69 lines
7.2 KiB
JSON
69 lines
7.2 KiB
JSON
{
|
||
"389000221_0": "「翼さんッ!\\n 一緒にお勉強会するデスよーッ!」",
|
||
"389000221_1": "「暁? それに月読も……。\\n 勉強会とはどういうことだ?」",
|
||
"389000221_2": "「わたしたちも、ただ待機しているだけなのは落ち着かなくて……。\\n そうしたら、エルフナインが資料をまとめてくれたんです」",
|
||
"389000221_3": "「さも……なんちゃらのニケの資料デス。\\n できたてほやほやデスよッ!」",
|
||
"389000221_4": "「『サモトラケのニケ』がどういうものなのか、\\n 一緒に見ておいたほうがいいかなと思ったので」",
|
||
"389000221_5": "「ああ、そうだな。\\n わたしも大して詳しいわけではないので助かる」",
|
||
"389000221_6": "「えっと、じゃあ、\\n このファイルなんですけど――」",
|
||
"389000221_7": "「おおう……ッ!?\\n なんデスか、この首ナシ天使はッ!?」",
|
||
"389000221_8": "「ふむ。\\n わたしも細部まで写真を見るのははじめてだな」",
|
||
"389000221_9": "「よく見たら、腕もない……。\\n 腕と翼、一緒になってるのかと思った」",
|
||
"389000221_10": "「……」",
|
||
"389000221_11": "「す、すみませんッ!\\n 今のは翼さんを呼び捨てにしたんじゃなくて……」",
|
||
"389000221_12": "「フフッ、案ずるな。\\n わかっている」",
|
||
"389000221_13": "「……これが『サモトラケのニケ』、か」",
|
||
"389000221_14": "「不思議デス……。\\n 壊れて、なくなってるところばかりデスのに……」",
|
||
"389000221_15": "「うん……。\\n なんだかきれいで、とっても力強い」",
|
||
"389000221_16": "「それは恐らく、2人の感受性が豊かである証左であろうな。\\n 欠けた部分を、心で補完して見ているのだろう」",
|
||
"389000221_17": "「足りないからこそ、それを想像する。\\n 無限に広がるイメージを心が捉えている、とでも言えば良いか」",
|
||
"389000221_18": "「そういうものデスか?」",
|
||
"389000221_19": "「でも……こんなにきれいな像なら、想像するだけじゃなくて、\\n 完全な状態で見てみたいっていう気持ち、少しわかるかも」",
|
||
"389000221_20": "「翼さんは、このニケが壊れてなかったら、\\n どんな感じだったと思うデス?」",
|
||
"389000221_21": "「む……?",
|
||
"389000221_22": " 考えたこともなかったが、そうだな……」",
|
||
"389000221_23": "「勝利へ導く女神像であった、という<ruby=いわ>謂</ruby>れもある……\\n と、書いてあるな」",
|
||
"389000221_24": "「然らば、それに値するかんばせは\\n 雄々しくあったのではないだろうか」",
|
||
"389000221_25": "「おお……ッ!\\n これまた説得力があるデスよッ!」",
|
||
"389000221_26": "「うん。\\n 雄々しい女神様、か……」",
|
||
"389000221_27": "(いても立ってもいられなかったのは同じでも、\\n 月読も暁も、切り替えるべく努力をしているのだな……)",
|
||
"389000221_28": "「……2人はどうだ?\\n 欠けている部分が残っていたとするなら……」",
|
||
"389000221_29": "「えッ、うーん、そうですね……。",
|
||
"389000221_30": " やっぱりこの羽を見ると天使っぽいし……」",
|
||
"389000221_31": "「デスデスッ!\\n きっとほんわかした優しい天使だったデスよッ!」",
|
||
"389000221_32": "「うんッ!\\n 両腕も抱きかかえてくれる仕草、とか」",
|
||
"389000221_33": "「でも、カッコいい戦いの女神様も捨て難いデスッ!\\n 武器とか持ってたりッ!」",
|
||
"389000221_34": "「そうだね。\\n 槍とか盾とか構えてたり……」",
|
||
"389000221_35": "「フフ……\\n 月読も暁も、想像の翼がたくましいな」",
|
||
"389000221_36": "「ハッ!\\n これが無限に広がるイメージ、デスねッ!」",
|
||
"389000221_37": "「とはいえ、本当はどうだったか、\\n 正解を知りたい気持ちもわかってしまうデス……」",
|
||
"389000221_38": "「そうだね、ちょっとだけ」",
|
||
"389000221_39": "「同じものを見て、考えようとする……。\\n 月読と暁は、2人で1組の両翼のようだな」",
|
||
"389000221_40": "(少しだけ、わたしと奏の関係性を思い出す、\\n なんてことまでは、この2人には言えないな……)",
|
||
"389000221_41": "「デデデッ!?\\n と、唐突に褒めないでほしいデスよ。照れちゃうデス」",
|
||
"389000221_42": "「ふむ……? それならそのうちまた、\\n ツヴァイウィングの曲でも歌ってもらうとしようか」",
|
||
"389000221_43": "「わーッ! そ、それは、なんというか、\\n 黒歴史デーースッ!」",
|
||
"389000221_44": "「その節は……本当に……\\n 本当に大変、失礼なことを……」",
|
||
"389000221_45": "「フフ、冗談だ。",
|
||
"389000221_46": " ……少々脱線してしまったな、資料の把握を急ごう」",
|
||
"389000221_47": "「はい。……あ。このニケの両翼って、\\n 片方は石膏で復元されたものなんだ」",
|
||
"389000221_48": "「はへぇ……きれいに造れるものなんデスねえ。\\n 人類の技術、大いなる進歩デスッ」",
|
||
"389000221_49": "「ニケは片翼を失っていた、と?\\n それは知らなかったな……」",
|
||
"389000221_50": "「……欠けた羽と、復元された羽か。",
|
||
"389000221_51": " まるで――」",
|
||
"389000221_52": "「翼さん?\\n どうしたデスか?」",
|
||
"389000221_53": "「……いや、なんでもない」",
|
||
"389000221_54": "「もしかしたらわたしは、\\n 完全なるニケには剣を携えていてほしいのかもしれないな」",
|
||
"389000221_55": "(幾度砕かれようとも、\\n この身と心を、剣と成せるように……)",
|
||
"389000221_56": "「……?」",
|
||
"389000221_57": "「さて、と。\\n 一通り資料にも目を通したところで、2人に提案だ」",
|
||
"389000221_58": "「恥ずかしながら、\\n わたしは今の今まで切り替えすらできていなかった」",
|
||
"389000221_59": "「だが、2人のおかげで目が覚めた心地だ。\\n 良ければこのまま、肩慣らしといきたいのだが……どうだ?」",
|
||
"389000221_60": "「わたしたちだって、あのとき何もできなかったんです。\\n だからこそ、次の最善策のために何かしたかった」",
|
||
"389000221_61": "「デスデースッ!\\n 任務前のビルドアップは望むところデースッ!」",
|
||
"389000221_62": "「そうか。であれば、2人まとめてかかってきてほしい。",
|
||
"389000221_63": " 2人の連携を活かせる道筋、この間に見つけてみせる――ッ!」",
|
||
"389000221_64": "「おお、翼さんとガチンコするのは久々デスッ!」",
|
||
"389000221_65": "「うん……ッ!\\n 気合いいれてこう、切ちゃん」",
|
||
"389000221_66": "「よしッ!\\n では――いくぞッ!」"
|
||
} |