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"380000311_0": "閉ざされたゲート",
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"380000311_1": "「……本当に、何もない……」",
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"380000311_2": "(ついこの前まで、ここにゲートが開いてたはずなのに……)",
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"380000311_3": "「向こうで何かあったのか……。\\n それとも、あの葉っぱの怪物が原因なのか……」",
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"380000311_4": "「無理……?\\n 一体、どういうことなんだ?」",
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"380000311_5": "「……ギャラルホルンのゲートが、消失している。\\n こちらから向こうに渡る手段が失われてしまったんだ……」",
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"380000311_6": "「ゲートが消失した……?\\n そんな馬鹿なこと――」",
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"380000311_7": "「事実だ。痕跡すら見つけられなかった」",
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"380000311_8": "「いつからなんだよッ!\\n どうしてそんなことを黙って――ッ!」",
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"380000311_9": "「正確な時期は分からない。俺たちが気づいたのは、\\n ちょうどお前がデンマークでの任務中のことだ」",
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"380000311_10": "「……すまない。任務中に余計な気掛かりをさせないようにと\\n 考えたんだが、伝えるのが遅くなってしまった」",
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"380000311_11": "「そんな……。ついこの前じゃないか。\\n ――くッ! 自分の目で確認してくるッ!」",
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"380000311_12": "「――ッ!」",
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"380000311_13": "「これは、さっきの怪物の一部じゃないか? 焼け焦げた跡が\\n あるけど……あたし、こんな所で戦ってないぞ?」",
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"380000311_14": "「弦十郎のダンナに確認しないとッ!」",
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"380000311_15": "『トゥルルッ! トゥルルッ!』",
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"380000311_16": "「奏、確認はしたな?\\n 見ての通り、ゲートは――」",
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"380000311_17": "「ダンナ、聞いてくれッ!\\n ゲートがあった場所に、葉っぱの怪物の燃えカスがあった」",
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"380000311_18": "「なにッ!?」",
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"380000311_19": "「あたしが燃やした訳じゃない。\\n ここで戦った覚えはないからな」",
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"380000311_20": "「以前、調査した際にはそんなものの発見報告はなかった」",
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"380000311_21": "「なぁ? もしかしてあの葉っぱの怪物は、\\n ゲートを通って出てきたんじゃないか?」",
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"380000311_22": "「そして、どうにかしてギャラルホルンのゲートを\\n 塞いだんじゃ……」",
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"380000311_23": "「死骸があるというだけで、そこまでの結論を出す訳にはいかんが\\n タイミング的にも、なんらかの関係があるかもしれんな」",
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"380000311_24": "「これからあの怪物を捜して、完全に燃やしてくるッ!\\n それでゲートがまた開けば儲けもんだろ?」",
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"380000311_25": "「待てッ!\\n 焦る気持ちは分かるが、一旦は戻ってこい」",
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"380000311_26": "「まずは情報の共有と分析だ。\\n 無策で動き回られては、作戦の立てようもないからな」",
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"380000311_27": "「……分かったよ」",
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"380000311_28": "「連絡した通り、ゲートのあった場所で、\\n 誰かが葉っぱの怪物を倒したみたいだ」",
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"380000311_29": "「奏が言っていたように、ゲートを通って来た可能性もある。\\n 来る前にダメージを負い、こちらで力尽きたのかもしれん」",
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"380000311_30": "「なるほど、確かにその可能性もあるね」",
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"380000311_31": "「あ、ならあっちの世界の装者が、\\n この世界に来て戦ってる可能性も――」",
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"380000311_32": "「――いや、それはない。\\n シンフォギアなら、反応が検知されるはずだからな」",
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"380000311_33": "「あ、そっか……。\\n 向こうのみんなは、ゲートが消えた事に気づいてるのかな?」",
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"380000311_34": "「現時点では分からないけど、あなたが定期報告に来なければ、\\n 向こうでも異変には気付くと思うわ」",
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"380000311_35": "「そうだろうな。それに、原因がこちら側ではなく、\\n 向こうで起こっている可能性もある」",
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"380000311_36": "「なんとかしてコンタクトを図りたいが……。\\n ままならないものだな……」",
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"380000311_37": "「並行世界だもの。考えても仕方ないわよ。\\n それこそ天才の私でもお手上げだし」",
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"380000311_38": "「……本当に了子さんでも無理なのか?」",
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"380000311_39": "「ええ。今のところはね。ギャラルホルンが\\n ない以上は、こちらからのコンタクトは不可能よ」",
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"380000311_40": "「…………」",
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"380000311_41": "「ましてや、並行世界へのゲートを開くだなんて、それこそ\\n 自分で新たな聖遺物を発明するようなものじゃない」",
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"380000311_42": "「私も研究者だし、可能性がゼロとは言わないけど、\\n 限りなくゼロに近い確率と言うしかないわ」",
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"380000311_43": "「そっか……」",
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"380000311_44": "「だから今できることは、あの植物型の怪物を\\n 倒してみる事くらいじゃないかしら」",
