@@ -0,0 +1,128 @@ | |||
{ | |||
"201020511_0": "レッツダンスッ!", | |||
"201020511_1": "「2人とも、よく来てくれた」", | |||
"201020511_2": "「なんのご用デス? 出撃デスか?」", | |||
"201020511_3": "「いや、出撃ではない。\\n しかし、2人にとって重要な任務であることは確かだ」", | |||
"201020511_4": "「重要な任務……」", | |||
"201020511_5": "「一体、何をするデスか?」", | |||
"201020511_6": "「有事に備え、2人には\\n 今のうちに連携をより強化してもらいたいと考えている」", | |||
"201020511_7": "「そこで、2人にとって一番効果がある方法を模索し、\\n 特訓を重ねてもらいたい」", | |||
"201020511_8": "「ええッ!?\\n 出撃じゃなくて特訓デスか?」", | |||
"201020511_9": "「それに、やり方は自分たちで考えろなんて……」", | |||
"201020511_10": "「必要とあらば予算は惜しまない。\\n どんな方法でもいい。最高の連携を見せてくれ」", | |||
"201020511_11": "「でも……」", | |||
"201020511_12": "「調、やるデスよ!」", | |||
"201020511_13": "「切ちゃん……?」", | |||
"201020511_14": "「アタシたちにしか生み出せない、最高の連携デスよ?\\n そんなこと言われたら、燃えないわけがないデス!」", | |||
"201020511_15": "「……そうだね!\\n やろう、切ちゃんッ!」", | |||
"201020511_16": "「やろうと言ったものの……\\n 連携のための特訓って、一体何をすれば……」", | |||
"201020511_17": "「ああッ!」", | |||
"201020511_18": "「どうしたの? 切ちゃん」", | |||
"201020511_19": "「これデスよ、調ッ!」", | |||
"201020511_20": "「……新しくできたダンススタジオ?」", | |||
"201020511_21": "「踊るデス!\\n 2人で息を合わせてダンスデスッ!」", | |||
"201020511_22": "「ダンス……?」", | |||
"201020511_23": "「確か、こうだよね……、\\n ワンツー、ワンツー」", | |||
"201020511_24": "「おお、教えられた通りのステップができているデスよッ!\\n ただ、もっと大胆に動くのもいいと思うんデス」", | |||
"201020511_25": "「こう――デスデスッ! デスデースッ!」", | |||
"201020511_26": "「切ちゃん、動きのキレはいいけど、\\n 基本を無視しすぎだと思う……」", | |||
"201020511_27": "「あら、あなたたち……、\\n こんなところで練習していたの?」", | |||
"201020511_28": "「はいデースッ!\\n もう少し練習したくなったんデスッ!」", | |||
"201020511_29": "「なんだか夢中になってきちゃって……」", | |||
"201020511_30": "「レッスンが終わった後に自主練習なんて、\\n 私も若い頃に覚えがあるけど……」", | |||
"201020511_31": "「あなたたちがそこまで熱心になってくれて、\\n 教えている身としてもすごく嬉しいわ」", | |||
"201020511_32": "「自分でも上達してるのが分かるし、切ちゃんと一緒だと、\\n さらに上手く踊れてる気がして……」", | |||
"201020511_33": "「確かに2人の息はぴったりよね。\\n 細かな技術はともかく、その点は素晴らしいわ」", | |||
"201020511_34": "「褒めてもらえたデース。\\n でもアタシたちは、もっと上手くなりたいんデスッ!」", | |||
"201020511_35": "「そうね……練習を続けるのもいいけど、\\n それならいっそダンスイベントに出てみない?」", | |||
"201020511_36": "「ダンスイベント……デスか……?」", | |||
"201020511_37": "「あなたたちは上昇志向も強いし、\\n 人に見せるのを意識することで、さらに上達できると思う」", | |||
"201020511_38": "「みんなに……見せる……ッ!?」", | |||
"201020511_39": "「アタシは出てみたいデスッ!\\n 練習の成果を誰かに見てもらいたいデスッ!」", | |||
"201020511_40": "「う、うん……そうだよね。\\n わたしも出てみたい……ッ!」", | |||
"201020511_41": "「よーし、出るからには絶対優勝デースッ!」", | |||
"201020511_42": "「あ、これは出場者の優劣を競うイベントじゃないから」", | |||
"201020511_43": "「別に競わなくてもいいよね?\\n わたしたちは初心者だし……」", | |||
"201020511_44": "「そ、そうデスよね……。とにかく少しでも上達して、\\n 最高のダンスを披露するデスッ!」", | |||
"201020511_45": "「2人とも、ギアも着けずになんの訓練をしているの?」", | |||
"201020511_46": "「もうすぐダンスイベントがあるから、その練習」", | |||
"201020511_47": "「ダンスッ!? なんで急にそんなことを始めたの?」", | |||
"201020511_48": "「アタシたちの連携を強めて、\\n さらにレベルアップするためデス……ッ!」", | |||
"201020511_49": "「そうだ、マリアにわたしたちのダンスを見てみてほしい」", | |||
"201020511_50": "「お願いするデスッ!」", | |||
"201020511_51": "「見せてくれるの? ありがとう」", | |||
"201020511_52": "「それじゃあ、いくデスよ……?」", | |||
"201020511_53": "「うん、切ちゃん。じゃあ、ワンツー」", | |||
"201020511_54": "「デスデス……」", | |||
"201020511_55": "「これは……ッ!」", | |||
"201020511_56": "「ワンツー、ワンツー、はい、ここでッ!」", | |||
"201020511_57": "「デスデスデースッ!」", | |||
"201020511_58": "「……2人ともすごいじゃないッ!」", | |||
"201020511_59": "「息もぴったりだし、\\n 動きもサマになっているわッ!」", | |||
"201020511_60": "「本当デスかッ!」", | |||
"201020511_61": "「良かった……」", | |||
"201020511_62": "「ダンスのことは詳しくないけど、\\n 人前で踊っても恥ずかしくない出来だと思うわ」", | |||
"201020511_63": "「よーし、マリアにも褒めてもらったところで、\\n 今日はこのくらいにしとくデスか?」", | |||
"201020511_64": "「ううん、もう一度おさらいしておきたい」", | |||
"201020511_65": "「じゃあ、わたしはそろそろ行くわ。\\n 2人とも、無理しすぎないようにね」", | |||
"201020511_66": "「マリア、褒めてくれたね」", | |||
"201020511_67": "「デスデスッ! 自分たちで思う以上に、\\n ダンスはいい仕上がりになってるようデスッ!」", | |||
"201020511_68": "「じゃあ、最後のおさらいしよっか。\\n ワンツー、スリーフォー」", | |||
"201020511_69": "「デスデス、デスデース……ッ!」", | |||
"201020511_70": "「ワン……ッ、あ……ッ!」", | |||
"201020511_71": "「調ッ!?」", | |||
"201020511_72": "(調が怪我してから、一緒に練習しないまま、\\n もうイベント当日になってしまったデス……)", | |||
"201020511_73": "(自分では軽い捻挫だと言ってたデスけど……、\\n 調、ちゃんと安静にしてたデスかね……?)", | |||
"201020511_74": "(アタシが見てないところで練習して、\\n 悪化させてないといいんデスが……)", | |||
"201020511_75": "「切ちゃん、おまたせ」", | |||
"201020511_76": "「調ッ! お医者さんは、なんと……?」", | |||
"201020511_77": "「うん、もう大丈夫だって」", | |||
"201020511_78": "「本当デスか……?\\n 調、まだ怪我をかばってるみたいデス……」", | |||
"201020511_79": "「許可をもらってきたのは本当だよ。\\n でも……歩き方おかしかった?」", | |||
"201020511_80": "「やっぱり参加はやめておいた方がいいデスね」", | |||
"201020511_81": "「足は治ってる。心配ないから」", | |||
"201020511_82": "「ダメデスッ! アタシはもう、調に無理はさせないと……」", | |||
"201020511_83": "「わたしを信じてよ、切ちゃん」", | |||
"201020511_84": "「調……」", | |||
"201020511_85": "「今までだって、戦いの中で、\\n 怪我したわたしを、切ちゃんはいつもフォローしてくれた」", | |||
"201020511_86": "「調も、傷ついたアタシをいつも助けてくれてたデス……」", | |||
"201020511_87": "「いつだって最後まで諦めず、\\n お互いに信じて乗り越えてきたでしょ……ッ!」", | |||
"201020511_88": "「だから、今度も切ちゃんと一緒に乗り越えたい」", | |||
"201020511_89": "「確かに……そうデス……、ここで簡単に諦めたりしたら、\\n そんなの、アタシたちじゃないデスよッ!」", | |||
"201020511_90": "「切ちゃんッ!」", | |||
"201020511_91": "「お互いを護り合うッ! イベントも戦い抜くッ!\\n 両方やりきるのが、アタシたちなんデスッ!」", | |||
"201020511_92": "「ありがとう、切ちゃん……ッ!」", | |||
"201020511_93": "「お礼は、最高のダンスが披露できたときまで\\n 取っておいてほしいデスよ」", | |||
"201020511_94": "「ただ、もし本当に調の足が無理そうなら……、\\n 途中だろうと、そこでダンスも終わりデス」", | |||
"201020511_95": "「うん、分かってる。\\n わたしは必ず最後まで踊り続けてみせるから……ッ!」", | |||
"201020511_96": "「すごい盛り上がりデス……ッ!」", | |||
"201020511_97": "「うん、思ってたよりずっと……」", | |||
"201020511_98": "「調、足の調子はどうデスか?」", | |||
"201020511_99": "「大丈夫……ッ! 全然、問題ないよ」", | |||
"201020511_100": "「本当に無理は禁物デスからね。\\n たとえ途中であっても……」", | |||
"201020511_101": "「そんなに言うなら……、\\n 見てて……ハッ、ハッ――」", | |||
"201020511_102": "「その動き……練習でもほとんどできなかった\\n ステップじゃないデスかッ!」", | |||
"201020511_103": "(どうやら、本当に心配いらないようデスね――)", | |||
"201020511_104": "「……ッ!」", | |||
"201020511_105": "(今、テンポが少しズレたデスッ!?)", | |||
"201020511_106": "(……痛みはないけど、\\n 無意識に足をかばう癖がついちゃったんだ……)", | |||
"201020511_107": "(今のは痛みのせいじゃないデスね……、\\n それならアタシが……ッ!)", | |||
"201020511_108": "「ん? 今なんかおかしくなかったか?」", | |||
"201020511_109": "「ヘイヘーイッ! アタシたちのダンスはまだまだ、\\n ここからアゲてくんデスよッ!」", | |||
"201020511_110": "「えッ……切ちゃん?」", | |||
"201020511_111": "「そうか――って、あのショートの子、\\n すげー動きしてんぞッ!」", | |||
"201020511_112": "「おおッ! 基本をあえて外してるのか?\\n 見たことないステップだけど、キレキレじゃんッ!」", | |||
"201020511_113": "「切ちゃん……わたしをかばって……」", | |||
"201020511_114": "「ヘイ、調ッ! そんなもんで終わりデスかッ!?\\n 足が痛いなら、やめてもいいんデスよッ!」", | |||
"201020511_115": "「……ッ! ううんッ!」", | |||
"201020511_116": "「わたしだって、まだまだこれから……、\\n アゲアゲだよッ!」", | |||
"201020511_117": "「ツインテールの子も、テンポアップしてきたぜッ!」", | |||
"201020511_118": "「あの2人……なんか互いに\\n 刺激し合ってるみたいだなッ!」", | |||
"201020511_119": "「ヒューッ! もっとノセてくれーッ!」", | |||
"201020511_120": "「すごい……こんなにみんな盛り上がって……ッ!」", | |||
"201020511_121": "「熱気に押されるように身体が自然に動くデス……ッ!」", | |||
"201020511_122": "「わたし……切ちゃんとこのステージに立てて\\n 本当に良かったッ!」", | |||
"201020511_123": "「アタシもデスッ!\\n 今日は人生最高のステージデスッ!」", | |||
"201020511_124": "「うん、初めてだけどね……ッ!」", | |||
"201020511_125": "「細かいことはいいんデス……ッ!\\n さあ、最後まで盛り上がりまくるデスよーッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,104 @@ | |||
{ | |||
"201025711_0": "天使の微笑み", | |||
"201025711_1": "「……」", | |||
"201025711_2": "(よし、誰も見てないな……)", | |||
"201025711_3": "(――ッ!? 誰か来るッ!?)", | |||
"201025711_4": "「……」", | |||
"201025711_5": "(よし、いったな……)", | |||
"201025711_6": "(あいつが待ってるのに、余計な時間を食っちまった)", | |||
"201025711_7": "(急がないと……)", | |||
"201025711_8": "翌日――", | |||
"201025711_9": "「おっはよー、クリスちゃん」", | |||
"201025711_10": "「おはよう、クリス」", | |||
"201025711_11": "「お、おはようッ!」", | |||
"201025711_12": "「どうしたの? 声がうわずってるよ?」", | |||
"201025711_13": "「な、なんでもないッ!」", | |||
"201025711_14": "「今、コンビニから出てきたよね?」", | |||
"201025711_15": "「パ、パンと牛乳を買っただけだ」", | |||
"201025711_16": "「あれ? 今日は朝ご飯食べて来なかったの?」", | |||
"201025711_17": "「あ、ああ。まあな」", | |||
"201025711_18": "「うんうん。お腹が減ると授業に集中できなくなるし、\\n 朝ご飯って大切だよね」", | |||
"201025711_19": "「響ったら、まるで普段は集中できているみたいな\\n 言い方して……」", | |||
"201025711_20": "「アハハ……」", | |||
"201025711_21": "「そういえば、クリス……。\\n 昨日の夕方もパンと牛乳を買ってなかった?」", | |||
"201025711_22": "「なッ!? 見てたのか……」", | |||
"201025711_23": "「クリスちゃん、もしかして」", | |||
"201025711_24": "(ば、バレたッ!?)", | |||
"201025711_25": "「菓子パンを全種類制覇する気じゃ……」", | |||
"201025711_26": "「……は?」", | |||
"201025711_27": "「分かるッ! 分かるよクリスちゃんッ!」", | |||
"201025711_28": "「わたしはご飯の方が好きだけど、\\n 食への探求心は一緒だよッ!」", | |||
"201025711_29": "「お、おい……」", | |||
"201025711_30": "「あれ……。違った?」", | |||
"201025711_31": "「い、いや……」", | |||
"201025711_32": "(と、とにかく……バレずに済んだみたいだな……)", | |||
"201025711_33": "さらに翌日――", | |||
"201025711_34": "「ふー、今日の特訓終わりッ!」", | |||
"201025711_35": "「お腹減ったし、この後みんなでご飯でも食べませんか?」", | |||
"201025711_36": "「ああ、ちょうど昼時だしな」", | |||
"201025711_37": "「……」", | |||
"201025711_38": "「いいわね。調と切歌も大丈夫かしら?」", | |||
"201025711_39": "「もちろんデスッ!」", | |||
"201025711_40": "「うん」", | |||
"201025711_41": "「それじゃみんなでふらわーに――」", | |||
"201025711_42": "「悪いッ! あたしはパスだ。それじゃあな」", | |||
"201025711_43": "「クリス先輩、お腹減ってないデスかね……」", | |||
"201025711_44": "「急いでるみたいだったよね。\\n そういえばここ何日かずっとあんな感じだったような……」", | |||
"201025711_45": "「用事だろうか。しかしこう連日となると……」", | |||
"201025711_46": "「気になるわね……」", | |||
"201025711_47": "「気になりますよね……」", | |||
"201025711_48": "「……」", | |||
"201025711_49": "「<size=25>コンビニで牛乳とパンを買って、\\n 校舎裏に向かってますね……</size>」", | |||
"201025711_50": "「<size=25>明らかに、周囲を警戒していたわ。\\n それにしても、どうして途中で制服に着替えたのかしら……?</size>」", | |||
"201025711_51": "「<size=25>学院の敷地内だからではないか?</size>」", | |||
"201025711_52": "「<size=25>……そういうところ、真面目ね</size>」", | |||
"201025711_53": "「<size=25>クリス先輩は意外に優等生さんデス</size>」", | |||
"201025711_54": "「<size=25>でもこんなところに一体何があるんだろう?</size>」", | |||
"201025711_55": "「<size=25>これは……どえらい秘密の香りがするデスよッ!</size>」", | |||
"201025711_56": "「<size=25>クリス先輩の秘密……気になる</size>」", | |||
"201025711_57": "「<size=25>しかし、後をつけたりするのはよくないと思うのだが……</size>」", | |||
"201025711_58": "「<size=25>固い事言わないの。翼だって気になるでしょう?</size>」", | |||
"201025711_59": "「<size=25>そッ、それは……そうだが……</size>」", | |||
"201025711_60": "「<size=25>見失っちゃいますよ、いきましょうッ!</size>」", | |||
"201025711_61": "「おーい、いるか?」", | |||
"201025711_62": "「よかった、いるな……。\\n 飯を持ってきてやったぞ」", | |||
"201025711_63": "「<size=25>――ッ! あれは……</size>」", | |||
"201025711_64": "「甘えた声出しやがって……。\\n ったく、しょうがねーなー」", | |||
"201025711_65": "「<size=25>なるほど、子猫の世話をしていたんだな</size>」", | |||
"201025711_66": "「ごめんなー。すぐ来てやれなくって。\\n 腹減ってるか? よしよし、すぐ食べさせてやるからな」", | |||
"201025711_67": "「<size=25>うう……</size>」", | |||
"201025711_68": "「<size=25>クリス先輩が見たことないような表情をしているデスッ!</size>」", | |||
"201025711_69": "「<size=25>天使の微笑み……</size>」", | |||
"201025711_70": "「おいおい、そんなになめるなって。\\n あたしは母猫じゃねーぞ?」", | |||
"201025711_71": "「も……」", | |||
"201025711_72": "「ん?」", | |||
"201025711_73": "「もう我慢できないッ!\\n わたしにも猫ちゃんさわらせてッ! 撫でさせてえッ!」", | |||
"201025711_74": "「うわあッ!\\n お前ッ、どこから……ッ!?」", | |||
"201025711_75": "「捨て猫を見つけたから、ずっとエサを与えていたのか。\\n それならわたしたちにも教えてくれればよかったものを」", | |||
"201025711_76": "「まあでも、あなたのあんな表情が\\n 見れたのだからよかったのかしら?」", | |||
"201025711_77": "「なッ!? お前ら、いつから見てたんだ……?」", | |||
"201025711_78": "「『よかった、いるな……。』くらいからだよッ!」", | |||
"201025711_79": "「全部じゃねーかッ!」", | |||
"201025711_80": "「猫ちゃんを抱いてる時のクリスちゃん、可愛かったなぁ」", | |||
"201025711_81": "「ええ、写真に収めて額に飾りたいくらいだったわね」", | |||
"201025711_82": "「うう……。\\n だからお前らには言いたくなかったんだ……」", | |||
"201025711_83": "「ニャッニャニャーッ!(←ミルクは美味しいデスか?)」", | |||
"201025711_84": "「切ちゃんが猫とお話してるッ!?」", | |||
"201025711_85": "「……切ちゃん、その子なんだって?」", | |||
"201025711_86": "「『ミルクは低温殺菌に限る』だそうデスッ!」", | |||
"201025711_87": "「んなわけあるかッ!」", | |||
"201025711_88": "「ところでその子猫、どうするつもりなの?\\n このまま森で飼うのは難しいんじゃないかしら」", | |||
"201025711_89": "「ああ……本当は連れて帰って、\\n ちゃんと飼ってやりたいんだけど――」", | |||
"201025711_90": "「……ならばわたしが一肌脱ごう」", | |||
"201025711_91": "「飼ってくれるのか?」", | |||
"201025711_92": "「いや、仕事柄面倒を見るのは難しいが、\\n 代わりに里親を探すことならできる」", | |||
"201025711_93": "「だけど、里親なんてそんな簡単に見つかるのか……?」", | |||
"201025711_94": "「いっそS.O.N.G.に連れていって、直接里親を募集してみたら?\\n これだけ可愛い子猫なんだもの。きっと誰か手を挙げるわよ」", | |||
"201025711_95": "「それにS.O.N.G.にいる間は、わたしたちもこの子の事を\\n 見ていられるしね」", | |||
"201025711_96": "「さすがマリアデスッ!", | |||
"201025711_97": " アタシは里親募集のチラシを作るデスよッ!」", | |||
"201025711_98": "「わたしも切ちゃんと一緒に頑張る」", | |||
"201025711_99": "「それじゃわたしは一足先に、師匠に許可貰ってきますッ!」", | |||
"201025711_100": "「お前ら……その、ありがとな……」", | |||
"201025711_101": "「……お前も、よかったな」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,166 @@ | |||
{ | |||
"201025811_0": "キャロルは見習いメイド", | |||
"201025811_1": "「おいッ! ガリィ、ミカ……ッ!\\n いないのか?」", | |||
"201025811_2": "「……おかしいな……」", | |||
"201025811_3": "(ファラ……レイアの姿も見えない……。\\n <ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>が全員、いなくなっただと?)", | |||
"201025811_4": "「おや、どうしたんだい?\\n 困っている様子だが」", | |||
"201025811_5": "「実は、先刻よりオレの<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>たちが\\n 見当たらないのだ」", | |||
"201025811_6": "「そのあたりで、見かけなかったか?」", | |||
"201025811_7": "「いや。しかし……ふむ……。\\n 主人が知らないとはね、<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>の行方を」", | |||
"201025811_8": "「……チッ。命じたいことが山のようにあるのだが……」", | |||
"201025811_9": "「いつも彼らに何かを命じているのかい、キミは?」", | |||
"201025811_10": "「ああ、当然だ」", | |||
"201025811_11": "「知っているかな。パワハラという言葉を」", | |||
"201025811_12": "「最近世間では、逃げるように組織を辞めてしまう者が\\n 増えているという。上司の無理難題に耐えかねてね」", | |||
"201025811_13": "「まさかッ!? <ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>だぞ?\\n 命じられるために生まれてきた者たちだぞッ!?」", | |||
"201025811_14": "「あるということだよ、彼らにも感情がね……。\\n それゆえ、耐えられなくなったのだとしたら? パワハラに」", | |||
"201025811_15": "「オレは……パワハラなどしていないッ!」", | |||
"201025811_16": "「自覚などないものさ。加害者の方には。\\n ハラスメントというものは、とりわけね」", | |||
"201025811_17": "「そのような……」", | |||
"201025811_18": "「常に仕事を命じられ、休むこともなく\\n 任務を遂行する<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>たち……」", | |||
"201025811_19": "「一度でも労ってやったことはあるのかい?\\n キミは彼らを」", | |||
"201025811_20": "「う……」", | |||
"201025811_21": "「出来るかどうかもわからない無茶なことを命じたり、\\n 些細なことで怒鳴ったりしたことは?」", | |||
"201025811_22": "「う……うう……」", | |||
"201025811_23": "「オレが……パワハラ……だと?\\n そんな……まさか……」", | |||
"201025811_24": "「……由々しき問題だね、これは。\\n 何とかしよう。この僕が」", | |||
"201025811_25": "「さあ、持つんだ……これを」", | |||
"201025811_26": "「こ、これは?」", | |||
"201025811_27": "「掃除用具さ、見ての通り。\\n この建物内をピカピカにするんだ、これを使ってね」", | |||
"201025811_28": "「なッ!\\n なぜオレがそんなことを……ッ!」", | |||
"201025811_29": "「学ぶためだよ、奉仕する心を」", | |||
"201025811_30": "「連れ戻すことはできるだろう。<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>たちを。\\n しかし、同じ事が起こる。キミが変わらなければね」", | |||
"201025811_31": "「同じ事? またいなくなるというのか?」", | |||
"201025811_32": "「ああ、そうさ。\\n いいのかな? それが永遠の別れとなっても」", | |||
"201025811_33": "「…………」", | |||
"201025811_34": "「そうなる前に、彼らの真の理解者となるんだ。\\n 他ならぬキミがね」", | |||
"201025811_35": "「ば、馬鹿馬鹿しい……」", | |||
"201025811_36": "「それに、父から託された命題なのだろう?\\n 他者と分かりあうことは」", | |||
"201025811_37": "「――ッ!」", | |||
"201025811_38": "「フフフ……そこで、用意させてもらったよ。\\n キミに、真の奉仕を教えてくれる教師を、ね」", | |||
"201025811_39": "「きょ、教師だと……?」", | |||
"201025811_40": "「こんにちはッ!\\n キャロルちゃんッ!」", | |||
"201025811_41": "「な、なぜお前がこんなところにッ!?」", | |||
"201025811_42": "「アダムさんから頼まれちゃったんだ。\\n キャロルちゃんが困ってるから助けてほしいって」", | |||
"201025811_43": "「オレは……困ってなんて……」", | |||
"201025811_44": "「嘘は駄目だよ、キャロルちゃん……」", | |||
"201025811_45": "「困っているようにしか見えないもん。", | |||
"201025811_46": " だから、一緒にお掃除……しよッ?」", | |||
"201025811_47": "「百歩譲って困っていたとして、なぜそうなるッ!?\\n オレに構うのは――」", | |||
"201025811_48": "「いいからいいから。\\n さ、まずはあっちから始めようッ!」", | |||
"201025811_49": "「や、やめろッ!", | |||
"201025811_50": " ひっぱるなーッ!」", | |||
"201025811_51": "「ふぅ~、この建物って結構広いね。\\n 掃除のしがいがあるよ」", | |||
"201025811_52": "「…………」", | |||
"201025811_53": "「ほら、キャロルちゃんッ!\\n 手を止めちゃダメだよ?」", | |||
"201025811_54": "「はいはい。……まったく、\\n 何でオレがこんなことを……」", | |||
"201025811_55": "「こんな仕事、<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>たちにさせておけば、\\n すぐに終わるのに……」", | |||
"201025811_56": "「あのさ、キャロルちゃんって、\\n 掃除とか苦手な方?」", | |||
"201025811_57": "「苦手というか……そういう些末な仕事は\\n すべて<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>たちにやらせていたからな」", | |||
"201025811_58": "「だが……昔は……。そう、父と暮らしていた頃は、\\n 普通に自分でやっていたと思う」", | |||
"201025811_59": "「お父さんと? ねえ、キャロルちゃん、\\n その頃の話、もっと聞かせてよッ!」", | |||
"201025811_60": "「あのな……。そんな話、おもしろくもなんともないぞ。\\n 第一、お前とはなんの関係もないはずだ」", | |||
"201025811_61": "「えー、教えてくれないの?」", | |||
"201025811_62": "「当然だッ! ……だいたい、\\n お前はなぜこんなところまでわざわざ来たのだ?」", | |||
"201025811_63": "「頼まれたとしても、断ればいいだろう。\\n 一体、何が狙いだ?」", | |||
"201025811_64": "「うーん……。狙いというかなんというか、\\n そういうのとはちょっと違くて……」", | |||
"201025811_65": "「わたしは……」", | |||
"201025811_66": "「この警報は……」", | |||
"201025811_67": "「キャロルちゃん、行ってみようッ!」", | |||
"201025811_68": "「う、うわぁぁぁッ!」", | |||
"201025811_69": "「アルカ・ノイズだとッ!?」", | |||
"201025811_70": "「なんでこんなところで……ッ!」", | |||
"201025811_71": "「我らを裏切った錬金術師を捕縛していたのですが、\\n 奴め、脱走してアルカ・ノイズを解き放ったようです……ッ!」", | |||
"201025811_72": "「チッ、面倒なことをッ!」", | |||
"201025811_73": "「怒ってる場合じゃないよッ!\\n とにかく急いで倒さなきゃッ!」", | |||
"201025811_74": "「いっくよぉぉぉッ!」", | |||
"201025811_75": "「オレも、ファウストローブで……」", | |||
"201025811_76": "「はッ、しまったッ!\\n ラピス・フィロソフィカスは調整中か……ッ!」", | |||
"201025811_77": "「まあいい、ファウストローブが無くとも、\\n オレなら――」", | |||
"201025811_78": "「無いよ、その必要はね」", | |||
"201025811_79": "「お前、いたのかッ!?」", | |||
"201025811_80": "「持ってきたよ。キミのラピスを。\\n 戦うといい、これを使ってッ!」", | |||
"201025811_81": "「ちゃんと機能するのだろうな?」", | |||
"201025811_82": "「当然だとも。\\n それに、盛り込んであるのさ、今のキミに必要な要素を」", | |||
"201025811_83": "「要素? 何やら嫌な予感がしないでもないが……。", | |||
"201025811_84": " まあいい、とにかく使わせてもらう」", | |||
"201025811_85": "「いくぞッ!」", | |||
"201025811_86": "「なッ! なんだ、この姿はッ!?」", | |||
"201025811_87": "「……というか、またこの展開かッ!!」", | |||
"201025811_88": "「奉仕の心を極大化させるよう、錬金術の粋を集めて\\n 調整したのだよ、そのメイド型ファウストローブはね」", | |||
"201025811_89": "「うってつけだよ。今のキミにはッ!」", | |||
"201025811_90": "「御託はいい。\\n もう二度とオレのラピスに触れないようにしてやる……」", | |||
"201025811_91": "「キャロルちゃんッ!\\n このままだと協会員の人たちがッ!」", | |||
"201025811_92": "「クッ……仕方ない……」", | |||
"201025811_93": "「今のオレは、とても機嫌が悪いッ!」", | |||
"201025811_94": "「キャロルちゃん、すごい……」", | |||
"201025811_95": "「よーし、それならわたしもッ!」", | |||
"201025811_96": "「なんだそのギアはッ!?」", | |||
"201025811_97": "「キャロルちゃん、今はそれより――」", | |||
"201025811_98": "「――ああ。\\n 協会の連中は傷つけさせんぞッ!」", | |||
"201025811_99": "「協会に仇なすアルカ・ノイズども、\\n 速やかに滅ぶがいいッ!」", | |||
"201025811_100": "「ふう……。なんとかなったね、キャロルちゃんッ!」", | |||
"201025811_101": "「それはいいが……」", | |||
"201025811_102": "「貴様、オレのラピスを勝手に弄った\\n ことについて、何か言いたいことはあるか?」", | |||
"201025811_103": "「奉仕の精神を具現化した存在だよ、メイドとは」", | |||
"201025811_104": "「まず形から入るべきと思ったのさ、\\n キミが奉仕の心を学ぶには」", | |||
"201025811_105": "「だからと言って、こんなこと――」", | |||
"201025811_106": "「それだッ! それだよ、キャロルちゃんッ!」", | |||
"201025811_107": "「な、何のことだ?」", | |||
"201025811_108": "「何かを学ぶなら、まずは形からッ!\\n アダムさんが言っていることは正しいよッ!」", | |||
"201025811_109": "「はあ?」", | |||
"201025811_110": "「ご奉仕でお掃除をするなら、\\n ちゃんと身なりを整えないとねッ!」", | |||
"201025811_111": "「お、お前……まさか……」", | |||
"201025811_112": "「アダムさん、メイド服はありますか?」", | |||
"201025811_113": "「無いものは無いよ。\\n 僕の倉庫にはね」", | |||
"201025811_114": "「ありがとうございますッ!\\n さあ、キャロルちゃんッ! さっそく着がえようッ!」", | |||
"201025811_115": "「そんなもの、オレは絶対に着ないからなッ!」", | |||
"201025811_116": "「そんなこと言わないで。……ね?\\n キャロルちゃんなら、絶対に似合うよッ!」", | |||
"201025811_117": "「似合うかどうかは今関係ないだろうッ!?」", | |||
"201025811_118": "「関係あるよッ! それに、<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>のみんなの気持ち、\\n 分かるかもしれないよ?」", | |||
"201025811_119": "「クッ……ああッ!", | |||
"201025811_120": " もう、分かったよッ!」", | |||
"201025811_121": "「ホント? 着てくれる?\\n やったぁッ!」", | |||
"201025811_122": "「さっさとその服を貸せッ!!」", | |||
"201025811_123": "「これで……これでいいんだなッ!?」", | |||
"201025811_124": "「いいよッ! すっごくいいよぉッ!\\n キャロルちゃんッ!!」", | |||
"201025811_125": "「分かったから、ジロジロ見るなッ!」", | |||
"201025811_126": "「着心地もいいでしょ?」", | |||
"201025811_127": "「そ、それは認めてやる……だが、これだけは言っておくぞッ!\\n こんな物を着ても、奉仕の心などまったく分からんッ!」", | |||
"201025811_128": "「うーん……。そうかな?」", | |||
"201025811_129": "「何だと?」", | |||
"201025811_130": "「奉仕の心って、相手のことを思う気持ちだと思うから」", | |||
"201025811_131": "「キャロルちゃんは、協会の人たちを救うために戦ったり、\\n <ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>のみんなのために頑張ってるんだもん」", | |||
"201025811_132": "「だからキャロルちゃんにはもう、\\n 奉仕の心ってやつがあると思うな」", | |||
"201025811_133": "「既に……だと……」", | |||
"201025811_134": "「……って、待てよ? ということは、\\n この服を着る必要はなかったのではないか?」", | |||
"201025811_135": "「それはそれ、これはこれだよッ!\\n さあ、そのままお掃除しよ?」", | |||
"201025811_136": "「馬鹿を言うなッ!\\n 脱ぐッ! 絶対に脱いでやるッ!」", | |||
"201025811_137": "「ええーッ!? 着たままお掃除しようよーッ!」", | |||
"201025811_138": "(ふぅ……ようやく終わった……。\\n まさか、本当にあのまま掃除をする羽目になるとは……)", | |||
"201025811_139": "(だがそのおかげで、掃除というものが、\\n 存外疲れるものだということはよく分かった)", | |||
"201025811_140": "(<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>たちのことを、多少は労ってやっても良いかもな。\\n ……帰って来たら)", | |||
"201025811_141": "「あー、マスターッ! やっと見つけたゾッ!」", | |||
"201025811_142": "「マスター、任務は完了しました。\\n 次のご命令は?」", | |||
"201025811_143": "「お、お前たち……ッ!\\n 今まで一体どこへ行っていたのだッ!?」", | |||
"201025811_144": "「どこって……実験に使う素材を取りに行くようにと、\\n 昨夜マスターがお命じになられたのですわ?」", | |||
"201025811_145": "「そうですよぉ。昨夜はずいぶんお疲れだったようですけど、\\n まさかお忘れになったんじゃないですよねぇ?」", | |||
"201025811_146": "「昨夜……?」", | |||
"201025811_147": "「ハッ! そういえば、なにか命じたような……」", | |||
"201025811_148": "「あららぁ? 本当にお忘れになったご様子ですねぇ?\\n ガリィちゃんたち、頑張ってお使いに行ってきたのに」", | |||
"201025811_149": "(オレとしたことが、自分で命じたことも忘れていたとは……\\n 連日の研究疲れのせいか……)", | |||
"201025811_150": "「ガリィ、マスターを困らせるな。私たちはただ、\\n 命じられたことを地味に、確実にこなせばいい」", | |||
"201025811_151": "「そうね。それこそが私たちの存在意義ですわ」", | |||
"201025811_152": "「お前たち……すまなかったな。\\n これからは、少しは労ってやることに……」", | |||
"201025811_153": "「それはそうと……マスター、そのお姿は?」", | |||
"201025811_154": "「それ、あたしも気になってたゾッ!\\n 確か、メイド服ってヤツだゾッ!」", | |||
"201025811_155": "「派手に似合っている。そして可愛い」", | |||
"201025811_156": "「そうね……抱きしめてナデナデして\\n あげたくなっちゃいますわ」", | |||
"201025811_157": "「一部の協会員に高く売れそうですねぇ……。\\n えーっとカメラカメラっと……」", | |||
"201025811_158": "「いい考えだゾッ!\\n みんなに可愛いマスターを見せてあげるんだゾッ!」", | |||
"201025811_159": "「お前たち……」", | |||
"201025811_160": "「マスター、どうかなさいましたか?」", | |||
"201025811_161": "「何でもないッ!\\n ……少しでも心配したオレが馬鹿だった……」", | |||
"201025811_162": "「騒いでないでさっさと休めッ!\\n 明日は、さらに過酷な任務がお前たちを待っているからなッ!」", | |||
"201025811_163": "「イエス、マスターッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,100 @@ | |||
{ | |||
"201025911_0": "調のバースデー2022", | |||
"201025911_1": "「ふぁ……切ちゃんおはよう」", | |||
"201025911_2": "「…………」", | |||
"201025911_3": "「……?」", | |||
"201025911_4": "「そっか……\\n 切ちゃん、海外任務に出てるんだった」", | |||
"201025911_5": "「ハァ……」", | |||
"201025911_6": "『プルル、プルル……ッ!』", | |||
"201025911_7": "「電話……、誰だろう?\\n こんな朝早く……」", | |||
"201025911_8": "「もしもし――」", | |||
"201025911_9": "「調~ッ!\\n ハッピーバースデーデスッ!!」", | |||
"201025911_10": "「――切ちゃんッ!?」", | |||
"201025911_11": "「どうしたの?\\n 今任務中でしょう?」", | |||
"201025911_12": "「今は移動中なんデスッ!\\n ちょうど調が起きる頃だと思って電話してみたデス」", | |||
"201025911_13": "「切ちゃん、ありがとうね。\\n でももう任務に集中して。失敗しちゃダメだよ?」", | |||
"201025911_14": "「とびっきりのプレゼントをダッシュで持って帰るんデスから、\\n 失敗なんてしてる暇ないデス」", | |||
"201025911_15": "「だから少しだけ、待っているデス。\\n 帰ったら、盛大にお祝いパーティデースッ!」", | |||
"201025911_16": "「うん、待ってる。\\n ケガとかしないで、元気に戻ってきてね」", | |||
"201025911_17": "「あ、そろそろ切らないと……。\\n それじゃあ調、行ってくるデスよ」", | |||
"201025911_18": "「うんッ!\\n 頑張ってね、切ちゃん」", | |||
"201025911_19": "「まかせるデスッ!」", | |||
"201025911_20": "「ふう……」", | |||
"201025911_21": "「みんな海外の遠征任務に出てるのに、\\n わたしは、のんびり休んでていいのかな?」", | |||
"201025911_22": "『プルル、プルル……ッ!』", | |||
"201025911_23": "「……あれ? また電話?」", | |||
"201025911_24": "「もしもし――」", | |||
"201025911_25": "「おはよう、調ちゃん。もう起きてた?\\n 今、平気?」", | |||
"201025911_26": "「響さん。ええ、起きてましたし大丈夫ですけど、\\n 何かありましたか?」", | |||
"201025911_27": "「調ちゃんも、今日お休みだよね?\\n よかったら、うちに来ない?」", | |||
"201025911_28": "「響さんのお部屋にですか? いったいなにが……」", | |||
"201025911_29": "「いやぁ……みんな海外任務に行っちゃって、\\n わたしと調ちゃんだけがお休みでしょ?」", | |||
"201025911_30": "「こんな機会もあまりなかったし、\\n たまには一緒に、ご飯でもどうかなって思っただけだから」", | |||
"201025911_31": "「あ、嬉しいです。\\n それじゃあ、後でお伺いします」", | |||
"201025911_32": "「うんッ! よろしくねッ!!」", | |||
"201025911_33": "「響さん、こんにちは」", | |||
"201025911_34": "「調ちゃん、お誕生日おめでとうッ!!\\n 2人きりだけど、お誕生パーティだよッ!」", | |||
"201025911_35": "「誕生パーティ……ですか?\\n それなら、切ちゃんたちが帰って来てからしてくれるって……」", | |||
"201025911_36": "「もちろん、みんなで集まってのお祝いもするけど、\\n 調ちゃんの誕生日は今日だからッ!」", | |||
"201025911_37": "「当日に何もないのは、やっぱり寂しいよ。\\n だから、わたしだけでも今日お祝いさせてほしいなってッ!」", | |||
"201025911_38": "「響さん……」", | |||
"201025911_39": "「ほらほら、こっちこっちッ!\\n 美味しそうなもの、いろいろ買ってきたんだよッ!」", | |||
"201025911_40": "「本音を言うと、手作りの料理を振る舞いたいところだけど……、\\n わたしは調ちゃんみたいに、上手に作れないからね」", | |||
"201025911_41": "「いえ、そんな……」", | |||
"201025911_42": "「その分、奮発しちゃったよぉッ!\\n 普段は<ruby=ためら>躊躇</ruby>っちゃう、プチセレブなお惣菜さんたちッ!」", | |||
"201025911_43": "「それに、なんといっても――ッ!」", | |||
"201025911_44": "「人脈を駆使して取り寄せた飛騨のブランド新米『ササシノビ』。\\n 見てッ! このつやつやの炊きあがり……あれ?」", | |||
"201025911_45": "「…………」", | |||
"201025911_46": "「……ご飯、炊けてませんね。\\n 炊飯器のスイッチが、入っていなかったんじゃ」", | |||
"201025911_47": "「ガーーーーーンッ!!!!\\n お、お、お祝いの席にご飯がないなんて……ッ!!」", | |||
"201025911_48": "「ご飯がないパーティなんて、\\n そんなのパーティじゃなーいッ!」", | |||
"201025911_49": "「響さんッ! 大丈夫です。\\n 時間ならタップリありますからッ!」", | |||
"201025911_50": "「でも、こんなぬか喜びさせちゃって、\\n まったくもって面目ない……」", | |||
"201025911_51": "「響さん、わたし待てますから、これから炊きましょう」", | |||
"201025911_52": "「そ、そうだねッ!\\n お急ぎモードで炊けば、1時間とかからず――」", | |||
"201025911_53": "「それはダメですッ! せっかくのいいお米なんですから。\\n じっくりプレミア炊きモードでッ!」", | |||
"201025911_54": "「あッ! ご飯が炊けたよッ!」", | |||
"201025911_55": "「このお米、いい匂い……」", | |||
"201025911_56": "「……ねえ、調ちゃん」", | |||
"201025911_57": "「はい?」", | |||
"201025911_58": "「せっかくのお誕生パーティだし、少しだけでも手作り感を\\n 演出したいんだけど……おにぎりにしてもいいかな?」", | |||
"201025911_59": "「はいッ! 嬉しいですッ!」", | |||
"201025911_60": "「ハッピ、バ~スデ~トゥ~ユ~♪\\n お誕生日おめでとうッ! 調ちゃんッ!」", | |||
"201025911_61": "「ありがとうございます……。\\n でも、これ大きすぎませんか?」", | |||
"201025911_62": "「バースデーケーキならぬ、バースデーおにぎりだからねッ!\\n さぁさぁガブっと、いっちゃってッ!」", | |||
"201025911_63": "「じゃあ……はむッ! ……もぐもぐ。\\n すごいッ! このお米、甘くて香りもとってもいいです」", | |||
"201025911_64": "『グゥゥゥ……』", | |||
"201025911_65": "「アハハ、ごめんね。\\n おかず集めに夢中で、朝から何も食べてないんだった」", | |||
"201025911_66": "「あ、えっと、じゃあこれをどうぞッ!\\n わたしの作った、おにぎりですけど……」", | |||
"201025911_67": "「やったッ! 調ちゃんのお手製ッ!\\n いっただきまーすッ! あむッ!」", | |||
"201025911_68": "「ええぇぇぇぇッ! なにこれ、おいしすぎるッ!\\n お米がおいしいのは、もちろんだけど……」", | |||
"201025911_69": "「ふっくら炊きあがったお米が、1粒ずつ立つくらいの\\n 絶妙な握り加減、それにムラのない塩加減……」", | |||
"201025911_70": "「同じお米なのに、わたしのと違い過ぎるよッ!\\n お米さん、おいしく握ってあげられなくてごめんなさいッ!」", | |||
"201025911_71": "「響さんの作ってくれたおにぎりも、塩加減がどうとか、\\n 技術的なことがどうでもよくなるくらい、優しい味です」", | |||
"201025911_72": "「本当ッ!? よかったぁ……。\\n それじゃあ、たーくさん食べてねッ!」", | |||
"201025911_73": "「ほらほら、おかずも食べないと。\\n 全部おにぎりに合うはずだからッ!」", | |||
"201025911_74": "「はい、いただきます」", | |||
"201025911_75": "「でも、お好み焼きっておにぎりに合うんですか?\\n ご飯と一緒に食べたことはありませんけど……」", | |||
"201025911_76": "「ふらわーのお好み焼きを甘く見ない方がいいよ。\\n 交互に永久に食べ続けられるんじゃないかな?」", | |||
"201025911_77": "「さすがにそれは――ッ!!?\\n なにこれ、すごい……」", | |||
"201025911_78": "「でしょう? さあ、おかわりも他のお惣菜もあるから、\\n 今日は目いっぱい食べて、楽しんじゃおうッ!」", | |||
"201025911_79": "「ふぅ……お腹いっぱいッ!\\n 幸せだぁぁぁッ!」", | |||
"201025911_80": "「フフ……本当にたくさん食べましたね」", | |||
"201025911_81": "「ああッ! ごめん。調ちゃんの誕生日なのに……、\\n じゃあ……そうだなぁ……」", | |||
"201025911_82": "「調ちゃんの目標……。\\n というか、この1年をどんな年にしたいか教えてよ」", | |||
"201025911_83": "「そうですね……。切ちゃんや装者のみんなと一緒に、\\n 楽しい時間を、もっとたくさん過ごしたいです」", | |||
"201025911_84": "「じゃあ、わたしがトップバッターだッ! 切歌ちゃんには\\n 悪いけど、今日は調ちゃんを独り占めしちゃおうッ!」", | |||
"201025911_85": "「フフ……そうですね」", | |||
"201025911_86": "「よぉしッ!\\n 今日は調ちゃんと、存分に楽しい時間を過ごすぞぉッ!」", | |||
"201025911_87": "『プルル、プルル……ッ!』", | |||
"201025911_88": "「ん……。こんな朝早くに誰だろう……?\\n あれ? わたし……」", | |||
"201025911_89": "(そうだ。昨日、結局響さんの部屋に泊まったんだった)", | |||
"201025911_90": "「調~ッ! 任務完了なのデスッ!\\n これからすぐ帰るデスからね~ッ!!」", | |||
"201025911_91": "「切ちゃん。お疲れ様……。\\n ケガとか、してない?」", | |||
"201025911_92": "「アタシはピンピンしてるデスよ。\\n 調こそ、昨日は1人で寂しかったんじゃないデスか?」", | |||
"201025911_93": "「……ううん。寂しくなかったよ。\\n 響さんが一緒にいてくれたから」", | |||
"201025911_94": "「うぇッ!? なぜここで響さんが?\\n 調、いったいなにがあったのデスかッ!?」", | |||
"201025911_95": "「今は、ないしょ。\\n でも早く話したいから、急いで帰ってきて」", | |||
"201025911_96": "「ムムム……、わかったデスッ!\\n 超特急で帰るデス」", | |||
"201025911_97": "「うん、待ってるよ切ちゃん。\\n みんなと一緒に、もっとたくさん楽しい時間を過ごそうね」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,151 @@ | |||
{ | |||
"201026011_0": "キャロルのバースデー2022", | |||
"201026011_1": "「――というわけで、マスター。\\n 1時間……いや、3時間くらいは帰ってこないでくださいね?」", | |||
"201026011_2": "「ちょっと待て。\\n たかが掃除に、なぜそんなに時間がかかるんだ?」", | |||
"201026011_3": "「たまには時間をかけて、\\n 派手に掃除をしたいのです」", | |||
"201026011_4": "「そうですわ。その方が綺麗になりますもの」", | |||
"201026011_5": "「どこもかしこもピカピカにして、\\n マスターをびっくりさせるんだゾッ!」", | |||
"201026011_6": "「さ、さ、マスター。\\n たまには、ゆっくり散歩でもしてきてくださいな」", | |||
"201026011_7": "「……まあいいだろう。\\n では、行ってくる」", | |||
"201026011_8": "「いってらっしゃーい(ませ)ッ!」", | |||
"201026011_9": "(あいつら……。\\n 急に大掃除をするなど、どういうつもりだ?)", | |||
"201026011_10": "(さては、また何か壊して、\\n 取り繕うつもりではないだろうな……)", | |||
"201026011_11": "(まぁいい……そういえば、こうやって1人で街を歩くのも、\\n ずいぶんと久しぶりだな……)", | |||
"201026011_12": "(ここのところ研究ばかりだったせいか、\\n やけに街が華やかに見える……)", | |||
"201026011_13": "「にゃー」", | |||
"201026011_14": "「ん? 今のは……」", | |||
"201026011_15": "「にゃー」", | |||
"201026011_16": "「やはり、猫の声か?\\n ……どうやらこの路地から聞こえるようだな」", | |||
"201026011_17": "「……誰かいる?」", | |||
"201026011_18": "「ほら、おいで。\\n お腹減ってるんでしょ?」", | |||
"201026011_19": "「にゃー」", | |||
"201026011_20": "「そんなに慌てなくていいから、ゆっくり食べなよ」", | |||
"201026011_21": "(こいつはッ!?\\n 立花響……どうしてこんなところにッ!?)", | |||
"201026011_22": "「しゃーッ!!」", | |||
"201026011_23": "「よしよし、怖がらなくても大丈夫だよ。\\n 何にびっくりしたの?」", | |||
"201026011_24": "「あ……女の子?」", | |||
"201026011_25": "「猫の鳴き声が気になって来たの……?」", | |||
"201026011_26": "「――ッ!」", | |||
"201026011_27": "(オレを忘れたのか? いや、こいつの雰囲気……。\\n どうやら、オレの知る立花響ではないようだ)", | |||
"201026011_28": "(だとすると、この世界に元々いた立花響ということか……?)", | |||
"201026011_29": "「猫好きなのに残念だったね。\\n 嫌われちゃったみたい」", | |||
"201026011_30": "「オレは、別に猫など……ッ!」", | |||
"201026011_31": "「ふぎゃーーーッ!」", | |||
"201026011_32": "「あ、待ってッ!」", | |||
"201026011_33": "「そこはキミの家じゃ――ッ!\\n 行っちゃった……」", | |||
"201026011_34": "「あッ! パパ見てッ!\\n 猫さんだよッ!」", | |||
"201026011_35": "「にゃ~」", | |||
"201026011_36": "「えッ! どこから入ってきたんだ?\\n 待ってろ。すぐに追い出してやるからな」", | |||
"201026011_37": "「パパ、待って。\\n その子、うちで飼っちゃダメかな?」", | |||
"201026011_38": "「わたしのお誕生日に窓から入ってくるなんて、\\n 神様がプレゼントしてくれたみたいだよ」", | |||
"201026011_39": "「みゃあ~」", | |||
"201026011_40": "「でも、誰かの飼い猫……ってことはなさそうか。\\n じゃあママが帰ってきたら相談してみよっか……」", | |||
"201026011_41": "「うんッ! じゃあお風呂に入れてあげるッ!\\n 猫ちゃん、おいで」", | |||
"201026011_42": "「にゃお~ん」", | |||
"201026011_43": "「…………」", | |||
"201026011_44": "「急に大きな声を出したらダメだよ」", | |||
"201026011_45": "「す、すまない。\\n そんなつもりじゃなかったんだが……」", | |||
"201026011_46": "「結果的に、いい出会いになったみたいだし構わないけど。\\n それであなたは? 迷子?」", | |||
"201026011_47": "「――迷ッ!? そんなんじゃないッ!", | |||
"201026011_48": " オレは……見た目ほど幼い年齢ではないぞ」", | |||
"201026011_49": "「そうなんだ。あの親子のやり取りを、\\n 随分寂しそうな顔で聞いていたように見えたから」", | |||
"201026011_50": "「寂しそうな顔とは納得がいかんが……、オレの生まれた日も、\\n たまたま今日だったから、反応してしまっただけだろう」", | |||
"201026011_51": "「今日が誕生日?\\n なのに、どうしてこんな路地裏に……?」", | |||
"201026011_52": "「一時的に居場所と予定がなくなって、適当にうろついていただけだ。\\n 決して迷っていた訳ではないッ!」", | |||
"201026011_53": "「なるほど……」", | |||
"201026011_54": "「ねぇ。\\n 暇なら、わたしに少しだけ付き合ってもらえない?」", | |||
"201026011_55": "「暇では――ッ!」", | |||
"201026011_56": "「一度入ってみたいと思ってた店があるんだけど、\\n 1人じゃ入りづらいんだ」", | |||
"201026011_57": "「み、店? うーん……」", | |||
"201026011_58": "「予定も行き場もないんでしょ?\\n だったら、付き合って」", | |||
"201026011_59": "「いらっしゃいませーッ!」", | |||
"201026011_60": "「なッ!! こ、ここは……」", | |||
"201026011_61": "「そんなに構えなくても、ただの猫カフェだよ」", | |||
"201026011_62": "「なんだそれはッ!?」", | |||
"201026011_63": "「猫がいるカフェ」", | |||
"201026011_64": "「それは見れば分かるが……ッ!\\n なぜオレをそんな場所に?」", | |||
"201026011_65": "「さっきも話した通り、わたしも入ってみたかったけど、\\n 1人で入りづらかったのと……」", | |||
"201026011_66": "「暇で散歩してたとしても、猫の鳴き声を聞いてあんな路地裏まで\\n 入ったんでしょ? 本当は猫と戯れたいんじゃなかったの?」", | |||
"201026011_67": "「そんなんじゃ――ッ!」", | |||
"201026011_68": "「なぁ~なぁ~」", | |||
"201026011_69": "(なんだこの猫? まるで……)", | |||
"201026011_70": "「折角入ったんだから、\\n お茶でも飲んで落ち着けば」", | |||
"201026011_71": "「オレはずっと落ち着いて――ッ!」", | |||
"201026011_72": "「……なぁんッ!」", | |||
"201026011_73": "(この猫も誰かに似ているような……)", | |||
"201026011_74": "「ここの猫はあなたが気に入ったみたい。\\n よかったね」", | |||
"201026011_75": "「だから――ッ!」", | |||
"201026011_76": "「にゃ~ぞッ! にゃ~ぞッ!」", | |||
"201026011_77": "(ぞッ! てなんだッ!\\n 変な鳴き声だな……)", | |||
"201026011_78": "「可愛い……」", | |||
"201026011_79": "「どこが――ッ!」", | |||
"201026011_80": "「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃッ!」", | |||
"201026011_81": "(あッ!\\n こいつら、うちの<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>たちにソックリじゃないかッ!)", | |||
"201026011_82": "「なぁ~なぁ~」", | |||
"201026011_83": "「……なぁんッ!」", | |||
"201026011_84": "「にゃ~ぞッ! にゃ~ぞッ!」", | |||
"201026011_85": "「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃッ!」", | |||
"201026011_86": "「なぁ~なぁ~」", | |||
"201026011_87": "「……なぁんッ!」", | |||
"201026011_88": "「にゃ~ぞッ! にゃ~ぞッ!」", | |||
"201026011_89": "「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃッ!」", | |||
"201026011_90": "「にゃーにゃーにゃーにゃーうるさいッ!」", | |||
"201026011_91": "「にぎゃーーーッ!」", | |||
"201026011_92": "「あ……また……」", | |||
"201026011_93": "「ここは、猫たちを見て和む場所なんだよ。\\n ダメでしょ、猫を脅しちゃ」", | |||
"201026011_94": "「……同情のつもりか?」", | |||
"201026011_95": "「えッ?」", | |||
"201026011_96": "「オレが誕生日に1人で寂しそうだったから、\\n 同情してここに連れてきたのか?」", | |||
"201026011_97": "「何度も言ったけど、\\n わたしが来たかったから……」", | |||
"201026011_98": "「お前の気遣いには一応の礼を言うが……、\\n 残念なことに、ここの猫はどいつもオレには懐かん」", | |||
"201026011_99": "「十分に懐いてたよ。\\n あなたが怒鳴るまではね」", | |||
"201026011_100": "「そうだな……」", | |||
"201026011_101": "「うん、ちょっと待って」", | |||
"201026011_102": "「店員さーんッ!\\n スペシャルバースデーケーキを1つ、お願いします」", | |||
"201026011_103": "「お、おいッ!\\n オレはケーキなんていらんッ!」", | |||
"201026011_104": "「はーい、喜んでッ!」", | |||
"201026011_105": "「――って、\\n オーダーが通ってしまったじゃないか。まったく……」", | |||
"201026011_106": "「お待たせしましたッ!\\n こちらが、スペシャルバースデーケーキとなりますッ!」", | |||
"201026011_107": "「お、お前……このケーキって……」", | |||
"201026011_108": "「どう? 豪華でしょ?」", | |||
"201026011_109": "「猫ちゃん用の、\\n 特製キャットフードケーキになりますッ!」", | |||
"201026011_110": "「オレのケーキじゃないのかよッ!」", | |||
"201026011_111": "「そのケーキを猫たちに振る舞ってあげて」", | |||
"201026011_112": "「振る舞う? オレがか?」", | |||
"201026011_113": "「そう。\\n 折角この店に来たんだし、少しは楽しまないと損だよ」", | |||
"201026011_114": "「ま、まぁ……確かにそれもそうだな」", | |||
"201026011_115": "「にゃ~ぞッ!」", | |||
"201026011_116": "「にゃにゃにゃッ!」", | |||
"201026011_117": "「にゃ~ぞッ!」", | |||
"201026011_118": "「フシャーッ!」", | |||
"201026011_119": "「……ぞ」", | |||
"201026011_120": "「お前たち、喧嘩するんじゃない。\\n 仲よく食べろ」", | |||
"201026011_121": "「にゃ~ぞッ!」", | |||
"201026011_122": "「にゃにゃにゃ」", | |||
"201026011_123": "「そんなに、がっつくな。\\n 所詮はケダモノか」", | |||
"201026011_124": "「……なぁんッ!」", | |||
"201026011_125": "「お前は腹が減ってないのか?」", | |||
"201026011_126": "「……なぁッ!」", | |||
"201026011_127": "「遊んでほしいのか?\\n ちょっと待っててくれ……」", | |||
"201026011_128": "「ゴロゴロ……ZZZ……」", | |||
"201026011_129": "「お、おいッ!\\n お前はそんなとこで寝るなッ! 重いッ!」", | |||
"201026011_130": "「ナァ……ZZZ……」", | |||
"201026011_131": "「…………」", | |||
"201026011_132": "「なッ! なんだッ!\\n オレに生暖かい眼差しを向けるんじゃないッ!」", | |||
"201026011_133": "「そんなつもりはないけど……。\\n よかったね。沢山の猫に祝ってもらえて」", | |||
"201026011_134": "「祝われている気はせんが……」", | |||
"201026011_135": "(だが、こいつの言う通り、\\n 和んだのは確かかもしれないな……)", | |||
"201026011_136": "「あらあらマスター、ずいぶん探しましたよ……。\\n こんなところにいらしたのね?」", | |||
"201026011_137": "「マスターが……派手にケモノに……好かれてる」", | |||
"201026011_138": "「マスター、早く帰るゾッ!\\n サプライズパーティが始められないんだゾッ!」", | |||
"201026011_139": "「こらッ! ミカッ!\\n あんた、サクッとバラしてんじゃないわよッ!」", | |||
"201026011_140": "「なんだ……。\\n 祝ってくれる人、いるじゃないか」", | |||
"201026011_141": "「ああ。\\n どうやら……そのようだな」", | |||
"201026011_142": "「よかったね」", | |||
"201026011_143": "「礼というわけでもないが……お前も来るか?」", | |||
"201026011_144": "「ありがとう。でも、わたしはいいよ。\\n そろそろ、行かなきゃ……」", | |||
"201026011_145": "「そうか……あの……ありがとう。\\n 結構、楽しかった」", | |||
"201026011_146": "「うん。\\n ……じゃあ行くね」", | |||
"201026011_147": "「ああ」", | |||
"201026011_148": "「お誕生日、おめでとう」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,112 @@ | |||
{ | |||
"201026111_0": "サイボーグ怪獣ガイガン", | |||
"201026111_1": "「愚かな地球人めッ!\\n まもなく、地球は我らの物となるのだ――ッ!」", | |||
"201026111_2": "「~~~♪」", | |||
"201026111_3": "「道草を食ってばかりじゃ日が暮れるわよ。\\n 調が料理の準備をして、待っているんでしょう?」", | |||
"201026111_4": "「はッ! そうだったデス。カレーを甘口にしてもらうために、\\n 林檎と蜂蜜とココナッツを買いに行くデースッ!」", | |||
"201026111_5": "「……その3つなら、スーパーで揃うわね。\\n こっちよ」", | |||
"201026111_6": "『・―・・ ―・・―・ ・―・―・\\n ~・~・・ ・・ ~~・ ・~・・ ・・ 』", | |||
"201026111_7": "「――およッ!?」", | |||
"201026111_8": "「何か聞こえないデスか?\\n へんてこな、電波みたいな……」", | |||
"201026111_9": "「え?\\n 何も聞こえないけど……」", | |||
"201026111_10": "「なんだか……頭が、\\n クラクラしてきた……デス」", | |||
"201026111_11": "「切歌ッ!?\\n あなた、そのギアはッ!?」", | |||
"201026111_12": "「呼ばれているデス……。\\n 行かなきゃ……デス……」", | |||
"201026111_13": "「待ちなさいッ!\\n 切歌ッ! 切歌ぁぁぁぁッ!!」", | |||
"201026111_14": "「我々はM宇宙ハンター星雲人……。\\n 人間の姿に擬態しているが、何を隠そう宇宙人なのだッ!」", | |||
"201026111_15": "「我々には、地球人類を滅ぼし、\\n この<ruby=ほし>惑星</ruby>を手に入れるという使命がある……ッ!」", | |||
"201026111_16": "「……司令官殿、誰に説明をしているので?」", | |||
"201026111_17": "「腹立たしいことに、登場50周年として取りざたされるのは\\n ガイガンばかり……。我々もいるというのにッ!」", | |||
"201026111_18": "「そこで、我々のことをあまり知らない者のために、念のためな」", | |||
"201026111_19": "「は、はあ……」", | |||
"201026111_20": "「そんなことよりもッ!\\n 準備は進んでいるのか?」", | |||
"201026111_21": "「はッ! この指令電波が録音された磁気テープを再生すれば、\\n ガイガンを我々の意のままに操ることが可能になります」", | |||
"201026111_22": "「うむ。サイボーグ怪獣の異名を持つガイガンならば、\\n 地球人類を根絶やしにすることなど、<ruby=たやす>容易</ruby>いだろう」", | |||
"201026111_23": "「さあ、始めるのだッ!」", | |||
"201026111_24": "「了解しましたッ!\\n 再生開始――ッ!」", | |||
"201026111_25": "『・―・・ ―・・―・ ・―・―・\\n ~・~・・ ・・ ~~・ ・~・・ ・・ 』", | |||
"201026111_26": "「あれッ!?\\n 随分音が間延びしているような……」", | |||
"201026111_27": "「馬鹿者ッ! テープが伸びているではないかッ!\\n 早く新しいテープと取り換えるのだッ!」", | |||
"201026111_28": "「すみません……司令官殿、しかし大丈夫です。", | |||
