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"326000611_0": "1人ぼっちの戦い",
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"326000611_1": "「あれ……ここは……。\\n それにわたし――」",
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"326000611_2": "「響はお寝坊さんね」",
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"326000611_3": "「え、どうして……？\\n わたしは、あの時倒されたのに……？」",
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"326000611_4": "「この世界はあなたの内面世界。\\n だから、ここではいくら死んでも大丈夫よ」",
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"326000611_5": "「そう……なの……？」",
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"326000611_6": "「ええ、だけど、あなたの精神、心は別よ。\\n あなたが倒れるたび、あなたの精神は削られ続ける」",
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"326000611_7": "「削られ続ければ脆くなり、やがてそれは……砕けてしまう」",
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"326000611_8": "「砕けるって……。\\n ――ッ！？」",
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"326000611_9": "（なんだろう……今、一瞬胸の中に痛みが……。\\n まるでガングニールの侵食があった時のような――）",
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"326000611_10": "「完全に心が砕けた時、あなたの手は仲間の血で染まる。\\n あなたが大切に想う、仲間の血でね」",
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"326000611_11": "「…………」",
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"326000611_12": "「１つだけ、苦しみから解放される方法があるわよ」",
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"326000611_13": "「え……」",
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"326000611_14": "「悪意に……破壊衝動に身を委ねるの」",
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"326000611_15": "「そんなこと……できるわけないッ！」",
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"326000611_16": "「そう？ 破壊の塊となれば、この世界であなたを脅かすものは\\n なくなるのに」",
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"326000611_17": "「あなただって気づいているんでしょ？\\n この悪意からは逃れられないって」",
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"326000611_18": "「何度も何度も抗い、その分苦しみ続ける。\\n でも、結局、結果は変わらない」",
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"326000611_19": "「だったら初めから委ねてしまえばいいじゃない？」",
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"326000611_20": "「わたしは……そんなものに負けないッ！」",
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"326000611_21": "「わたしは――わたしはわたしのまま、\\n みんなのところに帰るんだッ！」",
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"326000611_22": "「破壊衝動なんかに絶対に負けたりしないッ！」",
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"326000611_23": "「そう？ ならせいぜい足掻いてみてちょうだい」",
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"326000611_24": "「悪意の種はあなたをどんどん蝕んでいく。心が砕けるのが\\n 先か、破壊衝動に堕ちるのが先か、楽しませてもらうわ」",
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"326000611_25": "「あなたも気づいているはずよ。\\n 所詮１人では何もできないと――」",
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"326000611_26": "「響は……響の容体はッ！？」",
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"326000611_27": "「なんとか落ち着きました……。けれど、このような発作が続けば\\n それこそ命にかかわります……」",
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"326000611_28": "「発作の原因はなんだったんだ？\\n まさか、あたしたちの行動が――」",
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"326000611_29": "「いえ、アクセスしているのはあくまで仮想脳領域です。\\n 以前も言いましたが、そこからのフィードバックはありません」",
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"326000611_30": "「発作そのものは、あくまで響さん本人を蝕んでいる何かが\\n 原因だと思います。だから、早くそれを特定しないと……」",
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"326000611_31": "「……急がなければ、立花が危険ということか」",
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"326000611_32": "「……はい」",
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"326000611_33": "「それなら、急ごう。\\n 今すぐにでも、またあの機械を使って――」",
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"326000611_34": "「……未来くん、少しだけ待つんだ」",
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"326000611_35": "「待ってるなんてできませんッ！」",
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"326000611_36": "「小日向……」",
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"326000611_37": "「君が焦る気持ちはわかる。俺たちもすぐにでも響くんの\\n 救出に動いてほしいと思っている」",
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"326000611_38": "「なら、どうして待てだなんてッ！！」",
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"326000611_39": "「……そういうことか」",
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"326000611_40": "「……納得です」",
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"326000611_41": "「……２人はわかったみたいだな」",
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"326000611_42": "「翼さん……クリスもッ！ 何がわかったのッ！？\\n すぐに響を救わないといけないのに――」",
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"326000611_43": "「２人まで待つなんて言うなら、わたし１人で――ッ」",
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"326000611_44": "「そんな冷静さを欠いた状態で、\\n 作戦行動につかせるわけにはいかない」",
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"326000611_45": "「――ッ！！」",
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"326000611_46": "「響くんを助けたいと思っているのは、\\n 君１人じゃないということを忘れるな」",
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"326000611_47": "「小日向、深呼吸をしろ。立花を心配するのはわかるが、\\n わたしたちは失敗するわけにはいかないんだ」",
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"326000611_48": "「あいつを助けたいなら、まずは落ち着け」",
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"326000611_49": "「……わかり、ました」",
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"326000611_50": "「それでは、３人は少し休んでくれ。続きはそれからだ」",
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"326000611_51": "「……はい。すみませんでした」",
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"326000611_52": "「では、わたしたちはこれで」",
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"326000611_53": "「また後でな」",
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"326000611_54": "「……未来ちゃんの剣幕には驚きましたね」",
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"326000611_55": "「それだけ響ちゃんが心配なのよ……」",
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"326000611_56": "「だろうな。しかし、ミイラ取りがミイラになるような\\n 状況は避けねばならない」",
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"326000611_57": "「響くんを救えるのは彼女たちだけだ。ならば、少しでも\\n その可能性を上げるのが俺たちの役目だろう」",
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"326000611_58": "「了解です。――でも、俺たちでは、\\n 手が出せないっていうのはやっぱりきついですね……」",
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"326000611_59": "「こればかりは仕方ないわ……。せめて戻ってきたみんなをサポート\\n できるように、情報の整理くらいはしておきましょう」",
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"326000611_60": "「それくらいしかないか」",
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"326000611_61": "「ああ、そうしてくれ」",
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"326000611_62": "（必要になるかわからないが、\\n 念のため、1つ手を打っておくか……）"
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