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"382000431_0": "「すみません、明日香さん。検査の結果が出るまで、\\n もう少し待っていてください」",
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"382000431_1": "「いえ、あたしなら大丈夫です」",
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"382000431_2": "(装者の皆さんは戦いの報告に行きましたが、\\n あたしは予定通り検査……)",
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"382000431_3": "(もし、あたしの中にイシムの眷属が狙う何かがあるのなら、\\n それは戦うための力なのかも……ッ!)",
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"382000431_4": "「うーん……ダメです。\\n これでもロックは開きませんか……」",
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"382000431_5": "「エルフナインさんは、何をしているんですか?」",
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"382000431_6": "「皆さんが<ruby=みらい>未来</ruby>の世界から持ち帰ったケースの解析です」",
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"382000431_7": "「エルフナインさんは、あの空間の穴の先の世界が<ruby=みらい>未来</ruby>だって\\n 確信しているんですか?」",
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"382000431_8": "「はい、ボクは響さんの仮説を信じます」",
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"382000431_9": "「……皆さんが見てきた<ruby=みらい>未来</ruby>の風景、\\n それにチフォージュ・シャトーの壁に書かれた記述……」",
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"382000431_10": "「これらを考えれば、<ruby=みらい>未来</ruby>のボクは『希望』の用意を、\\n きっと間に合わせられなかったんだと思います」",
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"382000431_11": "「<ruby=みらい>未来</ruby>のボクは、深く後悔したでしょう……」",
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"382000431_12": "「エルフナインさん……」",
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"382000431_13": "「でも、だからこそ、ボクはこのケースと一緒に受け取った\\n <ruby=みらい>未来</ruby>のボクの想いを、背負っていこうと思うんです」",
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"382000431_14": "「今度は、絶対に手遅れになんてさせない。\\n ボクがこの希望を、装者の皆さんに届けるんです」",
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"382000431_15": "「そうすれば、たとえ運命なんていうものがあったとしても、\\n 装者の皆さんが打ち砕いてくれる……そう信じてますッ!」",
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"382000431_16": "「…………」",
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"382000431_17": "「……すごいですね、エルフナインさんは」",
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"382000431_18": "「え?」",
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"382000431_19": "「あたしは奏さんのような存在を目指していますが、\\n 実際に自分が誰かの運命を背負ったことなんて、ない」",
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"382000431_20": "「だからそうなったとき、エルフナインさんみたいに運命に\\n 立ち向かえるのか、それはその時まで分かりません」",
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"382000431_21": "「……エルフナインさんがここにいる理由、\\n どうか教えてくれませんか?」",
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"382000431_22": "「それは……」",
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"382000431_23": "「言いたくないことなのかもしれません。\\n でも……知りたいんです。どうして、そこまで強くあれるのか」",
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"382000431_24": "「明日香さん……」",
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"382000431_25": "(どうしよう……S.O.N.G.の事情を知っているとはいえ、\\n 何から何まで話すわけにはいかないし)",
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"382000431_26": "(それでも、ボクに言えることがあるとすれば――)",
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"382000431_27": "「……ボクは、自分のことを強いなんて思ったことはありません。\\n でも、明日香さんからそう見えるのだとすれば……」",
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"382000431_28": "「それはきっと、キャロルのおかげです」",
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"382000431_29": "「キャロル……?」",
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"382000431_30": "「キャロルは……もう1人のボク」",
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"382000431_31": "「キャロルがいたからこそ、今のボクがあるんです。\\n 反目したこともあったけど、最後には手を取り合えた……」",
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"382000431_32": "「キャロルはいなくなってしまったけれど、\\n 今もボクの中でキャロルとの想い出は生き続けている」",
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"382000431_33": "「ボクの中のキャロルが、今もボクを見ていてくれる……、\\n そう思えるんです」",
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"382000431_34": "「エルフナインさん……」",
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"382000431_35": "(もう1人の自分……それがどういうことかは分からないけど、\\n きっと、とても大切な人なんだろうな……)",
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"382000431_36": "「そっか……それなら、強く見えるのも納得です」",