"201026111_29": " 無事にガイガンを呼び寄せることに成功しましたッ!」", | |||
"201026111_30": "「デェェェ――スッ!」", | |||
"201026111_31": "「フフ、これがガイガンかッ!\\n なるほど、大した咆哮だッ!」", | |||
"201026111_32": "「いや、しかし、怪獣という割には\\n ずいぶんと小さくないかッ!?」", | |||
"201026111_33": "「私も実物を見るのは初めてですが、\\n 確かに……」", | |||
"201026111_34": "「しかし、緑色のボディ、攻撃的な鎌。\\n 同胞から聞いていたガイガンの特徴と合致しますッ!」", | |||
"201026111_35": "「デェェェ――スッ!」", | |||
"201026111_36": "「う……うむ……。\\n では、こいつがしっかり計画に役立つかチェックしろ」", | |||
"201026111_37": "「よし、ガイガンッ!\\n 我々の目的を述べよッ!」", | |||
"201026111_38": "「地球人をやっつけるデースッ!」", | |||
"201026111_39": "「おおッ!\\n 完全に我々の思い通りにコントロールされていますよ」", | |||
"201026111_40": "「そうか、なら戦闘力はどうだ?\\n こいつに、地球人の殲滅ができるのか?」", | |||
"201026111_41": "「エネルギー量は十分です。\\n 数値的にはガイガンの資料にも劣っていません」", | |||
"201026111_42": "「まあ、それならいい。\\n ではこいつを使って――」", | |||
"201026111_43": "「デストロイデースッ!」", | |||
"201026111_44": "「ま、待てッ!\\n 勝手に動くな――ッ!」", | |||
"201026111_45": "「デェ――スッ!?」", | |||
"201026111_46": "「壁に激突して倒れたぞ……」", | |||
"201026111_47": "「ですが、壁の方も大破しましたよッ!\\n さすがはガイガンですねッ!」", | |||
"201026111_48": "「……おりょ? ここはどこデスか?\\n 確かマリアと買い物に出て――」", | |||
"201026111_49": "「そうデスッ! 早く買い物して帰らないと、\\n 調のカレーが激辛になってしまうデスよッ!」", | |||
"201026111_50": "「おい、どうなっている……?」", | |||
"201026111_51": "「まさか、今の衝撃で指令電波の効果が――ッ!?\\n もう一度言うことを聞くんだ、ガイガンッ!!」", | |||
"201026111_52": "「誰がガイガンデスかッ!\\n アタシは暁切歌デスッ!」", | |||
"201026111_53": "「ま、まさか、ガイガンじゃなくて、\\n ただの地球人の子供では……?」", | |||
"201026111_54": "「地球人を呼んでどうするのだ、この馬鹿者がッ!!」", | |||
"201026111_55": "「早く本物のガイガンを呼び寄せろッ!\\n こんな所で地球攻撃命令を頓挫させる訳にはいかんッ!」", | |||
"201026111_56": "「地球攻撃ッ!?", | |||
"201026111_57": " さてはお前たち、悪い宇宙人デスかッ!?」", | |||
"201026111_58": "「ご明察ですが、今はこんな子供に構っている暇はありません。\\n いきます、指令電波再生――ッ!」", | |||
"201026111_59": "『・―・・ ―・・―・ ・―・―・\\n ・―・・ ・・ ・― ・―・・ ・・ ・―・―・』", | |||
"201026111_60": "「この音――ッ!?」", | |||
"201026111_61": "「この揺れは、なんデスかッ!?」", | |||
"201026111_62": "「キィィィィィィィィッ!」", | |||
"201026111_63": "「――来ましたッ!\\n 今度こそガイガンですッ!」", | |||
"201026111_64": "「フフ、多少の間違いはあったが、これで我々の目的が\\n 達成される。さあ、ガイガンよ、我々に従うのだッ!」", | |||
"201026111_65": "「キィィィィィィィィッ!」", | |||
"201026111_66": "「制御効いていますッ!\\n ガイガンを掌握しましたッ!」", | |||
"201026111_67": "「よし、では地球攻撃命令――発令再開ッ!\\n まずは、この地球人を血祭りにあげろッ!!」", | |||
"201026111_68": "「――簡単にやられてたまるかデスよッ!」", | |||
"201026111_69": "「キィィィィィィィィッ!」", | |||
"201026111_70": "「ガイガンと悪い宇宙人たちの侵攻は、アタシが止めるデスッ!\\n このギアに懸けて――」", | |||
"201026111_71": "「キィィィィィィィィッ!」", | |||
"201026111_72": "「うわっぷッ! 危ないデスッ!\\n こんな鋭い<ruby=かぎづめ>鉤爪</ruby>攻撃、当たったら1発でアウトデスねッ!」", | |||
"201026111_73": "「キィィィィィィィィッ!」", | |||
"201026111_74": "「あわわわッ! お腹のノコギリを回しはじめたデスッ!?\\n 巻き込まれる訳には……」", | |||
"201026111_75": "「危機一髪デスッ!", | |||
"201026111_76": " でも、このままだとジリ貧デスね……」", | |||
"201026111_77": "「ここは、全身全霊を込めた一撃でッ!\\n とうッ!!」", | |||
"201026111_78": "「操られていることには同情するデス。\\n だけど、アタシは絶対に――負けないデスッ!」", | |||
"201026111_79": "「キィィィィィィィィッ!」", | |||
"201026111_80": "「アタシの全力ッ!\\n 受け止めてみろデェェェェスッ!!」", | |||
"201026111_81": "「キィィィィィィィィッ!」", | |||
"201026111_82": "「むにゃむにゃ……」", | |||
"201026111_83": "「――はッ!? ガ、ガイガンはどこデスッ!?」", | |||
"201026111_84": "「……およ?\\n ここは、アタシたちの部屋……?」", | |||
"201026111_85": "「うう、ゴジラタワーが――」", | |||
"201026111_86": "「調、調……」", | |||
"201026111_87": "「う……ん?\\n ……あれ、切ちゃん?」", | |||
"201026111_88": "「そうデス。\\n 調、ここってアタシたちの部屋デスよね?」", | |||
"201026111_89": "「うん、そのはずだけど……。\\n どうかしたの、切ちゃん?」", | |||
"201026111_90": "「……それじゃさっきのは夢だったんデスかね。\\n 変な夢を見てしまったデスよ」", | |||
"201026111_91": "「わたしも……。\\n ――切ちゃんが見たのはどんな夢なの?」", | |||
"201026111_92": "「ガイガンの代わりに呼び出されて、ガイガンと戦う夢デス。\\n アタシが地球を護って戦ってたデスよ」", | |||
"201026111_93": "「それは……、かなり壮大な夢だね」", | |||
"201026111_94": "「調はどんな夢を見たデスか?」", | |||
"201026111_95": "「わたしはゴジラタワーに潜入して、\\n 爆弾を仕掛けて爆発させる夢……」", | |||
"201026111_96": "「生理的に受け付けない姿をした、\\n 悪い宇宙人の地球侵攻を阻止するために戦ってたの」", | |||
"201026111_97": "「う、調の夢にも悪い宇宙人、出てたデスね……」", | |||
"201026111_98": "「え、切ちゃんの方にもいたの?」", | |||
"201026111_99": "「いたデスよ。アタシを呼び出したやつらがそうだったデス」", | |||
"201026111_100": "「変な偶然もあるんだね」", | |||
"201026111_101": "「そうデスね。しかし、夢でよかったデスよ」", | |||
"201026111_102": "「そうだね」", | |||
"201026111_103": "「……調、お腹が空いたデス。\\n 昨日の甘口カレーはまだ残ってるデスか?」", | |||
"201026111_104": "「あ、それじゃすぐ温めなおすね。\\n ちょっとだけ待って――」", | |||
"201026111_105": "(――カサカサッ!)", | |||
"201026111_106": "「なッ!? 今、何かッ!」", | |||
"201026111_107": "「く、黒くて素早いアレデスよッ!\\n それっぽいのが冷蔵庫の方にッ!」", | |||
"201026111_108": "「アレだけは……、絶対に、許せないッ!」", | |||
"201026111_109": "「同感デスよッ!\\n デストロイデースッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,156 @@ | |||
{ | |||
"201026211_0": "休日は整備士ッ!?", | |||
"201026211_1": "「また、随分と買い込んだものだな。\\n なぁ……、心労や不満が高まっているなら――」", | |||
"201026211_2": "「ストレス発散のために、\\n ショッピングに付き合ってもらった訳じゃないわよ」", | |||
"201026211_3": "「いや……しかし、マリアには着られないサイズや、\\n 明らかに好みと違った服も、たくさん買っていたじゃないか」", | |||
"201026211_4": "「フフ。心配してくれるのね」", | |||
"201026211_5": "「それは仲間として当然だ。\\n 悩みがあるなら、わたしに相談してほしい」", | |||
"201026211_6": "「今日は何故かセレナや調、切歌に\\n 似合いそうな服が目についただけよ」", | |||
"201026211_7": "「最近は、みんなしっかりしていて、以前ほど世話を焼くことも\\n なくなってしまったから……少し寂しいのかもしれないわね」", | |||
"201026211_8": "「マリアは面倒見がいいからな……。\\n ただ、その気持ちは少しだけ分かるぞ」", | |||
"201026211_9": "「翼も、後輩たちのことをいつも気にかけているものね……」", | |||
"201026211_10": "「なんだッ!?」", | |||
"201026211_11": "「車両事故だわ。\\n 行ってみましょうッ!」", | |||
"201026211_12": "「大変ッ!\\n 幼稚園のバスが、縁石に乗り上げてしまっているわ……ッ!」", | |||
"201026211_13": "「今猛スピードで走り去った車が、衝突したのか?」", | |||
"201026211_14": "「いえ、ぶつかってはいないみたい。\\n 無謀運転に煽られて、ハンドル操作を誤ったのね」", | |||
"201026211_15": "「クッ……接触事故ではないのかもしれんが、\\n 園児たちの送迎バスを煽るなど……<ruby=たわ>戯</ruby>けたヤツめッ!」", | |||
"201026211_16": "「翼、追っても仕方ないわ。\\n それより、わたしたちは園児たちの保護を急ぎましょう」", | |||
"201026211_17": "「分かったッ!」", | |||
"201026211_18": "「みんな、大丈夫ッ!?」", | |||
"201026211_19": "「怪我はないかッ!?」", | |||
"201026211_20": "「あーッ! あのお姉さん……知ってるッ!」", | |||
"201026211_21": "「ボクも知ってるーッ! かざなりつばさだーッ!」", | |||
"201026211_22": "「あ、ああ……確かにわたしは風鳴翼だが……」", | |||
"201026211_23": "「はーい。じゃあ、みんな。隣のお友達が\\n 怪我をしていないか、翼お姉さんに教えてくれるかしら?」", | |||
"201026211_24": "「してませーんッ!」", | |||
"201026211_25": "「そ、そうか……。\\n みんな無事でよかった」", | |||
"201026211_26": "「うんッ!\\n へっちゃらだったよッ!」", | |||
"201026211_27": "「そうか。みんな強いなッ!」", | |||
"201026211_28": "「うそだーッ!\\n 怖くて泣いてたくせにーッ!」", | |||
"201026211_29": "「うるさいッ!\\n あんただって本当は、お漏らししてるんでしょ?」", | |||
"201026211_30": "「そ、そんな訳ないだろッ!」", | |||
"201026211_31": "「こらこら、喧嘩するんじゃないッ!」", | |||
"201026211_32": "「あら? 本当に強い子は、お友達を悪く言ったり、\\n からかったりしないんだけど……ねぇ、翼」", | |||
"201026211_33": "「ああ、そうだぞ。\\n 友達を大事にしない子は、強いとは言えないな」", | |||
"201026211_34": "「――ッ! ごめんね。\\n もう、からかったりしないよ」", | |||
"201026211_35": "「あッ! あたしも、悪く言ってごめんなさい」", | |||
"201026211_36": "「間違ったことをしたら謝る。\\n それができる子は、みんな強い子だ」", | |||
"201026211_37": "「じゃあ強い子のみんな。仲良くして少し待っててね。\\n できるかしら?」", | |||
"201026211_38": "「<size=40>ハーイッ!</size>」", | |||
"201026211_39": "「ありがとうございますッ!\\n あなたたちのお陰で、子供たちも、随分落ち着いたようです」", | |||
"201026211_40": "「いえ、お役に立ててよかったです」", | |||
"201026211_41": "「それで、バスの方はどうですか?\\n 園児たちの送迎に問題は出ないでしょうか?」", | |||
"201026211_42": "「それが……、\\n 縁石に乗り上げた衝撃でか、エンジンの具合が悪くて……」", | |||
"201026211_43": "「それだと、自走は危険ですね。\\n 送迎は無理か……」", | |||
"201026211_44": "「子供たちはわたしたちが見てますから、\\n 園や保護者に、迎えに来るよう連絡してあげてください」", | |||
"201026211_45": "「は、はい。そうですね。\\n 申し訳ありませんが、よろしくお願いします」", | |||
"201026211_46": "「つばさ先生、まりあ先生、さようならー」", | |||
"201026211_47": "「気をつけて帰るのよ」", | |||
"201026211_48": "「親御さんの言うことをよく聞き、いい子でいるんだぞ」", | |||
"201026211_49": "「<size=40>ハーイッ!</size>」", | |||
"201026211_50": "「……何故、先生と呼ばれたんだ?\\n わざわざ訂正するのも<ruby=おとなげ>大人気</ruby>がないが、面はゆいな」", | |||
"201026211_51": "「子供たちなりに思うところがあったのでしょう。\\n 学ぶべきところのある大人は、自然と先生と呼ぶようです」", | |||
"201026211_52": "「子供たちなりの、感謝の形なんじゃない?\\n ともかく全員、無事に帰すことができてよかったわね」", | |||
"201026211_53": "「こんな時間まで手伝っていただいて、本当に助かりました。\\n あなたたちが駆け付けてくれなければ、どうなったことか……」", | |||
"201026211_54": "「来られた園の教諭の方々も、結局、保護者や警察の対応で\\n おおわらわとなっていましたからね」", | |||
"201026211_55": "「本当に、なんとお礼を言ってよいか……」", | |||
"201026211_56": "「それに、優しいお姉さんたちと\\n 一緒にいられて、子供たちも喜んでいましたッ!」", | |||
"201026211_57": "「せん……せ……」", | |||
"201026211_58": "「あら? どうしたの?\\n 忘れ物でもした?」", | |||
"201026211_59": "「あのね……遠足なくなっちゃうの?」", | |||
"201026211_60": "「遠足?」", | |||
"201026211_61": "「なんのことですか?」", | |||
"201026211_62": "「実は明日、この子たちの遠足が予定されていたのですが、\\n バスがこんな状態ですので……」", | |||
"201026211_63": "「中止となったのですか?」", | |||
"201026211_64": "「…………」", | |||
"201026211_65": "「いや、まだ決まった訳じゃないよ。\\n 先生たちが、代わりのバスを探しているからね」", | |||
"201026211_66": "「聞いた通りだ。先生たちは、みんなを遠足に連れて行こうと、\\n 一生懸命に動いてくれている」", | |||
"201026211_67": "「今から諦めたりガッカリするのは、失礼なことよ。\\n 先生たちを信じて、楽しみに待ってなさい」", | |||
"201026211_68": "「……うん……。\\n そうだねッ! ボク、先生たちを信じるよッ!」", | |||
"201026211_69": "「とはいえ、これで遠足が中止になれば、\\n あの子は、悲しみをより深めてしまうのではないか?」", | |||
"201026211_70": "「元気付けるためだけど、少し無責任だったかもしれないわね」", | |||
"201026211_71": "「いえ。元はと言えば、私が運転を誤ったことが原因なのです。\\n あなた方が責任を感じることでは……」", | |||
"201026211_72": "「それは違いますッ!」", | |||
"201026211_73": "「あなたは、無謀運転から子供たちを護ったのだから、\\n 誇るべきだと思います」", | |||
"201026211_74": "「わたしたちの方でも、\\n 代車や、修理の手配ができないか当たってみます」", | |||
"201026211_75": "「いや、そこまでしていただく訳には……」", | |||
"201026211_76": "「袖すり合うも多生の縁とも言います。\\n ぜひ、お手伝いさせてください」", | |||
"201026211_77": "「どう、翼?」", | |||
"201026211_78": "「……残念だが……明日までに間に合うと言ってくれる\\n 修理工場は見つからない。そっちはどうだ?」", | |||
"201026211_79": "「駄目ね。S.O.N.G.に大きなバス自体はあるけど、\\n 民間に貸し出すには、各種申請が間に合わないらしいわ」", | |||
"201026211_80": "「……万策、尽きたか……」", | |||
"201026211_81": "「あの……いろいろありがとうございました。\\n しかし、これ以上ご迷惑をおかけする訳には……」", | |||
"201026211_82": "「先ほど園長とも相談して、\\n 明日の遠足は、延期することにしましたので……」", | |||
"201026211_83": "「そう。子供たちを悲しませる結果になってしまって\\n 申し訳がないわ……」", | |||
"201026211_84": "「ちょっと待ってくださいッ!」", | |||
"201026211_85": "「翼……これ以上、わたしたちが振り回すのは……」", | |||
"201026211_86": "「あと1ヶ所だけ、連絡させてくれないか。\\n あの人なら……あるいは……」", | |||
"201026211_87": "「危急だと言うから来てみれば……車の修理だ?」", | |||
"201026211_88": "「あんたら……、\\n このアタシを暇人だとでも思ってんのかいッ!?」", | |||
"201026211_89": "「なるほどね。\\n 確かに環さんたちなら、朝までに修理できるでしょうけど……」", | |||
"201026211_90": "「環さんも、S.O.N.G.からの依頼で忙しいんだから、\\n さすがに園児たちの遠足を優先させる訳には……」", | |||
"201026211_91": "「マリア、それが……だな。\\n 環さんには、電話で事情を全て説明してあるんだが……」", | |||
"201026211_92": "「え? それって……?」", | |||
"201026211_93": "「うるさいッ! いくらS.O.N.G.が超常災害を防いでも、\\n ガキどもが泣くような世界じゃ意味がないだろッ!」", | |||
"201026211_94": "「…………」", | |||
"201026211_95": "「じ、時間がないんだろッ! 言っとくが助手どもは\\n 連れてきちゃいないし、アタシも口しか出さないからねッ!」", | |||
"201026211_96": "「え? わたしたちだけで修理を?」", | |||
"201026211_97": "「当たり前だろう? 聞けば園児たちに期待を持たせたのは、\\n あんたら2人だ。キッチリ責任取りな」", | |||
"201026211_98": "「そのパーツはもっと奥だッ!\\n そのまま……あーッ! そうじゃないよッ!!」", | |||
"201026211_99": "「マリア、びびってないで、もっと奥まで差し込めッ!\\n 走行中に落ちたら、ガキどもが怪我すんだろうがッ!」", | |||
"201026211_100": "「ご、ごめんなさいッ!」", | |||
"201026211_101": "「マリア、汗だくじゃないか……大丈夫か?」", | |||
"201026211_102": "「ええ、ちょっと蒸し暑くてね……。\\n このガレージに冷房はないかしら?」", | |||
"201026211_103": "「なに甘えたこと言ってんだいッ!?\\n ガレージに冷房がある訳ないだろッ!」", | |||
"201026211_104": "「だいたい、そんなチャラついた服で車なんていじったら、\\n 暑いのは当然だ」", | |||
"201026211_105": "「アタシの車に、作業用のツナギが載せてある。\\n さっさと着替えてきな。翼もだよッ!」", | |||
"201026211_106": "「はいッ!」", | |||
"201026211_107": "「それでも暑けりゃ、遠慮せずに裸になりな。\\n どうせここは、朝までアタシらの貸し切りだ」", | |||
"201026211_108": "「…………」", | |||
"201026211_109": "「やっぱり蒸すわね……」", | |||
"201026211_110": "「翼……そこのスパナ取ってくれる?」", | |||
"201026211_111": "「確かに暑いな……だが、もう少しで修理も終わるさ。\\n あの子たちの笑顔を護ってやらないとな」", | |||
"201026211_112": "「ありがと。よし……ここをこうやって……。\\n あ、ちょっとここを持ってもらってていい?」", | |||
"201026211_113": "「こうか?」", | |||
"201026211_114": "「そう、そのまま……今、ボルトを締めてしまうから」", | |||
"201026211_115": "「このパーツに緩みがなければ、\\n もう問題は出ないはずだ」", | |||
"201026211_116": "「ええ……古い部品も取り換えたし、\\n 事故の前より調子はよくなるはずよ」", | |||
"201026211_117": "「どれ? 本当に問題がないのかは、\\n このアタシが確認してやろうじゃないか」", | |||
"201026211_118": "「あんたらは、アタシが最終チェックをしている間に、\\n シャワーでも浴びて着替えてきなッ!」", | |||
"201026211_119": "「環さんッ!\\n バスの方は問題ないだろうか?」", | |||
"201026211_120": "「ギリギリ合格点をやれるってところだね。\\n まぁ、遠足の1回や2回の走行じゃビクともしないだろ」", | |||
"201026211_121": "「相変わらず厳しいわね……。\\n でも、これであの子たちをガッカリさせなくて済むわ」", | |||
"201026211_122": "「本当に……よかった……」", | |||
"201026211_123": "「なんだいッ!\\n <ruby=ふぬ>腑抜</ruby>けた顔して……」", | |||
"201026211_124": "「環さんのおかげで、あの子たちが想い出を作る機会を\\n 護ることができそうです」", | |||
"201026211_125": "「アタシゃ、ちょっと口を挟んだだけさ。\\n 胸張って自分たちが護ったって言やぁいい」", | |||
"201026211_126": "「環さん……」", | |||
"201026211_127": "「ガキどもの笑顔を護った後に、しけた<ruby=ツラ>顔</ruby>してんじゃないよ。\\n じゃあ、アタシは行くからね」", | |||
"201026211_128": "「ありがとうございましたッ!」", | |||
"201026211_129": "「翼、幼稚園の子供たち、無事に遠足から戻ったらしいわ。\\n バスにも問題はなかったそうよ」", | |||
"201026211_130": "「随分楽しかったみたいで、子供たちがお礼を言いたいから、\\n 時間があるときにでも、顔を出してほしいと言われたわ」", | |||
"201026211_131": "「そうかッ!\\n あの子たちの笑顔が目に浮かぶようだ」", | |||
"201026211_132": "「環さんも言っていたけど、いくら超常災害を退けても\\n 子供たちが笑えない世界じゃ意味がないものね」", | |||
"201026211_133": "「環さんには?」", | |||
"201026211_134": "「もう伝えたわ。\\n くだらないことで連絡してくるなと怒鳴られたけど……」", | |||
"201026211_135": "「……環さんが、ニヤニヤしながら怒鳴ってる姿も\\n 易々と目に浮かぶな」", | |||
"201026211_136": "「マリアーッ!\\n アタシも遠足に連れていくデスッ!」", | |||
"201026211_137": "「何を聞いてきたか知らないけど、\\n わたしは遠足になんて行ってないわよ」", | |||
"201026211_138": "「幼稚園児たちが、遠足に行けるように奮闘したって聞いた」", | |||
"201026211_139": "「環さんの助手さんたちに偶然会って、\\n 幼稚園のバスを修理したと聞いたんです」", | |||
"201026211_140": "「環さん、研究所では翼さんたちの行動を\\n 褒めちぎってるらしいですよ」", | |||
"201026211_141": "「先輩たち、文字通り一肌脱いだらしいじゃないか」", | |||
"201026211_142": "「環さん……そんな仔細まで……」", | |||
"201026211_143": "「と、いうことで……アタシも遠足に行きたいデスッ!」", | |||
"201026211_144": "「どういうことよッ!」", | |||
"201026211_145": "「切ちゃん、大丈夫。\\n マリアは、わたしたちのためにも奮闘してくれる」", | |||
"201026211_146": "「…………」", | |||
"201026211_147": "「あ、じゃあさッ! 遠足じゃないけど……、\\n お弁当持って、みんなでハイキングに行こうよッ!」", | |||
"201026211_148": "「いいと思うッ!\\n 最近みんなで出かけてないから、きっと楽しいよ」", | |||
"201026211_149": "「ハイキングか……、\\n 少し険しい山なら、訓練代わりになりそうだ」", | |||
"201026211_150": "「ち、ちょっと翼さんッ!?\\n もっと気楽に、楽しみましょうよ」", | |||
"201026211_151": "「何を言うのだ。遠足とは、そもそも課外授業のことだ。\\n わたしたちが行くからには、鍛錬の機会とすべきだろう」", | |||
"201026211_152": "「そうね。そういうことなら、\\n わたしが楽しい楽しい遠足特訓メニューを組んであげるわッ!」", | |||
"201026211_153": "「うえぇ……」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,156 @@ | |||
{ | |||
"201026311_0": "切歌のバースデー2022", | |||
"201026311_1": "「ふふ~ん♪ ふふふ~~ん♪」", | |||
"201026311_2": "「なんだ、えらく上機嫌だな」", | |||
"201026311_3": "「エヘヘー、分かっちゃうデスか?」", | |||
"201026311_4": "「そりゃ、そんだけ浮かれてりゃ気づくだろ。\\n で、何がそんなに嬉しいんだ?」", | |||
"201026311_5": "「よくぞ聞いてくれたデスッ!\\n 何を隠そう、もうすぐアタシの誕生日なのデースッ!」", | |||
"201026311_6": "「祝ってもらう気満々じゃねーかッ!」", | |||
"201026311_7": "「エヘヘ~♪」", | |||
"201026311_8": "「わたしも、切ちゃんをお祝いする気は満々」", | |||
"201026311_9": "「ま、せっかくだし、あたしもつきあってやるか。\\n ほんとは色々やることあるけど、誕生日とくれば仕方ない」", | |||
"201026311_10": "「そんなこと言って、クリスだって最初からお祝いするつもり\\n だったんでしょ?」", | |||
"201026311_11": "「おおッ、そうなのデスか?」", | |||
"201026311_12": "「そ、そりゃあ先輩の務めとしてだな……」", | |||
"201026311_13": "「嬉しいデースッ! 感激デスッ!」", | |||
"201026311_14": "「ま、まあ、それはともかくだ。\\n こうなったら、サプライズっていうのもやりづらいよな」", | |||
"201026311_15": "「切ちゃんの欲しいものをみんなで買う、とかですか?」", | |||
"201026311_16": "「悪かないけど、無難すぎるっていうか、\\n プレゼントを渡して、ハイ終わりってのも芸が無いんだよな」", | |||
"201026311_17": "「それじゃあ、せっかくだし、みんなで何かしようよ。\\n 例えば……ピクニックに行くとか?」", | |||
"201026311_18": "「ピクニック(デス)?」", | |||
"201026311_19": "「うん。春になったんだし、ポカポカ陽気の下で\\n ピクニックしたら、とっても気持ちいいと思うの」", | |||
"201026311_20": "「なるほど、レジャーがてら誕生日会をやるってわけか。\\n そいつは気が利いてるな」", | |||
"201026311_21": "「外でお弁当を食べるのも楽しそう。\\n 切ちゃんはどう?」", | |||
"201026311_22": "「まさにグッドを越えたベストアイデアデスッ!\\n みんなとのピクニック、とっても楽しみデースッ!」", | |||
"201026311_23": "「それじゃあ、決まりかな。\\n 他のみんなにも声かけておくね」", | |||
"201026311_24": "「今から楽しみデスッ!\\n 指折り数えて待つデスよッ!」", | |||
"201026311_25": "「もういくつ寝ると、ってか?\\n 正月が待ち遠しい子供みたいだな」", | |||
"201026311_26": "「何を隠そう、切ちゃんはお正月を1ヶ月前から\\n 指折り数えて待つタイプ」", | |||
"201026311_27": "「シ、シーッ!\\n それはバラしちゃだめデスッ!」", | |||
"201026311_28": "「毎朝うきうきしながら、カレンダーにバツ印をつけてる姿が\\n 目に浮かぶな」", | |||
"201026311_29": "「そ、そこまでお見通しデスかッ!?", | |||
"201026311_30": " うぅ~、なんだか無性に恥ずかしいデス……」", | |||
"201026311_31": "「フフ、大丈夫だよ。\\n 響もそんな感じだから」", | |||
"201026311_32": "「それじゃあ、場所選びとかはわたしたちがやっておくから、\\n 切歌ちゃんは当日を楽しみにしててね」", | |||
"201026311_33": "「はいデスッ!\\n 期待して待ってるデースッ!」", | |||
"201026311_34": "「困ったことになったわね」", | |||
"201026311_35": "「よもやこの土壇場で、このような事態になろうとはな……」", | |||
"201026311_36": "「ったく、バカが呼び出しくらうから\\n 待ち合わせに遅れちまったじゃねぇかッ!」", | |||
"201026311_37": "「うぅ、ごめんねみんな、待たせちゃって」", | |||
"201026311_38": "「お待たせしたデースッ!", | |||
"201026311_39": " ……って、な、なんデスか、この空気は?」", | |||
"201026311_40": "「なんかあったのか?\\n 揃いも揃って、曇った顔して……」", | |||
"201026311_41": "「顔はともかく、空が曇っていることが問題なのよ」", | |||
"201026311_42": "「はぁ?」", | |||
"201026311_43": "「実はな……」", | |||
"201026311_44": "「春雨前線……ですか?」", | |||
"201026311_45": "「はるさめ?\\n みんなで中華でも食べに行く相談デスか?」", | |||
"201026311_46": "「切ちゃん、そうじゃなくってね……」", | |||
"201026311_47": "「春雨前線っていうのは、春先に日本の上空に現れる\\n 停滞前線のことよ。この前線は長い間雨を降らせるの」", | |||
"201026311_48": "「なんとッ!\\n 最近の中華料理は雨を降らせるデスかッ!?」", | |||
"201026311_49": "「そんなわけないだろッ!", | |||
"201026311_50": " ……で、いったいそれの何が問題なんだ?」", | |||
"201026311_51": "「いささか雲行きが怪しかったゆえ、天気予報を確認した結果、\\n 4月中旬は雨が多くなることが分かった」", | |||
"201026311_52": "「4月中旬って……」", | |||
"201026311_53": "「切ちゃんの誕生日……ッ!」", | |||
"201026311_54": "「デース……ッ!\\n 停滞前線……まさに、手痛い前線というわけデスね」", | |||
"201026311_55": "「うまいこと言ってる場合かッ!\\n ……先輩、だからって、中止にするって話じゃないんだろ?」", | |||
"201026311_56": "「当然だ。これしきのことで、暁の誕生日会を\\n 中止になどしてなるものか」", | |||
"201026311_57": "「当日、急遽中止なんてことにならないように、\\n 事前に話し合った方がいいと思ったの」", | |||
"201026311_58": "「そうだったんデスか……」", | |||
"201026311_59": "「雨が降っても大丈夫なように、ピクニックは断念して、\\n 屋内施設で集まる方がいいんじゃないかしら」", | |||
"201026311_60": "「カラオケボックスとかかな?」", | |||
"201026311_61": "「アタシは――」", | |||
"201026311_62": "「それだと普段の遊びとあんまり変わらないだろ」", | |||
"201026311_63": "「確かに、せっかくの暁の誕生日だからな。\\n 何か特別なことをしてやりたい」", | |||
"201026311_64": "「特別……」", | |||
"201026311_65": "「アリーナをまるごと押さえるという手もあるわね」", | |||
"201026311_66": "「あ、アリーナデスかッ!?」", | |||
"201026311_67": "「わたしと翼のつてを駆使すれば可能よ」", | |||
"201026311_68": "「さすがはマリアと翼さん、スケールが大きい……」", | |||
"201026311_69": "「アリーナのど真ん中でシート敷いてピクニックか?\\n シュールすぎるだろ」", | |||
"201026311_70": "「そ、そうデスッ!\\n そんな大袈裟な――」", | |||
"201026311_71": "「やっぱり切ちゃんは、空の下が似合う。\\n 確率が高いって言っても、雨と決まったわけじゃないし」", | |||
"201026311_72": "「確かに、晴れることに賭けるというのも、\\n 1つの手ではあるわね」", | |||
"201026311_73": "「わたしの拳で、雨雲を吹き飛ばしましょうか?」", | |||
"201026311_74": "「バカッ!\\n あたしらの都合で天気を変えるなんて、勝手すぎんだろッ!」", | |||
"201026311_75": "「――ッ!」", | |||
"201026311_76": "「街中に、大量のてるてる坊主を吊って回りましょうか?」", | |||
"201026311_77": "「てるてるッ!?」", | |||
"201026311_78": "「冗談はさておき、予定を天に委ねるというのも面白くないな。\\n 春雨前線の範囲外まで移動するか……となると、海外か……」", | |||
"201026311_79": "(どこまでが冗談か分からなくなってきたデス。\\n アタシはみんなが一緒なら、別になんでも……)", | |||
"201026311_80": "「<size=25>あ、あの、みんな。\\n なんだったら、日にちをずらしても……</size>」", | |||
"201026311_81": "「そういえば翼さんもマリアさんも、\\n 最近は忙しいんですよね?」", | |||
"201026311_82": "「ええ。でも、切歌の誕生日だけは予定を空けておいたわ」", | |||
"201026311_83": "「随分と前からスケジュールの調整を、\\n 緒川さんに頼んでいたからな」", | |||
"201026311_84": "(う……ッ! 日にちをずらしてくれてもいいデス、\\n とは言いづらくなったデス……ッ!)", | |||
"201026311_85": "「――ねぇ、みんな。ちょっと調べてみたんだけど、\\n こういうところはどうかな?」", | |||
"201026311_86": "「お? わざわざネットで調べてくれたのか?」", | |||
"201026311_87": "「ここは……自然公園?\\n あ、この公園の広場、大きな屋根がある」", | |||
"201026311_88": "「この公園だったら外で遊べるし、もし雨が降っても、\\n 屋根の下でピクニックが続けられるでしょ?」", | |||
"201026311_89": "「さすがは未来ッ!\\n これならばっちり解決だよッ!」", | |||
"201026311_90": "「仮に少しばかりの通り雨に見舞われたとて、それもまた風流。\\n 一挙両得の隙の無い策だな」", | |||
"201026311_91": "「他の利用者も少ないでしょうから、のんびり過ごせそうね」", | |||
"201026311_92": "「すごくいいアイデアだと思います」", | |||
"201026311_93": "(確かに、これならもうみんなを悩ませずに済むのデス)", | |||
"201026311_94": "「切歌ちゃんはどう?\\n 興味ある?」", | |||
"201026311_95": "「はいッ!\\n みんなでピクニック、とっても楽しそうデスッ!」", | |||
"201026311_96": "「フフ、気に入ってもらえてよかった」", | |||
"201026311_97": "「今からワクワクが止まらないデス♪」", | |||
"201026311_98": "「多少の雨ならどうにかなる。\\n ……確かにそれはそうだけれど」", | |||
"201026311_99": "「外、すっごい雨ですね……」", | |||
"201026311_100": "「よもや、このような豪雨に見舞われようとはな……」", | |||
"201026311_101": "「これじゃあ、傘をさした途端、風で飛ばされちゃうよ」", | |||
"201026311_102": "「晴れ間を信じて集まってはみたが、こりゃ賭けが外れたか……。\\n 横風が強すぎて、ピクニックどころじゃないな」", | |||
"201026311_103": "「アハハ……しょうがないデスよ。\\n 天気ばっかりは、どうしようもないデスし……」", | |||
"201026311_104": "「切ちゃん……みんなとのピクニック、\\n あんなに楽しみにしてたのに……」", | |||
"201026311_105": "「とはいえ、さすがにこの天候ではな……。\\n 口惜しいが、大人しく帰るしかあるまい」", | |||
"201026311_106": "「……はい。みんな、今日はアタシのために集まってくれて\\n ありがとうデス。アタシなら大丈夫デスから」", | |||
"201026311_107": "「どうにかしてあげたい……。\\n でも、できることがなにも見つからない……」", | |||
"201026311_108": "「クソッ、誕生日に後輩をしょげた顔で帰らせるなんて……ッ!」", | |||
"201026311_109": "「そんなことないデスよ。\\n 無理に出掛けて、みんながびしょ濡れになる方が心配デスッ!」", | |||
"201026311_110": "「みんな、遅れてごめん」", | |||
"201026311_111": "「あ、未来。珍しいね、遅れるなんて」", | |||
"201026311_112": "「未来さん……ごめんなさい、せっかく来てもらったのに、\\n もう帰るところなのデス……」", | |||
"201026311_113": "「あいにく、この悪天候だからな。やむを得ないという判断だ」", | |||
"201026311_114": "「諦めるのはまだ早いですよ。こうなるんじゃないかと思って、\\n これを用意してきたんですから」", | |||
"201026311_115": "「これ、って……その大きな包み?\\n もしかして、切歌ちゃんへのプレゼント?」", | |||
"201026311_116": "「うん。さっそく着てみてよ。\\n それから一緒に、外に行こうッ!」", | |||
"201026311_117": "「着るっていうことは、お洋服デスか? 嬉しいデスけど、\\n 外に出たらせっかくのプレゼントが濡れちゃうデスよ……?」", | |||
"201026311_118": "「半分正解で、半分外れ。\\n 確かにプレゼントだけど、これは濡れるからこそ意味があるの」", | |||
"201026311_119": "「へ? 濡れることに意味がある……デスか?」", | |||
"201026311_120": "「わたしが持ってきたのは……これッ!", | |||
"201026311_121": " じゃじゃーんッ!」", | |||
"201026311_122": "「これは……レインコート?」", | |||
"201026311_123": "「1、2、3……人数分あるみたい」", | |||
"201026311_124": "「これがあれば、雨なんて関係ないでしょ?\\n みんなで思いっきり、雨の中で遊ぼうよッ!」", | |||
"201026311_125": "「なるほど……わたしたちは雨を避けることばかり\\n 考えていたけど、雨まで織り込み済みなら端から問題はない」", | |||
"201026311_126": "「自然に抗するのではなく、あえて自然と一体になる、\\n というわけか。見事だ、小日向」", | |||
"201026311_127": "「水遊びだと思えば、いくら土砂降りだろうが関係ないしな。\\n 湿っぽくなるくらいだったら、ずぶ濡れ上等だッ!」", | |||
"201026311_128": "「遊んでるうちに晴れたら、ピクニックだってできるもんねッ!\\n さっすが未来だッ!」", | |||
"201026311_129": "「切歌ちゃん。少し予定は変わっちゃったけど、どうかな?\\n わたしたちからのプレゼント、受け取ってもらえる?」", | |||
"201026311_130": "「未来さん、みんな……」", | |||
"201026311_131": "「もちろんデスッ!\\n 雨なんて気にせず、みんなで遊ぶデスッ!」", | |||
"201026311_132": "「アハハハッ!\\n 雨に濡れながら遊ぶなんて、初めてデースッ!」", | |||
"201026311_133": "「冷たいけど、気持ちいいね」", | |||
"201026311_134": "「はいデスッ!\\n 映画のワンシーンみたいで楽しいデスッ!」", | |||
"201026311_135": "「雨を手の平にためてー……水鉄砲デスッ!」", | |||
"201026311_136": "「うおッ、やりやがったなッ!」", | |||
"201026311_137": "「水鉄砲とはいえ、あたしに銃で挑もうとはいい度胸だ。\\n くらえ、水の散弾だッ!」", | |||
"201026311_138": "「うひゃあ、よけきれないデースッ!\\n アハハハ、次は翼さんデースッ!」", | |||
"201026311_139": "「目を凝らせば、水のつぶてくらい避けられぬ道理はない。\\n ……って、冷たッ!? 後ろからだとッ!?」", | |||
"201026311_140": "「雨で注意が散漫になったのかしら?\\n 脇が甘いわよ。……ひゃッ!?」", | |||
"201026311_141": "「脇が甘いのは、マリアも同じ」", | |||
"201026311_142": "「おーーーッ!\\n 調がマリアから一本取ったデースッ!」", | |||
"201026311_143": "「あッ、見て見てッ! だんだん雨が弱くなってきたよッ!\\n もうすぐ晴れるかもッ!」", | |||
"201026311_144": "「そしたら、みんなでお弁当も食べられるデースッ!」", | |||
"201026311_145": "「フフ、切歌ちゃんがお誕生日に悲しい顔しなくて済んで、\\n ほんとによかったよ」", | |||
"201026311_146": "「それもこれも、未来さんがみんなのレインコートを\\n 用意してくれたからデスッ! 本当にありがとうデスッ!」", | |||
"201026311_147": "「どういたしまして。切歌ちゃんはいつも明るく笑っていて、\\n みんなを明るい気分にさせてくれるもの」", | |||
"201026311_148": "「そんな切歌ちゃんの誕生日に笑顔がないなんて、\\n 悲しいもんね」", | |||
"201026311_149": "「エヘヘ~、なんだか照れちゃうデース」", | |||
"201026311_150": "「……ほんとを言うとアタシ、みんながアタシのために\\n 悩んでるのが申し訳なかったデス」", | |||
"201026311_151": "「だから、未来さんがアタシにプレゼントしてくれたのは、\\n みんなの笑顔なのデスッ!」", | |||
"201026311_152": "「それじゃあこれは、みんなから切歌ちゃんへの、\\n 笑顔のお返しだね」", | |||
"201026311_153": "「はいデスッ! 今日みんなにもらった笑顔を、\\n これからもみんなにお返ししていくデスよッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,122 @@ | |||
{ | |||
"201026411_0": "代理決闘", | |||
"201026411_1": "「……始めッ!」", | |||
"201026411_2": "「<size=40>イーシムなんてーやっつけろーッ!</size>」", | |||
"201026411_3": "「<size=40>世界を護るー装者たちーッ!</size>」", | |||
"201026411_4": "「未来くん、遅れているぞッ!\\n 皆と走る速度を合わせるんだッ!」", | |||
"201026411_5": "「す、すみませんッ!」", | |||
"201026411_6": "「<size=25>……な、なんデスこの歌……?</size>」", | |||
"201026411_7": "「<size=25>さぁ……</size>」", | |||
"201026411_8": "「真髄に触れたくば、映画を観ろッ!\\n ランニングはミリタリーケイデンスと共にあるッ!」", | |||
"201026411_9": "「はい師匠ッ!!」", | |||
"201026411_10": "「いい返事だッ!\\n 気迫が伝わってくるぞッ!」", | |||
"201026411_11": "「師匠との修行、久しぶりですからッ!\\n 少しは成長したとこ、見せたいんですッ!」", | |||
"201026411_12": "「その意気やよしッ!\\n ならば追加で50周ッ!」", | |||
"201026411_13": "「新たな危機に備え、\\n 改めて基礎を鍛え直すんだッ!」", | |||
"201026411_14": "「うおおおッ!\\n 燃えてきましたッ!!」", | |||
"201026411_15": "「ぜぇ……はぁ……その熱血に……ッ!\\n あ、あたしを……巻き込むな……ッ!」", | |||
"201026411_16": "「そう言うな。\\n 以前のように、別世界で遭難しないとも限らない」", | |||
"201026411_17": "「そんな時にものを言うのが、日頃の鍛錬ね。\\n だからしっかり鍛えておかないと」", | |||
"201026411_18": "「そ、そうは言っても……ッ!」", | |||
"201026411_19": "「――フン、くだらん。実に生ぬるい。\\n こんなものは鍛錬とは呼ばない」", | |||
"201026411_20": "「――ッ!\\n あなたは、明日香ちゃんのお師範の……ッ!」", | |||
"201026411_21": "「お前たちは続けていてくれ」", | |||
"201026411_22": "「……何の用だ、茶蔵」", | |||
"201026411_23": "「様子を見に来てみれば、\\n こんなお遊びに興じているとはな」", | |||
"201026411_24": "「師匠の修行はお遊びなんかじゃありませんッ!\\n わたしはこれで戦えるようになったんですからッ!」", | |||
"201026411_25": "「……そうか。\\n お前はこいつの弟子と言うわけか……」", | |||
"201026411_26": "「確かに、この前の戦闘で見せた拳捌きは\\n 弦十郎のそれと瓜二つだったな」", | |||
"201026411_27": "「えへへ、そうでしょうか……」", | |||
"201026411_28": "「その師匠は、俺が倒すがな」", | |||
"201026411_29": "「……ッ!」", | |||
"201026411_30": "「弦十郎ッ!\\n 今日こそ俺と決着をつけろッ!」", | |||
"201026411_31": "「断る」", | |||
"201026411_32": "「フン、弟子の前で負けるのが怖いか」", | |||
"201026411_33": "「そうではない。\\n お前と競う理由がないだけだ」", | |||
"201026411_34": "「……そうやって逃げるのも、\\n お前の好きな映画から教わったのか?」", | |||
"201026411_35": "「何……?」", | |||
"201026411_36": "「唄って走ったところで、強くなどなれんッ!\\n 漢ならッ! 強敵を求めて路上で決闘すべきだろうがッ!」", | |||
"201026411_37": "「それはお前の好きな格闘ゲームの影響だろうッ!\\n 否定はせんが、映画は大事なことを教えてくれるッ!」", | |||
"201026411_38": "「し、師匠落ち着いてくださいッ! 好きなものを\\n 悪く言われる気持ちは分かりますけど……どうどうッ!」", | |||
"201026411_39": "「いいや、下がっていてくれ。\\n 映画を馬鹿にされて黙っていられるほど大人ではないッ!」", | |||
"201026411_40": "「そうやって能書きを垂れるのも悪い癖だ。\\n 相手の考えなんてどうだっていいんだよ」", | |||
"201026411_41": "「お前はゲームのムービーや\\n ストーリーモードを飛ばし過ぎだ」", | |||
"201026411_42": "「少しは物語や情緒を学べッ!\\n 敵を理解することで勝てる戦いもあるッ!」", | |||
"201026411_43": "「倒す敵の理解など不要ッ!\\n 1フレームで撃ち込めば、出方を見てからでも余裕だッ!」", | |||
"201026411_44": "「……分かり合えないようだな」", | |||
"201026411_45": "「分かっているだろうッ!\\n 俺たちは拳で決着をつけるしかないとッ!」", | |||
"201026411_46": "「ちょ、ちょっとちょっとッ!\\n そんなことで喧嘩するのは大人気なさすぎますッ!」", | |||
"201026411_47": "「何……?」", | |||
"201026411_48": "「ゲームも映画も、素敵な文化ですよッ!\\n 争う必要なんてありませんッ!」", | |||
"201026411_49": "「師の喧嘩に口を挟むとは……面白い」", | |||
"201026411_50": "「であれば、代わりに弟子のお前が戦えッ!」", | |||
"201026411_51": "「わ、わたしッ!?」", | |||
"201026411_52": "「こちらは明日香を出すッ!\\n それで問題ないだろうッ!!」", | |||
"201026411_53": "「いやその、問題って言われても……\\n こういうのってダメですよね? 師匠」", | |||
"201026411_54": "「……なるほど、いい機会かもしれないな。\\n 響くん、実戦訓練だッ!」", | |||
"201026411_55": "「えぇええッ!?」", | |||
"201026411_56": "「――今日はよろしくお願いしますッ!」", | |||
"201026411_57": "「う、うんッ!」", | |||
"201026411_58": "「響先輩に胸を貸していただけるなんて、\\n 光栄ですッ! 全力で頑張りますともッ!!」", | |||
"201026411_59": "「ア、アハハ……よろしくね」", | |||
"201026411_60": "「あの様子じゃ何も聞かされてなさそうだな」", | |||
"201026411_61": "「うーん……\\n こんなことして意味あるのかな……」", | |||
"201026411_62": "「――意味ならあるさ」", | |||
"201026411_63": "「師匠……ッ!」", | |||
"201026411_64": "「誰かと切磋琢磨するのは\\n 1人で修行するより何倍も効果がある」", | |||
"201026411_65": "「ましてやそれが、未知の相手なら……。\\n 故に力を出し惜しむなッ! いいなッ!」", | |||
"201026411_66": "「……ッ!\\n 頑張りますッ!!」", | |||
"201026411_67": "「……両者、早く準備をしろ」", | |||
"201026411_68": "「いざ、尋常に――」", | |||
"201026411_69": "「勝負ッ!!」", | |||
"201026411_70": "「はぁぁぁぁッ!\\n ヒーローキィィックッ!!」", | |||
"201026411_71": "「う……ッ!!」", | |||
"201026411_72": "「いきなりぶっ放したッ!?」", | |||
"201026411_73": "「響先輩は、憧れの戦士……ッ!」", | |||
"201026411_74": "「だからこそ、全力でぶつかって、\\n 自分の実力を知りたいんですッ!!」", | |||
"201026411_75": "「……ッ!\\n 分かったよ、明日香ちゃんの気持ちッ!」", | |||
"201026411_76": "「なら、わたしも全力でぇぇぇぇッ!!」", | |||
"201026411_77": "「いいぞ明日香ッ!\\n そのまま壁際まで追い詰めろッ!」", | |||
"201026411_78": "「了解ですッ! 師範ッ!!\\n でも、壁なんてないですけど……」", | |||
"201026411_79": "「響くんッ! \\n 相手に流されるなッ!!」", | |||
"201026411_80": "「はい、師匠ッ!」", | |||
"201026411_81": "「とりゃああッ!!」", | |||
"201026411_82": "「まだまだあああッ!!」", | |||
"201026411_83": "「……」", | |||
"201026411_84": "「……」", | |||
"201026411_85": "「せええええいッ!」", | |||
"201026411_86": "「これならあああッ!!」", | |||
"201026411_87": "「……クソ、俺なら下段からのコンボでKOできるのに」", | |||
"201026411_88": "「……むぅ、苦戦しているようだな」", | |||
"201026411_89": "「うひゃあ……ッ! 今のは重かったよッ!\\n さすがだね、明日香ちゃんッ!」", | |||
"201026411_90": "「響先輩に褒めてもらえて光栄ですッ!」", | |||
"201026411_91": "「ええいッ! トレーニングモードじゃないんだぞッ!\\n 何を馴れ合っているッ!」", | |||
"201026411_92": "「――明日香ッ! 相手の攻撃に合わせて\\n 空ジャン飛び蹴りでめくれッ!」", | |||
"201026411_93": "「めく……えッ!?」", | |||
"201026411_94": "「ならば響くん、ワイヤーアクションだッ!\\n 相手より高く飛んでかかと落としッ!」", | |||
"201026411_95": "「えぇッ!? そ、そんなの\\n ワイヤーがないと無理ですよッ!」", | |||
"201026411_96": "「――しめたッ! 相手の手が止まったッ!\\n 今こそスパキャンで超必を決めろッ!」", | |||
"201026411_97": "「こちらも負けてられるかッ!」", | |||
"201026411_98": "「空中でヘリコプターみたいに\\n 回転しながらキックを――」", | |||
"201026411_99": "「地面を蹴って衝撃波を――」", | |||
"201026411_100": "「<size=40>そんなのできませんーッ!!</size>」", | |||
"201026411_101": "「あーあ、大人しく見守っときゃいいものを……」", | |||
"201026411_102": "「……むぅ。やはり、優劣を決めるのは\\n 自らの拳でないとかッ!」", | |||
"201026411_103": "「弦十郎ッ! 今こそ決着を――」", | |||
"201026411_104": "「風鳴司令、お時間です」", | |||
"201026411_105": "「――あぁ、すまない」", | |||
"201026411_106": "「な――ッ!?\\n またしても、黒塗りの車……ッ!」", | |||
"201026411_107": "「悪いが決着はまたの機会としよう」", | |||
"201026411_108": "「ま、待て……ッ!", | |||
"201026411_109": " 話はまだ終わってないぞ……ッ!」", | |||
"201026411_110": "「……あれ、どっちが勝ったんデス? これ」", | |||
"201026411_111": "「引き分け……に、なるのかな」", | |||
"201026411_112": "「結局なんだったんだ、これ……」", | |||
"201026411_113": "「大人の意地の張り合いに巻き込まれた被害者2人……\\n ってところかしら」", | |||
"201026411_114": "「……いや、案外そうでもないらしい」", | |||
"201026411_115": "「やっぱり響先輩ッ! 最高ですッ!!」", | |||
"201026411_116": "「あの手の甲を打ち出す技ッ!\\n ぜひ教えてほしいですッ!!」", | |||
"201026411_117": "「明日香ちゃんこそッ!\\n 生ヒーローキックの威力、すごかったよッ!」", | |||
"201026411_118": "「互いに認め合い、切磋琢磨している。\\n 司令の言う通り無駄ではなかったようだ」", | |||
"201026411_119": "「……やれやれ。\\n おっさんたちにもぜひ、実践してほしいもんだな」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,116 @@ | |||
{ | |||
"201026511_0": "翼のバースデー2022", | |||
"201026511_1": "「今回の定期報告は、少し時期がずれちゃったけど……、\\n 姉さんたち、どこにいるかな?」", | |||
"201026511_2": "(あ、いたッ!)", | |||
"201026511_3": "「マリア姉さん――」", | |||
"201026511_4": "「セレナッ!?\\n 何かあったの?」", | |||
"201026511_5": "「ううん。\\n いつもの定期報告に来ただけ」", | |||
"201026511_6": "「マムの都合があって、\\n 予定を前倒しにしてもらったらしくて」", | |||
"201026511_7": "「そう。ならよかったけど……」", | |||
"201026511_8": "「皆さんこそ、何かあったんですか?\\n あまり和やかな雰囲気ではありませんでしたけど……」", | |||
"201026511_9": "「…………」", | |||
"201026511_10": "「実はね……明日、翼さんの誕生日なの。\\n それで、お店を予約してたんだけど……」", | |||
"201026511_11": "「朝から任務が入っちまったんだと。\\n ったく、そんな日くらい休ませてやれっての」", | |||
"201026511_12": "「雪音、気持ちはありがたいが、\\n わたしの誕生日などより、任務が優先なのは当然だ」", | |||
"201026511_13": "「ただ、皆が懸命にしてくれた準備を、\\n 無駄にしてしまうことは、忍びなく感じている」", | |||
"201026511_14": "「いえ、翼さんが気にすることじゃありませんよ」", | |||
"201026511_15": "「当日は無理でもッ!\\n お誕生日会は逃げたりしませんからッ!」", | |||
"201026511_16": "(……立花さん、お手紙を隠した?)", | |||
"201026511_17": "(『お誕生日会の招待状』……)", | |||
"201026511_18": "「……あ、あのッ!\\n お仕事は、いつ終わるんですか?」", | |||
"201026511_19": "「はっきりとは言えないが、恐らく夜になるだろう」", | |||
"201026511_20": "「なら、その後でお家パーティはどうでしょう?」", | |||
"201026511_21": "「――風鳴さんのお部屋でッ!!!」", | |||
"201026511_22": "(……ッ!?)", | |||
"201026511_23": "「皆さんがお仕事に行っている間に、\\n わたしが風鳴さんのお部屋にお邪魔して準備をしますッ!」", | |||
"201026511_24": "「それなら、明日のうちにお誕生日会できますよッ!」", | |||
"201026511_25": "「な……なるほど……」", | |||
"201026511_26": "「<size=25>そっか……セレナちゃんは見たことないから……</size>」", | |||
"201026511_27": "「<size=25>ありゃあ、人を呼んでいい場所じゃないんだが……</size>」", | |||
"201026511_28": "「もちろん、風鳴さんが良ければですけど……。", | |||
"201026511_29": " でも、大人な風鳴さんの部屋は、きっと素敵なんだろうなぁ……」", | |||
"201026511_30": "「ち、ちなみにセレナは、\\n どんな部屋を想像しているのかしら?」", | |||
"201026511_31": "「凛とした空気感をかもしだす無駄のない落ち着いた装飾で、\\n <ruby=わ>侘</ruby>び<ruby=さ>寂</ruby>びや、風流を感じる洗練されたお部屋……かなぁ?」", | |||
"201026511_32": "「――ッ!」", | |||
"201026511_33": "「大丈夫ですよッ!」", | |||
"201026511_34": "「明日だけは、可愛く飾り付けますけど、\\n きちんと元に戻しますからッ!」", | |||
"201026511_35": "「<size=25>写真に撮っておかないと、元に戻すのは\\n 翼さんにも不可能デース</size>」", | |||
"201026511_36": "「<size=25>うん……2万ピースくらいの、\\n 真っ白なジグソーパズル並みの難易度……</size>」", | |||
"201026511_37": "「い……いや、わたしの部屋は、その理想には\\n 程遠いので――」", | |||
"201026511_38": "「そんな風に謙遜をする風鳴さんも素敵です」", | |||
"201026511_39": "「うぐ……ッ!!」", | |||
"201026511_40": "「マムから許可はもらってくるので、わたしにもぜひ、\\n お誕生日を、お祝いさせてくださいッ!!」", | |||
"201026511_41": "「……わ、分かった……」", | |||
"201026511_42": "「フ……フフフ……ずいぶんと可愛らしい剣ね」", | |||
"201026511_43": "「笑うな……」", | |||
"201026511_44": "「<size=25>……でも、本当に大丈夫なの?</size>」", | |||
"201026511_45": "「<size=25>あんな純真な瞳を向けられて、断れる訳がない</size>」", | |||
"201026511_46": "「<size=25>……それにだ。片付けとは要するに、元ある場所に\\n 収納すればいいのだろう? ならば――</size>」", | |||
"201026511_47": "「決戦は今夜……ッ!」", | |||
"201026511_48": "「……?」", | |||
"201026511_49": "(……それができないから、\\n 翼の部屋は、あの惨状に見舞われているのだけど……)", | |||
"201026511_50": "翌日、任務終了後――", | |||
"201026511_51": "「昨夜は遅くまで、部屋の片付けに邁進してみたものの……」", | |||
"201026511_52": "(あれで、大丈夫だろうか。今頃、彼女の理想が崩壊し、\\n 呆れ果てているんじゃ……)", | |||
"201026511_53": "「いや、ここでウジウジと悔やんでいても仕方がない。\\n 早く帰ろう……」", | |||
"201026511_54": "「ただいま――」", | |||
"201026511_55": "「――お帰りなさいッ!」", | |||
"201026511_56": "「……ッ!」", | |||
"201026511_57": "「見てください、風鳴さんッ!!\\n お部屋、すっごくキラキラになりましたッ!!」", | |||
"201026511_58": "「おぉ……これは……\\n とても、わたしの部屋とは思えない……」", | |||
"201026511_59": "「エヘヘ、セレナちゃん、\\n すっごくすっごく頑張ってくれたんですよ?」", | |||
"201026511_60": "「ま……悪くないよな」", | |||
"201026511_61": "「そうか……ありがとう」", | |||
"201026511_62": "(……どうやら、杞憂だったようだな)", | |||
"201026511_63": "「じゃあ、そろそろ始めるわね。\\n セレナ、ケーキの準備をお願い」", | |||
"201026511_64": "「うんッ!」", | |||
"201026511_65": "「皆さん、お待たせしま――」", | |||
"201026511_66": "『ミシィ……ッ!』", | |||
"201026511_67": "「――えッ!?\\n 今、何か変な音が……」", | |||
"201026511_68": "「――ッ!!!」", | |||
"201026511_69": "(マズいッ! クローゼットの扉がッ!!)", | |||
"201026511_70": "「間に合え――――ッ!!」", | |||
"201026511_71": "「きゃッ!!」", | |||
"201026511_72": "「……あちゃー」", | |||
"201026511_73": "「えっと……これ、お洋服に……し、下着……?」", | |||
"201026511_74": "「――洗いたてだッ!\\n ゆえに、き……汚くはないッ!」", | |||
"201026511_75": "「え……?」", | |||
"201026511_76": "「じ……常在戦場ッ! いつ、いかなる状況でも、\\n 素早く着替えられるよう、常に床に置いているのだッ!」", | |||
"201026511_77": "「仕舞ってありましたけど……?」", | |||
"201026511_78": "「ぬぐッ!」", | |||
"201026511_79": "「あーあーッ! あのねセレナッ!\\n 彼女はアーティストだから、とっても忙しいの」", | |||
"201026511_80": "「だから……その……、\\n 片付けをする時間も、あまり取れないというか……」", | |||
"201026511_81": "「そ、そうデスッ!\\n そのパンツは、非常食みたいなものデースッ!」", | |||
"201026511_82": "「……?」", | |||
"201026511_83": "「切ちゃん、余計にややこしくなってる」", | |||
"201026511_84": "「つまりその、翼さんは最高なんですッ!\\n ねッ!」", | |||
"201026511_85": "「響、言い訳するなら、\\n せめて訳を言おうよ……」", | |||
"201026511_86": "「ったく、どーすんだこの空気」", | |||
"201026511_87": "「え、えーっと……?」", | |||
"201026511_88": "「……ッ!\\n いや、あの……その、だな……」", | |||
"201026511_89": "(どうしたらいい、どう、したら――)", | |||
"201026511_90": "(……いや、こんな純真な瞳に、これ以上嘘を重ねてどうする。\\n 言い訳など、防人の名折れ……ッ!)", | |||
"201026511_91": "「……よく聞いてくれ」", | |||
"201026511_92": "「わたしはその……実は、片付けができない」", | |||
"201026511_93": "「え……?」", | |||
"201026511_94": "「昨晩、クローゼットに無理やり詰め込んだはいいものの……\\n 結果はごらんの有様」", | |||
"201026511_95": "「――夢を壊してしまって、すまない」", | |||
"201026511_96": "「ち、違いますッ! わたしが勝手なイメージを\\n 押し付けて、強引にお願いして――」", | |||
"201026511_97": "「風鳴さんのお誕生日なのに……。ごめんなさいッ!\\n 謝らなければいけないのは、わたしの方ですッ!」", | |||
"201026511_98": "「皆さんも……振り回しちゃいましたよね?」", | |||
"201026511_99": "「謝らないでくれ。\\n 憧れを持ってくれた、その気持ちは嬉しかったんだ」", | |||
"201026511_100": "「翼も女の子だもの。\\n 理想でも、よく見られたいって気持ちはあるのよ」", | |||
"201026511_101": "「……」", | |||
"201026511_102": "「風鳴さん……マリア姉さん……\\n あの、変に思うかもしれないんですけど……」", | |||
"201026511_103": "「わたし……その話が聞けて、とっても嬉しかったです」", | |||
"201026511_104": "「……?\\n そうなのか?」", | |||
"201026511_105": "「だって風鳴さんの秘密、知ることができましたし……」", | |||
"201026511_106": "「それに、そんな言いづらいことを\\n きちんと喋ってくれる風鳴さんは……」", | |||
"201026511_107": "「やっぱり――……最高に素敵ですッ!」", | |||
"201026511_108": "「……よせ。\\n 顔が熱くなる」", | |||
"201026511_109": "「……フフ、仕切り直しってところかしら?」", | |||
"201026511_110": "「うんッ!」", | |||
"201026511_111": "「じゃあ、あらためて……、\\n 風鳴さん。お誕生日、おめでとうございますッ!」", | |||
"201026511_112": "「<size=40>おめでとうございますッ!!</size>」", | |||
"201026511_113": "「あ……あぁ。\\n 皆も……ありがとうッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,111 @@ | |||
{ | |||
"201026611_0": "ぽかぽかおふろ", | |||
"201026611_1": "「――梨璃ちゃんッ!\\n せーのでいくよッ!」", | |||
"201026611_2": "「はい!」", | |||
"201026611_3": "「はぁああああ――!!」", | |||
"201026611_4": "「やりましたね、響さん!」", | |||
"201026611_5": "「――ッ!\\n 待って、まだ後ろにッ!」", | |||
"201026611_6": "「え――」", | |||
"201026611_7": "「きゃああああ!!」", | |||
"201026611_8": "「……翼さんたち、遅いデス」", | |||
"201026611_9": "「ヒュージ殲滅は各展開区域で確認済みですわ。\\n 慌てなくても、もうじき――」", | |||
"201026611_10": "「すまない、合流が遅れた」", | |||
"201026611_11": "「ほら」", | |||
"201026611_12": "「遅くなって悪かったわ」", | |||
"201026611_13": "「この辺りの地理を頭に入れておきたくて、\\n 道すがら、案内を頼んでいたの」", | |||
"201026611_14": "「もしかして、うまいもん探してたデス?」", | |||
"201026611_15": "「うまいもん……についてはよく知りませんが、\\n 夢結様の目的は恐らくそれとは別……」", | |||
"201026611_16": "「長期滞在を視野に入れた、この世界で\\n 戦い続けるための下準備……そうでしょう?」", | |||
"201026611_17": "「あぁ、白井の勤勉さには感心するばかりだ」", | |||
"201026611_18": "「お勉強は偉いと思うデスッ!」", | |||
"201026611_19": "「フフフ……では揃ったことですし、\\n そろそろ帰りましょうか」", | |||
"201026611_20": "「……待って、梨璃は?」", | |||
"201026611_21": "「立花も戻っていないようだが」", | |||
"201026611_22": "「あ、2人は大変なことになっちゃってたので――」", | |||
"201026611_23": "「響さんのお部屋に向かわれましたわ」", | |||
"201026611_24": "「立花が……ッ!?」", | |||
"201026611_25": "「……梨璃!」", | |||
"201026611_26": "「2人は先に戻っていてくれッ!」", | |||
"201026611_27": "「……行っちゃったデス」", | |||
"201026611_28": "「今のは、ちびっこの言い方が\\n 紛らわしかったと思いますわよ?」", | |||
"201026611_29": "「へ? 2人がずぶ濡れになっちゃったから、\\n 『大変なことになった』って言ったんデスけど……」", | |||
"201026611_30": "「ん~……」", | |||
"201026611_31": "「はぁ~……」", | |||
"201026611_32": "「あったまるぅ……」", | |||
"201026611_33": "「あの、ありがとうございます。\\n 着替えだけじゃなく、お風呂まで……」", | |||
