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"388000611_0": "クールジャパンのファミレスにて",
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"388000611_1": "「あたしら……戻ってきたんだよな?」",
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"388000611_2": "「ええ。精神世界の中とまったく感覚が変わらないから、\\n ほとんど実感がないけれど」",
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"388000611_3": "「この天才が設計したダイヴマシンが作り出すのは、\\n まさにもう1つの現実ッ! そこに差などありはしませんッ!」",
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"388000611_4": "「ええ……まさしく、これは現実ね」",
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"388000611_5": "「<size=25>精神世界の中にまでドクターがやってくるなんて、\\n ゾッとしないもの</size>」",
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"388000611_6": "「ん?\\n 何か言いましたか?」",
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"388000611_7": "「でも、どうして中断しちゃったんですか?\\n 何か問題がありましたか……?」",
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"388000611_8": "「まさか、アカオニがもう来やがったか?」",
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"388000611_9": "「いいえ、そうじゃないわ。\\n ちょっと小休止でも入れようかと思ってね」",
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"388000611_10": "「そんな悠長なこと言ってられるかッ!\\n もう丸1日以上経ってるってのにッ!」",
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"388000611_11": "「ご安心を。\\n 現実世界では1時間ほどしか過ぎていません」",
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"388000611_12": "「ほんとだ……\\n 入ったときから時間がほとんど進んでない」",
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"388000611_13": "「どうやら、このダイヴマシンの性能は本物みたいね」",
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"388000611_14": "「それはわかったけど、\\n 急ぐに越したことはないだろ?」",
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"388000611_15": "「ダイヴマシンが人の精神に与える影響は未知数なの。\\n 気付かないうちに精神が消耗しているはずよ」",
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"388000611_16": "「いざアカオニが来たときに動けない、\\n なんてことにはなりたくないでしょ?」",
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"388000611_17": "「それはそうだけど……」",
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"388000611_18": "「それに、ここまでのデータをフィードバックして、\\n ダイヴマシンも調整したいしね」",
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"388000611_19": "「そうね……1、2時間くらい、\\n 外で息抜きでもして来なさい」",
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"388000611_20": "「息抜きって……観光でもしていろということ?\\n この状況で?」",
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"388000611_21": "「専門家がこう言っているんです。休めるときには気持ちを\\n 切り替えて休むことも、必要なことですよ」",
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"388000611_22": "「それは……一理あるわね。",
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"388000611_23": " わかったわ、わたしたちはおとなしくしていましょう」",
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"388000611_24": "「おい、いいのか?」",
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"388000611_25": "「ごねたって仕方ないわ。\\n わたしたちは専門家じゃないのだから」",
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"388000611_26": "「緒川さんはどうするんですか?」",
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"388000611_27": "「僕はここで装置の調整を手伝います。\\n 被験者として、協力できることもあるでしょうから」",
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"388000611_28": "「わかりました。\\n それじゃあ、わたしたちは街に出てみますね」",
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"388000611_29": "「それじゃあ、また後で」",
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"388000611_30": "「……行ったわよ」",
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"388000611_31": "「く……ッ!」",
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"388000611_32": "「ちょっと、大丈夫なの?」",
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"388000611_33": "「……少し、眩暈がしただけです」",
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"388000611_34": "「やっぱり、いくら人並外れて強靭な精神力を持つあなたでも、\\n 全然平気とはいかないみたいね」",
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"388000611_35": "「まだまだ改良の余地があるわね。実用化には程遠いわ。\\n ……どうする? ここでやめておく?」",
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"388000611_36": "「……いえ、僕なら大丈夫です」",
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"388000611_37": "「時間をかけて調整すれば、\\n 負荷は減らせるかもしれないけど?」",
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"388000611_38": "「そんな猶予はありません。\\n 装者の皆さんが戻り次第、再開します」",
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"388000611_39": "「ま、そう言うと思ったわ」",
