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{
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"328000941_0": "「お……おのれ、この、小娘がッ!」",
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"328000941_1": "「こうなれば緒川諸共、バラバラに引き裂いてくれるわッ!」",
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"328000941_2": "「おおおお――ッ! \\n<size=40>『忍法・傀儡結祭』ッ!!</size>」",
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"328000941_3": "「一体、何をッ!?」",
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"328000941_4": "「わかりません。\\n 僕も聞いたことのない術ですッ!」",
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"328000941_5": "「忍者が、周囲から集まってくるッ!?」",
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"328000941_6": "「馬鹿なッ!?\\n オロチが、傀儡たちをその身に纏って――」",
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"328000941_7": "「巨大化した……だとッ?」",
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"328000941_8": "「フフ……ハハハハハッ!」",
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"328000941_9": "「これぞ新しい時代に相応しい忍術と錬金術の融合ッ!\\n 傀儡結祭よッ!」",
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"328000941_10": "「この術は黴臭い刀などとはものが違うッ!\\n これがこの俺の奥の手にして、真なる力よッ!」",
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"328000941_11": "「小癪な者どもよ。\\n 圧倒的な膂力をもってひねり潰してくれるわッ!」",
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"328000941_12": "「まさか、自らの身体を傀儡と融合させるとは……」",
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"328000941_13": "「矜持のみならず、人の姿をも捨てましたかッ!」",
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"328000941_14": "「なんとでも言えええいッ!!」",
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"328000941_15": "「くッ!」",
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"328000941_16": "「緒川さんッ!」",
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"328000941_17": "「空蝉とは古典的な。\\n だが――」",
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"328000941_18": "「そこよッ!」",
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"328000941_19": "「ぐは――ッ!」",
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"328000941_20": "「緒川さんッ! 大丈夫ですかッ!」",
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"328000941_21": "「ええ……なんとか、急所は逸らしました」",
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"328000941_22": "「フン……空蝉とは相手の知覚の隙を縫う遁術。\\n だが多数の傀儡の知覚を統合したこの俺を前に通じはせぬッ!」",
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"328000941_23": "「はあああああ――ッ!」",
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"328000941_24": "「か、硬いッ!?」",
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"328000941_25": "「貴様の拳など、蚊ほども効かぬわッ!」",
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"328000941_26": "「ぐあッ!?」",
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"328000941_27": "「立花ッ!?\\n くッ、ならばこの刃を受けてみろッ!!」",
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"328000941_28": "「効かぬと言っておろうがッ!!」",
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"328000941_29": "「ああああッ!?」",
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"328000941_30": "「この術を発動した俺に敵は無い……。\\n この俺を貫けるものなど、無いのだからなッ!」",
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"328000941_31": "(こんな術を隠していたとは……。\\n これでは、僕らに勝ち目は無い)",
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"328000941_32": "(ならば、この場は退くのも――)",
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"328000941_33": "「……」",
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"328000941_34": "(翼さん……諦めていない。\\n この状況で? それに、向こうの人も――)",
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"328000941_35": "「行けるな?」",
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"328000941_36": "「もちろんです」",
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"328000941_37": "「ならば共に行くぞッ!\\n 我らの携えた剣と拳にて、オロチを討つッ!」",
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"328000941_38": "(決して折れない心、あれが真の防人……)",
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"328000941_39": "「自分が恥ずかしいですね……。\\n この状況下で、また逃げることを考えてしまうとは……」",
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"328000941_40": "(何があっても、退いてはいけない場面もある。\\n それは今、この瞬間のことでしょう)",
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"328000941_41": "「翼さんの折れない心を、僕も見習わないと」",
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"328000941_42": "(……折れない? そうだ、確か天叢雲剣も――)",
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"328000941_43": "「翼さんッ! 天叢雲剣を――ッ!!」",
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"328000941_44": "「せい――ッ!」",
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"328000941_45": "「はああああッ!」",
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"328000941_46": "「その程度かッ! フハハハハッ!」",
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"328000941_47": "「くッ……」",