"201026611_34": "「困ったときはお互い様だよ」", | |||
"201026611_35": "「梨璃ちゃんこそ大丈夫?\\n いつもの勢いで、一緒に入っちゃったけど」", | |||
"201026611_36": "「いえいえ、普段はもっと大人数で入ってますし」", | |||
"201026611_37": "「ならよかった。あのまま濡れっぱなしじゃ、\\n 2人とも風邪引いちゃってたもんね」", | |||
"201026611_38": "「そうですね。まさかヒュージに突き飛ばされて、\\n 川に落っこちるなんて……」", | |||
"201026611_39": "「本当本当、おまけに泥だらけでさ。\\n でも、梨璃ちゃんが無事でよかった」", | |||
"201026611_40": "「はい、響さんに護っていただいたおかげです!」", | |||
"201026611_41": "「……」", | |||
"201026611_42": "「どうしました?」", | |||
"201026611_43": "「こうして2人きりでゆっくりするの、初めてだなって」", | |||
"201026611_44": "「前にお会いした時は、色々とあっという間でしたしね」", | |||
"201026611_45": "「うん。だからこうして再会できて、\\n お話しできて、すっごく嬉しいんだ」", | |||
"201026611_46": "「……! わたしも!\\n お話ししたいこと、たくさんあったんです!」", | |||
"201026611_47": "「同じ名前の装備のこととか、\\n 装者になったきっかけとか……」", | |||
"201026611_48": "「好きな食べ物とか、\\n 好きな音楽とか、お休みの過ごし方とか!」", | |||
"201026611_49": "「これだけ一緒に戦っているのに、\\n 皆さんのこと、まだあまり知らないというか――」", | |||
"201026611_50": "「わたし、響さんと……装者の皆さんと、\\n もっと仲良くなりたいんです!」", | |||
"201026611_51": "「フッフッフ、そういうことなら、\\n この際全部話しちゃおうッ!」", | |||
"201026611_52": "「いいですね!\\n いっぱい語りましょう!」", | |||
"201026611_53": "「ねぇねぇ、梨璃ちゃんと夢結さんって\\n 疑似的な姉妹なんだよね?」", | |||
"201026611_54": "「はい、シュッツエンゲルの契りを交わしていますから」", | |||
"201026611_55": "「それってどんな気分なの?」", | |||
"201026611_56": "「それはもう……この上ない幸せです!」", | |||
"201026611_57": "「優しくて頼れる、憧れのお姉様が、\\n わたしを見守ってくれるなんて……」", | |||
"201026611_58": "「そっか……わたしにとっての\\n 翼さんみたいなものなのかな」", | |||
"201026611_59": "「確かに……お姉様に似て、キレイでかっこいい、\\n まさに先輩って感じのお方ですよね」", | |||
"201026611_60": "「それにあの歌声……戦闘中なのに、\\n 思わず聴き入ってしまいました」", | |||
"201026611_61": "「フフーン、なんてったって翼さんは、\\n 世界的なトップアーティストだからね」", | |||
"201026611_62": "「えぇ!? ってことは芸能人!?\\n すごすぎます……!」", | |||
"201026611_63": "「えっへん、もっと褒めてもいいんだよ」", | |||
"201026611_64": "「フフ……響さん、\\n まるで自分のことみたいに自慢してますね」", | |||
"201026611_65": "「エヘヘ、バレちゃいました?」", | |||
"201026611_66": "「その気持ち、すごく分かります」", | |||
"201026611_67": "「わたしもお姉様の話をする時は、\\n いつも誇らしいなって気持ちでいっぱいですし」", | |||
"201026611_68": "「じゃあわたしたち、ちょっと似た者同士だね」", | |||
"201026611_69": "「はい、ちょっと似た者同士です」", | |||
"201026611_70": "「……開いている」", | |||
"201026611_71": "「構わないわ、緊急事態よ……!」", | |||
"201026611_72": "「――ん?\\n なんか話し声が聞こえるような……」", | |||
"201026611_73": "「それにこれ、足音――」", | |||
"201026611_74": "「立花ッ!」", | |||
"201026611_75": "「梨璃……!」", | |||
"201026611_76": "「ひゃあああああッ!?\\n 翼さんッ!?」", | |||
"201026611_77": "「お、お姉様!?」", | |||
"201026611_78": "「……あなたたち、\\n 一体何をしているのかしら?」", | |||
"201026611_79": "「な、なんでちょっと怒って……\\n というかどうやって入ったんですかッ!?」", | |||
"201026611_80": "「鍵がかかっていなかったぞ」", | |||
"201026611_81": "「あー……。\\n バタバタしてたからつい……」", | |||
"201026611_82": "「わたしたち、びしょ濡れになっちゃったから、\\n お風呂に入ってただけなんですけど……」", | |||
"201026611_83": "「……負傷はしていないの?\\n 他に何か、支障をきたしていることは?」", | |||
"201026611_84": "「えーっと、特には……。\\n ――ね?」", | |||
"201026611_85": "「は、はい」", | |||
"201026611_86": "「……はぁ。そう」", | |||
"201026611_87": "「……まったく、人騒がせな……」", | |||
"201026611_88": "「えっと……?」", | |||
"201026611_89": "「切歌さんに言われたの。\\n 2人に大変なことが起きたって」", | |||
"201026611_90": "「よく聞けば済む話だったのだが……\\n 無暗に事を荒立ててしまったようだな」", | |||
"201026611_91": "「……」", | |||
"201026611_92": "「話してた通りだね」", | |||
"201026611_93": "「ですね」", | |||
"201026611_94": "「……?」", | |||
"201026611_95": "「いえいえ、こっちの話です」", | |||
"201026611_96": "「さてと、心配かけちゃってたみたいだし、\\n そろそろ上がろっか」", | |||
"201026611_97": "「……あれ、ちょっとのぼせちゃったかな」", | |||
"201026611_98": "「え、大丈夫ですか?」", | |||
"201026611_99": "「平気だよ。このくらい……。\\n ととっとッ!?」", | |||
"201026611_100": "「そ、それシャワーの蛇口――」", | |||
"201026611_101": "「――あ」", | |||
"201026611_102": "「シャアアァァッ!!」", | |||
"201026611_103": "「きゃ……!」", | |||
"201026611_104": "「……ッ!」", | |||
"201026611_105": "「わ、わわ……!\\n お2人がびしょ濡れに……!」", | |||
"201026611_106": "「えっと、あのー……、\\n 一緒にお風呂入ります?」", | |||
"201026611_107": "「はあ、せっかくだからそうさせてもらうとしよう」", | |||
"201026611_108": "「いろいろと、想定外だわ……」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,129 @@ | |||
{ | |||
"201026711_0": "サマーシスターバケーション", | |||
"201026711_1": "「――静粛にッ!」", | |||
"201026711_2": "「えー……現在、エアーキャリアーが\\n どこに停泊しているかは分かるわね?」", | |||
"201026711_3": "「並行世界アルファトゥウェルブ、\\n メキシコ・カンクンでありますッ!」", | |||
"201026711_4": "「その通り。みんなには今から1週間、\\n カンクンに滞在してもらうことになるわ」 ", | |||
"201026711_5": "「けど、くれぐれもハメを外しすぎないこと」", | |||
"201026711_6": "「特殊部隊APPLEのメンバーとしての自覚を持って、\\n 常に節度を持った行動を心掛けるのよ」", | |||
"201026711_7": "「隊長、話長いっス。\\n 夏休み前の校長みたいっスよ」", | |||
"201026711_8": "「そこ、うるさいッ!」", | |||
"201026711_9": "「とにかくッ!\\n 夏季休暇だからって、たるんじゃダメよッ!」", | |||
"201026711_10": "「以上、解散ッ!」", | |||
"201026711_11": "「<size=40>うおおおおおおおおッ!!</size>」", | |||
"201026711_12": "「<size=40>夏休みだあああああッ!!!</size>」", | |||
"201026711_13": "「まったく……言ったそばからこれなんだから」", | |||
"201026711_14": "「姉さんだって、楽しみにしていたじゃないですか」", | |||
"201026711_15": "「え?」", | |||
"201026711_16": "「水着選びに3時間くらい\\n 付き合わされた覚えがあるんだけどなー」", | |||
"201026711_17": "「あ、あれは……。", | |||
"201026711_18": " そういう演技よッ!」", | |||
"201026711_19": "「ほら、わたしが率先して休まないと、\\n みんな休みづらいでしょ」", | |||
"201026711_20": "「フフ、そういうことにしておくね」", | |||
"201026711_21": "「だいたい、わたしだって心は大人なのよ。\\n たかがリゾートではしゃぐわけ――」", | |||
"201026711_22": "「すごいわッ! 見渡す限りの青い海ッ!\\n これがカンクンの実力……ッ!」", | |||
"201026711_23": "「ね、セレナもそう思うでしょ――」", | |||
"201026711_24": "「…………」", | |||
"201026711_25": "「……な、何よ。別にはしゃいでないわ。\\n 今のはただの感想よ」", | |||
"201026711_26": "(可愛い……)", | |||
"201026711_27": "「――コホン。\\n えっと……ひとまず泳ぐ?」", | |||
"201026711_28": "「うーん、それもいいけど……」", | |||
"201026711_29": "「……あれは、ビーチバー?」", | |||
"201026711_30": "「うん。普段は量を控えてるけど、\\n 休暇中くらいは思いっきり飲みたいなって」", | |||
"201026711_31": "「……分かったわ。わたしを連れてると入りにくいだろうし。\\n 1人でいってらっしゃい」", | |||
"201026711_32": "「いいの?」", | |||
"201026711_33": "「休暇なんだから、いいに決まってるでしょ。\\n でも、飲み過ぎちゃダメよ」", | |||
"201026711_34": "「うんッ!\\n ありがとう姉さん。それじゃあ、また後でね」", | |||
"201026711_35": "「……お酒って、そんなに美味しいのかな」", | |||
"201026711_36": "(セレナがいないのは、ちょっと寂しいけど――)", | |||
"201026711_37": "「まぁ、今はいいわッ! だって海がッ!\\n わたしを呼んでいるものッ!!」", | |||
"201026711_38": "「さーて、どう楽しもうかしら。\\n 日光浴もよし、波と戯れるもよし……」", | |||
"201026711_39": "「きゃッ!」", | |||
"201026711_40": "「ったく、前見て歩けよ」", | |||
"201026711_41": "「……あの、何か落としたみたいだけど?」", | |||
"201026711_42": "「――ッ!", | |||
"201026711_43": " よ、よこせ……ッ!」", | |||
"201026711_44": "「…………」", | |||
"201026711_45": "「……今の、まさか――」", | |||
"201026711_46": "「……姉さん、ちゃんと\\n 羽を伸ばせているかな」", | |||
"201026711_47": "(いつも、立場とか人目を気にして、\\n 頑張っているから……)", | |||
"201026711_48": "(今日は思いっきり楽しんでほしいな)", | |||
"201026711_49": "「――お待たせしました。\\n 一杯目は何にしましょう?」", | |||
"201026711_50": "「とりあえず、ビールでお願いしますッ!」", | |||
"201026711_51": "「フフ、波の音を聞きながら\\n 飲むお酒なんて、いつ以来でしょう――」", | |||
"201026711_52": "「クク、前金が入金されたぞ」", | |||
"201026711_53": "「あとは、実行あるのみだな」", | |||
"201026711_54": "「楽な仕事だ。\\n よし、前祝いの乾杯といこう」", | |||
"201026711_55": "(あれって……)", | |||
"201026711_56": "「――セレナッ!?\\n どうしてここに戻って……」", | |||
"201026711_57": "「姉さんこそ。\\n ……まさか」", | |||
"201026711_58": "「ええ、セレナも気が付いたみたいね」", | |||
"201026711_59": "「このリゾート地に、\\n テロリストが潜伏しているって」", | |||
"201026711_60": "「しかも連中、アルカ・ノイズを使うつもりよ。\\n 結晶を持っているのを見たわ」", | |||
"201026711_61": "「……ッ!\\n なら、急がないと……ッ!」", | |||
"201026711_62": "「わたしが聞いた限りだと、近くの別荘に来ている\\n 某国の文科大臣を襲撃するつもりみたい」", | |||
"201026711_63": "「はぁ……。\\n 残念だけど、休暇はお預けね」", | |||
"201026711_64": "「隊員のみんなはどうするの?」", | |||
"201026711_65": "「当然、呼び出さないとだけど……」", | |||
"201026711_66": "「普段あんなに頑張ってるんだし、\\n 正直……休ませてあげたい気持ちも――」", | |||
"201026711_67": "「えー、仲間外れとか冷たいっスよ」", | |||
"201026711_68": "「ナツミ……それに、みんなも……」", | |||
"201026711_69": "「APLLE隊員としての自覚を持てって、\\n 言ったのは隊長ですよね」", | |||
"201026711_70": "「怪しい客がいたんで、\\n 調べてみたらクロ……って感じです」", | |||
"201026711_71": "「夏休みは、そいつらをやっつけてからでも遅くないっスッ!」", | |||
"201026711_72": "「……そうね、ありがとう」", | |||
"201026711_73": "「みんな、緊急出撃よッ!\\n 急いで準備してッ!!」", | |||
"201026711_74": "「了解ッ!!」", | |||
"201026711_75": "「ククク……今頃大臣は、\\n あの別荘でくつろいでるってわけか」", | |||
"201026711_76": "「これから何が起きるかも知らずにな。\\n もうすぐ、俺たちは大金持ちに――」", | |||
"201026711_77": "「そこまでよッ!」", | |||
"201026711_78": "「な、なんだッ!?」", | |||
"201026711_79": "「あなたたちの狙いは分かっています。\\n 大人しく投降してください」", | |||
"201026711_80": "「ってガキと女じゃねーか」", | |||
"201026711_81": "「どこで嗅ぎつけたか知らないが、\\n 警察気取りは痛い目を見るだけだぜ」", | |||
"201026711_82": "「ガ、ガキ……ッ!?」", | |||
"201026711_83": "「そういえば、依頼人もどっかの金持ちのガキだったな」", | |||
"201026711_84": "「たしか、文科大臣を脅して、\\n 夏休みを延ばせ、だっけか」", | |||
"201026711_85": "「……へぇそう、夏休みを」", | |||
"201026711_86": "「それだけで俺たちに大金が入るんだ。\\n まったく、笑いが止まらないぜッ!」", | |||
"201026711_87": "「ええ、全くだわ。\\n ……フフ、フフフフ……」", | |||
"201026711_88": "「ね、姉さん……?」", | |||
"201026711_89": "「そんなしょうもない理由で……ッ!\\n わたしたちの……夏季休暇を……ッ!!」", | |||
"201026711_90": "「よくも無茶苦茶にしてくれたわねーッ!!!」", | |||
"201026711_91": "「た、隊長のギアに異常を確認ッ!」", | |||
"201026711_92": "「あれは……水着ッ!?」", | |||
"201026711_93": "「もしかして、あれが噂に聞く、心象変化の影響っスか……ッ!\\n 響さんたちから聞いてた通りっスねッ!」", | |||
"201026711_94": "「にしても水着姿とは……」", | |||
"201026711_95": "「悪かったわねッ!\\n 海で泳ぎたくて、何が悪いっていうのッ!?」", | |||
"201026711_96": "「隊長、そんなに海が好きだったんスね。\\n なんでっスか?」", | |||
"201026711_97": "「し、知らないわよッ!\\n とにかく好きなものは好きなのッ!」", | |||
"201026711_98": "「……姉さんの、水着姿……」", | |||
"201026711_99": "(か、かわわわわわわわわッ!!)", | |||
"201026711_100": "セレナの脳内……", | |||
"201026711_101": "「待ってよ姉さーんッ!」", | |||
"201026711_102": "「追いかけてごらんなさーいッ!」", | |||
"201026711_103": "「ウフフフ……ッ!」", | |||
"201026711_104": "「アハハハハ……ッ!!」", | |||
"201026711_105": "「わたしも……わたしもッ!」", | |||
"201026711_106": "「姉さんと水着でッ!!\\n 遊びたいーッ!!」", | |||
"201026711_107": "「副隊長までッ!?」", | |||
"201026711_108": "「隊長への想いがキッカケで変化するとは……。\\n 隊長愛、深すぎっス……」", | |||
"201026711_109": "「ええいッ!\\n さっきから何を見せられてんだッ!」", | |||
"201026711_110": "「ファッションショーじゃねえんだぞッ!\\n とっとと失せなッ!!」", | |||
"201026711_111": "「失せるのは――」", | |||
"201026711_112": "「あなたたちですッ!!」", | |||
"201026711_113": "「な、なんだこいつら……。\\n 俺たちのアルカ・ノイズをッ!?」", | |||
"201026711_114": "「さぁて、覚悟はいいかしら?」", | |||
"201026711_115": "「わたしたちの夏休みを邪魔した罪は、\\n 重いですよ……ッ!」", | |||
"201026711_116": "「ひ……ッ!」", | |||
"201026711_117": "「た、助けてえええええッ!!」", | |||
"201026711_118": "「ぷっっっはーッ!!\\n ビールがうまいッ!!」", | |||
"201026711_119": "「まったくもう、\\n お酒に目がないんだから」", | |||
"201026711_120": "「エヘヘ、可愛い姉さんのことも大好きだよー?」", | |||
"201026711_121": "「分かったわ。それじゃあ、姉として命令よッ!\\n 明日は、わたしの海遊びに付き合うことッ!」", | |||
"201026711_122": "「ウフフ、りょうかい♪」", | |||
"201026711_123": "「…………」", | |||
"201026711_124": "(海で遊べて最高って思ったけど――)", | |||
"201026711_125": "(お酒が飲めて最高って思ってたけど――)", | |||
"201026711_126": "(家族と一緒だと、もっと最高ね……ッ!)\\n(家族と一緒だと、もっと最高……ッ!)" | |||
} |
@@ -0,0 +1,122 @@ | |||
{ | |||
"201026811_0": "匿名のキモチ", | |||
"201026811_1": "「……どうしよう」", | |||
"201026811_2": "「あん?\\n こんなところで何してるんだ?」", | |||
"201026811_3": "「クリスッ!\\n ちょうどよかった……ッ!」", | |||
"201026811_4": "「え?」", | |||
"201026811_5": "「突然なんだけど……。\\n 校内放送、やってみない?」", | |||
"201026811_6": "「――は?\\n はぁぁぁぁッ!?」", | |||
"201026811_7": "「……要するに、放送委員が\\n 風邪を引いちまったから――」", | |||
"201026811_8": "「うん、代打で放課後の放送を\\n やってほしいって頼まれてたの」", | |||
"201026811_9": "「め゛ん゛ほ゛く゛な゛い゛て゛す゛」", | |||
"201026811_10": "「なんつうガラガラ声……こりゃ確かに無理そうだな」", | |||
"201026811_11": "「わたしも1人でやるのは自信がなくて――」", | |||
"201026811_12": "「最初は響と2人でパーソナリティを\\n やろうかって話してたんだけどね」", | |||
"201026811_13": "『立花さん、成績の件で\\n 先生から呼び出しくらっちゃって』", | |||
"201026811_14": "「それであたしってわけか」", | |||
"201026811_15": "『週1でやってる放課後の放送は人気だから、\\n できれば穴をあけたくないんです』", | |||
"201026811_16": "「って言われてもな……\\n 人前で話すガラじゃないし」", | |||
"201026811_17": "「そうかな。クリスは人一倍気が利くし、\\n こういうの、向いてると思うけど」", | |||
"201026811_18": "「な……ッ!?」", | |||
"201026811_19": "「それに声も可愛いし。\\n みんな聴いてみたいんじゃないかな」", | |||
"201026811_20": "「お、おだてたってやらないぞッ!\\n 声が出ないなら、大人しく休んどけッ!」", | |||
"201026811_21": "『そこをなんとか……』", | |||
"201026811_22": "「お願い、クリス……ッ!」", | |||
"201026811_23": "「……ッ!」", | |||
"201026811_24": "(…………。\\n この子の頼みは断れないよな……)", | |||
"201026811_25": "「言っとくけど、今日だけだからな」", | |||
"201026811_26": "「ありがとう……ッ!」", | |||
"201026811_27": "「……ん」", | |||
"201026811_28": "「――皆さん、こんにちは。\\n リディアン放送局のお時間ですッ!」", | |||
"201026811_29": "「突然ですが、本日は\\n パーソナリティが風邪で喋れないため……」", | |||
"201026811_30": "「わたし、小日向未来と――」", | |||
"201026811_31": "「あー……ゆ、雪音クリスだ」", | |||
"201026811_32": "「以上の2人でお送りしますッ!」", | |||
"201026811_33": "「本日のコーナーはおなじみ、\\n 『リディアン大喜利』に――」", | |||
"201026811_34": "「…………」", | |||
"201026811_35": "「『なんでもぶっちゃけ掲示板』、\\n 『恋のQ&A』などなどお送りしていきますッ!」", | |||
"201026811_36": "(お、思ったより本格的な番組だな……。\\n 放課後にこんなことやってるなんて、知らなかった……)", | |||
"201026811_37": "(確かにこれなら、人気なのも納得だけど……、\\n あたしにパーソナリティが務まるのか……ッ!?)", | |||
"201026811_38": "「――だよね、クリス?」", | |||
"201026811_39": "「――へ?\\n あ、あぁ」", | |||
"201026811_40": "「……もしかして、緊張してる?」", | |||
"201026811_41": "「そ、そりゃそうだろ。\\n ――っていうか、なんでそんなにスラスラ喋れるんだよッ!」", | |||
"201026811_42": "「なんでだろう……。\\n わたし、思ったより向いてるかもッ!」", | |||
"201026811_43": "「クリスも、思いついたら\\n ダジャレとか言ってもいいんだからね?」", | |||
"201026811_44": "「誰が言うかッ!」", | |||
"201026811_45": "「クスクス……」", | |||
"201026811_46": "「……ッ!」", | |||
"201026811_47": "(放送なの、つい忘れてた……)", | |||
"201026811_48": "(でも、笑ってくれてるし、\\n こんな感じでいいのか……?)", | |||
"201026811_49": "『OPの締め、2人でお願いします』", | |||
"201026811_50": "「――それでは、最後まで絶対」", | |||
"201026811_51": "「聞いてください」\\n「聞いてくれよなッ!」", | |||
"201026811_52": "「フフ……はー、お腹痛い……。\\n 笑いすぎて息できなくなるかと思った……」", | |||
"201026811_53": "「――クソ、なんであたしがモノマネなんか……。\\n ほら、次いくぞッ!」", | |||
"201026811_54": "「うんッ!\\n えーっと――」", | |||
"201026811_55": "「次が最後のコーナーです」", | |||
"201026811_56": "(ったく、ようやくか……)", | |||
"201026811_57": "『タイトルコールお願いします』", | |||
"201026811_58": "「――あなたのキューピッドッ!」", | |||
"201026811_59": "「リディアン掲示板ーッ!!」", | |||
"201026811_60": "「このコーナーは――」", | |||
"201026811_61": "「生徒が匿名で、校内の誰かに\\n メッセージを送るコーナーになっています、っと」", | |||
"201026811_62": "「んじゃ、あたしから紹介するぞ」", | |||
"201026811_63": "「えーっと……。\\n ペンネーム『んなもんねえよ』さんより」", | |||
"201026811_64": "「ずいぶんワイルドな名前だね」", | |||
"201026811_65": "「だな。\\n メッセージを読むぞ」", | |||
"201026811_66": "『……友達へ』", | |||
"201026811_67": "『自分自身の気持ちすら分からなかった、\\n あたしに手を差し伸べてくれてありがとう』", | |||
"201026811_68": "「……げッ!!」", | |||
"201026811_69": "「クリス?」", | |||
"201026811_70": "(こ、これって……これって――)", | |||
"201026811_71": "いつかの昼休み――", | |||
"201026811_72": "「放送委員でーすッ!\\n 大事な人への想い、形にしてみませんかーッ!?」", | |||
"201026811_73": "「はッ!?\\n いや、あたしは――」", | |||
"201026811_74": "「そこをなんとかッ!\\n ちょっとだけでもッ!」", | |||
"201026811_75": "「こっそり想いを伝えたい大切な人、\\n いるんじゃないですかッ!?」", | |||
"201026811_76": "「それは――」", | |||
"201026811_77": "「…………」", | |||
"201026811_78": "「いるみたいですねッ!\\n ではぜひ、この紙にその想いをしたためてくださいッ!」", | |||
"201026811_79": "「いやいや、なんでそんなこと……」", | |||
"201026811_80": "「いいからいいからッ!\\n 吐き出すとスッキリしますよッ!」", | |||
"201026811_81": "(まあ、減るもんでもないし……)", | |||
"201026811_82": "「じゃあちょっとだけ……ん? ペンネームだ?\\n んなもんねえよ、っと……」", | |||
"201026811_83": "「んで……メッセージは――」", | |||
"201026811_84": "「…………」", | |||
"201026811_85": "「あ、書けました?」", | |||
"201026811_86": "「――やっぱダメだッ!\\n こんなん恥ずかし過ぎるッ! 捨てといてくれッ!」", | |||
"201026811_87": "「ちょ、ちょっとッ!\\n 待ってくださーいッ!」", | |||
"201026811_88": "(――あたしが書いたやつだこれーッ!!)", | |||
"201026811_89": "(捨ててないのかよおおッ!\\n てか放送で使うなんて聞いてないッ!)", | |||
"201026811_90": "「平気?」", | |||
"201026811_91": "「――ッ!」", | |||
"201026811_92": "(ど、どうする……よりによって\\n メッセージの相手が目の前に……ッ!)", | |||
"201026811_93": "(でも、この状況で止めたら放送事故に……。\\n ああクソ――ッ!)", | |||
"201026811_94": "「だ、大丈夫だ。続きを読むぞ」", | |||
"201026811_95": "『――憧れの制服を着れるのも、普通の女の子みたいな\\n 時間を送れるのも、あの時手を取ってくれたからだ』", | |||
"201026811_96": "(ぬあああああ……ッ!\\n ああああああああ……ッ!!)", | |||
"201026811_97": "『あたしに帰る場所をくれてありがとう。\\n そっちも友達だと思ってくれていると、嬉しい』", | |||
"201026811_98": "(だれか、あたしを殺してくれえええッ!!!)", | |||
"201026811_99": "『――以上で放送終了です。\\n ありがとうございましたッ!!』", | |||
"201026811_100": "『お2人とも、とっても良かったですよッ!』", | |||
"201026811_101": "「あ、ああ」", | |||
"201026811_102": "「お疲れ様。\\n ありがとうね、クリス」", | |||
"201026811_103": "(よかった。\\n あのメッセージを書いたのが誰か、バレてないみたいだな……)", | |||
"201026811_104": "「お、お疲れ。\\n ――じゃあ、あたしは帰るからな」", | |||
"201026811_105": "(はぁあああああああ――。\\n なんか、どっと疲れたな……)", | |||
"201026811_106": "「クリス――ッ!」", | |||
"201026811_107": "「――ん?」", | |||
"201026811_108": "「んなッ!\\n な……ッ!?」", | |||
"201026811_109": "「クリス……」", | |||
"201026811_110": "「わたしもね。\\n クリスのこと、大切な友達だと思ってるよ」", | |||
"201026811_111": "「――ッ!」", | |||
"201026811_112": "「ま、まさか……」", | |||
"201026811_113": "「――フフ」", | |||
"201026811_114": "「今日はありがとう。すごく楽しかったよ。\\n また、一緒にパーソナリティやろうね」", | |||
"201026811_115": "「……か、考えとくッ!」", | |||
"201026811_116": "「じゃあ、またねッ!」", | |||
"201026811_117": "「……ありがとな」", | |||
"201026811_118": "「にしても――」", | |||
"201026811_119": "「……やっぱり、\\n あの子には敵わないな……」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,80 @@ | |||
{ | |||
"201026911_0": "奏のバースデー2022", | |||
"201026911_1": "「――おい、来てやったぞ」", | |||
"201026911_2": "「あら?\\n 珍しいお客さんね」", | |||
"201026911_3": "「緊急任務とやらがあるんだろう?」", | |||
"201026911_4": "「このオレがわざわざ時間を割いているのだ。\\n 早く詳細を教えろ」", | |||
"201026911_5": "「緊急任務?\\n そんなのあるのかッ!?」", | |||
"201026911_6": "「いや、目下のところ、\\n そのような事態は発生していないな」", | |||
"201026911_7": "「そんなはずがあるかッ!\\n オレは確かに、アダムにそう言われて――」", | |||
"201026911_8": "「――ッ!\\n あの固定電話は……ッ!」", | |||
"201026911_9": "「着いたみたいだね。無事二課に――」", | |||
"201026911_10": "「おいッ!\\n これはいったいどういうことだッ!」", | |||
"201026911_11": "「言ったはずだよ。\\n 君には大事な任務があると」", | |||
"201026911_12": "「ここの連中は何も起きていないと言っているぞッ!」", | |||
"201026911_13": "「――祝うんだよ。\\n 天羽奏の誕生日を……ッ!」", | |||
"201026911_14": "「はぁぁッ!?」", | |||
"201026911_15": "「おぉ」", | |||
"201026911_16": "「当然の礼儀さ。\\n 共に戦う者同士なのだから」", | |||
"201026911_17": "「よろしく頼むよ。\\n 後のことは」", | |||
"201026911_18": "「あ、おいッ!」", | |||
"201026911_19": "「はぁ……くだらん。\\n オレは帰るぞ」", | |||
"201026911_20": "「まぁ待ちな。\\n せっかく来たんだしさ」", | |||
"201026911_21": "「や、やめろッ!\\n 肩に腕を回すな……ッ!」", | |||
"201026911_22": "「聞いた通り、明日はあたしの誕生日なんだ。\\n ……良かったら、祝ってくれないかい?」", | |||
"201026911_23": "「断る。\\n オレはそんなに暇人じゃない」", | |||
"201026911_24": "「つれないこと言うなよ。\\n あんたのボスが言ってることも一理あると思うぞ」", | |||
"201026911_25": "「……知るか。\\n 大体、祝い方などさっぱり分からん」", | |||
"201026911_26": "「じゃあ、祝ってくれなくてもいい」", | |||
"201026911_27": "「代わりに――これだッ!」", | |||
"201026911_28": "「……?\\n なんだ、この紙切れは」", | |||
"201026911_29": "「あたしのバースデーライブのチケットだッ!\\n 思いっきり唄うからさ、聴きに来てくれないか?」", | |||
"201026911_30": "「ますますくだらん。\\n 愚鈍な大衆に紛れて歌を聴くなど――」", | |||
"201026911_31": "「……っと、そろそろゲネプロか。\\n じゃ、また明日な」", | |||
"201026911_32": "「待て、オレは行くなどと一言も――」", | |||
"201026911_33": "「楽しみにしててくれよなーッ!」", | |||
"201026911_34": "「ひ、人の話を聞けーッ!!」", | |||
"201026911_35": "「はぁぁ……」", | |||
"201026911_36": "(……結局、来てしまった。\\n まあ、こうでもしないとあの男が面倒だしな……)", | |||
"201026911_37": "「ああ~、ドキドキする~ッ!\\n 奏ちゃんのライブ楽しみーッ!」", | |||
"201026911_38": "「うんッ!\\n 早く始まらないかなあ」", | |||
"201026911_39": "(まったく、どいつもこいつも\\n さっきからそればっかり……)", | |||
"201026911_40": "(こんな場所で歌を聴くことの何がいいんだか……)", | |||
"201026911_41": "「……あッ、\\n 始まったッ!」", | |||
"201026911_42": "「みんなーッ!\\n おまたせッ!」", | |||
"201026911_43": "「キャーッ!\\n 奏ちゃーんッ!」", | |||
"201026911_44": "「誕生日おめでとーッ!!」", | |||
"201026911_45": "「ありがとうッ!\\n みんなにお祝いしてもらえて、すっごく嬉しいッ!」", | |||
"201026911_46": "「今日のバースデーライブ、\\n みんなで思いっきり楽しもうなッ!」", | |||
"201026911_47": "「うおおおおおッ!」", | |||
"201026911_48": "(……仕方がない、\\n 数時間程度、我慢を――)", | |||
"201026911_49": "「それじゃあ1曲目ッ!\\n いくぞーッ!」", | |||
"201026911_50": "「…………」", | |||
"201026911_51": "「ふー……、\\n 楽しかったー……ッ!」", | |||
"201026911_52": "「今日はありがとうなッ!」", | |||
"201026911_53": "「楽屋にまで来てくれるとは思わなかったぞッ!」", | |||
"201026911_54": "「……あとで文句を言われるのが面倒だっただけだ」", | |||
"201026911_55": "「それで……あたしのライブ、どうだった?」", | |||
"201026911_56": "「別に、どうということはない」", | |||
"201026911_57": "「でも、曲に合わせて手を振ってくれてたよなー」", | |||
"201026911_58": "「なッ!?\\n ど、どうしてそれをッ!」", | |||
"201026911_59": "「客席の様子は、意外とステージから見えるもんさ。\\n お気に召してくれたみたいで何よりだ」", | |||
"201026911_60": "「あ、あれは仕方なく\\n 周りに合わせてやっただけだ……ッ!!」", | |||
"201026911_61": "「またまたー、\\n 正直に言っていいんだぞ?」", | |||
"201026911_62": "「もういいだろう。\\n オレは帰るぞ……ッ!」", | |||
"201026911_63": "「……いや。\\n これを渡さねば――」", | |||
"201026911_64": "「ん?\\n それは――」", | |||
"201026911_65": "「ひょっとして花束かッ!?」", | |||
"201026911_66": "「わざわざ来たのだ。\\n 形だけでも祝わねばなるまいッ!」", | |||
"201026911_67": "「その、誕生日おめでとう……。\\n ライブも、存外悪くは――」", | |||
"201026911_68": "「――ッ!?\\n な、何をするッ!」", | |||
"201026911_69": "「花束を受け取れッ!\\n オレに抱き着く必要は……ッ!」", | |||
"201026911_70": "「いいだろッ!?\\n 嬉しいんだからさッ!」", | |||
"201026911_71": "「はあッ!?」", | |||
"201026911_72": "「ライブを聴いてくれて、\\n 誕生日を祝ってくれて、すごく嬉しかったぞッ!」", | |||
"201026911_73": "「やっぱりいいな、仲間ってッ!」", | |||
"201026911_74": "「お、大げさな……」", | |||
"201026911_75": "(まったく、アダムといいコイツといい、\\n オレの周りには面倒な人間が多すぎる……)", | |||
"201026911_76": "「ハハハ――ッ!」", | |||
"201026911_77": "(だがまぁ……、\\n 今日くらいは、付き合ってやるか……)" | |||
} |
@@ -0,0 +1,87 @@ | |||
{ | |||
"201027011_0": "マリアのバースデー2022", | |||
"201027011_1": "「――概要は以上だ」", | |||
"201027011_2": "「未来くん、マリアくんは別命あるまで待機」", | |||
"201027011_3": "「残り5名で現場に向かってもらう。\\n 皆、頼んだぞ」", | |||
"201027011_4": "「はい、師匠ッ!」", | |||
"201027011_5": "「……」", | |||
"201027011_6": "「あれ、どうしたの?」", | |||
"201027011_7": "「響……もう8月なのに、\\n 夏休みの宿題、全然やってないでしょ?」", | |||
"201027011_8": "「なのに、1週間も海外任務で……南の島……」", | |||
"201027011_9": "「う……だ、大丈夫ッ!", | |||
"201027011_10": " 待機時間にちゃんと進めるよッ!」", | |||
"201027011_11": "「ったく、しょーがないな。\\n あたしも手伝ってやるよ」", | |||
"201027011_12": "「案ずるな、小日向」", | |||
"201027011_13": "「同じ学び舎の先達として、\\n 出来る限り監督するつもりだ」", | |||
"201027011_14": "「響をよろしくお願いします」", | |||
"201027011_15": "「マリアも行きたかったんじゃないの?」", | |||
"201027011_16": "「どうして?」", | |||
"201027011_17": "「南の島だからデスッ!\\n だってマリア、海が好きデスよね?」", | |||
"201027011_18": "「マリアが行けない分、\\n 海の写真とかいっぱい撮ってくるね」", | |||
"201027011_19": "「もう、この子たちったら……」", | |||
"201027011_20": "「遊びに行くわけじゃないのよ。\\n そんな浮かれた気持ちでどうするの」", | |||
"201027011_21": "「任務も宿題もそうだし……あと、歯磨きも。\\n しっかり自分でやらなきゃダメよ?」", | |||
"201027011_22": "「分かってるデスよ。でも、\\n マリアの誕生日と被っちゃったし……」", | |||
"201027011_23": "「向こうからでも、\\n 当日にプレゼントを贈りたいなって」", | |||
"201027011_24": "「あ……」", | |||
"201027011_25": "「気持ちは嬉しいわ。\\n だけどまずは、任務をしっかりこなしなさい?」", | |||
"201027011_26": "「そうだな。\\n 帰ったら盛大に祝うとしよう」", | |||
"201027011_27": "「うぐぐ……これでもかと\\n お祝いしまくるデスッ!」", | |||
"201027011_28": "「うん、覚悟しててね」", | |||
"201027011_29": "(……大丈夫だよ皆。\\n 当日のお祝いはわたしに任せてね)", | |||
"201027011_30": "(……皆そろそろ、\\n 向こうに着いた頃かしら)", | |||
"201027011_31": "「――さん」", | |||
"201027011_32": "「……」", | |||
"201027011_33": "「――マリアさん。\\n あの、そろそろ訓練の時間……」", | |||
"201027011_34": "「……ッ!", | |||
"201027011_35": " ごめんなさい。すぐ始めるわ」", | |||
"201027011_36": "「……2人のこと、\\n やっぱり心配ですか?」", | |||
"201027011_37": "「ええ、2人ならちゃんとやれるって、\\n 分かってはいるのよ」", | |||
"201027011_38": "「だけど、どうしても年長者の翼たちに\\n 負担をかけてしまうだろうし……」", | |||
"201027011_39": "「――マリアさん、\\n こういう時は泳ぎに行きませんか?」", | |||
"201027011_40": "「お、泳ぐ?」", | |||
"201027011_41": "「はい。\\n 気分転換になりますよッ!」", | |||
"201027011_42": "「そうね……魅力的な提案ではあるけど、\\n 海まで行く暇はないし……」", | |||
"201027011_43": "「この時期のプールは、混雑して大変でしょう?」", | |||
"201027011_44": "「まぁまぁ。とにかく訓練が終わったら、\\n 地上施設内の公園に来てください」", | |||
"201027011_45": "「あ、更衣室はないので、\\n 水着は中に着てきてくださいね」", | |||
"201027011_46": "「そ、そう……分かったわ」", | |||
"201027011_47": "「――って、これ……」", | |||
"201027011_48": "「ビニールプールッ!?」", | |||
"201027011_49": "「はい、昔これで\\n 響と遊んだことがあるんですよ」", | |||
"201027011_50": "「……さすがにわたしが\\n これで泳ぐのは、ちょっと勇気がいるわよ」", | |||
"201027011_51": "「大丈夫ですよ。\\n これ、大人用ですし」", | |||
"201027011_52": "「今日はお誕生日ですから。\\n 思いっきり、はしゃいじゃいましょう」", | |||
"201027011_53": "「でも、皆が任務中なのに\\n わたしだけ遊ぶわけには……」", | |||
"201027011_54": "「あぁ、やっぱり」", | |||
"201027011_55": "「……?」", | |||
"201027011_56": "「マリアさんなら、\\n そう言うかなって思ってました」", | |||
"201027011_57": "「だってマリアさん、すごく優しくて\\n 皆に気を遣ってくれるから」", | |||
"201027011_58": "「それは……。\\n 当然のことをしているだけよ」", | |||
"201027011_59": "「だからこそ、どうしても遊んでほしくて、\\n 調ちゃんと切歌ちゃんにも相談してたんです」", | |||
"201027011_60": "「……なるほど、そういうこと」", | |||
"201027011_61": "「だからビニールプールなのね。\\n あの子たちらしいわ」", | |||
"201027011_62": "「はい。誕生日くらい、\\n 自分のために楽しんでください」", | |||
"201027011_63": "「皆、それを願っていますから」", | |||
"201027011_64": "「……」", | |||
"201027011_65": "「……負けたわ。まさかこんな\\n サプライズが用意されているなんて」", | |||
"201027011_66": "「……ッ!\\n それじゃあ――」", | |||
"201027011_67": "「ただし、あなたも遊ぶこと。\\n わたしに負けず劣らずの気遣い屋さん?」", | |||
"201027011_68": "「――フフ、じゃあ……お邪魔します」", | |||
"201027011_69": "「……ビニールプールは\\n 子供が遊ぶもの、なんて思っていたけど」", | |||
"201027011_70": "「こういうのも新鮮でいいわね。さしずめ、\\n 街中のプライベートビーチってところかしら」", | |||
"201027011_71": "「本物と比べると、だいぶ手狭ですけどね」", | |||
"201027011_72": "「そこがいいのよ。何より、\\n あなたが心を込めて用意してくれたんだもの」", | |||
"201027011_73": "「言われた通り、今日だけは思いっきり、\\n 自分のために楽しませてもらうことにするわ」", | |||
"201027011_74": "「そう言ってもらえると嬉しいです」", | |||
"201027011_75": "(……今頃、響は――)", | |||
"201027011_76": "(調と切歌は――)", | |||
"201027011_77": "「……宿題、ちゃんとやってるかなぁ」\\n「……歯磨き、ちゃんとしているかしら」", | |||
"201027011_78": "「……」", | |||
"201027011_79": "「やっぱり、大切な人を忘れるなんて無理ね」", | |||
"201027011_80": "「……ここにも響や\\n 皆がいたらなって、思っちゃいます」", | |||
"201027011_81": "「なら決まりよ。帰ってきたら\\n 調と切歌に、海へ連れて行ってもらいましょう」", | |||
"201027011_82": "「今度は皆も遊べるくらい、大きな海にね」", | |||
"201027011_83": "「今日は2人と一緒に、素敵なサプライズを\\n 考えてくれてありがとう。最高の想い出になったわ」", | |||
"201027011_84": "「……はいッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,90 @@ | |||
{ | |||
"201027111_0": "献立同盟", | |||
"201027111_1": "「相談したいことがあるんだけど、いいかな?」", | |||
"201027111_2": "「はい。\\n わたしでよければ」", | |||
"201027111_3": "「本当?\\n よかったぁ……ありがとう」", | |||
"201027111_4": "「実はね、お料理のレパートリーを増やそうと思ってるの。", | |||
"201027111_5": " ついつい同じものばかり作っちゃうから……」", | |||
"201027111_6": "「響は美味しいって食べてくれるんだけど、\\n もっと喜んでほしいから新しい献立を覚えたくて」", | |||
"201027111_7": "「それでね、いつもお料理してる人に相談したかったの」", | |||
"201027111_8": "「なるほど……教えられることは少ないかもしれないですけど、\\n わたしにできる範囲でご協力します」", | |||
"201027111_9": "「嬉しいッ!\\n さっそく聞いていいかな?」", | |||
"201027111_10": "「調ちゃんは普段から、お料理に飽きさせないために\\n どういう工夫をしてるの?」", | |||
"201027111_11": "「……うーん、あんまり特別な事はしてないです。\\n 冷蔵庫にある食材を使っているだけですから」", | |||
"201027111_12": "「野菜があったらシチューを作ったり、同じ野菜でも\\n 揚げてから添えるとか、別に茹でて味を変えてみたりとかです」", | |||
"201027111_13": "「すごいなぁ……同じお料理でも、\\n いろんなバリエーションができるんだね」", | |||
"201027111_14": "「ありがとうございます。", | |||
"201027111_15": " でも……」", | |||
"201027111_16": "「美味しいって言ってくれる、\\n そんな人が近くにいるから頑張れるんです」", | |||
"201027111_17": "「うんうんッ!\\n 誰かのためにっていう気持ちは、1番大事かも」", | |||
"201027111_18": "「それがあれば、\\n きっと喜んでもらえると思います」", | |||
"201027111_19": "「それでは、未来さんのお家の冷蔵庫にあるもので、\\n どんなお料理が作れるか考えましょう」", | |||
"201027111_20": "「はい、よろしくお願いします」", | |||
"201027111_21": "「そうですね。あまり手の込んだものだと、\\n わたしたちには難しそうですし……」", | |||
"201027111_22": "「――お、2人でなんの話かと思ったら、\\n 晩ご飯の相談かい?」", | |||
"201027111_23": "「藤尭さん、こんにちは」", | |||
"201027111_24": "「こんにちは。\\n 新しい献立を、調ちゃんと相談していたんです」", | |||
"201027111_25": "「新しい献立か……\\n 実は俺、こう見えて結構料理をするんだ」", | |||
"201027111_26": "「俺にできることなら相談に乗るよ」", | |||
"201027111_27": "「本当ですか、", | |||
"201027111_28": " ありがとうございますッ!」", | |||
"201027111_29": "「家の冷蔵庫にあるもので、\\n 新しい献立ができないかと考えていたところです」", | |||
"201027111_30": "「だけど、どんなものを作るかまでは……」", | |||
"201027111_31": "「なるほど……折角新しいレシピを覚えるなら、\\n 君たちが食べてみたい料理に挑戦するのはどうかな?」", | |||
"201027111_32": "「食べてみたいお料理……", | |||
"201027111_33": " たくさんあって迷ってしまいます」", | |||
"201027111_34": "「そうだッ! それならわたしたちの大切な人の好物や、\\n 食べてほしい食材を使うのはどうかな?」", | |||
"201027111_35": "「はい。\\n 切ちゃんは、もっとお野菜を食べるべき」", | |||
"201027111_36": "「それじゃ俺も参加していいかい?\\n 俺も新しい献立を開発したくてさ」", | |||
"201027111_37": "「このあとみんなで献立勉強会……どうかな?」", | |||
"201027111_38": "「はいッ!\\n よろしくお願いします」", | |||
"201027111_39": "「フフ、『献立同盟』誕生だね」", | |||
"201027111_40": "「よし、食堂の使用許可が取れた。\\n 食材も今あるものなら、自由に使って構わないそうだ」", | |||
"201027111_41": "「ありがとうございます」", | |||
"201027111_42": "「今度、料理長にお礼を言わなくちゃ」", | |||
"201027111_43": "「それじゃ、\\n 食べたい料理は何か思いついたかい?」", | |||
"201027111_44": "「パエリアなんてどうですか?\\n 響もお米が大好きですし」", | |||
"201027111_45": "「……お野菜も細かく刻めば、\\n 切ちゃんも食べてくれるかも」", | |||
"201027111_46": "「あ、でもパエリアにはサフランが必要ですよね。\\n お値段が高くて……」", | |||
"201027111_47": "「それなら、サフランのかわりに\\n ターメリックやカレー粉を使うのはどうだろう?」", | |||
"201027111_48": "「カレー粉なら家にもありますから、\\n それなら大丈夫ですッ!」", | |||
"201027111_49": "「よし、それじゃあ実際に調理してみようか。\\n 俺も自分の料理を作るとしよう」", | |||
"201027111_50": "「それぞれ完成したら、最後は皆で試食会だッ!」", | |||
"201027111_51": "「冷凍シーフードは、フライパンで火にかけちゃうから\\n そのまま入れちゃって大丈夫だよね」", | |||
"201027111_52": "「ま、待ってくださいッ!", | |||
"201027111_53": " そのままだと水分と臭みが出てしまいます」", | |||
"201027111_54": "「1つまみの塩を入れた水で解凍しておくと、\\n 具材も小さくならずにできますよ」", | |||
"201027111_55": "「なるほど……\\n 流石だね、調ちゃん」", | |||
"201027111_56": "「便利で値段も安い冷凍食品を\\n 美味しく調理するポイントだね」", | |||
"201027111_57": "「これは俺も、うかうかしてはいられないな。\\n さて、残る食材は……」", | |||
"201027111_58": "「うん、いい香りッ!」", | |||
"201027111_59": "「最後にバジルを振りかけて……」", | |||
"201027111_60": "「よし、これで――」", | |||
"201027111_61": "「完成~ッ!」", | |||
"201027111_62": "「よし、こっちも完成だッ!\\n なかなかうまくできたんじゃないかな」", | |||
"201027111_63": "「ちょっと豪勢に……\\n ローストビーフとタンシチューだッ!」", | |||
"201027111_64": "「すごいです。\\n わたしたちと同じ時間で2品も作るなんて……」", | |||
"201027111_65": "「君たちこそ、初めてなのにいい仕上がりだと思うよ。\\n それじゃ、最初のひと口をいただくとしようか」", | |||
"201027111_66": "「ワクワクするね」", | |||
"201027111_67": "「はい」", | |||
"201027111_68": "「美味しいッ!」", | |||
"201027111_69": "「熱々なおこげと、ふっくらしたシーフードが\\n カレーの香りと合ってすごく美味しいですッ!」", | |||
"201027111_70": "「単純なようで、深い味わい……", | |||
"201027111_71": " これは美味」", | |||
"201027111_72": "「パエリアにカレー粉って、\\n 意外と合うんだね」", | |||
"201027111_73": "「それにバジルもちょうどいいですね。\\n アクセントが効いていて、風味が引き立ってます」", | |||
"201027111_74": "「とても美味しくできたと思う。\\n 2人が頑張った成果だね」", | |||
"201027111_75": "「ありがとうございます。\\n 早く食べさせてあげたいな」", | |||
"201027111_76": "「響、きっと喜んでくれると思います」", | |||
"201027111_77": "「藤尭さんのローストビーフも火加減が絶妙で、\\n とても美味しいです」", | |||
"201027111_78": "「タンシチューも濃厚な味が染みていて、お肉も柔らかい……。\\n 味だけじゃなくて、手際も良くてすごいです!」", | |||
"201027111_79": "「凝り性だからかな。\\n 新しい料理や調理器具が気になる性分なんだ」", | |||
"201027111_80": "「わたしも頑張らなくちゃッ!」", | |||
"201027111_81": "「2人の、喜ばせたい気持ちがこもった料理は、\\n 絶対にその相手へと響く」", | |||
"201027111_82": "「作った料理のポイントを話したりすると、\\n きっと楽しい食事になると思うよ」", | |||
"201027111_83": "「はい、\\n 帰ったらさっそく自慢しちゃいます」", | |||
"201027111_84": "「これだけお料理が上手だと、\\n 藤尭さんのお家は食事も楽しそうですね」", | |||
"201027111_85": "「……」", | |||
"201027111_86": "「藤尭……さん?」", | |||
"201027111_87": "「……俺は自分で食べたい。\\n ただそれだけさ」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,130 @@ | |||
{ | |||
"201027211_0": "勇者の拳", | |||
"201027211_1": "「んー……ッ!\\n 御神体、なかなか見つからないね……」", | |||
"201027211_2": "「そうだね……", | |||
"201027211_3": " あっ! 響ちゃん、あっちにいる女の子に聞いてみようよ!」", | |||
"201027211_4": "「ナイスアイディア、友奈ちゃんッ!」", | |||
"201027211_5": "「えっへへ!\\n 我ながら、そうだと思いまーす!」", | |||
"201027211_6": "「探し人の基本は聞き込みじゃからのッ!」", | |||
"201027211_7": "「――とは言え、もう少し手早い手段はないものか。\\n 気ばかり急いては詮無きことかのう?」", | |||
"201027211_8": "「うんうん!\\n 時には堅実に着実にいくことだって大切だよー」", | |||
"201027211_9": "「そうそう。\\n それじゃあ……」", | |||
"201027211_10": "「ねえ、そこの元気なきみッ!」", | |||
"201027211_11": "「――え?\\n わたしのこと?」", | |||
"201027211_12": "「私たち、ちょーっと聞きたいことがあるんだけど、\\n 教えてくれないかな?」", | |||
"201027211_13": "「堅実に着実に……?", | |||
"201027211_14": " フフ、似合うのか、似合わんのだかわからんの」", | |||
"201027211_15": "「――と、いうわけで……\\n わたしたち、探し物をしてるんだけど何か知らないかな?」", | |||
"201027211_16": "「木でできた人形?\\n それなら見たことあるかもー」", | |||
"201027211_17": "「本当っ!?」", | |||
"201027211_18": "「うんッ!\\n ついてきてー」", | |||
"201027211_19": "「はーいッ!」", | |||
"201027211_20": "「だ、だいぶ歩いたわけじゃが……ッ!\\n 本当にここらにお上さまの器があるんじゃろうな……ッ!?」", | |||
"201027211_21": "「どこで見たか教えてくれる?」", | |||
"201027211_22": "「う~ん……ここだったと思うんだけど、\\n あっちの方だったかな……」", | |||
"201027211_23": "「な、なんじゃとーッ!?」", | |||
"201027211_24": "「だいじょーぶ、だいじょーぶッ!\\n 今、こんなに一生懸命に思い出そうとしてくれてるんだし――」", | |||
"201027211_25": "「あッ!\\n もう時間だッ!」", | |||
"201027211_26": "「なッ!?」", | |||
"201027211_27": "「あ、あれぇッ!?\\n ちょ、ちょっと待ってーッ!」", | |||
"201027211_28": "「追いかけようっ!」", | |||
"201027211_29": "「ふぅ、はぁ……\\n 間に合ったぁ……ッ!」", | |||
"201027211_30": "「なんだろう?\\n 子供たちがいっぱい集まってる……」", | |||
"201027211_31": "「ねえ、ここでなにが始まるの?」", | |||
"201027211_32": "「人形劇ッ! お姉ちゃんたちも一緒に見ようよッ!\\n 見終わったら、ヘンな木の人形のお話ししてあげるッ!」", | |||
"201027211_33": "「人形劇……ッ!? それは興味があ――", | |||
"201027211_34": " ッ! いやいや、わしらにはとてもそんな時間は……」", | |||
"201027211_35": "「しかし……木の人形となれば、やはりそれが\\n お上さまの器である可能性は大いにある……」", | |||
"201027211_36": "「……いやマテ。", | |||
"201027211_37": " おぬし、『ヘンな木の人形』と言ったか……ッ!?」", | |||
"201027211_38": "「ま、まあまあ! どうどう、ヤコちゃん!\\n 私も好きだよー、人形劇!」", | |||
"201027211_39": "「うーん……見終わったら、この子も落ち着いて\\n 御神体を見かけた時のことを思い出してくれるかな?」", | |||
"201027211_40": "「ふ、ふむ……? 2人がそう言うのであれば、", | |||
"201027211_41": " わしも観劇することはやぶさかではないぞ……ッ?」", | |||
"201027211_42": "「みんな、ごめんね。残念なお知らせですが、\\n 今日の人形劇はできなくなってしまいました」", | |||
"201027211_43": "「えぇッ!?」", | |||
"201027211_44": "「何かあったんですか?」", | |||
"201027211_45": "「その……実は、担当の職員が、\\n 急に体調を崩してしまいまして……」", | |||
"201027211_46": "「それは……心配ですね」", | |||
"201027211_47": "「ご心配をおかけしてすみません。幸い軽い腹痛のようですが、\\n 不調は不調なので、大事をとるべきと判断しまして……」", | |||
"201027211_48": "「む……それは、致し方ないのう……。\\n 子供らも楽しみにしておったようじゃが、調子には代えられぬ」", | |||
"201027211_49": "「人形劇、やらないの……?」", | |||
"201027211_50": "「楽しみにしてたのにーッ!」", | |||
"201027211_51": "「ごめんね、また今度やるからね」", | |||
"201027211_52": "「ねえ、響ちゃん……」", | |||
"201027211_53": "「うん。わたしもきっと、\\n 友奈ちゃんと同じこと言おうとしてるッ!」", | |||
"201027211_54": "「ヤコちゃん。\\n この子たちが笑顔になれるように……」", | |||
"201027211_55": "「人形劇、お手伝いできないかな……!?」", | |||
"201027211_56": "「む、むむむッ!?", | |||
"201027211_57": " しかし、それは――」", | |||
"201027211_58": "「言いたいことはわかるが……\\n ここの都合もあろうて?」", | |||
"201027211_59": "「ええと……もし皆さんが構わないのであれば、子供たちに\\n このまま悲しい顔をさせるよりは、ご相談させていただければと」", | |||
"201027211_60": "「なんとッ!?」", | |||
"201027211_61": "「悲しい顔してる子供たちを見捨てるなんて、\\n 胸張って勇者だなんて言えないよ、ヤコちゃん!」", | |||
"201027211_62": "「わ、わしは勇者でも装者でもないんじゃぞッ!?\\n しかし――」", | |||
"201027211_63": "「……………」", | |||
"201027211_64": "「くッ……\\n そ、そのようにしょげた顔をするでないッ!」", | |||
"201027211_65": "「ええい、乗りかかった船じゃッ!\\n 早々に片付けるのじゃぞ、勇者友奈、装者響よッ!」", | |||
"201027211_66": "「了解ですっ!!」", | |||
"201027211_67": "「りょうかーいッ!」", | |||
"201027211_68": "「え、えー……ッ! こ、コホンッ\\n 昔々、あるところに勇者がおりました――」", | |||
"201027211_69": "「勇者は人々に嫌がらせを続ける魔王を\\n 説得するために旅を続けておった……ッ!」", | |||
"201027211_70": "「そしてついに、\\n 勇者が魔王の城に辿り着いたのじゃッ!」", | |||
"201027211_71": "(ヤコちゃん、グッジョブだよ……!)", | |||
"201027211_72": "「やっとここまでたどり着いたぞ、魔王!\\n もう悪いことはやめるんだ!」", | |||
"201027211_73": "「わ、わたしを怖がって悪者扱いを始めたのは\\n 村人たちの方ではないかーッ!」", | |||
"201027211_74": "「だからって嫌がらせはよくない、\\n 話し合えばわかるよ!」", | |||
"201027211_75": "「話し合えば、また悪者にされるッ!」", | |||
"201027211_76": "「きみを悪者になんかしないっ!!」", | |||
"201027211_77": "「………」", | |||
"201027211_78": "「<size=25>……ひ、響ちゃん!\\n 次、響ちゃんのセリフっ</size>」", | |||
"201027211_79": "「ア、アハハ……\\n セリフ、なんだっけ……ッ!?」", | |||
"201027211_80": "「……?」", | |||
"201027211_81": "「……?」", | |||
"201027211_82": "「あわわわわ……\\n なんでもいいから急いでセリフを……!」", | |||
"201027211_83": "「えぇーっと、えぇーっと……ッ!」", | |||
"201027211_84": "「あ、あわ、あわわわ……\\n 響、がんばるのじゃ……ッ!」", | |||
"201027211_85": "「――あぁッ!?", | |||
"201027211_86": " なんでこんなところにッ!?」", | |||
"201027211_87": "「なんでって、だからそれは魔王を……」", | |||
"201027211_88": "「――ッ!? 友奈、違うッ!\\n 後ろじゃッ!!」", | |||
"201027211_89": "「星屑……!?\\n こんなところにまで……!」", | |||
"201027211_90": "「友奈ちゃんッ、戦おうッ!\\n 子供たちを護らなきゃッ!」", | |||
"201027211_91": "「もちろん!!」", | |||
"201027211_92": "「わ、<ruby=わっぱ>童</ruby>どもッ!\\n 危なくないように、頭を下げておるのじゃッ!」", | |||
"201027211_93": "「いくよッ! 友奈ちゃんッ!\\n 数は1体――速攻でやっつけるッ!」", | |||
"201027211_94": "「うんっ!!」", | |||
"201027211_95": "「たぁーッ!\\n やぁッ!」", | |||
"201027211_96": "「えいっ!\\n えりゃーっ!」", | |||
"201027211_97": "「子供たちに怖い思いなんて、\\n 絶対にさせない――ッ!」", | |||
"201027211_98": "「みんなが楽しみにしてた、\\n せっかくの人形劇まで台無しにしてっ!!」", | |||
"201027211_99": "「くらえっ、勇者パァァァーンチっ!!」", | |||
"201027211_100": "「我流・勇者パンチッ!」", | |||
"201027211_101": "「や、やった……ッ!」", | |||
"201027211_102": "「みんな、無事っ!? ――みたい、だね……", | |||
"201027211_103": " よかったぁ……誰もケガしてなくて……」", | |||
"201027211_104": "「でも……せっかくの人形劇が\\n めちゃくちゃに――」", | |||
"201027211_105": "「す……」", | |||
"201027211_106": "「すげーッ!!\\n 本物の勇者だーッ!!」", | |||
"201027211_107": "「カッコいいーッ!」", | |||
"201027211_108": "「え……ッ!?」", | |||
"201027211_109": "「すごいッ!\\n こんな劇初めて見たーッ!」", | |||
"201027211_110": "「こ、これは……なんという大ウケ……ッ」", | |||
"201027211_111": "「――っ響ちゃん!」", | |||
"201027211_112": "「うんッ!」", | |||
"201027211_113": "「ありがとう、みんなッ!」", | |||
"201027211_114": "「悪いやつはわたしたち勇者が\\n ちょちょいっとやっつけちゃったからねッ!」", | |||
"201027211_115": "「こうして、勇者たちの旅はまだまだ続くのであったっ……!」", | |||
"201027211_116": "「ありがとうございましたっ!!」", | |||
"201027211_117": "「それじゃあ、約束したヘンな木の人形のこと教えてあげるッ!\\n 勇者のおねーちゃんたちッ!」", | |||
"201027211_118": "「ヘンな、とはやはり聞き捨てならぬが……\\n いいじゃろう、話してみよッ!」", | |||
"201027211_119": "「あ、あはは……」", | |||
"201027211_120": "「うんッ!」", | |||
"201027211_121": "「それならわたしも知ってるかもー」", | |||
"201027211_122": "「それってもしかして、あれのことかなぁ?」", | |||
"201027211_123": "「じゃあ、みんなのお話、聞かせてくれるかなッ!?」", | |||
"201027211_124": "「はーいッ!」", | |||
"201027211_125": "「やったねッ!\\n 友奈ちゃん、ヤコちゃんッ!」", | |||
"201027211_126": "「うん!\\n これでかなり御神体に近づけそうだね!」", | |||
"201027211_127": "「使わしめ兼、勇者か……\\n フフ、なかなか悪くない響きではないか……」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,145 @@ | |||
{ | |||
"201027311_0": "響のバースデー2022", | |||
"201027311_1": "「ふぅッ! はぁッ!」", | |||
"201027311_2": "「やぁッ! たぁッ!」", | |||
"201027311_3": "「よし、少し休息を取ろう。\\n 鍛錬のし過ぎで倒れては、本末転倒だからな」", | |||
"201027311_4": "「はいッ!」", | |||
"201027311_5": "「そういえばもうすぐ、立花の誕生日か。\\n わたしにしてほしいことがあればなんでも言ってくれ」", | |||
"201027311_6": "「なんでもですかッ!?", | |||
"201027311_7": " その言葉に二言はありませんね?」", | |||
"201027311_8": "「ま、待て立花ッ!\\n ――わたしに出来ることで頼むぞ」", | |||
"201027311_9": "「無茶は言いませんから、大丈夫ですよ~」", | |||
"201027311_10": "「そうですね……あッ!", | |||
"201027311_11": " いいこと思いつきましたッ!」", | |||
"201027311_12": "「制服デートしましょうよッ!」", | |||
"201027311_13": "「せいふく……でーと……?」", | |||
"201027311_14": "「リディアンの制服を着て、\\n 2人でデートするんですッ!」", | |||
"201027311_15": "「リディアンの制服……ッ!?", | |||
"201027311_16": " だが、わたしはもう卒業した身なのだぞ……ッ!?」", | |||
