109 lines
9.8 KiB
JSON
109 lines
9.8 KiB
JSON
{
|
||
"318000931_0": "「周辺地域の建物が、修復されたッ!?」",
|
||
"318000931_1": "「そんな、どうやって……」",
|
||
"318000931_2": "「……彼は、味方なのでしょうか?」",
|
||
"318000931_3": "「まだわからん。だが、警戒は続けるんだ」",
|
||
"318000931_4": "(アダム・ヴァイスハウプト……)",
|
||
"318000931_5": "(あの魔力の根源が、彼だと言うの?\\n だとしたら、どれほどの力が……)",
|
||
"318000931_6": "「なんか、様子が変デスよ」",
|
||
"318000931_7": "「うん……本当にあのアダムなの?」",
|
||
"318000931_8": "「わたしたちの世界では、この人はサンジェルマンさんたちの\\n 理想を利用してた……自分の目的のために」",
|
||
"318000931_9": "「わたしたちを油断させようとしてるの?」",
|
||
"318000931_10": "「悪辣なヤツだったデス。\\n 充分あり得る話デスよ」",
|
||
"318000931_11": "(そうだよ。この人だけは信用できない……)",
|
||
"318000931_12": "「ああ、そうだった。\\n 忘れていたよ、言うのを」",
|
||
"318000931_13": "「何をッ!?」",
|
||
"318000931_14": "「礼さ。僕の部下たちを助けてくれたことへの」",
|
||
"318000931_15": "「そして詫びも」",
|
||
"318000931_16": "「アリシア・バーンスタイン一派の\\n 引き起こした事件についての、ね」",
|
||
"318000931_17": "「お礼と……」",
|
||
"318000931_18": "「詫びデスとッ!?」",
|
||
"318000931_19": "「これでも長だからね、\\n 錬金術師の協会の」",
|
||
"318000931_20": "「本来なら、こちらでやるべきだった。\\n 事件の処理は」",
|
||
"318000931_21": "「事件の処理……だって?」",
|
||
"318000931_22": "「まさか……ブラックアウト事件の時、\\n 飛行機墜落の犠牲者がなかったのはッ!?」",
|
||
"318000931_23": "「ああ、そうだよ。\\n できなかったからね。それくらいしか」",
|
||
"318000931_24": "「だが実行したのは我々というワケダ」",
|
||
"318000931_25": "「局長はいつも口だけだものね。\\n 人使い荒すぎよ、ホント」",
|
||
"318000931_26": "「人助けデス?」",
|
||
"318000931_27": "「当然だよ。\\n 我らが追求する目的のためにはね」",
|
||
"318000931_28": "「あなたたちの……目的って?」",
|
||
"318000931_29": "「真理の追求と、それによって得られる人の幸福……」",
|
||
"318000931_30": "「人類を影ながら保護、支援することかな。平たく言えばね」",
|
||
"318000931_31": "「支配に、権力に、決しておもねることなく、\\n 無力な人々を導くのが我々の目的だよ」",
|
||
"318000931_32": "「それって、サンジェルマンさんと、同じ――?」",
|
||
"318000931_33": "「もしかして、良い組織ってことデスか?」",
|
||
"318000931_34": "「で……でも、アルカ・ノイズはッ!」",
|
||
"318000931_35": "「そ、そうデスよッ!\\n あんな物騒な物作っといて良い組織なワケないデスよッ!」",
|
||
"318000931_36": "「作ってないよ、我々はね。\\n 利用してもいないさ」",
|
||
"318000931_37": "「協会から抜け出た者たちの仕業だよ、あれは。\\n 頭が痛いことにね」",
|
||
"318000931_38": "「言われてみれば……」",
|
||
"318000931_39": "「アルカ・ノイズをけしかけてきたのは、\\n はぐれ錬金術師たちだけデスね……」",
|
||
"318000931_40": "「とはいえ、元は協会の人間。責任はあるよ。我々にもね。\\n だから取り締まってるのさ」",
|
||
"318000931_41": "「協会から抜け出た『はぐれ』者、\\n 錬金術の力を利用して不貞を働く者たちを」",
|
||
"318000931_42": "「でも、口先だけならなんとでも言える」",
|
||
"318000931_43": "「やれやれ。よほどの悪人だったのかな?\\n ――そちらの世界の僕は」",
|
||
"318000931_44": "「どういう意味デスかッ!?」",
|
||
"318000931_45": "「言葉のままだよ。\\n 来たんだろう、君たちは。並行世界から」",
|
||
"318000931_46": "「ど、どうしてそれを――」",
|
||
"318000931_47": "「調べさせてもらっただけだよ。\\n 企業秘密だけどね、方法は」",
|
||
"318000931_48": "「知っている者はいないよ、協会でも。\\n 君たち自身と、僕以外にはね」",
|
||
"318000931_49": "「初耳だったのだろう? サンジェルマンたちも」",
|
||
"318000931_50": "「ええ。先刻、彼女から聞いたのが初めてです」",
|
||
"318000931_51": "「そうだろうとも。\\n 僕が1人で行ったからね。調査も確認も、全て」",
|
||
"318000931_52": "「そう……。\\n だから、あなたたちは、最初から私たちのことを知っていたのね」",
