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"328000642_0": "「ふう……やれやれ。やっと片付いたな」",
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"328000642_1": "（際どかったが……どうにかRN式も持ってくれたか。\\n 彼女に怒られなくて済みそうだ）",
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"328000642_2": "（あれだけの数的劣勢を、たった１人で覆すとは……）",
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"328000642_3": "「怪我は無いか？」",
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"328000642_4": "「ありがとうございます。\\n ……おかげで命拾いしました」",
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"328000642_5": "「そうか。無事で何よりだ。\\n だが、無茶な行動は慎んでくれよ」",
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"328000642_6": "「はい……」",
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"328000642_7": "「とにかく、間に合ってよかった」",
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"328000642_8": "「……緒川、と言ったな。\\n 負傷しているようだが、怪我の具合は？」",
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"328000642_9": "「かすり傷……、というわけではありませんが、\\n 動くのに支障はありません」",
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"328000642_10": "「そうか。それはよかった」",
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"328000642_11": "「では、RN式をこちらに渡し、\\n 俺と一緒に来てもらおうか」",
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"328000642_12": "「やはり、僕を捕らえるおつもりですか？」",
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"328000642_13": "「当然だろう。\\n お前は二課からRN式を奪い去ったのだからな」",
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"328000642_14": "「怪我人相手に、手荒な真似はしたくない。\\n 黙ってついてくれば、傷の手当てもしてやろう」",
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"328000642_15": "「だがもし、逃亡しようとするのなら、\\n さらに怪我が増えることになるぞ」",
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"328000642_16": "「当然の判断、ですね……」",
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"328000642_17": "「ですが、僕はまだ捕まるわけにはいきません。\\n 僕には、まだやらなければならないことが残っていますから」",
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"328000642_18": "「その、やらねばならぬこととはなんだ？」",
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"328000642_19": "「……言えません。命を助けられたとはいえ、\\n 僕は政府を信用することはできません」",
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"328000642_20": "「……そうか、残念だ」",
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"328000642_21": "「どうやら衝突は避けられんらしいな」",
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"328000642_22": "「ええ、そうですね」",
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"328000642_23": "「風鳴司令ッ！ 緒川さんッ！」",
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"328000642_24": "「手加減はできんぞ」",
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"328000642_25": "「ええ、ご自由に。\\n 僕も死ぬ気で抵抗しますから」",
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"328000642_26": "「殺すつもりはない。だが、もう少し怪我が増えるくらいは\\n 覚悟してもらうがなッ！」",
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"328000642_27": "「こおおおおおおおッ！！」",
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"328000642_28": "（この圧力……今まで対峙したどんな相手よりも――）",
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"328000642_29": "（全力で逃げろと、本能が危険信号を発している……。\\n 少しでも気を抜けば、恐怖で動けなくなりそうです）",
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"328000642_30": "（これが、風鳴弦十郎――。\\n とても正面からまともに戦える相手では――）",
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"328000642_31": "（――いや、違う。僕は忍び。\\n どうして正面から戦うだなんて考えを……？）",
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"328000642_32": "「……２人とも……」",
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"328000642_33": "（知らず、あの真っ直ぐな目に惹かれていたのでしょうか）",
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"328000642_34": "（――僕は、逃げ出してしまった人間なのに）",
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"328000642_35": "「行くぞ――ッ！！」",
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"328000642_36": "「ッ！？ 風鳴司令ッ！ 緒川さんッ！\\n ――アルカ・ノイズですッ！！」",
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"328000642_37": "「くッ！ まだ残っていたかッ！\\n ならば――」",
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"328000642_38": "「なッ！？ RN式がッ！？」",
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"328000642_39": "「まさか、時間切れッ！？」",
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"328000642_40": "（――千載一遇の好機ッ！\\n この機に離脱をすれば……）",
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"328000642_41": "「まさかここで限界を迎えてしまうとは……」",
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"328000642_42": "「――聞こえているのッ！？ 早く逃げなさいッ！」",
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"328000642_43": "「そうしたいのはやまやまだがな……、\\n この数を触れずに逃げるのは、中々骨が折れるぞ」",
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"328000642_44": "（俺１人なら腕の１本ぐらいでなんとかなるかもしれないが、\\n この娘を連れてとなると……）",
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"328000642_45": "（離脱……そう、離脱を――。\\n この機を逃せば、この人から逃げるチャンスは……）",
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"328000642_46": "「…………」",
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"328000642_47": "「……下がってください。\\n おふたりの離脱ルートは僕が作ります」",
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"328000642_48": "「お前ッ！？」",
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"328000642_49": "「ですから、取引です。このRN式をこのまま使わせてください。\\n 草薙の首魁、オロチを倒すまでの間の休戦と、黙認を」",
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"328000642_50": "「くッ……」",
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"328000642_51": "「認めてください。認めてくれれば、\\n 僕は必ず、ここにいる全員を生還させます」",
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"328000642_52": "「風鳴司令……」",
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"328000642_53": "「背に腹は代えられんか……」",
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"328000642_54": "「わかった。そのRN式をお前に託すッ！」",
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"328000642_55": "「戻った」",
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"328000642_56": "「やっと帰って来たわね」",
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"328000642_57": "「ご心配をおかけしました」",
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"328000642_58": "「別に心配なんてしていないわ。少々呆れただけ」",
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"328000642_59": "「面目ありません」",
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"328000642_60": "「それで、RN式天羽々斬はまんまと奪われ、\\n RN式ガングニールはこの有様、というわけね……」",
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"328000642_61": "「揃いも揃って、なんのために出撃したの？\\n しかも余計な約束まで……」",
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"328000642_62": "「ですが、あの場では他に選択肢は――」",
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"328000642_63": "「全ての責任は俺にある。\\n 託すと判断したのは俺だからな……」",
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"328000642_64": "（……いや、わたしの独断先行が原因だ……）",
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"328000642_65": "「……責任ならばわたしに」",
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"328000642_66": "「あなたは部外者。\\n そんなことできるわけないでしょう」",
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"328000642_67": "「そうだ。こんな時に責任を取れずして\\n なんのための司令だ」",
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"328000642_68": "「独断先行は褒められたことではないが、\\n 君に責任を負わすなどできん」",
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"328000642_69": "「責められるべきは俺だ。\\n 覚悟はできている……」",
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"328000642_70": "「なんの覚悟よ……まったく。もういいわ。\\n 今はあの男が問題を起こさないことを祈りましょう」",
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"328000642_71": "「…………」",
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"328000642_72": "「ん？ どうかした？」",
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"328000642_73": "「いえ、何も……」",
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"328000642_74": "「そう、あなたも疲れたでしょう？\\n 今日はもう休みなさい」",
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"328000642_75": "「はい、そうします」",
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"328000642_76": "（緒川さんのことも気がかりだが、\\n 今は、自分の破損したペンダントをなんとかしなければ……）"
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