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"345000551_0": "「よし、納品完了。\\n それにしても、変わった開発依頼だった」",
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"345000551_1": "「電子レンジと電話を合体させた物なんて、\\n 一体、何に使うんだろう……?」",
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"345000551_2": "「まあ、作るのは大した手間でもないし、\\n 金払いのいい上客だから、おいしい仕事だけど」",
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"345000551_3": "「さてと……」",
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"345000551_4": "「あいつどこに行ったんだ?\\n ダメ助手もいないし、まったく……」",
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"345000551_5": "「ん?\\n 何、この培養槽に繋がったケーブル。わたし知らない……」",
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"345000551_6": "「それに、この隠してある機材……」",
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"345000551_7": "「PC内のログは消されているか……。",
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"345000551_8": " でも、この程度の復元なんて簡単」",
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"345000551_9": "「F.I.S.へのアクセス記録?\\n ……ダメ助手、一体何をしようとしているの?」",
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"345000551_10": "「こっちのアタシたちにそんなことが……」",
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"345000551_11": "「それで? なぜお前も一緒に抜けたんだ?」",
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"345000551_12": "「僕は調さんに脅されて、無理やり協力させられたんですよ」",
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"345000551_13": "「調がそんなことをするわけないわッ!」",
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"345000551_14": "「そう思いますか?\\n かけがえのない大切な人を救うためでも?」",
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"345000551_15": "「…………」",
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"345000551_16": "「調さんには、なりふり構っている\\n 余裕なんて無かったんですよ」",
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"345000551_17": "「彼女には生命維持装置を扱うための知識はありませんでした。\\n 当然、切歌さんを治療する方法もわからない」",
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"345000551_18": "「それで、協力させるためにお前を攫ったと」",
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"345000551_19": "「そういうことです」",
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"345000551_20": "「アンドロイドの暁は、お前が造ったのか?」",
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"345000551_21": "「造ったのは調さんですよ。\\n 当然、僕も協力はしましたが」",
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"345000551_22": "「ええッ!? 調が造ったデスか?\\n 調にそんなことができたなんて、驚きデース」",
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"345000551_23": "「えっへんデースッ!\\n 調はすごいんデスよッ!」",
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"345000551_24": "「いやいや、とても信じられないわ。\\n 並行世界とはいえ、調がそんなこと……」",
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"345000551_25": "「彼女は切歌さんを目覚めさせるために、\\n 自分の睡眠時間を削り必死に勉強していましたからね」",
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"345000551_26": "「ちなみに、調さんに教えた先生の1人は僕ですよ」",
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"345000551_27": "「……大丈夫なの、それ?」",
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"345000551_28": "「これでも助手は、教えるのが上手なんデスよ」",
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"345000551_29": "「まあ、僕にかかれば当然ですッ!」",
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"345000551_30": "「あの生命維持装置も、調が何度も手を加えて\\n 機能を改良し続けているんデス」",
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"345000551_31": "「おお、こっちの調はすごく頭がいいんデスね。\\n ……あッ! アタシの調も頭はいい方デスよッ!」",
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"345000551_32": "「でも、1つわからないんデスが……」",
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"345000551_33": "「なんです?」",
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"345000551_34": "「『アンドロイド切歌』に対しての調の態度が気になるデス。\\n 自分で造ったのに、なんで、あんな態度を……」",
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"345000551_35": "「それは……、\\n 失敗作だからデス」",
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"345000551_36": "「失敗作?」",
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"345000551_37": "「アンドロイド切歌の本来の役割は、\\n 昏睡状態の切歌さんの意識を、このボディに繋げることだったんです」",
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"345000551_38": "「つまり、本物の切歌さんに動ける身体を与えることが目的だった。\\n しかし、思うようにはいかず、結果は失敗……」",
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"345000551_39": "「仕方なく、切歌さんの思考を模した人工知能を\\n 搭載して完成させたのが、このアンドロイド切歌なのです」",
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"345000551_40": "「そうだったんデスか……、\\n でも、それでなんで嫌われるんデス?」",
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"345000551_41": "「昏睡状態で眠る切歌さんがいる以上、\\n それ以外を『切歌』と認めることができないのでしょう」",
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"345000551_42": "「…………」",
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"345000551_43": "「なんだか、しんみりしちゃってるデスが、\\n アタシのことは気にしなくていいデスよ」",
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"345000551_44": "「所詮は、ロボットデスから」",
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"345000551_45": "「…………」",
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"345000551_46": "「……いや、失敗したとはいえ、\\n 人工知能に、アンドロイドの製作技術――」",
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"345000551_47": "「お前たちの知識だけで\\n どうにかなるものではないだろう」",