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"328000941_48": "(あの傀儡忍者に遮られ、奴の本体まで攻撃が届いていない……。\\n あれを吹き飛ばすには、もっと威力が――)",
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"328000941_49": "「翼さんッ! 天叢雲剣を――ッ!!」",
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"328000941_50": "「天叢雲剣? しかし、あれは先ほど折れて――」",
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"328000941_51": "「天叢雲剣は、決して折れることのない剣。\\n あの剣はきっと今、真の持ち主を待っているはずですッ!」",
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"328000941_52": "「翼さんッ! 行ってくださいッ!」",
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"328000941_53": "「しかし、わたしは一度、制御に失敗して――」",
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"328000941_54": "「翼さんならできますッ!\\n わたし、信じてますからッ!」",
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"328000941_55": "「立花……」",
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"328000941_56": "(仲間の信頼に応えずして……何が防人かッ!)",
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"328000941_57": "「わかった。必ず制御してみせるッ!\\n しばしこの場を頼んだッ!」",
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"328000941_58": "「はいッ!」",
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"328000941_59": "「小娘、何をするつもりか知らぬが、\\n 所詮は無駄な足掻きだと、思い知らせてくれるッ!」",
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"328000941_60": "「翼さんの邪魔は――」",
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"328000941_61": "「――させませんッ!」",
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"328000941_62": "「貴様ら、邪魔立てを――ッ!」",
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"328000941_63": "「翼さんが天叢雲剣を制御するまで、\\n あなたはわたしたちが止めますッ!」",
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"328000941_64": "「制御だとッ!? 折れた剣で何ができるッ!」",
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"328000941_65": "「わたしの剣、わたしの誇り……」",
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"328000941_66": "「それはここにある。この天羽々斬と共に」",
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"328000941_67": "「だが、わたしはまだ防人として未熟。\\n 故に剣を、誇りを折られてしまった」",
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"328000941_68": "「それこそが、弱さ」",
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"328000941_69": "「そうだ。わたしは弱い、まだ未熟なのだから」",
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"328000941_70": "「これほど未熟では、また容易に剣は折られる。\\n これからも同じことを繰り返す」",
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"328000941_71": "「天羽々斬もきっとまた折られる」",
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"328000941_72": "「そんな状態で、国を、人を護れるのか?\\n 次は剣を折らないという保証はあるのか?」",
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"328000941_73": "「それは……」",
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"328000941_74": "「現に、二度も折られているのだから……」",
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"328000941_75": "「それでも、わたしは――」",
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"328000941_76": "「ぐあああああッ!」",
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"328000941_77": "「翼さんッ!?」",
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"328000941_78": "「オロチとの戦いによる傷と疲労で、\\n 翼さんはもう限界に達している……」",
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"328000941_79": "(ですが、僕はそれでも翼さんを――)",
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"328000941_80": "「よそ見とは余裕だなッ!」",
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"328000941_81": "「くッ……」",
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"328000941_82": "「やはり、強い……」",
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"328000941_83": "「散々邪魔をしてくれたが、貴様らも\\n もはや立ち上がれぬようだな。ならば――」",
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"328000941_84": "「この小娘を潰せば、完全勝利だッ!」",
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"328000941_85": "「そんなこと――」",
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"328000941_86": "「させるかってんだッ!!」",
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"328000941_87": "「次から次へと……ッ!\\n 小娘どもが羽虫のごとく湧いてくるかッ!」",
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"328000941_88": "「マリアさん、クリスちゃんッ!」",
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"328000941_89": "「待たせた。なんとか間に合ったってところか」",
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"328000941_90": "「2人とも、翼さんを――」",
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"328000941_91": "「ええ、わかってる。\\n 近づけさせなければいいんでしょう?」",
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"328000941_92": "「たかが装者の1人や2人に何ができるッ!」",
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"328000941_93": "「……折られない保証? そんなものどこにもない。\\n だが――」",
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"328000941_94": "「例え剣が折られようとも、その分だけ強固な剣となって、\\n わたしは立ち上がってみせるッ!」",