"201027311_17": "「いいじゃないですか。\\n 翼さんなら、今着ても全然問題ないですよッ!」", | |||
"201027311_18": "「それにほら、創世ちゃんたちが戦う並行世界では\\n 翼さんも制服を着てたじゃないですか」", | |||
"201027311_19": "「あ、あれは状況が状況だったからだッ!」", | |||
"201027311_20": "(並行世界では着れても、ここで着るのとはわけが違う……)", | |||
"201027311_21": "「そ、そうだッ!\\n そもそも制服がどこにあるかなんてもうわからない」", | |||
"201027311_22": "「立花も、その……\\n わたしの部屋を知っているだろう?」", | |||
"201027311_23": "「アハハ……それは、確かに……」", | |||
"201027311_24": "「問題ありませんよ」", | |||
"201027311_25": "「うわぁッ!? 緒川さんッ!? \\n 一体いつからそこに……?」", | |||
"201027311_26": "「翼さんの制服であれば大切に保管してあります」", | |||
"201027311_27": "「いつか来たる有事に備えるため……。\\n これもマネージャーの仕事ですから」", | |||
"201027311_28": "「さすが緒川さんッ!」", | |||
"201027311_29": "(く……これで逃げ場はなくなったか……)", | |||
"201027311_30": "「じゃあ翼さんッ!\\n 改めて、わたしと制服デートしてくださいッ!」", | |||
"201027311_31": "「わかった。それが立花の望みならば、わたしも\\n 覚悟を決めよう。いい誕生日を迎えてもらいたいからな」", | |||
"201027311_32": "「ふーんふふーん♪\\n 翼さんと、制服で、ぇ、とーッ♪」", | |||
"201027311_33": "「もう着いていたか、\\n 待たせてすまないな」", | |||
"201027311_34": "「いえッ!\\n わたしも今来たところです」", | |||
"201027311_35": "「フ……。では、改めて。\\n 誕生日おめでとう、立花」", | |||
"201027311_36": "「ありがとうございますッ!」", | |||
"201027311_37": "「…………」", | |||
"201027311_38": "「ど、どうした?\\n ……やはり卒業したのに制服は変だったか?」", | |||
"201027311_39": "「いえ、その反対ですッ!\\n 久々に制服姿の翼さんを見れて嬉しいんですッ!」", | |||
"201027311_40": "「そ、そうか。\\n それならいいのだが……」", | |||
"201027311_41": "「じゃあ行きましょう、翼さん」", | |||
"201027311_42": "「今日のために制服デートとはなんたるかを調べてきましたから、\\n わたしにどんッとお任せくださいッ!」", | |||
"201027311_43": "「立花の誕生日だというのに。\\n わたしがエスコートするべきだったな」", | |||
"201027311_44": "「翼さんをエスコートすることも込みで、\\n 欲しいプレゼントですからッ!」", | |||
"201027311_45": "「まずは流行のスイーツを食べに行きましょうッ!」", | |||
"201027311_46": "「このお店ですッ!」", | |||
"201027311_47": "「見た目も味も最高だって、\\n 最近、密かに大人気なんですよッ!」", | |||
"201027311_48": "「それは知らなかったな……楽しみだ」", | |||
"201027311_49": "「さささ、中に入りましょ〜」", | |||
"201027311_50": "「むむむ……ッ。これは、想定していたよりも\\n ずっと強敵ですよ、翼さんッ!」", | |||
"201027311_51": "「む――ッ!?\\n どうした立花、何か異変が……」", | |||
"201027311_52": "「見てくださいッ、このメニューの多さッ!", | |||
"201027311_53": " はぁぁ〜……これは今日だけじゃ制覇は無理だぁ……」", | |||
"201027311_54": "「ならば、また来ればいいだろう」", | |||
"201027311_55": "「えッ!?\\n また一緒に来てくれるんですか……ッ!?」", | |||
"201027311_56": "「た、ただし、次に来るとすればわたしは私服だッ!\\n いいなッ!?」", | |||
"201027311_57": "「つ、翼さーんッ!」", | |||
"201027311_58": "「やれやれ……", | |||
"201027311_59": " ん? あれは――」", | |||
"201027311_60": "「あれ、翼ちゃんじゃね?」", | |||
"201027311_61": "「マジかよッ!", | |||
"201027311_62": " 写真撮ってもらおうぜッ!」", | |||
"201027311_63": "(やはりわたしのファンのようだが……)", | |||
"201027311_64": "(今は立花とのデート中……\\n 立花を待たせるわけには……)", | |||
"201027311_65": "「申し訳ございませんが、\\n 今はプライベートですので……」", | |||
"201027311_66": "「うわッ、びっくりしたッ!」", | |||
"201027311_67": "「プライベートと言われると、翼ちゃんの\\n 大事な時間をファンとして邪魔するわけには……ッ!」", | |||
"201027311_68": "「そうだな……」", | |||
"201027311_69": "「ご理解いただけて幸いです。\\n それではこちらに――」", | |||
"201027311_70": "「<size=25>……にしても、あの人、天井から降ってこなかったか?\\n 見間違いかな……</size>」", | |||
"201027311_71": "「<size=25>なんだそりゃ、見間違いだろ。\\n 天井からとか、忍者じゃあるまいし</size>」", | |||
"201027311_72": "「<size=25>だよなぁ、ハハッ!</size>」", | |||
"201027311_73": "(緒川さん……感謝します)", | |||
"201027311_74": "(直接断ってもよかったが、立花がそのことに気付いたら、\\n きっとファン対応を優先してくれと言うだろうからな)", | |||
"201027311_75": "(人が集まってデートどころではなくなってしまうだろう)", | |||
"201027311_76": "「翼さん、どうかしましたか?」", | |||
"201027311_77": "「あッ、さては翼さんも\\n どれにしようか迷ってたんですね……ッ!?」", | |||
"201027311_78": "「……そうだな。\\n そういうことにしておこう」", | |||
"201027311_79": "「???」", | |||
"201027311_80": "「美味しかったですね、スイーツッ!」", | |||
"201027311_81": "「ああ。\\n 今はああいうものが流行っているんだな」", | |||
"201027311_82": "「それより、こんなところへ来て今度は何をするんだ?」", | |||
"201027311_83": "「へへーん、翼さんもまだまだ\\n 流行の追っかけが甘いですね~」 ", | |||
"201027311_84": "「流行?\\n さっきのスイーツはわかるが、この森がか?」", | |||
"201027311_85": "「そうですよッ!\\n ここは今、映えスポットとして人気なんですッ!」", | |||
"201027311_86": "「だからわたしたちもここで\\n 可愛い動画を録りましょうッ!」", | |||
"201027311_87": "「ショート動画か。\\n それならわたしも仕事で録ったことがあるな」", | |||
"201027311_88": "「もちろん見ましたよッ!\\n それを見たからこそ翼さんと録りたかったんですッ!」", | |||
"201027311_89": "「それじゃあ、カメラをセットしますね」", | |||
"201027311_90": "(わたしたちの他にも動画を録っている女子たちがちらほら見えるな)", | |||
"201027311_91": "(あの奥の子……こっちを見ているような……)", | |||
"201027311_92": "「キャーッ!\\n あれ翼ちゃんよーッ!」", | |||
"201027311_93": "「この角度なら……ううん、\\n やっぱりこっちの角度で景色全部を……ッ!?」", | |||
"201027311_94": "(立花は準備に夢中でまだ気付いていないが……\\n あんなに大声で叫ばれてしまっては……)", | |||
"201027311_95": "「え?\\n 翼ってあの……?」", | |||
"201027311_96": "「動画に出てもらったらバズるんじゃない?」", | |||
"201027311_97": "(まずいな。\\n しかたない、立花に話して場所を変えるしか……)", | |||
"201027311_98": "「霧……? って、しまったッ!\\n 翼ちゃん見失っちゃった……ッ!」", | |||
"201027311_99": "「なんだー、翼さんかと思ったけど、\\n 見間違いだったわーッ!(裏声)」", | |||
"201027311_100": "「見間違いだって~。\\n ま、こんなところにいるはずないよね〜」", | |||
"201027311_101": "「てか、何この霧。\\n エモくない?」", | |||
"201027311_102": "「ん?\\n 今どこかで聞いたことのある声が……」", | |||
"201027311_103": "(恩に着ます、緒川さん……ッ!\\n 立花の誕生日は必ずいいものに……ッ!)", | |||
"201027311_104": "「それより、カメラは準備できたか?」", | |||
"201027311_105": "「はいッ!\\n バッチリですッ!」", | |||
"201027311_106": "「集中してて気付きませんでしたが、いつの間にか\\n いい感じの霧まで出てて、最高の映えが録れそうですッ!」", | |||
"201027311_107": "「いい動画が録れましたねッ!\\n わたしの宝物にしますッ!」", | |||
"201027311_108": "「フフッ、わたしも大事にしよう」", | |||
"201027311_109": "(立花とこうして2人で過ごすのは久しぶりで、\\n 楽しい時間を過ごせている……本当によかった)", | |||
"201027311_110": "「翼さん……?\\n もしかして疲れちゃいましたか?」", | |||
"201027311_111": "「たくさん歩きましたもんね。\\n すみません、わたしばっかりはしゃいじゃって……」", | |||
"201027311_112": "「何を言う、謝ることじゃない。\\n 今日は立花の誕生日なんだ」", | |||
"201027311_113": "「だが……そうだな、強いて言うならば\\n もう少し人が少ない場所だと助かるな」", | |||
"201027311_114": "(立花にも、緒川さんにも迷惑かけたくないからな……)", | |||
"201027311_115": "「2人きりでゆっくり過ごせる場所――\\n ってことですかッ!?」", | |||
"201027311_116": "「なッ!?\\n そ、そこまでは言っていないッ!」", | |||
"201027311_117": "「アハハ。ですよねー。\\n それなら、水族館はどうですか?」", | |||
"201027311_118": "「あそこなら、人も少なくてゆっくりできると思います」", | |||
"201027311_119": "「いい案だな。\\n 立花も楽しめるだろうか?」", | |||
"201027311_120": "「120%……200%……\\n いいえ、ストップ高で楽しみますともッ!」", | |||
"201027311_121": "「今日は立花の望んでいた、\\n 流行の制服デートは出来ただろうか?」", | |||
"201027311_122": "「もちろんですッ!\\n 翼さんだからこそ、制服デートをお願いしたんですからッ」", | |||
"201027311_123": "「わたしだからこそ……?」", | |||
"201027311_124": "「やっぱりわたしにとって、\\n 制服の翼さんは憧れの象徴だったので」", | |||
"201027311_125": "「実はあの頃ももっと、\\n こんな風にデートに誘いたかったんです」", | |||
"201027311_126": "(なるほどな。\\n それで制服デートを……)", | |||
"201027311_127": "「その言い方だと、\\n まるで今は憧れではなくなってしまったみたいだな?」", | |||
"201027311_128": "「確かに……」", | |||
"201027311_129": "「うッ……まさか同意を得られるとは……」", | |||
"201027311_130": "「いやいやッ!\\n 違いますよ、翼さんッ!」", | |||
"201027311_131": "「あの頃、ただ憧れの存在だった翼さんが、\\n 今は憧れだけじゃなくなったんです」", | |||
"201027311_132": "「唄ってるところも、戦ってるところも、\\n 悩んでるところも、ちょっぴり抜けてるところも……」", | |||
"201027311_133": "「一緒に過ごして、いろんな翼さんを知って……\\n もっと好きになっちゃったんです」", | |||
"201027311_134": "「そう臆面もなく言われると面はゆいが……」", | |||
"201027311_135": "「きっとそれは、わたしも同様だ」", | |||
"201027311_136": "「最初に出会った頃は、わたしの未熟さゆえに、\\n 立花のことを認めたくないとすら思っていたのに」", | |||
"201027311_137": "「仲間になって、いろんな立花の顔を知って……」", | |||
"201027311_138": "「気付けばわたしも、\\n 立花のことを掛け替えのない友だと思っている」", | |||
"201027311_139": "「翼さん……ッ!」", | |||
"201027311_140": "「だからこそ来年も、再来年も、その先もずっと\\n こうして立花の誕生日を祝わせてほしい」", | |||
"201027311_141": "「……ッ!」", | |||
"201027311_142": "「はいッ!\\n 楽しみにしてますねッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,92 @@ | |||
{ | |||
"201027411_0": "紅茶の美味しい飲み方", | |||
"201027411_1": "「やっほー、遊びにきたよッ!」", | |||
"201027411_2": "「おお、2人ともいらっしゃいデスッ!」", | |||
"201027411_3": "「どうぞ上がってください」", | |||
"201027411_4": "「お邪魔しまーすッ!」", | |||
"201027411_5": "「今日はね、2人にお土産があるんだよ」", | |||
"201027411_6": "「本当デスかッ!?」", | |||
"201027411_7": "「紅茶だよ。ちょっとお高めのダージリンを\\n みんなで味わおうと思って」", | |||
"201027411_8": "「わたしお気に入りの\\n 紅茶にピッタリなお菓子も持ってきたよッ!」", | |||
"201027411_9": "「美味しそう……\\n ありがとうございます」", | |||
"201027411_10": "「そういうことなら、\\n アタシも部屋に隠しておいたお菓子を取りに行くデスッ!」", | |||
"201027411_11": "「これじゃあ、\\n お菓子が主役になっちゃうんじゃ……」", | |||
"201027411_12": "「フフ……2人とも、すっかりご機嫌だね。", | |||
"201027411_13": " それじゃあ、わたしたちは準備を始めよっか?」", | |||
"201027411_14": "「未来、手伝うよッ!」", | |||
"201027411_15": "「だったら、お客さん用のティーカップを用意しますね」", | |||
"201027411_16": "「うん、よろしくね」", | |||
"201027411_17": "「はあ、いい香りですね……」", | |||
"201027411_18": "「良かった、気に入ってくれて」", | |||
"201027411_19": "「本当に爽やかな香りですね。\\n お店で飲む紅茶みたいです」", | |||
"201027411_20": "「そこまで褒めてくれると嬉しいな。\\n ちょっと渋みがある分、甘いお菓子と相性がいいんだよ」", | |||
"201027411_21": "「本当ですね……\\n 普段食べるより、ずっと美味しく感じます」", | |||
"201027411_22": "「こんなに色とりどりのお菓子があると、\\n ケーキスタンドに並べて本場のお茶会っぽくしてみたいね」", | |||
"201027411_23": "「前に響と見た映画で、\\n イギリスの貴族がアフタヌーンティーでやっていたの」", | |||
"201027411_24": "「むむむ……響さんの持ってきたお菓子……", | |||
"201027411_25": " なんとも甘くて美味しいデスね……ッ!」", | |||
"201027411_26": "「そういう切歌ちゃんのも、クリームがたっぷりで……」", | |||
"201027411_27": "「……うーん。そこの2人はお菓子ばっかり食べていて、\\n 紅茶を味わってないんじゃないのかな」", | |||
"201027411_28": "「気づいたら、\\n たくさんあったお菓子の半分くらい食べてる……」", | |||
"201027411_29": "「えッ!? そんなことないよ。\\n お菓子と同じくらい紅茶も楽しんでるよね」", | |||
"201027411_30": "「その通りデスッ!\\n 両方、美味しくいただいてるデスよッ!」", | |||
"201027411_31": "「今日は紅茶が主役なんだけどなぁ……」", | |||
"201027411_32": "「――って、未来たちに呆れられたんですけど、\\n マリアさんはどう思いますか?」", | |||
"201027411_33": "「せっかくの紅茶をそっちのけでお菓子ばかり食べていたのなら、\\n それは少しかわいそうね」", | |||
"201027411_34": "「ちゃんと紅茶も美味しく飲んだデス。\\n これもお茶会デスよねッ!」", | |||
"201027411_35": "「楽しみ方は人それぞれだから、自由でもいいと思うわ。", | |||
"201027411_36": " ……ただ、2人のそれは、お茶会とは言い難いわね」", | |||
"201027411_37": "「そんな……", | |||
"201027411_38": " じゃあ、本当のお茶会を教えてほしいデスッ!」", | |||
"201027411_39": "「前にイギリスへツアーで行ったときに招待された\\n アフタヌーンティーのことなら少しは教えてあげられるかも……」", | |||
"201027411_40": "「まあ、わたしも招待の話をいただいて、\\n 一夜漬けで覚えた程度の作法だから、本当に簡単なものだけど」", | |||
"201027411_41": "「ほんとですかッ!?\\n ぜひお願いしますッ!」", | |||
"201027411_42": "「それなら、\\n アフタヌーンティーを楽しめるホテルへ行きましょう」", | |||
"201027411_43": "「2人はいつだったら時間が取れるかしら?」", | |||
"201027411_44": "「いつでも大丈夫デスッ!」", | |||
"201027411_45": "「なんなら、今すぐにでも行けますよッ!」", | |||
"201027411_46": "「……思った以上の食いつきね。", | |||
"201027411_47": " それなら、すぐに行きましょうか」", | |||
"201027411_48": "「お茶会の作法、\\n ちゃんと覚えて帰ってもらうわよ」", | |||
"201027411_49": "「本格的なお茶会……\\n 映画で見た、貴族のお茶会……」", | |||
"201027411_50": "「ゴージャスなお茶会、\\n すごく楽しみデスッ!」", | |||
"201027411_51": "「……あなたたち、\\n どんなお茶会を想像しているのかしら?」", | |||
"201027411_52": "「そうだッ! わたしたちも映画みたいにオシャレして、\\n お茶会をするってのはどうかな?」", | |||
"201027411_53": "「賛成デースッ!\\n マリアも一緒にオシャレするデスッ!」", | |||
"201027411_54": "「い、いったいどこへ連れて行くのッ!?」", | |||
"201027411_55": "「まさか、貸衣装店でドレスを借りて\\n ホテルに来るとは思わなかったわ……」", | |||
"201027411_56": "「2人とも、思いついてからの行動力がすごいわね」", | |||
"201027411_57": "「エヘヘ、お茶会といえばドレスのイメージだったので……。\\n それじゃあ先生、よろしくお願いしますッ!」", | |||
"201027411_58": "「アタシたちにお茶会についての授業を、\\n お願いするデスッ!」", | |||
"201027411_59": "「そうね。個室を借りる手間までかけたのだから、\\n しっかり説明していこうかしら」", | |||
"201027411_60": "「2人とも準備はいい?」", | |||
"201027411_61": "「はいッ!」", | |||
"201027411_62": "「オッケーデスッ!」", | |||
"201027411_63": "「それじゃあ最初は、\\n 紅茶の知識を深めるところから始めましょうか」", | |||
"201027411_64": "「ええッ!? そこから始めるんですか?\\n せっかくドレスを用意したのに……」", | |||
"201027411_65": "「早く紅茶とお菓子を味わいたいデス……」", | |||
"201027411_66": "「……何か不満でもあるのかしら」", | |||
"201027411_67": "「いえッ!\\n 是非そのまま続けてくださいッ!」", | |||
"201027411_68": "「そう?\\n なら、まず茶葉の種類についてだけど……」", | |||
"201027411_69": "「……これで作法の授業はおしまい。\\n お疲れ様」", | |||
"201027411_70": "「疲れた……」", | |||
"201027411_71": "「もう、ドレスを着る前から\\n お腹と背中がくっつきそうデースッ!」", | |||
"201027411_72": "「フフ。わたしもクラシックなドレスでのお茶会は初めてだわ。\\n さあ! 着替えたらお待ちかねの実践よ」", | |||
"201027411_73": "「ま、待ってましたッ!」", | |||
"201027411_74": "「ついにお茶会の始まりデスッ!」", | |||
"201027411_75": "「2人とも、さっき説明した通りよ。\\n それじゃあ、わたしが給仕役をするわね」", | |||
"201027411_76": "「……本日の茶葉はダージリンでございます」", | |||
"201027411_77": "「オータムナルのため渋みは強めですから、\\n お好みでミルクを注いでもお楽しみいただけます」", | |||
"201027411_78": "「あの優雅な身のこなし……」", | |||
"201027411_79": "「背景にバラの華が見えてきそうデス……」", | |||
"201027411_80": "「あら、ありがとう。あなたたちもいつもより落ち着いていて、\\n 立派な淑女に見えるわよ」", | |||
"201027411_81": "「借り物のドレスだから汚しちゃいけないって思うと、\\n 動きも自然とおしとやかになるのかな?」", | |||
"201027411_82": "「まずは形から入ろうとしたのが、\\n いい結果になったデスッ!」", | |||
"201027411_83": "「ええ、形から入るのは大事ね。お菓子だけではなくて、\\n 紅茶の味に集中すれば自然と楽しみ方も身につくでしょう」", | |||
"201027411_84": "「……おおッ!? マリアに教えてもらった通りにしたら\\n 紅茶の香りとお菓子の甘さが、口の中に広がるデス……」", | |||
"201027411_85": "「紅茶の勉強をしたあとに飲む1杯……。\\n 教えてもらった知識が頭に浮かんでくるッ!」", | |||
"201027411_86": "「フフ。わたしの付け焼き刃的な知識だったけど、\\n 2人の役に立ったようで嬉しいわ」", | |||
"201027411_87": "「今度は、みんなも呼んでお茶会を開きましょうか」", | |||
"201027411_88": "「はいッ!」", | |||
"201027411_89": "「その日が楽しみデスッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,100 @@ | |||
{ | |||
"201027511_0": "セレナのバースデー2022", | |||
"201027511_1": "「……うん、よしッ。まだまだ簡単な問題集だけど、\\n 少しずつ理解できてきた気がする……」", | |||
"201027511_2": "「もうちょっと、がんばろうッ!」", | |||
"201027511_3": "「えーっと、\\n 時速5kmで3分歩いた道のりは……っと」", | |||
"201027511_4": "「うーん……でも、少しリフレッシュしたら、\\n 勉強内容も、もっと頭に入ってくるかな……」", | |||
"201027511_5": "「よっ」", | |||
"201027511_6": "「あッ!\\n 雪音さん、こんにちは」", | |||
"201027511_7": "「おう。\\n そういえば、今日は定期報告の日だったな」", | |||
"201027511_8": "「報告はもう済んだのか?」", | |||
"201027511_9": "「はい」", | |||
"201027511_10": "「今、姉さんが訓練中なので、\\n 終わるまでここで待とうと思って」", | |||
"201027511_11": "「なるほどな」", | |||
"201027511_12": "「雪音さんは休憩ですか?」", | |||
"201027511_13": "「まあ、そんなところだ。\\n 向かい側、座ってもいいか?」", | |||
"201027511_14": "「はい、どうぞ」", | |||
"201027511_15": "「じゃあ、失礼するな。\\n しょ……っと」", | |||
"201027511_16": "「ん?\\n 問題集……?」", | |||
"201027511_17": "「勉強してたのか。\\n 悪い、邪魔したか?」", | |||
"201027511_18": "「いえいえ。姉さんを待つ間にすることがなかっただけなので、\\n 気にしないでください」", | |||
"201027511_19": "「それに、ちょうど\\n 一息入れようかなと思っていたところだったんです」", | |||
"201027511_20": "「そうか?\\n だったらいいんだけど……」", | |||
"201027511_21": "「そういえば、お前……\\n もうすぐ誕生日だったよな」", | |||
"201027511_22": "「欲しいものがあったら、教えてもらえると助かる」", | |||
"201027511_23": "「わあッ!\\n わたしの誕生日、覚えていてくれたんですねッ!」", | |||
"201027511_24": "「当たり前だろ。\\n 毎年祝わせてもらってるしな」", | |||
"201027511_25": "「フフッ、ありがとうございます」", | |||
"201027511_26": "「で、なんか欲しいものはあるか?」", | |||
"201027511_27": "「うーん、特にないですね。", | |||
"201027511_28": " 祝ってもらえるだけで嬉しいので」", | |||
"201027511_29": "「それはわからないでもないけどよ……。\\n もうちょっと、欲張りになってもいいと思うぞ?」", | |||
"201027511_30": "「そんなことありませんよ、\\n わたしは贅沢者です」", | |||
"201027511_31": "「こうやって、\\n 雪音さんが誕生日をお祝いしようとしてくれるんですから」", | |||
"201027511_32": "「はぁ……。\\n ったく、敵わないな」", | |||
"201027511_33": "(でも、そうは言ってもなあ。", | |||
"201027511_34": " うーん……)", | |||
"201027511_35": "「――ん?", | |||
"201027511_36": " おい、そこの問題、答え間違ってるぞ」", | |||
"201027511_37": "「え、どこですか?」", | |||
"201027511_38": "「ここだ、問3の歩いた道のりを求める問題」", | |||
"201027511_39": "「あッ、本当ですね。", | |||
"201027511_40": " 教えてくれてありがとうございます、雪音さん」", | |||
"201027511_41": "「うーん、でも、どこで間違えたんだろう……。\\n 計算間違いかな……?」", | |||
"201027511_42": "「いや、計算はあってる。\\n 使う公式を間違ってるんだ」", | |||
"201027511_43": "「ほら、ここで割り算をしてるだろ?\\n 道のりは、スピードに時間を掛け算して求めるんだ」", | |||
"201027511_44": "「なるほど。と、いうことは、ここを掛け算して……、", | |||
"201027511_45": " 答えはこう……ですか?」", | |||
"201027511_46": "「ああ、正解だ」", | |||
"201027511_47": "「やったあッ!」", | |||
"201027511_48": "「雪音さんすごいですッ!\\n まるで先生みたいですねッ!」", | |||
"201027511_49": "「大げさだ。\\n こんなの大したことないだろ」", | |||
"201027511_50": "「そんなことないですよッ!」", | |||
"201027511_51": "「あの、雪音さん。\\n よかったら、わたしに勉強を教えてくれませんか?」", | |||
"201027511_52": "「えッ、あたしがッ!?」", | |||
"201027511_53": "「はい、とってもわかりやすかったので、\\n ぜひお願いしたいですッ!」", | |||
"201027511_54": "「もっともっと、マムやみんなの役に立つためには、\\n 知識や教養が必要だと思って勉強を始めてみたんですけど……」", | |||
"201027511_55": "「1人だと思うようにいかなくって……」", | |||
"201027511_56": "「F.I.S.ではマムも他の職員の方も忙しそうにしていて、\\n なかなか聞く機会もなくて困っていたんです」", | |||
"201027511_57": "「だから、お願いします雪音さん……いえ、雪音先生ッ!\\n わたしに勉強を教えてくださいッ!」", | |||
"201027511_58": "「ゆ、雪音先生って……ッ!」", | |||
"201027511_59": "「あたしは、その、先生なんて柄じゃないだろ……」", | |||
"201027511_60": "「そんなことないですッ!」", | |||
"201027511_61": "「わたしが困っていたら何も言わなくても\\n 優しく助けてくれたじゃないですか」", | |||
"201027511_62": "「そ、それは別に、間違いが気になっただけで……ッ!」", | |||
"201027511_63": "「でも、わたしがわかっていないところを的確に見抜いて、\\n 教えてくれましたし……」", | |||
"201027511_64": "「実際、雪音さんに教えてもらったら、\\n すぐに問題が解けたじゃないですかッ!」", | |||
"201027511_65": "「だから、雪音さんは先生に向いていると思うんですッ!」", | |||
"201027511_66": "「お願いします、雪音先生ッ!\\n わたしに勉強を教えてくださいッ!」", | |||
"201027511_67": "「うぐッ……」", | |||
"201027511_68": "(ちくしょう……ッ! こんなキラキラした目でお願いされたら、\\n 断れないじゃないか……ッ!)", | |||
"201027511_69": "「わ、わかったよッ!\\n じゃあ、これが誕生日プレゼントなッ!」", | |||
"201027511_70": "「はい、ありがとうございますッ!」", | |||
"201027511_71": "「いいか、このことは絶対誰にも言うなよッ!」", | |||
"201027511_72": "「もちろんです、誰にも言いません」", | |||
"201027511_73": "「よしッ!\\n それじゃあ、始めるぞッ!」", | |||
"201027511_74": "「はい、よろしくお願いしますッ!」", | |||
"201027511_75": "「いいか? 時速80kmの物体が400km先にある標的に\\n 到達するまでの時間は、標的までの距離を時速で割れば……」", | |||
"201027511_76": "「えーっと……こう、ですか?」", | |||
"201027511_77": "「ああ、バッチリだッ!\\n やるじゃないかッ!」", | |||
"201027511_78": "「エヘヘ、ありがとうございます」", | |||
"201027511_79": "「雪音先生に教えてもらうと、\\n どんどん新しいことができるようになって嬉しいです」", | |||
"201027511_80": "「わたし、勉強するのがもっと楽しくなってきましたッ!」", | |||
"201027511_81": "「そ、そうか……ッ!」", | |||
"201027511_82": "「よし、じゃあこの調子で他の問題もやっていくぞッ!」", | |||
"201027511_83": "「はいッ!」", | |||
"201027511_84": "「それじゃ、次はスピードを求める問題だ。\\n 300kmを2時間で移動した物体のスピードの出し方は……」", | |||
"201027511_85": "「あら、珍しい2人組ね」", | |||
"201027511_86": "「あッ、姉さん」", | |||
"201027511_87": "「訓練終わったのか?」", | |||
"201027511_88": "「ええ、今さっき。\\n 2人は何をしていたの?」", | |||
"201027511_89": "「フフッ、\\n 雪音さんから素敵な誕生日プレゼントを貰っていたんだ」", | |||
"201027511_90": "「プレゼント?\\n いったい何を――」", | |||
"201027511_91": "「あ、あーッ!\\n あたし、ちょっと用事を思い出したッ!」", | |||
"201027511_92": "「というわけで、この続きはまた今度なッ!」", | |||
"201027511_93": "「フフ……」", | |||
"201027511_94": "「どうやら、とっても素敵なものを貰えたみたいね」", | |||
"201027511_95": "「うんッ!」", | |||
"201027511_96": "(雪音さん、また今度って言ってくれた。\\n それって、また勉強を教えてくれるってことですよね)", | |||
"201027511_97": "(次もよろしくお願いします、雪音先生ッ!)" | |||
} |
@@ -0,0 +1,59 @@ | |||
{ | |||
"201027611_0": "いたいの飛んでけ", | |||
"201027611_1": "「本当に大丈夫なのか……?」", | |||
"201027611_2": "「痛かったら痛いって言っていいんだよ?」", | |||
"201027611_3": "「だから、大丈夫だって」", | |||
"201027611_4": "「みんな、お帰りなさい。任務おつかれさま……。", | |||
"201027611_5": " って、どうかしたの?」", | |||
"201027611_6": "「あ、未来。ただいま。\\n 実は、戦闘中に敵の攻撃を受けそうになって……」", | |||
"201027611_7": "「ええッ!?\\n だ、大丈夫だったのッ!?」", | |||
"201027611_8": "「クリスちゃんがかばってくれたから平気」", | |||
"201027611_9": "「本当にごめんね、クリスちゃん……」", | |||
"201027611_10": "「だから、もう気にするなって」", | |||
"201027611_11": "「こんなかすり傷――」", | |||
"201027611_12": "「……ッ!", | |||
"201027611_13": " ほら、叩いたって痛くもなんともないぜ」", | |||
"201027611_14": "「……」", | |||
"201027611_15": "「本人がこう言っているんだ、あまり気に病むな」", | |||
"201027611_16": "「まー、なんだ。頼りない後輩を助けるのも\\n 先輩の務めってことだ」", | |||
"201027611_17": "「ありがとう、クリスちゃん」", | |||
"201027611_18": "「とはいえ、次なる任務に備え、\\n メディカルルームには行っておくべきだろう」", | |||
"201027611_19": "「……ああ、わかってる」", | |||
"201027611_20": "「わたしも行くよ」", | |||
"201027611_21": "「たいしたことないんだから、1人で十分だッ!」", | |||
"201027611_22": "「それじゃあな」", | |||
"201027611_23": "「う、うん」", | |||
"201027611_24": "「さて、ではわたしたちは反省会でもするか。\\n 立花も同じミスを繰り返さないようにしないとな」", | |||
"201027611_25": "「はいッ! またクリスちゃんにかばってもらうわけには\\n いきませんからッ!」", | |||
"201027611_26": "「ね、未来」", | |||
"201027611_27": "「……って、あれ? 未来がいない。\\n どこに行ったんだろ?」", | |||
"201027611_28": "「痛ててて……。\\n 思ったよりいってんな、これ……」", | |||
"201027611_29": "「ったく、片手じゃ包帯も満足に巻けやしない……」", | |||
"201027611_30": "「やっぱり痛むんだ」", | |||
"201027611_31": "「……ッ!?\\n お、お前ッ、どうして……」", | |||
"201027611_32": "「気づくよ、痛そうだったもの。\\n 傷を叩いたりして……。無理したらダメだよ」", | |||
"201027611_33": "「べ、別に無理なんかしていないッ!\\n これぐらい、どうってことないんだからな……」", | |||
"201027611_34": "「心配かけたくないの?", | |||
"201027611_35": " フフ、……優しいよね、クリスは」", | |||
"201027611_36": "「な、何言ってんだ……」", | |||
"201027611_37": "「でも、無理しちゃダメ」", | |||
"201027611_38": "「ほら、包帯貸して。\\n 巻いてあげるから」", | |||
"201027611_39": "「いいって。\\n どうってことない」", | |||
"201027611_40": "「こんな怪我……、\\n だから、同情なんかするなよな」", | |||
"201027611_41": "「ううん、同情とかそんなのじゃないよ」", | |||
"201027611_42": "「響を助けてくれて気遣ってくれたから。\\n ……そのお礼がしたいの」", | |||
"201027611_43": "「…………」", | |||
"201027611_44": "「……ったく、仕方ねーな。\\n その……、頼んだ」", | |||
"201027611_45": "「うん、まかせてッ!」", | |||
"201027611_46": "「ここを、こうして……」", | |||
"201027611_47": "「よし、終わりッ!\\n ……どうかな?」", | |||
"201027611_48": "「ん……。まぁ、いいんじゃないか。\\n その、ありがとな」", | |||
"201027611_49": "「どういたしまして。\\n それじゃ、最後の仕上げに……」", | |||
"201027611_50": "「いたいのいたいの、飛んでけーッ」", | |||
"201027611_51": "「な、何やってるんだッ!?」", | |||
"201027611_52": "「フフ、おまじない」", | |||
"201027611_53": "「ぶっきらぼうだけど、本当は優しい誰かさんのために、\\n 痛いのが消えて傷が早く治りますように」", | |||
"201027611_54": "「ば、ばか……、子供相手じゃないんだッ!\\n 何言ってんだか……」", | |||
"201027611_55": "(でも……、なんか懐かしい感じだな。\\n 小さい頃、ママにもやってもらったっけ……)", | |||
"201027611_56": "(ったく、この子には勝てないな……)" | |||
} |
@@ -0,0 +1,73 @@ | |||
{ | |||
"201027711_0": "未来のバースデー2022", | |||
"201027711_1": "「フフ……\\n ついつい、ずっと見ちゃうな」", | |||
"201027711_2": "「響にもらったマグカップ……」", | |||
"201027711_3": "「ん……未来さんも目が覚めちゃったんですか?」", | |||
"201027711_4": "「調ちゃん」", | |||
"201027711_5": "「ごめんね、起こしちゃったかな?」", | |||
"201027711_6": "「いえ、実はさっきから、わたしも起きていたんです。\\n 静かだなって思ってたら、未来さんの声が聞こえたので」", | |||
"201027711_7": "「やだ、聞こえてた?\\n ちょっと恥ずかしいな……」", | |||
"201027711_8": "「みんなに誕生日を祝ってもらって本当に嬉しかったから、\\n まだ気持ちがふわふわしているのかも」", | |||
"201027711_9": "「みんな大はしゃぎだったから……。\\n すっかり、眠っちゃってますもんね」", | |||
"201027711_10": "「切ちゃんも、よく寝てる」", | |||
"201027711_11": "「本当はパジャマに着替えたほうがいいんだろうけど……\\n 起こすのが忍びないくらいだものね」", | |||
"201027711_12": "「……本当にみんな、幸せそうな顔で眠ってる」", | |||
"201027711_13": "「この前も、これまでも何度も、\\n いろんなことがあったなんて思えないくらい」", | |||
"201027711_14": "「本当に色々ありましたね」", | |||
"201027711_15": "「……うん」", | |||
"201027711_16": "「だから余計に、なのかな。今日、みんなが\\n 用意してくれた『プレゼント』が、本当に……」", | |||
"201027711_17": "「本当に、泣きそうになるくらい嬉しかったの」", | |||
"201027711_18": "「想い出に残る日にしようって、\\n みんなと決めたんですけど……」", | |||
"201027711_19": "「うん。\\n だから『カタチに残らないプレゼント』だったんだよね」", | |||
"201027711_20": "「でもやっぱり、モノのプレゼントがあったほうが\\n よかったですか?」", | |||
"201027711_21": "「あッ、ううん、違うよ。\\n そんなつもりで言ったんじゃないの」", | |||
"201027711_22": "「けど、そのマグカップ……」", | |||
"201027711_23": "「これはこの前、響がくれたものだから、つい……ね。", | |||
"201027711_24": " フフ、本当に他意はないんだ」", | |||
"201027711_25": "「特別なマグカップだから、これを使うのは\\n 特別なときにしようかな――とか、色々考えていたの」", | |||
"201027711_26": "「大切にしてるんですね」", | |||
"201027711_27": "「うん。だから今日みたいに嬉しかったり、楽しかったとき……", | |||
"201027711_28": " ケンカ……は、なるべくしたくないから、どうしようかな」", | |||
"201027711_29": "「なら、仲直りしたときとか?」", | |||
"201027711_30": "「それ、すごく素敵だと思うッ!」", | |||
"201027711_31": "「うーん……むにゃむにゃ……」", | |||
"201027711_32": "「しーッ!」", | |||
"201027711_33": "「……」", | |||
"201027711_34": "「フフフッ」", | |||
"201027711_35": "「……ときどき、思うんです」", | |||
"201027711_36": "「……未来さんはすごく優しいから、\\n わたしたちのいろんな失敗を許してくれすぎちゃう」", | |||
"201027711_37": "「謝りたいときも謝らせてくれないのは、\\n ちょっとずるいです」", | |||
"201027711_38": "「えッ……」", | |||
"201027711_39": "「……そっか」", | |||
"201027711_40": "「そういうところですよ」", | |||
"201027711_41": "「……フフ」", | |||
"201027711_42": "「じゃあ、この想い出も大事にとっておくね」", | |||
"201027711_43": "「まさかこれも、ケンカの1つとして……?」", | |||
"201027711_44": "「ケンカまではしてないと思うけど。\\n 調ちゃんがせっかく言ってくれたお小言だもの」", | |||
"201027711_45": "「でしょ?」", | |||
"201027711_46": "「う……」", | |||
"201027711_47": "「だからこれもきっと、\\n 自分を支える大事な想い出になっていく――」", | |||
"201027711_48": "「こうやって想い出を1つ1つ、\\n このマグカップに溢れるくらいためていきたいな」", | |||
"201027711_49": "「……」", | |||
"201027711_50": "「じゃあ……いま、使いませんか?」", | |||
"201027711_51": "「わたしがあったかいもの、淹れますから」", | |||
"201027711_52": "「はい、どうぞ。\\n 特別なホットココアです」", | |||
"201027711_53": "「みんなにバレたら、これも『プレゼント』になっちゃって、\\n プレゼント責めに遭うかもしれないので……内緒ですよ?」", | |||
"201027711_54": "「そ、そんなことないんじゃないかな……?」", | |||
"201027711_55": "「……響さんが知ったとしても、\\n ソンナコトナイって言えますか?」", | |||
"201027711_56": "「それは……。\\n 確かに自信ないかも」", | |||
"201027711_57": "「でも……まあ、そうですね。\\n 大丈夫かなって思います」", | |||
"201027711_58": "「飲んじゃえば、\\n これも『カタチに残らないプレゼント』なので」", | |||
"201027711_59": "「だから今日は特別に、マシュマロもつけちゃいます」", | |||
"201027711_60": "「フフッ、ありがとう」", | |||
"201027711_61": "「寝ちゃう前にもう1回。\\n お誕生日おめでとうございます、未来さん」", | |||
"201027711_62": "「未来さんが『ここ』にいてくれて、", | |||
"201027711_63": " その……嬉しいです」", | |||
"201027711_64": "「わたしも、みんながいるこの場所にいられることが\\n すごく嬉しいんだ」", | |||
"201027711_65": "「明日も、明後日も、その先も」", | |||
"201027711_66": "「ここを……大事な人たちを護るために。\\n また明日から頑張りたい」", | |||
"201027711_67": "「未来さん……」", | |||
"201027711_68": "「一緒に、頑張りましょう」", | |||
"201027711_69": "「うん。\\n ありがとう」", | |||
"201027711_70": "「本当に、幸せな1日だったよッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,80 @@ | |||
{ | |||
"201027811_0": "デートの相手", | |||
"201027811_1": "「久しぶりの響とのお出かけ、楽しみだね」", | |||
"201027811_2": "「うんッ!\\n 早く行こうよ、未来」", | |||
"201027811_3": "「でも、着ていく洋服が決まらなくて……」", | |||
"201027811_4": "「未来は何を着ても可愛いから大丈夫。\\n 行こ行こッ!」", | |||
"201027811_5": "「もう……。\\n 響と出かけるからこそ、ちゃんとしたいのに」", | |||
"201027811_6": "「だって楽しみだから、\\n 早く行きたいんだもん」", | |||
"201027811_7": "「フフ……響ったら。", | |||
"201027811_8": " でも、それはわたしも同じ気持ちだよ」", | |||
"201027811_9": "「今日はまず、この前見つけた\\n クレープ屋さんに行こうと思うんだ」", | |||
"201027811_10": "「その近くの公園の池にボートがあるんだって。\\n それにも乗ってみたいなぁ」", | |||
"201027811_11": "「クレープにボートッ! いいねッ!\\n もっと楽しみになってきちゃった」", | |||
"201027811_12": "「ほらほらッ!\\n 早く準備して行こうよ」", | |||
"201027811_13": "「わわわッ、このタイミングで連絡ッ!?", | |||
"201027811_14": " ――はいッ、立花です」", | |||
"201027811_15": "「……ええッ!? 今からですか?", | |||
"201027811_16": " わ、わかりました。すぐに向かいます……」", | |||
"201027811_17": "「任務?」", | |||
"201027811_18": "「うん……。\\n 今回は未来は待機で、わたしだけ出動だって」", | |||
"201027811_19": "「未来、ごめんッ!\\n 本当にごめんッ!」", | |||
"201027811_20": "「響が謝ることじゃないよ。\\n ね?」", | |||
"201027811_21": "「でも、未来とのお出かけが……\\n デートがぁ……」", | |||
"201027811_22": "「任務なんだから仕方ないよ。\\n ほら、早く行かないと」", | |||
"201027811_23": "「この埋め合わせは絶対にするからッ!\\n 本当にごめんねッ!!」", | |||
"201027811_24": "「うん、気を付けてねッ!」", | |||
"201027811_25": "(寮にいてもすることがないから1人で出かけてみたけど、\\n やっぱりちょっと寂しい……)", | |||
"201027811_26": "(みんな、楽しそうだなぁ……。\\n はぁ……本当は響と2人で来るはずだったのに)", | |||
"201027811_27": "「なんだ、ヘコんでるみたいだけど何かあったのか?」", | |||
"201027811_28": "「奏さんッ!?", | |||
"201027811_29": " こちらに来てたんですね」", | |||
"201027811_30": "「ちょっとした野暮用があってね。それが終わって\\n 帰ろうとしたら、あんたを見かけたってわけだ」", | |||
"201027811_31": "「で、どうしたんだよ。\\n そんな顔して」", | |||
"201027811_32": "「ええっと、実は……」", | |||
"201027811_33": "「アハハハッ!\\n 任務に相棒を取られちまったのか」", | |||
"201027811_34": "「なんでこういう日に限って任務が入るんでしょうね」", | |||
"201027811_35": "「実はさ、あたしも同じなんだ。", | |||
"201027811_36": " 翼と会う予定だったのに、呼び出されてどこか行っちまった」", | |||
"201027811_37": "「きっと響と同じ任務ですね」", | |||
"201027811_38": "「……そうだッ!\\n 相棒にフラれた者同士でデートするなんてどうだ?」", | |||
"201027811_39": "「えッ!?\\n わ、わたしと奏さんで……」", | |||
"201027811_40": "「嫌かい?」", | |||
"201027811_41": "「いえッ! そんなことないんですけど、", | |||
"201027811_42": " ちょっと緊張するというか……」", | |||
"201027811_43": "「なら、問題ないな。ほら、行くぞッ!\\n 向こうにあるクレープ屋がおすすめなんだ」", | |||
"201027811_44": "「ま、待ってください……ッ!\\n 引っ張らないでーッ!」", | |||
"201027811_45": "「うまいッ!!」", | |||
"201027811_46": "「ここのクレープはこっちの世界でも変わらないな。\\n いつ食べてもうまいッ!」", | |||
"201027811_47": "「とっても甘くて、美味しいですね」", | |||
"201027811_48": "「あとであんたの相棒に自慢してやらないとな。", | |||
"201027811_49": " 2人で食べたクレープはうまかったぞって」", | |||
"201027811_50": "「フフ……。\\n だったら、わたしも翼さんに自慢しちゃいます」", | |||
"201027811_51": "「アハハッ、2人がどんな反応をするか楽しみだな」", | |||
"201027811_52": "「ところで、あいつとは他にどこへ行く予定だったんだ?\\n そっちのほうにも行ってみないか?」", | |||
"201027811_53": "「えっと、今日はボートに乗ろうって話をしてて……」", | |||
"201027811_54": "「ああ、そういや向こうに池があったな。", | |||
"201027811_55": " 本番のデートの下見ってことで2人で乗ってみるかッ!」", | |||
"201027811_56": "「ぜひッ!\\n お願いします」", | |||
"201027811_57": "「ボートってのもなかなかいいもんだなー」", | |||
"201027811_58": "「……奏さんが声をかけてくれてよかったです」", | |||
"201027811_59": "「ん、急にどうした?」", | |||
"201027811_60": "「わたし……さっき1人でいたときはすごく寂しくて、\\n どうしてここに来ちゃったんだろうって思ってたんです……」", | |||
"201027811_61": "「でも、今はとっても楽しくて。\\n こんなに笑顔になれるなんて、奏さんのおかげです」", | |||
"201027811_62": "「それは、お互い様だろ?\\n あたしだって、思いっきり楽しませてもらってるしな」", | |||
"201027811_63": "「さあ、今度はあっちのほうに漕いで行ってみようッ!」", | |||
"201027811_64": "「……ふぅ、オールを漕ぐのって意外と力がいるんだな」", | |||
"201027811_65": "「疲れたら言ってくださいね。\\n わたしも漕ぎますから」", | |||
"201027811_66": "「全然平気だよ。\\n このくらい、普段の訓練に比べたらどうってことないって」", | |||
"201027811_67": "「……」", | |||
"201027811_68": "「……」", | |||
"201027811_69": "(響がいたら、きっと奏さんみたいに\\n 『わたしに任せといてッ!』って言って――)", | |||
"201027811_70": "(ずっとボートを漕ぎ続けてくれるんだろうな……)", | |||
"201027811_71": "(翼のやつがいたら、任せっきりは嫌だから、\\n 交代しろってうるさそうだ)", | |||
"201027811_72": "「響はどうしてるだろう……」\\n「翼はどうしてんだろうな……」", | |||
"201027811_73": "「あッ……」", | |||
"201027811_74": "「ハハ、2人揃って考えてるのは相棒のことか」", | |||
"201027811_75": "「……奏さん、今度は4人で遊びにきませんか?」", | |||
"201027811_76": "「そうだな、そうしよう。\\n んじゃ早々に引き上げて、お互いの相棒の帰りを待つとするかッ!」", | |||
"201027811_77": "「はいッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,153 @@ | |||
{ | |||
"201027911_0": "特別なのは、全部", | |||
"201027911_1": "「…………」", | |||
"201027911_2": "「…………」", | |||
"201027911_3": "(クリスマスまであと数日……)", | |||
"201027911_4": "(当日に備えて、巻ける任務はひたすら巻いてきた……ッ!)", | |||
"201027911_5": "「翼、残りの任務はあとどれくらい?」", | |||
"201027911_6": "「そうだな……」", | |||
"201027911_7": "「――うんッ!\\n このままいけば、クリスマスまでには終わ――」", | |||
"201027911_8": "「ダメッ!!」", | |||
"201027911_9": "「むぐッ!?」", | |||
"201027911_10": "「翼……注意して。\\n そういうのも、フラグだから」", | |||
"201027911_11": "「んぐ……ぷはぁ――」", | |||
"201027911_12": "「そうだったな、ごめん」", | |||
"201027911_13": "「確かに今まで、特別なイベントや楽しみなことがあると、\\n いっつも任務が湧いて出てきてたからな」", | |||
"201027911_14": "「だから今回こそは――」", | |||
"201027911_15": "「むぐーッ!?」", | |||
"201027911_16": "「だから、気をつけて……ッ!」", | |||
"201027911_17": "「ぷはぁ――」", | |||
"201027911_18": "「ごめん、つい」", | |||
"201027911_19": "(フラグが立たないように細心の注意を払う……だったか)", | |||
"201027911_20": "「クリスは流石だな。\\n オレにはそんな対策思いつかないよ」", | |||
"201027911_21": "(でも、誰に対してのアピールなんだ……?)", | |||
"201027911_22": "(フラグ管理の神様……ううん、違う。\\n 悪魔はいつだって強敵)", | |||
"201027911_23": "(今年こそは、翼とのクリスマスのために……ッ!)", | |||
"201027911_24": "「……翼、九皐さんに明日以降の予定を聞きに行かない?\\n 念の為、任務が増えていないかどうかだけ、確認するの」", | |||
"201027911_25": "「あ、あぁ。", | |||
"201027911_26": " そうだな、あくまで、明日以降の予定をな」", | |||
"201027911_27": "「今後の予定、ですか……?」", | |||
"201027911_28": "「そうですね、以前からお伝えしている任務内容に\\n 大きく変更はありません」", | |||
"201027911_29": "「大幅に前倒しでこなしていただいているみたいですし、\\n お疲れでしょうから、お2人には今年のクリスマ――」", | |||
"201027911_30": "「おわぁぁぁッ!」", | |||
"201027911_31": "「ど、どうしましたか……?」", | |||
"201027911_32": "「えっと、その……だな……」", | |||
"201027911_33": "(クリスッ!\\n なんとか誤魔化してくれッ!)", | |||
"201027911_34": "「えっと……ほら、明日の任務の詳細。", | |||
"201027911_35": " 教えてください」", | |||
"201027911_36": "「仕事だから、かく<ruby=・・・>しごと</ruby>は無しで」", | |||
"201027911_37": "「ハッハッハッ!\\n クリスはやっぱり面白いなッ!」", | |||
"201027911_38": "「休みのことなんか置いといて、\\n 任務の話しようぜ、任務の話ッ!」", | |||
"201027911_39": "「え、えぇ……。\\n それでは……」", | |||
"201027911_40": "「明日はお伝えしていた通り、\\n 聖遺物運搬の護衛をお願いする予定です」", | |||
"201027911_41": "「危険性も低く、\\n お2人の実力があればスムーズに終わると思っています」", | |||
"201027911_42": "「そうか、ならよかった」", | |||
"201027911_43": "「それじゃあ、また」", | |||
"201027911_44": "(本当に珍しいことに……\\n 予定、予測の範疇では一切の不安もなく)", | |||
"201027911_45": "(今年はお2人も楽しみにしているであろうクリスマスに、\\n 休みを取っていいと伝えるつもりだったのですが……)", | |||
"201027911_46": "(組織をまとめる者として、\\n 彼女たちに窮屈な思いばかりさせてはいけませんね)", | |||
"201027911_47": "――任務当日", | |||
"201027911_48": "「今回の運搬の護衛は戦うこともなさそうだな」", | |||
"201027911_49": "(早く帰って、クリスマスに備えないと……)", | |||
"201027911_50": "「新しい情報が来てる。\\n 聖遺物を狙ってる団体がいるって」", | |||
"201027911_51": "(プレゼント、何を用意しよう……)", | |||
"201027911_52": "「でも、戦力的には問題なさそう。\\n 戦う準備だけはしておこう」", | |||
"201027911_53": "(翼とケーキ食べたりもしたいな)", | |||
"201027911_54": "「どんな敵でも、気を引き締めないとな」", | |||
"201027911_55": "(シャロンにもプレゼントを渡したいけど……厳しいよな。\\n サンタクロースになったら喜んでくれそうだけど……)", | |||
"201027911_56": "「もちろん」", | |||
"201027911_57": "(影護のみんなにもサプライズでプレゼントを渡したら、\\n 喜んでくれるかな……?)", | |||
"201027911_58": "「敵襲ですッ!\\n 戦闘準備をッ!」", | |||
"201027911_59": "「よしッ!\\n 行くぞッ!」", | |||
"201027911_60": "「うんッ!」", | |||
"201027911_61": "(クリスとの……)\\n(翼との……)", | |||
"201027911_62": "(<size=40>クリスマスのためにッ!!</size>)", | |||
"201027911_63": "「こ、これは……\\n なんだってんだッ!?」", | |||
"201027911_64": "「し、心象変化……ッ!?", | |||
"201027911_65": " 翼、この姿って、この前一緒に見た聖歌隊の……ッ!」", | |||
"201027911_66": "「まさか、街頭モニターで流れてた……ッ!?", | |||
"201027911_67": " た、確かにクリスに似合いそうだなって思ったけどよッ!」", | |||
"201027911_68": "「どうやら、お互い任務に集中出来てなかったみたい……。\\n こんなんじゃ、フラグの神様にバレバレだね」", | |||
"201027911_69": "「ぐッ!\\n とりあえず……この姿で戦うしかないッ!」", | |||
"201027911_70": "「これできっと今年のクリスマスも……」", | |||
"201027911_71": "「翼とのクリスマス……ッ!\\n 楽しみに、してたのに……ッ!」", | |||
"201027911_72": "「オレだって……\\n クリスと一緒にクラッカー鳴らしまくりたかったッ!」", | |||
"201027911_73": "「ちょっと特別なノンアルのスパークリングワインを開けてッ!\\n 朝まで2人で過ごしたかったのにッ!」", | |||
"201027911_74": "「く……だけど、こうなってしまったものは仕方ないッ!\\n 行くぞッ!」", | |||
"201027911_75": "「うんッ!」", | |||
"201027911_76": "「戻りました」", | |||
"201027911_77": "「お疲れさまです」", | |||
"201027911_78": "「お2人のおかげで任務は無事完了しました」", | |||
"201027911_79": "「それで、今度のクリスマ――」", | |||
"201027911_80": "「おぉっと!\\n それはよかったッ!」", | |||
"201027911_81": "(さっきはあの姿で自棄になったが……", | |||
"201027911_82": " まだだ、まだ諦めないぞッ!)", | |||
"201027911_83": "「……。", | |||
"201027911_84": " では、今度のクリスマ――」", | |||
"201027911_85": "「じゃあッ!\\n 行こっか、翼」", | |||
"201027911_86": "(翼はまだ諦めてない。\\n それは、わたしも同じ……)", | |||
"201027911_87": "「…………」", | |||
"201027911_88": "(クリスマスの話をしようとすると\\n 遮られてしまいますね……)", | |||
"201027911_89": "(きっとこれは彼女たちの遠慮。", | |||
"201027911_90": " ですが、お2人にこれ以上窮屈な思いはさせません)", | |||
"201027911_91": "(今日こそは必ず伝えるのです……ッ!)", | |||
"201027911_92": "「それじゃ、オレたちはこれで……」", | |||
"201027911_93": "「クリスマスッ!\\n お2人は休んでくださいッ!」", | |||
"201027911_94": "「え……ッ!?」", | |||
"201027911_95": "「休み……だとッ!?」", | |||
"201027911_96": "「え、えぇ……」", | |||
"201027911_97": "(ここまで驚かれるとは思っていませんでした……。\\n 無いものと思わせていた自分が不甲斐ない……)", | |||
"201027911_98": "「お2人ともクリスマスは休んでいただいて問題ありません」", | |||
"201027911_99": "「緊急時に備えて、\\n 遠出をされる際には報告をお願いしますね」", | |||
"201027911_100": "「…………」", | |||
"201027911_101": "「…………」", | |||
"201027911_102": "――クリスマス当日", | |||
"201027911_103": "「クリスマス……だね」", | |||
"201027911_104": "「クリスマス……だな」", | |||
"201027911_105": "「どこ向かってるの?」", | |||
"201027911_106": "「どこか、クリスマスな場所だ」", | |||
"201027911_107": "「そっか」", | |||
"201027911_108": "「…………」", | |||
"201027911_109": "「それにしても、寒いね」", | |||
"201027911_110": "「あぁ……」", | |||
"201027911_111": "「…………」", | |||
"201027911_112": "「もう着くぞ……」", | |||
"201027911_113": "「わぁ……これ……」", | |||
"201027911_114": "「ダメだ……もうッ!\\n こんなのを前にしては……ッ!」", | |||
"201027911_115": "「クリスッ!\\n これはもう、ほんとのほんとに休みだッ!」", | |||
"201027911_116": "「オレたちのクリスマスだーッ!」", | |||
"201027911_117": "「ほらッ! 遊ぶぞクリスッ!\\n 最高のクリスマスだッ!」", | |||
"201027911_118": "「そんな服、いつから着てたのッ!?」", | |||
"201027911_119": "「朝からずっと、下に着てたんだよッ!」", | |||
"201027911_120": "「そしてオレは知ってるぞッ!\\n クリスも着てるってことをなぁッ!」", | |||
"201027911_121": "「ひゃぁッ!」", | |||
"201027911_122": "「ハハッ!\\n ほら、やっぱりだッ!」", | |||
"201027911_123": "「お互いに楽しみにしてたことなんて、\\n わかってるんだッ!」", | |||
"201027911_124": "「もう……翼には敵わないな」", | |||
"201027911_125": "「さぁッ!\\n 行こうッ!」", | |||
"201027911_126": "「うんッ!」", | |||
"201027911_127": "(楽しいのは全部雪のせい――じゃなくて……)", | |||
"201027911_128": "「こんなに今日が楽しいのは、クリスのおかげだよッ!」", | |||
"201027911_129": "「……ッ!」", | |||
"201027911_130": "「わ、わたしだってッ!\\n こんなに特別なクリスマス、翼のおかげッ!」", | |||
"201027911_131": "「ああーッ!\\n 楽しかったッ!」", | |||
"201027911_132": "「久しぶりに思いっきり遊べたね」", | |||
"201027911_133": "「そうだなッ!", | |||
"201027911_134": " でも、クリスマスはまだまだこれからだッ!」", | |||
"201027911_135": "「部屋に戻ったらクリスマスパーティを――」", | |||
"201027911_136": "「この着信音は……ッ!」", | |||
"201027911_137": "「影護からだ……ッ!」", | |||
"201027911_138": "「――こちら翼ッ!」", | |||
"201027911_139": "「……折角のお休みのところ申し訳ありません。緊急出動です。\\n 新たに、聖遺物の取引が行われると情報が入りました」", | |||
"201027911_140": "「――ッ!」", | |||
"201027911_141": "「わかったッ!\\n 現場の情報を頼むッ!」", | |||
"201027911_142": "「ありがとうございます。\\n 端末に取引内容と場所の詳細を送ったので確認してください」", | |||
"201027911_143": "「ああッ!\\n 確認しだい、現場に急行するッ!」", | |||
"201027911_144": "「…………」", | |||
"201027911_145": "「あああッ!\\n やっぱりこうなるのかッ!」", | |||
"201027911_146": "「雪山で遊べたのは\\n フラグの神様のお目こぼしだったのかもね」", | |||
"201027911_147": "「いや、オレはまだ諦めてないぞッ!", | |||
"201027911_148": " 任務を速攻で終わらせてクリスマスの続きをやろうッ!」", | |||
"201027911_149": "「うん、そうだねッ!」", | |||
"201027911_150": "「よしッ!\\n 現場に急ごうッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,123 @@ | |||
{ | |||
"201028011_0": "クリスのバースデー2022", | |||
"201028011_1": "「クリスちゃんッ!!」", | |||
"201028011_2": "「今日もやかましいのがおいでなすったな。\\n 手短に話してくれよ?」", | |||
"201028011_3": "「――え? クリスちゃんが\\n 素直に聞いてくれるなんてッ!?」", | |||
"201028011_4": "「ちっとしたことだけど、考え事しててさ。\\n そっちに気がいってたんだよ」", | |||
"201028011_5": "「それとも、いつもみたいにドヤされたかったのか?」", | |||
"201028011_6": "「そういうわけじゃないけど……」", | |||
"201028011_7": "(落ち込んでるわけではなさそう、だよね……)", | |||
"201028011_8": "「考え事なんて、どうしたの?」", | |||
"201028011_9": "「話しかけてきたのはお前だろ。", | |||
"201028011_10": " そっちこそどうしたんだ?」", | |||
"201028011_11": "「あッ、えーっとね……。", | |||
"201028011_12": " ほら、もうすぐクリスちゃんのお誕生日でしょ?」", | |||
"201028011_13": "「それがどうしたんだ?", | |||
"201028011_14": " というか、サプライズの調査にしては直球すぎないか?」", | |||
"201028011_15": "「アハハ、確かに今まではサプライズしてきたけど、\\n 今回は別の方法でお祝いしてみようかなって」", | |||
"201028011_16": "「別にあたしの誕生日なんて祝わなくたっていいって」", | |||
"201028011_17": "「クリスちゃんならそう言うと思って、\\n 逆に真っ直ぐにお祝いするって決めたんだッ!」", | |||
"201028011_18": "「クリスちゃんが祝っていいって、むしろ祝ってほしいって、\\n 認めるまで諦めないからねッ!」", | |||
"201028011_19": "「なんだよそれ、厄介すぎんだろッ!」", | |||
"201028011_20": "「アハハッ!」", | |||
"201028011_21": "「まったく……。\\n 結局またお前のペースだな」", | |||
"201028011_22": "「じゃあ、早速ッ!", | |||
"201028011_23": " ね、ね、どんな風に祝ってもらいたい?」", | |||
"201028011_24": "「祝ってほしい内容ったって……」", | |||
"201028011_25": "(最近は任務も落ち着いてるから考える余裕があって、\\n 誕生日が近いのもわかってた)", | |||
"201028011_26": "(今年はどんだけ賑やかにしてくれるつもりなのかと、\\n 身構えてもいた)", | |||
"201028011_27": "(認めるのは癪だけど、\\n 楽しみにしてたってことなんだろうな……)", | |||
"201028011_28": "(なら……、", | |||
"201028011_29": " たまにはあたしも乗ってやる……ッ!)", | |||
"201028011_30": "「……じゃあ、その……」", | |||
"201028011_31": "「クリスちゃん……?」", | |||
"201028011_32": "「だ、だから、そのッ……", | |||
"201028011_33": " それなら、あたしのお願い、聞いてみろってんだ……ッ!」", | |||
"201028011_34": "「クリスちゃん……ッ!」", | |||
"201028011_35": "「もちろんッ!\\n なんでも言ってみてッ!」", | |||
