく書き換えられているわ」",
"363000311_55": "「もしかすると、あなたたちの世界に戻るための装置も\\n 消されているのかもしれない」",
"363000311_56": "「余計なことは一切させない、という心づもりか」",
"363000311_57": "「……ねぇ、提案があるんだけど」",
"363000311_58": "「レヴューに向けて訓練するなら、\\n 聖翔音楽学園に入ってもらった方がいいと思うの」",
"363000311_59": "「わたしたちが?」",
"363000311_60": "「本来なら、部外者のあなたたちが潜入すれば、\\n 大騒ぎになるでしょうけれど――」",
"363000311_61": "「レヴューのために都合よく事実改変されるというのなら\\n あなたたちに関することだって『変わる』はず」",
"363000311_62": "「つまり……うーん?」",
"363000311_63": "「わたしたちは堂々と、聖翔音楽学園の授業に混ざればいい、\\n ということよ」",
"363000311_64": "「わかりましたッ!\\n それなら堂々と混ざることにしますッ」",
"363000311_65": "「ま、待て、立花ッ!\\n そんなことができるわけ……」",
"363000311_66": "「でも、今の状況だとその方法しかないようにも\\n 思えるわね。やってみる価値はあるんじゃないかしら」",
"363000311_67": "「マリアまで……」",
"363000311_68": "「そうと決まったら、改めて自己紹介させてもらうね」",
"363000311_69": "「わたしは愛城華恋ッ! 聖翔音楽学園99期、\\n 俳優育成科 出席番号1番ですッ!」",
"363000311_70": "「よろしくね、華恋ちゃん」",
"363000311_71": "「それじゃあ、次はわたしかな。\\n 大場ななです。ばななって呼んでね」",
"363000311_72": "「お次は、ひかりちゃんッ♪」",
"363000311_73": "「神楽ひかりよ」",
"363000311_74": "「みんな、よろしくね」",
"363000311_75": "「こちらこそ」",
"363000311_76": "「それじゃあ、今日はもうこんな時間だし、\\n 明日に備えて休もうか」",
"363000311_77": "「ええ、そうね」",
"363000311_78": "「明日からよろしくお願いしますッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,72 @@
{
"363000321_0": "翌日――",
"363000321_1": "「ええッ!? もうこんな時間ッ!?」",
"363000321_2": "「ね、寝坊しちゃいましたッ!!」",
"363000321_3": "「ようやく起きたようね」",
"363000321_4": "「華恋は朝からずっと\\n 『女神の歌』の戯曲を読んでいたから……」",
"363000321_5": "「早く朝ごはんにしましょうって声をかけたんだけど」",
"363000321_6": "「それぞれ、慌てて支度している音が聞こえるわね」",
"363000321_7": "「みんな、おはようッ!」",
"363000321_8": "「おはようございますッ!」",
"363000321_9": "「さぁ、2人とも出発するぞ」",
"363000321_10": "「えッ、朝ごはんは?」",
"363000321_11": "「遅刻しちゃうよ、華恋ちゃん。\\n 先生の雷が落ちたら、どうなるか知ってるでしょ」",
"363000321_12": "「でも、お腹ペコペコだったら、\\n 日頑張れないよぉ」",
"363000321_13": "「あーあ、今日はとっておきの\\n バナナパンケーキだったのになぁ」",
"363000321_14": "「お、美味しそう……ッ!」",
"363000321_15": "「こんな絶品をみすみす逃すとはな」",
"363000321_16": "「とっても美味しかったわ、ごちそうさま」",
"363000321_17": "「お粗末さまでした♪」",
"363000321_18": "「2人のためにおにぎり握っておいたから、\\n 学校に着いたら急いで食べてね」",
"363000321_19": "「さすが、ばななッ!\\n ありがと」",
"363000321_20": "「それじゃあ、今日も1日頑張るぞッ!」",
"363000321_21": "「えいえいおーッ!」",
"363000321_22": "「2人とも、すっかり息ぴったりね」",
"363000321_23": "「ここが俳優育成科の教室……」",
"363000321_24": "「あっさり入ることはできたけど――」",
"363000321_25": "「先生、おはようございます」",
"363000321_26": "「おはよう。……あら?\\n そこに座っているのは……」",
"363000321_27": "「えっと、わたしたちは――」",
"363000321_28": "「聞いてる、イギリスの歌手育成学校からの留学生だな。\\n よろしく」",
"363000321_29": "「えッ、あッ、はい……ッ!」",
"363000321_30": "「これが事実改変……」",
"363000321_31": "「あら、どうかした?」",
"363000321_32": "「い、いえッ!\\n なんでもありません。今日からよろしくお願いします」",
"363000321_33": "「すでに、世界の舞台で活躍してるのだったな」",
"363000321_34": "「えッ!?」",
"363000321_35": "「えっと、翼さんとマリアさんは世界的アーティストですけど\\n わ、わたしは――」",
"363000321_36": "「立花さんはまだ研修生だと聞いている」",
"363000321_37": "「はッ、はいッ!\\n いつも先輩たちから学ばせていただいていますッ」",
"363000321_38": "「歌については多くを知っていると思うが、\\n 演技やダンスについても、しっかり勉強していってくれ」",
"363000321_39": "「はいッ! よろしくお願いしますッ!」",
"363000321_40": "「はい、ナチュラルターンからの……」",
"363000321_41": "「ルンバ・クロスッ!」",
"363000321_42": "(なるほど……ステージの振り付けにも、\\n このようなステップはあったな",
"363000321_43": "(きっと、何気ない動きの一つひとつに、\\n このような名前が付いているのね",
"363000321_44": "「足元見ないでー。ちゃんとステップ入れてー」",
"363000321_45": "「わー……あわわー……」",
"363000321_46": "「わぁッ!?」",
"363000321_47": "「ご、ごめん……」",
"363000321_48": "「ドンマイだよ、響ちゃん」",
"363000321_49": "「わたしも、最初は同じだったんだから。\\n もうついていくだけでいっぱいいっぱい」",
"363000321_50": "「だから、少しずつ一緒に頑張っていこうッ!」",
"363000321_51": "「うぅ、ありがとう……ッ!」",
"363000321_52": "「すなわち、スタァの身体性と、\\n 非日常的空間とは……」",
"363000321_53": "(演劇の舞台とは、楽曲のステージとは\\n 比較にならないほど複雑なのだな……",
"363000321_54": "「んん……んん……」",
"363000321_55": "「ちょっと、しっかりしなさい……ッ!」",
"363000321_56": "「だんだん眠気が……」",
"363000321_57": "「~~♪」",
"363000321_58": "「すごい……」",
"363000321_59": "「……ありがとうございましたッ!」",
"363000321_60": "「見習いとはいえ、さすがは歌手育成校……」",
"363000321_61": "「聴いてるだけで、こっちも元気になってきちゃった」",
"363000321_62": "「それでは最後、風鳴翼さん、お願いできる?」",
"363000321_63": "「はい」",
"363000321_64": "「~~♪」",
"363000321_65": "「これが……プロの歌声……」",
"363000321_66": "「やっぱり、プロってすごい……」",
"363000321_67": "(……いえ、確かに、翼の歌声は綺麗だけれど……)",
"363000321_68": "(いつもなら、こんな迷いのある歌声じゃないわ)",
"363000321_69": "(翼……本当にどうしてしまったの……?)"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,84 @@
{
"363000331_0": "「やっと放課後――」",
"363000331_1": "「レッスン室に来たってことは、レッスンの続きだね」",
"363000331_2": "「やる気になっているところ申し訳ないけれど、\\n ここに集まった目的は作戦会議よ」",
"363000331_3": "「作戦……?」",
"363000331_4": "「それについては、わたしも気になっていた。\\n 受けに回っているばかりでは、どうしても不利になってしまう」",
"363000331_5": "「あと、闇の舞台少女が言っていたことも気になるわ。\\n 確か……『女神の歌』……って」",
"363000331_6": "「その主役に、と口にしていたということは、\\n 演劇の題目なのだろうか」",
"363000331_7": "「そうだよー。はい、3人の分の台本」",
"363000331_8": "「ありがとう、ばななちゃん。\\n ……で、これって有名な話なの」",
"363000331_9": "「有名……といえば、有名ね。\\n わたしたち、舞台少女の間では」",
"363000331_10": "「もうすぐ、『女神の歌』の役者選考が\\n 始まるからね」",
"363000331_11": "「毎年、全国から舞台少女を集めて、\\n つの作品を演じるんだよ」",
"363000331_12": "「とはいえ、去年のわたしたちは初のスタァライトだったから。\\n 別のことまで気が回らなくて」",
"363000331_13": "「だから、今回はみんなで受けてみるんだ」",
"363000331_14": "「合格したら、大きな舞台が2連続ッ!\\n お祭り延長戦、って感じだよね」",
"363000331_15": "「けれど、そんな輝かしいステージを、\\n 闇の舞台少女が口にした、ということは……」",
"363000331_16": "「光が眩ければ、影もまた相応に暗くなるもの。\\n 何か思うところがあるに違いない」",
"363000331_17": "「これまで、今回のオーディションについての手がかりが\\n なかったから、ようやく一歩前進って感じだよ」",
"363000331_18": "「だから、みんなで『女神の歌』の内容の中から\\n ヒントを見つけ出したいと思って」",
"363000331_19": "「朝からずっと読み込んでるし、\\n 誰の役を振られてもばっちり演じきれちゃうよ」",
"363000331_20": "「言ったわね、華恋」",
"363000331_21": "「こんなこともあろうかと、作ってきたよ。\\n じゃーん、バナナくじ」",
"363000331_22": "「さっそく演じるつもり……?」",
"363000331_23": "「3人の演技見るの、楽しみッ!」",
"363000331_24": "「舞台少女の『キラめき』……見せてもらおう」",
"363000331_25": "「~~~~~♪」",
"363000331_26": "「なるほど、人々が奏でる不安の音を、\\n 歌で祓っていく女神の物語か」",
"363000331_27": "「え、え……アポロン様がお見えに?\\n けど、わたしは……その……」",
"363000331_28": "「どうやら、このアルケーって子が主人公のようだけど、\\n なんだか頼りないわね」",
"363000331_29": "「アポロン様ッ!\\n アルケー、あの子まーた引きこもってるのよ」",
"363000331_30": "「すごい、まるで別人が乗り移ったかのようだわ……」",
"363000331_31": "「えーと、ひかりちゃんはメレテーちゃん?\\n 実践の女神、って書いてあったっけ」",
"363000331_32": "「もう……アポロン様ったら……。\\n でも、わたしならこのまま……よろしくてよ」",
"363000331_33": "「よくないよッ! こんな……こんな……、\\n ひゃあ……」",
"363000331_34": "「落ち着いて。あの子はテルクシノエーっていう……、\\n 魅惑の女神、だったかしら」",
"363000331_35": "「妖艶な魅力……、\\n 舞台少女、侮りがたし……ッ」",
"363000331_36": "「ほらッ、アルケー。\\n アポロン様が来てるのよッ」",
"363000331_37": "「わたしなんかが……うう、\\n ごめんなさい」",
"363000331_38": "「アポロン様、なんならわたしと2人きりで……、\\n いかがです」",
"363000331_39": "「テルクシノエーッ!\\n 余計なことすんなっての」",
"363000331_40": "「あたしたちは、みんなで唄わなきゃいけないんだから」",
"363000331_41": "「なんか、ばななちゃんじゃなくてひかりちゃんが\\n 主人公みたいに見えるけど……」",
"363000331_42": "「メレテー、ね。だからこそ、これから\\n アルケーが成長していくんじゃない」",
"363000331_43": "「~~~~~♪」",
"363000331_44": "「おお……、冒頭の舞いとは、\\n また一味違った『キラめき』が……」",