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"382000431_37": "「え?」",
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"382000431_38": "「エルフナインさんは今、そのキャロルさんと、\\n <ruby=みらい>未来</ruby>の自分の想いまで背負っているんですから」",
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"382000431_39": "「でも、それだけの想いを背負えることこそが、\\n エルフナインさん本来の強さだと思います」",
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"382000431_40": "「うん……。\\n やっぱり、エルフナインさんは強いです」",
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"382000431_41": "(でも……それならあたしだって、\\n 奏さんの戦う姿を知っている)",
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"382000431_42": "(奏さんはもういない。それでも、その想いは、あの時あたしを\\n 助けてくれた勇気は、確かにあたしの中にあるッ!)",
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"382000431_43": "「この前、装者の皆さんと一緒に飛ばされた<ruby=みらい>未来</ruby>の世界では、\\n 無我夢中で頑張って、結果的に皆さんの助けになれました」",
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"382000431_44": "「今は何をどうすればいいか、まだ分かりません。\\n それでも、あたしにできることがあるかもしれないのなら」",
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"382000431_45": "「奏さんの想いを受け取ったあたしは、\\n あたしらしく進み続けるだけですッ!」",
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"382000431_46": "「ですから、一緒に頑張りましょう、エルフナインさんッ!」",
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"382000431_47": "「明日香さん……」",
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"382000431_48": "「はい、ボクも負けずに頑張りますッ!」",
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"382000431_49": "「明日香さん、お待たせしました。\\n 検査の結果が出ました」",
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"382000431_50": "「どうでしたか?」",
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"382000431_51": "「今回は聖遺物などの反応がないか、\\n 改めて詳しく調べたのですが、データによると……」",
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"382000431_52": "「……ッ!\\n こ、これは……ッ!」",
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"382000431_53": "「ど、どうしたんですかッ!?」",
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"382000431_54": "「……どうやら、明日香さんの身体から、極めて微弱ですが\\n 何らかのエネルギーの反応が認められます」",
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"382000431_55": "「エネルギー……ッ!? なんですか、それッ!?\\n あたしがすっごいパワーに目覚めたということですかッ!?」",
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"382000431_56": "「それが、あまりに反応が微弱なせいで、\\n 身体のどこから発しているかも分からないんです」",
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"382000431_57": "「身体の中に……つまり、装者の皆さんみたいなすごい力が\\n あたしの中にあるかもしれない、ってことですよねッ!?」",
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"382000431_58": "「お、落ち着いてください。確かに、聖遺物との融合症例という\\n 前例もありますので、可能性はゼロではないですが」",
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"382000431_59": "「融合症例……そういうのもあるんですねッ!」",
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"382000431_60": "「もしそうであっても、武器になるものだとも限りません」",
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"382000431_61": "「ただ、これがイシムの眷属を感知できる理由とすれば、\\n 明日香さんの不思議な感覚にも説明がつきます」",
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"382000431_62": "「そのせいで、イシムの眷属から狙われているのかも\\n しれませんし……」",
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"382000431_63": "「それはつまり、あたしの中に眠る力が、イシムやその眷属に\\n とっては天敵になるかもしれない……そういうことですよね?」",
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"382000431_64": "「え?\\n それは……確かに、そういう捉え方もできるとは思いますが」",
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"382000431_65": "「なら、今はそれで十分ですッ!」",
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"382000431_66": "(そうだ。今はまだイシムの眷属の居場所が分かるだけでも、\\n 使いこなせば、あたしだって装者になれるかもしれないッ!)",
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"382000431_67": "(そうなれば、装者の数は8人……あたしが最後の一押しに\\n なれれば、滅びの運命だってきっと変えられるッ!)",
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"382000431_68": "(奏さん……見ていてください)",
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"382000431_69": "(あたしは絶対に、あなたから受け継いだ想いを、\\n 正義を諦めません――ッ!)",
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"382000431_70": "【ドクンッ――】",
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"382000431_71": "「――ッ!」",
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"382000431_72": "「明日香さんッ!?\\n まさか……ッ!」"
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