"201028011_36": "「あの、その……ッ!", | |||
"201028011_37": " ええいッ!」", | |||
"201028011_38": "「行きたいところがある」", | |||
"201028011_39": "「行きたいところ?」", | |||
"201028011_40": "「そうだよ……悪いか?」", | |||
"201028011_41": "「そんなことないよッ!\\n ただ、場所はどこかなって」", | |||
"201028011_42": "「あ、あぁ……あれだ。", | |||
"201028011_43": " ……街歩きがしたい」", | |||
"201028011_44": "「その……一緒に……」", | |||
"201028011_45": "「うんうんッ!」", | |||
"201028011_46": "「べ、別に誕生日当日じゃなくてもいい……」", | |||
"201028011_47": "「大丈夫だよッ! \\n ちゃんとクリスちゃんのお誕生日は空けてあるからッ!」", | |||
"201028011_48": "「任務が入っても、なるべく近い日にしよッ!」", | |||
"201028011_49": "「……わかった。", | |||
"201028011_50": " その、……楽しみにしてるからなッ、遅刻するなよッ!」", | |||
"201028011_51": "誕生日当日――", | |||
"201028011_52": "「お待たせッ!」", | |||
"201028011_53": "「おう。\\n 本当に思ったより待ったぞ」", | |||
"201028011_54": "「まったく……\\n 主役を待たせるなんてどういう了見だ?」", | |||
"201028011_55": "(やっぱり来ないんじゃないか、なんて。\\n 今更な心配しちまったじゃねーか……)", | |||
"201028011_56": "「エ、エヘヘ……ごめんッ!\\n どんな格好していこうか迷っちゃって、結局いつも通りに……」", | |||
"201028011_57": "(でも、時間通りだよね……?", | |||
"201028011_58": " クリスちゃんも楽しみにしててくれたんだッ!)", | |||
"201028011_59": "「クリスちゃん、お誕生日おめでとうッ!」", | |||
"201028011_60": "「お、おう……」", | |||
"201028011_61": "「その、今日はもう聞き飽きるぐらい言われたセリフだけど、\\n 何度言われても嬉しいもんは嬉しいな……」", | |||
"201028011_62": "「みんなもクリスちゃんのお誕生日を\\n 心からお祝いしてる証拠だよ」", | |||
"201028011_63": "「クリスちゃんってば、幸せ者だねッ!」", | |||
"201028011_64": "「う、うるせえッ! んなこたぁわかってるッ!\\n ほら、とっとと行くぞッ!」", | |||
"201028011_65": "「あッ、待ってよクリスちゃーんッ!」", | |||
"201028011_66": "「着いたぞ」", | |||
"201028011_67": "「ここがクリスちゃんの行きたかった場所なの?」", | |||
"201028011_68": "「ああ」", | |||
"201028011_69": "「~♪ ~♪~~~♪」", | |||
"201028011_70": "「わぁ、バイオリンの路上パフォーマンスだッ!」", | |||
"201028011_71": "「もう終わっちゃった……。\\n もっと聴いてたいくらい、綺麗な音色だったね……ッ!」", | |||
"201028011_72": "「けど、ちょっとだけ来るのが遅かったかな?」", | |||
"201028011_73": "「いいや、タイミングならバッチリだ」", | |||
"201028011_74": "「えッ?」", | |||
"201028011_75": "「いつもいつも、お前にやられっぱなしだと思うなよッ!」", | |||
"201028011_76": "「うわあぁッ!?\\n ちょっと、クリスちゃんッ!?」", | |||
"201028011_77": "「バイオリン、預かってくれてありがとな」", | |||
"201028011_78": "「お安い御用さ。\\n はい、どうぞ」", | |||
"201028011_79": "「ありがとう」", | |||
"201028011_80": "「ほらッ、お前もッ!」", | |||
"201028011_81": "「えぇッ!?\\n わたしも弾くのッ!?」", | |||
"201028011_82": "「バイオリンなんて弾けないよッ!?」", | |||
"201028011_83": "「格式高い印象があっても、\\n バイオリンはもともと庶民の楽器」", | |||
"201028011_84": "「音楽なんて、そのときたまたまかき鳴らした音色が、\\n 心に響けばそれでいいんだ」", | |||
"201028011_85": "「あたしのパパだってそう言って弾いてた。", | |||
"201028011_86": " ま、もちろん技術もすごかったけどな」", | |||
"201028011_87": "「とにかくあたしも、\\n そう言われて弾いてみたら楽しかったんだ」", | |||
"201028011_88": "「いいか?\\n そこで聴いとけッ!」", | |||
"201028011_89": "「~♪~~♪~♪」", | |||
"201028011_90": "「クリスちゃん……楽しそう……ッ!」", | |||
"201028011_91": "「うずうず……」", | |||
"201028011_92": "「聴いてるだけか?」", | |||
"201028011_93": "「ッ! ううん、わたしもやってみたいッ!", | |||
"201028011_94": " だってクリスちゃんがこんなに楽しそうなんだからッ!」", | |||
"201028011_95": "ギィィ、ギギギィィィ、ギィィィ……", | |||
"201028011_96": "「ううッ……!\\n 全然上手く弾けない……ッ!」", | |||
"201028011_97": "「弓を持つ手に力を入れすぎなんだ。\\n 力を抜いて滑らせるみたいに弓を動かしてみな」", | |||
"201028011_98": "「力を抜いて滑らせるみたいに……」", | |||
"201028011_99": "ギィィィ……キィィィ……", | |||
"201028011_100": "ギュィィ…… ――♪", | |||
"201028011_101": "「――ッ!\\n 弾けた、弾けたよクリスちゃんッ!」", | |||
"201028011_102": "「そうそうッ、上手くなってきたじゃないかッ!」", | |||
"201028011_103": "「クリスちゃんのアドバイスのおかげだよッ!\\n 音楽を奏でるのって、すっごく楽しいねッ!」", | |||
"201028011_104": "「~~~♪」", | |||
"201028011_105": "(…………)", | |||
"201028011_106": "「はぁー……本当に楽しかったッ!", | |||
"201028011_107": " でも、先に練習してたなんてずるいよ、クリスちゃん」", | |||
"201028011_108": "「じゃ、お前も練習すりゃいい」", | |||
"201028011_109": "「そしたらクリスちゃん、\\n また一緒に弾いてくれる?」", | |||
"201028011_110": "「……って、これじゃあお誕生日のお祝いになってないよッ!?", | |||
"201028011_111": " どうしよう、もう夕方なのに……」", | |||
"201028011_112": "「十分なってるさ。\\n こんな時間まであたしに付き合ってくれただろ」", | |||
"201028011_113": "「それに……そうだな。", | |||
"201028011_114": " なんなら、2人で弾いて、他のやつらを驚かせたっていい」", | |||
"201028011_115": "「そしたらみんなも弾きたくなっちゃうかもねッ!」", | |||
"201028011_116": "「ああ」", | |||
"201028011_117": "(自分の話を聞いてくれて、受け止めようとするやつらが\\n あたしの周りにはいる)", | |||
"201028011_118": "(あたしと話すだけで、本当に楽しそうにしやがって。", | |||
"201028011_119": " ……こんなの、あたしだって嬉しくなるに決まってるッ!)", | |||
"201028011_120": "(これ以上の誕生日プレゼントなんて、あるもんか――)" | |||
} |
@@ -0,0 +1,87 @@ | |||
{ | |||
"201028111_0": "一富士二鷹三茄子、四扇五煙草、六キャロルッ!?", | |||
"201028111_1": "「そう――\\n あれはまさしく最悪な日々だった」", | |||
"201028111_2": "「任務といえば聞こえはいいが、実質は<ruby=アダム>あの男</ruby>の\\n 尻拭いのために『アイドル』に扮することになった過日」", | |||
"201028111_3": "「『ピエンコエテパオン』にはじまる\\n 謎の言語を操るはぐれ錬金術師に、ゾンビモドキと化す人々……」", | |||
"201028111_4": "「思い出すたび、頭痛を引き起こしそうな想い出だ。", | |||
"201028111_5": " だが、それでもオレは今――」", | |||
"201028111_6": "「なかなかどうして、\\n アイドルであることを楽しんでいる――ッ!」", | |||
"201028111_7": "「<ruby=シー>C</ruby>・<ruby=エー>A</ruby>・<ruby=アール>R</ruby>・<ruby=オー>O</ruby>・<ruby=エル>L</ruby>ッ!!\\n キャロル・マールス・ディーンハァァイムッッ!!」", | |||
"201028111_8": "「よくもまあ、\\n それほど熱心にオレの名を<ruby=よべる>叫べる</ruby>ものだッ!」", | |||
"201028111_9": "「その熱意に免じて、今一度オレは訊こうッ!\\n 観客どもよッ、オレはいったい、何者だッ!?」", | |||
"201028111_10": "「奇跡の可愛さッ! 俺たちのアイドル、キャロルッ!\\n その尊大さが、大ッ好きッ! だァアアァァッ!!」", | |||
"201028111_11": "「……フッ」", | |||
"201028111_12": "「ああッ! 見てッ!\\n キャロルだけじゃなくて<ruby=ナイトクォーターズ>終末の四騎士</ruby>たちもッ!!」", | |||
"201028111_13": "「気付いたようだな……」", | |||
"201028111_14": "「今日はッ! オレのファンである貴様らにッ!\\n オレの大切なメンバーを紹介してくれるッ!」", | |||
"201028111_15": "「<size=40>うぉぉおおおおーッ!</size>」", | |||
"201028111_16": "「オレのため、一番手は譲らない――\\n 性根の腐ったガリィ・トゥーマーンッ!」", | |||
"201028111_17": "「ガリィちゃぁぁぁああんッ!\\n 罵ってくれーッ!」", | |||
"201028111_18": "「はぁぁぁぁンッ!? こーんなに可憐なガリィちゃんに\\n 何言わせようとしてるんですかぁ? この倒錯者どもがッ!」", | |||
"201028111_19": "「だァれがわざわざお前らのために、\\n 罵倒なんかしてやるかってーのッ!」", | |||
"201028111_20": "「あ……あぁ……ッ!\\n 自分はもう、今日死んでも悔いはないです……ッ!」", | |||
"201028111_21": "「物事の、判断基準は派手か地味ッ!\\n レイア・ダラーヒムッ!」", | |||
"201028111_22": "「マスターがアイドルの覇道を征くことは、\\n 派手に摂理。私はそれを支えるに過ぎない……」", | |||
"201028111_23": "「どこまでもクール……ッ!\\n その切れ長の瞳であたしを見てェェェッ!!」", | |||
"201028111_24": "「あたしたちもいつのまにか一緒に人気者だゾ。\\n 不思議な気分だけど、悪くないゾッ」", | |||
"201028111_25": "「当然だろう、お前たちはオレの四騎士なのだから。", | |||
"201028111_26": " さあ、ミカ。お前の番だ」", | |||
"201028111_27": "「――誰をも巻き込むマイペース担当ッ!\\n ミカ・ジャウカーンッ!!」", | |||
"201028111_28": "「どうして自分がステージにいるのかも\\n わかってなさそうッ!! だが、それがいいッ!!」", | |||
"201028111_29": "「ンンー? みんな手を振ってくれるんだゾ。", | |||
"201028111_30": " あたしも振り返すゾーッ!!」", | |||
"201028111_31": "「<ruby=ナイトクォーターズ>終末の四騎士</ruby>、理性担当……のようでそうでもないッ!\\n 常識からは意外にズレている、ファラ・スユーフッ!!」", | |||
"201028111_32": "「お褒めにあずかり光栄ですわ、マスター」", | |||
"201028111_33": "「そういうところだーッ!\\n 好きーッ!」", | |||
"201028111_34": "「うおおおおおおッ! 俺はファラさんにバブみを感じているッ!\\n 俺をッ!! 俺たちをオギャらせてくれーッ!」", | |||
"201028111_35": "「……あんたって、\\n 密かにヤバい類のファンがついてますよねぇ」", | |||
"201028111_36": "「あら、そうかしら? 可愛らしいじゃありませんか。\\n もちろんマスターの足元にも及びませんけれど」", | |||
"201028111_37": "「その通り。トップアイドルに上り詰めたマスターに\\n 近付こうとする不届き者は派手に絶えない……」", | |||
"201028111_38": "「そいつらをけちょんけちょんにするのも、\\n あたしたちのオシゴトなんだゾッ!」", | |||
"201028111_39": "「……さて、観客どもも温まってきた。", | |||
"201028111_40": " お前たち、準備はいいな?」", | |||
"201028111_41": "「もちろん(だゾ)ッ!」", | |||
"201028111_42": "「では――」", | |||
"201028111_43": "「こいつらは、オレの大切なメンバーだッ!\\n 共に唄いッ! 共に――生きるためのッ!!」", | |||
"201028111_44": "「<size=40>ウオォオォオオオオオッッ!!!</size>」", | |||
"201028111_45": "「それでは、心して聴くがいい。\\n オレの――」", | |||
"201028111_46": "「<size=40><ruby=ななじゅうおくのぜっしょう>オレたちの歌</ruby>をッッ!!</size>」", | |||
"201028111_47": "「――ハッ!?」", | |||
"201028111_48": "「…………」", | |||
"201028111_49": "「……なんッ……という、夢を、\\n 見ているんだ、オレは……」", | |||
"201028111_50": "「夢……だなッ!?」", | |||
"201028111_51": "「……よし、大丈夫だ。あの悪夢を煮詰めたかのような\\n デザインのファウストローブは、断じて着ていない……ッ!」", | |||
"201028111_52": "「……ここまで安堵したのは久しぶりだ」", | |||
"201028111_53": "「あいつらは……", | |||
"201028111_54": " よかった、こんな夢を見たと知られた日には……」", | |||
"201028111_55": "「じゃーんッ! ガリィちゃん、ノックもせずに参上しました〜☆\\n 呼びましたよね? マ・ス・タァ?」", | |||
"201028111_56": "「…………呼んでいない」", | |||
"201028111_57": "「ンン? そうなのカ?\\n 寝言であたしたちのコト、呼んでたような気がしたゾ?」", | |||
"201028111_58": "「常日頃からお忙しいマスターのこと。派手にお休みに\\n なられた方がいいかと、席を外していたのですが……」", | |||
"201028111_59": "「何度か私たちの名を呼ばれていたような気がして、\\n できることはないかと戻ってきたのですわ」", | |||
"201028111_60": "「マスターッ! あたしたちにできることがあれば\\n なんでも言ってほしいんだゾッ!」", | |||
"201028111_61": "「夢の中では随分楽しそうにしていたようですし、\\n それを現実にしちゃってもいいんですよ?」", | |||
"201028111_62": "「そういえば、ガリィちゃんも夢を見た気がしますよ。", | |||
"201028111_63": " あの小うるさいギャルモドキも出てきて」", | |||
"201028111_64": "「『キャロぴは絶対トップアイドルになるって信じてたし』とか\\n したり顔で言うんですよぉ。乾燥うどんをタバコ風に咥えながら」", | |||
"201028111_65": "「ガリィ、それは夢ではなく、先ほどすれ違ったときの\\n 地味に意味のわからないエリザベートの言動だろう?」", | |||
"201028111_66": "「……夢?", | |||
"201028111_67": " そもそもお前たちは――」", | |||
"201028111_68": "「それは言いっこなしですわ、マスター。\\n 電気羊ですら夢を見るのですもの」", | |||
"201028111_69": "「それにあたしたちは、いつだってマスターと\\n 楽しい夢を見ているようなものだゾッ!」", | |||
"201028111_70": "「派手にいいことを言う」", | |||
"201028111_71": "「――ですが先ほどから、いつも以上に\\n 苦虫を噛み潰しているかのようなお顔です、マスター」", | |||
"201028111_72": "「気にするな」", | |||
"201028111_73": "「気になりますわ。笑っていてほしいとは申しませんが、\\n 年の初めから眉根に力が入り過ぎていてはマスターが疲れてしまいます」", | |||
"201028111_74": "「そういえば……初夢にいくらかのアイテムが出てくると、\\n その年は幸福に過ごせるというジンクスが日本にはあるとか」", | |||
"201028111_75": "「ですから、マスターが私たちと\\n アイドルをしてる夢を見たとしたら……」", | |||
"201028111_76": "「あたしたちの衣装、日本の縁起物だったって聞いたゾッ!", | |||
"201028111_77": " だから、マスターには今年も楽しいことがたくさんあるんだゾッ!」", | |||
"201028111_78": "「ええ、ええ。なんせガリィちゃんたちがいますから。\\n 楽しくないはずがありません」", | |||
"201028111_79": "「……いくらかのアイテムが出てくると、\\n その年は幸福に過ごせる、ジンクス、か……」", | |||
"201028111_80": "「ふん……」", | |||
"201028111_81": "「信じてませんね、マスター?\\n 見たら幸せが確約される初夢ですよ?」", | |||
"201028111_82": "「信じる信じないの問題ではない。", | |||
"201028111_83": " だが――」", | |||
"201028111_84": "「それなら、お前たちも見るがいいさ。\\n 寝ても覚めても見果てぬ<ruby=ゆめ>初夢</ruby>とやらを、な」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,69 @@ | |||
{ | |||
"201028211_0": "イチバン近くのブースター", | |||
"201028211_1": "「……」", | |||
"201028211_2": "「…………♪」", | |||
"201028211_3": "「やっぱりこの衣装、\\n 可愛くてカッコいいんだゾッ!」", | |||
"201028211_4": "「くるっと回ってギャーンッ!", | |||
"201028211_5": " ……うーん、でも、ぐるぐるしてたほうがいいのカ?」", | |||
"201028211_6": "「どうやったらもっとカッコよく動けるのか、\\n いまいちわからないんだゾ……」", | |||
"201028211_7": "「……ミカ」", | |||
"201028211_8": "「だゾーッ!?」", | |||
"201028211_9": "「そ、そこまで驚かれるとは思いませんでしたわ。", | |||
"201028211_10": " 鏡の前でくるくるして、いったい何を?」", | |||
"201028211_11": "「え、えっと……、\\n な、なんでもないんだゾ?」", | |||
"201028211_12": "「目が泳いでいるどころじゃありませんわ。", | |||
"201028211_13": " けれど……フフ。凡そ予測はつきますわね」", | |||
"201028211_14": "「見惚れていたのでしょう? マスターから頂いた\\n アイドル衣装、何度見ても素敵ですもの」", | |||
"201028211_15": "「う……あたってるけど、", | |||
"201028211_16": " それだけじゃないんだゾッ!」", | |||
"201028211_17": "「あら」", | |||
"201028211_18": "「マスターとやったアイドルはとっても楽しかったんだゾ。", | |||
"201028211_19": " だから次やるときはもっと盛り上げたいんだゾッ!」", | |||
"201028211_20": "「それで、身体を動かしてアイディアを出そうと思ったんだゾ。", | |||
"201028211_21": " でも、衣装が可愛いばっかでちっとも思い付かないんだゾ……」", | |||
"201028211_22": "「なぁるほど。ミカちゃんがここしばらく、鏡と\\n 睨めっこしてたのは、そういう理由だったんですねェ」", | |||
"201028211_23": "「てっきり似合わない乙女のココロに\\n 目覚めちゃったのかと思って心配してました☆」", | |||
"201028211_24": "「しかし、ミカの意見には派手に賛成だ」", | |||
"201028211_25": "「私たちは常に、マスターにとっての\\n 最高の<ruby=オートスコアラー>自動人形</ruby>でなくてはならないのだから」", | |||
"201028211_26": "「その通りだゾッ!\\n あたしたちがマスターの一番なんだゾッ!」", | |||
"201028211_27": "「あァ……?\\n 一番は譲らないッてんだろうがッ!」", | |||
"201028211_28": "「……まァ、でもそうね。\\n マスターのためになることなら賛成しないでもないわ」", | |||
"201028211_29": "「色々足りないミカちゃんに、\\n このガリィちゃんが力を貸してあげようじゃない」", | |||
"201028211_30": "「ほんとカッ!?\\n ガリィたちも考えてくれるなら百人力だゾッ!」", | |||
"201028211_31": "「バカにしてんだよッ!\\n 気付けおたんこなすッ!」", | |||
"201028211_32": "「ふむ……しかし、地味に難題だ。\\n アイドルのマスターのサポート、派手に新境地」", | |||
"201028211_33": "「そうなると、先日の『アイドル』……\\n 改めて、私たちも深く理解する必要性がありますわね」", | |||
"201028211_34": "「精一杯、最大限に学びましょう。私たちにとっても\\n 最高のアイドルであるマスターのためにッ!」", | |||
"201028211_35": "数日後――", | |||
"201028211_36": "「それで、なんだと言うんだ」", | |||
"201028211_37": "「私たちは、派手にマスターの役に立ちたいのです」", | |||
"201028211_38": "「いや、それは知っている――ではなく、", | |||
"201028211_39": " 要領を得ないと言っているんだ」", | |||
"201028211_40": "「任務から戻ったばかりのオレを捕まえておいて、\\n 『とにかくついてきてくれ』とはどういう了見だ?」", | |||
"201028211_41": "「細かいことはいいじゃないですか、マスター。", | |||
"201028211_42": " ちょーっとあたしたちのがんばりを見て欲しいだけですよぉ」", | |||
"201028211_43": "「……嫌な予感しかしないが、お前たちのことだ。", | |||
"201028211_44": " 断っても食らいついてくるんだろう。手短に済ませよ」", | |||
"201028211_45": "「さっすがマスター♪」", | |||
"201028211_46": "「では、こちらへ……」", | |||
"201028211_47": "「な……ッ!?」", | |||
"201028211_48": "「マスターッ!」", | |||
"201028211_49": "「ご覧になってくださいッ!\\n 私たちの、この動きッ!」", | |||
"201028211_50": "「たーっくさん勉強も練習したんだゾッ!\\n アイドルなマスターのサポートのためにッ!」", | |||
"201028211_51": "「ソイッ! ソイッ!\\n ソイーッ!」", | |||
"201028211_52": "「い、いったいなんだ、その動きはッ!?\\n どうしてその、<size=25>アイドル</size>衣装まで引っ張り出しているッ!?」", | |||
"201028211_53": "「マスターはあたしたちのアイドルだからだゾッ!」", | |||
"201028211_54": "「マスターのファウストローブに、\\n 新たに組み込まれた『アイドル』の概念――ッ!」", | |||
"201028211_55": "「今まで以上にそれを盛り立てるには、\\n アイドルの一番のサポーター、そしてブースター……」", | |||
"201028211_56": "「つまりは『ファン』の概念を取り入れることが、\\n 一番適していると判断いたしましたッ」", | |||
"201028211_57": "「マスターがいつアイドルをすることになっても、\\n これでサポートもブーストもばっちりなんだゾッ!」", | |||
"201028211_58": "「アイドルなど、二度とやらんッ!」", | |||
"201028211_59": "「えーッ、そんなぁ。可愛かったですよー?", | |||
"201028211_60": " あのときのアイドルなマスター♪」", | |||
"201028211_61": "「如何にも。\\n 大衆の心を派手に掴んでいました」", | |||
"201028211_62": "「あれは任務のため仕方なくやったまでのことだッ!」", | |||
"201028211_63": "「フフ」", | |||
"201028211_64": "「それでも、私たちが呼吸を合わせてマスターをサポートするために、\\n この不思議な動きの練習も、きっと役に立ちますわ」", | |||
"201028211_65": "「それに、仮にマスターが\\n この先再びアイドル衣装に身を包まずとも……」", | |||
"201028211_66": "「マスターはいままでも、これからもッ!\\n あたしたちのアイドルで、センターなんだゾッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,91 @@ | |||
{ | |||
"304001611_0": "わたしのいるべき場所", | |||
"304001611_1": "「終わったんだよな……?」", | |||
"304001611_2": "「ええ、そのはずよ。向こうのあの子も助けたし、\\n カルマノイズやゴライアスも倒したしね」", | |||
"304001611_3": "「あの、わたし響の様子を見に行って――」", | |||
"304001611_4": "「お帰りなさい。みなさん」", | |||
"304001611_5": "「お疲れさん、よく無事に帰って来てくれた」", | |||
"304001611_6": "「なんだよ。2人してまた首を長くして待ってたのか?」", | |||
"304001611_7": "「いえ、ギャラルホルンのアラートが治まったので、\\n そろそろ戻ってくる頃だと思っていました」", | |||
"304001611_8": "「そう……無事、アラートも止まったのね。よかったわ」", | |||
"304001611_9": "「あれで止まってくれなきゃもうお手上げだ」", | |||
"304001611_10": "「今回も厳しい戦いだったようだな……。\\n ご苦労だった、3人とも。ゆっくり休んでくれ」", | |||
"304001611_11": "「あの、それより響の容態は――?」", | |||
"304001611_12": "「それは、本人に聞いて貰った方が早いな」", | |||
"304001611_13": "「え……?」", | |||
"304001611_14": "<size=40>「お帰り、未来ッ!」</size>", | |||
"304001611_15": "「響……」", | |||
"304001611_16": "<size=40>「響ぃ――――――ッ!!」</size>", | |||
"304001611_17": "「未来、良かった~。無事に帰ってきてくれて」", | |||
"304001611_18": "「響こそ……元気になって……本当に良かった……」", | |||
"304001611_19": "「アラートが治まったのとほぼ同時に意識を取り戻して、\\n 今までの衰弱が嘘の様に、見る間に回復していきました」", | |||
"304001611_20": "「響、もうどこも痛くない?」", | |||
"304001611_21": "「うん、もうだいじょう……うッ<speed=0.5>、</speed>……いたたたッ!」", | |||
"304001611_22": "「響ッ!? そ、そんな……」", | |||
"304001611_23": "「く、苦しい……」", | |||
"304001611_24": "「お、おいッ! どういうことだ?\\n もう治まったんじゃなかったのかッ!?」", | |||
"304001611_25": "「落ち着いてください。\\n おそらく食べすぎによる腹痛かと思います」", | |||
"304001611_26": "「食べすぎ……?」", | |||
"304001611_27": "「全く、いくら体調が良くなったからとは言え、\\n あんなに一気に食べるやつがあるか」", | |||
"304001611_28": "「だって、お腹が空きすぎて……。\\n あれは、お腹と背中が100回はくっつくレベルですよ」", | |||
"304001611_29": "「う、吐きそう……」", | |||
"304001611_30": "「このバカッ! 紛らわしいことしてんじゃねーッ!」", | |||
"304001611_31": "「いたッ! もう、わたしまだ病人なんだから、\\n もっと労わってよ~」", | |||
"304001611_32": "「もう、響ったら……」", | |||
"304001611_33": "「はあ……、驚くくらいいつも通りね。\\n あんなに苦労したのが嘘みたい」", | |||
"304001611_34": "「この様子なら、向こうの響くんも無事助けられたようだな」", | |||
"304001611_35": "「はい。もう、大丈夫です」", | |||
"304001611_36": "「身体の侵食のことだけじゃなくて、心も……」", | |||
"304001611_37": "「独りじゃないって、伝えられましたから……<speed=1>。</speed>\\n それに――」", | |||
"304001611_38": "「まさか侵食部分だけが綺麗に無くなるなんてことが\\n あるとはな……今回は驚かされることばかりだ」", | |||
"304001611_39": "「立花のメディカルチェックの結果ですか?」", | |||
"304001611_40": "「ああ、あの未来くんの光は、響くんの体組織と\\n 融合しかけていた侵食部分を全て消し去った」", | |||
"304001611_41": "「もちろん、カルマノイズの物と思われるエネルギーについても\\n 同様だ。綺麗さっぱり全て無くなっている」", | |||
"304001611_42": "「ですが、ガングニールの破片も全て除去されてしまったから、\\n 彼女はもう、ギアを纏うことは出来ませんね」", | |||
"304001611_43": "「ああ、だが、彼女の命に比べればそれは些細なことだ。\\n まあ、戦力が減るのは少々残念ではあるがな」", | |||
"304001611_44": "「そういえば、了子くんも、もうすぐ戻って来るそうだな」", | |||
"304001611_45": "「はい、了子さんの作った<ruby=シェンショウジン>神獣鏡</ruby>のペンダント、\\n まさか使える適合者が現れたなんて言ったら、きっと驚きますよ」", | |||
"304001611_46": "「エクスドライブモードの発動を見損ねたことも。\\n どれだけ悔しがるか」", | |||
"304001611_47": "「はは。違いない。\\n まあ彼女には観測データだけで我慢してもらうとしよう」", | |||
"304001611_48": "「でも……あの状態の響ちゃんを本当に救っちゃうなんて、\\n まさに、奇跡ですね」", | |||
"304001611_49": "「まあ、な。\\n だが……本当の奇跡は、そんなことじゃないさ」", | |||
"304001611_50": "「この世に絶望し、自分と世界全てを否定しようとした\\n 1人の少女の心を救った力こそが、奇跡と呼ぶに相応しい」", | |||
"304001611_51": "「……ええ、そうかもしれませんね」", | |||
"304001611_52": "「まあ、なんにしろ……響くんなら、もう心配ないさ」", | |||
"304001611_53": "「他者と手を取り合い、心を繋ぐ勇気を取り戻した\\n 今の響くんなら、きっとな」", | |||
"304001611_54": "「ところで、肝心の立花は今どこに?\\n 検査が終わったと聞いていたのですが……」", | |||
"304001611_55": "「それが検査が終わったらそのまま帰ってしまったみたいで……」", | |||
"304001611_56": "「まったく、あいつは、いくら装者でなくなったとはいえ、\\n やってもらいたいことが沢山あると言うのに……」", | |||
"304001611_57": "「今回のことで、少しは協力的になってくれるかと\\n 期待したんだが……」", | |||
"304001611_58": "「なーに、今度は意外と早くそうなるかもしれんぞ?」", | |||
"304001611_59": "(この手……)", | |||
"304001611_60": "「この手は壊すためのものじゃない……だよね、未来……」", | |||
"304001611_61": "(誰かと手を繋ぐ事……この手は、誰かに繋がってる……)", | |||
"304001611_62": "「わたしは、独りじゃないんだ……。\\n 一度繋がれたあの手は、離れても繋がってる……」", | |||
"304001611_63": "(だから、大丈夫。\\n もうわたしは、へいき、へっちゃらだよ……)", | |||
"304001611_64": "「……そう言えば、ここから帰ったんだっけ」", | |||
"304001611_65": "「また、会えるかな……」", | |||
"304001611_66": "(無理……かな。\\n 向こうの世界での暮らしがあるんだから)", | |||
"304001611_67": "(でも、いつかきっと、また会える日が――)", | |||
"304001611_68": "「響……」", | |||
"304001611_69": "「え……?」", | |||
"304001611_70": "「未来……?」", | |||
"304001611_71": "「なんだ、まだこっちにいたの?」", | |||
"304001611_72": "「響……響ッ<speed=1>!</speed> ずっと、会いたかった……」", | |||
"304001611_73": "「こないだ別れたばかりで、そんな大げさな……」", | |||
"304001611_74": "(……あれ<speed=1>?</speed> 何か……違う?)", | |||
"304001611_75": "「ごめんね……あの後、響にお別れも言えずに引っ越しちゃって」", | |||
"304001611_76": "「えッ……もしかして――」", | |||
"304001611_77": "「手紙も送ったけど、全然返事無くて……。\\n 何度か会いにも来たんだけど、響どこにもいなくて……」", | |||
"304001611_78": "(この子は……ううん、この未来は――)", | |||
"304001611_79": "「どうして、未来が……?」", | |||
"304001611_80": "「あのね、特異災害対策機動部の人が来てね……」", | |||
"304001611_81": "「あの人たちが……」", | |||
"304001611_82": "「ごめんね。\\n 響が一番辛い時に傍にいてあげられなくて、わたし――」", | |||
"304001611_83": "「でも……やっと会えたよ……響……」", | |||
"304001611_84": "(未来……<speed=1>、</speed>温かい……)", | |||
"304001611_85": "(ああ……そうだ。\\n わたし、あの時、思い出したんだ……)", | |||
"304001611_86": "(未来は、ずっとわたしの陽だまりだったんだって……)", | |||
"304001611_87": "「そうだよ。やっと、見つけた」", | |||
"304001611_88": "「わたしのいるべき場所はここだったんだ……」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,62 @@ | |||
{ | |||
"330001211_0": "自分らしくあるために", | |||
"330001211_1": "「アルゴスの眼から解放された、ジャンヌの妹、\\n メルさんについて報告が上がってきました」", | |||
"330001211_2": "「待っていたデスッ!」", | |||
"330001211_3": "「マリアのこと、助けてくれたんだよね」", | |||
"330001211_4": "「順調に回復し、歩けるまでになっているそうです。\\n そして、マリアさんにお礼を伝えてほしいと……」", | |||
"330001211_5": "「よかったですねッ!」", | |||
"330001211_6": "「ええ、本当によかった……」", | |||
"330001211_7": "「マリアくんが無事に戻ったことも、嬉しく思っている」", | |||
"330001211_8": "「ありがとうございます」", | |||
"330001211_9": "「ですが、わたしはS.O.N.G.に敵対してしまいました……。\\n わたしに対する処分を言い渡してください」", | |||
"330001211_10": "(わたしが犯した罪は重い)", | |||
"330001211_11": "(どんな処分を言い渡されたとしても、\\n 受け止める覚悟は出来ているわ……)", | |||
"330001211_12": "「ああ、俺は君に対する処分を言い渡す立場にある」", | |||
"330001211_13": "「しかし、今回その件については、不問にするという\\n 上層部の判断が下った」", | |||
"330001211_14": "「……不問、ですか?」", | |||
"330001211_15": "「わたしは、装者の立場の剥奪すらあり得ると……ッ!」", | |||
"330001211_16": "「兄貴の働きかけによるところだ。\\n だが、兄貴はただ優しさでマリアくんを救ったわけではない」", | |||
"330001211_17": "「確かに君が、S.O.N.G.に対し敵対行動を取ったという事実は\\n 残っている。それ自体は許されることではない」", | |||
"330001211_18": "「しかし、それは裏切りではなく、我々S.O.N.G.を護り事件を\\n 解決しようとした結果だったはずだ」", | |||
"330001211_19": "「兄貴はそれをその場での状況判断として処理し、\\n 上層部も、兄貴の説得に納得したそうだ」", | |||
"330001211_20": "「で、ですがッ!」", | |||
"330001211_21": "「これ以上の反論は無しだ。第一、マリアくんがいなければ、\\n 俺たちはネメシスに消されていたかもしれない、そうだろう?」", | |||
"330001211_22": "「……わかりました。ありがとうございます」", | |||
"330001211_23": "「ヘルメスの剣は、日本政府で管理することになった。\\n 丁重に保管されることになる」", | |||
"330001211_24": "「さあ、俺からは以上だ。疲れが溜まっているだろう、\\n 今日は休んでくれ」", | |||
"330001211_25": "「はい……」", | |||
"330001211_26": "「みんな、この事件ではたくさんの迷惑をかけてしまったわ。\\n 本当にごめんなさい……」", | |||
"330001211_27": "「謝ることなんてないですよッ!」", | |||
"330001211_28": "「最初は確かにちょっとびっくりして、\\n いろいろ考えちゃったデス……でもッ!」", | |||
"330001211_29": "「マリアは絶対に戻ってくる、そう信じていたから」", | |||
"330001211_30": "「あたしたちを護るためだったんだ。\\n そんなの、迷惑なわけないだろ?」", | |||
"330001211_31": "「つまるところ、皆気にしていないということだ。それに、\\n マリアこそ、わたしたちを護ってくれていたのだろう?」", | |||
"330001211_32": "「みんな……」", | |||
"330001211_33": "「あーッ! そうデスッ! 『マリアおかえりなさいパーティ』を\\n やらなきゃいけないデスねッ!」", | |||
"330001211_34": "「ナイスアイデアだね、切ちゃん」", | |||
"330001211_35": "「パーティ?」", | |||
"330001211_36": "「いいね、おかえりなさいパーティッ!\\n やろうやろうッ!」", | |||
"330001211_37": "「おっさんも今日は休めって言ってただろ。\\n やるなら明日な」", | |||
"330001211_38": "「そうだったデスッ! でも、今日から準備しておくのは\\n セーフデスよねッ!」", | |||
"330001211_39": "「お料理仕込まなきゃ。\\n みんなの分もだから、たくさん作ろうね」", | |||
"330001211_40": "「じゃあ、わたしは飾り付けに使えそうなもの探してくるよ。\\n ほら、クリスちゃんもッ!」", | |||
"330001211_41": "「あ、ああ……」", | |||
"330001211_42": "「まったく、人の話も聞かずに飛び出して……」", | |||
"330001211_43": "「フフ、本当に騒がしいわね……」", | |||
"330001211_44": "「戻ってきたことが嬉しいんだろう。\\n 今回くらいは好きにやらせてやれ」", | |||
"330001211_45": "「……ええ」", | |||
"330001211_46": "「あ、あれ、どうしたのかしら。\\n 勝手に涙が溢れてきて、変ね……」", | |||
"330001211_47": "「……」", | |||
"330001211_48": "「な、何してるのよ……。\\n こんなところ、翼の前で……」", | |||
"330001211_49": "「いいんだ。わたしたちの前では、弱い自分を見せてもいい」", | |||
"330001211_50": "「……ッ!」", | |||
"330001211_51": "「……ずっと、ずっと怖かった……。\\n みんなと心が離れていってしまうようで……ッ!」", | |||
"330001211_52": "「だけど、わたしは……、戻ってこられたのよね……」", | |||
"330001211_53": "「ああ、そうだ。\\n マリアは、わたしたちのところに戻ってきてくれた」", | |||
"330001211_54": "「そして、これからも心が離れてしまうことなんてないと\\n 断言できる。……この胸の歌がある限り」", | |||
"330001211_55": "「おかえり」", | |||
"330001211_56": "「……ただいま」", | |||
"330001211_57": "「もう少しだけ、そこにいてもらえるかしら?」", | |||
"330001211_58": "「ああ……、もちろんだ」", | |||
"330001211_59": "(やっと、戻ってくることができたのね。\\n わたしが自分らしくいられる、みんなのもとに……)" | |||
} |
@@ -0,0 +1,62 @@ | |||
{ | |||
"372001211_0": "帰結する決意", | |||
"372001211_1": "「あーあ、ボクたちのスーツがッ!\\n 見る影もない姿に……」", | |||
"372001211_2": "「ご、ごめんなさい……」", | |||
"372001211_3": "「気にするなッ!\\n 怒ってる訳じゃねぇよ」", | |||
"372001211_4": "「……きっと、仁が皆を護ってくれたんだよ」", | |||
"372001211_5": "「そうそう。それによ。オレらが作ったモノが、\\n 想定以上の性能を発揮して、役に立って壊れた」", | |||
"372001211_6": "「それはすべての科学者の夢ッ!\\n つまり開発者冥利に尽きるというものなのですッ!」", | |||
"372001211_7": "「次はもっと――ッ!」", | |||
"372001211_8": "「……残念ながら『グラウスヴァイン』のコアは\\n お返しする訳にはいきません」", | |||
"372001211_9": "「あぁ、いくら開発者とはいえ、国が封印したものを\\n ネコババして改造してたわけだしね」", | |||
"372001211_10": "「ほら、とっとと捕まえるなりするといいさ。\\n ただし、首謀者はアタシだ」", | |||
"372001211_11": "「こいつらは巻き込まれただけ……\\n その辺分かってるよな、風鳴司令殿は」", | |||
"372001211_12": "「あ、<ruby=あね>姐</ruby>さん……」", | |||
"372001211_13": "「それなら、わたしにも何らかの罰をッ!」", | |||
"372001211_14": "「わたしは彼らの危険性を認識していながら、\\n 存在をひた隠しにしていました……ッ!」", | |||
"372001211_15": "「……皆、反省の色は十二分というわけだな」", | |||
"372001211_16": "「実のところ、今回の事件に環さんたちが\\n 噛んでいたことは、薄々勘付いてはいたんだ」", | |||
"372001211_17": "「何……?」", | |||
"372001211_18": "「そして万が一のときに備えて、\\n 一応の手は打ったんだが……」", | |||
"372001211_19": "「風鳴司令、周辺国諜報機関への根回しなら、\\n 滞りなく進行していますよ」", | |||
"372001211_20": "「国連サーバへの申請も、無事に通過したみたいです」", | |||
"372001211_21": "「司令、先ほど日本政府からの正式通達があり、\\n こちらに一任するとの返答を得ました」", | |||
"372001211_22": "「と、いうことでS.O.N.G.から環さんに、\\n グラウスヴァインスーツの回収、研究を委託する」", | |||
"372001211_23": "「どういうこった?」", | |||
"372001211_24": "「書類上、環さんたちはあくまで、我々の実験に\\n 協力していた……そういう筋書きになっている」", | |||
"372001211_25": "「少しばかり、\\n 口裏を合わせてもらう必要はあるがな」", | |||
"372001211_26": "「で、では……ッ!」", | |||
"372001211_27": "「あぁ、今回の件。\\n 環さんと助手2名を咎める者は存在しない」", | |||
"372001211_28": "「だがそれも、お前たちがグラウスヴァインを\\n 一切悪用することなく運用したからこそ為せた裏技だ」", | |||
"372001211_29": "「今後もS.O.N.G.の監視は付くが、世のため\\n 人のために研究を続けてくれ」", | |||
"372001211_30": "「……タヌキめ、余計なことを。\\n 礼は言わないぞ」", | |||
"372001211_31": "「あぁ、それでいい」", | |||
"372001211_32": "「――よかったッ! じゃあ環さんたち、\\n これからは堂々と人助けできるんだねッ!」", | |||
"372001211_33": "「あのッ! アタシも1回\\n グラウスヴァインスーツ着てみたいデスッ!」", | |||
"372001211_34": "「確かに、あの銃はあたしも興味あるな」", | |||
"372001211_35": "「もう、困らせるようなこと言っちゃだめよ」", | |||
"372001211_36": "「嬢ちゃんたちから引っ張りだこってこた、\\n もしかしてオレ、罪な男なのか?」", | |||
"372001211_37": "「あんたは黙ってなッ!」", | |||
"372001211_38": "「……環さん、これでまた\\n 一緒にお茶にいけますね」", | |||
"372001211_39": "「今度は、わたしたちの\\n おすすめの店も、紹介したいです」", | |||
"372001211_40": "「……考えといてやるよ」", | |||
"372001211_41": "「それより翼……もう少し、器用に生きろ。\\n たまには弱音くらい吐け。あと休め」", | |||
"372001211_42": "「……そっくりそのまま、お返しします」", | |||
"372001211_43": "「フン……」", | |||
"372001211_44": "「ではたまに、弱音を見せるため、\\n 会いにいってもよいでしょうか?」", | |||
"372001211_45": "「……ッ! まぁ、別にいいけどよ」", | |||
"372001211_46": "「――コホン。\\n 積もる話もあるが、そろそろ引き上げ時だ」", | |||
"372001211_47": "「環さんたちには本部で色々と手続きを行ってもらう。\\n 少しの間、お別れだ」", | |||
"372001211_48": "「……何、またすぐ会えるだろ」", | |||
"372001211_49": "「……はい」", | |||
"372001211_50": "「そうだ――最後に1つだけ」", | |||
"372001211_51": "「あの黒いレーベンガー……\\n 多分また現れるぞ」", | |||
"372001211_52": "「……なぜそう言える」", | |||
"372001211_53": "「今回の侵攻はあくまで、試験……\\n そう、まるで性能を試すような感じだった」", | |||
"372001211_54": "「じゃなきゃ、あえて戦力を小刻みに\\n 出現させる理由はないだろ」", | |||
"372001211_55": "「――せいぜい、気をつけな」", | |||
"372001211_56": "「……世界蛇になりうる聖遺物の割り出しに\\n 成功したようですね」", | |||
"372001211_57": "「かの聖遺物はその並行世界にて、\\n 厳重に保管されているものと思われます」", | |||
"372001211_58": "「それは僥倖です。こちらもレーベンガーの\\n ガンド化が上手くいったばかり……」", | |||
"372001211_59": "「――これでようやく、作戦を次の段階へと\\n 進めることができそうですね」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,90 @@ | |||
{ | |||
"373001211_0": "旅立ちの小宴", | |||
"373001211_1": "「……やったか?\\n テュポーンのヤツ、もう復活したりなんかしないよな?」", | |||
"373001211_2": "「分からない……けど、もう動く気配は無いよ」", | |||
"373001211_3": "「ふぅ……\\n ひとまずは安心ってところか」", | |||
"373001211_4": "「影護の装者たち、聞こえるか? 無事か?」", | |||
"373001211_5": "「大丈夫だ。\\n テュポーンのヤツは倒したと思うッ!」", | |||
"373001211_6": "「そうか……。\\n 我々も至急そちらに向かおう」", | |||
"373001211_7": "「翼さん、クリスさん、ヒビキさんッ!\\n ご無事ですかッ!!」", | |||
"373001211_8": "「大丈夫、みんなピンピンしてる。\\n それと、テュポーンは破壊されたと思う」", | |||
"373001211_9": "「そうですか……。2つとも、うれしい報告です。\\n 本当に、よかった」", | |||
"373001211_10": "「……九皐か。久しいな」", | |||
"373001211_11": "「八紘兄さん……。\\n いえ、この場でそう呼ぶべきではありませんね」", | |||
"373001211_12": "「…………」", | |||
"373001211_13": "「今回の件で、あなたがたもハッキリ認識されたはずです。\\n 聖遺物は存在するだけで、悪用しようと企む者があらわれる」", | |||
"373001211_14": "「これでは、罪なき人々の安寧など砂上の楼閣です。\\n ……ゆえに、我々影護はこれからも変わらず行動し続けます」", | |||
"373001211_15": "「もちろん、我々と同調していただけるなら、\\n 特機二課と手を結ぶことは、やぶさかではありませんが」", | |||
"373001211_16": "「……今回の協力は、あくまで一時的な緊急措置だ。", | |||
"373001211_17": " 行動を止めないならば、我々はお前たちを阻止し、捕縛する」", | |||
"373001211_18": "「お前たちの活動に賛同することは、ない」", | |||
"373001211_19": "「……それは残念です」", | |||
"373001211_20": "「では、翼さん、クリスさん、ヒビキさん。\\n 追跡が始まる前に、ここで失礼しましょう」", | |||
"373001211_21": "「父上……。怪我は、もういいのか?」", | |||
"373001211_22": "「お前が心配するようなことは、なにもない。\\n 早く行け。影護の退去をもって、協力措置は終了とする」", | |||
"373001211_23": "「分かった。\\n ……まだまだ、元気でいてくれよ?」", | |||
"373001211_24": "「だから、余計な心配だ。\\n だが、私からも同じ言葉をお前に送ろう」", | |||
"373001211_25": "「ヒビキお姉ちゃーんッ!!」", | |||
"373001211_26": "「シャロンッ! そんなに走って大丈夫?\\n あんなにグッタリしていたのに」", | |||
"373001211_27": "「お姉ちゃんたちに力を渡してから、いっぱい休めたもんッ!\\n ヒビキお姉ちゃんには、伝えたいことがあったから……」", | |||
"373001211_28": "「なに?」", | |||
"373001211_29": "「助けてくれて、ありがとう」", | |||
"373001211_30": "「……そんなこと。\\n わたしの方が、シャロンにいっぱい助けられたよ」", | |||
"373001211_31": "「シャロンのおかげで、新たな力を得られたんだ。\\n これがなければ、勝てなかった」", | |||
"373001211_32": "「うーん……。じゃあ、おあいこってことにしとこうか。\\n どれだけ助かったか、くらべっこになっちゃうからッ!」", | |||
"373001211_33": "「そうだね、それがいい」", | |||
"373001211_34": "「ヒビキお姉ちゃんは、並行世界を旅してるんだよね……。\\n また、会えるかな?」", | |||
"373001211_35": "「約束したから、会いに来るよ。わたしの戦いが終わった時か、\\n この世界が、再び危機に陥った時に……」", | |||
"373001211_36": "「ゆっくり話したいから、\\n 戦いが終わった後の方がいいけどね」", | |||
"373001211_37": "「そうだねー。その時は……、\\n 響お姉ちゃんともいっしょに、お勉強教えてほしいかも」", | |||
"373001211_38": "「もう1人のわたしといっしょに?\\n それなら、わたしなんか――」", | |||
"373001211_39": "「それ……やめてほしいなッ!」", | |||
"373001211_40": "「えッ!?」", | |||
"373001211_41": "「響お姉ちゃんとくらべて、自分なんかって言うのはやめて。\\n ヒビキお姉ちゃんは、わたしの大事で大好きな仲間なんだから」", | |||
"373001211_42": "「……そうか。ごめんね。\\n できるだけ早く、直すよ」", | |||
"373001211_43": "「それじゃあ、ヒビキお姉ちゃん。またねッ!!」", | |||
"373001211_44": "「うん、またね」", | |||
"373001211_45": "「……以上が、本件についての最終的な報告となります。\\n 詳細はこちらの資料をご覧ください」", | |||
"373001211_46": "「ゆめゆめ、資料も精査せず適当に\\n 強権を行使することなどなきよう願います」", | |||
"373001211_47": "「……い、いやまったくすまないねッ! 風鳴くんッ!!\\n まさか、あの石崎くんが……、ねえ?」", | |||
"373001211_48": "「本名は石屋。『ウロボロス』と称する組織の\\n 幹部であったようです。彼は聖遺物テュポーンを欲した」", | |||
"373001211_49": "「そして、手に入れるために障害となる二課を操るために\\n あなたへ近づき、あれだけの暴挙を働いたのです」", | |||
"373001211_50": "「し、身辺調査はしっかりやっていたのだよ? うんッ!\\n なのにここまで入りこむとは、敵ながらあっぱれッ!」", | |||
"373001211_51": "「……確かに見事な手腕でした。おかげで、\\n 私は入院させられ、二課はあなたをタテに石屋に操られた」", | |||
"373001211_52": "「……めんぼくない。だが、さすがは風鳴くんと二課だ。\\n 追い詰められながらも、ウロボロスの計画をくじくとはッ!」", | |||
"373001211_53": "「おかげで、日本は……、いや世界は壊滅の危機から逃れた。\\n 本当にありがとうッ!!」", | |||
"373001211_54": "「礼には及びません。今回の事件にまつわる被害は、\\n あきらかに二課と政府の落ち度によるものです」", | |||
"373001211_55": "「再発防止のため、私は自分も含め責任の所在を明らかにし、\\n これを追及するつもりです。一切の例外なく」", | |||
"373001211_56": "「な……ッ!?」", | |||
"373001211_57": "「できれば、いさぎよく調査に応じていただければありがたい。\\n ……では、失礼します」", | |||
"373001211_58": "「なんてこった……」", | |||
"373001211_59": "「……『テュポーンの魂核』を発見、回収しました」", | |||
"373001211_60": "「ご苦労様です。\\n それこそ、今回の計画の真の成果――」", | |||
"373001211_61": "「すぐに移送し、厳重に管理してください」", | |||
"373001211_62": "「はッ!」", | |||
"373001211_63": "(……これでまた1つ、ピースがそろった)", | |||
"373001211_64": "「フフ、フフフフフフフフフ……」", | |||
"373001211_65": "「世界蛇、そしてベアトリーチェ様の復活も……、\\n そう遠いものではないでしょう」", | |||
"373001211_66": "「しかし腹が減ったなぁッ! ぶっ通しで戦った上に、\\n テュポーンにいろいろ吸われちまったせいかな?」", | |||
"373001211_67": "「なあクリス。今日は祝勝会ってことでさ、\\n ヒビキと3人でパーッとやらないかッ!」", | |||
"373001211_68": "「いいアイデア。\\n パーティションで囲って、ささやかにやろう」", | |||
"373001211_69": "「は? なんでそんなせせこましくするんだ?」", | |||
"373001211_70": "「だって、パーティションあってこその、パーティ。\\n なんちゃって……」", | |||
"373001211_71": "「ブッ!! ハハハ、ハハハハハッ!!\\n やっぱりクリスはおもしろいなあッ!!」", | |||
"373001211_72": "「…………」", | |||
"373001211_73": "「ん? ヒビキ、どうしたんだよ。\\n 立ち止まったりなんかして」", | |||
"373001211_74": "「……いや、なんでもないよ」", | |||
"373001211_75": "「……嘘つけ。もう行くのか?」", | |||
"373001211_76": "「……うん」", | |||
"373001211_77": "「もう少し休んだ方がいいよ」", | |||
"373001211_78": "「そうかもしれない。でも……、\\n わたしは一刻も早く、もっとたくさん人助けをしたいんだ」", | |||
"373001211_79": "「それが、わたしの罪滅ぼしだから……」", | |||
"373001211_80": "「やれやれ、お前はガンコだなッ!\\n ――まあ、立花響はみんなガンコか」", | |||
"373001211_81": "「今回は本当に世話になった。ありがとな。\\n おかげで助かったぞ」", | |||
"373001211_82": "「わたしも、ありがとう。\\n ヒビキはすごく頼りになったよ」", | |||
"373001211_83": "「そんなまっすぐ言われると恥ずかしいけど……。\\n ……うん」", | |||
"373001211_84": "「ヒビキ、オレとクリスは、お前の味方だ。\\n いつでもどこでも、なにかあったら頼ってくれよ」", | |||
"373001211_85": "「聞いてはないけど、きっとシャロンも同じ気持ちだと思うぞ。\\n だからオレが代弁しといてやるッ!」", | |||
"373001211_86": "「また会おうね。できれば、平和で何もない時に。\\n シャロンも一緒に、みんなで遊ぼう」", | |||
"373001211_87": "「うん。ありがとう、2人とも。\\n それじゃあ……、またね」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,41 @@ | |||
{ | |||
"377000111_0": "宇宙一可愛いアイドル?", | |||
"377000111_1": "「早く会場へッ!\\n ライブが始まってしまいますぞッ!」", | |||
"377000111_2": "「……まあ待て。ファンとして、\\n 万全の状態で会場入りしなくてはいけないからな」", | |||
"377000111_3": "「サイリウムよし、声出しよし……。\\n よし、完璧だッ!」", | |||
"377000111_4": "「急ぎますぞッ! 宇宙一のステージを見逃すなど、\\n ファンとしてあってはならぬこと……ッ!」", | |||
"377000111_5": "「ねぇ? これって……」", | |||
"377000111_6": "「ああ、この高揚感と緊張感の入り混じった雰囲気は……、\\n 恐らく、開演間近のライブ会場が近くにあるようだな」", | |||
"377000111_7": "「――ッ!?\\n 一体どういうことだ?」", | |||
"377000111_8": "「あたしたちは、ギャラルホルンがアラートを発したから、\\n わざわざこの並行世界まで来たんだよな?」", | |||
"377000111_9": "「ええ。\\n S.O.N.G.の任務としてね」", | |||
"377000111_10": "「でも、ライブが開催されてるだなんて、\\n 平和そのものじゃないか?」", | |||
"377000111_11": "「表層だけで判断するのは危険だ。ギャラルホルンがアラートを\\n 発したからには、この世界に危機が迫っているのは確かだろう」", | |||
"377000111_12": "「そうね。\\n とにかく、周囲の様子を探ってみましょう」", | |||
"377000111_13": "「一通り見回ってみたが……、\\n やっぱり変わった様子なんてないぞ」", | |||
"377000111_14": "「そのようだな。\\n ギャラルホルンは、一体何に反応したのか……」", | |||
"377000111_15": "「あッ! いたいたッ!!\\n 捜しましたよッ!」", | |||
"377000111_16": "「何者ッ!」", | |||
"377000111_17": "「……緒川さんッ!?」", | |||
"377000111_18": "「また勝手に会場を離れて……、\\n 急がないと、開演に遅れてしまいますよッ!」", | |||
"377000111_19": "「<size=25>今の口ぶりからすると、こちらの世界でも、\\n 翼のマネージャーをやっているようね</size>」", | |||
"377000111_20": "「<size=25>なるほど。今日開催されるライブは、\\n この世界のわたしのものだったか</size>」", | |||
"377000111_21": "「<size=25>参ったな。\\n どう説明すべきか……</size>」", | |||
"377000111_22": "「<size=25>事情を説明しちまえば、\\n ここで起こってる異変についても聞けるんじゃないか?</size>」", | |||
"377000111_23": "「<size=25>いや、わたしのマネージャーだからといって、\\n わたしたちの世界の緒川さんと同じ立場とは限らない</size>」", | |||
"377000111_24": "「<size=25>そうね。そもそも、S.O.N.G.のような組織があるのか……。\\n 探りを入れつつ――</size>」", | |||
"377000111_25": "「さあ、行きますよッ!」", | |||
"377000111_26": "「……クリスティーナさんッ!」", | |||
"377000111_27": "「――え?」", | |||
"377000111_28": "「クリスティーナって……、", | |||
"377000111_29": " あたしに言ってんのかッ!?」", | |||
"377000111_30": "「ちょ、ちょっと待てよッ!\\n クリスティーナって誰だよッ!?」", | |||
"377000111_31": "「またそんな、わざとらしい演技を……。\\n あなたがクリスティーナさん以外の何者だというんですか」", | |||
"377000111_32": "「脱走の常習犯をようやく捕まえたんです。\\n もう本当に時間がありませんから、すぐに行きますよッ!」", | |||
"377000111_33": "「おいッ! 引っ張んなよッ!」", | |||
"377000111_34": "「2人ともッ!! 黙ってないで助けろってッ!\\n おぉぉぉぉいッ!」", | |||
"377000111_35": "「お友達ですか? 申し訳ありませんが、\\n 時間が押してますのでこれで失礼しますね」", | |||
"377000111_36": "「…………」", | |||
"377000111_37": "「――ッ!\\n いかん。あまりの事に呆然としてしまったッ!!」", | |||
"377000111_38": "「このままじゃあの子を見失ってしまうわッ!\\n 急いで追いかけましょうッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,49 @@ | |||
{ | |||
"377000121_0": "「な、なんだこの恥ずかしい衣装はッ!\\n いきなり着替えさせやがってッ!」", | |||
"377000121_1": "「クリスティーナさんがデザインした衣装じゃないですか」", | |||
"377000121_2": "「だから、あたしはそんな名前じゃないぞッ!\\n ……これ、フリフリだし、まるでアイドル――」", | |||
"377000121_3": "「そう、あなたはアイドルですッ! だから、\\n ファンの皆さんのためにも、頑張ってきてくださいねッ!」", | |||
"377000121_4": "「押すなって――、\\n うわわわっとおッ!!」", | |||
"377000121_5": "「うおっしゃ野郎どもぉぉぉッ!!\\n 大エールで歓迎だぁぁぁぁッ!」", | |||
"377000121_6": "「おおおぉぉぉッ!\\n クリスティーナッ! クリスティーナッ!」", | |||
"377000121_7": "(おいおいおいッ!\\n これ、マジもんのライブステージじゃないかよッ!!)", | |||
"377000121_8": "「っしゃ、サイリウム合わせろー」", | |||
"377000121_9": "「おおおぉぉぉッ!」", | |||
"377000121_10": "(あのサイリウムの数だけ、人がいるのかッ!?\\n なんだよ、コレぇ……ッ!)", | |||
"377000121_11": "「あれ? 唄い始めないな……。\\n どうしたんだ?」", | |||
"377000121_12": "(視線が突き刺さるのが分かるッ!\\n 客の声が合わさって、地鳴りみたいだ……)", | |||
"377000121_13": "「唄わず、踊らず、ただステージに立っているだけなのに、\\n なんてあざとく、可愛く、そして尊いんだッ!」", | |||
"377000121_14": "「もしかして体調悪いんじゃないの?\\n 大丈夫かクリスティーナーッ!?」", | |||
"377000121_15": "(ダメだ、分かんねぇ……ッ!\\n どうすりゃいいんだよ……ッ!!)", | |||
"377000121_16": "「そこのニセモノッ!\\n 早くあたしのステージから降りなさいッ!!」", | |||
"377000121_17": "「――ッ!?」", | |||
"377000121_18": "「なんだぁッ!?\\n 急に暗く……ッ!」", | |||
"377000121_19": "「早くッ!\\n ステージから<ruby=は>捌</ruby>けてくださいッ!」", | |||
"377000121_20": "「あ?\\n ああ……ッ!」", | |||
"377000121_21": "「みんな、ごめんねッ! みんなのコールに感動して、\\n ちょっと固まっちゃったッ! テヘッ♪」", | |||
"377000121_22": "「うおおおおおおッ! そんな風に、俺たちファンを大事に\\n 思ってくれるところも大好きだぞおおおおッ!」", | |||
"377000121_23": "「さあッ! ここからが本物のあたしのステージよッ!!\\n みんな、あたしの可愛さにひれ伏しなさいッ!!」", | |||
"377000121_24": "「<size=40>きたああああああああああーッ!!</size>」", | |||
"377000121_25": "「フフッ♪ お客よお客よお客さん。\\n 宇宙一可愛いアイドルはだぁれ?」", | |||
"377000121_26": "「ク・リ・ス・ティー・ナぁぁぁぁぁぁぁッ!!」", | |||
"377000121_27": "「クリスティーナちゃん様でぇぇぇぇすッ!!」", | |||
"377000121_28": "「あーん、嬉しいッ! 分かってるみんなには\\n サービスしてあげちゃうッ! チュッ♪」", | |||
"377000121_29": "「ふおおおおおおッ!!」", | |||
"377000121_30": "「クリスティーナぁッ! こっちッ! こっちにも\\n ファンサプリィィィィズッ!!」", | |||
"377000121_31": "「ステージに立っているのは、確かにクリスティーナさん……。\\n 本当に人違いだったのですね。申し訳ありません」", | |||
"377000121_32": "「いやしかし、それにしても似すぎていますッ!\\n 一体、どういうことですかッ!?」", | |||
"377000121_33": "「いやその、なんて言ったらいいか……」", | |||
"377000121_34": "(アレ……どう見てもこの並行世界のあたしだよな?\\n まさか、アイドルしてるなんて、想定外が過ぎるだろ……)", | |||
"377000121_35": "「よそ見はダメよ?\\n 宇宙一可愛いあたしのことだけ、目に焼き付けてッ!」", | |||
"377000121_36": "「クリスティーナしか、\\n 見えませえええええんッ!!」", | |||
"377000121_37": "(なんだよそのキャラはッ!\\n 自分で可愛いって言うとか無しだろッ!)", | |||
"377000121_38": "(ましてや、宇宙一とか……。ううう、なんであたしが\\n 恥ずかしい想いをしなきゃいけないんだよ……ッ!)", | |||
"377000121_39": "「ありがとッ! 大好きよみんなッ!\\n それじゃあ、次の曲いくよッ!!」", | |||
"377000121_40": "「ク・リ・ス・ティー・ナぁぁぁぁぁぁぁッ!!」", | |||
"377000121_41": "「よぉし、声出していくぞッ!!\\n クリスティーナちゃんに届け、この想いッ!!」", | |||
"377000121_42": "(――ッ!)", | |||
"377000121_43": "(なんというか、歌はイイんだな……。客も、あのキャラに\\n たぶらかされて盛り上がってるだけじゃないってことか……?)", | |||
"377000121_44": "「みんなのハートに、バーンッ♪」", | |||
"377000121_45": "「か、可愛すぎる……ッ!\\n 可愛すぎて最後まで持たねえよぉ……ッ!」", | |||
"377000121_46": "(……いや、やっぱ無しだろ……)" | |||
} |
@@ -0,0 +1,45 @@ | |||
{ | |||
"377000131_0": "「まだまだ行くわよーッ!!」", | |||
"377000131_1": "「おおおぉぉぉぉッ!」", | |||
"377000131_2": "「雪音を追ってライブ会場に忍び込んだはいいが、\\n よもや、こんなものを目撃しようとは……」", | |||
"377000131_3": "「ステージで唄っているのは、あの子じゃないわよねッ!?」", | |||
"377000131_4": "「ああ、恐らくこの並行世界の雪音だろう。\\n アイドル『クリスティーナ』とは……驚きを禁じ得ないな」", | |||
"377000131_5": "「えッ!? あれはなんだ?」", | |||
"377000131_6": "「でかい……鳥?\\n ライブの演出か?」", | |||
"377000131_7": "「あれは……ッ!\\n なんで、また……?」", | |||
"377000131_8": "「み、みんな逃げてッ!\\n お願い……ッ!」", | |||
"377000131_9": "「逃げてって……、\\n まだライブは終わってないだろ? どういうことだ?」", | |||
"377000131_10": "「演出にしては、\\n 本気で怖がっているような……」", | |||
"377000131_11": "「アアアアアアアアアアッ♪」", | |||
"377000131_12": "「な、なんだこの音ッ!?\\n あの鳥が出してるのかッ!?」", | |||
"377000131_13": "「酷い音だ……。\\n ウウ、頭が割れる……ッ!」", | |||
"377000131_14": "「に、逃げろッ!\\n 本物のバケモノだッ!」", | |||
"377000131_15": "「あれは、カルマノイズ……ッ!」", | |||
"377000131_16": "「現れたわねッ!\\n 観客が危ないわ。行きましょうッ!」", | |||
"377000131_17": "「カルマノイズか……ッ!」", | |||
"377000131_18": "「この怪物は……あの時のッ!」", | |||
"377000131_19": "「知ってるのかッ!?」", | |||
"377000131_20": "「ええ。\\n 少し前、クリスティーナさんのライブに……」", | |||
