33 lines
2.9 KiB
JSON
33 lines
2.9 KiB
JSON
{
|
||
"318000121_0": "……もう何百年も前。生まれた身分で全てが決まる時代。",
|
||
"318000121_1": "あの頃、あーしは錬金術師を名乗って、貴族どもを相手に詐欺を重ねていた。",
|
||
"318000121_2": "間抜けな上流階級の貴族どもが、低い身分のあーしに騙され、",
|
||
"318000121_3": "何もかも失う様は、見ていて本当に笑えた。",
|
||
"318000121_4": "そうして調子に乗ったあーしは、宮廷に入り込み、王族にまで",
|
||
"318000121_5": "詐欺を働き、その結果、国中から追われる身となった。",
|
||
"318000121_6": "――彼女と出会ったのは、そんな頃だった。",
|
||
"318000121_7": "「支配への反逆……革命を望むなら、私の同志となりなさい。\\n ……あなたに本当の錬金術を教えてあげる」",
|
||
"318000121_8": "「同志だと……?」",
|
||
"318000121_9": "「ええ……。\\n この理不尽な支配に抑圧されし世界を変革する同志に、ね」",
|
||
"318000121_10": "追われていたあーしを、本物の錬金術を駆使して刑吏の目から",
|
||
"318000121_11": "隠し、サンジェルマンはあーしにそう言った。",
|
||
"318000121_12": "貴族が何を……なんて思ったけど、その言葉と、紛い物ではない",
|
||
"318000121_13": "本物の錬金術に惹かれたあーしは、彼女の同志になった……。",
|
||
"318000121_14": "……まさかその後で、永遠の命と完全な肉体――女性体を",
|
||
"318000121_15": "与えられ、こーんな風になるなんて思わなかったけど。",
|
||
"318000121_16": "でも、男でいた頃より何百倍も魅力的になれたし、それも",
|
||
"318000121_17": "これもサンジェルマンのおかげよね~。",
|
||
"318000121_18": "あーしは正直、もう革命とかどうでもいいんだけど、",
|
||
"318000121_19": "サンジェルマンのためなら、なんだってやってみせる。",
|
||
"318000121_20": "それが、命を救われ、こーんなに魅力的にしてもらった、",
|
||
"318000121_21": "あーしの恩返しだから……。",
|
||
"318000121_22": "「カリオストロ? 今の戦闘で負傷でもしたの?」",
|
||
"318000121_23": "「別にどうもしてないわ。ちょっと考え事してただけ」",
|
||
"318000121_24": "「作戦中によそ事とは、ずいぶんと余裕なワケダ」",
|
||
"318000121_25": "「悪かったわね。\\n それよりも、また新手みたいよ」",
|
||
"318000121_26": "「ええ、その様ね」",
|
||
"318000121_27": "「しつこすぎるワケダ」",
|
||
"318000121_28": "「けれど、それ故に、本命が近いという証左でもあるわ」",
|
||
"318000121_29": "「なら、ちゃっちゃと片付けて\\n 黒幕をふんづかまえちゃいましょッ!」",
|
||
"318000121_30": "「ああッ!」"
|
||
} |