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"380000311_45": "「奏ちゃんも言ってた通り、もしあの怪物が原因なら、\\n それでゲートが再出現するかもしれないわ」",
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"380000311_46": "「……そうだよな。\\n アレが原因なら今度こそあたしのブリーシンガメンの炎で――」",
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"380000311_47": "「あ、それなんだけど、\\n デュオレリックの多用は厳禁よ」",
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"380000311_48": "「ど、どういうことだよッ!」",
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"380000311_49": "「分かっているでしょ。身体への負担が大きすぎるのよ。\\n 他の装者の協力がない今の状態での多用はお勧めできないわ」",
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"380000311_50": "「でも、アレを倒すにはデュオレリックが――」",
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"380000311_51": "「使うな、と言っているわけじゃないわ。\\n ここぞという時だけにしなさい」",
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"380000311_52": "「……あまり1人で背負いすぎないで、ということよ」",
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"380000311_53": "「どちらにしても、あの敵の再出現に備えて、\\n 今は休息が必要だ」",
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"380000311_54": "「ゲートの件は引き続き調査を進めておく。\\n 何か分かったら必ず知らせるから、今は休め」",
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"380000311_55": "「……分かったよ」",
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"380000311_56": "「新たなる敵に、ゲートの消失現象か……。\\n 了子くんはこの2つに繋がりはあると思うか?」",
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"380000311_57": "「どうかしらね。\\n でも正直、関連があってほしいとは思っているわ」",
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"380000311_58": "「だってもし、この2つに関連が全くないとしたら、私たちは\\n 同時に2つの大きな事件に巻き込まれてるってことだもの」",
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"380000311_59": "「それは確かにぞっとしないな……。\\n どう考えても俺たちだけでは手に余る事態だ」",
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"380000311_60": "「あの……、でしたら錬金術師協会に\\n 協力を仰ぐというのはいかがでしょうか?」",
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"380000311_61": "「そうですよ。いくら事件が日本で起きているとはいえ、\\n 聖遺物が絡む以上、協力してくれるんじゃないですか?」",
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"380000311_62": "「んー、私もそれはいいと思うけど。\\n どうなのかしら?」",
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"380000311_63": "「……そうだな。\\n そうできればいいんだが……」",
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"380000311_64": "「今すぐ。というのは難しいだろうな」",
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"380000311_65": "「どうしてですか?\\n 現在の危機的状況なら、協力するべきじゃ――」",
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"380000311_66": "「その状況が問題なんだ。現在、こちらには装者が奏しかいない。\\n そして並行世界との繋がりも途絶している……」",
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"380000311_67": "「いくら同盟関係にあるとはいえ、協会の腹の内は見えん」",
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"380000311_68": "「やもすると、並行世界の装者たちの存在が、\\n 協会の野望を封じ込めていた可能性も無いとは限らん」",
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"380000311_69": "「言われてみると、無策のまま弱味を<ruby=さら>曝</ruby>けだすのは怖いわね」",
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"380000311_70": "「万一、なんらかの情勢変化で、協会側が二心を抱いたら、\\n 対抗できるのは、奏しかいないのだ」",
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"380000311_71": "「ましてや錬金術師協会は、非政府系。\\n 国連や、国際世論に配慮する必要もない組織だ」",
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"380000311_72": "「実情はどうあれ、そんな危険な連中を、自ら招き入れるなど、\\n もっての他だ、とお偉方は考えるだろうな……」",
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"380000311_73": "「結局、政治的な側面もあるんですね……」",
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"380000311_74": "「年をとればとる程、善意の裏側に対する想像力は\\n 豊かになるのよね」",
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"380000311_75": "「……身も蓋もないが、そういうことだ」",
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"380000311_76": "「…………」",
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"380000311_77": "(あの怪物を倒す。そうすれば、きっとまたゲートが\\n 出現して、向こうの世界の翼たちと――)",
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"380000311_78": "(……本当に、そうなのか……?\\n もし、そうならなかったら――)",
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"380000311_79": "「……心のどこかで、了子さんや弦十郎のダンナなら\\n 指針を示してくれるって甘えてたけど――」",
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"380000311_80": "「ええ。今のところはね。ギャラルホルンが\\n ない以上は、こちらからのコンタクトは不可能よ」",
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"380000311_81": "「こっちからはコンタクトできない……。\\n もし、このまま繋がらないままだったら……」",
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||
"380000311_82": "(あたしは、また翼を失って――)",
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"380000311_83": "『トゥルルッ! トゥルルッ!』",
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"380000311_84": "「……ッ! こちら奏。\\n あの怪物が出たのか?」",
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"380000311_85": "「ああ、すぐに迎えを送る。\\n 現場に急行してくれ」",
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"380000311_86": "「ああ、分かったよ」",
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"380000311_87": "「……今は考えても仕方ない。\\n あたしにできることをするんだ」"
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