"377000131_21": "「オオオオオオオオオオッ♪」", | |||
"377000131_22": "「なんだこの音ッ!?\\n カルマノイズが……唄ってる?」", | |||
"377000131_23": "「う……ッ!」", | |||
"377000131_24": "(これは、カルマノイズの精神汚染か……ッ!)", | |||
"377000131_25": "「ぐ、うう……。\\n なんだ、これは……ッ!」", | |||
"377000131_26": "「おいッ! しっかりしろッ!\\n 自分を見失うなッ!」", | |||
"377000131_27": "「は、はい。なんとか……」", | |||
"377000131_28": "「このままじゃ観客が危険だ。\\n 動けるやつらで、避難誘導をしてくれッ!」", | |||
"377000131_29": "「分かりました……。\\n あと、クリスティーナさんも……」", | |||
"377000131_30": "「そっちはあたしに任せろッ!\\n お前は客を逃がして、その後自分も逃げろよッ!」", | |||
"377000131_31": "「任せろって、あなたは……?」", | |||
"377000131_32": "「Killter Ichaival tron――」", | |||
"377000131_33": "「アアアアア……」", | |||
"377000131_34": "「――ッ!\\n あたしを、狙って……?」", | |||
"377000131_35": "「させるかよッ!」", | |||
"377000131_36": "「――ッ!\\n あ、あなたは……ッ!」", | |||
"377000131_37": "「まだ動けるみたいだな。\\n 後ろに引っ込んでな。こいつは――」", | |||
"377000131_38": "「雪音ッ!」", | |||
"377000131_39": "「やっと来てくれたか……」", | |||
"377000131_40": "「さっきは悪かったわね。\\n でも、大事なのはこれからでしょう?」", | |||
"377000131_41": "「ああ。このカルマノイズを倒すことが\\n わたしたちの任務だ」", | |||
"377000131_42": "「そうだな。さっさとブッ飛ばして、\\n あたしらの世界に帰るぞッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,29 @@ | |||
{ | |||
"377000132_0": "「――ッ!」", | |||
"377000132_1": "「さっさと倒れやがれッ!!」", | |||
"377000132_2": "「ギャァァァァァァ~~ッ♪」", | |||
"377000132_3": "「こいつ、また――ッ!?」", | |||
"377000132_4": "「これは……ッ!?\\n フォニックゲインが、安定しないわッ!」", | |||
"377000132_5": "「あのカルマノイズの叫び……。いや、これは……歌かッ!\\n 彼奴の歌が、わたしたちの歌に干渉しているッ!」", | |||
"377000132_6": "「歌で装者が……負けられっかよッ!!」", | |||
"377000132_7": "「――ッ!!」", | |||
"377000132_8": "(さっきの、あたしのニセモノ……、\\n どうして、バケモノと戦ってるの?)", | |||
"377000132_9": "(ヘンなコスプレして、弾丸をぶっ放して……。\\n 全然、可愛くなんてないのに……)", | |||
"377000132_10": "「おらぁああッ!」", | |||
"377000132_11": "「オオオオッ!」", | |||
"377000132_12": "(唄いながら、戦ってる……?)", | |||
"377000132_13": "(何この歌……。力強くて、あったかくて……。\\n あたしに、あんな歌が唄える……?)", | |||
"377000132_14": "「雪音、マリア、呼吸を合わせてたたみかけるぞッ!!」", | |||
"377000132_15": "「ああッ!\\n 力が削がれようがッ!」", | |||
"377000132_16": "「3人の攻撃を合わせれば……ッ!」", | |||
"377000132_17": "「――ッ!」", | |||
"377000132_18": "「倒せたか?」", | |||
"377000132_19": "「……いえ、ダメージは負わせたけれど、\\n 逃げられたわね」", | |||
"377000132_20": "「口惜しいが、\\n 観客に犠牲者が出なかったことは喜ぶべきだな」", | |||
"377000132_21": "「正気を失っていた観客も、\\n 徐々に回復しているようだ」", | |||
"377000132_22": "「しっかし、カルマノイズが歌を唄うなんてな。\\n そんなヤツ、今までにいたか?」", | |||
"377000132_23": "「いや……、今まで遭遇したカルマノイズには見られない能力だ。\\n あのカルマノイズ独自の能力と見るべきだろう」", | |||
"377000132_24": "「ちょっと、あなたたちッ!」", | |||
"377000132_25": "「――ッ!」", | |||
"377000132_26": "「しゃべってないで、色々説明しなさいよ……ッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,60 @@ | |||
{ | |||
"377000211_0": "輝きを支える努力", | |||
"377000211_1": "「ここが、『クリスティーナ』の所属する芸能プロダクションの\\n 事務所なのね……」", | |||
"377000211_2": "「クリスティーナも、マネージャーの緒川さんも、\\n シンフォギアを知らないようだったな」", | |||
"377000211_3": "「だったら、こんなところまでついてくる必要あったのか?」", | |||
"377000211_4": "「シンフォギアで戦う様子を\\n しっかりと目撃されてしまっているもの」", | |||
"377000211_5": "「ああ。幸いにして、観客たちの方は精神汚染による混乱で\\n よく覚えていないようだったがな」", | |||
"377000211_6": "「……それに、こちらにはクリスティーナと\\n 同じ顔の人間がいるのだ」", | |||
"377000211_7": "「う……」", | |||
"377000211_8": "「騒がれるより、ある程度情報を開示して、味方になって\\n もらった方が無難ね。何か情報が得られるかもしれないし――」", | |||
"377000211_9": "「お待たせしました」", | |||
"377000211_10": "「あたしのプロデューサーを連れてきたわよ」", | |||
"377000211_11": "「はじめましてッ! 僕は敏腕アイドルプロデューサー、\\n ジョン・ウェイン・ウェルキンゲトリクスですッ!」", | |||
"377000211_12": "「ッ!?」", | |||
"377000211_13": "「そうくるのか……」", | |||
"377000211_14": "「僕こそは、音楽業界で確固たる地位を築き、\\n すべての民衆に感動を与える英雄となるべき男なのですッ!!」", | |||
"377000211_15": "「気軽にウェル、と呼んでいただければッ!」", | |||
"377000211_16": "「……?\\n どうかしたのですか?」", | |||
"377000211_17": "「い、いえ……。少々、知り合いに似ていたもので\\n 面食らってしまっただけです。お構いなく」", | |||
"377000211_18": "「僕に似たナイスガイなど、\\n そうそういるはずがないと思うのですが?」", | |||
"377000211_19": "「お気になさらずッ!\\n 話を進めましょうッ!!」", | |||
"377000211_20": "「あたしは、宇宙一可愛いアイドル、雪音クリス。\\n 可愛くクリスティーナって呼んでねッ!」", | |||
"377000211_21": "「やっぱり『クリスティーナ』ってのは、芸名なんだな。\\n というか、ステージ降りてもそのキャラなのかよッ!」", | |||
"377000211_22": "「何よキャラってッ!\\n あたしはあたしだもんッ! 生まれた時から可愛いのッ!」", | |||
"377000211_23": "「…………」", | |||
"377000211_24": "「ええ。クリスティーナさんは今までもこれからも、\\n ずっと宇宙一可愛いですよ」", | |||
"377000211_25": "「な……緒川さん……」", | |||
"377000211_26": "「はい、僕は緒川慎次。\\n 宇宙一可愛いアイドルのマネージャーです」", | |||
"377000211_27": "「皆さんなぜか、僕の名前を知っていたようですが……」", | |||
"377000211_28": "「謎はそれだけじゃないわッ!\\n あのヘンテコなコスプレもそうだしッ!」", | |||
"377000211_29": "「クリスティーナのソックリさんがいるとは……。\\n 僕に似たナイスガイも、ひょっとしてどこかに?」", | |||
"377000211_30": "「そんなのおかしいわッ! あたしが宇宙一なのにッ!\\n ひょっとして、あたしに憧れて整形したとか……?」", | |||
"377000211_31": "「んな訳あるかッ!\\n あたしだって生まれた時から、このあたしだッ!」", | |||
"377000211_32": "「そこも含めて、こちらの事情を説明します。\\n どうか驚かずにお聞きください」", | |||
"377000211_33": "「並行世界、カルマノイズ、シンフォギア……」", | |||
"377000211_34": "「まあ、そう簡単に受け入れられる話では――」", | |||
"377000211_35": "「すばらしいッ!! 出身世界でもないのに身を挺して戦って\\n くださるその勇気ッ! 英雄的行動に最大限の感謝をッ!!」", | |||
"377000211_36": "「……信じてくれたのならそれでいいわ」", | |||
"377000211_37": "「別の世界のあたしー?」", | |||
"377000211_38": "「でも、あたしとは別の人だしッ! あたしが宇宙一、\\n いや全並行世界一可愛いという事実は揺らがないわッ!」", | |||
"377000211_39": "「あーはいはい、分かったよ」", | |||
"377000211_40": "「僕たちの知らないところで、この世界にもシンフォギアが\\n 存在している可能性はありますが――」", | |||
"377000211_41": "「そもそも、あなたたちの世界に比べて、こちらではノイズの\\n 発生件数が極端に少ないようです」", | |||
"377000211_42": "「そうなのかッ!?」", | |||
"377000211_43": "「数年に一度、世界のどこかで発生するかしないか、\\n ってレベルよね?」", | |||
"377000211_44": "「……なるほど。理由は分からないが、そもそも、\\n 二課の様な組織やシンフォギアが存在する必要がないんだな」", | |||
"377000211_45": "「だのにッ! その上位種であるという\\n 『カルマノイズ』が現れるだなんて……ッ!」", | |||
"377000211_46": "「しかも、現れたのは今回のライブが初めてじゃないんだろ?」", | |||
"377000211_47": "「……2回目よ。少し前のライブにも\\n アイツは出てきて、あんな風に叫んでたわ」", | |||
"377000211_48": "「その時は、すぐにどこかに行っちゃったから、\\n 被害もなかったし大きな騒ぎにはならなかったけど……」", | |||
"377000211_49": "「カルマノイズの襲撃が短期間に二度も……。\\n 偶然かもしれないが、何か理由があると見るのが自然か……」", | |||
"377000211_50": "「お前が目ェつけられてるってことじゃないか。\\n なんかやらかしたのか?」", | |||
"377000211_51": "「そんな覚えないわよッ! しいて言えば、\\n あたしが宇宙で一番可愛いアイドルだったから、じゃない?」", | |||
"377000211_52": "「な訳あるかよ……」", | |||
"377000211_53": "「あなたは、思い当たるところはないの?\\n 敏腕プロデューサーなんでしょう?」", | |||
"377000211_54": "「…………」", | |||
"377000211_55": "「聞いているの?」", | |||
"377000211_56": "「おっと……ッ! 僕はアイドル以外は門外漢ですからねぇ。\\n ……おや、スポンサーからメールです。失礼しますね」", | |||
"377000211_57": "「……?」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,43 @@ | |||
{ | |||
"377000221_0": "「少しでもカルマノイズに狙われてる可能性がある以上、\\n しばらくアイドル活動は休むべきだろうな」", | |||
"377000221_1": "「……それだけは絶対にできないわッ!\\n SSFでの、パフォーマンスに響くもの」", | |||
"377000221_2": "「SSF? なんだそりゃ?」", | |||
"377000221_3": "「『シャイニング・シンガー・フェス』\\n 国内最大級のアイドルの祭典です」", | |||
"377000221_4": "「トップアイドルの登竜門とも呼ばれ、そのステージで\\n 好評を得たアイドルたちは、その後、皆大成しているんです」", | |||
"377000221_5": "「今のあたしはアイドルとしてまだまだ中堅だけど……、\\n SSFをきっかけに、真の宇宙一となるのよッ!」", | |||
"377000221_6": "「クリスティーナさん、僕もそう信じていますよ」", | |||
"377000221_7": "「飛翔のきっかけとなる舞台か……確かにそのような機会は、\\n アーティストとして大切なものだ」", | |||
"377000221_8": "「だとしても、今回は諦めろッ!\\n 命を懸けるほどのことじゃないだろッ!」", | |||
"377000221_9": "「あたしは、アイドルでいることに命を懸けてるのッ!\\n だから、諦めるなんて絶対にイヤ……ッ!」", | |||
"377000221_10": "「大体、カルマノイズに狙われる理由なんてないものッ!\\n 今までのは、たまたまじゃないのッ!?」", | |||
"377000221_11": "「僕がいない間にずいぶんと盛り上がっていたようですねぇ」", | |||
"377000221_12": "「片や、迅速かつ英雄的に、\\n カルマノイズを見つけ出し討伐したい装者たち」", | |||
"377000221_13": "「片や、安全かつ可愛く、\\n アイドル活動を続けたいクリスティーナ……」", | |||
"377000221_14": "「クックック……、なるほどなるほど」", | |||
"377000221_15": "「な、なによ?」", | |||
"377000221_16": "「両者の要望を叶える妙案を思いついたのですよッ!」", | |||
"377000221_17": "「妙案?\\n どういった内容だろうか」", | |||
"377000221_18": "「クリスティーナはアイドル活動を続け、装者の皆さんに、\\n クリスティーナと観客の護衛をしてもらうのですッ!」", | |||
"377000221_19": "「護衛ぃ? こいつの?」", | |||
"377000221_20": "「こいつって何よ、こいつってッ!」", | |||
"377000221_21": "「もし、万が一本当にクリスティーナが狙われているのなら、\\n クリスティーナの前にカルマノイズは現れます」", | |||
"377000221_22": "「その時わたしたちが身辺警護についていれば、\\n クリスティーナや観客を護りつつ討伐が可能、ということか」", | |||
"377000221_23": "「だけど……」", | |||
"377000221_24": "「頭ごなしに活動を休止しろと言われても、\\n ウチのクリスティーナは納得しませんよ」", | |||
"377000221_25": "「もし、カルマノイズとクリスティーナの\\n 関連が証明されれば、その時は大人しく活動を休止しましょう」", | |||
"377000221_26": "「それは……分かったわ。\\n ファンのみんなを巻き込む訳にはいかないし……」", | |||
"377000221_27": "「……確かに、悪くない作戦ね」", | |||
"377000221_28": "「ああ。カルマノイズが現れれば今度こそ討ちとり、\\n 無関係と分かれば、改めて追えばいい」", | |||
"377000221_29": "「マジかよ……」", | |||
"377000221_30": "「そういうことならお願いするわッ!\\n 可愛いあたしの護衛ができるなんて、よかったわねッ!」", | |||
"377000221_31": "「そうだッ! お礼にサイン入り限定グッズをあげるッ!\\n めったに手に入らないものなんだからッ!」", | |||
"377000221_32": "「あ、ああ。よろしく頼む」", | |||
"377000221_33": "「身辺警護なんて、正直得意じゃないんだけどな……」", | |||
"377000221_34": "「クリスティーナの名前が世界にとどろく瞬間を、\\n 近くで目の当たりにするといいわッ!」", | |||
"377000221_35": "「……あーはいはい。ところでよ、\\n なんでわざわざクリスティーナなんて芸名つけたんだ?」", | |||
"377000221_36": "「クリスとクリスティーナじゃ、たいして変わらないだろ」", | |||
"377000221_37": "「だって、クリスティーナの方が可愛いじゃないッ!\\n とってもあたしらしいと思わない?」", | |||
"377000221_38": "「聞いたあたしがバカだった……」", | |||
"377000221_39": "「同じクリスのよしみで、あなたが元の世界に帰ったら、\\n 特別にマネしてもいいわよ?」", | |||
"377000221_40": "「するかッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,36 @@ | |||
{ | |||
"377000231_0": "翌日――", | |||
"377000231_1": "「ねえ、マネージャー。\\n 今日のスケジュール、ちょっと空き過ぎじゃない?」", | |||
"377000231_2": "「どうして今日は取材2本しか入ってないの?\\n しかも午前と夕方って、間が開き過ぎよッ!」", | |||
"377000231_3": "「間が開いてしまったのは、先方の都合なんですよ。\\n 今日他の仕事を入れていないのは……」", | |||
"377000231_4": "「今日が護衛初日ということで、\\n 互いに慣れるために少し調整をしました」", | |||
"377000231_5": "「お気遣い感謝します」", | |||
"377000231_6": "「あら、もう1人は?」", | |||
"377000231_7": "「マリアは情報収集に回っている。\\n 護衛はわたしと雪音に任せてくれ」", | |||
"377000231_8": "「ふーん……」", | |||
"377000231_9": "「お互い慣れない体制なんだから、お試しは必要だろ?\\n 今日くらいはガマンしといてくれよ」", | |||
"377000231_10": "「確かにそうだけど……。ぼーっとしてたら鈍っちゃうわ。", | |||
"377000231_11": " そうだ、ボイスレッスンとかどう?」", | |||
"377000231_12": "「すみません。今から急には……。\\n よければ、取材の想定問答を覚え直しておいてください」", | |||
"377000231_13": "「もうッ!\\n それじゃ、ちょっと集中するからあっちに行ってるわね」", | |||
"377000231_14": "「わたしも同行しよう」", | |||
"377000231_15": "「やれやれ……。しかし、ずいぶんにぎやかだな。\\n 向こうにあるの、DJブースか?」", | |||
"377000231_16": "「そうですね。SSFまでのカウントダウン企画として、\\n この辺りではしばらくあんなイベントが目白押しなんですよ」", | |||
"377000231_17": "「ウチの事務所の親会社でもあるオメガタクトが、\\n 宣伝として惜しみなく費用援助してますからね」", | |||
"377000231_18": "「へえ……。ん?」", | |||
"377000231_19": "「か、怪物……ッ!」", | |||
"377000231_20": "「出やがったッ!」", | |||
"377000231_21": "「な、小さいのまで出やがったのかッ!?」", | |||
"377000231_22": "「しかも、大型の個体はすぐに消えてしまいましたよッ!」", | |||
"377000231_23": "「分身を生みだして、自分はトンズラかよッ!\\n チッ、そんなことまでできるなんてやっぱり普通じゃないな」", | |||
"377000231_24": "「うわぁぁッ! 逃げろッ!」", | |||
"377000231_25": "「雪音ッ!!」", | |||
"377000231_26": "「もうッ! なんなのよ。\\n 全然、集中できないじゃないッ!」", | |||
"377000231_27": "「護衛対象は無事、と……。\\n おいあんた、こいつを連れて避難してなッ!」", | |||
"377000231_28": "「はいッ!\\n そちらも、気を付けてください」", | |||
"377000231_29": "「これ以上あたしの邪魔をしないように、\\n キッチリ退治してよねッ!」", | |||
"377000231_30": "「今回の出現、クリスティーナを狙ってのものだと思うか?」", | |||
"377000231_31": "「少なくとも今までみたいにライブ中ではないけど、\\n どうだろう……」", | |||
"377000231_32": "「でも、とにかくッ!」", | |||
"377000231_33": "「これ以上ワラワラと増えられたら厄介だッ!\\n ブッ飛ばしちまおう、先輩ッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,37 @@ | |||
{ | |||
"377000232_0": "「とりあえず、片付いたか……?」", | |||
"377000232_1": "「ああ。小型の個体は、\\n 例の歌を発することはできないようだったな」", | |||
"377000232_2": "「お2人ともッ!\\n クリスティーナさんが……ッ!」", | |||
"377000232_3": "「何かあったのですか?」", | |||
"377000232_4": "「避難の混乱で逸れてしまって……ッ!」", | |||
"377000232_5": "「おいおい、それはシャレにならないだろッ!」", | |||
"377000232_6": "「申し訳ありませんッ! 僕は向こうの方を見てきますので、\\n 皆さんも手分けして捜してもらえないでしょうか?」", | |||
"377000232_7": "「カルマノイズに襲われたら事だ。行くぞ雪音」", | |||
"377000232_8": "「ああ。\\n 無事でいてくれよ……ッ!」", | |||
"377000232_9": "「公園か。まさかこんなところには……」", | |||
"377000232_10": "「って、いたッ! ……あいつ、何やってんだ?\\n のんきにダンスの練習か?」", | |||
"377000232_11": "「…………」", | |||
"377000232_12": "「なあ、何してんだ。\\n 無事なのはよかったけど」", | |||
"377000232_13": "「……ちょっと待ってて。今、つかめそうなの。\\n この感覚を、逃がしたくないから」", | |||
"377000232_14": "「はいはい。見つけたって連絡しとくか」", | |||
"377000232_15": "「……よしッ! 完璧につかんだわッ!\\n フッ、また可愛くなってしまったわね」", | |||
"377000232_16": "「ずいぶん練習熱心なんだな」", | |||
"377000232_17": "「ええッ! よりすごいアイドルになるために、\\n 1分1秒だって無駄にはできないわッ!」", | |||
"377000232_18": "「マネージャーからは、時間が空いたからってすぐ\\n いなくなるなってよく怒られるけど……」", | |||
"377000232_19": "「お前、まさかこの前のライブであたしが間違えられた時も、\\n 直前まで練習を……?」", | |||
"377000232_20": "「その通りよッ!\\n どうしても納得のいかないところがあったから」", | |||
"377000232_21": "「まさか、ニセモノにスポットライトを\\n 奪われるとは思わなかったけどッ!」", | |||
"377000232_22": "「熱心なのはいいけど、今は護衛対象なんだから\\n 勝手な行動はするなよな」", | |||
"377000232_23": "「だけどッ!\\n あたしは護衛対象である前にアイドルなのよ?」", | |||
"377000232_24": "「宇宙一可愛いアイドルは、\\n ステージの上で完璧なパフォーマンスしか見せないのッ!」", | |||
"377000232_25": "「だから、ステージ上にいる以外の時間は、\\n 少しだって無駄にできないのよ」", | |||
"377000232_26": "「…………」", | |||
"377000232_27": "「……なによ。言いたい事があるなら言いなさいよ」", | |||
"377000232_28": "「いや……」", | |||
"377000232_29": "(ただの自信過剰な奴かと思ってたけど、\\n その分の努力はしてるんだな……)", | |||
"377000232_30": "「マネージャーに連絡くらいは\\n してやれって思うけどな」", | |||
"377000232_31": "「マネージャーは心配性だから、\\n 早めに待機を、とか体力の温存を、とか言うもの……」", | |||
"377000232_32": "「それは確かに、言いそうだな……」", | |||
"377000232_33": "「ま、そこまで言うなら好きなだけ練習してな。\\n 見ててやるから」", | |||
"377000232_34": "「ありがと。\\n 覚えたてのターンを見せてあげるわッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,32 @@ | |||
{ | |||
"377000241_0": "「1、2、3、4。2、2、……」", | |||
"377000241_1": "(あたしなんかからすれば\\n 十分踊れてるように見えるんだけどな)", | |||
"377000241_2": "(どんだけこだわって……。ん?)", | |||
"377000241_3": "「今光ったのは、ネックレスか。\\n そんなの着けてたんだな」", | |||
"377000241_4": "「トップについてるの、イルカか?」", | |||
"377000241_5": "「そう、イルカのネックレスよ。\\n パパとママがプレゼントしてくれた、宝物よッ!」", | |||
"377000241_6": "「……パパと、ママ」", | |||
"377000241_7": "「宇宙一可愛いアイドルになりたいってあたしの夢を\\n 応援してくれた、宇宙一のパパとママなの」", | |||
"377000241_8": "「今は……遠くにいるけど……」", | |||
"377000241_9": "(……そうか。この並行世界でも、\\n パパとママは……)", | |||
"377000241_10": "「だけど、これがあれば、いつでもパパとママを感じられる。\\n だから、ステージの上だって肌身離さずつけてるのッ!」", | |||
"377000241_11": "「いつか、あたしの歌を……届けてみせるんだからッ!」", | |||
"377000241_12": "「なんか……悪い」", | |||
"377000241_13": "「別にいいわ。\\n そんなことよりあなたのこと教えなさいよ」", | |||
"377000241_14": "「あなたの歌、どこで誰に習ったの? しかも、\\n 唄いながらあんなバケモノと戦うなんて……。怖くないの?」", | |||
"377000241_15": "「ああ? なんでそんなこと――」", | |||
"377000241_16": "「――通信?\\n どうかしたか?」", | |||
"377000241_17": "「雪音。今しがたマリアから、\\n カルマノイズを発見したと連絡があったッ!」", | |||
"377000241_18": "「なにッ!?\\n どこだッ!」", | |||
"377000241_19": "「大通りで行われている音楽イベント会場だそうだ」", | |||
"377000241_20": "「またSSFの盛り上げ企画ってやつか……ッ!\\n すぐ行くッ!」", | |||
"377000241_21": "「またカルマノイズが出たそうだ。\\n 今度は完全に、お前とは関係ないみたいだな……」", | |||
"377000241_22": "「だから言ったでしょ?\\n あたしはいいから、早く行きなさいよ」", | |||
"377000241_23": "「ああ。\\n お前は事務所に帰るんだぞッ!」", | |||
"377000241_24": "「カルマノイズと戦う……」", | |||
"377000241_25": "「と言うことは、あの歌を唄うはず……。\\n もう一度聴きたい。聴いて、確かめないと……ッ!」", | |||
"377000241_26": "「また小型のヤツらだけかッ!」", | |||
"377000241_27": "「来たか雪音ッ! 会場スタッフに避難誘導を頼んだ。\\n 先行しているマリアに合流して、手早く迎撃するぞッ!」", | |||
"377000241_28": "「ああッ!」", | |||
"377000241_29": "(追いついた。シンフォギア装者の歌……。\\n あたしの歌にはないもの。掴んでやるんだから……ッ!)" | |||
} |
@@ -0,0 +1,28 @@ | |||
{ | |||
"377000242_0": "「仲良くネンネしてなッ!」", | |||
"377000242_1": "「――ッ!」", | |||
"377000242_2": "「次だッ!」", | |||
"377000242_3": "(やっぱり、すごい。バケモノと戦いながら、\\n 息を切らさず唄い続けて……)", | |||
"377000242_4": "(荒々しくて、力強い歌声。\\n なのに、不思議と気持ちが伝わってくる……)", | |||
"377000242_5": "(全然可愛くないのに……どうして惹きつけられるの……ッ!\\n あたしも、あんな風に唄ってみたいッ!!)", | |||
"377000242_6": "「うえーん、お母さぁぁぁん、どこぉ?」", | |||
"377000242_7": "「――ッ!!」", | |||
"377000242_8": "「逃げ遅れた子がッ!」", | |||
"377000242_9": "「させるかよッ!」", | |||
"377000242_10": "「しまった――ッ!?」", | |||
"377000242_11": "「今の衝撃で設営テントが崩れる――ッ!\\n 下には、あの子が……ッ!」", | |||
"377000242_12": "「うわぁぁぁぁん」", | |||
"377000242_13": "(あの子の着けてるグッズ、あたしのッ!!\\n あたしの、ファンだッ!!)", | |||
"377000242_14": "(今なら間に合うッ!\\n あたしが飛び込めば……助けられるッ!)", | |||
"377000242_15": "「くッ、間に合わねえ……ッ!!」", | |||
"377000242_16": "「くぅぅぅぅ……ッ!」", | |||
"377000242_17": "「クリスティーナッ!?」", | |||
"377000242_18": "「なんでここにッ!?」", | |||
"377000242_19": "「う、うう……。こど、子供は……」", | |||
"377000242_20": "「うわああああんッ!」", | |||
"377000242_21": "「無事よ。よくやったわ」", | |||
"377000242_22": "「よかった……。ファンは、大事に……」", | |||
"377000242_23": "「それよりお前、大丈夫かッ!?\\n この子を庇って――」", | |||
"377000242_24": "「…………」", | |||
"377000242_25": "「クリスティーナを病院に搬送するぞ。\\n 急げッ!!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,68 @@ | |||
{ | |||
"377000311_0": "はにかみの影武者", | |||
"377000311_1": "「怪我はどうだった?」", | |||
"377000311_2": "「……すぐ治るわよ」", | |||
"377000311_3": "「足首を捻挫しています。\\n 完治にはそれなりの日数を要するそうです」", | |||
"377000311_4": "「申し訳ありません。護衛を引き受けておきながら、\\n 負傷をさせてしまって……」", | |||
"377000311_5": "「しかも、逃げ損ねた子供をわたしたちの代わりに\\n 助けてくれたからだものね。責任を感じるわ」", | |||
"377000311_6": "「……悪かった」", | |||
"377000311_7": "「……それは、違うわ。\\n あの子はあたしのファンだった」", | |||
"377000311_8": "「それに並行世界のあたしにはまっすぐ事務所に戻れって\\n 言われていたもの。あなたたちの責任では、ないわよ」", | |||
"377000311_9": "「僕としてもその点には同意しますが、\\n この時期の負傷は正直痛いですね」", | |||
"377000311_10": "「この状態ではステージでのパフォーマンスは無理でしょう。\\n SSF当日までには完治する見込みですが……」", | |||
"377000311_11": "「それまでに予定されていたライブは、\\n すべてキャンセルするしかないでしょう」", | |||
"377000311_12": "「……ライブはキャンセルしないわ」", | |||
"377000311_13": "「クリスティーナさん……無理ですよ」", | |||
"377000311_14": "「あたしの怪我なんて、ファンには関係ないわッ!\\n みんなチケットを買って、ライブを楽しみにしてくれてるッ!」", | |||
"377000311_15": "「そんなファンのみんなを裏切ることはできないよ……ッ!\\n 怪我なんて関係ない。あたしは完璧なライブをするわよッ!」", | |||
"377000311_16": "「そんな怪我で、完璧なライブなんてできるはずがありません。\\n それこそ、ファンに対する冒涜ですよ」", | |||
"377000311_17": "「プロデューサー……」", | |||
"377000311_18": "「安静につとめて傷を癒してください」", | |||
"377000311_19": "「SSFに出場するためにも、\\n 今無理をする訳にはいかないのですよ」", | |||
"377000311_20": "「…………」", | |||
"377000311_21": "「プロデューサー、どこへ行っていたの?」", | |||
"377000311_22": "「今回の騒動について、関係各所へ確認を取りに……ですね」", | |||
"377000311_23": "「世間では、騒動について\\n どのように認知をしているのでしょうか?」", | |||
"377000311_24": "「カルマノイズは、関係者の間では正体不明の災害という\\n 扱いですが、世間にはひた隠しにされています」", | |||
"377000311_25": "「騒動については、集団パニックということに\\n されているようですね」", | |||
"377000311_26": "「……マスコミもその方向に?」", | |||
"377000311_27": "「オメガタクトはマスコミにも顔が利きますから」", | |||
"377000311_28": "「SSFを中止にする訳にはいかないオメガタクトとしては、\\n カルマノイズのことで騒がれたくないのでしょう」", | |||
"377000311_29": "「…………」", | |||
"377000311_30": "「話は少し脱線しましたが、\\n 僕もプロデューサーの意見に基本的には賛成です」", | |||
"377000311_31": "「今の状態では、ステージでのパフォーマンスは厳しい。\\n ライブ中止を真摯に謝罪して、回復に努めるのが一番です」", | |||
"377000311_32": "「確かに……。\\n いたし方のない判断だな」", | |||
"377000311_33": "「でも――ッ!」", | |||
"377000311_34": "「なぁ……、あたしに何か手伝えることはないか?」", | |||
"377000311_35": "「あなた……」", | |||
"377000311_36": "「こいつは、あたしたちに代わって人を救ってくれた」", | |||
"377000311_37": "「ライブ以外にも、できることはあるかもしれないだろ?\\n 協力できるなら、なんでも言ってくれッ!」", | |||
"377000311_38": "「素晴らしいぃぃぃぃぃッ!!\\n その言葉、お待ちしていましたよッ!」", | |||
"377000311_39": "「き、急になんだッ!?」", | |||
"377000311_40": "「片や、ファンのためにライブを開催したいが、\\n 怪我をしてしまったアイドル」", | |||
"377000311_41": "「そして片や、そんなアイドルを手伝いたい、\\n アイドルに瓜二つの少女ッ!」", | |||
"377000311_42": "「ま、まさか……」", | |||
"377000311_43": "「そう、替え玉による、ライブの開催ですッ!」", | |||
"377000311_44": "「はああああああああああああああッ!?!?」", | |||
"377000311_45": "「えええええええええええええええッ!?!?」", | |||
"377000311_46": "「ふっざけんなッ! あんなフリフリ衣装また着て、\\n 今度は唄って踊れってかッ!? そんなことできるかッ!」", | |||
"377000311_47": "「そんなの、ファンを騙してるだけじゃないッ!!\\n 絶対に、絶対にイヤよッ!!!」", | |||
"377000311_48": "「ライブの中止も、替え玉も、ファンへの裏切りという\\n 意味では大差ありませんよ」", | |||
"377000311_49": "「それよりもッ!\\n SSF直前の大事な時期にライブを中止して……」", | |||
"377000311_50": "「クリスティーナの存在感を希薄にしてしまうことの方が\\n よっぽどファンを悲しませることになりますよ?」", | |||
"377000311_51": "「そ、そうだろうか……」", | |||
"377000311_52": "「お前もイヤだろ?\\n ニセモノのあたしがステージに立ったりするのはッ!」", | |||
"377000311_53": "「……イヤだけど、すっごいイヤだけど、\\n ライブを中止にさせないためなら、しかたないわ」", | |||
"377000311_54": "「お前までッ!!」", | |||
"377000311_55": "「でもプロデューサー、1つ条件があるわ。\\n ボーカルは譲りたくないの。どうかしら?」", | |||
"377000311_56": "「構いませんよ。MCは口パクを合わせるのが難しいので\\n 避けた方がいいでしょうが、歌ならば」", | |||
"377000311_57": "「……断ってもいいとは思うけど」", | |||
"377000311_58": "「どうするのだ? 雪音」", | |||
"377000311_59": "「~~~ッ!」", | |||
"377000311_60": "「こいつに怪我をさせたのはあたしの責任だ。\\n 替え玉だろうが何だろうが、やってやるッ!」", | |||
"377000311_61": "「素晴らしいッ!\\n 感謝しますよッ!」", | |||
"377000311_62": "「すぐにレッスンの日程を組みます」", | |||
"377000311_63": "「わたしとマリアには、芸能活動の経験があります。\\n ダンスレッスンには、協力させてください」", | |||
"377000311_64": "「なら、あたしはファンサービス担当ねッ!\\n 完璧に可愛いファンサパフォってものを伝授してあげるわッ!」", | |||
"377000311_65": "「どうして、こうなるんだよ……」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,68 @@ | |||
{ | |||
"377000321_0": "「舞台に上がる者にとって大切なのは、立ち方と所作の美しさだ」", | |||
"377000321_1": "「無為に立つのではなく、丹田を常に意識し肩甲骨を引き締めろ。\\n 背中を丸めるなッ! アゴを引けッ!」", | |||
"377000321_2": "「……こ、こうか?」", | |||
"377000321_3": "「動作も漫然と行うのではなく、動き出して止めるまで、\\n すべてを己の管理下に置けッ! カクカクするなッ!」", | |||
"377000321_4": "「む、難しい……」", | |||
"377000321_5": "「歩く際、母指球にばかり頼るなッ! \\n 踵を強く踏み、体幹を活かせッ!!」", | |||
"377000321_6": "「それが自然で美しい歩行を生み出す。さあ、やってみろッ!\\n 1、2、3、4……」", | |||
"377000321_7": "「1、2、3、4……」", | |||
"377000321_8": "「よし。レッスン場の端から端まで、\\n 今の歩き方で50往復だッ!」", | |||
"377000321_9": "「マジかよ……」", | |||
"377000321_10": "「いい? ターンの基本は、キックとクロスの2種類よ。\\n 遠心力に振り回されないで。脚をプラプラ振らないッ!」", | |||
"377000321_11": "「急にこんなのできるかよッ!」", | |||
"377000321_12": "「宇宙一のアイドルの影武者なんでしょう?\\n ダンスにも高いクオリティが求められるのは当然よ」", | |||
"377000321_13": "「さぁ、泣き言はいいから次はキックターンよ。\\n 大きく回るから、腰をツイストさせて可動域を常に意識なさい」", | |||
"377000321_14": "「だから、いきなり高度すぎるっつーの。\\n こうか?」", | |||
"377000321_15": "「大丈夫、できてるわよッ!」", | |||
"377000321_16": "「その調子で、ブレを減らしていきましょう。\\n それぞれのターンをまずは100回ずつね」", | |||
"377000321_17": "「正気かよ……」", | |||
"377000321_18": "「ちっがぁーうッ! 可愛くないッ!\\n 笑うのッ! どうして睨みつけるのよッ!」", | |||
"377000321_19": "「もっとこうキャピッて、きゃるぅ~んって。\\n はい、やってッ!」", | |||
"377000321_20": "「それで分かるかよッ!", | |||
"377000321_21": " ……こ、こうか?」", | |||
"377000321_22": "「それじゃ企んでる顔でしょ?\\n 頬をピクピクさせないッ!」", | |||
"377000321_23": "「……こう?」", | |||
"377000321_24": "「今度は目じりが吊り上がってるッ!\\n 怒ってるようにしか見えないじゃないッ!」", | |||
"377000321_25": "「いや、怒ってる訳じゃ……これならどうだ?」", | |||
"377000321_26": "「それじゃ変顔ッ!!\\n どうして同じ顔なのにそうなるのよッ!」", | |||
"377000321_27": "「知るかッ!\\n もっと的確にアドバイスしてくれよッ!」", | |||
"377000321_28": "「その認識を改めなさいッ! アンタはファンの前では\\n クリスティーナッ! 宇宙一可愛いクリスティーナよッ!」", | |||
"377000321_29": "「まずは楽しませてあげたいって気持ちになってよッ!」", | |||
"377000321_30": "「そんなんッ!\\n ……いや、それはその通りだよな」", | |||
"377000321_31": "「やっていますねぇ。結構結構ッ!!\\n 陣中見舞いに来ましたよ。少し休憩にしては?」", | |||
"377000321_32": "「あら、いつの間にかこんなに時間が経っていたのね」", | |||
"377000321_33": "「……なら、ちょっと外の空気吸って来る」", | |||
"377000321_34": "「差し入れまで……。ありがとうございます。\\n その後、カルマノイズについては?」", | |||
"377000321_35": "「今のところ、新たな動きはないようですねぇ。\\n 替え玉作戦のレッスンには持ってこいですッ!」", | |||
"377000321_36": "「確かに雪音のパフォーマンスは向上していますが、わたしたちの\\n 本来の目的は、いつになったら達成できるのか……」", | |||
"377000321_37": "『トゥルルルルル……』", | |||
"377000321_38": "「おっと、少々失礼。\\n オメガタクトからの連絡です」", | |||
"377000321_39": "「…………」", | |||
"377000321_40": "「ええ、はい……。その点は……。\\n 問題ありません。聖遺物は……」", | |||
"377000321_41": "「……ッ!」", | |||
"377000321_42": "「……カルマノイズについては……。はい、はい。\\n また後ほど報告に伺います」", | |||
"377000321_43": "(わたしたち、聖遺物のことまで話したかしら……?\\n 彼がもし『一般人』なら、そんなこと知らないはず)", | |||
"377000321_44": "(頭から信じる訳には、いかないようね)", | |||
"377000321_45": "翌日――", | |||
"377000321_46": "「あーあ。ったくッ!!\\n 姿勢とかダンスはまだいいけど、なんだよあの表情訓練って」", | |||
"377000321_47": "「あたしが『宇宙一可愛いクリスティーナ』だ?\\n さすがに無理があるだろッ!」", | |||
"377000321_48": "「宇宙一可愛い、クリスティーナ…………?」", | |||
"377000321_49": "「あん? ……ゲッ!!」", | |||
"377000321_50": "(ライブ会場の最前列で、やたら叫んでたヤツ?\\n もしかしなくても、クリスティーナのファンかッ!)", | |||
"377000321_51": "「クリスティーナだ……。\\n 本物が、俺たちの目前に御降臨されている……ッ!!」", | |||
"377000321_52": "「あ、あのあのあのッ! ファンですッ!!\\n この前のライブのオープニングアクト、すごかったですッ!」", | |||
"377000321_53": "「アハハ、ありがとー……」", | |||
"377000321_54": "(そりゃ同じ顔だから、変装もせずウロウロしてたら\\n こうなるよなぁ……。うかつだった)", | |||
"377000321_55": "「あッ! プライベートですよね。すみません……。\\n でも、あの、もしよかったらでいいんですけど」", | |||
"377000321_56": "「いつものコールッ! お願いしてもいいですかッ!?」", | |||
"377000321_57": "「え、えーと……」", | |||
"377000321_58": "(いつものコールってなんだよッ!\\n 知らねぇってッ!!)", | |||
"377000321_59": "「~~ッ!!」", | |||
"377000321_60": "(――カルマノイズッ!)", | |||
"377000321_61": "「へッ!?\\n うあああああッ! 怪物だッ!!」", | |||
"377000321_62": "「ヤバいッ! 早く逃げないとッ!!\\n ク、クリスティーナもッ!」", | |||
"377000321_63": "「うんッ!\\n あたしは大丈夫だから、急いでッ!」", | |||
"377000321_64": "(よーし、あとはこいつらと逆方向に走って……)", | |||
"377000321_65": "「こちとらストレスも溜まってるんだッ!\\n 覚悟してかかってきやがれッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,25 @@ | |||
{ | |||
"377000322_0": "「ひとまず片付いたようだな。\\n 大きな被害は出てないと思うけど……」", | |||
"377000322_1": "「うう、頭が……」", | |||
"377000322_2": "「あ……う……」", | |||
"377000322_3": "「おい、さっきの連中じゃねーか。\\n どうしたんだよッ!?」", | |||
"377000322_4": "「ぐうう……」", | |||
"377000322_5": "「カルマノイズの精神汚染にあてられてるのか……」", | |||
"377000322_6": "「……あ……」", | |||
"377000322_7": "「しっかりしろッ!\\n くそ、どうしたら……」", | |||
"377000322_8": "(何か、注意を引いて正気に戻せたら……)", | |||
"377000322_9": "(そ、そうだッ! さっき習ったアレで……ッ!\\n 気合入れろ……あ、あたしは、クリスティーナだッ!)", | |||
"377000322_10": "「み、みんなーッ! ここからはあたしのステージッ!\\n あたしの可愛さに、みんなひれ伏しなさいッ!!!」", | |||
"377000322_11": "「頭……ハッ!?", | |||
"377000322_12": " きたああああああああああーーッ!!」", | |||
"377000322_13": "「あ……う……ッ!?", | |||
"377000322_14": " ク・リ・ス・ティー・ナぁぁぁぁぁぁぁッ!!」", | |||
"377000322_15": "(2人とも条件反射で目を覚ましたぞッ!?)", | |||
"377000322_16": "「2人とも、大変だったわねッ!\\n 頑張ったごほうびに、褒めてあげるわッ!」", | |||
"377000322_17": "「ママママジっスかッ!\\n クリスティーナから、直でとか……ッ!」", | |||
"377000322_18": "「……我が人生に一片の悔いなしッ!!!!」", | |||
"377000322_19": "「褒めてつかわすわッ!\\n えらいえらい♪」", | |||
"377000322_20": "(こうなりゃやり切ってやるッ!\\n こういう時は、確かウィンクして投げキッス、だっけか?)", | |||
"377000322_21": "「ふぉぉおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!」", | |||
"377000322_22": "(……ちょ、ちょっとやりすぎだったか……?)" | |||
} |
@@ -0,0 +1,45 @@ | |||
{ | |||
"377000411_0": "赤面のステージ", | |||
"377000411_1": "「つ、ついにステージか……。\\n うう、緊張で胃が……」", | |||
"377000411_2": "「さあ、クリスさん。もう開演時間ですよ。\\n 腹をくくって、頑張ってくださいねッ!」", | |||
"377000411_3": "「ボーカルの方はバックからバッチリ流しますから、\\n 口パクのタイミングにだけ気を付けて」", | |||
"377000411_4": "「あー、もう。分かったよッ!!」", | |||
"377000411_5": "「うおーーッ!! 御降臨だぁあああああああッ!!」", | |||
"377000411_6": "「ク・リ・ス・ティー・ナぁぁぁぁぁぁぁッ!!」", | |||
"377000411_7": "「うう……こいつらいっつもテンション高ぇな……」", | |||
"377000411_8": "「み、みんなー? 元気にしてたー? 今日も、\\n う……宇宙一可愛いアイドルッ、クリスティーナよッ!」", | |||
"377000411_9": "(くうううう……ッ! \\n 殺せッ!! いっそ今すぐ殺してくれッ!!)", | |||
"377000411_10": "「……なんか、堅いって言うかぎこちなくないか?\\n 顔引きつってるっていうかさ」", | |||
"377000411_11": "「初々しさへの回帰ッ! 初心を忘れないアイドルの鑑ーッ!」", | |||
"377000411_12": "(サイリウムは見ないッ! 人数を意識したら、かたまる。\\n 無心でやるぞ……ッ!)", | |||
"377000411_13": "「それじゃあ今日の1曲目ッ! いくわよ?\\n みんな、あたしの可愛さにひれ伏しなさいッ!」", | |||
"377000411_14": "「キタキタキタアアッ! ちょっと挑戦的とも言えるその笑顔ッ!\\n クリスティーナらしくなってキタァッ!」", | |||
"377000411_15": "「今日も可愛い、クリスティーナぁぁッ!\\n ファンサはいつでも、だいかんげーいッ!!」", | |||
"377000411_16": "「……ようやく曲に入ったか。これで一安心だな」", | |||
"377000411_17": "「あんなにクリスティーナが指導していたのに、\\n まだ集中しないと笑顔が引きつるんだから……」", | |||
"377000411_18": "「プロデューサーの作戦にのっておいてなんですけど、\\n ハラハラし通しでしたね」", | |||
"377000411_19": "「…………」", | |||
"377000411_20": "「クリスティーナ、どうだ?\\n なにか問題点など見あたるだろうか」", | |||
"377000411_21": "「……表情はちっとも安定しないけど、\\n ダンスは安定してきてるのね」", | |||
"377000411_22": "「装者として戦ってきた経験のおかげかしらね。\\n 体幹はかなり鍛えられているし、俊敏性もある」", | |||
"377000411_23": "「戦う姿が舞っているように見える、というだろう?\\n 戦いとダンスは、身体の使い方に共通項があるからな」", | |||
"377000411_24": "(なによ、それ……。そりゃまだまだ、あたしほどじゃないけど、\\n こんなに短期間に踊れるようになっちゃうなんて……)", | |||
"377000411_25": "「ん~、チュッ!」", | |||
"377000411_26": "「うおおおおおお~ッ!」", | |||
"377000411_27": "(その歓声だって、\\n 本当はあたしが受けるはずだったのに……)", | |||
"377000411_28": "(もし、歌もあの子が唄ったら、もしかしたら……)", | |||
"377000411_29": "(って、何考えてるのッ! あたしはクリスティーナッ!\\n 誰にも負けない、宇宙一のアイドルなんだからッ!)", | |||
"377000411_30": "「それじゃあみんな、またねッ!」", | |||
"377000411_31": "(終わった……ッ!\\n あたしは、やり遂げたぞ……ッ!!)", | |||
"377000411_32": "「うおおおおおッ!\\n 今日も最高だったよクリスティーナあああッ!」", | |||
"377000411_33": "「SSFも楽しみにしてるからねええッ!」", | |||
"377000411_34": "「やれやれ、なんとかバレずにワンステージ乗り切りましたね。\\n これからもこの調子で行ければ……」", | |||
"377000411_35": "『トゥルルルルル……』", | |||
"377000411_36": "「はい? なんでしょう」", | |||
"377000411_37": "「なんですってッ!? 翼さん、マリアさん。\\n 例のカルマノイズが出現したそうですッ!」", | |||
"377000411_38": "「場所はッ!?」", | |||
"377000411_39": "「……会場のほど近くです。\\n 叫び声のような音を発して、徘徊を始めたと」", | |||
"377000411_40": "「ちょっとッ! あたしのファンが帰ろうとしてるのよッ!?\\n 鉢合わせになんかなったら……ッ!」", | |||
"377000411_41": "「緒川さん、観客を逆方向へ誘導をッ!!\\n マリアッ! 雪音と合流して、すぐに出るぞッ!!」", | |||
"377000411_42": "「ええ。\\n やっとわたしたちの出番ねッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,23 @@ | |||
{ | |||
"377000412_0": "「――ッ!!」", | |||
"377000412_1": "「くそッ! また本体に逃げられちまったか……。\\n アイツさえ倒せれば、任務完了なのに……ッ!」", | |||
"377000412_2": "「とはいえ、今回も被害は最小限に抑えることができたな」", | |||
"377000412_3": "「お疲れ様ッ!\\n ファンのみんなを護ってくれて感謝するわッ!」", | |||
"377000412_4": "「おまえなあ、礼はありがたいけど安全確認前に出てくるなよ。\\n 隠れてるヤツがいるかもしれないんだからな」", | |||
"377000412_5": "「えッ!? まだいるのッ!?」", | |||
"377000412_6": "「もういないから安心しなさい。\\n まあ、ファンを思う気持ちは好ましいけどね」", | |||
"377000412_7": "「アイドルなんだから、当然よ」", | |||
"377000412_8": "「よし、すみやかに撤収する。\\n 雪音はこの後レッスンだ」", | |||
"377000412_9": "「うえー……」", | |||
"377000412_10": "「さっきの反省会もしなくちゃね。\\n 本物の目から見て、さっきのステージはどうだった?」", | |||
"377000412_11": "「……アイドルとしてなら、まだまだね。\\n あたしの半分も可愛くないわ。よく顔が引きつるし」", | |||
"377000412_12": "「な、なんだとッ!?」", | |||
"377000412_13": "「では、影武者としては?」", | |||
"377000412_14": "「ギリギリ合格。違和感は持たれたけど、ファンにバレずに\\n ワンステージやりきったからね。……ありがとう」", | |||
"377000412_15": "「お、おう……」", | |||
"377000412_16": "「でもやっぱり、ステージに立てないのは悔しいわ……」", | |||
"377000412_17": "「ねえあなたたち、シンフォギアの不思議な力で、\\n 怪我を治すとかできないのッ!?」", | |||
"377000412_18": "「そんな機能ねぇよッ!」", | |||
"377000412_19": "「なによもう。あたしのためを思って\\n 新しい力に覚醒したりしなさいよね」", | |||
"377000412_20": "「そう都合よく行けば苦労しないんだよッ!\\n ほらッ、さっさと帰るぞッ!!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,45 @@ | |||
{ | |||
"377000421_0": "「――緒川さん、\\n あらたまって用件というのは?」", | |||
"377000421_1": "「僕なりにツテを使って、あのカルマノイズを調べたんです。\\n 皆さんには共有しておいた方がいいかと思いまして」", | |||
"377000421_2": "「アイツは歌のレッスン中だし、ちょうどいいな」", | |||
"377000421_3": "「助かるわ。\\n どんなことが分かったのかしら」", | |||
"377000421_4": "「まず、皆さんもご存じの通り、あのカルマノイズは、\\n 大型と小型の2種類が存在しますが……」", | |||
"377000421_5": "「大型は固有の1体のみが存在し、\\n 小型は、大型がいる限り無尽蔵に発生するようです」", | |||
"377000421_6": "「確かに、そのようだったな」", | |||
"377000421_7": "「あくまで憶測ですが……、\\n 本体と分体のような関係かと思われます」", | |||
"377000421_8": "「つまり、大型を潰さない限り\\n 小型が湧き続ける可能性がある訳ね。厄介だわ」", | |||
"377000421_9": "「続いて、発生場所ですが、\\n ほぼ間違いなく市街地……繁華街となっています」", | |||
"377000421_10": "「繁華街……、人が多いところに現れているのね」", | |||
"377000421_11": "「音に引き寄せられているのか、人に引き寄せられているのか、\\n それはまだ分かりません」", | |||
"377000421_12": "「クリスティーナが狙われているという線も、\\n 一応まだ考慮しておいた方がいいでしょうね」", | |||
"377000421_13": "「そして、特筆すべき特徴は、あの歌です」", | |||
"377000421_14": "「ああ。あの歌は厄介だ。普通のカルマノイズより、\\n 精神汚染が遠くまで伝わりやがる」", | |||
"377000421_15": "「はい。精神汚染された人々は、暴れたり、記憶の混濁が\\n 見られますが、一定時間経てば正気に戻るそうです」", | |||
"377000421_16": "「<size=25>唄うカルマノイズ……。\\n そんなの、今までいなかったよな?</size>」", | |||
"377000421_17": "「<size=25>ああ。だが、今までに固有の特性を持つ個体が\\n いなかった訳ではない</size>」", | |||
"377000421_18": "「<size=25>その原因は、聖遺物の影響がほとんどだったな</size>」", | |||
"377000421_19": "「<size=25>なるほど。そうなると、\\n 何者かが裏で糸を引いている可能性も出てくるわね……</size>」", | |||
"377000421_20": "(まさか、ウェル?\\n ……いやいや、それはあまりにも決めてかかり過ぎね)", | |||
"377000421_21": "「緒川さん、貴重な情報、ありがとうございます。\\n わたしたちだけでは、ここまで辿り着けなかったでしょう」", | |||
"377000421_22": "「皆さんには、色々と協力していただいてますから、\\n これくらいの働きはさせてもらわないと……」", | |||
"377000421_23": "「しっかし、プロ並みの情報収集能力なのに、\\n なんでアイドルのマネージャーなんかしてるんだよ」", | |||
"377000421_24": "「この事務所、給料がすごくいいんですよ。\\n 恥ずかしながら、僕にはお金が必要だったもので」", | |||
"377000421_25": "「なんだよ、故郷である忍者の里を復興させたいから……、\\n なんて言う気か?」", | |||
"377000421_26": "「――ッ!?\\n 何故それをご存知なんですかッ!?」", | |||
"377000421_27": "「…………」", | |||
"377000421_28": "「わたしたちの世界の緒川さんも、\\n 忍者の里の出身だからよ」", | |||
"377000421_29": "「並行世界の僕もですか?」", | |||
"377000421_30": "「わたしたちの世界では、緒川さんは忍の技能を買われ、\\n 政府機関に勤めていましたが……」", | |||
"377000421_31": "「僕の場合、マネージャーになったのは、\\n 成り行きだったんですよね」", | |||
"377000421_32": "「クリスティーナと出会って、\\n 僕の中に変化がありました」", | |||
"377000421_33": "「彼女の行く末を見守りたい。その支えになって、護りたいと、\\n そう思えたんです。仕える主を見つけたといいますか」", | |||
"377000421_34": "「だから、もう転職は考えられませんね。\\n 今の僕は宇宙一可愛いアイドルのマネージャー。それだけです」", | |||
"377000421_35": "「アイドルとしての彼女にほれ込んだ、\\n という訳ね」", | |||
"377000421_36": "「むう……、違う緒川さんだと分かっていても、\\n 悔しい気がするのはなぜだろうか……」", | |||
"377000421_37": "『トゥルルルルル……』", | |||
"377000421_38": "「はい、緒川です……。なんですってッ!?\\n カルマノイズがまた繁華街にッ!?」", | |||
"377000421_39": "「すぐに出るわッ!」", | |||
"377000421_40": "「お願いしますッ!\\n 今回は、小型のみのようです」", | |||
"377000421_41": "「分体だけかよ。\\n ならパッパと蹴散らしてやるッ!」", | |||
"377000421_42": "「ああ。行くぞ、2人ともッ!!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,19 @@ | |||
{ | |||
"377000422_0": "「残敵なし。すみやかに撤収を……。\\n 雪音。どうした?」", | |||
"377000422_1": "「ああ、いや。あれさ」", | |||
"377000422_2": "「大型ビジョン? SSFの宣伝番組かしら。\\n 本当に、一大イベントなのね」", | |||
"377000422_3": "「この世界に来てからは見慣れた光景だが、\\n あれがどうかしたのか?」", | |||
"377000422_4": "「……この世界のカルマノイズと戦う時、\\n なんか音楽に縁があるなって、そんな気がしたんだ」", | |||
"377000422_5": "「DJブース作って街頭で音楽イベントやってるとか、\\n ライブ会場に直接出てきたりとかさ」", | |||
"377000422_6": "「今回は、SSF宣伝のための音楽番組が大音量で流れていた。\\n だからカルマノイズが現われた。ということ?」", | |||
"377000422_7": "「なるほど。可能性はあるな。\\n だが、当然すべての音楽に反応している訳ではない」", | |||
"377000422_8": "「それに、小型しか出てこない場合や、大型が出てくる場合など、\\n 出現の仕方に差があるのも気になる」", | |||
"377000422_9": "「……確かに、音楽ってだけじゃ、説明がつかないよな……」", | |||
"377000422_10": "「皆さん、お疲れ様です」", | |||
"377000422_11": "「どうかしたか?\\n カルマノイズはブッ飛ばしといたぞ」", | |||
"377000422_12": "「そろそろレッスンの時間ですよ。\\n 早く移動しないと」", | |||
"377000422_13": "「次のステージもそろそろだものね。\\n レッスンをおろそかにはできないわよ?」", | |||
"377000422_14": "「ファンを魅了できるよう、ダンスの精度を上げないとな」", | |||
"377000422_15": "「さ、行きましょうッ!」", | |||
"377000422_16": "「揃いも揃って切り替え早すぎだろッ!!\\n 行く、行くからッ! 両脇からホールドすんなぁッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,27 @@ | |||
{ | |||
"377000511_0": "もってけダブルアイドル♪", | |||
"377000511_1": "「あ・え・い・う・え・お・あ・お……」", | |||
"377000511_2": "(……やっぱり、声の出が悪い気がする。\\n ステージに立ってないせい?)", | |||
"377000511_3": "「それだけじゃ、ないわね……」", | |||
"377000511_4": "「あたし、気持ちで負けてる……ッ!?\\n 別の世界のクリスの、歌声に……ッ!!」", | |||
"377000511_5": "(戦いの中で聴かされた。心の奥底にまで響く、\\n ううん、わしづかみにして振り回されるような、あの歌声)", | |||
"377000511_6": "(あたしとアイツ、住む世界も、経歴も違うんだから、\\n 唄い方だって変わる。頭では分かってるッ!!)", | |||
"377000511_7": "「でもダメッ!! 心が納得しないッ!\\n あたし、うらやましがってる。アイツの歌をッ!」", | |||
"377000511_8": "「なんであたしの歌声は、こんな弱弱しいのよ……。\\n アイツは唄えるのに、なんであたしには唄えないの……」", | |||
"377000511_9": "「あッ! クリスティーナさん。見つけましたよ?\\n まったく、こんな夜遅くに何していたんですか?」", | |||
"377000511_10": "「なにって……、その、声のチェックよッ!\\n 替え玉作戦をしても、ボーカルはあたしなんだからッ!」", | |||
"377000511_11": "「そうですか……。危険な行動をしたことに対して、\\n マネージャーとして言いたいことはありますが」", | |||
"377000511_12": "「クリスティーナさんのモチベーションが高くてなによりです」", | |||
"377000511_13": "「なんだかんだ言って、替え玉作戦なんてやってしまって\\n 機嫌を損ねていないか、心配だったんですよ」", | |||
"377000511_14": "「――ッ!」", | |||
"377000511_15": "「か、影武者なんて目じゃないわよ。\\n あたしは宇宙一可愛いアイドルのクリスティーナだものッ!」", | |||
"377000511_16": "「そうよ。早く復帰して、世間に知らしめないといけないの。\\n あたしが、あたしこそがクリスティーナだってッ!」", | |||
"377000511_17": "「あんな経験のない初心者に、\\n 負ける訳には……、いかないのよッ!!」", | |||
"377000511_18": "「…………」", | |||
"377000511_19": "「なによ、マネージャー。ヘンな顔してッ!!」", | |||
"377000511_20": "「……いえ、もう夜も遅いですし、冷えてきました。\\n 捻挫に障りますから、帰りましょう」", | |||
"377000511_21": "「分かったわよ。ちょっと肩貸して」", | |||
"377000511_22": "「ようやく帰ったか……、\\n ふらふらと外出した時には、何事かと思ったが」", | |||
"377000511_23": "「クリスティーナは、装者として唄う雪音を見て、\\n 焦りを覚えていたのだな……」", | |||
"377000511_24": "「…………」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,29 @@ | |||
{ | |||
"377000521_0": "「今日の・クリスティーナは・絶好調ッ!!」", | |||
"377000521_1": "「耳が幸せッ! 耳が幸せッ!!」", | |||
"377000521_2": "(あー……。合同ライブだっていうから、時間も短いし\\n 客の何割かはクリスティーナに興味なくて気楽かと思ったけど)", | |||
"377000521_3": "(熱狂的なファンが大騒ぎするから、\\n 結局みんなの注目が集まりやがる……)", | |||
"377000521_4": "(何度ステージをこなしてもやっぱり恥ずかしい。\\n 誰かッ! 今すぐあたしを殺してくれぇッ!!)", | |||
"377000521_5": "「お客さんたち、盛り上がってますねッ!」", | |||
"377000521_6": "「当然よッ! あたしの歌だもの。この後のショートMCタイム\\n さえ乗り切ってくれれば完璧ね」", | |||
"377000521_7": "「あたしは最後の曲に備えるわ。ドリンクちょうだい」", | |||
"377000521_8": "「少々お待ちをッ!」", | |||
"377000521_9": "(はあ、はあ、あ、あと1曲ッ!\\n ええっと、みんなを盛り上げればいいんだよな……ッ!)", | |||
"377000521_10": "「よーっし、次の曲も盛り上がっていくぞッ!\\n お前らーッ!!」", | |||
"377000521_11": "「行くぞ? お前ら?\\n なんかちょっと、しゃべり方が荒々しいような……」", | |||
"377000521_12": "「そんな風に雑に扱われるのも、\\n 俺は好きだぞおおおッ!」", | |||
"377000521_13": "(へ? え? あッ! ヤベえ、しゃべり方ッ!!\\n 地が出ちまったッ!!!)", | |||
"377000521_14": "「テ、テヘッ♪ なーんちゃってッ!\\n みんな~、宇宙一可愛いあたしに、ついてきてね~ッ!」", | |||
"377000521_15": "「やっぱクリスティーナはこうだよなッ!」", | |||
"377000521_16": "「宇宙で一番可愛いよーッ!!」", | |||
"377000521_17": "「……なんとかごまかせた、のか?」", | |||
"377000521_18": "「そうね。でないと、クリスティーナが這いずってでも\\n ステージに上がろうとするわ」", | |||
"377000521_19": "「すみません。クリスティーナさんを抑えるの\\n 手伝っていただけませんかッ! すごい力で……ッ!!」", | |||
"377000521_20": "「ア・イ・ツ~ッ! 真のアイドルってのがどういうものか、\\n 目の前で見せなきゃダメだわッ! 離してッ!!」", | |||
"377000521_21": "「やれやれ……」", | |||
"377000521_22": "「あなたねえッ! 帰ったらもう一度特訓よ特訓ッ!\\n 二度としゃべってる時に地が出ないようにするんだからッ!」", | |||
"377000521_23": "「怒んなよッ!\\n 客も喜んでたんだからいいじゃねぇかッ!?」", | |||
"377000521_24": "「じゃれ合いはそこまでにしてちょうだいッ!\\n 会場にカルマノイズが出たわッ!」", | |||
"377000521_25": "「な、何ッ!?」", | |||
"377000521_26": "「合同ライブで観客も多く、避難誘導には時間がかかるな。\\n わたしたちでカルマノイズを抑えるぞッ!!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,12 @@ | |||
{ | |||
"377000522_0": "「ギャアァァァァァァッ♪」", | |||
"377000522_1": "「唄わせてなるものかッ!」", | |||
"377000522_2": "「また逃げるのかよッ!\\n 最後まで戦いやがれッ!」", | |||
"377000522_3": "「……仕方ないわね。撃退できただけ、よしとしましょう」", | |||
"377000522_4": "「よし、被害状況の確認をしつつ撤収準備だ」", | |||
"377000522_5": "(――ッ!\\n あれは、ウェル? 会場に来ていたの?)", | |||
"377000522_6": "「なんということだ……。\\n やはり、間違いないようだ……」", | |||
"377000522_7": "「セイレーン……。\\n ヤツは、歌に反応して……ッ!」", | |||
"377000522_8": "(間違いないわ。彼は、何か重要な情報を隠している。\\n まさか、この件の黒幕……?)", | |||
"377000522_9": "(もう少し探りを入れる必要がありそうね)" | |||
} |
@@ -0,0 +1,25 @@ | |||
{ | |||
"377000531_0": "「……なんだと?\\n 私の聞き間違いかな。もう一度言ってくれないか」", | |||
"377000531_1": "「SSFにおける実験は、中止すべきです。\\n 起動に必要となる検体を、損なう危険性が否定できません」", | |||
"377000531_2": "「ふう……。\\n それは、例のカルマノイズとかいうバケモノで、かね?」", | |||
"377000531_3": "「まさにそいつのせいで、我々は前回の実験に失敗し、\\n あろうことか聖遺物まで失ったのだぞッ!!」", | |||
"377000531_4": "「すでに譲渡先も決まっていた物をだッ!!\\n その失態を埋め合わせるための実験だと分かっているのかね?」", | |||
"377000531_5": "「聖遺物を取りこんだカルマノイズは、\\n 人間の歌に反応して活動しているフシがあります」", | |||