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"328000941_95": "「防人としての心も、誇りも、\\n 折られた分だけ強くなってやるッ!」",
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"328000941_96": "「この天羽々斬と共にッ!」",
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"328000941_97": "「それを今、証明してみせるッ!」",
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"328000941_98": "「…………」",
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"328000941_99": "「まだ立ち上がるか、小娘がッ!」",
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"328000941_100": "「いけないッ! 翼さん、逃げてくださいッ!」",
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"328000941_101": "「翼はまだギアを纏ってないッ!\\n 今、攻撃されたらッ!」",
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"328000941_102": "「先輩に近づけさせるかッ!」",
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"328000941_103": "「近づく必要などないッ!\\n 斬撃の波動で、真っ二つにしてくれるッ!」",
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"328000941_104": "「おおおおおッ!」",
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"328000941_105": "(一度や二度、剣が折れようとも――)",
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"328000941_106": "(わたしに護るべきものがある限り、\\n 防人の心は、決して折れはしないッ!)",
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"328000941_107": "「翼さんッ!?」",
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"328000941_108": "「感じる……天叢雲剣の力を……、\\n 国を、人を護ろうとする――防人の力を」",
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"328000941_109": "「なッ!? なんだそれはッ!?」",
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"328000941_110": "「天叢雲剣が、わたしの想いに答えたのだ」",
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"328000941_111": "「ギアも無しにあの攻撃を防いだのかッ!?」",
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"328000941_112": "「剣が……光っている」",
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"328000941_113": "「あの輝きこそ、まさに天叢雲剣。\\n 翼さんの想いに答えた真の姿です」",
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"328000941_114": "「馬鹿なッ! 何故、小娘ごときにッ!?」",
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"328000941_115": "「護ることを捨てたお前に、この剣の声を聴くことはできまい」",
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"328000941_116": "(共に行くぞ、天羽々斬)",
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"328000941_117": "「Imyuteus amenohabakiri tron――」",
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"328000941_118": "「くッ――、\\n 折れた刀身の内に秘めた真の刃……天叢雲剣」",
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"328000941_119": "「お前も護国のための刃として振るわれることを望むなら――」",
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"328000941_120": "「このわたしの誇りを、この防人としての心を、\\n 天羽々斬を――受け入れてくれッ!!」",
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"328000941_121": "「その姿は……、それに――」",
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"328000941_122": "「この、歌は……?」",
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"328000941_123": "「やりましたね、翼さん……」",
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"328000941_124": "「さすが、先輩だ……」",
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"328000941_125": "「ええ。翼なら当然よ」",
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"328000941_126": "(――なんて心に響く歌なんだ。\\n これはまさに、護国の――防人の歌)",
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"328000941_127": "「この力は……?\\n それに、この小太刀は一体――」",
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"328000941_128": "「馬鹿なッ! 何故、そんな力が揮えるのだッ!」",
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"328000941_129": "「己1人の力頼みに剣を揮う者には、到底理解できまい」",
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"328000941_130": "「今ここに立つわたしの背には、今を共に生きる仲間の想いと、\\n そしてこの国を営々と護ってきた、防人たちの魂が乗っている」",
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"328000941_131": "「天叢雲剣に秘められた、先人たちの魂。それは護国の心を\\n 剣とし、生涯を防人として戦いぬいた尊い魂だッ!」",
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"328000941_132": "「その力を歌に乗せ、わたしは……わたしたちはッ!\\n お前たちから絶対にこの国を、世界を護ってみせるッ!」",
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"328000941_133": "「こんな国に、世界にッ! 護る価値などあるものかッ!」",
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"328000941_134": "「価値があるかどうかは、あなたが決めることではありません」",
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"328000941_135": "「国を護る、それはこの国に暮らす人々の安寧を護ることッ!\\n 人を防人るのが、わたしの護国だッ!",
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"328000941_136": "「さあ覚悟せよ、オロチッ!」",
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"328000941_137": "「黙れッ! 死ぬのは貴様らだッ!」",
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"328000941_138": "「風鳴翼――」",
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"328000941_139": "「緒川慎次――」",
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"328000941_140": "「<size=40>具して参るッ!!</size>」"
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