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{
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"346000531_0": "「ごめん、響。\\n 今日は用事があって、一緒に帰れないの」",
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"346000531_1": "「そうなんだ。用事って?」",
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"346000531_2": "「なんでもないのッ!\\n その、響には関係の無いことだから」",
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"346000531_3": "「ふーん? じゃあ、今日は1人で帰るね」",
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"346000531_4": "「うん。また明日ね」",
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"346000531_5": "「未来……最近どうしたんだろう……。\\n 何か、隠して……?」",
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"346000531_6": "「こんにちは、待っていたわ」",
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"346000531_7": "「……ッ!?」",
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"346000531_8": "「さっきはお騒がせしたわね、ヒビキ。\\n 部外者立ち入り禁止とは知らなくて」",
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"346000531_9": "「……あれはお騒がせしすぎです」",
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"346000531_10": "「まだ名乗っていなかったわよね。\\n 私はスターリットよ」",
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"346000531_11": "「……よろしくお願いします」",
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"346000531_12": "「あ、敬語なんて使わなくていいわよ?」",
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"346000531_13": "「……わかった。\\n それで、どうしてわたしに会いに?」",
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"346000531_14": "「あなたと友達になりに来たのよ」",
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"346000531_15": "「あの後また追っ手を撒いて、\\n みんなにヒビキのことを聞いてみたの」",
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"346000531_16": "「『怖いと思ってたけど、実は優しい』\\n 『不良かと思ったけど、実は真面目』」",
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"346000531_17": "「『クールだけど、実は猫が好き』\\n エトセトラエトセトラ……」",
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"346000531_18": "「私が見込んだ通り、素敵な女の子だってわかった。\\n ぜひお友達になりたいわッ!」",
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"346000531_19": "「だ、誰がそんなことを……ッ!?\\n 猫のことまで……」",
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"346000531_20": "「……というかそれは、ただの裏付けでしょ。\\n そもそも、なんでわたしを探してたの?」",
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"346000531_21": "「全然理由がわからないんだけど……」",
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"346000531_22": "「お互い、歌に惹かれ合った仲じゃない。\\n 友達になる理由に、これ以上のものがあるッ!?」",
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"346000531_23": "「<size=25>……思ったよりめんどくさいノリだな……</size>」",
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"346000531_24": "「何か言った?」",
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"346000531_25": "「いや、別に」",
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"346000531_26": "「ならよかった。\\n それじゃ、とりあえず何か食べに行きましょうか」",
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"346000531_27": "「ここであなたのこと待ってたらお腹空いちゃった」",
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"346000531_28": "(……まあ、この前は未来を助けてくれたし、\\n こっちも聞きたいことがあるし、付き合うか)",
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"346000531_29": "「んーッ!\\n やっぱり、食事は誰かと一緒に食べたほうが美味しいね」",
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"346000531_30": "「……それはわかる。\\n 1人で食べる食事は、味気無いし……」",
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"346000531_31": "「って。それよりも、聞きたいことがあるんだった」",
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"346000531_32": "「聞きたいこと?」",
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"346000531_33": "「……あなたはこの前、『シンフォギア』と言った。\\n どうしてその名前を?」",
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"346000531_34": "「私が某国のスパイだから――。\\n と言ったら?」",
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"346000531_35": "「今すぐ取り押さえて、しかるべきところに連れて行く」",
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"346000531_36": "「フフ、嘘よ。\\n 昔、シンフォギアの研究に関わったことがあるの」",
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"346000531_37": "「――ッ!?\\n それじゃ、スターリットは研究者……?」",
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"346000531_38": "「まあね。\\n ほら、科学の先生だって言ったでしょ?」",
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"346000531_39": "「まあ、専門分野は別で、シンフォギアについてはそこまでなんだけどね」",
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"346000531_40": "「そうだったんだ……」",
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"346000531_41": "「あなたの戦う姿、素晴らしかったわ。\\n シンフォギアの力を、あんなにも引き出せるなんて」",
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"346000531_42": "「ねえ、ヒビキはどうして装者になったの?」",