"363000331_45": "「さっきのは戦うための歌で、\\n 今度はアポロンに捧げる歌なのでしょう」",
"363000331_46": "「ライブでの翼さんやマリアさんを観てるみたい。\\n すごい、綺麗……」",
"363000331_47": "「……と、第1幕はこんな感じかな」",
"363000331_48": "「どう? イメージ掴めたんじゃない?」",
"363000331_49": "「すごいッ! すっごいよかったよ、\\n 華恋ちゃんッ、ひかりちゃんッ、ばななちゃんッ」",
"363000331_50": "「……不覚にも演目に\\n 見入ってしまっていた……」",
"363000331_51": "「想像を超える演技だったから、つい。\\n 普通に楽しんでいる場合じゃなかったわね」",
"363000331_52": "「フフ、ありがとうございます♪」",
"363000331_53": "「それにしても、みんなすごかったよ。\\n まるで別人みたい」",
"363000331_54": "「それが、舞台少女ッ! ……ってね」",
"363000331_55": "「……現実という舞台には、1人の主役はいない。\\n 誰もが自分という演目の主役なのだから」",
"363000331_56": "「でも、舞台の上には主役が存在する。\\n 脚本は、主役のために築かれたものだもの」",
"363000331_57": "「だからこそ、舞台少女は主役を目指す」",
"363000331_58": "「闇の舞台少女は言っていたわね。\\n『女神の歌』の主役に……って」",
"363000331_59": "「でも、\\n あんなことをしてまで……」",
"363000331_60": "(……今のわたしに必要なのは、\\n そのように貪欲な渇望なのだろうか",
"363000331_61": "「あの様子だと、闇の舞台少女の目的は、\\n『女神の歌』の主役になりたいみたいだから……」",
"363000331_62": "「正体は去年の選考で落選してしまった参加者、\\n という線が濃厚ね」",
"363000331_63": "「その未練が、あのようなレヴューの形式に\\n 繋がっているのでしょう」",
"363000331_64": "「今年も開催されるんだから、今度こそ、\\n って頑張ればいいのに……」",
"363000331_65": "「できない事情があるのかも。\\n なんらかの理由で舞台を続けられなくなったとか」",
"363000331_66": "「それはそれで探っていく必要があるでしょうけど、\\n 先ずはレヴューの対策から――」",
"363000331_67": "「みんなの端末が一斉に……ッ!」",
"363000331_68": "「こちらを待ってはくれない、ということか」",
"363000331_69": "「全員まとめて相手するってことね。\\n いいわ、遠慮なくやらせてもらおうじゃないのッ」",
"363000331_70": "開幕のレヴュー",
"363000331_71": "「レヴューでは、あの人たちを倒せばいいんだよね?」",
"363000331_72": "「本来のレヴューはそうじゃないけれど……、\\n この場においては、それで正解」",
"363000331_73": "「本来のレヴューは舞台少女同士の一騎打ち。\\n こんな、集団で囲い込んだりしないから」",
"363000331_74": "「すべては闇の舞台少女が\\n 自分の都合のいいように歪めてるってことね」",
"363000331_75": "「だから、みんながあんなことに……」",
"363000331_76": "「彼女がどんな姑息な手段で仕掛けてこようとも、\\n わたしたちは負けるわけにはいかないわ」",
"363000331_77": "「無論だ。防人として、このような輩に\\n 遅れを取ることなど断じてないッ」",
"363000331_78": "(だが……)",
"363000331_79": "(防人としてではなく、舞台少女としては……、\\n どうなのだろう",
"363000331_80": "(もしここに観客がいて、\\n わたしの歌声は、皆の心に届くのだろうか……",
"363000331_81": "「……翼?」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,45 @@
{
"363000332_0": "「……地上に戻ってきたってことは」",
"363000332_1": "「今回のレヴューも無事に乗り切ったってことね」",
"363000332_2": "「でも、闇の舞台少女は出てこなかった……」",
"363000332_3": "「このままずっと出てこない、ってこともないと思うけど」",
"363000332_4": "「だったら、きっと次は会えるよね」",
"363000332_5": "「会いたいの?」",
"363000332_6": "「うん、会って、話してみたいんだ。\\n どうしてこんなことするのか、って」",
"363000332_7": "「あの子はスタァとして『キラめき』たいって\\n 一心だと思うけど……」",
"363000332_8": "「でも、みんなでキラめくことだってできるでしょ?」",
"363000332_9": "「いえ……わたしたち舞台少女は、負ければ大事なものを失うと\\n 覚悟してレヴューに臨んできたの」",
"363000332_10": "「相手に、大事なものを失わせる覚悟でね」",
"363000332_11": "「そんな……ッ!\\n どうしてみんなで仲良くできないの」",
"363000332_12": "「それが、舞台に立つ者の覚悟だからよ」",
"363000332_13": "「マリアさん……」",
"363000332_14": "「目指すステージは違えども、\\n わたしもそんな世界に身を置いてきた」",
"363000332_15": "「けれど、今回のレヴューは普通じゃない。\\n そうでしょう」",
"363000332_16": "「うん。舞台少女自身がああやって\\n レヴューを取り仕切るなんて、本来あり得ない」",
"363000332_17": "「だから、あの子を止めることができれば……」",
"363000332_18": "「みんなで仲良く舞台に立てる?」",
"363000332_19": "「少なくとも、今回はね」",
"363000332_20": "「そっか……。\\n なら、絶対にあの子を止めてみせる……ッ」",
"363000332_21": "(しかし、他人を踏みつけてでも上に立ちたいという願い……。\\n それは、舞台に生きる者として当然のこと……",
"363000332_22": "(わたしに足りないものは、そんな『覚悟』なのか?)",
"363000332_23": "「……今、あなたが考えてること、\\n 多分間違いよ」",
"363000332_24": "「え?」",
"363000332_25": "「レヴューの間も、ずっとそんな顔してた」",
"363000332_26": "「これまで競い合ってきた舞台少女の中に、\\n そんな顔つきで勝てた人はいないわ」",
"363000332_27": "「…………」",
"363000332_28": "「あの戦いの最中に皆の表情にまで\\n 気を配っていたとは恐れ入る」",
"363000332_29": "「わたしたちは、舞台少女。\\n ただ剣を振るうだけではキラめけない」",
"363000332_30": "「――スタァとして、観衆を魅了することはできないッ!」",
"363000332_31": "「ッ!」",
"363000332_32": "(今のわたしは、舞台少女としても、\\n アーティストとしても力不足",
"363000332_33": "(だが、もしも聴衆を魅了する舞台少女としての\\n 『キラめき』の片鱗に触れることができれば……",
"363000332_34": "「わたしは……」",
"363000332_35": "「あなたのようになりたい」",
"363000332_36": "「翼……?」",
"363000332_37": "「もっとわたしに舞台のことを教えてもらえないだろうか。\\n 舞台少女として、『キラめき』を会得するために」",
"363000332_38": "「……いいわ。あなたも歌の一線に立つ者。\\n 相応の覚悟はできているのでしょうし」",
"363000332_39": "「恩に着る。\\n 未熟者ではあるが、よろしく頼む」",
"363000332_40": "「翼……」",
"363000332_41": "(ライブのリハーサルの時から様子がおかしかったし、\\n さっきのレヴューを見ていても気にかかる……",
"363000332_42": "(でも、翼が舞台少女に新たな可能性を見出したというのなら……、\\n わたしは見守るわ"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,71 @@
{
"363000411_0": "望む星を掴むために……",
"363000411_1": "「おはよう、ひかりちゃん。\\n いつもより早いけど……朝練」",
"363000411_2": "「ちょっと待ってて、すぐ支度するからわたしも――」",
"363000411_3": "「ごめんなさい、華恋。\\n 今日は翼と朝練の約束をしていて」",
"363000411_4": "「それじゃあ、わたしも一緒にやるッ!」",
"363000411_5": "「……華恋、今日は翼と2人でいいかしら?\\n きっと……翼は見られたくないんじゃないかと思うの」",
"363000411_6": "「どういうこと……?」",
"363000411_7": "「彼女はプロのアーティストだから……。わたしの言いたいこと、\\n 華恋だったらわかってくれるでしょう」",
"363000411_8": "「うん、なんて言ったらいいのかわからないけど……」",
"363000411_9": "「翼さんは懸命になっている姿、\\n 他人に見られたくないかもしれないね」",
"363000411_10": "「きっと、これまでもそうやって、\\n 努力を重ねてきたんだろうなぁ」",
"363000411_11": "「だって、とっても魅力的な歌だったもんね。\\n わたしも惚れ惚れしちゃった……」",
"363000411_12": "「だから――」",
"363000411_13": "「わかってるよ、ひかりちゃんッ!\\n このオーディションが終わったら、また一緒に朝練しよう」",
"363000411_14": "「ええ、必ず」",
"363000411_15": "「華恋……ありがとう」",
"363000411_16": "「うんッ!」",
"363000411_17": "「……ひかりちゃん、行っちゃった」",
"363000411_18": "「わたしも2人に負けてられないな。\\n 早く目覚めたし、別のレッスン室に行こっとッ」",
"363000411_19": "「出席番号1番、愛城華恋入りますッ!」",
"363000411_20": "「あッ、おはよう。華恋ちゃんッ!」",
"363000411_21": "「響ちゃん、自主練してたのッ!?」",
"363000411_22": "「うん、わたしは翼さんやマリアさんのように、\\n ステージに立った経験ないから」",
"363000411_23": "「その差を頑張って埋めなきゃ、って」",
"363000411_24": "「……そうだッ! ねぇ、華恋ちゃん。\\n わたしの先生になってよッ」",
"363000411_25": "「えッ、わ、わたしが先生ッ!?」",
"363000411_26": "「でも、わたしはいつも上手いみんなに\\n 引っ張ってもらってて……」",
"363000411_27": "「わたしから見れば、華恋ちゃんのレヴューは、\\n とっても魅力的だよッ」",
"363000411_28": "「だから、いろいろ教えてもらいたいなって思ったんだ」",
"363000411_29": "「響ちゃん……」",
"363000411_30": "「わかったッ!\\n わたしでよかったら、先生させてッ」",
"363000411_31": "「新米の『先生』だけど……、\\n 力になれるように頑張るからッ」",
"363000411_32": "「ありがとう。\\n よろしくお願いしますッ」",
"363000411_33": "「それじゃあ、まずはストレッチからやっていこうか」",
"363000411_34": "「はい、先生ッ!」",
"363000411_35": "「じっくりしっかりやっていこうね。\\n 息を止めないで、」",
"363000411_36": "「いてッ! いてて……。\\n うぅ、普段から身体は動かしてる方なんだけどなぁ」",
"363000411_37": "「もしかしたら、普段の身体の動かし方とは\\n ちょっと違うのかも」",
"363000411_38": "「わたしがお手本やってみるね」",
"363000411_39": "「わぁ、すごい……ッ!」",
"363000411_40": "「最初は痛くても、だんだん柔らかくなってくるよ」",
"363000411_41": "「だんだんってことは、日々の積み重ねなんだね。\\n わたしも頑張らなきゃ」",
"363000411_42": "「それじゃあ、レッスン始めようか。\\n 新米先生だけど、ビシバシいくからねッ」",
"363000411_43": "「よろしくお願いします、先生ッ!」",
"363000411_44": "「……ふぅ、ちょっと休憩にしようか」",
"363000411_45": "「最初から結構トバしちゃったけど、大丈夫?」",
"363000411_46": "「へいき、へっちゃらッ!\\n まだまだ頑張れるよッ」",
"363000411_47": "「すごいなぁ。\\n 普通だったらすぐ根上げちゃうのに」",
"363000411_48": "「なんで、そんなに頑張れるの?」",
"363000411_49": "「うーん……翼さんもマリアさんも、すごいからかな」",
"363000411_50": "「どういうこと?」",