"377000531_6": "「再び実験に乱入してくる可能性は十分にあるのですよッ!!」", | |||
"377000531_7": "「話にならんッ!!」", | |||
"377000531_8": "「君は、カルマノイズと戦うためにわざわざ来訪した\\n 装者とかいう者たちを囲っているのだろう?」", | |||
"377000531_9": "「それを、乱入してくるカルマノイズとやらにぶつければいい。\\n なんとしてもSSFは開催するッ!!」", | |||
"377000531_10": "「ですが……ッ!」", | |||
"377000531_11": "「繰り返すがッ!! 今回の実験は、前回の失態で損害を被った\\n クライアントに向け、代替聖遺物を用意するために行うのだ」", | |||
"377000531_12": "「この実験まで失敗、となればオメガタクトは失墜する」", | |||
"377000531_13": "「我々は職を失うどころか、命すら狙われることになろう。\\n そこは理解しているのかね?」", | |||
"377000531_14": "「…………」", | |||
"377000531_15": "「中止など、状況が許さんのだ状況がッ!!\\n 必ず実行できるように動け。それが君の仕事だ。いいな?」", | |||
"377000531_16": "「……分かりました」", | |||
"377000531_17": "「聖遺物研究の知識を買われてプロデューサーなんて道楽を\\n させてやっているのだから、こんな時くらい役に立ちたまえよ」", | |||
"377000531_18": "「それができないならば、クライアントの前に我々が\\n 君を始末しなくてはいけなくなる」", | |||
"377000531_19": "「…………」", | |||
"377000531_20": "「装者とやらをうまく動かして、\\n カルマノイズを迎え撃たせれば万全だろう」", | |||
"377000531_21": "「分かったら、今日はこれで解散としよう。\\n 連絡は密に、そして実験は確実に実行するようにッ!」", | |||
"377000531_22": "「……はい、失礼します」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,30 @@ | |||
{ | |||
"377000611_0": "フェス出場の危機", | |||
"377000611_1": "「…………」", | |||
"377000611_2": "「あら、プロデューサー。おかえりなさい」", | |||
"377000611_3": "「ええ、ただいま戻りました。\\n お2人は休憩中ですか?」", | |||
"377000611_4": "「クリスティーナなら、別室で取材対応中だ。\\n 同じフロア内なら、ピッタリ張りつく必要もないだろう」", | |||
"377000611_5": "「そうですか。\\n それなら何も問題ありませんね……」", | |||
"377000611_6": "「ねえ、『セイレーン』てなんなの?」", | |||
"377000611_7": "「……ッ!!」", | |||
"377000611_8": "「なんということだ……。\\n やはり、間違いないようだ……」", | |||
"377000611_9": "「セイレーン……。\\n ヤツは、歌に反応して……ッ!」", | |||
"377000611_10": "「……聞かれていたとは。\\n あの時、そんなに近くにいたのですか」", | |||
"377000611_11": "「何か知っているのでしょう?\\n わたしたちにすべて聞かせてもらえないかしら?」", | |||
"377000611_12": "「…………」", | |||
"377000611_13": "「できません。契約上の守秘義務に関わりますからね。\\n 話せば、僕はプロデューサーではいられなくなってしまう」", | |||
"377000611_14": "「契約上……? オメガタクトとの、ということか?\\n 音楽会社の守秘義務が、この話題に何の関係があるんだ」", | |||
"377000611_15": "「その段階から、守秘義務の範囲内です。\\n お話しすることは、できませんね」", | |||
"377000611_16": "「…………」", | |||
"377000611_17": "「……。僕は、仕事に戻りますよ。失礼」", | |||
"377000611_18": "「ウェルプロデューサー。わたしたちも元の世界では\\n アーティストとしてステージの上に立っていた者だ」", | |||
"377000611_19": "「だからこそ分かる。クリスティーナの才能は本物だ。\\n たとえ壁にぶつかっても乗り越え、夢を叶えるだろう」", | |||
"377000611_20": "「もちろん分かっていますよ。\\n 彼女は宇宙一の逸材です。磨けばいくらでも光り輝く……」", | |||
"377000611_21": "「そんな子を、裏切ったり悪事に利用するようなら……。\\n わたしたちは、あなたを許さない」", | |||
"377000611_22": "「そんなことする訳がないでしょうッ!?\\n 僕だって――ッ!!」", | |||
"377000611_23": "「おいッ! こんな所にいたのかよ。\\n カルマノイズが出やがったッ! 小型だが数が多いらしいッ!」", | |||
"377000611_24": "「分かった。すぐに向かおうッ!」", | |||
"377000611_25": "「それじゃあプロデューサー。わたしたちは行くわ。\\n ……あなたが話さなくても、真相は必ず明らかにする」", | |||
"377000611_26": "「それが、カルマノイズを倒す一番の早道だから」", | |||
"377000611_27": "「…………」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,13 @@ | |||
{ | |||
"377000612_0": "「なんとか片付けたが……」", | |||
"377000612_1": "「いつまでも\\n こんなイタチごっこをやってる訳にはいかないぞッ!」", | |||
"377000612_2": "「そろそろ本当に、本体を潰さないと……ッ!」", | |||
"377000612_3": "「その通りだ。フォニックゲインが乱されなければ、\\n 逃げられる前に倒すこともできると思うのだが……」", | |||
"377000612_4": "「……あそこ、バンドのミニライブが開かれていたらしいわ」", | |||
"377000612_5": "「やっぱり、音楽に引き寄せられていると考えて\\n 間違いなさそうね」", | |||
"377000612_6": "「ならば、SSFは恰好の的だッ!」", | |||
"377000612_7": "「規模が今までのライブの比じゃないんだ。あたしたちが\\n 戦ったって、観客やアーティストを護れるか分からないぞッ!」", | |||
"377000612_8": "「アイツのことだって……ッ!」", | |||
"377000612_9": "「本体をおびき出すことより、安全が優先ね。\\n 何とか、SSFを延期にできないかしら……」", | |||
"377000612_10": "「今のところ、ツテはウェルプロデューサーだけだ。\\n すぐに掛け合ってみよう」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,26 @@ | |||
{ | |||
"377000621_0": "「なるほど? SSFの延期。及び、\\n 宣伝のため行っている各種イベントの即時中止を提案しろと」", | |||
"377000621_1": "「無茶を言っているのは、承知しています。\\n ですがそこを曲げて、提案していただけないでしょうか」", | |||
"377000621_2": "「みんなを護るためには、どうしても必要なの」", | |||
"377000621_3": "「…………」", | |||
"377000621_4": "「あたしたちがあのカルマノイズを確実に倒すために、\\n 少しだけ時間が欲しいんだよ。頼むッ!」", | |||
"377000621_5": "「できる訳ないでしょう」", | |||
"377000621_6": "「ッ!」", | |||
"377000621_7": "「SSFに危険が及ぶ可能性があるというのは、\\n 重々承知しました」", | |||
"377000621_8": "「しかし、僕は一介のアイドルプロデューサーなのですよッ!」", | |||
"377000621_9": "「大企業の威信をかけたプロジェクトを\\n ひっくり返すなど、不可能ですッ!」", | |||
"377000621_10": "「しかし……ッ!」", | |||
"377000621_11": "「謎の怪物が、現れるかもしれない?」", | |||
"377000621_12": "「そんな言い分、鼻で笑われておしまいでしょう」", | |||
"377000621_13": "「それとも、納得させられるだけの材料をお持ちなんですか?", | |||
"377000621_14": " 皆さんッ!!」", | |||
"377000621_15": "「…………」", | |||
"377000621_16": "「カルマノイズを倒すための、協力は惜しみません。\\n SSFの開催前に倒せれば、それで収まるのですからね」", | |||
"377000621_17": "「……そこについては、\\n 我々も全力を尽くしますが、しかし――」", | |||
"377000621_18": "「緒川くんにはより一層の情報収集を頼んでおきますよ。\\n これが最大限の譲歩です」", | |||
"377000621_19": "「では、会議に向かうので失礼します。\\n 皆さんの奮闘を期待しますよ」", | |||
"377000621_20": "「なんだってんだよッ!\\n とりつくしまもありゃしないッ!」", | |||
"377000621_21": "「……だが、痛い所をいくつか突かれている。\\n この場でひっくり返せなかったのは事実だ」", | |||
"377000621_22": "「どうする?\\n オメガタクトに乗り込んで暴れるか?」", | |||
"377000621_23": "「……それは最後の手段ね。\\n まずは開催者たちを説得する材料を、早急に探しましょう」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,35 @@ | |||
{ | |||
"377000631_0": "「…………」", | |||
"377000631_1": "「あら、お揃いじゃない」", | |||
"377000631_2": "「あなたたちに朗報よッ! 足が完全に治ったのッ!」", | |||
"377000631_3": "「本当かッ!?」", | |||
"377000631_4": "「ええッ!\\n これであなたがステージに立つ必要はなくなったわッ!」", | |||
"377000631_5": "「SSFでは、宇宙一可愛いあたしがステージに立って、\\n みんなを魅了するの……ッ!」", | |||
"377000631_6": "「そいつは確かに朗報だな。あんな恥ずかしい想い、\\n 二度とゴメンだ……」", | |||
"377000631_7": "「あら? なんだかあんまり嬉しそうじゃないわね?\\n 本当にアイドルになりたくなっちゃった?」", | |||
"377000631_8": "「……実はな、カルマノイズが、\\n SSFを襲うかもしれないんだ」", | |||
"377000631_9": "「だからあたしたちは、SSFを延期か、最悪中止に\\n するべきだと思ってる」", | |||
"377000631_10": "「――ッ!」", | |||
"377000631_11": "「そんなの、納得できないわ……ッ!」", | |||
"377000631_12": "「…………」", | |||
"377000631_13": "「アンタはともかく、翼、マリアッ!!\\n アンタたちはステージ経験あったわよね?」", | |||
"377000631_14": "「なら、分かるでしょうッ!? 1つのステージに、\\n アイドルがどれだけ入念な準備を重ねるかッ!」", | |||
"377000631_15": "「特に、SSFは、あたしがずっと夢見てきた\\n ステージなんだから……ッ!」", | |||
"377000631_16": "「中止や延期なんかされたら全部台無しよッ!\\n 繋がっていたチャンスも、つかみ損ねるわッ!!」", | |||
"377000631_17": "「それを分かってて、それでも同じことを言うのッ!?」", | |||
"377000631_18": "「……それを楽しみにしているファンたちの安全も、\\n なにものにも代えがたい。そういうことだ」", | |||
"377000631_19": "「それは……ッ!! そう、だけど……」", | |||
"377000631_20": "「必ず出るとは限らないじゃないッ!\\n 謎だらけの敵なんでしょうッ!?」", | |||
"377000631_21": "「SSFだけ、中止にするなんて……」", | |||
"377000631_22": "「ま、中止にするなんて無理だって\\n プロデューサーにも言われたんだけどな」", | |||
"377000631_23": "「シンフォギアの力で、SSFを護ってくれることは\\n できないの……?」", | |||
"377000631_24": "「もちろん、そうできれば一番なのだが……」", | |||
"377000631_25": "『トゥルルルルル……!』", | |||
"377000631_26": "「なによッ! ……マネージャー?\\n 護衛たちなら、今ここにいるけど」", | |||
"377000631_27": "「――え?\\n カルマノイズが出たッ!?」", | |||
"377000631_28": "「場所はッ!?」", | |||
"377000631_29": "「繁華街の方って……。マップも送られて来たわッ!」", | |||
"377000631_30": "「すぐ転送をッ!\\n 雪音、マリア。行くぞッ!」", | |||
"377000631_31": "「分かったわッ!」", | |||
"377000631_32": "「…………」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,31 @@ | |||
{ | |||
"377000632_0": "『トゥルルルルル……!』", | |||
"377000632_1": "「緒川さん、こちらに出現したカルマノイズは掃討しました。\\n 被害はッ!?」", | |||
"377000632_2": "「軽微な部類かと。\\n 数名が軽症を負っただけです」", | |||
"377000632_3": "「避難誘導は順調よ。とはいえ、カルマノイズの歌を\\n 聴いてしまう人はどうしても出るわね……」", | |||
"377000632_4": "「やっぱり本体のカルマノイズを倒さない限り、\\n 小型をいくらやっても終わらないからな」", | |||
"377000632_5": "「にしても、なんで今回デカい方は出て来てねーんだ?」", | |||
"377000632_6": "「法則性が不明なままだな……」", | |||
"377000632_7": "「ほらねッ! だから、SSFだって\\n 無事に開催できるかもしれないわッ!」", | |||
"377000632_8": "「うぉわあッ!? なんでいるんだよッ!\\n 危ないからついてくんなッ!!」", | |||
"377000632_9": "「それより、いい案を思いついたわ。あなたたち、\\n カルマノイズが歌に引き寄せられると思ってるんでしょう?」", | |||
"377000632_10": "「だったら、あたしが今ここで唄ってあげるッ!\\n それで親玉が現れたら、タコ殴りにすればいいのよッ!」", | |||
"377000632_11": "「そうすれば、SSFも宣伝イベントも安全になるんでしょう?\\n いいアイデアだわ」", | |||
"377000632_12": "「待て、それじゃお前に危険が及ぶかも――」", | |||
"377000632_13": "「フン、カルマノイズが怖くて、\\n アイドルなんかやってられないわッ!」", | |||
"377000632_14": "「それじゃあ、いくわよッ!!\\n クリスティーナ復活の狼煙兼バケモノをも魅了する歌ッ!」", | |||
"377000632_15": "(…………あれ?)", | |||
"377000632_16": "(なんだろう、声が伸びない。\\n 気持ちよく唄えない……)", | |||
"377000632_17": "「……なんだ? 調子悪いのか?\\n なんかいつもと違わないか?」", | |||
"377000632_18": "「ッ!!!」", | |||
"377000632_19": "(こんなあたしを、アイツに見せるなんて……ッ!!)", | |||
"377000632_20": "(あたしの歌って、どんなだった? どんな風に唄ってた?)", | |||
"377000632_21": "(こう? それともこうッ!?)", | |||
"377000632_22": "(違うッ! 違う違う違う違う違うッ!!!)", | |||
"377000632_23": "「お、おい。どうした? 急に唄うのやめて」", | |||
"377000632_24": "「や、やだッ! まだちょっと本調子じゃないみたい。\\n 踏ん張りがきかなかったわ」", | |||
"377000632_25": "「結局、カルマノイズは現れなかったな。\\n この作戦は中止にしよう」", | |||
"377000632_26": "「今日は戻るとしましょうか」", | |||
"377000632_27": "「声が……、出なかった。\\n いつもみたいに、唄えなくなってた。この、あたしが……」", | |||
"377000632_28": "「SSFは、もうすぐなのに。どうするのよ……」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,27 @@ | |||
{ | |||
"377000711_0": "歌姫の自信は脆くも揺らぐ", | |||
"377000711_1": "「…………」", | |||
"377000711_2": "「クリスティーナさん、予定時間終了でーすッ!\\n お疲れ様でしたッ!!」", | |||
"377000711_3": "(ダメ。全然声が出てない。無理やり絞り出してごまかしたけど、\\n 唄えていない。あたしの歌が唄えない)", | |||
"377000711_4": "(それが気になって、ダンスまでおろそかになりそう……。\\n こんなこと、今までなかったわ)", | |||
"377000711_5": "(今日はSSFのリハーサル……ここなら、\\n テンションが上がって唄えると思ったのにッ!!)", | |||
"377000711_6": "「クリスティーナさん。……大丈夫ですか?」", | |||
"377000711_7": "(同じ『クリス』に、並行世界の自分なんかに\\n 歌で負ける訳にはいかない)", | |||
"377000711_8": "(でも、今のあたしはなに?\\n アイツよりいい歌を唄うどころか)", | |||
"377000711_9": "(まともに歌を唄うことができない……ッ!!\\n 『いつものあたし』にすらなれないッ!)", | |||
"377000711_10": "「クリスティーナさん?\\n クリスティーナさんッ!」", | |||
"377000711_11": "「――え?\\n あ、マネージャーじゃない。どうしたの?」", | |||
"377000711_12": "「それはこっちが聞きたいですよ。\\n 思いつめた顔でずっと考えこんで……」", | |||
"377000711_13": "「足首が痛みますか?\\n それとも、どこか他の所が調子悪いとか」", | |||
"377000711_14": "「そ、そうねッ! まだ少し違和感があって、\\n 気になっちゃったのよ。本調子とはいえないわね」", | |||
"377000711_15": "「今日はゆっくり休んで、明日の本番に備えるわ。\\n 撤収しましょう」", | |||
"377000711_16": "「もうですか? なんだったら、軽いミーティングを」", | |||
"377000711_17": "「大丈夫ッ! 身体をケアすれば、バッチリ本調子よッ!\\n 進行も頭に入ってるし、ミーティングまでしなくていいわ」", | |||
"377000711_18": "「分かりました。ちょっとスタッフに声をかけていくので、\\n 先に控室に向かっててください」", | |||
"377000711_19": "「ええ、それじゃあね」", | |||
"377000711_20": "「緒川さん」", | |||
"377000711_21": "「ああ、翼さん。担当アイドルとうまくコミュニケーションが\\n とれないなんて、お恥ずかしい所を見せてしまいましたね」", | |||
"377000711_22": "「……アーティストは、時にマネージャーにも話しづらい\\n 悩みを持つものです。わたしもそうでした」", | |||
"377000711_23": "「本人が話せるようになった時、支えてあげてください。\\n もっとも、緒川さんには釈迦に説法でしょうが」", | |||
"377000711_24": "(関わりのないわたしなら、話しやすいかもしれない。\\n 声をかけてみるか)" | |||
} |
@@ -0,0 +1,28 @@ | |||
{ | |||
"377000721_0": "「…………」", | |||
"377000721_1": "「クリスティーナ、入るぞ」", | |||
"377000721_2": "「……なによ」", | |||
"377000721_3": "「わたしは気の利いた言いまわしは苦手だ。\\n だから単刀直入に聞く」", | |||
"377000721_4": "「雪音が……、\\n 並行世界の自分が、気になるか?」", | |||
"377000721_5": "「そ――ッ!\\n そんなはずないでしょッ!!」", | |||
"377000721_6": "「あんな……、ニセモノの歌なんてッ!\\n あたしは全然怖くないんだからッ!!」", | |||
"377000721_7": "「わたしはそこまで言っていないぞ。\\n 語るに落ちるというやつだな」", | |||
"377000721_8": "「あ……」", | |||
"377000721_9": "「少しだが、気持ちは分かる。\\n 自分にはない歌。それを唄える者は、怖ろしくなるものだ」", | |||
"377000721_10": "「しかも、それが並行世界の自分となれば、\\n なおさらだろう」", | |||
"377000721_11": "「…………」", | |||
"377000721_12": "「恐らく、なぜ自分はあんな風にできないのか、\\n と思っているのだろう?」", | |||
"377000721_13": "「そ、それは……」", | |||
"377000721_14": "「雪音の生い立ちは、戦いに彩られている。\\n わたしたちと最初に出会った時、雪音は敵だったよ」", | |||
"377000721_15": "「え……ッ?」", | |||
"377000721_16": "「互いにシンフォギアを纏い、死力を尽くして戦った。\\n その中で分かったのだ。雪音の歌の、中心にあるものが」", | |||
"377000721_17": "「それは、確かにクリスティーナにはないものだが、\\n そんなの、当然なんじゃないか?」", | |||
"377000721_18": "「え……?」", | |||
"377000721_19": "「しかし、クリスティーナにだってあるはずだ。\\n 歌の中心にある、クリスティーナ自身の想いが」", | |||
"377000721_20": "「……そうね。\\n あたしは、あんな風には唄えない」", | |||
"377000721_21": "「カルマノイズを目の前にした時、アイツは勇ましく\\n 立ち向かったけど、あたしは震えて立ち尽くした」", | |||
"377000721_22": "「そんなあたしの歌が、\\n アイツの歌に追いつくなんて、<ruby=おこ>烏滸</ruby>がましいわね……」", | |||
"377000721_23": "「待てッ! わたしはそんなことを言いたい訳では……ッ!\\n 歌には生い立ちが表れる。それぞれの持ち味が……」", | |||
"377000721_24": "「勝てなくても、持ち味を出せって言うんでしょう?\\n 助言ありがとう。おかげで諦めがつきそうよ」", | |||
"377000721_25": "「……逆効果だったか……。\\n ダメだ、実際に自分の歌の良さに気づけなければ……」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,31 @@ | |||
{ | |||
"377000731_0": "「…………」", | |||
"377000731_1": "「そうですか、ありがとうございます。\\n 引き続き、よろしくお願いしますね」", | |||
"377000731_2": "「……では」", | |||
"377000731_3": "「やはり、カルマノイズが唄う時間は徐々に長くなっていますか。\\n 被害者の精神ダメージも、重くなっている」", | |||
"377000731_4": "「もし、装者の皆さんの言うようにカルマノイズが\\n SSFに現れたら……」", | |||
"377000731_5": "「今までのように、『犠牲者無し』では、\\n 済まないかもしれません……ッ!」", | |||
"377000731_6": "「ウェルプロデューサーッ!!」", | |||
"377000731_7": "「どうしたのですか? ここはオメガタクトの実験場内です。\\n そのような大声を出すなど……」", | |||
"377000731_8": "「お話があります。\\n 少しお付き合いいただけますか」", | |||
"377000731_9": "「……分かりました」", | |||
"377000731_10": "「話というのは?」", | |||
"377000731_11": "「今回の実験、本当に行っていいのですか?」", | |||
"377000731_12": "「装者のような事を言い出しますね。\\n 今更是非を問うとは」", | |||
"377000731_13": "「SSFは表の顔……。真の目的はこの実験場で、\\n フォニックゲインを利用した聖遺物の起動実験です」", | |||
"377000731_14": "「あなたも分かっているでしょう」", | |||
"377000731_15": "「……ええ。僕もあなたも、知りすぎてしまった。\\n 消されないためにも、協力するしかない状況でした……」", | |||
"377000731_16": "「でしたら、今回も――」", | |||
"377000731_17": "「我々は、あのカルマノイズという存在を\\n 甘く見過ぎていたのかもしれません……ッ!」", | |||
"377000731_18": "「このままでは、\\n 多くの犠牲者を出す可能性もあるのですよ?」", | |||
"377000731_19": "「上層部の決意は変わりません。\\n カルマノイズが出たとしても、装者をぶつければいいとね」", | |||
"377000731_20": "「しかし、装者がカルマノイズを止められる保証なんて、\\n どこにもないじゃありませんかッ!」", | |||
"377000731_21": "「今さら正義漢ぶると?\\n 君だって、今まで見て見ぬふりをしてきたでしょう?」", | |||
"377000731_22": "「ええ、そうです。そして、あなたも悪人ではないと\\n 思っているから話しているんですッ!」", | |||
"377000731_23": "「このままでは、クリスティーナの命だって\\n 危険にさらされてしまうのですよッ!」", | |||
"377000731_24": "「実験を中止させれば、我々の命が脅かされるッ!\\n 死んでしまったらそれまでですッ!」", | |||
"377000731_25": "「もう、やるしかないんですよ……ッ!」", | |||
"377000731_26": "「そうですか……」", | |||
"377000731_27": "「申し訳ありませんが、僕はもう、あなたには従えません。\\n 気が変わらないと言うなら、これで失礼します」", | |||
"377000731_28": "「…………」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,11 @@ | |||
{ | |||
"377000741_0": "「…………」", | |||
"377000741_1": "(クリスティーナを失うと決まった訳じゃありませんッ!!\\n それに……)", | |||
"377000741_2": "(今までのように、装者たちがなんとかしてくれるはずです。\\n 大丈夫……きっと、大丈夫ですッ!)", | |||
"377000741_3": "(きっとうまくいきますッ!!\\n 実験さえ無事に終われば、あんな会社は辞職し……)", | |||
"377000741_4": "(クリスティーナが、スターダムを駆けあがる姿を、\\n 宇宙一のアイドルの誕生を、この目と胸に刻むのですッ!)", | |||
"377000741_5": "「――ッ!!」", | |||
"377000741_6": "「あちこちでSSFの前夜祭が開かれてるッ!\\n そりゃ現れるよな……ッ!」", | |||
"377000741_7": "「避難する人たちを援護するッ!\\n わたしたちで抑えるぞッ!!」", | |||
"377000741_8": "「ええ。誰も傷つけさせたりしないわッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,14 @@ | |||
{ | |||
"377000742_0": "「よし、片付いたな。\\n 念のため、クリスティーナのいる会場へ戻るとしよう」", | |||
"377000742_1": "「……おもしろくねえな」", | |||
"377000742_2": "「どうした?」", | |||
"377000742_3": "「前夜祭の会場にカルマノイズが出て、大騒動になったんだ。\\n なのに、ここは知らんぷりで準備をしてやがる」", | |||
"377000742_4": "「業界最大手の音楽会社が主催するフェスとはいえ……。\\n 異常な光景なのは確かね」", | |||
"377000742_5": "「一連の騒動についての報道も、統制が行き届き過ぎているな。\\n 完全に論調が固定されている」", | |||
"377000742_6": "「今回の件で被害に遭ったやつらのためにSSFを\\n 開催するってんだろ? 収益の一部を寄付して」", | |||
"377000742_7": "「真実を知らない人から見れば、完全に美談だものね」", | |||
"377000742_8": "「そこまでして、SSFを開催しようとする目的は、\\n 本当に、『今更やめられない』というだけなのだろうか……」", | |||
"377000742_9": "「確かに、何か裏がありそうね……」", | |||
"377000742_10": "「だけど、プロデューサーの野郎の言う通り、今更明日の本番を\\n 止められる気がしない……」", | |||
"377000742_11": "「悔しいが、ライブを見守りながら、\\n カルマノイズの出現に備えるしかないか……」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,54 @@ | |||
{ | |||
"377000811_0": "陰謀をぶっ潰せ", | |||
"377000811_1": "SSF当日――", | |||
"377000811_2": "「とうとう、始まってしまったな」", | |||
"377000811_3": "「ああ……。今のところは、アイドルたちが順調に\\n パフォーマンスをしていってるみたいだ」", | |||
"377000811_4": "「カルマノイズが現れる様子はないな」", | |||
"377000811_5": "「……そうか。クリスティーナの出番は、かなり後の方だったな。\\n それまで、何事もないといいのだが……」", | |||
"377000811_6": "「それにしても、アイツ……」", | |||
"377000811_7": "「なんだよ、ずいぶんひでぇ顔してるな。あたしは誰かさんに\\n ファンを楽しませる気持ちになれって説教されたけど……?」", | |||
"377000811_8": "「な……ッ! そんなのあたりまえでしょッ!\\n というか、SSFを中止にしたいんじゃなかったの?」", | |||
"377000811_9": "「それはもう諦めたから忘れてくれ。\\n それより、怒って睨みつけるような顔で、客は喜ぶのか?」", | |||
"377000811_10": "「……あなたにそんなこと、言われたくないわよ」", | |||
"377000811_11": "「いやいや、あたしには言う権利あると思うぞ。\\n なんなら影武者復帰して、あたしが代わりに出てやるからな」", | |||
"377000811_12": "「ふざけないでッ!! あの時は仕方なかったけど、\\n これから上がるのはあたしのステージッ!」", | |||
"377000811_13": "「待っているのは、このあたしのファンなのよッ!!\\n もう二度と、誰にも譲らないんだからッ!」", | |||
"377000811_14": "「大きい声出せるじゃないか。その意気だよ。\\n あたしがクリスティーナする時は、そんな感じだからな」", | |||
"377000811_15": "「へ?」", | |||
"377000811_16": "「一世一代のチャンス、最高のステージにするんだろ?\\n だったらまず、いつも通りじゃなきゃな」", | |||
"377000811_17": "「……ッ!」", | |||
"377000811_18": "「うぬぼれやで、自信満々で、上から目線で……」", | |||
"377000811_19": "「ファンが見たいのは、いつも通りの、\\n 宇宙一のお前のパフォーマンスなんじゃないのか?」", | |||
"377000811_20": "「……そうだな。わたしもその意見に賛成だ」", | |||
"377000811_21": "「いつも通りって言われても、よく分かんないわよ……」", | |||
"377000811_22": "「歌は、誰でも唄える。だからこそ、\\n 比べてしまい、悩み、苦しむものなのだろう」", | |||
"377000811_23": "「だが、歌は比べるものじゃない。それは、唄う者の\\n 魂が宿る、『胸の歌』だからだ」", | |||
"377000811_24": "「胸の、歌……」", | |||
"377000811_25": "「お前は、ステージのために、ずっと頑張って\\n 練習してきたんだろ?」", | |||
"377000811_26": "「その理由は、あたしとも先輩とも違うはずだ。\\n お前が唄う理由はなんなんだ?」", | |||
"377000811_27": "「唄う理由……」", | |||
"377000811_28": "「あたしは、パパやママに歌を聴いてもらうのが好きだった。\\n それは、2人が幸せそうな笑顔になってくれるから……」", | |||
"377000811_29": "「だからあたし、思ったの。\\n あたしの歌で、もっとたくさんの人を笑顔にできたらって」", | |||
"377000811_30": "「だから、2人にもらったお守りのペンダントに誓ったんだ」", | |||
"377000811_31": "「あたしは、あたしの歌で\\n 宇宙一のアイドルになってやるんだって……ッ!」", | |||
"377000811_32": "「それが、胸の中にあるものか」", | |||
"377000811_33": "「なんで忘れてたんだろう……。クリスの歌をマネしようと\\n したって、意味なんてなかったのに……」", | |||
"377000811_34": "「なんだ? そんなこと考えてたのか?」", | |||
"377000811_35": "「――ッ!\\n 今のは無しッ!」", | |||
"377000811_36": "「それより、こんなことしてる場合じゃないわッ!\\n 出番までもう時間がないッ!」", | |||
"377000811_37": "「最後まで、あたしの可愛さを高めないとッ!\\n それじゃねッ!」", | |||
"377000811_38": "「……ま、アイツはああじゃないとな」", | |||
"377000811_39": "「…………」", | |||
"377000811_40": "「あら、プロデューサーじゃない。\\n なによ、心配で見に来ちゃったの?」", | |||
"377000811_41": "「ああ、クリスティーナ。\\n いや、その……」", | |||
"377000811_42": "「? まあいいわ。あたしは大丈夫だからッ!\\n プロデューサーは世界に向けた新曲でも考えててよねッ!」", | |||
"377000811_43": "「え、ええ。\\n 分かりましたよ」", | |||
"377000811_44": "「すごいのをお願いねッ! ……そうだ、プロデューサー」", | |||
"377000811_45": "「なんですか?」", | |||
"377000811_46": "「あたしをここまで連れてきてくれてありがとう。あたしの才能を\\n 最初に見出してくれたのは、プロデューサーだものッ!」", | |||
"377000811_47": "「お礼って訳じゃないけど、今日はあたし史上最高の\\n パフォーマンスを見せて、世界に躍り出てあげるッ!」", | |||
"377000811_48": "「クリスティーナ……ッ!」", | |||
"377000811_49": "「それじゃあ行って来るわねッ!!」", | |||
"377000811_50": "「……フフ、意気に感ずる。というものでしょうかね。\\n あんなに楽しそうにステージに上がる姿を見てしまっては」", | |||
"377000811_51": "「迷っている場合では、ありませんね。\\n 目を背けるのは、もうおしまいです」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,46 @@ | |||
{ | |||
"377000821_0": "「プロデューサー。どこに行くのかしら?」", | |||
"377000821_1": "「ちょっと野暮用……、と言いたい所ですが、\\n 関係者以外立ち入り禁止区域に面倒な用事がありましてね」", | |||
"377000821_2": "「そこを通していただきたいのですが……。\\n そうもいかないようですね」", | |||
"377000821_3": "「理解が早くて、助かるわ」", | |||
"377000821_4": "「少し前までの僕なら、\\n 全力で誤魔化していたところなのですけどね」", | |||
"377000821_5": "「心境の変化というヤツです。\\n 歩きながらでよければ、全部ご説明しますよ」", | |||
"377000821_6": "「そう、ありがとう。それじゃあ聞かせてちょうだい。\\n 隠していたことを、全部ね」", | |||
"377000821_7": "「オメガタクトが、聖遺物の裏取引を……ッ!?」", | |||
"377000821_8": "「ええ。ウンともスンとも言わない聖遺物をかき集め、\\n ライブを隠れ蓑に音楽で起動実験を行う」", | |||
"377000821_9": "「歌の力に、聖遺物が反応するというのは\\n 分かっていましたから」", | |||
"377000821_10": "「大半は<ruby=れいき>励起</ruby>すらしませんが、たまに波長が合って起動した\\n ものを、武装勢力などに売り飛ばしているのです」", | |||
"377000821_11": "「音楽会社を隠れ蓑にした死の商人。\\n それがオメガタクトの正体ですよ」", | |||
"377000821_12": "「だから、政府とつながりがあったのね。\\n 情報統制や隠蔽の見事さもうなずけるわ」", | |||
"377000821_13": "「我々は少し前に、『セイレーン』と呼ばれる聖遺物の\\n 起動に成功しました」", | |||
"377000821_14": "「聴いたものの精神を汚染する歌を放つという、\\n 兵器として価値のある代物でした」", | |||
"377000821_15": "「しかし、それをクライアントに引き渡す前に、\\n ヤツが現れたのです」", | |||
"377000821_16": "「……まさか、カルマノイズッ!?」", | |||
"377000821_17": "「その時は、名前も知らぬ怪物でしたがね。\\n 形も、今の形状とは少し違っていました」", | |||
"377000821_18": "「カルマノイズは聖遺物に引き寄せられるように現れた後、\\n それを取り込み、形状を変えて姿を消してしまったのです」", | |||
"377000821_19": "「それが、今まで戦ってきた、カルマノイズの本体ね」", | |||
"377000821_20": "「なるほど、歌を唄うのも、歌に引き付けられて現れるのも、\\n セイレーンの影響を受けたんだわ」", | |||
"377000821_21": "「セイレーンは、すでに売り先が決まっていました。\\n 商品が紛失したので、上層部は大慌てでしたよ」", | |||
"377000821_22": "「SSFは本来、純粋なアイドルイベントの予定でしたが、\\n 急遽、ここでも聖遺物の起動実験が行われることになったのです」", | |||
"377000821_23": "「同じことを繰り返すつもりなのッ!?」", | |||
"377000821_24": "「むしろ、起動した聖遺物があれば、\\n カルマノイズを倒せるかもしれない」", | |||
"377000821_25": "「カルマノイズの知識がない上層部は、\\n それくらい楽観的に考えているのですよ」", | |||
"377000821_26": "「だけど、聖遺物を起動するための歌に引き付けられて、\\n きっとカルマノイズは現れる」", | |||
"377000821_27": "「そうしたら、起動実験どころじゃないわ。\\n カルマノイズによる大量虐殺が起こってしまう……」", | |||
"377000821_28": "「ええ……。僕の考えが甘かったです。\\n いえ、保身のために、目をつぶっていただけかもしれませんが」", | |||
"377000821_29": "「だから、僕は今から実験を止めに行きます」", | |||
"377000821_30": "「……あなた、戦えるの?」", | |||
"377000821_31": "「戦う? めっそうもありませんッ!\\n 制御室に侵入し、スマートに実験を停止させる計画ですよッ!」", | |||
"377000821_32": "「その後は?\\n 逃げられる算段はあるの……?」", | |||
"377000821_33": "「それは――」", | |||
"377000821_34": "「まったく、仕方がないわね。わたしも行くわッ!\\n クリスティーナを悲しませる訳にはいかないもの」", | |||
"377000821_35": "「分かりました。協力に感謝しますよ」", | |||
"377000821_36": "「それじゃあ、急ぎましょう。\\n カルマノイズが出るまでに、実験を止めないとッ!」", | |||
"377000821_37": "「この先の配線から、セキュリティーをハッキングします。\\n 混乱を生んで、その間に制御室に――」", | |||
"377000821_38": "「さすが、プロデューサーをしている世界線でも、\\n そういう小賢しいことはできるのね」", | |||
"377000821_39": "「小賢しいとは何ですかッ!\\n ここは天才的と――」", | |||
"377000821_40": "「侵入者発見。排除シマス」", | |||
"377000821_41": "「なあッ!?\\n こんなのがいるだなんて、聞いていませんよッ!?」", | |||
"377000821_42": "「まったく、詰めが甘いんだから……。\\n ついてきてよかったわ」", | |||
"377000821_43": "「Seilien coffin airget-lamh tron――」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,34 @@ | |||
{ | |||
"377000822_0": "「プロデューサーッ!\\n 実験の停止はまだッ!?」", | |||
"377000822_1": "「もう少しですッ!\\n ここをこうして……」", | |||
"377000822_2": "「ぐわッ!?」", | |||
"377000822_3": "「プロデューサーッ!?」", | |||
"377000822_4": "「おっと、そこまでだ装者くん。手を上げたまえ。\\n 君は協力者を見捨てるような薄情者でないと期待するよ」", | |||
"377000822_5": "「ぐ……ッ!」", | |||
"377000822_6": "「指示に従うわ。手荒なことはしないでちょうだい」", | |||
"377000822_7": "「ふん、物分かりが良くて助かる。\\n だが、こいつは手荒なことをされて然るべきだがなッ!」", | |||
"377000822_8": "「まったく、少しは使えるかと思って拾ってやったのに、\\n 恩知らずがッ!! この行動は高くつくぞ、ウェル」", | |||
"377000822_9": "「念のため、実験が終わるまでは生かしておいてやる。\\n 元研究者の君は、役に立つかもしれないからな」", | |||
"377000822_10": "「実験は、ダメです……ッ! これ以上続ければ、間違いなく\\n カルマノイズを呼び寄せてしまう……ッ!」", | |||
"377000822_11": "「それに対抗するために装者を囲ったんだろうがッ!!」", | |||
"377000822_12": "「装者はカルマノイズを簡単に倒せる訳ではありませんッ!\\n 倒すまでに、周囲が大惨事になる可能性もあるのですよッ!」", | |||
"377000822_13": "「その程度、実験が成功すればいくらでも\\n リカバーできるッ! さあ、実験を開始するぞッ!」", | |||
"377000822_14": "「待ってもらいましょうか……ッ!」", | |||
"377000822_15": "「な、何者だッ!?」", | |||
"377000822_16": "「緒川さん……ッ!?」", | |||
"377000822_17": "「ウェルさんも実験を止めようとしたんですね。\\n やはり、あなたは信頼できる方ですッ!」", | |||
"377000822_18": "「グギギ……ッ!?」", | |||
"377000822_19": "「ギャ……ッ!?」", | |||
"377000822_20": "「く、くそッ! こいつがどうなっても……」", | |||
"377000822_21": "「ぐおッ!?」", | |||
"377000822_22": "「制圧、完了しました」", | |||
"377000822_23": "「ご苦労様です」", | |||
"377000822_24": "「仲間を連れて、助けに来てくれたのね」", | |||
"377000822_25": "「ご名答です。里のみんなに協力してもらいました」", | |||
"377000822_26": "「クリスティーナさんを\\n 護らないといけませんからね」", | |||
"377000822_27": "「あなたも同じ気持ちでしょう?」", | |||
"377000822_28": "「ええッ! そうです。元々僕は、\\n あの歌声に惚れてプロデューサーとなったのですッ!」", | |||
"377000822_29": "「起動実験は阻止できたけれど……、\\n ライブは続いているわ」", | |||
"377000822_30": "「カルマノイズが現れる前に、\\n 止めなくては……ッ!」", | |||
"377000822_31": "「ええ。急ぎましょう……ッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,53 @@ | |||
{ | |||
"377000911_0": "勝利へのパフォーマンス", | |||
"377000911_1": "「……よしッ! 行くわよッ!!」", | |||
"377000911_2": "「さあみんな、ここからはあたしのステージッ!」", | |||
"377000911_3": "「宇宙一可愛いアイドル、\\n クリスティーナの前にみんなひれ伏しなさいッ!!」", | |||
"377000911_4": "「ク・リ・ス・ティー・ナぁぁぁぁぁぁぁッ!!」", | |||
"377000911_5": "「クリスティーナが、こんなに大きなフェスに……ッ!\\n ここまできた。ここまで来たんだなッ!!」", | |||
"377000911_6": "「時は来たッ! それだけだッ!!」", | |||
"377000911_7": "「今日はあたしの晴れ舞台ッ! 盛り上げていくわよッ!\\n みんなも、たっくさん楽しんでねッ!!」", | |||
"377000911_8": "「1・2・3・4ッ!!」", | |||
"377000911_9": "「最高ッ! キュートなクリスティーナッ!!\\n 今日もダンスはキレッキレッ!!」", | |||
"377000911_10": "「ホントにキレてるな……ッ!\\n ここ最近でも一番の出来じゃないか」", | |||
"377000911_11": "「大きなフェスでもおびえなしッ!\\n さっすが俺らのクリスティーナーッ!!」", | |||
"377000911_12": "(足首も気にならない……。\\n それどころか、いつもより踊れてる気がする)", | |||
"377000911_13": "(楽しいッ! 身体が思い通りに動いて、\\n ポーズがキまるのが、楽しいッ!!)", | |||
"377000911_14": "「声出すともーっと楽しいわよッ!\\n 皆も一緒に唄ってーッ!!」", | |||
"377000911_15": "「うぉーッ!! 新ファンサッ!!\\n ノドがつぶれるまで声出せーッ!!!」", | |||
"377000911_16": "「そうだな……。\\n 今までは、あたしの歌を聴けって感じだったのにな」", | |||
"377000911_17": "(ああ、唄うのが、みんなと声を合わせるのが楽しいッ!\\n この一体感、初めての感覚だわ……ッ!)", | |||
"377000911_18": "「クリスティーナのステージ、始まっちゃったわね……」", | |||
"377000911_19": "「マリアッ!\\n どこに行っていたのだッ!?」", | |||
"377000911_20": "「ちょっと、悪の組織の野望を止めてきたところよ」", | |||
"377000911_21": "「はあッ!?」", | |||
"377000911_22": "「それより、カルマノイズは歌の力を持つ聖遺物を\\n 取り込んでいることが分かったわッ!」", | |||
"377000911_23": "「――ッ! しかし、ならばどうして、\\n 歌がある場所に現れていたんだ?」", | |||
"377000911_24": "「……たぶん、取り込んだ聖遺物を活性化させるために、\\n フォニックゲインを求めていたんじゃないかしら……」", | |||
"377000911_25": "「……ッ! じゃあ、この状況はまずいんじゃないかッ!?\\n アイツのステージ、めちゃめちゃ盛り上がってるぞッ!」", | |||
"377000911_26": "「だから今、それを止める方法を考えてるのッ!\\n クリスティーナには酷なことだけれど――」", | |||
"377000911_27": "「次の曲いくよーッ!!」", | |||
"377000911_28": "「……え?」", | |||
"377000911_29": "「うおおおおッ!?\\n バケモノぉぉぉぉぉぉッ!!」", | |||
"377000911_30": "「な、な、なんだ、アレはッ!?」", | |||
"377000911_31": "(現れ、ちゃった……)", | |||
"377000911_32": "(どうして、こんな時に……ッ!)", | |||
"377000911_33": "「何やってんだお前ぇぇぇぇ!!!」", | |||
"377000911_34": "「ギャアアアァァァァァッ♪」", | |||
"377000911_35": "「あ…………ッ!」", | |||
"377000911_36": "「ビビッて棒立ちなんかするなバカッ! 早く逃げろッ!!」", | |||
"377000911_37": "「…………イヤ。逃げない」", | |||
"377000911_38": "「ああッ!?」", | |||
"377000911_39": "「逃げないッ!\\n あたし、負けたくないッ!」", | |||
"377000911_40": "「カルマノイズの歌で、みんな苦しんでる……。\\n それって、あたしの歌が負けてるってことじゃないッ!」", | |||
"377000911_41": "「あたしは宇宙一のアイドルなのに、\\n カルマノイズなんかに歌で負けてられないわッ!」", | |||
"377000911_42": "「あーもう、これはそういうことじゃないだろッ!」", | |||
"377000911_43": "「あたしらしく行けって言ったのはあなたよッ!?」", | |||
"377000911_44": "「だけどな、アイツの相手は、あたしの領分だッ!\\n お前が歌で圧倒したとして、アイツを倒せるのか?」", | |||
"377000911_45": "「それは、分からないわ」", | |||
"377000911_46": "「だったら、ここはあたしに任せとけッ!\\n あたしの銃弾はアイツを倒せるんだからなッ!」", | |||
"377000911_47": "「わ、分かったわよッ!!」", | |||
"377000911_48": "「……結局、最悪の事態にまでなってしまったか……」", | |||
"377000911_49": "「いいえ、まだよッ! 被害が出る前に、\\n わたしたちがカルマノイズを倒せばいいんだものッ!」", | |||
"377000911_50": "「ああッ!\\n アイツをライブの主役になんか、させるかよッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,18 @@ | |||
{ | |||
"377000912_0": "「小物ごときが、邪魔すんじゃねぇッ!!」", | |||
"377000912_1": "「小型はほぼ掃討できたなッ!\\n だが――」", | |||
"377000912_2": "「まだ厄介なのが残っているのよね」", | |||
"377000912_3": "「今日こそ逃がさないぞッ!\\n ここで決着つけてやるッ!!」", | |||
"377000912_4": "「――ッ!!」", | |||
"377000912_5": "「ギャアァァァァァァッ♪」", | |||
"377000912_6": "「再び唄いだしたかッ!」", | |||
"377000912_7": "「まずいわッ! \\n シンフォギアの力が減殺される……ッ!」", | |||
"377000912_8": "「く……、バリアコーティングで何とか\\n 精神汚染の影響は防いでいるが……」", | |||
"377000912_9": "「あたしたちでギリギリってことは――」", | |||
"377000912_10": "「がぁぁぁッ、頭が割れるッ!\\n 頭がぁぁぁッ!」", | |||
"377000912_11": "「全部、壊してやるッ!\\n ぐううううああああッ!」", | |||
"377000912_12": "「まずい、このままじゃ狂っちまうッ!!\\n こんのぉッ!」", | |||
"377000912_13": "「アアアアアアアアッ♪」", | |||
"377000912_14": "「ぐ……、効かない……。\\n そんなにも、弱らされて……ッ!」", | |||
"377000912_15": "「この、ままでは……ッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,38 @@ | |||
{ | |||
"377000921_0": "「――ッ!!」", | |||
"377000921_1": "「みんなが、苦しんでる……。\\n カルマノイズの歌で……」", | |||
"377000921_2": "「確かにあたしは、カルマノイズを倒す弾丸は持ってない……。\\n でも、戦う相手が歌ならッ!」", | |||
"377000921_3": "「パパ、ママ、応援しててッ!\\n あたし頑張る……ッ!」", | |||
"377000921_4": "「やいッ、バケモノッ!!」", | |||
"377000921_5": "「――ッ!!」", | |||
"377000921_6": "「な、あいつ……」", | |||
"377000921_7": "「あたしは宇宙一可愛いアイドル、クリスティーナッ!\\n もちろん、歌だって宇宙一よッ!!」", | |||
"377000921_8": "「歌は、誰かを幸せにして、笑顔にするものなのに……、\\n 苦しめる歌を唄うなんて……ッ!」", | |||
"377000921_9": "「そんなの許せないッ!\\n あたしの歌で、上書きしてやるッ!」", | |||
"377000921_10": "「あたしだって、シンフォギア装者と同じ、\\n 命がけでアイドルやってるんだからッ!」", | |||
"377000921_11": "「!?」", | |||
"377000921_12": "「らー、らららー」", | |||
"377000921_13": "「~~~~ッ♪」", | |||
"377000921_14": "(聴きなさいカルマノイズッ! これがあたしの、\\n 宇宙一の歌声なんだから……ッ!)", | |||
"377000921_15": "(え? パパとママに貰った\\n イルカのペンダントが……光って?)", | |||
"377000921_16": "「めちゃくちゃ光ってるんですけどッ!?\\n なにこれえええッ!」", | |||
"377000921_17": "(まるで、光があたしの歌声に共鳴してるみたい……ッ!\\n パパとママなの……?)", | |||
"377000921_18": "(それならあたし、もっと唄うよッ!\\n 他に何も聴こえなくなるくらいッ!)", | |||
"377000921_19": "「~~~~~ッ♪♪」", | |||
"377000921_20": "「な、なんだ……? 頭の痛みが治まって……」", | |||
"377000921_21": "「あれ? 俺は何を……。\\n ―― ッ! この歌声は……」", | |||
"377000921_22": "「どういうことだッ!?\\n 精神汚染を受けたやつらが、治っていくッ!?」", | |||
"377000921_23": "「クリスティーナの、歌声の影響だというの……?」", | |||
"377000921_24": "「いや、それだけじゃない。\\n あの光は……」", | |||
"377000921_25": "「あ~~~~ッ♪」", | |||
"377000921_26": "「なんだ? あいつの歌声と光を浴びてたら、\\n なんか――」", | |||
"377000921_27": "「ギアが変化したッ!?\\n この姿は……」", | |||
"377000921_28": "「不思議ね。わたしも高らかに唄いたい気分だわッ!\\n それに――」", | |||
"377000921_29": "「アアアアアアアアッ♪」", | |||
"377000921_30": "「――ッ! カルマノイズの歌声を聴いても、\\n 力が弱まらないッ!?」", | |||
"377000921_31": "「ああッ! まるでこっちの歌が、\\n カルマノイズの歌を跳ね返してるみたいだッ!」", | |||
"377000921_32": "「この力、お前のおかげなんだなッ!?」", | |||
"377000921_33": "「さっぱり分からないわッ!\\n あたしは思いっきり唄ってるだけッ!」", | |||
"377000921_34": "「だけど、その衣装、\\n なかなか可愛いわよッ!」", | |||
"377000921_35": "「は、宇宙一のアイドルのお墨付きだッ!\\n このギアで負ける訳にはいかないなッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,26 @@ | |||
{ | |||
"377000922_0": "「~~~~~ッ♪」", | |||
"377000922_1": "「まさか、あれは……ッ!!\\n 『アポロンの首飾り』が、起動しているッ!?」", | |||
"377000922_2": "「『アポロンの首飾り』? もしかして、\\n クリスティーナさんのイルカのペンダントのことですか?」", | |||
"377000922_3": "「実はあれは、聖遺物なのですよ」", | |||
"377000922_4": "「はあ……ッ!?」", | |||
"377000922_5": "「クリスティーナのご両親が、\\n たまたま海外の遺跡で見つけた物のようです」", | |||
"377000922_6": "「2人は当然、聖遺物だなんて思っていませんでしたよ」", | |||
"377000922_7": "「僕は見てすぐ、基底状態の聖遺物『アポロンの首飾り』だと\\n 気づいてはいたのですが――」", | |||
"377000922_8": "「そうと知られれば、オメガタクトに奪われてしまいますからね」", | |||
"377000922_9": "「だから、クリスティーナのために、\\n 誰にも言わなかったということですか……」", | |||
"377000922_10": "「その通りですッ! そして、その聖遺物がいまッ!\\n ああして起動しているッ!」", | |||
"377000922_11": "「さらに、装者の皆さんに力を与えていると?\\n 一体なぜそんなことが……」", | |||
"377000922_12": "「決まっているじゃないですかッ!!\\n アポロンといえば音楽を愛する太陽神ッ!」", | |||
"377000922_13": "「クリスティーナの歌が、アポロンに認められたのですよッ!」", | |||
"377000922_14": "「そして解放された聖遺物の力が、\\n シンフォギアに影響を与えたんだッ!!」", | |||
"377000922_15": "「クリスティーナさんの歌が、\\n そんなことを……」", | |||
"377000922_16": "「オオオオオオオッ!」", | |||
"377000922_17": "「いつまでも陰気な歌を唄ってんじゃねえッ!」", | |||
"377000922_18": "「今度は、わたしたちの歌を聴いてもらおうかッ!」", | |||
"377000922_19": "「わたしたちと、クリスティーナの歌をねッ!」", | |||
"377000922_20": "「~~~~~ッ♪\\n いっけーッ! そいつに、あたしたちの歌を叩き込むのよッ!」", | |||
"377000922_21": "「ああッ!\\n 宇宙一の歌声を、味わいやがれえええええッ!」", | |||
"377000922_22": "「オオオオ、オオ……」", | |||
"377000922_23": "「やっと、終わったか……」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,55 @@ | |||
{ | |||
"377001011_0": "宇宙一の未来へ", | |||
"377001011_1": "「えー、それでは。\\n SSFは、ファンの方に大きな被害もなく無事終了」", | |||
"377001011_2": "「皆さん、お疲れ様ということで。乾杯ッ!」", | |||
"377001011_3": "「いやあ、本来もっと盛大に行いたかったのですが……。\\n 僕も緒川くんも無職になったものでね。予算が厳しいのですよ」", | |||
"377001011_4": "「なによそれッ!! あたし聞いてないわよッ!?」", | |||
"377001011_5": "「初公開ですからね。これを待っていたもので」", | |||
"377001011_6": "「携帯端末に映っているのは……ニュースですか?\\n 『大手企業オメガタクトに捜査のメス』……ッ!?」", | |||
"377001011_7": "「マリアさんには説明しましたが、\\n オメガタクトは闇の深い企業でしてね」", | |||
"377001011_8": "「それを洗いざらい司法にぶちまけたのですよ」", | |||
"377001011_9": "「何の説明もない聖遺物の起動実験、それに聖遺物の売買。\\n わたしたちの世界なら極刑でもおかしくないわ」", | |||
"377001011_10": "「まあ、こちらではどれほどの罪になるか分かりませんが……。\\n 少なくとも、関係部署は閉鎖の上、人員は解雇でしょう」 ", | |||
"377001011_11": "「その程度しかダメージを与えられなかったのは、\\n 僕たちが刺し違いきれなかったからですがね……」", | |||
"377001011_12": "「そんなの、英雄でもそうそうできることじゃないだろ。\\n できることで責任取ってくしかないって」", | |||
"377001011_13": "「まあ、本業である芸能・音楽部門は健在です。\\n クリスティーナは、その力を存分に利用するといいのです」", | |||
"377001011_14": "「SSFの映像、世界中でバズってますからね。\\n 世界もすっかり射程圏内ですよ」", | |||
"377001011_15": "「……イヤ。あたしも事務所辞めるわ。\\n あなたたちがいないなら、意味ないから」", | |||
"377001011_16": "「なに言ってるんですかッ!!」", | |||
"377001011_17": "「……アイドル人生を左右することですよ?\\n もっと考えた方が――」", | |||
"377001011_18": "「2人のおかげでSSFに出られて、歌を届けられたのよ。\\n あなたたちはあたしにとって最高のスタッフなの」", | |||
"377001011_19": "「それとも、あなたたちにとってあたしは\\n 最高のアイドルじゃないの?」", | |||
"377001011_20": "「そんな訳ありませんッ!! かのアポロン神に認められた\\n 歌声を持つものなど君1人ッ! 最高のアイドルだとも」", | |||
"377001011_21": "「里の復興なんてどうでもよくなる時があるくらいには、\\n クリスティーナさんに夢中です。でも僕たちは……」", | |||
"377001011_22": "「ならいいじゃない。歌で世界を明るくして償うのよッ!\\n 3人で事務所を作って、世界に出るわよッ!」", | |||
"377001011_23": "「……この貪欲さは、見習うべきかもな」", | |||
"377001011_24": "「そうかあ?\\n かなり過酷な道だと思うぞ……」", | |||
"377001011_25": "「ウェルを圧倒というか、説き伏せることができるなんて……。\\n たいしたものね。本当に」", | |||
"377001011_26": "「ということで、お疲れ会兼新事務所創立お祝い会よッ!\\n もう一度乾杯を……」", | |||
"377001011_27": "『トゥルルルルル……!』", | |||
"377001011_28": "「あら? 誰かしら……。わあッ! ママッ!!」", | |||
"377001011_29": "「<size=40>はああああああああああああああッ!?</size>」", | |||
"377001011_30": "「もしもし? わ、元気そうッ! パパは?\\n 元気なんだ、よかった。え? 動画見たのッ!?」", | |||
"377001011_31": "「ママ……? パパ……?」", | |||
"377001011_32": "「ああ、クリスティーナさんのご両親はギリシャでご健在ですよ?\\n 考古学に携わりながらトレジャーハントをしているそうです」", | |||
"377001011_33": "「<size=40>生きてるのかよッ!!</size>」", | |||
"377001011_34": "「見ててね、パパ、ママ。これからあたし、\\n 世界に羽ばたくからッ!!」", | |||
"377001011_35": "「皆さんもお忙しいのに、\\n お見送りありがとうございます」", | |||
"377001011_36": "「いえ、せっかくですから、\\n 皆さんの旅立ちを見届けたかったのです」", | |||
"377001011_37": "「安心してくださいッ! 我々の事務所『イチイバル』は\\n クリスティーナがバズったおかげで順風満帆が確定ッ!」", | |||
"377001011_38": "「オファーが殺到し、嬉しい悲鳴を上げている所ですッ!!」", | |||
"377001011_39": "「お別れね」", | |||
"377001011_40": "「まあな……。ま、アイドルが輝く瞬間を\\n バッチリ見れたからな。いい土産話ができた」", | |||
"377001011_41": "「それは、こっちも同じよッ!」", | |||
"377001011_42": "「もう、自分の歌を見失うんじゃないぞ?」", | |||
"377001011_43": "「言われなくたってッ! あたしらしく、\\n もっともっと、すごい歌にしてやるんだからッ!」", | |||
"377001011_44": "「そういや、次の目標は世界制覇とかか……?」", | |||
"377001011_45": "「……ううん」", | |||
"377001011_46": "「世界なんて、今のあたしには踏み台よ。\\n すぐに獲って、あなたみたいに並行世界に乗り出すわッ!」", | |||
"377001011_47": "「は?」", | |||
"377001011_48": "「全部の並行世界に、あたしの歌を届けてやるのよッ!\\n そしたら、こう名乗ってあげる」", | |||
"377001011_49": "「あたしは全並行世界で一番可愛いアイドル、クリスティーナッ!\\n 全並行世界のみんな、あたしの可愛さにひれ伏しなさいッ!!」", | |||
"377001011_50": "「……ってねッ!!」", | |||
"377001011_51": "「本当にブレないよなお前……。", | |||
"377001011_52": " まあ、応援してるよ。ファンとして」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,20 @@ | |||
{ | |||
"377001111_0": "暴かれたスキャンダル?", | |||
"377001111_1": "「ふんふーん、ふふーん、ふふふーん♪」", | |||
"377001111_2": "「おや、クリスティーナの曲か?」", | |||
"377001111_3": "「――ッ! ……なんか、つい出ちまうんだ。\\n さんざん聴かされたからな」", | |||
"377001111_4": "「色々あったけど、思い返せばいい経験をしたわね。\\n クリスティーナはいい子だったし」", | |||
"377001111_5": "「まあ、クセはすごかったけど……。悪い奴じゃ、なかったな」", | |||
"377001111_6": "「あッ! クリスちゃーんッ!!」", | |||
"377001111_7": "「なんだお前、任務で出かけてるって聞いたけど、\\n 帰ってたのか?」", | |||
"377001111_8": "「ついこの間ねッ! それよりもクリスちゃんヒドいよッ!!\\n わたしがいない間に、こんな可愛い格好してッ!」", | |||
"377001111_9": "「は……?」", | |||
"377001111_10": "「代理でアイドルやったんだってねッ! 音源とかある?\\n 並行世界のクリスちゃんの歌と聴き比べしたいッ!」", | |||
"377001111_11": "「ある訳ねえだろうがッ!!\\n 大体、なんでお前がそんな写真持ってるんだッ!?」", | |||
"377001111_12": "「え? これ報告書の添付画像引き伸ばしたのだけど」", | |||
"377001111_13": "「ほう、こく、しょ……?」", | |||
"377001111_14": "「もうS.O.N.G.中で評判だよ?\\n 未来とも、可愛いねーッ! て話したりしてッ!」", | |||
"377001111_15": "「うあ、うああああああ……」", | |||
"377001111_16": "「ねえねえクリスちゃんッ!\\n よかったらもう1回アイドルっぽい服を――」", | |||
"377001111_17": "「それはもう封印した記憶だったんだッ!\\n そんなの、二度と着ないからなあああッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,39 @@ | |||
{ | |||
"378000111_0": "ゴジラ現る", | |||
"378000111_1": "「さあ、着いたわよ」", | |||
"378000111_2": "「ああ。ここは新しい並行世界なんだな」", | |||
"378000111_3": "「……パッと見はあたしやみんなの並行世界と\\n そんなに違いが無いみたいだ」", | |||
"378000111_4": "「そのようね。調査がしやすくて助かるわ」", | |||
"378000111_5": "「それにしても、あなたと2人で並行世界に来る\\n なんて、なんだか変な感じがするわね」", | |||
"378000111_6": "「そうだなッ! まさか、定期報告に行ったタイミングで\\n ギャラルホルンのアラートが鳴るとは思わなかったよ」", | |||
"378000111_7": "「しかも、わたし以外の装者が全員任務で\\n 出払っているなんてね」", | |||
"378000111_8": "「未知の並行世界に1人で行くのは危険すぎるし、\\n ちょうどあなたがいてくれて助かったわ」", | |||
"378000111_9": "「困ったときはお互い様だろ」", | |||
"378000111_10": "「ありがたいわ。\\n ……だけど、あなたの世界のことは良かったの?」", | |||
"378000111_11": "「ちゃんと許可を取ってきたって言っただろ?」", | |||
"378000111_12": "「あの勘のいい錬金術師協会のボスからちょうど連絡が来てて、\\n 頼んだらあたしが不在の間監視してくれることになったんだ」", | |||
"378000111_13": "「そう、そんなところも含めて本当に勘がいいわね……。\\n だけど、あの人たちが協力してくれているのなら安心ね」", | |||
"378000111_14": "「長期になる場合はちょくちょく報告に戻らなきゃいけないけど、\\n そうならないようにさっさと片付けるつもりだ」", | |||
"378000111_15": "「ええ。ギャラルホルンが反応したということは、\\n カルマノイズが発生しているはず」", | |||
"378000111_16": "「他の世界に影響を及ぼすような事態になる前に\\n 終わらせましょう」", | |||
"378000111_17": "「これと言って異変は見当たらないな」", | |||
"378000111_18": "「そうね。平和そうに見えるわ」", | |||
"378000111_19": "「この世界に二課やS.O.N.G.があれば、そこに接触してみる\\n という方法もあるけれど、そもそも存在しているのかしら?」", | |||
"378000111_20": "「そっか。この世界にも翼がいるかもしれないんだよな。\\n 会えたら嬉しいんだけど……」", | |||
"378000111_21": "「そんな、のんきなことを言って――」", | |||
"378000111_22": "「な、なんだ、この音はッ!?」", | |||
"378000111_23": "「地震ッ!? いえ、何かが近づいているような……」", | |||
"378000111_24": "「……待った。なあ、あれって……」", | |||
"378000111_25": "「……な、何よ、あれはッ!?」", | |||
"378000111_26": "「……ッ!?」", | |||
"378000111_27": "「カルマノイズより、もっとデカいぞッ!?」", | |||
"378000111_28": "「なんだ、今のは……ッ!」", | |||
"378000111_29": "「街が……ッ! みんなが危ないわッ!」", | |||
"378000111_30": "「ああッ!」", | |||
"378000111_31": "「Croitzal ronzell Gungnir zizzl――」", | |||
"378000111_32": "「Seilien coffin airget-lamh tron――」", | |||
"378000111_33": "「相手がなんだろうが関係ない、あたしたちが止めるぞッ!」", | |||
"378000111_34": "「ええ。だけど、相当危険な相手よ。\\n 無茶だけはしないでちょうだいねッ!」", | |||
"378000111_35": "「わかってるよッ!」", | |||
"378000111_36": "「行くぞッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,10 @@ | |||
{ | |||
"378000112_0": "「はあ――ッ!」", | |||
"378000112_1": "「くッ! ほとんどダメージが入らない。\\n どうなっているのよッ!」", | |||
"378000112_2": "「相手が硬すぎるんだ。\\n あたしたちの火力じゃまるで足りないッ!」", | |||
"378000112_3": "「ぐ――ッ!? おまけに1発がとんでもなく重い……」", | |||
"378000112_4": "「こんな相手、どうすれば……」", | |||
"378000112_5": "「なんだッ!?」", | |||
"378000112_6": "「あれは、軍隊……?」", | |||