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"346000531_43": "「それは、機密事項」",
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"346000531_44": "「お堅いわね……。それじゃあ当ててあげる。\\n あのとき一緒にいた、女の子のためでしょ?」",
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"346000531_45": "「――ッ!?」",
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"346000531_46": "「図星ね。というか、気絶したくらいであんなに\\n 取り乱していたら、バレバレよ?」",
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"346000531_47": "「う……」",
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"346000531_48": "「しかも、その子が最近何か隠しているようで、\\n 気が気じゃないと」",
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"346000531_49": "「うう……ッ!」",
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"346000531_50": "「さっきの独り言、聞いてたのか……」",
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"346000531_51": "「たまたま聞こえちゃったのよ。\\n ……あの子のこと、大切に想っているのね」",
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"346000531_52": "「……わたしは、あの子に救われた」",
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"346000531_53": "「繋いでくれた手を離さないため、笑顔を護るため――、\\n それが、わたしが装者になった理由」",
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"346000531_54": "「なるほどね。\\n ヒビキの歌が、まっすぐな理由がわかった」",
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"346000531_55": "「そんな悩める少女におすすめの道具があるわ。\\n 『強制自白念波ガン』って言って――」",
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"346000531_56": "「そんなの未来に使えるかッ!」",
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"346000531_57": "「……というか学院でも言ってたけど、\\n スターリットの持ってる変な道具は何……?」",
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"346000531_58": "「『変な道具』とは失礼な……ッ!\\n この私の発明品よ。すごいでしょう」",
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"346000531_59": "「他にもいろいろあるわよ。『悪夢レベルランダム改変装置』、\\n 『丸見え透過記録カメラ』……」",
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"346000531_60": "「確かにすごい技術っぽいけど、\\n なんかパッとしない……」",
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"346000531_61": "「あと、『猫語自動翻訳マイク』」",
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"346000531_62": "「そ、それはちょっと欲しいかも……」",
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"346000531_63": "「……研究者というより、発明家なの?\\n それも、変わり者の」",
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"346000531_64": "「発明は趣味みたいなものよ。\\n 断じて、変わり者ではありません」",
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"346000531_65": "「……話を戻すけど、あの子が何か隠しているとしても、\\n 心配する必要は無いわ。道具を使うまでもなくね」",
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"346000531_66": "「どうして……?」",
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"346000531_67": "「そんな風に想われている人が、\\n 悪いことなんて考えているはずがないもの」",
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"346000531_68": "「相思相愛に決まってるッ!\\n 私が保証するわ」",
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"346000531_69": "「……」",
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"346000531_70": "「あ、なんの根拠も無いって顔してる……。\\n 確かに根拠は無いけど、私の勘は当たるのよ」",
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"346000531_71": "「きっとそのうち話してくれる。\\n だから、ヒビキは安心して待っていればいい」",
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"346000531_72": "「まあ、確かにその通りかも……。\\n 未来が考えることだもん」",
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"346000531_73": "「焦ってもしょうがないし、\\n 未来のことを信じて、待つことにする」",
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"346000531_74": "「うんうん、それがいいと思うわ」",
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"346000531_75": "「次は、スターリットの悩みも聞かせてくれる?」",
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"346000531_76": "「この前言ったでしょ? スターリットの歌、\\n 迷って、悩んでるように聴こえたって」",
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"346000531_77": "「わたしの勘違いだったら、それでいいんだけど……」",
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"346000531_78": "「……ううん、ヒビキの言う通りよ。\\n 実を言うと、そのことがずっと気になってたの」",
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"346000531_79": "「私の歌を聴いて気づいてくれたヒビキなら、私の相談に乗って\\n くれるんじゃないかって……。いいかな?」",
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"346000531_80": "「……わかった。わたしになんとかできるかは\\n わからないけど、話を聞くくらいなら」",
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"346000531_81": "「やっぱり、ヒビキは優しいわね。\\n 私のことなんか無視して、帰っちゃうこともできるのに」",
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"346000531_82": "「今からそうしてもいいけど?」",
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"346000531_83": "「待ってッ! ちゃんと話すから」",