"363000411_51": "「華恋ちゃんに見せてあげたいぐらい、\\n 人のステージって素敵なんだ」",
"363000411_52": "「もしわたしがこのオーディションで足を引っ張って、\\n 負けちゃうようなことがあったら……」",
"363000411_53": "「わたしのせいで2人が『キラめき』を失ったら……、\\n そんなの、絶対耐えられないんだ」",
"363000411_54": "「でも、今のわたしじゃ\\n 人の『キラめき』を護れないから……」",
"363000411_55": "「舞台も舞台少女も未完成。\\n わたしたちは日々進化中なんだよッ」",
"363000411_56": "「だから、響ちゃんだってこうして特訓を重ねていれば\\n 素敵な舞台少女になれるよッ」",
"363000411_57": "「持つべきは『強い信念』かな」",
"363000411_58": "「強い……信念……?」",
"363000411_59": "「そう、どんなツライ時だって\\n 信念があれば乗り越えられるはずだよ」",
"363000411_60": "「ということは……華恋ちゃんも持ってるんだよね?\\n 強い信念」",
"363000411_61": "「もちろんッ!」",
"363000411_62": "「わたしが舞台少女を目指したきっかけはひかりちゃんと\\n 子供の頃に観たスタァライトって舞台だったんだ」",
"363000411_63": "「すっごく感激して、ひかりちゃんと\\n 『いつか一緒にあの舞台に立とう』って約束したの」",
"363000411_64": "「そのための努力なら、\\n わたし、なんだって乗り越えられちゃうッ」",
"363000411_65": "「そっか……その気持ちが\\n 華恋ちゃんの『キラめき』の元になってるんだね」",
"363000411_66": "「わたしは……翼さんとマリアさんの『キラめき』を護りたいッ!」",
"363000411_67": "「お互い、頑張ろうね」",
"363000411_68": "「うんッ!\\n 先生、練習の続きをお願いしますッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,56 @@
{
"363000421_0": "「みんな、よく聞きな。\\n アポロン様からのお達しだよ」",
"363000421_1": "「あたしたちの歌は、もっと広く届けなくちゃいけない。\\n みんなでここにいちゃダメなんだ」",
"363000421_2": "「でも、わたし……アポロン様のお傍から離れたくない」",
"363000421_3": "「もちろん、あたしだって同じ気持ちよ。\\n だから……決めなくちゃいけないの」",
"363000421_4": "「アポロン様はおっしゃったわ、\\n 最も歌に優れた者を、お傍に残してくださるって」",
"363000421_5": "「ふぅん、そしたら、歌で勝負ってことねぇ?」",
"363000421_6": "「負けたら、遠くへ……どうしよう……」",
"363000421_7": "「……ここまでが第2幕。\\n 選考の課題シーンだって」",
"363000421_8": "「みんな、歌が好きで仲良しなのに\\n 歌で競うことになるなんて……」",
"363000421_9": "「悲しい運命だな」",
"363000421_10": "「この『女神の歌』に何が隠されているのかしら……?」",
"363000421_11": "「うーん……」",
"363000421_12": "「わたしたちで戯曲を読み込んだんだけど、\\n 見えてこなくって――」",
"363000421_13": "「実際に参加した人に話を聞くのが1番じゃないかって、\\n 話になったの」",
"363000421_14": "「ええ、近くの学校にいるらしいわ。\\n 名前は確か、井手碧菜さん」",
"363000421_15": "「井手……碧菜……」",
"363000421_16": "「去年の『女神の歌』のパンフレットは\\n 目を通したのだけれど、そんな名前は見なかったわ」",
"363000421_17": "「だとしたら、落選した者なのだろうな」",
"363000421_18": "「でも、それなら『今年こそ』って\\n 燃えてるかもッ」",
"363000421_19": "「彼女に接触してみる価値はありそうね」",
"363000421_20": "「じゃあ、すぐに行きましょう。\\n 次のレヴューまでに何か手を打っておきたいし」",
"363000421_21": "「ここが、えーと……井手、碧菜さんの学校?」",
"363000421_22": "「ええ、そうよ。\\n でも、ここからが大変ね」",
"363000421_23": "「これだけ多くの生徒がいる中で、わたしたちが知っているのは\\n 名前だけなんだから」",
"363000421_24": "「それじゃ、片っ端から聞いてきますッ!」",
"363000421_25": "「待って、そんなことしたら不審者扱いで\\n つまみ出されちゃうかもしれないわ」",
"363000421_26": "「でも、そうしたらどうやって見つけ出すんですか?」",
"363000421_27": "「ちょっと待ってッ!\\n あれって……」",
"363000421_28": "「……………………」",
"363000421_29": "「あの子だけ、まとっているオーラが違う……」",
"363000421_30": "「この学校ではよほどの有名人みたいね。\\n ほら、他の生徒たちも進んで道を開けていくわ」",
"363000421_31": "「ね、ねえ……声かけてみようよ」",
"363000421_32": "「でも、なんて……?」",
"363000421_33": "「あの、井手碧菜さんですか?」",
"363000421_34": "「ひ、響ちゃんッ!?」",
"363000421_35": "「さ、さすが一番槍ね……」",
"363000421_36": "「……ええ、そうだけど」",
"363000421_37": "「えっと……聞きたいことがあるんです」",
"363000421_38": "「何?」",
"363000421_39": "「去年の『女神の歌』の\\n 選考のことなんですけど」",
"363000421_40": "「それは……」",
"363000421_41": "「その話はやめてちょうだい。\\n もうたくさん」",
"363000421_42": "「待って」",
"363000421_43": "「佇まいだけで、あなたが只者ではないことはわかる。\\n そんなあなたが、なんの役も得られないとは考えられない」",
"363000421_44": "「一体……去年の選考で、何があったの……?」",
"363000421_45": "「知らないわ。あの芝居のことはもう、忘れたの」",
"363000421_46": "「碧菜さん……?」",
"363000421_47": "「これは、もっと調べないわけにはいかないわね」",
"363000421_48": "「一度戻って、これからどうするか改めて考えましょう」",
"363000421_49": "「賛成ッ!\\n ついでにレヴューに向けて特訓も――」",
"363000421_50": "「これは……くッ、ろくに準備もできていない状態で、\\n 地下舞台に向かわなくてはいけないとは」",
"363000421_51": "「仕方がないわ。不戦敗だなんてごめんだからね」",
"363000421_52": "「行きましょう」",
"363000421_53": "「ええ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,21 @@
{
"363000431_0": "憧憬のレヴュー ",
"363000431_1": "「大人しくしていなさいッ!」",
"363000431_2": "「今日も勝つことができそうね――」",
"363000431_3": "「照明が……」",
"363000431_4": "「一体、何が起こったの?」",
"363000431_5": "「……来るわね、『彼女』が」",
"363000431_6": "「ああ……ッ、これが世界……。\\n とても広く……そして……悲しい」",
"363000431_7": "「これって、『女神の歌』でアポロンが世界の様子を\\n 示しているシーンのセリフ……」",
"363000431_8": "「むッ、下から?」",
"363000431_9": "「舞台が左右に割れて……、\\n ど、どうなっちゃうのッ」",
"363000431_10": "「立花、大丈夫かッ!?」",
"363000431_11": "「は、はいッ!\\n わたしは華恋ちゃんと一緒にいます」",
"363000431_12": "「待っててください、いますぐ壁を壊して――」",
"363000431_13": "「響ちゃん、そんな必要はノンノンだよッ!\\n 見て、ほら……」",
"363000431_14": "「あれって……ポジションゼロ?」",
"363000431_15": "「うん。舞台が転換したら、わたしたち舞台少女は\\n そこで精一杯を演じなきゃッ」",
"363000431_16": "「でも、わたしたちだけでなんて……」",
"363000431_17": "「こんなときのために、2人で特訓してきたじゃない。\\n だから、きっと大丈夫だよッ」",
"363000431_18": "「そうだね、華恋ちゃんと一緒なら……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,35 @@
{
"363000432_0": "「わたしが相手だッ!!」",
"363000432_1": "「すごいよッ!\\n 特訓の成果がでてるッ」",
"363000432_2": "「ホントにッ!? よかったぁ……。\\n それなら、このまま――」",
"363000432_3": "「あッ、響ちゃんッ! 上ッ!」",
"363000432_4": "「えッ!?」",
"363000432_5": "「させないッ!!」",
"363000432_6": "「うッ……」",
"363000432_7": "「大丈夫ッ!?」",
"363000432_8": "「う、うん……」",
"363000432_9": "「華恋ちゃんが狙われてる……ッ!」",
"363000432_10": "「そうは……させるかあああッ!!」",
"363000432_11": "(だって、だって、華恋ちゃんの『キラめき』は……)",
"363000432_12": "「すっごく感激して、ひかりちゃんと\\n 『いつか一緒にあの舞台に立とう』って約束したの」",
"363000432_13": "「そのための努力なら、\\n わたし、なんだって乗り越えられちゃうッ」",
"363000432_14": "「奪われるわけにはいかないんだッ!」",
"363000432_15": "「すごい……あのステップ……。\\n 練習のときより、ずっと……」",
"363000432_16": "「きっと、無心になって……身体が勝手に動いてるんだ。\\n 覚えた通りに」",
"363000432_17": "「ハァ、ハァ……これで……」",
"363000432_18": "「や、やった……わたし……」",
"363000432_19": "「響ちゃんッ!」",
"363000432_20": "「大丈夫?\\n ごめんね、わたしが油断したばっかりに……」",
"363000432_21": "「ううん。とってもキラキラしてたよ」",
"363000432_22": "「わたしが……?」",
"363000432_23": "「うん、舞台少女としての『信念』が\\n 見えたのかもしれないね」",
"363000432_24": "「信念、かぁ……」",
"363000432_25": "「うーん、自分だとまだよくわからないかも」",
"363000432_26": "「フフ、それもまた、響ちゃんらしいね」",
"363000432_27": "「けど、また見てみたいな。\\n 響ちゃんの舞台」",
"363000432_28": "「うん、ちゃんと『キラめき』を持ててるかはわからないけど……、\\n もっともっと、頑張るよッ」",
"363000432_29": "「そうだね、わたしも。\\n 舞台少女は日々進化中なんだから」",
"363000432_30": "「だから、夢に向かって……」",
"363000432_31": "「うんッ!」",
"363000432_32": "「<size=40>ポジションゼロッ!</size>」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,72 @@
{
"363000511_0": "護ること、見守ること",
"363000511_1": "「みんな、寮にいなかったから、レッスン室にいるのかな」",
"363000511_2": "「翼さんたちが来てから、ひかりちゃんも華恋ちゃんも\\n 燃えてるみたいだし、わたしも頑張らなくっちゃね」",
"363000511_3": "「……ん? あれは――」",
"363000511_4": "「マリアさん、どうしたの?」",
"363000511_5": "「ッ!?」",
"363000511_6": "「そんなに驚かなくてもいいのに。\\n レッスン室、入らないの」",
"363000511_7": "「え、ええ……そんな雰囲気でもなくて」",
"363000511_8": "「誰がレッスンしてるの?」",
"363000511_9": "「翼、これはレヴューの練習なのよ。振り付けは歌のために\\n あるものではなくて、歌も踊りも等しく主役なの」",
"363000511_10": "「すまない……もう一度頼むッ!」",
"363000511_11": "「ひかりちゃん、熱入ってるね。\\n 確かに、これは入れる雰囲気じゃないかも」",
"363000511_12": "「……大丈夫かしら」",
"363000511_13": "「ひかりちゃんの練習についていけるなんて、\\n さすがって感じだけど……」",
"363000511_14": "「でも……」",