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"345000551_48": "「それに、並行世界との移動技術、\\n とても既存情報の学習で得られるものではない」",
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"345000551_49": "「それは……、そうですね、\\n とある人物から技術提供があったから、とだけお伝えしましょう」",
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"345000551_50": "「とある人物? 誰だそれは?」",
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"345000551_51": "「それを話すほどあなたと僕は親しい仲ではありませんよ」",
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"345000551_52": "「貴様ッ!」",
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"345000551_53": "「ですが、そうですね。\\n あなた方が、僕に協力するなら、考えてもいいですよ」",
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"345000551_54": "「協力だと?」",
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"345000551_55": "「ええ、そうです。\\n 実は、それが話の本題でもあるんですが……」",
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"345000551_56": "「俺たちに何をしてほしいんだ?」",
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"345000551_57": "「とある物をF.I.S.から持ってきてほしいんですよ」",
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"345000551_58": "「なんだと?」",
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"345000551_59": "「何を狙っているというの?」",
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"345000551_60": "「F.I.S.が保管している完全聖遺物です。\\n 名前は『アスクレピオスの杖』」",
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"345000551_61": "「聞いたことがない聖遺物の名前デスね」",
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"345000551_62": "「その聖遺物を使って何をするつもりだ?」",
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"345000551_63": "「生命維持装置に繋がった切歌さんを目覚めさせるんですよ」",
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"345000551_64": "「なんとッ! その聖遺物があれば、\\n この世界のアタシを救えるデス?」",
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"345000551_65": "「ええ、可能性は高いです」",
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"345000551_66": "「伝承では、怪我や病気の治癒効果を持った\\n 強力な聖遺物ですからね」",
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"345000551_67": "「F.I.S.では、すでにその聖遺物の効果が\\n 立証されたという情報も得ています」",
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"345000551_68": "「本来は僕たちで回収に向かいたかったのですが……」",
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"345000551_69": "「残念ながら、アタシたちはお尋ね者で\\n 下手に島から出られないんデスよ」",
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"345000551_70": "「組織から抜け出した裏切り者を\\n 放っておくほど優しい組織ではないものね」",
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"345000551_71": "「ええ、おまけに最近は監視の目も厳しく、\\n 島の外に出かけるのも一苦労なんですよ」",
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"345000551_72": "「あなたたちに頼みたいというのはF.I.S.に忍び込み、\\n この聖遺物を借りてきてほしいんです」",
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"345000551_73": "「物は言いようデスね」",
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"345000551_74": "「まあ、手段を選んでいる状況ではありませんしね」",
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"345000551_75": "「……アタシは、やるデスよッ!」",
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"345000551_76": "「待て、よく考えろ。\\n 俺たちには関係のないことだぞ」",
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"345000551_77": "「関係ないかもしれないデス。\\n でも――」",
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"345000551_78": "「大切な人が眠ったままなんて悲しいデスよ。\\n だから、眠っているアタシを起こしてあげたいんデスッ!」",
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"345000551_79": "「…………」",
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"345000551_80": "「協力してくれるんデスかッ!?」",
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"345000551_81": "「アタシに任せろデスッ!」",
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"345000551_82": "「わたしも切歌に賛成よ」",
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"345000551_83": "「ああ、乗りかかった船だ。\\n 研究所で眠る暁を見てしまったら、放ってはおけない」",
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"345000551_84": "「お前たちは……わかった」",
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"345000551_85": "(本当にお人好しなやつらだな……。\\n だが、だからこそ、世界蛇にも勝てたのかもしれないな)",
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"345000551_86": "(しかし協力したところで、やつが素直に情報を話すかはわからない。\\n なら、隙を見て俺が調べてみるか)",
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"345000551_87": "(デュプリケイタ―の修理もしなければいけないしな)",
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"345000551_88": "「調のために協力してくれて、ありがとうデスッ!」",
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"345000551_89": "「お礼はこの世界の切歌が目を覚ましてからでいいデス。\\n それに助けるのは切歌や調だけじゃなくて、キミもデスよ」",
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"345000551_90": "「アタシもデスか?」",
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"345000551_91": "「調を助けたいって思うキミを助けるデスよッ!」",
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"345000551_92": "「……アタシのことは気にしなくていいデス。\\n 大事なのは調と本物の切歌なんデスから」",
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"345000551_93": "「それじゃ、ダメなんデスよ。\\n 助けるからには、みんな絶対に助けるデスッ!」",
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"345000551_94": "「みんなを助ける……」",
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"345000551_95": "「さぁ、アスクレピオスの杖を手に入れるために、\\n F.I.S.に乗り込むデスよッ!」"
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