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"341000512_0": "「殲滅完了――ッ!」",
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"341000512_1": "「ふう……」",
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"341000512_2": "「機械獣との戦い方も、かなり掴めてきたな」",
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"341000512_3": "「はい。エルフナインさんが作ってくれた\\n 機械獣のシミュレータのおかげです」",
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"341000512_4": "「ああ。しかし、改めて見ても、魔法とは強力なものだな。\\n その上防御や拘束にも応用が利くとは」",
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"341000512_5": "「ご苦労だった。――まもなく響くんたちが来る時間だな。\\n トレーニングはそちらと交代しよう」",
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"341000512_6": "「翼たちは、一旦解散してもらって構わない。\\n 来るべき機械獣との戦いのために、身体を休めてくれ」",
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"341000512_7": "「了解しました」",
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"341000512_8": "「フェイトも、よく身体を休めてね。\\n さっきの戦いで、怪我はしなかった?」",
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"341000512_9": "「ありがとうございます。\\n 大丈夫ですから、心配しないでください」",
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"341000512_10": "「そう、ならよかったわ。\\n それじゃあ、また連絡するわね」",
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"341000512_11": "「……」",
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"341000512_12": "「リンディ提督は、母上でもあるのだったな」",
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"341000512_13": "(その割には、少し距離があるようにも感じたが……)",
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"341000512_14": "「はい。ただ、わたしたち実の親子ではないんです。\\n いろいろあって、養子として引き取ってもらって……」",
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"341000512_15": "「なるほど、そうだったのか……」",
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"341000512_16": "「だけど、とてもよくしてもらっています。\\n 自慢のお母さんです」",
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"341000512_17": "「もっと、気兼ねなくお話しできたらと思うんですけど、\\n まだ少し、緊張してしまって……」",
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"341000512_18": "(真面目で思慮深いこの子のことだ。おそらく、母親のことを\\n 好いてはいても、距離の縮め方が分からずにいるのだろう……)",
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"341000512_19": "「すまない、緒川さんからの電話だ。\\n 少し待っていてもらえるか」",
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"341000512_20": "「わかりました」",
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"341000512_21": "「はい……いえ、大丈夫です。\\n むしろいいリフレッシュになりますから」",
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"341000512_22": "「お願いします」",
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"341000512_23": "「これから、仕事に行こうと思う。\\n 仕事と言っても、練習だが……」",
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"341000512_24": "「はい、わかりました」",
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"341000512_25": "「だけど、お仕事って、\\n S.O.N.G.のものとは別なんですか?」",
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"341000512_26": "「ああ、わたしは歌手活動もしていてな」",
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"341000512_27": "「えッ!? 翼さん、歌手だったんですか……ッ!」",
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"341000512_28": "「そうだ。\\n 緒川さんはわたしのマネージャーをしてくれている」",
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"341000512_29": "(歌手のお仕事ってどんなことをしてるんだろう。\\n 興味あるけど、いろいろ聞くのは失礼かな……)",
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"341000512_30": "「……」",
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"341000512_31": "「もしよかったら、見学してみないか。\\n 今日はスタジオ練習だから、1人2人増えても問題ないはずだ」",
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"341000512_32": "「えッ、いいんですか?」",
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"341000512_33": "「もちろんだ」",
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"341000512_34": "「だ、だったら、ぜひ」",
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"341000512_35": "「決まりだな」",
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"341000512_36": "「――♪」",
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"341000512_37": "「きれいな歌声、それにとても上手……。\\n 本当にこれが練習なんですか……」",
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"341000512_38": "「彼女は練習だろうと、本番のつもりで唄いますから」",
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"341000512_39": "「これがプロの歌手……」",
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"341000512_40": "(本当、楽しそうに唄ってる。\\n 唄うのってそういうものなのかな……)",
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"341000512_41": "「頼みがあるんだが、次の曲はデュエットでな。\\n 少し手伝ってもらえないだろうか」",
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"341000512_42": "「えッ!?\\n わ、わたしが唄うんですかッ!?」",
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"341000512_43": "「……」",
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"341000512_44": "「そんなに緊張しなくても大丈夫だ。\\n わたしに合わせて唄ってみてくれ」",
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"341000512_45": "「は、はい……」",
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"341000512_46": "(翼さんの歌声、遠くから聴くのと、\\n 隣で直接聴くのでは全然違う……)",
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"341000512_47": "(歌を通して絆を深められればと思ったが、\\n 逆に緊張させてしまったか……?)",
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"341000512_48": "(さっきの翼さん、すごく自然体で楽しそうだった。\\n だったら、わたしもわたしなりに唄ってみよう)",
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"341000512_49": "「――、――♪」",
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"341000512_50": "「これは……」",
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"341000512_51": "(よかった、緊張が解けたようだな。\\n ならば、わたしも――)",
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"341000512_52": "(歌声が重なって1つの歌になっていく。\\n 唄うのって、こんなに楽しいことだったんだ)",
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"341000512_53": "「今日はありがとうございました」",
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"341000512_54": "「こちらこそ、練習に付き合ってくれてありがとう。\\n とても気持ちのこもったいい歌だった」",
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"341000512_55": "「翼さんの歌こそですッ!\\n ……ところで、翼さんは、どうして歌手に……?」",
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"341000512_56": "「……そうだな。\\n 幼いころから夢見ていたんだ」",
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"341000512_57": "「その夢を追っていいものかと悩みもしたが、\\n 背中を押してくれた人がいた」",
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"341000512_58": "「それが、血の繋がらないわたしの父だ」",
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"341000512_59": "「え……」",
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"341000512_60": "「だからこそ、わたしは今も夢を追えている」",
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"341000512_61": "「わたしが思うに、血の繋がりだけが親子ではない。\\n 想いによっても、固く繋がれるはずだ」",
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"341000512_62": "「想いによって……」",
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"341000512_63": "「だから、遠慮なんてしなくていいし、\\n 焦らなくたっていいと、わたしは思う」",
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"341000512_64": "「――ッ!\\n ……はい……ッ!」",
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"341000512_65": "「リンディさんの、いいえ、お母さんの想い、\\n たくさんたくさん受け取っています」",
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"341000512_66": "「ああ」",
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"341000512_67": "「わたし、頑張りますッ!\\n 早く事件を解決して、家に帰らないと」"
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