"363000511_15": "「翼はね、仲間にさえも自身の葛藤を\\n なかなかさらけ出そうとしないのよ」",
"363000511_16": "「ここに招待される前から、\\n ずっと何かを抱え込んでいたみたいで」",
"363000511_17": "「このままでは、きっと……」",
"363000511_18": "「マリアさんの心配をよそに、翼さんは\\n 猛練習をやめないってことね」",
"363000511_19": "「ええ。でも、少しずつ、\\n 変わってきているようにも見えるのよ」",
"363000511_20": "「翼の成長を止めたくない。\\n けれど、何もできない自分がもどかしくて……」",
"363000511_21": "「ねぇ、マリアさん。わたしたちもレッスンしない?」",
"363000511_22": "「え?」",
"363000511_23": "「翼さんが変わってきているなら、\\n わたしたちも負けられないでしょ」",
"363000511_24": "「……そうね、行きましょう」",
"363000511_25": "「……ふぅ、一度休憩しましょ」",
"363000511_26": "「ええ」",
"363000511_27": "「翼さんのことで頭いっぱいになってるでしょ?」",
"363000511_28": "「えッ!?」",
"363000511_29": "「ぜーんぶお見通し」",
"363000511_30": "「……そろそろあの2人の練習も、\\n 終わった頃かしらって考えてたわ」",
"363000511_31": "「ねぇ、マリアさん。次はちょっと気分転換しない?」",
"363000511_32": "「気分転換?」",
"363000511_33": "「そう。わたしのお手伝いをしてほしくって――」",
"363000511_34": "「手伝いって……料理?」",
"363000511_35": "「そうそう。バナナマフィンを作るの♪」",
"363000511_36": "「なんでまたお菓子作りを?」",
"363000511_37": "「料理って無心になれるから、\\n リフレッシュできるんじゃないかと思って」",
"363000511_38": "「それに、わたしのバナナマフィンって人気なの。\\n だからたくさん作らなくっちゃ」",
"363000511_39": "「マリアさん、いっぱい手伝ってもらうからよろしくね」",
"363000511_40": "「ええ……」",
"363000511_41": "「翼もこれを食べて元気になってくれればいいんだけど」",
"363000511_42": "「マリアさんにとって、翼さんってとっても大きな存在なのね」",
"363000511_43": "「でも、舞台少女は仲間であると同時にライバルだから……」",
"363000511_44": "「翼さんも、マリアさんが想像もしないような\\n レヴューを魅せるようになるかも」",
"363000511_45": "「えッ……」",
"363000511_46": "「わたし、翼さんなら大丈夫だと思うな」",
"363000511_47": "「マリアさんは優しいから、翼さんが気にかかると思うけど……、\\n それぞれが別の方向を向いて励む時間が必要なのかも」",
"363000511_48": "「それぞれが励む時間……」",
"363000511_49": "「あなたは、周りのことがよく見えているのね」",
"363000511_50": "「えッ、わたしが?」",
"363000511_51": "「うーん、ただみんなのことが大好きなだけかな」",
"363000511_52": "「こんなにいっぱい、\\n バナナマフィンを作るくらいだものね」",
"363000511_53": "「うん、みんなに元気になってもらいたいから。\\n それで、元気に競い合っていきたいから」",
"363000511_54": "「そうね。ここでわたしが翼の方ばかり見ていたら、\\n 翼だって張り合いがないでしょうし」",
"363000511_55": "「バナナイス♪\\n それじゃ、じゃんじゃん焼き上げちゃおうねー」",
"363000511_56": "「ええ、そうね。\\n 翼だけじゃなく、みんなもわたしも元気になるために……」",
"363000511_57": "「いい香り、バナナマフィン?」",
"363000511_58": "「あら、ひかりちゃん。\\n レッスンは終わったの」",
"363000511_59": "「ええ。それに、話したいことがあって」",
"363000511_60": "「井手碧菜……彼女から話が聞けなかったから、\\n 別の学校に問い合わせたの」",
"363000511_61": "「『女神の歌』の選考に参加した、\\n っていう生徒がいる学校にね」",
"363000511_62": "「話を聞く条件として『演技の練習に付き合ってほしい』と\\n 言われたんだけど……」",
"363000511_63": "「わたしたち自身が手土産、ってことね」",
"363000511_64": "「それじゃ、みんなを呼びに行かないと……」",
"363000511_65": "「わぁ、美味しそうな匂いッ!」",
"363000511_66": "「バナナマフィンの予感がしてたんだよー。\\n 戻ってきて正解♪」",
"363000511_67": "「残念だけど、華恋ちゃん。すぐに行かなくっちゃ」",
"363000511_68": "「ええッ!? そんなぁ……」",
"363000511_69": "「去年のオーディションで何があったのか、\\n 突き止めなくっちゃ……ッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,76 @@
{
"363000521_0": "「先輩、本日はお時間いただき、ありがとうございます」",
"363000521_1": "「去年の『女神の歌』の選考について、\\n 知りたいことがあると聞いたけれど……」",
"363000521_2": "「はい、そうなんですッ!」",
"363000521_3": "「こちら、つまらないものですが……」",
"363000521_4": "「ばなな特製のバナナマフィンですッ!」",
"363000521_5": "「まぁ、ありがとう。とっても美味しそうね。\\n あとでゆっくりいただくわ」",
"363000521_6": "「さっそくだけど……、\\n 約束の稽古、付き合ってもらっていいかしら」",
"363000521_7": "「もちろんです」",
"363000521_8": "「第4幕、アポロンと女神たちのシーンね。\\n 行くわよ」",
"363000521_9": "「去年の選考で最終審査まで残った彼女と\\n 神楽たちの演技……楽しみだな」",
"363000521_10": "「……アポロン様、ずっとメレテーの方ばかり見てる……」",
"363000521_11": "「メレテー、やはり、そなたの歌は美しいな」",
"363000521_12": "「当然でしょ? これまで、みんなの歌を束ねてきたのは、\\n あたしなんだからッ」",
"363000521_13": "「でも……そんな仲間たちがいなくなるのは寂しいよ。\\n みんな一緒にいられたらいいのに」",
"363000521_14": "「だが、世界は広いのだ。\\n 私と共にこの地に残る者は、人でいい」",
"363000521_15": "「そっか……。じゃあ、仕方ないね。\\n あたしだって、他の人に譲るつもりはないし」",
"363000521_16": "「ふぅん、さすが言ってくれるわ。\\n けれど勝負はここから……よね アルケー」",
"363000521_17": "「どうしよう……やっぱり、わたしには……。\\n けど……唄うことだけは……負けたくない……ッ」",
"363000521_18": "「これまで負けっぱなしだった\\n アルケーちゃんが……」",
"363000521_19": "「歌に賭ける信念を感じる……。\\n わたしも、彼女のような心の強さを持てたら……」",
"363000521_20": "「……さすがは聖翔さん、いい練習になったわ」",
"363000521_21": "「これは今年の選考も気が抜けないな。\\n 去年以上に完成度を高めなくっちゃ」",
"363000521_22": "「その、去年の選考についてですが……」",
"363000521_23": "「安心しなさい、\\n 今更情報を出し惜しんだりはしないわ」",
"363000521_24": "「でも、今年は去年以上に厳しくなるんじゃないかしら。\\n 何しろ、去年、あんなことがあったばかりだから」",
"363000521_25": "「あんなこと……?」",
"363000521_26": "「昨年の選考で、何かトラブルでも?」",
"363000521_27": "「舞台そのものが大盛況だったから、\\n あまり話題にならなかったようだけど……」",
"363000521_28": "「選考事務局に直談判しにいった子がいたの。\\n 選考に納得できない、って」",
"363000521_29": "「ま、結局『審査は厳正な選考のもとに\\n 判断されたもの』って発表されたんだけど……」",
"363000521_30": "「でも、その子、\\n ちゃんとメレテーの役には選ばれてたのよね」",
"363000521_31": "「主役のアルケー以外で出演するつもりはないって言って、\\n 辞退したって聞いてるわ」",
"363000521_32": "「それは残念ですね……」",
"363000521_33": "「その子が辞退したメレテーだって、\\n わたしが狙ってた役だったのに」",
"363000521_34": "「ま、でもあの子が役を射止めるんだったら、\\n 仕方ないかと思えるぐらいの演技だったけどね」",
"363000521_35": "「どうしても主役のアルケーがやりたいって想いが\\n 強かったのね……」",
"363000521_36": "「その執念……。\\n きっと、彼女が……」",
"363000521_37": "「でも、それ以降、他の舞台でも、\\n 彼女の名前をまったく聞かなくなったの」",
"363000521_38": "「あれほどの演技力だから、\\n 他の舞台に立っていてもおかしくないのに……」",
"363000521_39": "「もし、彼女と『女神の歌』の舞台に立てるのならって\\n 思わなくもないんだけど」",
"363000521_40": "「彼女、確か碧菜……。\\n 井手碧菜って名前だったと思うわ」",
"363000521_41": "「やはり、あの時の……ッ!」",
"363000521_42": "「だけど、彼女が今年選考を受けたところで、\\n 上手くいかないかもしれないわね」",
"363000521_43": "「……それは去年のことがあるからですか?」",
"363000521_44": "「いいえ。運営事務局だってそんなことを\\n いちいち根に持ったりしないはずよ」",
"363000521_45": "「でも……一度舞台から離れた舞台少女が、\\n 感覚を取り戻すことは難しい」",
"363000521_46": "「まあ、仕方がないことだけどね」",
"363000521_47": "「どんな天才でも、歯車が1つ食い違っただけで、\\n 動けなくなってしまう……」",
"363000521_48": "「些細なスランプが原因で、舞台を下りてしまった人なんて\\n この世界では珍しくもないでしょ」",
"363000521_49": "「それは……」",
"363000521_50": "「結局、そういうのは自分で乗り越えるしかないからね。\\n 残念だけど……」",
"363000521_51": "「迷いは自分で乗り越えるしかない、か……」",
"363000521_52": "「翼……?」",
"363000521_53": "「スランプを乗り越えられなかったら……、\\n その時、わたしはどうなってしまうのだろう」",
"363000521_54": "「みんな一斉にスマホ鳴らして、\\n 誰かの呼び出し」",
"363000521_55": "「……そのようです。\\n 本日は、貴重なお話をありがとうございました」",
"363000521_56": "「次は『女神の歌』の選考で会いましょう」",
"363000521_57": "「その日が楽しみです」",
"363000521_58": "「急ぎましょう。\\n オーディションが始まってしまうわ」",
"363000521_59": "「立花、学園はこっちだぞ。\\n どこへ行くつもりだッ」",
"363000521_60": "「碧菜さんの学校ですッ!\\n ちゃんと話し合えば、きっと……ッ」",
"363000521_61": "「何を話し合うつもり?」",
"363000521_62": "「こんなこと、もうやめよう、って。\\n みんなで仲良く舞台に上がろう、って……ッ」",
"363000521_63": "「なんのために?」",
"363000521_64": "「え、なんのためにって……」",
"363000521_65": "「もちろん、碧菜さんのためだよ。\\n こんなこと続けていても、彼女はきっと幸せになれない」",
"363000521_66": "「そう。でも、彼女のことを思うのなら……、\\n 舞台に立つの、あなたが」",
"363000521_67": "「どうして……」",
"363000521_68": "「わたしたちは舞台少女。\\n 舞台の上でしか語り合うことはできない」",
"363000521_69": "「それに、レヴューに行けなかったら\\n 負けになっちゃうしね」",
"363000521_70": "「行こう、レヴューに。\\n ……舞台に」",
"363000521_71": "「華恋ちゃんまで……」",
"363000521_72": "「言いたいことは舞台の上で。\\n それが、舞台少女の流儀だよ」",
"363000521_73": "「……うん、わかった」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,32 @@
{
"363000531_0": "煩悶のレヴュー",
"363000531_1": "「これから碧菜さんと戦うなんて……」",