"378000112_7": "「Gフォース……って書いてあるな。何者だ?」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,39 @@ | |||
{ | |||
"378000121_0": "「おい、あの2人、ゴジラに攻撃をしているようだったぞッ!?」", | |||
"378000121_1": "「民間人か? 生身で戦うなど、無謀にもほどがあるッ!」", | |||
"378000121_2": "「たくさん引き連れてるのは戦車か?\\n 見たことない形だな」", | |||
"378000121_3": "「先ほどのレーザーを撃ったのはあれね。\\n もしかしたら、この怪物用に造られているのかも」", | |||
"378000121_4": "「お前たち、そんなところで何をしている。\\n 直ちに避難しなさいッ!」", | |||
"378000121_5": "「ここは大人しく従いましょう。\\n 彼らはあの怪物に有効な手段を持っているのかも知れないわ」", | |||
"378000121_6": "「それもそうだな。\\n この世界のお手並み拝見だ」", | |||
"378000121_7": "「よし、射線は開いた。一斉掃射ッ!」", | |||
"378000121_8": "「おおッ! レーザー攻撃だ。いいぞッ!」", | |||
"378000121_9": "「だけど、あまり通じているようには見えないわね……」", | |||
"378000121_10": "「怯むな、押し返せッ!」", | |||
"378000121_11": "「このままじゃあの軍隊もやられちまう。\\n 加勢しようッ!」", | |||
"378000121_12": "「ええッ!」", | |||
"378000121_13": "「ちょっと待って、これはッ!?」", | |||
"378000121_14": "「カルマノイズ、出やがったか……ッ!\\n こっちは怪物の相手もしなきゃいけないってのにッ!」", | |||
"378000121_15": "「本当に最悪のタイミングね……」", | |||
"378000121_16": "「黒いノイズッ!? そんな個体、聞いたことがありませんッ!」", | |||
"378000121_17": "「くそッ! こんな時に……。\\n 第1、第2部隊は照準を変更ッ!」", | |||
"378000121_18": "「あのカルマノイズ、軍隊を狙うつもりか?\\n そうはさせないッ!」", | |||
"378000121_19": "「……いいえ、違うッ! 狙っているのはそっちじゃないわッ!」", | |||
"378000121_20": "「あいつ、何をするつもりだッ!」", | |||
"378000121_21": "「カルマノイズが……吸収されていくッ!?」", | |||
"378000121_22": "「ど、どうなってるんだよ、あれは……」", | |||
"378000121_23": "「黒いノイズはゴジラに取り込まれた模様ッ!\\n どうすれば……」", | |||
"378000121_24": "「構わん、撃てッ!」", | |||
"378000121_25": "「あれは……カルマノイズの瘴気ッ!」", | |||
"378000121_26": "「怪物の中からッ!? 本当に融合しちまったってのか……」", | |||
"378000121_27": "「あいつ、どこかに行くつもりみたいだ。\\n 追いかけないとッ!」", | |||
"378000121_28": "「ええッ!」", | |||
"378000121_29": "「……いえ、何か様子がおかしい。\\n 見て、怪物から出た瘴気がッ!」", | |||
"378000121_30": "「瘴気が、固まって……?」", | |||
"378000121_31": "「ちっちゃい奴が出てきたぞッ!?\\n あの怪物にそっくりだ」", | |||
"378000121_32": "「ぐわあッ!?」", | |||
"378000121_33": "「発生した不明個体から攻撃を受けているッ!\\n 全部隊後退ッ! 距離を取れッ!」", | |||
"378000121_34": "「ゴジラの前に、まずはこちらを片付けるぞッ!」", | |||
"378000121_35": "「……あの戦車で戦うつもりみたいだ。\\n あたしたちも行こうッ!」", | |||
"378000121_36": "「ええッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,27 @@ | |||
{ | |||
"378000122_0": "「撃てーッ!」", | |||
"378000122_1": "「こいつで最後だッ!」", | |||
"378000122_2": "「……他にはいないようね。\\n 被害を抑えられてよかったわ」", | |||
"378000122_3": "「でも、その間にデカい怪物はどこかに行っちまったな。\\n 方角からして、海に潜ったのか?」", | |||
"378000122_4": "「彼らはゴジラと呼んでいたようね。\\n あんなのは、どの並行世界でも見たことがないわ」", | |||
"378000122_5": "「瘴気から出現した小型の怪物。\\n おそらくあれは、カルマノイズの力だと思うけれど……」", | |||
"378000122_6": "「おいッ!」", | |||
"378000122_7": "「――ッ!」", | |||
"378000122_8": "「ああ、軍隊の人か」", | |||
"378000122_9": "「……若いな。\\n こんなガキが、ゴジラ相手に暴れまわってたってのか?」", | |||
"378000122_10": "「……ガキで悪かったね、おっさん」", | |||
"378000122_11": "「お前たちは何者だッ! それにその装備……。\\n そんなものは見たことがねえぞ」", | |||
"378000122_12": "「とりあえず、どこの所属の者だ、吐け」", | |||
"378000122_13": "「なんだよ、せっかく一緒に戦ってやったってのに\\n 態度悪いなあ」", | |||
"378000122_14": "「そう喧嘩腰にならないの」", | |||
"378000122_15": "「わたしはマリア・カデンツァヴナ・イヴ、こちらは天羽奏。\\n 所属は……今はまだ明かせないわ」", | |||
"378000122_16": "「なにぃ? ますます怪しい連中だな」", | |||
"378000122_17": "「事情聴取だ、ついてきてもらうぞ」", | |||
"378000122_18": "「待て待て、いきなり犯罪者扱いかよッ!」", | |||
"378000122_19": "「勝手に俺たちGフォースの邪魔をしたんだ、当然だろ?」", | |||
"378000122_20": "「邪魔だと……ッ!?」", | |||
"378000122_21": "「やめなさいって。わたしたちが怪しく見えるのは仕方がないわ」", | |||
"378000122_22": "「それに、わたしたちもこの世界の状況を詳しく知る必要がある。\\n ここは大人しく従いましょう」", | |||
"378000122_23": "「……わかったよ。しょうがないから行ってやる」", | |||
"378000122_24": "「わかればいいんだよ。\\n 行くぞ、G対策センターへ」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,66 @@ | |||
{ | |||
"378000131_0": "「はじめまして、私はGフォース司令官、浅野彰隆です」", | |||
"378000131_1": "「俺は少佐の近藤一郎だ」", | |||
"378000131_2": "「お前たちが何者なのか、洗いざらい話してもらうぞ」", | |||
"378000131_3": "「ふん、わざわざ足を運んでやったってのに、偉そうだな」", | |||
"378000131_4": "「ああ? ガキの相手はこれくらいがちょうどいいんだよ」", | |||
"378000131_5": "「なんだよ、その言い方は。\\n ケンカ売ってるなら買ってやるぞッ!」", | |||
"378000131_6": "「ストップッ!\\n わたしたちはケンカをするために来たんじゃないでしょ」", | |||
"378000131_7": "「そ、それはそうなんだけど、あいつが……」", | |||
"378000131_8": "「申し訳ない。ゴジラの出現で、皆気が立っているんです」", | |||
"378000131_9": "「まずお聞きしたいのですが、\\n ゴジラとはあの怪物のことですか?」", | |||
"378000131_10": "「怪物ッ!? ゴジラは怪獣だろ」", | |||
"378000131_11": "「というかお前たち、ゴジラのことを知らないってのか?」", | |||
"378000131_12": "「ああ。ついでに言うなら、Gフォースってのも\\n G対策なんちゃらってのも知らないぞ」", | |||
"378000131_13": "「この通り、わたしたちは状況がよくわかっていません」", | |||
"378000131_14": "「教えていただけたら、わたしたちのことも\\n 可能な限りお話しします」", | |||
"378000131_15": "「……なるほど、わかりました」", | |||
"378000131_16": "「ゴジラとは、核物質により生まれた巨大怪獣――、\\n 見ての通り、人類最大の脅威です」", | |||
"378000131_17": "「死亡したとする説もありましたが、\\n 近年、再び人類の敵として現れました」", | |||
"378000131_18": "「『国連G対策センター』はそんなゴジラの脅威を世界から\\n 取り除くために発足した組織で」", | |||
"378000131_19": "「それが有する対ゴジラ専門の軍事組織が、\\n 我々『Gフォース』というわけです」", | |||
"378000131_20": "「あの戦車はGフォースの兵器ってことか」", | |||
"378000131_21": "「ゴジラを倒すために造られたメーサー戦車だ」", | |||
"378000131_22": "「倒せてなかったけどな」", | |||
"378000131_23": "「むッ……」", | |||
"378000131_24": "「……ゴホン。\\n それで、あなたたちは?」", | |||
"378000131_25": "「ええ、今度はこちらの番ですね」", | |||
"378000131_26": "「……おい、いいのか?」", | |||
"378000131_27": "「並行世界やS.O.N.G.の存在は伏せるわ。シンフォギアのことは、\\n 見られている以上ある程度説明が必要でしょう」", | |||
"378000131_28": "「そうだな。じゃあ、そのへんの話は任せるよ」", | |||
"378000131_29": "「ええ」", | |||
"378000131_30": "「……わたしから話せることは以上です」", | |||
"378000131_31": "「秘密裏にノイズに対抗するための組織が作られていたとは……」", | |||
"378000131_32": "「ええ。ですが、まだ試験的な段階ということもあり、公開は\\n されていません。深く詮索しないでいただけると助かります」", | |||
"378000131_33": "「シンフォギアシステムねえ……。ノイズ対策なんかにそんな\\n 予算を割く余裕があるなら、こっちに回してほしいもんだ」", | |||
"378000131_34": "「確かにノイズも人類の敵だが、ここ数年は出たって話も\\n 聞かなかったし、ゴジラの方がよっぽど脅威だろう?」", | |||
"378000131_35": "「確かにノイズは偶発的なもんだけど、あの黒いノイズ……、\\n カルマノイズは違うんだ」", | |||
"378000131_36": "「ノイズよりも格段に強く、人間を炭化させても消滅しません」", | |||
"378000131_37": "「また、例は少ないですが、力を持った存在と融合して、\\n より強大な存在へと変化する性質を持っているようです」", | |||
"378000131_38": "「それが今回、あろうことかゴジラと融合してしまった\\n というわけですか……」", | |||
"378000131_39": "「はい。瘴気からゴジラの姿を模した小型の怪獣が生まれたのも、\\n その影響だと考えられます」", | |||
"378000131_40": "「カルマノイズとゴジラが融合して生まれたから、\\n カルマゴジラってところだな」", | |||
"378000131_41": "「おい、勝手に名付けるな」", | |||
"378000131_42": "「ふんッ! あたしの勝手だ」", | |||
"378000131_43": "(おそらく、この世界に特異災害対策機動部やS.O.N.G.に\\n 類する組織は存在していない)", | |||
"378000131_44": "(カルマノイズと融合してしまったゴジラと戦うなら、\\n Gフォースの後ろ盾は必須ということになるわね)", | |||
"378000131_45": "「状況がわかったところで1つ提案です」", | |||
"378000131_46": "「カルマノイズが融合してしまったゴジラに対抗するため、\\n それぞれと戦う手段を持ったわたしたちで手を組みませんか?」", | |||
"378000131_47": "「ふざけたことを言うんじゃねえ。\\n 俺はこんなガキと組むなんて、断固反対だ」", | |||
"378000131_48": "「なんだとッ!?」", | |||
"378000131_49": "「あたしたちの力は見ただろうッ!」", | |||
"378000131_50": "「それは問題じゃない。ゴジラと戦うってのは、お前たちみたいに\\n 覚悟のできていないガキに務まるほど易しいもんじゃねえんだ」", | |||
"378000131_51": "「あたしたちだって覚悟はできてるッ!\\n あんたはシンフォギアの底力を知らないから……」", | |||
"378000131_52": "「そのシンフォギアとやらだって眉唾もんだ。だいたい、極秘だか\\n 知らないが怪しすぎて……」", | |||
"378000131_53": "「近藤くんッ! 下がりなさい。上官命令だ。」", | |||
"378000131_54": "「……申し訳ありません」", | |||
"378000131_55": "「我々にカルマゴジラに対する知識が無いのは確かだろう」", | |||
"378000131_56": "「融合したゴジラにどんな変化が起こるのかわからない以上、\\n 彼女たちの申し出を断る理由はない」", | |||
"378000131_57": "「同盟成立ということでいいかしら?」", | |||
"378000131_58": "「ええ。よろしくお願いします」", | |||
"378000131_59": "「ふん、俺は認めねえからな」", | |||
"378000131_60": "「こっちのセリフだッ!」", | |||
"378000131_61": "「まったくもう……」", | |||
"378000131_62": "「なるほどなるほどッ!\\n 話は聞かせてもらいましたよッ!」", | |||
"378000131_63": "「こ、この声は、まさか……」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,36 @@ | |||
{ | |||
"378000141_0": "「なるほどなるほどッ!\\n 話は聞かせてもらいましたよッ!」", | |||
"378000141_1": "「こ、この声は、まさか……」", | |||
"378000141_2": "「ご存知Gフォース兵器開発主任、天才科学者こと\\n ドクター・ウェルとは僕のことですッ!」", | |||
"378000141_3": "「……」", | |||
"378000141_4": "「おや? 反応が薄いですね。\\n ゴジラとの戦闘はさすがに堪えましたか」", | |||
"378000141_5": "「ところで、先ほどシンフォギアという兵器について\\n 話していましたねッ!」", | |||
"378000141_6": "「あ、ああ、そうだけど……」", | |||
"378000141_7": "「実にそそられるッ!\\n 一体どこのどなたがそんなものをッ!?」", | |||
"378000141_8": "「おい、ウェルッ!\\n ラボからわざわざ何しに来た」", | |||
"378000141_9": "「僕を除け者にして面白そうなことをしている\\n あなたが悪いんですよ」", | |||
"378000141_10": "「面白いことなんてしてねえよ」", | |||
"378000141_11": "「なんだ、こいつは?」", | |||
"378000141_12": "「彼は兵器開発、さらにはゴジラの分析を取り仕切っている\\n 責任者。我々はウェル博士と呼んでいます」", | |||
"378000141_13": "「そう、僕がドクター・ウェルッ!\\n 以後、お見知りおきを。不思議な少女たちッ!」", | |||
"378000141_14": "「よ、よろしく……」", | |||
"378000141_15": "「彼は脳神経外科が専門で、DNAコンピュータの開発や、\\n 対ゴジラ用の様々な試作機械も作っている優秀な科学者です」", | |||
"378000141_16": "「へー、天才となんとかは紙一重って本当なんだな」", | |||
"378000141_17": "「僕はゴジラを倒した英雄となるッ!\\n そのために日夜研究をしているのですよッ!」", | |||
"378000141_18": "「え、英雄ね……。というか、黙ってないで\\n あんたもこいつの相手をしてくれ」", | |||
"378000141_19": "「ごめんなさい、あまりの事態に\\n どうやら思考が停止していたみたい」", | |||
"378000141_20": "「どうしてよりによってこの人なの……」", | |||
"378000141_21": "「知ってるやつなのか?」", | |||
"378000141_22": "「……あとで説明してあげるわ」", | |||
"378000141_23": "「で、何しに来たんだ?」", | |||
"378000141_24": "「彼女たちと手を組むに当たって、待機場所が必要となるはず。\\n そこで、我がラボを彼女たちに提供しましょうッ!」", | |||
"378000141_25": "「なるほど。そばに置いてシンフォギアを観察したいんだな」", | |||
"378000141_26": "「私は構いませんが、あなたたちはそれでいいですか?」", | |||
"378000141_27": "「あたしは別にどこだって構わないよ。\\n やることは変わらないからね」", | |||
"378000141_28": "(組織内部に居場所ができるのはありがたいこと。\\n それがたとえ、誰のもとであっても)", | |||
"378000141_29": "(だから割り切りなさい。\\n これは仕方のないことなの、我慢しないと……)", | |||
"378000141_30": "「わたしも、問題ありません……」", | |||
"378000141_31": "「にしては、苦虫を噛み潰したような顔してるぞ」", | |||
"378000141_32": "「では、彼女たちはありがたくいただいていきますね。\\n 行きましょう、おふたりとも。研究室へと案内しますよ」", | |||
"378000141_33": "「よ、よろしくお願いするわ……」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,28 @@ | |||
{ | |||
"378000211_0": "3式機龍", | |||
"378000211_1": "「シンフォギアを纏った姿を見せていただきたいのですが……」", | |||
"378000211_2": "「悪いけれど、極秘の装備なの。\\n そうやすやすと見せてあげることは出来ないわ」", | |||
"378000211_3": "「おや、つれないですね。\\n まあ、気長にいきますか」", | |||
"378000211_4": "「実際に戦闘になれば嫌でも見ることができますしね」", | |||
"378000211_5": "(別人なのはわかっているけれど、\\n やっぱりやりづらいわね……)", | |||
"378000211_6": "「そういや、近藤のおっさんと親しそうだったけど、\\n あいつと友達なのか?」", | |||
"378000211_7": "「別に友人というわけではありませんよ。\\n ただ、付き合いが長いだけです」", | |||
"378000211_8": "「あれはどうも頭が固い部分があって、\\n 困ったものですよ、まったく」", | |||
"378000211_9": "「それには完全に同意見だッ!」", | |||
"378000211_10": "「あいつ、実力をちゃんと見もしないで子供扱いして……。\\n 思い出したら腹立ってきた」", | |||
"378000211_11": "「頑なにわたしたちを認めようとしない姿勢だったけれど、\\n 何か理由があるのかしら」", | |||
"378000211_12": "「さあ、僕は興味ありませんね」", | |||
"378000211_13": "「理由なんて無いんじゃないか?\\n あのおっさんはただ器が小さいんだ」", | |||
"378000211_14": "「フッ、そうかもしれません」", | |||
"378000211_15": "「まあ、ゴジラ打倒に掛ける熱意だけは評価しますけどね」", | |||
"378000211_16": "「へえ……。一応、そこに対しては本気ってことか」", | |||
"378000211_17": "「それならゴジラ相手に戦って、ぐうの音も出ないほどに\\n あたしたちの力を認めさせてやるッ!」", | |||
"378000211_18": "「たしかに、融合してしまった以上カルマノイズを倒すことと\\n ゴジラを倒すことは同義だけど」", | |||
"378000211_19": "「さっきの戦いで、ゴジラにはほとんど歯が立たなかった\\n じゃない。何か考えはあるの?」", | |||
"378000211_20": "「う……。それはこれから考える」", | |||
"378000211_21": "「何かゴジラに対抗できる手立てがあればいいんだけどな……」", | |||
"378000211_22": "「ゴジラに対抗する手段。それならば無くはありません」", | |||
"378000211_23": "「本当かッ!?」", | |||
"378000211_24": "「目には目を歯には歯を、怪獣には怪獣の力で戦えば\\n いいのですッ!」", | |||
"378000211_25": "「怪獣の力で怪獣と戦う……?」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,54 @@ | |||
{ | |||
"378000221_0": "「怪獣の力で怪獣と戦う。その答えが\\n この『3式機龍』ですッ!」", | |||
"378000221_1": "「デカいな……ッ!」", | |||
"378000221_2": "「ゴジラにそっくりよッ!?」", | |||
"378000221_3": "「その通りッ! 3式機龍は対ゴジラ兵器として、\\n 初代ゴジラの骨格をもとに設計しました」", | |||
"378000221_4": "「初代ゴジラッ!? そんなのもいたの……」", | |||
"378000221_5": "「伝達システムに、ゴジラの骨髄を元にした\\n DNAコンピュータを使用しています」", | |||
"378000221_6": "「従来ではありえなかった処理速度によって、生物的な素早い\\n 挙動を実現しているのですよッ!」", | |||
"378000221_7": "「へえ、これがゴジラみたいに動くってことか。\\n ……うーん……」", | |||
"378000221_8": "「何か気になる点が?」", | |||
"378000221_9": "「いや、3式機龍って名前もいいけど、ちょっと固いかなと\\n 思って。メカゴジラって呼ぶのはどうだ?」", | |||
"378000221_10": "「あら。いいわね、メカゴジラ」", | |||
"378000221_11": "「な、な、何を好き勝手に改名しようとしているのですかッ!\\n 絶対に許可できませんッ!」", | |||
"378000221_12": "「とにかく、ゴジラを倒すのは3式機龍ですッ!\\n 残念ながら、あなたたちは――」", | |||
"378000221_13": "「ウェル博士ッ!\\n どこへ行ってたんですかッ!?」", | |||
"378000221_14": "「って、あれ? お客様ですか?」", | |||
"378000221_15": "「ゴジラと戦った例の少女たちです。\\n 兵器開発室で預かることになったんですよ」", | |||
"378000221_16": "「マリアです」", | |||
"378000221_17": "「天羽奏だ、よろしくな」", | |||
"378000221_18": "「こちらこそよろしく。\\n 僕はアラン・緒川。アランでいいよ」", | |||
"378000221_19": "(この人、緒川さんの弟さんだわッ! 写真を見せてもらった\\n 記憶がある。仕事はホストをしているって聞いたけれど……)", | |||
"378000221_20": "「彼は技術者として、3式機龍に取り付ける\\n 兵器開発を担当しています」", | |||
"378000221_21": "「メインウェポンを担当していてね。\\n 『アブソリュート・ゼロ』って名付けたんだ」", | |||
"378000221_22": "「へえ、かっこいい名前だな」", | |||
"378000221_23": "「でしょ?」", | |||
"378000221_24": "「ですから、名前は『3式絶対零度砲』だと\\n 言っているでしょうッ!」", | |||
"378000221_25": "「僕の英雄譚として語り継がれるとき、メカゴジラや\\n アブソリュート・ゼロでは締まりが……」", | |||
"378000221_26": "「あ。いいですね、メカゴジラ」", | |||
"378000221_27": "「……」", | |||
"378000221_28": "「おっと、すみません」", | |||
"378000221_29": "「簡単に説明するとね、3式絶対零度砲はその名の通り、\\n 超低温の光線で対象を凍結、粉砕する最終兵器なんだ」", | |||
"378000221_30": "「なるほど……。いくらゴジラでも、凍結させてしまえば\\n 倒せるかもしれないですね」", | |||
"378000221_31": "「そういうことッ!\\n 博士、これでゴジラが倒せたらボーナスを弾んでくださいよ?」", | |||
"378000221_32": "「まったく、動機が不純ですね。\\n 腕はそこそこだと言うのに、もったいない」", | |||
"378000221_33": "「――話が逸れてしまいましたが、\\n 怪獣の力で怪獣と戦うとはそういうことです」", | |||
"378000221_34": "「DNAコンピュータによって実現した生物的な動きがあるから\\n こそ、3式絶対零度砲のような兵器も実装できるのですよ」", | |||
"378000221_35": "「ですから、ゴジラとの戦闘において、\\n あなたたちの出る幕は――」", | |||
"378000221_36": "「いや、シンフォギアにも怪獣の力を発現させる方法はあるッ!」", | |||
"378000221_37": "「なッ!?」", | |||
"378000221_38": "「なるほど、心象変化ね」", | |||
"378000221_39": "「心象変化ッ!?\\n 一体どういうことですかッ!」", | |||
"378000221_40": "「なるほどねぇ」", | |||
"378000221_41": "「装者の心象に呼応して見た目や機能が変化する……。\\n 実に面白い特性ですッ! ますます興味が湧きました」", | |||
"378000221_42": "「つまり、怪獣のことを強く心象に描くことができれば、\\n ギアが怪獣の力を宿した姿に変化する、ということですね」", | |||
"378000221_43": "「その前提がすごく難しいんだけどね。怪獣を心象に\\n 描くなんて、どうやったらいいか見当もつかないわ」", | |||
"378000221_44": "「いえ……それならあれを使えばひょっとしたら……」", | |||
"378000221_45": "「……ブツブツ言いながら出て行っちゃったけど、大丈夫なのか?」", | |||
"378000221_46": "「あんなだけど博士は天才だから、\\n そこは安心してもいいと思うよ」", | |||
"378000221_47": "「悔しいけれど、確かにその通りなのよね……」", | |||
"378000221_48": "「そうなんだな」", | |||
"378000221_49": "「っと、もう帰ってきたみたいだ」", | |||
"378000221_50": "「ありましたッ! 僕の発明品」", | |||
"378000221_51": "「その名も『サイコトロニックジェネレーター』ですッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,31 @@ | |||
{ | |||
"378000231_0": "「サイコ……なんですって?」", | |||
"378000231_1": "「サイコトロニックジェネレーターですッ!」", | |||
"378000231_2": "「心象変化とどういう関係があるんだ?」", | |||
"378000231_3": "「この装置の端子を怪獣に撃ち込むと、怪獣の脳波、思念を\\n 読み取り、使用者の脳に同調させることができるのですッ!」", | |||
"378000231_4": "「なぜそんな発明を? ゴジラの気持ちを知ろうとしたのかしら」", | |||
"378000231_5": "「以前、怪獣と人間の思念を同調させ、\\n ゴジラを操るという計画が立ち上がったのですよ」", | |||
"378000231_6": "「まあ、計画は頓挫してこの装置もお蔵入りとなっていた\\n のですがねッ!」", | |||
"378000231_7": "「なかなか思い切った作戦だな。\\n 頓挫したのは、装置に問題があったからか?」", | |||
"378000231_8": "「とんでもないッ! サイコトロニックジェネレータ―は\\n 問題なく稼働しました」", | |||
"378000231_9": "「しかし、ゴジラの強すぎる思念に使用者が\\n 堪えられず、断念したのですよ」", | |||
"378000231_10": "「暴れ出してしまう使用者もいて、苦労したものです」", | |||
"378000231_11": "「つまりこれを使えば、思念を同調させることで強制的に\\n 心象を変化させる……可能性があるということね」", | |||
"378000231_12": "「そう、可能性ッ!\\n その可能性があるのなら、試してみる価値はあります」", | |||
"378000231_13": "「どちらにしろ3式機龍がゴジラを倒してしまいますから、\\n 僕はどちらでも構いませんがね」", | |||
"378000231_14": "「いいよ。だったら、試してみよう。\\n 指をくわえて見てるだけってのは性に合わないんだ」", | |||
"378000231_15": "「だけど、危険だわッ!」", | |||
"378000231_16": "「今回は操るまでの目的はありませんから、\\n いくらか同調のレベルは落としましょう」", | |||
"378000231_17": "「それでもゴジラの思念はとにかく凶暴で強力ですからね。\\n まあ、よほどの無理をしなければ死にはしないでしょう」", | |||
"378000231_18": "「面白い。そんなもの、無理やりねじ伏せてみせるさ」", | |||
"378000231_19": "「まったくあなたって人は……。\\n でも、それしか方法は無さそうね。わたしも付き合うわ」", | |||
"378000231_20": "「あ、そうそう。思念が混線してしまうため、1体の怪獣につき\\n 使えるのは1つだけです。気を付けてくださいね」", | |||
"378000231_21": "「2人ともゴジラ型ギアにってわけにはいかないのか」", | |||
"378000231_22": "「わかったわ。いけるタイミングでどちらかが撃ち込みましょう」", | |||
"378000231_23": "「この警報はッ!?」", | |||
"378000231_24": "「来ましたかッ!」", | |||
"378000231_25": "「博士、通信が入りました。\\n 海からカルマゴジラが上陸し暴れているようです」", | |||
"378000231_26": "「ゴジラはいませんか。3式機龍のお披露目は先送りですね」", | |||
"378000231_27": "「どちらにしろ、すぐに向かわないとッ!」", | |||
"378000231_28": "「ああ、行こうッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,18 @@ | |||
{ | |||
"378000232_0": "「はあ――ッ!」", | |||
"378000232_1": "「よし、次だ――ッ!」", | |||
"378000232_2": "「うわあッ!?」", | |||
"378000232_3": "「おい、どこ狙って撃ってるんだよッ!」", | |||
"378000232_4": "「射線上をウロチョロするんじゃねえッ!\\n 邪魔するなら下がっていろッ!」", | |||
"378000232_5": "「クソッ、あいつッ!」", | |||
"378000232_6": "「今は言い合っている場合じゃないわ。\\n カルマゴジラを止めることを最優先してッ!」", | |||
"378000232_7": "「わかってるけど、思った以上に数が多いッ!\\n これ以上増えたらさすがに対処しきれないぞッ!」", | |||
"378000232_8": "「そうね……。このままでは内陸にまで侵入されてしまうわ」", | |||
"378000232_9": "(もっとGフォースと連携が取れればいいんだけど、\\n それは望めなそうね……)", | |||
"378000232_10": "「通り抜けようとッ!?\\n させないッ!」", | |||
"378000232_11": "「くッ、邪魔をッ!」", | |||
"378000232_12": "「まずい、あっちが手薄に……ッ!」", | |||
"378000232_13": "「うおおおおおッ!」", | |||
"378000232_14": "「今の攻撃は――ッ!?」", | |||
"378000232_15": "「ハハッ、頼もしい仲間が来てくれたみたいだよ」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,12 @@ | |||
{ | |||
"378000241_0": "「うおおおおおッ!」", | |||
"378000241_1": "「今の攻撃は――ッ!?」", | |||
"378000241_2": "「ハハッ、頼もしい仲間が来てくれたみたいだよ」", | |||
"378000241_3": "「お待たせしました。マリアさん、奏さんッ!」", | |||
"378000241_4": "「わたしたちもいます」", | |||
"378000241_5": "「事情を聞いて、急いで駆けつけたデスッ!」", | |||
"378000241_6": "「ありがとう、助かるッ!」", | |||
"378000241_7": "「2人が戦っていたので思わず手を出しちゃいましたが、\\n この怪物を倒すのでいいんですよねッ!」", | |||
"378000241_8": "「ええ、その通りよッ! 詳しい説明はあとでするわッ!」", | |||
"378000241_9": "「了解です。遅れちゃった分、頑張りますよッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,15 @@ | |||
{ | |||
"378000242_0": "「てりゃあああ――ッ!」", | |||
"378000242_1": "「へへン、どんなもんデスかッ!」", | |||
"378000242_2": "「怪物は全部倒せたみたいですね。\\n 街への被害が多くなかったみたいでよかったです」", | |||
"378000242_3": "「あなたたちが来てくれなかったら危なかったわ。\\n ありがとう」", | |||
"378000242_4": "「どういたしまして」", | |||
"378000242_5": "「ガキが勝手にわらわらと増えやがって……」", | |||
"378000242_6": "「わわッ! どなたですかッ!?」", | |||
"378000242_7": "「どういうことかきっちり説明してもらうからなッ!\\n だべってないでとっとと戻って来いよッ!」", | |||
"378000242_8": "「び、びっくりしたデス……」", | |||
"378000242_9": "「あの人についても、順を追って説明するわね」", | |||
"378000242_10": "「礼の1つもなしか……。やっぱり、カルマゴジラの\\n 相手をしたくらいじゃ認めてくれないみたいだね」", | |||
"378000242_11": "「やっぱり心象変化を成功させて、ゴジラと戦わなくちゃ」", | |||
"378000242_12": "「ゴジラ? カルマノイズじゃないんですか……?」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,26 @@ | |||
{ | |||
"378000311_0": "VSガイガン", | |||
"378000311_1": "「ウェルカームッ! 新たな装者諸君ッ!\\n ようこそ、我が兵器開発室へッ!」", | |||
"378000311_2": "「はあ……」", | |||
"378000311_3": "「なんでトンデモが……」", | |||
"378000311_4": "「2人とも、気持ちは痛いほどわかるけれど、\\n この人は悪い人ではないみたいだから、ね?」", | |||
"378000311_5": "「別人だとわかってはいるんデスけど……」", | |||
"378000311_6": "「うん、気持ちが……」", | |||
"378000311_7": "「どうしたんですか? 僕の顔に何かついています?」", | |||
"378000311_8": "「博士が2人の知り合いに似てるみたいで……」", | |||
"378000311_9": "「ま、よくあることだよな」", | |||
"378000311_10": "「ご、ごめんなさいデス……」", | |||
"378000311_11": "「僕のそっくりさんですか。\\n きっと才能あふれる英雄的な方なのでしょうねッ!」", | |||
"378000311_12": "「ノーコメント……」", | |||
"378000311_13": "「えーっと、説明の途中だったわね。\\n この世界の状況は、さっき話した通りよ」", | |||
"378000311_14": "「ドクターはゴジラを倒すための兵器開発の主任なの」", | |||
"378000311_15": "「Gフォースの切り札となる機械兵器、\\n メカゴジラを開発しているのよ」", | |||
"378000311_16": "「なんと、まさか巨大ロボットデスッ!?」", | |||
"378000311_17": "「メカゴジラ……見てみたい」", | |||
"378000311_18": "「いいですか? 言っておきますが、名前は……」", | |||
"378000311_19": "「博士、大変ですッ!」", | |||
"378000311_20": "「って、あれ?\\n 女の子が増えてるッ!?」", | |||
"378000311_21": "「増援の装者たちだそうです。\\n それより、僕の話を遮るとは……」", | |||
"378000311_22": "「太平洋沖の離島にて、\\n 巨大な生物の繭が発見されたそうです」", | |||
"378000311_23": "「なんですってッ!?」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,49 @@ | |||
{ | |||
"378000321_0": "「着いたデスよ、無人島ッ!」", | |||
"378000321_1": "「見て、切ちゃん。あれが正体不明の怪獣の繭なんだね」", | |||
"378000321_2": "「おおーッ! おっきいデスッ!」", | |||
"378000321_3": "「ドクターから話は聞いています。護衛として調査隊に\\n 参加してくれてありがとうございます」", | |||
"378000321_4": "「どういたしましてデス。怪獣が孵って暴れたら大変デスし、\\n こっちにもカルマゴジラが現れるかもデスから」", | |||
"378000321_5": "「本土の防衛も必要なので、わたしたち2人だけですけど」", | |||
"378000321_6": "「いえ、十分ですよ」", | |||
"378000321_7": "「単純に怪獣の繭を見たいっていうのもあったんデスけどね」", | |||
"378000321_8": "「まったく、護衛は我々Gフォースだけでいいと言ったのに\\n こんなところにまでついてきて……」", | |||
"378000321_9": "「近藤少佐から、調査の邪魔はさせるなと言われている。\\n 気をつけるんだぞ?」", | |||
"378000321_10": "「もちろん、わかっているデスッ!」", | |||
"378000321_11": "「聞いていた通り、少佐さんはわたしたちが戦いに参加する\\n ことをあまりよく思ってないみたいだね」", | |||
"378000321_12": "「デスね。でも、今回は調査の護衛をするだけデス。\\n 邪魔をするつもりはないデスよ」", | |||
"378000321_13": "「それでは、私たちは調査に入ります。\\n 終わるまでの護衛、よろしくお願いします」", | |||
"378000321_14": "「任せるデスよッ!」", | |||
"378000321_15": "「……」", | |||
"378000321_16": "「ん? どうかしたデスか、調?」", | |||
"378000321_17": "「考えてたの。\\n この繭から生まれてくる怪獣はどういうのかなって」", | |||
"378000321_18": "「うーん……、繭を作ってるくらいだから、\\n 虫っぽい怪獣デスかね?」", | |||
"378000321_19": "「おっきな虫は、ちょっと嫌かな……」", | |||
"378000321_20": "「かわいいやつかもしれないデスよ。\\n 飛べる虫なら背中に乗っけてもらうこともできるデスッ!」", | |||
"378000321_21": "「そうだね。ゴジラみたいに怖いのじゃなくて、\\n そんな怪獣だったらいいな」", | |||
"378000321_22": "「あれ? Gフォースの人が武器の準備をしている\\n みたいデスよ?」", | |||
"378000321_23": "「カルマノイズは来ていないみたいですけど、\\n どうしたんですか?」", | |||
"378000321_24": "「繭を焼き払うための準備だ」", | |||
"378000321_25": "「調査の結果、あの繭はもう羽化する寸前ということが\\n わかってな。そうなる前に葬ろうというわけだ」", | |||
"378000321_26": "「ええッ!?」", | |||
"378000321_27": "「羽化したとしても、\\n 悪い怪獣じゃない可能性もあるんじゃないですか?」", | |||
"378000321_28": "「そうデス。どんな生き物かわかってもいないのに殺しちゃう\\n なんて、あんまりデスよッ!」", | |||
"378000321_29": "「怪獣に良いも悪いもあるかッ!\\n ゴジラ以上の脅威となる可能性だってあるんだぞ」", | |||
"378000321_30": "「今、本部の許可を取っている。\\n 大人しく待っていろ」", | |||
"378000321_31": "「うう……。\\n アタシたちはどうしたらいいんデスか、調ッ!」", | |||
"378000321_32": "「悪い怪獣じゃないなんて確証はどこにもないから、\\n Gフォースの人たちが言ってることも正しい」", | |||
"378000321_33": "「でも、やっぱり罪のない生き物を殺すなんて間違ってると思う」", | |||
"378000321_34": "「さすが調デスッ! よし、止めに行くデスよ」", | |||
"378000321_35": "「ちょっと待って、切ちゃん。\\n さっきも邪魔するなって言われたでしょう?」", | |||
"378000321_36": "「これ以上関係を悪化させたら、最悪この世界に居場所が\\n なくなっちゃうかも……」", | |||
"378000321_37": "「でも、じっとしてたら繭が燃やされちゃうデスよ?」", | |||
"378000321_38": "「うーん、何かいい方法は……」", | |||
"378000321_39": "「力を貸してください……」", | |||
"378000321_40": "「切ちゃん、力を貸すって何に?」", | |||
"378000321_41": "「へ? アタシは何も言ってないデスよ?」", | |||
"378000321_42": "「じゃあ、今の小さな声は……」", | |||
"378000321_43": "「こちらです」", | |||
"378000321_44": "「ッ!?」", | |||
"378000321_45": "「ち、ちっちゃい人がいるデスよ。\\n まさか、妖精さんッ!?」", | |||
"378000321_46": "「わたしたちはコスモス。\\n あなたたち、おふたりの力を貸してください」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,49 @@ | |||
{ | |||
"378000331_0": "「わたしたちはこの地球の先住民族『コスモス』です」", | |||
"378000331_1": "「あなたたちがこの島に来た時から、\\n 様子を見させてもらっていました」", | |||
"378000331_2": "「心優しいあなたたちなら……そう思い、声をかけたのです」", | |||
"378000331_3": "「先住民族デスと……ッ!? 聞きたいことがいっぱいデスけど、\\n 今は我慢した方がいいデスよね……?」", | |||
"378000331_4": "「う、うん、そうだね。\\n 困っているみたいだし、まずはお話を聞いてみよう」", | |||
"378000331_5": "「ありがとうございます」", | |||
"378000331_6": "「力を貸してほしいって言ってましたけど、\\n ひょっとしてあの繭に関係することですか?」", | |||
"378000331_7": "「その通りです。あれは、わたしたちの守護神『モスラ』の繭」", | |||
"378000331_8": "「守護神……?」", | |||
"378000331_9": "「今、地球は危機に晒されています」", | |||
"378000331_10": "「ゴジラは悪い力をもった何かと融合してしまい、さらに、\\n 宇宙からも2つの大きな脅威が近づいています」", | |||
"378000331_11": "「宇宙から2つもッ!? そんなの初耳デスよ」", | |||
"378000331_12": "「モスラはその危機と戦い地球を護るため、\\n 幼虫から成虫へと変化しようとしているのです」", | |||
"378000331_13": "「それじゃあ、やっぱりモスラは悪い怪獣ではないんですね」", | |||
"378000331_14": "「はい。しかし、あちらの方々はモスラを恐れ羽化する前に\\n 殺してしまおうとしている……」", | |||
"378000331_15": "「どうか、お願いです。\\n モスラの繭を守っていただけないでしょうかッ!?」", | |||
"378000331_16": "「……わかりました。モスラはわたしたちが護ります」", | |||
"378000331_17": "「任せるデスよッ!」", | |||
"378000331_18": "「出会ったばかりのわたしたちのことを\\n 信じてくれるのですか?」", | |||
"378000331_19": "「確かにまだ、あなたたちのことはよくわからないです。\\n でも、助けてほしいと伸ばされた手を、無視なんてできません」", | |||
"378000331_20": "「何を隠そう、それがアタシたちのやり方なんデスよッ!」", | |||
"378000331_21": "「……ありがとうございます、心優しき協力者たち」", | |||
"378000331_22": "「よし、本部の許可は下りた。\\n 繭を焼き払うぞッ!」", | |||
"378000331_23": "「ちょっと待つデスッ!」", | |||
"378000331_24": "「お前たち、なんのつもりだッ!?」", | |||
"378000331_25": "「この繭を壊してはいけません。\\n この中にいるのはわたしたちの敵じゃないんです」", | |||
"378000331_26": "「中にいるモスラは、地球の守護神なんデスッ!」", | |||
"378000331_27": "「詳しくはここにいるコスモスさんが教えてくれます」", | |||
"378000331_28": "「モスラ? コスモス?\\n 何を言ってるんだ、お前たちは」", | |||
"378000331_29": "「そんなもの、俺たちを止めるためのでっち上げだろうッ!」", | |||
"378000331_30": "「そんなこと無いデスよッ!」", | |||
"378000331_31": "「一度落ち着いて話を聞いてもらえるだけでいいんです。\\n だから、どうか武器を置いてください」", | |||
"378000331_32": "「そんなことをしていて、羽化してしまったら元も子も――」", | |||
"378000331_33": "「なんデスか? この音は……」", | |||
"378000331_34": "「空から?」", | |||
"378000331_35": "「これは、予測よりも早い……ッ!\\n まさか、羽化する前のモスラを狙ってッ!?」", | |||
"378000331_36": "「なんということだ……。\\n 総員、戦闘準備ッ!」", | |||
"378000331_37": "「怪獣ッ!? 大きいデスッ!」", | |||
"378000331_38": "「あれが宇宙からの脅威……」", | |||
"378000331_39": "「サイボーグ化された宇宙怪獣、ガイガンですッ!」", | |||
"378000331_40": "「こうなってしまっては、羽化する前のモスラになすすべは\\n ありません……」", | |||
"378000331_41": "「せめてあなたたちだけでも、ガイガンから逃げて……」", | |||
"378000331_42": "「Zeios igalima raizen tron――」", | |||
"378000331_43": "「Various shul shagana tron――」", | |||
"378000331_44": "「その姿は?」", | |||
"378000331_45": "「アタシたちも戦うデスッ!」", | |||
"378000331_46": "「モスラはわたしたちが護るッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,15 @@ | |||
{ | |||
"378000332_0": "「は――ッ!」", | |||
"378000332_1": "「やあ――ッ!」", | |||
"378000332_2": "「く……ッ!」", | |||
"378000332_3": "「攻撃がほとんど通じてないッ!」", | |||
"378000332_4": "「ガイガンがどんどん繭に迫っていくデスッ!」", | |||
"378000332_5": "「撃てッ!」", | |||
"378000332_6": "「ぐわあああッ!\\n メーサー砲も通じないだとッ!?」", | |||
"378000332_7": "「このままじゃ、モスラが……」", | |||
"378000332_8": "「……」", | |||
"378000332_9": "「ここはアタシに任せるデス」", | |||
"378000332_10": "「切ちゃんッ!? 何をするつもりなの?」", | |||
"378000332_11": "「これを使うデス。トンデモに持たされたアイテム……」", | |||
"378000332_12": "「サイコトロニックジェネレーター……ッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,22 @@ | |||
{ | |||
"378000341_0": "「怪獣の思念を読み取って自分と同調させる機械……」", | |||
"378000341_1": "「使ったとしても、心象変化が成功するかどうかなんて\\n わからないデス。それでも、やってみるデスよッ!」", | |||
"378000341_2": "「……わかった。それなら、そのための隙は\\n わたしが作るッ!」", | |||
"378000341_3": "「はあッ!」", | |||
"378000341_4": "「うう……」", | |||
"378000341_5": "「でも、負けないッ!」", | |||
"378000341_6": "「切ちゃんッ!」", | |||
"378000341_7": "「ありがとうデス、調ッ!\\n おりゃあああ――ッ!」", | |||
"378000341_8": "「よし、撃ち込めたデスよッ!\\n サイコトロニックジェネレーター起動デスッ!」", | |||
"378000341_9": "「うッ……、ぐあああああ――ッ!?」", | |||
"378000341_10": "(頭の中に流れ込んでくるデス。\\n 真っ黒な、怖い、凶暴な思念が溢れて……ッ!)", | |||
"378000341_11": "「おい、どうなってるんだ。\\n あいつは大丈夫なのか?」", | |||
"378000341_12": "「同調を続けたら、暴走するかもしれない……。\\n ダメ、切ちゃんッ! すぐに同調を切ってッ!」", | |||
"378000341_13": "「できない、デス……。\\n アタシはモスラを護るって約束したんデスッ!」", | |||
"378000341_14": "「その想いは……怪獣の思念なんかに負けないデスッ!」", | |||
"378000341_15": "「これがアタシの、ガイガン型ギアデスよッ!」", | |||
"378000341_16": "「切ちゃんッ!」", | |||
"378000341_17": "「姿が変わった……ッ!?」", | |||
"378000341_18": "「力が溢れて……、これならッ!」", | |||
"378000341_19": "「覚悟するデスよ、ガイガンッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,14 @@ | |||
{ | |||
"378000342_0": "「はあああ――ッ!」", | |||
"378000342_1": "「俺たちも加勢するぞッ!」", | |||
"378000342_2": "「切ちゃんの攻撃は通じてるッ!\\n だけど、まだ相手を倒すまでにはいかないみたい」", | |||
"378000342_3": "「わたしにもできることがあれば……」", | |||
"378000342_4": "「教えてください。\\n なぜあの方からガイガンの力を感じるのでしょう?」", | |||
"378000342_5": "「あれは心象変化。機械でガイガンと思念を同調することで\\n ギアにその力を宿しているんです」", | |||
"378000342_6": "「怪獣の力で戦っているんですねッ!\\n 思念の同調……それが、変化の条件……」", | |||
"378000342_7": "「うん。でも、ガイガンにはもう使えないんです」", | |||
"378000342_8": "「わたしたちには、テレパシーが使えます」", | |||
"378000342_9": "「それを使えば、繭の中にいるモスラとあなたの\\n 思念を同調することができるかもしれませんッ!」", | |||
"378000342_10": "「ッ! そんなことができるんですか?」", | |||
"378000342_11": "「はい。どうか、モスラの力を纏い戦ってくださいッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,16 @@ | |||
{ | |||
"378000351_0": "「わたしも戦います。モスラの力を貸してくださいッ!」", | |||
"378000351_1": "「ありがとう」", | |||
"378000351_2": "「あなたとモスラの思念を繋ぎます。\\n 意識を集中させてください……」", | |||
"378000351_3": "(モスラ……わたしに力を貸してください……。\\n 切ちゃんを、みんなを護るための力を……)", | |||
"378000351_4": "(……)", | |||
"378000351_5": "(これは、わたしの中に何かが流れ込んでくる……)", | |||
"378000351_6": "(優しくて、温かい……。\\n この想いが、モスラの……ッ!)", | |||
"378000351_7": "「ありがとう、モスラ、コスモスさん。\\n この力、使わせてもらいますッ!」", | |||
"378000351_8": "「う……、\\n アタシ1人じゃ、押しきれないデス……ッ!」", | |||
"378000351_9": "「だったら、2人で戦おうッ!」", | |||
"378000351_10": "「調、そのギアはッ!?」", | |||
"378000351_11": "「モスラが力を貸してくれたの。\\n これでわたしも一緒に戦えるッ!」", | |||
"378000351_12": "「調がいれば怖いもの無しデスッ!\\n よーしッ! 2人であの怪獣を倒すデスよッ!」", | |||
"378000351_13": "「うん。行こう、切ちゃんッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,35 @@ | |||
{ | |||
"378000352_0": "「ぶち込むデスよッ!」", | |||
"378000352_1": "「うんッ!」", | |||
"378000352_2": "「あともう一押しデスッ!」", | |||
"378000352_3": "「このギアの力があれば、怪獣とだって戦えるッ!」", | |||
"378000352_4": "「2人とも、モスラを護ってくれてありがとうございます。\\n 時は満ちました……ッ!」", | |||
"378000352_5": "「お、おい、アレを見ろ。繭が割れていくぞッ!」", | |||
"378000352_6": "「も、もう1体、怪獣がッ!?」", | |||
"378000352_7": "「大丈夫、その怪獣はわたしたちの仲間です。\\n 一緒に戦ってくれるんだね、モスラ」", | |||
"378000352_8": "「心強い味方ができたデスッ!」", | |||
"378000352_9": "「みんなで力を合わせて同時にッ!」", | |||
"378000352_10": "「やったデスッ!」", | |||
"378000352_11": "「待って切ちゃん、ガイガンの様子が……ッ!?」", | |||
"378000352_12": "「ちょッ!? 飛んで逃げるなんて卑怯デスよッ!」", | |||
"378000352_13": "「……もう見えなくなった」", | |||
"378000352_14": "「あともうちょっとだったのに、残念デス……」", | |||
"378000352_15": "「だけど、調査隊の人やモスラを護ることができたね」", | |||
"378000352_16": "「そうデスね。みんなが無事でよかったデスッ!」", | |||
"378000352_17": "「おふたりとも、ありがとうございます」", | |||
"378000352_18": "「お礼を言いたいのはわたしのほうです。\\n モスラの力がなかったら、戦うことができませんでした」", | |||
"378000352_19": "「守護神って聞いてたから、どんなイカツイ神様が\\n 出てくるのかと思ったデスけど、案外可愛いデス」", | |||
"378000352_20": "「うん、そうだね」", | |||
"378000352_21": "「フフ。モスラはこれからも、あなたたちと共に戦います。\\n よろしくお願いしますね」", | |||
"378000352_22": "「お前たち、無事でよかった。 これがモスラ……、\\n お前たちが言っていたことは本当だったんだな」", | |||
"378000352_23": "「味方だから、攻撃するのは無しデスよ?」", | |||
"378000352_24": "「わかっている。話を聞かず、\\n 敵だと決めてかかってしまって悪かった」", | |||
"378000352_25": "「誤解も解けて、よかった……」", | |||
"378000352_26": "「全部万事解決、となればよかったんデスが……」", | |||
"378000352_27": "「ガイガンに逃げられたこと、まだ気にしてる?」", | |||
"378000352_28": "「そうじゃないデス。\\n ガイガンと同調したとき、妙な感じがしたんデスよ」", | |||
"378000352_29": "「妙な感じ?」", | |||
"378000352_30": "「妙というか、違和感があるというか……。\\n 思念の中で、ガイガンとは別の意志を感じたんデスよ」", | |||
"378000352_31": "「まるで誰かに命令されて縛られているような……。\\n ああ、うまく伝えられないデースッ!」", | |||
"378000352_32": "「誰かの命令に縛られている……。\\n もし、怪獣を操ることができるとしたら、一体誰が……」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,3 @@ | |||
{ | |||
"378000411_0": "防衛戦" | |||
} |
@@ -0,0 +1,22 @@ | |||
{ | |||
"378000412_0": "「やあああ――ッ!」", | |||
"378000412_1": "「はあッ!」", | |||
"378000412_2": "「やっぱり、撃槍が二振り揃うと突破力が違うわね」", | |||
"378000412_3": "「調ちゃんと切歌ちゃんが繭の調査でいない分、\\n わたしたちが頑張らないとですからッ!」", | |||
"378000412_4": "「ああ、この調子で――」", | |||
"378000412_5": "「よそ見してんじゃねえ。\\n 真面目に戦う気がないなら帰れッ!」", | |||
"378000412_6": "「何を……ッ!\\n 絶対Gフォースより多く倒してやるッ!」", | |||
"378000412_7": "「はあ……、なんであんなに仲が悪く\\n なっちゃったんでしょう……」", | |||
"378000412_8": "「先に『ガキが戦場に出るな』ってふっかけて来たのは\\n あっちの方だけど」", | |||
"378000412_9": "「なんとなく、似た者同士だからこそウマが合わないというのも\\n あるかもしれないわね」", | |||
"378000412_10": "「なるほど……」", | |||
"378000412_11": "「さて、残りはわずかよ。わたしたちも行きましょう」", | |||
"378000412_12": "「はいッ!」", | |||
"378000412_13": "「せいッ!」", | |||
"378000412_14": "「全部片付いたようね」", | |||
"378000412_15": "「はいッ! 一度戻って……」", | |||
"378000412_16": "「僕です。\\n ゴジラが現れました。至急そちらへ向かってください」", | |||
"378000412_17": "「ついに現れたか」", | |||
"378000412_18": "「ゴジラを倒せば、カルマゴジラも発生しなくなるはずよ」", | |||
"378000412_19": "「ボスキャラってわけですねッ!\\n 急ぎましょうッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,28 @@ | |||
{ | |||
"378000421_0": "「あ、あれがゴジラ……。\\n 思っていた以上に大きい相手ですね……」", | |||
"378000421_1": "「大きさだけじゃないぞ。\\n 頑丈さも力も半端じゃない、気を抜くなよッ!」", | |||
"378000421_2": "「普通に戦っても無駄なことはわかっているわ。\\n サイコトロニックジェネレーターを試してみましょう」", | |||
"378000421_3": "「それには及びません。さあ、堂々の登場ですよッ!」", | |||
"378000421_4": "「うわあ、なんですか、このジェット音ッ!?」", | |||
"378000421_5": "「舞い降りなさい、我が叡智の結晶ッ!\\n 3式機龍ううう――ッ!」", | |||
"378000421_6": "「ゴジラとの戦いは3式機龍に任せて、\\n あなたたちはそのサポートをお願いします」", | |||
"378000421_7": "「仕方ない、ここはサポートにまわるか」", | |||
"378000421_8": "「ええ。メカゴジラがゴジラを倒してくれると言うのなら、\\n それに越したことはないわ」", | |||
"378000421_9": "「はい。周りのカルマゴジラの相手をしましょうッ!」", | |||
"378000421_10": "「さあ、3式機龍よッ!\\n その力でゴジラを打ちのめし、僕を英雄にするんですッ!」", | |||
"378000421_11": "「す、すごい迫力……」", | |||
"378000421_12": "「そんな攻撃、当たりませんよッ!」", | |||
"378000421_13": "「あの図体であんな動きができるのか。\\n 本当にデタラメだなッ!」", | |||
"378000421_14": "「さあさあッ!\\n ありったけの攻撃をその身に受けなさい、ゴジラッ!」", | |||
"378000421_15": "「3式機龍がゴジラを押している。\\n このままいけば、ゴジラを倒せるぞッ!」", | |||
"378000421_16": "「ハハハッ!\\n これが僕の造った3式機龍の力だあああッ!」", | |||
"378000421_17": "「おや、最後の断末魔というやつですか。でしたら、\\n 3式絶対零度砲で望み通り終わりにしてあげますよッ!」", | |||
"378000421_18": "「……メカゴジラの動きが止まった?」", | |||
"378000421_19": "「何をしているの、ドクターッ!\\n こんなところで焦らしてないでトドメを刺してッ!」", | |||
"378000421_20": "「な……なぜだ……。3式機龍が動かないッ!?」", | |||
"378000421_21": "「ええッ!? こんな時に故障ですかッ!?」", | |||
"378000421_22": "「そんなバカなッ!?\\n 故障などありえないッ!」", | |||
"378000421_23": "「ああ、僕の3式機龍があああッ!」", | |||
"378000421_24": "「まずいな……。このままじゃメカゴジラが壊されちまう。\\n 動くようになるまで、あたしたちで護るよッ!」", | |||
"378000421_25": "「了解ですッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,14 @@ | |||
{ | |||
"378000422_0": "「うわあああ――ッ!?」", | |||
"378000422_1": "「パワーが違いすぎるわ。\\n このままじゃ歯が立たないッ!」", | |||
"378000422_2": "「でも、ここで引いたらメカゴジラや街がッ!」", | |||
"378000422_3": "「諦めるには早いだろ。\\n 総員、撃ち続けろッ!」", | |||
"378000422_4": "「それもそうだな。まだ心象変化が試せてない。\\n もう一度行くぞッ!」", | |||
"378000422_5": "「はいッ!」", | |||
"378000422_6": "「あの光……まさかッ!\\n 熱線を吐く気かッ!?」", | |||
"378000422_7": "「正面にはメカゴジラがいるわッ!\\n まともに食らったら……ッ!」", | |||
"378000422_8": "「クソッ! クソッ!\\n なぜ動かない、3式機龍ううッ!」", | |||
"378000422_9": "「ゴジラが倒れたッ!? 今の攻撃は?」", | |||
"378000422_10": "「お、おい、あれッ!」", | |||
"378000422_11": "「新たな怪獣……ッ!?」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,15 @@ | |||
{ | |||
"378000511_0": "VSキングギドラ", | |||
"378000511_1": "「あの怪獣はなんだッ!」", | |||
"378000511_2": "「僕も初めて見る個体ですッ! 今レーダーの反応を解析して\\n いますが、どうやら宇宙から飛来したようです」", | |||
"378000511_3": "「宇宙怪獣ッ!? 一体どうなっているの……」", | |||
"378000511_4": "「ゴジラを攻撃しているぞッ!?」", | |||
"378000511_5": "「ゴジラが、動かなくなったわ……」", | |||
"378000511_6": "「まさか、今ので死んでッ!?」", | |||
"378000511_7": "「ゴジラを倒して、メカゴジラを護ってくれたんですよね?\\n ひょっとしたら、わたしたちの味方をしてくれたんじゃ……」", | |||
"378000511_8": "「そんな、まさかッ!」", | |||
"378000511_9": "「そうだったら心強いんだけど――」", | |||
"378000511_10": "「うわあああ――ッ!?」", | |||
"378000511_11": "「敵の敵は味方ってわけにはいかないか……」", | |||
"378000511_12": "「完全にわたしたちに敵意を向けているわね……。\\n 来るわ。応戦するわよッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,15 @@ | |||
{ | |||
"378000512_0": "「撃てッ!」", | |||
"378000512_1": "「さっきのお返しだッ!」", | |||
"378000512_2": "「チッ、思った通り、ゴジラと一緒で攻撃が通じないか……」", | |||
"378000512_3": "「だったら、わたしがッ!」", | |||
"378000512_4": "「サイコトロニックジェネレーターを使うつもりッ!?」", | |||
"378000512_5": "「この状況を打破するにはこれしかありません。\\n やらせてくださいッ!」", | |||
"378000512_6": "「……よし、援護するからぶち込んでやれッ!」", | |||
"378000512_7": "「やるからには成功させなさいよッ!」", | |||
"378000512_8": "「お願いしま――」", | |||
"378000512_9": "「うわあああ――ッ!?」", | |||
"378000512_10": "「痛つつ……、今の攻撃はッ!?\\n 宇宙怪獣のじゃないよな?」", | |||
"378000512_11": "「ま、ま、まさか……」", | |||
"378000512_12": "「メカゴジラの暴走ッ!?」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,18 @@ | |||
{ | |||
"378000521_0": "「ゴジラは倒れたままだけど、前には宇宙怪獣、後ろには\\n 暴走メカゴジラ……。なかなかヤバい状況だな」", | |||
"378000521_1": "「そうか……。3式機龍のコンピュータ制御に使用している\\n DNAにはゴジラの本能が組み込まれている……」", | |||
"378000521_2": "「それが、先ほどのゴジラの鳴き声で呼び覚まされ、\\n コンピュータが暴走を……ッ! 実に面白いですね」", | |||
"378000521_3": "「分析はいいから、どうしたらいいか教えなさいッ!」", | |||
"378000521_4": "「残存エネルギーから計算されるメカゴジラの最大稼働時間は、\\n あと1時間ッ!」", | |||
"378000521_5": "「そんなにッ!?」", | |||
"378000521_6": "「それだけあったら街が火の海になってしまいますッ!\\n 無理やり止める方法は無いんですかッ!?」", | |||
"378000521_7": "「メンテナンスハッチから内部に侵入出来れば、\\n 緊急停止スイッチを操作することができるッ!」", | |||
"378000521_8": "「でもそれには、暴走するメカゴジラの攻撃を掻い潜って\\n 機体に取りつく必要が……」", | |||
"378000521_9": "「わかりました、わたしが止めますッ!\\n あなたたちは宇宙怪獣の方をおねがいッ!」", | |||
"378000521_10": "「わかりましたッ!」", | |||
"378000521_11": "「気をつけろよ」", | |||
"378000521_12": "「緊急停止スイッチまでの誘導は僕がッ!」", | |||
"378000521_13": "「お願いしますッ!\\n 攻撃して隙が作れれば……」", | |||
"378000521_14": "「僕の3式機龍を絶対に壊さないで下さいよ?」", | |||
"378000521_15": "「もともとはあなたの設計ミスでしょうに……。\\n もし壊れたらあとから謝るわッ!」" | |||
} |
@@ -0,0 +1,18 @@ | |||
{ | |||
"378000522_0": "「次から次へとッ!\\n うちの誰かさんに負けないくらいの武器庫っぷりねッ!」", | |||
"378000522_1": "「当然ですよ、3式機龍は僕の最高傑作なのですからッ!」", | |||
"378000522_2": "「お願いだからちょっと黙っててッ!」", | |||
"378000522_3": "「よし、隙ができたッ!\\n 内部に入り込むなら、今しかないッ!」", | |||
"378000522_4": "「メカゴジラの内部に入りましたッ!」", | |||
"378000522_5": "「スイッチはシャフトを下った先のメンテナンスブースだ。\\n 機体の揺れに気をつけてッ!」", | |||
"378000522_6": "「了解……ッ!」", | |||
"378000522_7": "「はあ……はあ……」", | |||
"378000522_8": "「ミッションコンプリートよ……」", | |||
"378000522_9": "「傷を付けずに止めてくれましたね。\\n 感謝しますよ」", | |||
"378000522_10": "「ありがとうッ!」", | |||
"378000522_11": "「みんなの加勢に行かないと……。クッ……」", | |||
"378000522_12": "「思った以上にメカゴジラとの戦いでダメージを受けて\\n しまったわ……」", | |||
"378000522_13": "「悔しいけど、すぐには駆けつけられそうもないわね……」", | |||
"378000522_14": "(実際に戦ってみて、メカゴジラの性能の高さがよくわかったわ)", | |||
"378000522_15": "(もし、この技術をシンフォギアに取り込むことができたら……)" | |||
} |
@@ -0,0 +1,17 @@ | |||
{ | |||
"378000531_0": "「わたしが相手だッ!」", | |||
"378000531_1": "「力では敵わないけど、\\n 素早さだったら負けてないッ!」", | |||
"378000531_2": "「師匠が言っていた。攻撃の後は最大の隙ッ!\\n 相手の攻撃をよく見て、一瞬の隙を見抜き、ぶち込むッ!」", | |||
"378000531_3": "「そこだあああ――ッ!」", | |||
"378000531_4": "「撃ち込めたッ!\\n サイコトロニックジェネレーター、起動ッ!」", | |||
"378000531_5": "「ううう――ッ!?」", | |||
"378000531_6": "(身体の中に入ってくる、これが怪獣の思念ッ!?)", | |||
"378000531_7": "「キングギドラ……それが、あなたの名前なの……?」", | |||
"378000531_8": "(キングギドラの凶暴な思念がわたしのことを\\n 押しつぶそうとしてくる……ッ!)", | |||
"378000531_9": "(だけど、わたしが負けたらだれがこの怪獣を\\n 止めるんだ……ッ!)", | |||
"378000531_10": "(わたしの帰りを待ってくれてる人がいるんだ……ッ!)", | |||
"378000531_11": "「体が何千倍も小さくたって」", | |||
"378000531_12": "「思いの強さで、負けるかあああああああああッ!」", | |||
"378000531_13": "「……なんとか、抑え込めたッ!」", | |||
"378000531_14": "「これがわたしの、キングギドラ型ギアだッ!」" | |||
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