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"388000611_40": "「仕方ありませんね。それでは、時間が許す限り負荷を\\n 軽減できるよう、調整を試みるとしましょう」",
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"388000611_41": "「お願いします」",
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"388000611_42": "「なんだかんだ言っても、こうして外に出てみると、\\n おもしろいもんだよな、並行世界ってのは」",
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"388000611_43": "「あたしの世界だと、あの辺にいい飯屋があったんだけどな。\\n こっちの世界だと全然違う店なんだな」",
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"388000611_44": "「フフ。\\n 間違い探しみたいでおもしろいですよね」",
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"388000611_45": "「アーティストなんかも、同じく世に出てる人もいれば、\\n まったく知らない人もいたりするのよね」",
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"388000611_46": "「本当に、並行世界の数だけ色んな可能性があるんだなぁって\\n 思い知らされるよ……」",
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"388000611_47": "「……にしても、あたしら、結局楽しんじゃってるけど。\\n いいのかな?」",
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"388000611_48": "「わたしも思うところがないわけじゃないけど、\\n 精神が消耗していると言われれば、否定できないから」",
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"388000611_49": "「そうですね。今はこの世界の人たちを信じて、\\n わたしたちは少しでも回復させてもらいましょう」",
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"388000611_50": "「そうだな……だったらあたしも、\\n ぐいーっと羽を伸ばすとするかッ!」",
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"388000611_51": "「あ……」",
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"388000611_52": "「大きな腹の虫ね」",
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"388000611_53": "「フフ……ッ」",
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"388000611_54": "「いやぁ、照れるね。精神世界では腹は減らなかったけど、\\n 考えてみればいい時間だな」",
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"388000611_55": "「確かに、腹ごしらえしておくタイミングとしてはぴったりね」",
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"388000611_56": "「それじゃあ、ご飯でも食べに行きましょうか。\\n ちょうどあそこにレストランがありますし」",
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"388000611_57": "「だな。腹が減っては戦はできぬだ」",
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"388000611_58": "「へぇ、色々あるんだな、ここのレストラン。\\n 帰ったらダンナにも教えてやるか」",
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"388000611_59": "「あなたの世界にあるとは限らないんじゃない?",
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"388000611_60": " わたしたちの世界にも……あったかしら?」",
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"388000611_61": "「なかったような……でも、自分の世界で食べられないものを\\n 食べられるみたいで、なんだか得した気分かも」",
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"388000611_62": "「確かにね。\\n せっかくの食事、楽しみましょうか」",
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"388000611_63": "「賛成~。と、いうわけで、あたしはこのAランチ、\\n ライス大盛にするかな」",
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"388000611_64": "「わたしはパスタにしようかな」",
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"388000611_65": "「ンン〜ッ! このレストラン、ニンジャに相応しい\\n メニューはなくとも、味はなかなかでゴザルなッ!」",
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"388000611_66": "「……………………」",
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"388000611_67": "「あの、今の声って……」",
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"388000611_68": "「いえ……まさかそんなはず……。\\n だってここ、ランチタイムのレストランよ……?」",
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"388000611_69": "「だ、だよなぁ。\\n こんなところに、アイツがいるわけ――」",
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"388000611_70": "「なるほどッ、そうくるでゴザルかッ!」",
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"388000611_71": "「さすがは本場のニンジャコミックッ!\\n 新しいジュツのヒントが満載でゴザルッ!」",
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"388000611_72": "「食事を摂りつつ本場のニンジャコミックを嗜む……\\n なんて有意義な時間でゴザろうか」",
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||
"388000611_73": "「……………………」",
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"388000611_74": "「……ちょっと、覗いてみましょうか」",
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"388000611_75": "「ああ……」",
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"388000611_76": "「しかし、この鏡の中に潜むジュツはどう再現すべきか……。\\n 天井に立つくらいなら、なんなくできるでゴザルが……」",
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"388000611_77": "「……アカオニッ!」"
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