"363000531_2": "「やっぱり、こんなのって悲しいです。\\n だって……碧菜さんとみんなは絶対同じ気持ちだから」",
"363000531_3": "「ステージがとっても好き、大好き。\\n そのためだったら、どんなことでも頑張れる」",
"363000531_4": "「それって、とってもすごいことだと思うんです」",
"363000531_5": "「立花……」",
"363000531_6": "「その想いがきっと今は違う方向に向かっちゃってるから……、\\n ちゃんとわたしたち、分かり合えると思う」",
"363000531_7": "「……そうだね。響ちゃんの気持ち、レヴューを通して、\\n ちゃんと伝わると思うッ」",
"363000531_8": "「だから……わたしたち、やるしかないよねッ!」",
"363000531_9": "「うんッ!」",
"363000531_10": "「来たか……」",
"363000531_11": "「行きましょう」",
"363000531_12": "「ここで立ち止まるわけにはいかないッ!」",
"363000531_13": "「特訓の成果を見せる時だ……ッ!」",
"363000531_14": "「わたしたちも見てばかりじゃいられないッ!」",
"363000531_15": "「ええ。行くわよッ!!」",
"363000531_16": "「やったわね」",
"363000531_17": "「この調子でどんどん行きましょうッ!」",
"363000531_18": "「うわあッ!\\n な、何これッ」",
"363000531_19": "「前回のレヴューの時と同じく、\\n わたしたちを分断するつもりみたいね……」",
"363000531_20": "「皆、足元に気をつけろッ!」",
"363000531_21": "「はいッ!!」",
"363000531_22": "「……止まったわね」",
"363000531_23": "「みんな、どこにいるのッ!?」",
"363000531_24": "「マリアさん、ここにいるよ」",
"363000531_25": "「今回はあなたと一緒に戦えってことなのね。\\n 心強いわ」",
"363000531_26": "「マリアさんにそう言ってもらえてよかった。\\n 行きましょうッ」",
"363000531_27": "「ええッ!」",
"363000531_28": "「覚悟なさいッ!\\n これ以上、あなたたちの好き勝手にはさせないッ」",
"363000531_29": "「わたしたち、舞台少女の想い……。\\n レヴューで伝えてみせるッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,58 @@
{
"363000532_0": "「すごい数……気を付けて」",
"363000532_1": "「ええ……ッ!」",
"363000532_2": "(オーディションの回数を重ねるごとに、\\n 相手も手強くなっている……",
"363000532_3": "(みんなは大丈夫かしら……)",
"363000532_4": "(特に翼は……何か引っかかってる様子だったし)",
"363000532_5": "「どんな天才でも、歯車が1つ食い違っただけで、\\n 動けなくなってしまう……」",
"363000532_6": "「些細なスランプが原因で、舞台を下りてしまった人なんて\\n この世界では珍しくもないでしょ」",
"363000532_7": "「それは……」",
"363000532_8": "「結局、そういうのは自分で乗り越えるしかないからね。\\n 残念だけど……」",
"363000532_9": "「迷いは自分で乗り越えるしかない、か……」",
"363000532_10": "「翼……?」",
"363000532_11": "「スランプを乗り越えられなかったら……、\\n その時、わたしはどうなってしまうのだろう」",
"363000532_12": "「……思い悩むことなんてないのよ、あなたは」",
"363000532_13": "「早く、翼の元に向かわなきゃ……だから、今はッ!」",
"363000532_14": "「こっちはわたしに任せてッ!」",
"363000532_15": "「わたしが相手ッ!!」",
"363000532_16": "「助かるわッ!」",
"363000532_17": "「この調子で行けば――」",
"363000532_18": "「マリアさんッ!」",
"363000532_19": "「しまったッ!?」",
"363000532_20": "「うッ! うぅ……」",
"363000532_21": "「ごめんなさい、わたしのせいで……」",
"363000532_22": "「言ったでしょ……、\\n まず、自分のことを考えて……」",
"363000532_23": "「え?」",
"363000532_24": "「マリアさんがそんなかっこ悪いレヴューをしてたら、\\n 翼さんはどう思うかな……」",
"363000532_25": "「そ、それは……」",
"363000532_26": "「舞台少女は仲間であると同時に、\\n ライバルだから――」",
"363000532_27": "「翼さんも、マリアさんが想像もしないような\\n レヴューを魅せるようになるかもって」",
"363000532_28": "「今は翼さんを信じて、わたしたちはわたしたちの\\n レヴューを魅せるしかない……違う」",
"363000532_29": "「……そうね、翼は日々成長している。\\n わたしだって、負けていられないッ」",
"363000532_30": "「かかっていらっしゃいッ!\\n わたしが相手になるわッ」",
"363000532_31": "「すごい、マリアさん……」",
"363000532_32": "「もう、感心してる場合?\\n あなたも舞台少女なのでしょう」",
"363000532_33": "「そう言われたら、やるしかないよね……ッ!」",
"363000532_34": "「わたしも魅せます、『キラめき』をッ!!」",
"363000532_35": "「やっぱりあなたは凄まじいわ……。\\n だからこそ燃えてくるッ」",
"363000532_36": "「よーし、どんどん行こうッ!」",
"363000532_37": "「ええ、こんな連中に止められる\\n わたしたちではないッ」",
"363000532_38": "(わたしったら、何をしていたのかしら……。\\n 翼はこの世界に来てもなお、努力を続けている",
"363000532_39": "(今、思い悩んでいることがあったって、\\n 懸命に答えを見つけ出して、きっと乗り越えてみせる……",
"363000532_40": "(そんな彼女に不甲斐ない姿を見せるわけにはいかない。\\n それに……",
"363000532_41": "「わたしはッ!\\n 翼を信じるッ」",
"363000532_42": "「それじゃあ、\\n 最後の仕上げといきますか」",
"363000532_43": "「ええ、そうね」",
"363000532_44": "「<size=40>ポジションゼロッ!</size>」",
"363000532_45": "「また舞台機構が動き始めた……」",
"363000532_46": "「やっと終わったのね……」",
"363000532_47": "「マリアッ!\\n 大丈夫かッ」",
"363000532_48": "「ええ、大丈夫よ。\\n あなたに引けを取るようなわたしじゃないわ」",
"363000532_49": "「ああ、そうだったな……。\\n すまない、心配には及ばなかったな」",
"363000532_50": "「いいえ、こんな大きな口を叩いておいて、\\n わたしだってあなたが心配で堪らなかったもの」",
"363000532_51": "「でも、翼。あなたも、わたしに引けを取るような\\n あなたじゃないでしょう」",
"363000532_52": "「……ああ。\\n そうでありたいのだが……」",
"363000532_53": "(マリアも、立花も、舞台少女としての『キラめき』を\\n ものにしている……",
"363000532_54": "(なのに、わたしだけ、まだ……)",
"363000532_55": "「…………」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,47 @@
{
"363000611_0": "わたしたちの約束",
"363000611_1": "「すまない。\\n 早い時間から自主練に付き合わせてしまって」",
"363000611_2": "「いいえ。\\n 一緒に練習することで、わたしも学ぶことがあるから」",
"363000611_3": "「じゃあ、早速殺陣の動きを合わせてみましょう」",
"363000611_4": "「ああ、頼む」",
"363000611_5": "「行くわよ、せーのッ!」",
"363000611_6": "「ハァッ! フッ!」",
"363000611_7": "「ヤァッ!!\\n ……スムーズに動けているわ、さすがね」",
"363000611_8": "「しかし、まだ改善の余地はある。どうしたら、\\n もっと華麗に立ち回ることができるのだろうか……」",
"363000611_9": "「あなたを見ていると、\\n ロンドンの演劇学校にいた頃を思い出すわ」",
"363000611_10": "「その時の先生が教えてくれたの。一流の者は\\n 道を極めし時、常に勤勉な『生徒』である……って」",
"363000611_11": "「あなたほどの歌手がレヴューを前にして、\\n こんなに懸命にレッスンを重ねている」",
"363000611_12": "「わたしも懸命に励まなきゃって気持ちになる」",
"363000611_13": "「一流は常に勤勉な『生徒』……か」",
"363000611_14": "「神楽はそう言ってくれるが、実際のわたしは防人としても\\n アーティストとしても、未熟者」",
"363000611_15": "「ましてや、舞台少女としては一流などとは程遠い……」",
"363000611_16": "「皆の期待に応えるため、\\n 少しでも一流に近づきたいのに……」",
"363000611_17": "「翼……」",
"363000611_18": "「あなたが、別の世界の人なのが残念」",
"363000611_19": "「共に舞台に立つことができれば、\\n さぞ演じ甲斐があったでしょうに」",
"363000611_20": "「そうか……」",
"363000611_21": "「……なぁ、神楽は舞台に立つことが怖くなることはないか?」",
"363000611_22": "「そうね……。\\n あなたは怖いの」",
"363000611_23": "「ああ……思ってしまうのだ。\\n こんなわたしが、ステージに立っていてよいのかと」",
"363000611_24": "「……わたしもね、迷ったことがあるわ」",
"363000611_25": "「それこそ、もう二度と舞台に立てなくなるほどに」",
"363000611_26": "「神楽ほどの者でも……」",
"363000611_27": "「聞かせてくれないか?\\n その迷いから、どのように再起したのか」",
"363000611_28": "「わたしには『約束』があったから、\\n もう一度舞台と向き合えたのかもしれない」",
"363000611_29": "「約束……?」",
"363000611_30": "「ええ、この髪飾りはその証。\\n 華恋とわたしは同じ舞台に立つと昔、誓い合ったの」",
"363000611_31": "「子供の頃に交わした約束だから、覚えているのは\\n わたしだけだと思っていたけれど――」",
"363000611_32": "「でも、華恋は覚えていてくれた。\\n 『2人でスタァライトの舞台に立とう』って」",
"363000611_33": "「華恋との約束はわたしの舞台少女としての原点。\\n それと同時に、わたしが舞台に立ち続ける理由でもある」",
"363000611_34": "「さっき、翼は舞台に立つのが怖くなることがあると\\n 言ったけれど……」",
"363000611_35": "「あなたが舞台に上がる理由って何?」",
"363000611_36": "「それは、当然ファンの皆のためだ。\\n 風鳴翼を待ってくれている人の気持ちに応えたい」",
"363000611_37": "「そう……」",
"363000611_38": "「それじゃあ、翼はファンがいなくなったら、\\n 何も期待されなくなったら唄うことを辞めてしまうの」",
"363000611_39": "「そ、それは……」",
"363000611_40": "「そうだろう。聴いてくれる相手がいなくなったら、\\n わたしに唄う資格はないのではないか」",
"363000611_41": "「唄うことに資格なんているのかしらね」",
"363000611_42": "「……」",
"363000611_43": "(唄う……今まで当たり前のようにしてきたことだからか、\\n 考えがまとまらない",
"363000611_44": "「わたしにとって『唄う』とはなんなのだろうか……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,59 @@
{
"363000621_0": "「つ、疲れたぁ……」",
"363000621_1": "「お疲れ、響ちゃん。\\n 練習、飛ばしすぎちゃったかな」",
"363000621_2": "「ううん、とっても楽しかったッ!\\n 今日も付き合ってくれてありがとう、華恋ちゃん」",
"363000621_3": "「……あれ? いい匂いがする」",
"363000621_4": "「練習、お疲れさま」",
"363000621_5": "「頑張ってる2人のために、とーっても美味しい\\n 晩ご飯作っておいたよ」",
"363000621_6": "「わぁッ! ありがとうッ!」",
"363000621_7": "「もうお腹ペコペコだよ~」",
"363000621_8": "「それじゃあ、早速晩ご飯にしようか」",