|
||
"318000931_53": "「初対面なのに名前呼んだりするから、\\n 新手のストーカーかと思っちゃったわ」",
|
||
"318000931_54": "「冗談はともかく、\\n 二課の諜報部に内偵されたと思ったワケダ」",
|
||
"318000931_55": "「あ、あの……」",
|
||
"318000931_56": "「なんだ?」",
|
||
"318000931_57": "「わたしたちの世界で、\\n わたしたちとサンジェルマンさんたちは――」",
|
||
"318000931_58": "「何も言わなくていいわ」",
|
||
"318000931_59": "「えッ?」",
|
||
"318000931_60": "「並行世界の自分など知っても意味はない」",
|
||
"318000931_61": "「私たちは私たち。\\n 支配に抗い、錬金術によって人を導くのが私たちの矜持だから」",
|
||
"318000931_62": "「本当に信じていいんですね、アダムさんのことも」",
|
||
"318000931_63": "「ええ。もし、あなたが私のことを信じてくれているなら、\\n それと同じくらいにはね」",
|
||
"318000931_64": "「彼は私たち錬金術師協会のトップ、\\n あまたの錬金術師を率いる統制局長――」",
|
||
"318000931_65": "「錬金術を用いて、歴史の影から弱者を救い続けている、\\n この世界の番人なのだから……」",
|
||
"318000931_66": "「……わかりました。\\n あなたたちのことを信じます」",
|
||
"318000931_67": "「何よりだよ、誤解が解けたようで」",
|
||
"318000931_68": "「ったく、人騒がせな。\\n だったら最初からそう言えってんだよ……」",
|
||
"318000931_69": "「信じたかね、行動なき言を。\\n 受け容れられたかね、我々の存在を」",
|
||
"318000931_70": "「そ、それは……」",
|
||
"318000931_71": "「アリシアさんたちの事件の後だから、\\n 正直、難しかったと思います」",
|
||
"318000931_72": "「きっと裏があると思ったデスね……」",
|
||
"318000931_73": "「実際、今もそうだったし」",
|
||
"318000931_74": "「そうだろうとも」",
|
||
"318000931_75": "「だが仕方ないよ。\\n 歴史の影に潜む者だからね、錬金術師という存在は」",
|
||
"318000931_76": "「現れたりしないものさ、無闇には。\\n 語らないものさ、饒舌には」",
|
||
"318000931_77": "「花というものだよ、秘してこその、ね」",
|
||
"318000931_78": "「花は花でも仇花の類いでしょうがね」",
|
||
"318000931_79": "「手厳しいね、相変わらず」",
|
||
"318000931_80": "「だが、いつか必ず返させてもらうよ。\\n この借りはね」",
|
||
"318000931_81": "「アダムさん……」",
|
||
"318000931_82": "「別に貸した覚えはないけどな」",
|
||
"318000931_83": "「最後まで可愛くないワケダ」",
|
||
"318000931_84": "「ホントにね……。\\n でもま、嫌いじゃなかったわよ、その性格」",
|
||
"318000931_85": "「な、何をッ!?」",
|
||
"318000931_86": "「だが、流石にその顔は見飽きたというワケダ。\\n しばらく見なくていいくらいにはな」",
|
||
"318000931_87": "「ったく……居候どもが好き放題言いやがって」",
|
||
"318000931_88": "「では、帰るとしようか。\\n 借り暮らしの宿から、愛しき我らが家へとね」",
|
||
"318000931_89": "「さらばというワケダ」",
|
||
"318000931_90": "「おチビちゃんたちもバイバイね☆」",
|
||
"318000931_91": "「だから、おチビちゃんじゃないデスよッ!」",
|
||
"318000931_92": "「でも、その……お世話になりました」",
|
||
"318000931_93": "「あーしたちこそね。\\n ありがと、サンジェルマンを助けてくれて」",
|
||
"318000931_94": "「では、私も行くとしよう」",
|
||
"318000931_95": "「さようなら、サンジェルマンさん」",
|
||
"318000931_96": "「ああ……。\\n お前のような者と出会えたことは望外の<ruby=ぎょうこう>僥倖</ruby>だった」",
|
||
"318000931_97": "「わたしもです、サンジェルマンさん……」",
|
||
"318000931_98": "「今度こそ、最後まで一緒に戦えて嬉しかったです」",
|
||
"318000931_99": "「戦い終えて、こうして、みんな無事に……」",
|
||
"318000931_100": "(ああ、そうだったのか。\\n だからこそ、お前はああまでも必死に――)",
|
||
"318000931_101": "(いや、今更問うまい)",
|
||
"318000931_102": "「さらばだ、立花響……。\\n 幾久しく、壮健であれ」",
|
||
"318000931_103": "「は、はい。サンジェルマンさんこそ」",
|
||
"318000931_104": "「叶うなら、いつかまた会おう。\\n 我が……異世界の友よ」",
|
||
"318000931_105": "「――ッ!」",
|
||
"318000931_106": "「はいッ! また会いましょうッ!\\n いつかまた、きっと――――ッ!」"
|
||
} |