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"388000731_0": "(あれからもう、1時間近く歩き続けてるけど、\\n 吹雪は一向に止む気配がないわね……)",
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"388000731_1": "「はぁ……はぁ……」",
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"388000731_2": "(心配なのは、この子の体調ね。\\n 息が荒いし、熱もありそうだわ)",
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"388000731_3": "(精神世界での不調が肉体にどう影響を及ぼすかわからないけど、\\n こうも辛そうだと、見ているに忍びない……)",
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"388000731_4": "「おい、大丈夫か?」",
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"388000731_5": "「はぁ……はぁ……、平気、です……」",
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"388000731_6": "「……あたしの背中に乗れ」",
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"388000731_7": "「え……?",
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"388000731_8": " でも……」",
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"388000731_9": "「あたしの方がまだ、いくらか元気だ。\\n 遠慮すんなって」",
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"388000731_10": "「そうね。\\n 変わりばんこで背負っていきましょうか」",
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"388000731_11": "(とはいえ、わたしも徐々にしんどくなってきている……。\\n 山頂まで体力が持つかどうか……)",
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"388000731_12": "「――それがあなたたちの判断ですか?」",
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"388000731_13": "「緒川さん……ッ!?」",
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"388000731_14": "「だいぶ辛そうですね、未来さん」",
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"388000731_15": "「……まだ、やれます……」",
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"388000731_16": "「ここは精神世界とはいえ、肉体と精神の間には強い繋がりが\\n あると、ドクターたちから説明を受けています」",
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"388000731_17": "「このままでは、現実世界のあなたがどうなるか、\\n わかりませんよ」",
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"388000731_18": "「…………ッ!」",
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"388000731_19": "「奏さん、マリアさん。\\n 本当はわかっているのでしょう?」",
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"388000731_20": "「なんのことだ?」",
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"388000731_21": "「このまま、未来さんを庇いながらでは、\\n 山頂になど辿り着けないと」",
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"388000731_22": "「そんなこと……\\n やってみなけりゃわからないだろうッ!」",
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"388000731_23": "「この状況でも、ですか?」",
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"388000731_24": "「え……?」",
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"388000731_25": "「な……ッ!?\\n いつの間に……ッ!」",
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"388000731_26": "「完全に囲まれてるわね……。\\n 百……いえ、千どころの数じゃないわ」",
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"388000731_27": "「任務のためには、\\n ときとして犠牲をいとわない覚悟が必要です」",
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"388000731_28": "「未来さんを置いて2人で進めば、山頂に辿り着けるでしょう。\\n その暁には、草薙に伝わる秘伝をお2人に授けます」",
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"388000731_29": "「ふざけるなッ! そんなことできるもんかッ!\\n ここまで3人で来たんだッ! 進むなら、最後まで一緒だッ!」",
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"388000731_30": "「奏、さん……」",
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"388000731_31": "「なるほど……主君に仕え、命令の遂行を至上目標にする忍には、\\n そういう考え方もときには必要というわけね」",
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"388000731_32": "「それが忍の道です」",
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"388000731_33": "「おいッ!\\n まさか、置いていくなんて言うんじゃないだろうなッ!?」",
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"388000731_34": "「そんなことするくらいだったら、\\n 全員で山を下りた方がマシだッ!」",
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"388000731_35": "「奏さんはこう言っていますが、あなたも目標を放棄しますか?\\n あなたの覚悟はその程度だったということですか?」",
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"388000731_36": "「覚悟……ね。今、わたしたちがすべきは、\\n アカオニに対抗できる、忍の秘伝を手に入れること」",
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"388000731_37": "「そのためには、犠牲も厭うべきではない……」",
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"388000731_38": "「――なんて、そんなことをわたしが納得すると思っているの?」",
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"388000731_39": "「誰かを犠牲にしたうえでの勝利なんて、お断りよッ!」",
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"388000731_40": "「マリアさん……」",
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"388000731_41": "「わたしにあるのは、仲間を犠牲にする覚悟なんかじゃない」",
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"388000731_42": "「厳しい戦いでも、仲間と共に生き抜く。",
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"388000731_43": " ――それがわたしの覚悟よッ!」",
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"388000731_44": "「ハハッ……\\n なんだよ、びっくりさせやがって」",
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"388000731_45": "「……わたしだって、仲間の足を引っ張るためにここに\\n いるわけじゃない。……まだ、戦えるッ!」",
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"388000731_46": "「ギアを……?\\n 既に限界は越えているはずなのに……」",
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"388000731_47": "「限界?\\n そんなものはね、超えるためにあるのよ」",
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"388000731_48": "「ああ。3人揃ったなら、\\n どれだけアルカ・ノイズがいたところで、関係ない」",
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"388000731_49": "「せっかくここまで来てもらってなんですけど、\\n 山頂で待っていてもらえますか? 必ず、辿り着きますから」",
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"388000731_50": "「皆さん……」",
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"388000731_51": "「――お見事。\\n 全員、合格です」"
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