"363000621_9": "「あら、他の2人は?」",
"363000621_10": "「翼ちゃんもひかりちゃんも、今日はじっくり『女神の歌』の\\n 戯曲を読みたいって言ってたから――」",
"363000621_11": "「それぞれ、自分の部屋にいるんじゃないかな」",
"363000621_12": "「それなら、2人とも呼んでこないと」",
"363000621_13": "「えッ!?\\n そ、それは……」",
"363000621_14": "「どうかしたの?」",
"363000621_15": "「えっと、その、\\n わたしたちのお部屋に行くのは……ッ」",
"363000621_16": "「入るわよ」",
"363000621_17": "「だ、ダメ~~~ッ!!」",
"363000621_18": "「こ、これは……」",
"363000621_19": "「あぁ、マリアさんに見られちゃった……」",
"363000621_20": "「アハハッ! 翼とひかりって、こんなところまで\\n 似た者同士なのね」",
"363000621_21": "「どういうことですか……?」",
"363000621_22": "「ねえ、翼たちの部屋を見てみて」",
"363000621_23": "「えッ、2人のお部屋を?」",
"363000621_24": "「そんな、だ、ダメですよッ!\\n わたしたちのお部屋は……ッ」",
"363000621_25": "「……わぁッ!\\n わ、わたしたちのお部屋と一緒ッ」",
"363000621_26": "「な、何事だ? 一体」",
"363000621_27": "「――せッ! \\n 説明させてくださいッ」",
"363000621_28": "「あ……あの……翼さんとわたしだと、\\n なかなかお片付けできなくて……」",
"363000621_29": "「マリアさんも、身内の恥をさらすだなんて\\n 鬼ですよ……」",
"363000621_30": "「ひかりちゃんと翼さん、\\n こんな共通点があったなんて」",
"363000621_31": "「翼があなたにはいろんなことがさらけ出せる理由が\\n わかった気がするわ」",
"363000621_32": "「そう……」",
"363000621_33": "「4人のお部屋はちゃんとお掃除しないとね」",
"363000621_34": "「でも、その前に晩ご飯にしましょ」",
"363000621_35": "「そうだねッ!\\n もうお腹ペコペコ」",
"363000621_36": "「温かいうちにいただきましょう」",
"363000621_37": "「は~いッ!」",
"363000621_38": "「そもそも、何故すぐに使うタオルを\\n わざわざクローゼットの奥にしまわなくちゃならないの」",
"363000621_39": "「何故なのだ?」",
"363000621_40": "「わからない。ただ、そういう決まりだから、と」",
"363000621_41": "「ふむ、古き風習に縛られていては新しきは生まれない。\\n 規則とは、常に見直していくべきだろう」",
"363000621_42": "「マリアさん……。\\n わたしの考え方は古いのでしょうか……」",
"363000621_43": "「いえ、あなたは間違っていない。\\n 何も間違っていないわ。けれど……」",
"363000621_44": "「そうよね、必要なものが手元にあるのが\\n 生活していく上で一番効率的なのに」",
"363000621_45": "「その通りだ。すぐに再び使うかもしれないものを、\\n 見えない場所に隠してしまうのも不条理というものだろう」",
"363000621_46": "「ええ、ええ。わかるわ。\\n 今度、まひるが戻ってきたら――」",
"363000621_47": "「……絶対叱られると思うよ……」",
"363000621_48": "「華恋、どうしてッ!?」",
"363000621_49": "「部屋を散らかしてると、\\n 物がなくなるから……」",
"363000621_50": "「華恋ちゃんが常識人みたいなこと言ってるッ!?」",
"363000621_51": "「よ……よかった……。そうだよね。\\n わたし、自分の中の良識が揺らぎかけていました……」",
"363000621_52": "「気を強く持ちなさい。そのためにも……、\\n ルームメイトであるあなたが、しっかりするのよ」",
"363000621_53": "「わかりましたッ! 強い意志で、お片付けしますッ!」",
"363000621_54": "「おのれ、多勢に無勢とはまさにこのこと……」",
"363000621_55": "「けど、初めて味方に出会えたわ。ならば、いつの日か\\n わたしたちの考えが認められる日も来るはずよ」",
"363000621_56": "「多分、来ないんじゃないかな……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,26 @@
{
"363000631_0": "「このシーンで『女神の歌』のお話は\\n おしまいなんですよね……」",
"363000631_1": "「ええ、そのはずよ」",
"363000631_2": "「それじゃあ、最後のシーンやってみましょう」",
"363000631_3": "「わ……わたしを……お傍に……?\\n ……アポロン様の……」",
"363000631_4": "「フッ、負けたわ。やるじゃない。\\n あんたの歌、あたしの胸にも響いたわ」",
"363000631_5": "「アポロン様のこと、お願いね」",
"363000631_6": "「そんな……わたしが、アポロン様の……なんて……」",
"363000631_7": "「前を向きなさいな。\\n アポロン様が認めてくださったのよ」",
"363000631_8": "「それに……あたしたちには歌がある。\\n だから、心配しないで」",
"363000631_9": "「わたしたちが唄い続けている限り、\\n 世界のどこにいても繋がり続けるんだから」",
"363000631_10": "「……はい。\\n みなさまも、どうか、お達者で……」",
"363000631_11": "「……って感じだね」",
"363000631_12": "「皆それぞれ想いを抱えていて、\\n まさに信念のぶつかり合いだった」",
"363000631_13": "「うん……いいお芝居で、いいお話で……。\\n だからこそ思うんだけど……」",
"363000631_14": "「離れ離れになってしまって、なんだか可哀想……」",
"363000631_15": "「でも、セリフにあったでしょ?\\n 女神たちは歌で繋がってるって」",
"363000631_16": "「けど、最初にみんなで楽しそうに唄ってたことを思い出すと、\\n なんだか悲しくなってきちゃって……」",
"363000631_17": "「響ちゃん……」",
"363000631_18": "「さて、こうして最後まで演じてもらったところだけど……」",
"363000631_19": "「何か、わかったことはあるかしら?」",
"363000631_20": "「正直なところ、闇の舞台少女の想いの深いところはわからない。\\n けれど……終幕は近い、ということね」",
"363000631_21": "「待っているのは、きっと闇の舞台少女との最終決戦ッ!」",
"363000631_22": "「うん、だから……」",
"363000631_23": "「行くしかないよねッ!\\n 最速で、最短で、まっすぐに、一直線にッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,48 @@
{
"363000641_0": "(わたしにとって『唄う』とは……、\\n 『ステージに立つ』とはどういうことなのだろう",
"363000641_1": "(あの時、神楽に問われたことが引っかかる――)",
"363000641_2": "「あなたが舞台に上がる理由って何?」",
"363000641_3": "「それは、当然ファンの皆のためだ。\\n 風鳴翼を待ってくれている人の気持ちに応えたい」",
"363000641_4": "「そう……」",
"363000641_5": "「それじゃあ、翼はファンがいなくなったら、\\n 何も期待されなくなったら唄うことを辞めてしまうの」",
"363000641_6": "「そ、それは……」",
"363000641_7": "(あの時、わたしは何も答えることができなかった……)",
"363000641_8": "(今、同じことを問われたら……、\\n わたしははっきりと答えることができるだろうか",
"363000641_9": "(いや……今のわたしでは――)",
"363000641_10": "「……どうかしましたか?」",
"363000641_11": "「えッ……」",
"363000641_12": "「台本をじーっと見つめたままだから、\\n どうかしたのかなって」",
"363000641_13": "「あぁ、すまない。なんでもないんだ」",
"363000641_14": "「何か心に引っかかることがあるなら、言ってくださいねッ!」",
"363000641_15": "「ああ……」",
"363000641_16": "「舞台少女はライバルでもあるけど、仲間だから。\\n 翼さんは人じゃないですよッ」",
"363000641_17": "「とっても心強いマリアさんに、\\n 翼さんのことが大好きな響ちゃん」",
"363000641_18": "「わたしも、ひかりちゃんも、ばななもいますからッ!\\n 」",
"363000641_19": "「愛城……ありがとう」",
"363000641_20": "「オーディションの通知……」",
"363000641_21": "「終幕が近いということは、\\n これが最後のオーディションになるかもしれないわね」",
"363000641_22": "「碧菜さん……わたしたちの気持ち、伝わるかな」",
"363000641_23": "「伝えるんだよッ!」",
"363000641_24": "「うん、そうだったねッ!」",
"363000641_25": "「レヴューで精一杯伝えるんだ、\\n こんな悲しいステージはやめようって」",
"363000641_26": "「ここで立ち止まるわけにはいかないわ。\\n 行きましょう」",
"363000641_27": "「ええ」",
"363000641_28": "「翼も、行くわよ」",
"363000641_29": "「……ああ」",
"363000641_30": "終幕のレヴュー",
"363000641_31": "「碧菜さんは……?」",
"363000641_32": "「まだお出ましじゃないようね」",
"363000641_33": "「ということは――」",
"363000641_34": "「やっぱりあなたたちなのね」",
"363000641_35": "「さぁ、行くわよ。みんなッ!」",
"363000641_36": "「ええ」",
"363000641_37": "「わたしたちの相手はあなたたちじゃないッ!」",
"363000641_38": "「井手碧菜、早く出てきなさい……\\n 舞台少女として、あなたに問いたいことがあるッ」",
"363000641_39": "「この音はまた……舞台装置が動き始めたッ!」",
"363000641_40": "「またそれぞれに分かれて、\\n レヴューに挑まなくてはならないのか……」",
"363000641_41": "「終幕のレヴュー、\\n 彼女はわたしたち人でのレヴューを望んでいるようね」",
"363000641_42": "「ああ、そのようだな」",
"363000641_43": "「でも、終幕のラストシーン。\\n ステージに立っているのはわたしたちよ」",
"363000641_44": "「そうだな」",
"363000641_45": "「こんなところで折れるわたしではないッ!\\n 風鳴る剣にて、参るッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,28 @@
{
"363000642_0": "「これまで鍛錬に付き合ってもらった神楽に\\n 無様な姿は見せられない……」",
"363000642_1": "「覚悟ッ!!」",
"363000642_2": "「まだまだッ!」",
"363000642_3": "「踏み込みすぎよッ!」",
"363000642_4": "「しまったッ!」",
"363000642_5": "「しっかりして、翼ッ!」",
"363000642_6": "「すまない……わたしはすぐに己を見失い、\\n 神楽の足手まといになってしまう」",
"363000642_7": "「何を言ってるのッ!」",
"363000642_8": "「あなたの中にはきちんと答えがあるはず。\\n これ以上、見失わないで。自分をッ」",
"363000642_9": "「神楽……」",
"363000642_10": "「もう一度聞くわ。あなたは何のために舞台に立つの?」",
"363000642_11": "「それは……」",
"363000642_12": "「く……ッ!」",
"363000642_13": "(講義を受け、鍛錬を積んだというのに……\\n 何故だッ 何故、わたしはこんなにも……ッ",
"363000642_14": "「危ないッ!」",
"363000642_15": "「ッ! もはやこれまでか……ッ!?」",
"363000642_16": "「うわああああああッ!」",
"363000642_17": "「翼ーーーーーッ!」",
"363000642_18": "「翼さんを1人にはしませんッ!!!」",
"363000642_19": "「立花ッ!?\\n 舞台は分断されているのに……どうやって、ここに」",
"363000642_20": "「舞台が繋がったんですッ!\\n きっと、舞台がわたしの気持ちに応えてッ」",
"363000642_21": "「翼さんの『キラめき』を奪われるわけにはいかないからッ!」",
"363000642_22": "「行くよ、響ちゃんッ!」",