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"346000531_84": "「……あのね、人は変わることができると思う?」",
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"346000531_85": "「どういう意味?」",
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"346000531_86": "「ごめん……順を追って話さないとダメよね。\\n ちょっと焦っちゃって……」",
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"346000531_87": "「私ね、唄うことが好きなの。歌の持つ力とか、歌で伝わる\\n 気持ちとか、そういうのを抜きにしても、唄うことが好き」",
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"346000531_88": "「今思えば、だからシンフォギアに興味を持ったのかな」",
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"346000531_89": "「スターリットの歌声を聴いたときから、\\n なんとなく、そうかなって思ってた」",
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"346000531_90": "「フフ、ありがとう」",
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"346000531_91": "「でね、私は唄うのが好きなだけだったんだけど、\\n そんな私の歌を、好きだって言ってくれる人がいたの」",
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"346000531_92": "「その人は、信念があって頭がよくて、\\n すごく尊敬できる人だった」",
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"346000531_93": "「私はね、その人の傍にいて、\\n その人の夢を支えようって決めたの」",
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"346000531_94": "「スターリットにとっての、大切な人なんだ」",
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"346000531_95": "「そう、ヒビキがミク?ちゃんを好きなようにね。\\n でも、想う気持ちなら負けてないつもりよ?」",
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"346000531_96": "「はいはい」",
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"346000531_97": "(未来も、わたしの歌を好きだって言ってくれたっけ。\\n 本当にわたしにとっての未来みたいな人なのかな?)",
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"346000531_98": "「で、その人のことで迷っているの……?」",
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"346000531_99": "「……ええ。最近、その人の考えが正しいのか、\\n その人を信じていいのか、わからなくなってしまって……」",
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"346000531_100": "「疑っちゃいけないのに、考えれば考えるほど、\\n その人が間違った道を進んでいるように思えてならないの」",
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"346000531_101": "「……」",
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"346000531_102": "「それで、質問。\\n 人は変わることができると思う?」",
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"346000531_103": "「間違った道から戻ることができるのか、\\n それとも、そのまま突き進むだけなのか……」",
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"346000531_104": "「変わることが、できるか……」",
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"346000531_105": "「なんて、いきなり聞かれても困るわよね」",
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"346000531_106": "「わたしは――」",
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"346000531_107": "「この反応は――ッ!」",
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"346000531_108": "「スターリット?」",
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"346000531_109": "「もう、行かなくちゃいけないみたい。\\n 話の途中でごめんね?」",
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"346000531_110": "「ちょッ――」",
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"346000531_111": "「それじゃあ、また会えたらッ!」",
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"346000531_112": "「いない……?」",
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"346000531_113": "「一体、なんだったの……」",
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"346000531_114": "同時刻、某国某所――",
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"346000531_115": "「な、なんなんだよ、アレはッ!」",
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"346000531_116": "「ノイズ……いや、違うッ!?」",
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"346000531_117": "「いや……来ないで……。\\n 来ないでええええええッ!」",
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"346000531_118": "「人が、消えた……アレに消されちまったッ!?",
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"346000531_119": " ――うわあああああッ!?」",
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"346000531_120": "「悪夢だ……。\\n こんなの、どうやったって逃げられ――ッ!?」",
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"346000531_121": "「…………」",
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"346000531_122": "(スターリット、どこに行ったんだろう……)",
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"346000531_123": "(人は変われるか、か。\\n わたしは……)",
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"346000531_124": "「――ッ!? はいッ!」",
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"346000531_125": "「第7地区にノイズが発生したッ!」",
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"346000531_126": "「すでに翼が向かっている。\\n 響くんも急行してくれ」",
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"346000531_127": "「わかりましたッ!」"
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