"363000642_23": "「うんッ!」",
"363000642_24": "「立って、翼。\\n わたしたちは、まだここで倒れるわけにはいかないわ」",
"363000642_25": "「皆……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,18 @@
{
"363000651_0": "「皆に助けられるばかりで、\\n なんと不甲斐ない……」",
"363000651_1": "「そんなことないですよ」",
"363000651_2": "「わたしは、翼さんの歌を聴くために、\\n 舞台機構を飛び越えてやってきたんです」",
"363000651_3": "「翼さんの歌、翼さんの『キラめき』のために」",
"363000651_4": "「言ったわよね、あなたは\\n トップを駆けるアーティストだって」",
"363000651_5": "「もっと大きなステージが、あなたを待っているわ」",
"363000651_6": "「だから……ここで、\\n 『キラめき』を奪われている場合じゃないのよ」",
"363000651_7": "「ねぇ、翼。\\n みんな、あなたの歌を待っているのよ」",
"363000651_8": "「そんなあなたの『キラめき』が足りないはずはないッ!」",
"363000651_9": "「信じて、あなたに秘められた『キラめき』を」",
"363000651_10": "「そして、あなたが大切にしてきた『唄う』ということを」",
"363000651_11": "「唄うということ……」",
"363000651_12": "「さぁ行くわよ、翼。共に」",
"363000651_13": "「強く掲げた掌すり抜け、奈落に落としたあの日の誓い。\\n 再びのぼる運命の舞台、例え悲劇で終わるとしても」",
"363000651_14": "「99期生、神楽ひかり。\\n すべてはスタァライトのためにッ」",
"363000651_15": "「そして、防人・風鳴翼。\\n 舞台少女として、いざ尋常に……勝負ッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,16 @@
{
"363000711_0": "闇の舞台少女は宣言する",
"363000711_1": "「これ以上、皆に\\n 不甲斐ない姿を見せるわけにはいかない……ッ」",
"363000711_2": "「その調子よッ!」",
"363000711_3": "「すごい……これが……」",
"363000711_4": "「翼さんの持っている『キラめき』……」",
"363000711_5": "「行くわよ。\\n 最後の仕上げッ」",
"363000711_6": "「ああ、これで終わりにするッ!!」",
"363000711_7": "「よし……ッ!」",
"363000711_8": "「これで、あとは……ッ!」",
"363000711_9": "「ッ! 照明が落ちたということは……」",
"363000711_10": "「彼女のお出ましね」",
"363000711_11": "「見せてもらったわ、\\n 眩いばかりの『キラめき』を」",
"363000711_12": "「けれど……すべては無意味に終わる」",
"363000711_13": "「わたしの圧倒的な『キラめき』の前ではッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,29 @@
{
"363000712_0": "「きゃあッ!」",
"363000712_1": "「これがあの子の本気……」",
"363000712_2": "「このオーディションが『女神の歌』に基づいているなら、\\n ここからはラストシーンのはず」",
"363000712_3": "「本来であれば、女神たちが\\n 互いをたたえ合っているシーンのはずよ」",
"363000712_4": "「互いをたたえ合うなんて、できるはずない……。\\n だって、選ばれた女神は人だけ」",
"363000712_5": "「選ばれた者に選ばれなかった者の気持ちなんて、\\n わかるはずがないッ」",
"363000712_6": "「すッ……すごい力……ッ!」",
"363000712_7": "「こんな力を持っていたなんて……」",
"363000712_8": "「わたしたちも相手も舞台少女。\\n 根底にあるのは同じもののはず」",
"363000712_9": "「なのに、どうしてここまで……?」",
"363000712_10": "「わたしとあなたたちが同じ舞台少女?\\n その認識から間違っているわ」",
"363000712_11": "「わたしは、選ばれし舞台少女なのよッ!」",
"363000712_12": "「それは、この狂ったオーディションに選ばれた、\\n ということかしら」",
"363000712_13": "「こんなものは茶番劇にすぎない。\\n わたしが立つべき舞台はただつ」",
"363000712_14": "「『女神の歌』の主役……ッ!」",
"363000712_15": "「なのに……よりにもよって、メレテー役だなんて……。\\n 主催者たちの目は節穴なのッ」",
"363000712_16": "「やはりお前は、\\n 井手……碧菜……」",
"363000712_17": "「わたしは主役になるため、\\n ずっと努力に、努力を重ねてきた……ッ」",
"363000712_18": "「その努力が足りなかっただなんて、認めないッ!」",
"363000712_19": "「…………」",
"363000712_20": "「その努力が認められたからこそ、わたしは導かれたのよ。\\n 学校の倉庫の奥に眠る『黄金のリボン』のもとへ」",
"363000712_21": "「それを手にしたとき、わたしは知ったの。ここで\\n 『キラめき』を競い合うオーディションが行われていることを」",
"363000712_22": "「そして、このリボンの力をもってすれば、\\n そのルールを自由に書き換えることができるとッ」",
"363000712_23": "「リボンにそんな力が……?\\n それは恐らく……」",
"363000712_24": "「いや、間違いなく聖遺物……ッ!」",
"363000712_25": "「わたしがレヴューを行う理由はただ1つッ!\\n 我が障害となる舞台少女の『キラめき』を奪うためッ」",
"363000712_26": "「他の主役候補となる舞台少女の『キラめき』を\\n 奪い尽くしてやるのよッ」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,31 @@
{
"363000721_0": "「あなたたちの『キラめき』を奪って、\\n わたしだけがスポットライトを浴びてみせる……ッ」",
"363000721_1": "「うわあああああッ!?」",
"363000721_2": "「大丈夫ッ!?」",
"363000721_3": "「あなたに他人の心配をしている余裕はあるのかしら?」",
"363000721_4": "「ああッ!!」",
"363000721_5": "「マリアさんッ! わたしが……わたしがみんなを\\n 護らなきゃ……ッ」",
"363000721_6": "「そんなことができると思うの?」",
"363000721_7": "「リボンから、そして、数多の舞台少女から奪い取った\\n この『キラめき』の前でッ」",
"363000721_8": "「きゃあああああああッ!」",
"363000721_9": "「大場ッ! わたしは……防人として、あまりに……」",
"363000721_10": "「そんなことないよッ!」",
"363000721_11": "「愛城……?」",
"363000721_12": "「さっきの、ひかりちゃんとのデュエット、\\n すごくカッコよかった」",
"363000721_13": "「思わず嫉妬しちゃうくらいに。\\n そんな翼さんなら……ッ」",
"363000721_14": "「そうよ、翼。迷わないでッ!」",
"363000721_15": "「神楽……」",
"363000721_16": "「あなたに思い出してほしいの。\\n あなた自身が唄う、本当の理由を」",
"363000721_17": "「脇役風情が、無駄なことを」",
"363000721_18": "「きゃあッ!」",
"363000721_19": "「うぅ……」",
"363000721_20": "「愛城ッ! 神楽ッ!」",
"363000721_21": "「翼さんなら、絶対に……、\\n もっと輝ける……から……」",
"363000721_22": "「自分自身の気持ちを……、\\n 信じて……ッ」",
"363000721_23": "「…………」",
"363000721_24": "「残すところは、あなた1人のようね」",
"363000721_25": "「神楽も、愛城も、大場も……。\\n あなたと同じ舞台を愛する舞台少女だった」",
"363000721_26": "「なのに……何故、こんな悲しい戦いを\\n 続けなければならない……」",
"363000721_27": "「それは、アポロンも言っていたでしょう?」",
"363000721_28": "「傍にいるのは1人でいい、とッ!」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,22 @@
{
"363000722_0": "「フフッ、やはりあなたの『キラめき』は不十分……。\\n その程度では、観客は満足してくれないわ」",
"363000722_1": "「な、んだと……?」",
"363000722_2": "「剣が鈍ってるわよ。\\n 何か、心当たりでもあるのかしら」",
"363000722_3": "「それは……」",
"363000722_4": "「あなたは、わたしには勝てないの。\\n 何故ならば……」",
"363000722_5": "「あなたの『キラめき』は、\\n わたしに到底及ばないからッ」",
"363000722_6": "「わたしの、上掛けが……」",
"363000722_7": "「わたしは……負けたのか……?」",
"363000722_8": "「そう、負けたのよ。わたしの『キラめき』の前に」",
"363000722_9": "「この『キラめき』は努力の結晶。\\n わたしの人生そのもの」",
"363000722_10": "「そんなわたしこそ、\\n 主役の座に相応しい……ッ」",
"363000722_11": "「そうか……わたしは……」",
"363000722_12": "「もう、わたしに匹敵する『キラめき』の持ち主はいない」",
"363000722_13": "「こんなわたしを見れば、あの大人たちだって、\\n わたしを主役に選ばざるを得ないでしょう」",
"363000722_14": "「やっと……やっと、この時がやって来たのね……。\\n 心から求め続けた、この瞬間……ッ」",
"363000722_15": "「もう決して誰にも譲らない……。\\n この『わたし』が主役ッ」",
"363000722_16": "「高らかに宣言するわ、",
"363000722_17": " ポジションゼロッ!!!!」",
"363000722_18": "「……どうやら、もう代役も現れないようですね」",
"363000722_19": "「名残惜しいですが、このオーディションは終了のようです」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,26 @@
{
"363000811_0": "すべては奇妙な夢なのか?",
"363000811_1": "「……翼さん、翼さんッ!」",
"363000811_2": "「翼さん、まもなく本番ですよ」",
"363000811_3": "「……本番? ここは……」",
"363000811_4": "「どうかしましたか?」",
"363000811_5": "(一体、わたしは何を……?\\n あれは夢だったのか",
"363000811_6": "(わからない……。\\n けれど、今はステージに集中しなくては",
"363000811_7": "(ステージに上がらなくては……。\\n なのに……なんだろう、この違和感は……",
"363000811_8": "(これまで何度も立ってきたステージ……。\\n この会場だって初めてじゃない",
"363000811_9": "(なのに……まるで、初めてのような感覚……。\\n 緊張ではなく……これは……",
"363000811_10": "「翼さん、お願いします」",
"363000811_11": "(何故、何故身体が動かない……?)",
"363000811_12": "「翼さんッ! もう入りのタイミングですッ!」",
"363000811_13": "「どうしたんですかッ!?」",
"363000811_14": "「……わからないのです」",
"363000811_15": "「翼さん……?」",
"363000811_16": "「わたしはどうしてステージに上がるのか……」",
"363000811_17": "「……」",
"363000811_18": "「わたしはアーティスト・風鳴翼……」",
"363000811_19": "「しかし何故、わたしは唄う?\\n 誰がわたしを求めている……」",
"363000811_20": "「わからない、わからないのです……」",
"363000811_21": "(……待てよ、まさかッ!?\\n あれは夢ではなかったのか……",
"363000811_22": "(何かが欠落してしまったような、この感覚……。\\n 意識をステージに向けても、心と身体が全く動かない……",
"363000811_23": "(『『キラめき』を失う』というのは、\\n こういうことだったんだ……ッ"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,69 @@
{
"363000821_0": "(何故だ、何故なんだ?\\n 何も感情が湧いてこない……",
"363000821_1": "(あの瞬間にわたしが『キラめき』を奪われたから……)",
"363000821_2": "(終幕のラストシーン、ステージに立っていたのは\\n わたしではなく『彼女』だったのだ――",
"363000821_3": "「やっと……やっと、この時がやって来たのね……。\\n 心から求め続けた、この瞬間……ッ」",
"363000821_4": "「もう決して誰にも譲らない……。\\n この『わたし』が主役ッ」",
"363000821_5": "「高らかに宣言するわ、",
"363000821_6": " ポジションゼロッ!!!!」",
"363000821_7": "「そんな……」",
"363000821_8": "「これで……終わり……?」",
"363000821_9": "「ええ、そうよ。\\n あなたたちの舞台少女人生はここでおしまい」",
"363000821_10": "「アハハッ! 可哀想……。\\n 舞台少女が『舞台』を失ったら何が残るっていうの」",
"363000821_11": "「せいぜい、刺激のない無味な時間を生きればいい……\\n それがステージに居場所を作れなかった者の運命ッ」",
"363000821_12": "「みんなの『キラめき』が奪われて……」",
"363000821_13": "「もうステージには立てないというの?\\n そんなこと……許せるわけ……ッ」",
"363000821_14": "「笑わせないで、何が『許せない』よ。\\n 胸の張り裂けそうな想いをしたことがあなたたちにある」",
"363000821_15": "「わたしは……わたしの力で『居場所』を作っただけッ!\\n 努力は何よりも尊いのよ……努力は才能を凌駕するのッ」",
"363000821_16": "「何を言ってるの?\\n これはあなたの努力ではない、聖遺物の力よ……」",
"363000821_17": "「そうだよ……碧菜さん、もうこんなことやめよう?」",
"363000821_18": "「去年の選考を受けた人たちは、\\n みんな碧菜さんのことを認めてた」",
"363000821_19": "「そんな素敵な舞台少女なら、\\n きっと今年の選考だって――」",
"363000821_20": "「うるさいうるさいうるさいッ!!」",
"363000821_21": "「あなたたちには絶対わからない……。\\n 物心ついた頃から全部をステージのために捧げてきた……」",
"363000821_22": "「すべて背負ってきたのよ、周囲からの期待に\\n 『できる子』としてのプレッシャーも……」",
"363000821_23": "「去年だってそうよ、わたし以外に主役をやる子なんて\\n いないってみんなが口を揃えて言っていたわ……」",
"363000821_24": "「なのにあのザマッ!!」",
"363000821_25": "「選考結果が発表された瞬間、\\n みんながわたしの顔色をうかがうのよ」",
"363000821_26": "「その時の目……今でも忘れられない。\\n 『あぁ、可哀想に』『あの子もこれで終わりね』って」",
"363000821_27": "「口では『きっと調子が悪かったのよ、またチャンスが』なんて\\n 言って、心の内ではわたしを嘲笑って……ッ」",
"363000821_28": "「そんなこと……」",
"363000821_29": "「だから、誓ったの。\\n どんなことをしてでも主役を勝ち取ってみせる……」",
"363000821_30": "「それがわたしが最後にできる『努力』だから」",
"363000821_31": "「さぁ、哀れな舞台少女たち……ッ!\\n 歌とステージとお別れしてちょうだいッ」",
"363000821_32": "「……このままじゃ、わたしたちも捕らえられて、\\n どこかに連れ去られちゃう」",
"363000821_33": "「このようなところで\\n 膝を折っている場合ではない。だが……ッ」",
"363000821_34": "「身体が……身体が動かない……」",
"363000821_35": "「それが『キラめき』を失うということ……。\\n もう二度と味わいたくなかった、なのに……」",
"363000821_36": "「でも、諦めない……ッ!\\n こんなの……へいき、へっちゃらッ」",
"363000821_37": "「わたしたちも続きましょうッ!\\n 最後まで諦めない……ッ」",
"363000821_38": "「フッ、嘆かわしい」",
"363000821_39": "「ようやく己の不甲斐なさに気づき、\\n 慌ててもがき始めるとは」",
"363000821_40": "「だとしても……ッ!」",
"363000821_41": "「ここはもうわたしのステージ。\\n そんな無様な姿を見るのはもうたくさんッ」",
"363000821_42": "「あッ……」",
"363000821_43": "「そんな……嘘でしょ……」",
"363000821_44": "「やめてッ!!\\n もうイヤ……目の前で大切な人を失うのはッ」",
"363000821_45": "「わたしは負けられないッ!\\n だって、わたしは……わたしは……ッ」",
"363000821_46": "「99期生、大場なな。\\n わたしが守るの。ずっと何度でもッ」",
"363000821_47": "「ダメよッ!\\n そんなことしたら、あなたまで……ッ」",
"363000821_48": "「わたしが……わたしが守らなきゃ……」",
"363000821_49": "「うッ……ああッ!」",
"363000821_50": "「ななッ!!」",
"363000821_51": "「許さない……\\n 嫉妬に狂ったあなたがステージ立つ資格なんてないッ」",
"363000821_52": "「口を慎みなさいッ!」",
"363000821_53": "「ああああああああッ!」",
"363000821_54": "「マリアッ!!」",
"363000821_55": "「立花に続いて、マリアまで……。\\n わたしは、わたしはもう……」",
"363000821_56": "「翼さん、しっかりしてッ!」",
"363000821_57": "「しまったッ! ここは……舞台の端……?\\n 落ちる……ッ」",
"363000821_58": "「手をッ!」",
"363000821_59": "「神楽……もういい……。\\n もういいんだ……」",
"363000821_60": "「わたしは、舞台に立つ資格などない……」",
"363000821_61": "「何を言っているのッ!」",
"363000821_62": "「ステージにかけるあなたの想いは本物よ。\\n だから――」",
"363000821_63": "「あなたの『キラめき』は奪えない。奪わせない……ッ!」",
"363000821_64": "「あなたに『これ』を託すからッ!\\n 思い出して、あなたの、原点を……ッ」",
"363000821_65": "「すまない、神楽……」",
"363000821_66": "「本当に……すまない……」"
}

Bestand weergeven

@ -0,0 +1,64 @@
{
"363000831_0": "(……あの時、わたしは『キラめき』を失ってしまった。\\n だからもう、二度とステージに立つことはできない",
"363000831_1": "(『キラめき』を失ったわたしに、ファンの皆も\\n 失望して去っていくだろう",
"363000831_2": "(わたしはもう、唄えない……。\\n 唄えないわたしなど、存在する意味があるのだろうか",
"363000831_3": "「……これは」",
"363000831_4": "「髪飾り……。\\n これは神楽が大切にしていたものではなかったか」",
"363000831_5": "「わたしには『約束』があったから、\\n もう一度舞台と向き合えたのかもしれない」",
"363000831_6": "「ええ、この髪飾りはその証。\\n 華恋とわたしは同じ舞台に立つと昔、誓い合ったの」",
"363000831_7": "「華恋との約束はわたしの舞台少女としての原点。\\n それと同時に、わたしが舞台に立ち続ける理由でもある」",
"363000831_8": "「神楽が大切にしている髪飾りをわたしに握らせた意味。\\n 神楽はわたしに何を伝えようとしたのか……」",
"363000831_9": "「彼女はわたしに『原点』を思い出せと、\\n 何度も語りかけてくれた……」",
"363000831_10": "「その原点こそが、すべてを失ったわたしに残された\\n 最後の『ひかり』なのかもしれない……ッ」",
"363000831_11": "「…………」",
"363000831_12": "「行かないと」",
"363000831_13": "「皆と、そして、わたしの『原点』を\\n 裏切らぬために……ッ」",
"363000831_14": "「緒川さん、\\n 今日わたしはこのステージで唄うことはできません」",
"363000831_15": "「そんな……」",
"363000831_16": "「ですが、ファンの皆に伝えたいことがあります。\\n 行かせてください」",
"363000831_17": "「この気持ちをきちんと伝えなければ、\\n 仲間たちの元には戻れない……」",
"363000831_18": "「マイクをわたしにくださいッ!」",
"363000831_19": "「集まってくれた皆に、\\n お詫びしなくてはいけないことがあります」",
"363000831_20": "「今からここで、唄うことができないのです。\\n ごめんなさい……本当にごめんなさい」",
"363000831_21": "「多くは語れません。しかし、わたしが唄う理由を\\n 見失いかけた時――」",
"363000831_22": "「必死に語りかけてくれた、支えてくれた仲間が\\n 今わたしを待っている」",
"363000831_23": "「その仲間たちに、わたしがステージに立つ理由を\\n 再確認できたことが伝えられなかったら――」",
"363000831_24": "「わたしはずっと後悔し続ける。",
"363000831_25": " ……だからッ!」",
"363000831_26": "「すべてに打ち勝って、必ずステージに帰ってきます。\\n それまで、わたしの歌を……」",
"363000831_27": "「風鳴翼を、待っていてくれますか……?」",
"363000831_28": "「当たり前だろーッ!」",
"363000831_29": "「だって、俺たちはファンなんだからッ!」",
"363000831_30": "「行ってきてッ!\\n そして、最高の風鳴翼をわたしたちに見せてッ」",
"363000831_31": "「皆……ありがとうッ!」",
"363000831_32": "「闇に心を落とした舞台少女、井手碧菜……。\\n もうわたしは迷わない」",
"363000831_33": "「さあ……防人の生き様、\\n 覚悟を見せてあげる……ッ」",
"363000831_34": "「フ、フフフ……わたしが……わたしこそが、\\n このオーディションの勝者」",
"363000831_35": "「これで、舞台少女たちの『キラめき』は\\n わたしのもの」",
"363000831_36": "「炉に燃料が焚べられ、火が灯った」",
"363000831_37": "「わたしが望む、運命の舞台は……ッ!」",
"363000831_38": "「誰ッ!?\\n わたしの邪魔をするのは……ッ」",
"363000831_39": "「悪いが……今一度、飛び入りさせてもらおうッ!」",
"363000831_40": "「あなたは……ッ!」",
"363000831_41": "「驚きました……が、しかし面白い。\\n 最後の最後まで目が離せませんね、この展開は」",
"363000831_42": "「喜んでいる観客には申し訳ないけれど……、\\n もう決着はついているわ」",
"363000831_43": "「敗者1人がのこのこ戻ってきたところで、\\n 一体何ができるというの」",
"363000831_44": "「わたし1人では、『キラめき』を失って\\n この世界に戻ってくることさえ叶わなかった」",
"363000831_45": "「しかし、愛城に大場、そして神楽が思い出させてくれたのだ」",
"363000831_46": "「わたしはいつの間にか、すっかり己を見失ってしまっていた」",
"363000831_47": "「プロのアーティストである、風鳴翼として\\n ファンの期待に応え続けなければいけないと」",
"363000831_48": "「しかし、神楽は……愛城と大場もわたしを\\n アーティストではなく、いち舞台少女として接してくれた」",
"363000831_49": "「プロのアーティストとしてではなく……、\\n 歌が大好きな、風鳴翼として」",
"363000831_50": "「……いや、立花やマリアとて、ずっとそうだったのだろう。\\n わたしが気づこうとしなかっただけで」",
"363000831_51": "「2人が一緒に舞台に立ってくれたことで、\\n わたしは『原点』に気づくことができたのだ」",
"363000831_52": "「大好きな皆のために……」",
"363000831_53": "「大好きな皆が支えてくれた、わたしのために……」",
"363000831_54": "「わたしは、もう一度この舞台に……立つッ!」",
"363000831_55": "「そして、もう二度と忘れまい。\\n わたしは……」",
"363000831_56": "「唄うことが、大好きなのだと……ッ!」",
"363000831_57": "「こ……これは……再演? いや……ッ!?」",
"363000831_58": "宿願のレヴュー",
"363000831_59": "「素晴らしいッ! 一度倒れた戦士が、\\n 生まれ変わってかつての宿敵に挑むッ」",
"363000831_60": "「これは、再演ではない。第2幕だ。\\n そして……」",
"363000831_61": "「<size=40>終幕としてみせようッ!</size>」"
}

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