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"328000112_0": "「疲れたデス……」",
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"328000112_1": "「やっと終わったね……」",
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"328000112_2": "「何を言っている。\\n 一休みしたら緒川との訓練を再開するぞ」",
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"328000112_3": "「ええッ? ま、まだやるデスかッ!」",
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"328000112_4": "「勘弁してくれ……」",
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"328000112_5": "「もう一度やっても掴まえられる気が全然しないデス」",
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"328000112_6": "「ならば、次は全員一斉にかかってみるか?」",
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"328000112_7": "「流石に、それは――」",
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"328000112_8": "「簡単――とも言えないかも」",
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"328000112_9": "「こうなったらご飯モリモリ食べてエネルギー充填だよッ!」",
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"328000112_10": "「あんだけシゴかれて、よくドカ食いできるな」",
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"328000112_11": "「だが一理ある。腹が減っては戦はできぬと言うからな」",
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"328000112_12": "「正直、胃があまり受け付けそうにないデスけど……」",
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"328000112_13": "「後のことを考えたら、少しはお腹に入れておくべきかしらね」",
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"328000112_14": "「……」",
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"328000112_15": "「ん? 調、もう食べないデス?」",
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"328000112_16": "「あ、うん。もうお腹いっぱい」",
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"328000112_17": "「何を見てるんデスか?」",
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"328000112_18": "「うん……。緒川さん、全然疲れてなさそうだなって」",
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"328000112_19": "「ややッ! 本当デスッ!\\n あれだけ大暴れしといて涼しい顔してるデス……」",
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"328000112_20": "「そこそこ付き合いも長くなってきたけど、\\n 底の知れない人よね」",
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"328000112_21": "「影縫いに分身、空蝉の術とか、正直、人間業じゃないデスよ」",
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"328000112_22": "「うん。他にも人間凧とか水面走りとか……」",
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"328000112_23": "「フフ。あまり人をオバケみたいに言わないでください」",
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"328000112_24": "「こう見えても、幼い頃から忍術の修行を積んでいますからね」",
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"328000112_25": "「確か、飛騨忍群の流れを汲んでいるとか言ってたわよね。\\n 幼い頃からってことは、忍者の里みたいなものがあるの?」",
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"328000112_26": "「その辺はわたしも知らないんだ。わたしが物心ついた時には、\\n 既に緒川さんは風鳴の家に仕えてくれていたからな」",
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"328000112_27": "「そうですね。その頃からずっとお仕えしてますから」",
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"328000112_28": "「それより、忍者の里って本当にあるんデスか?」",
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"328000112_29": "「すごく興味ある……」",
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"328000112_30": "「フフ、それはご想像にお任せします」",
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"328000112_31": "「あったとしても、みだりに場所は明かせないってことかしら」",
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"328000112_32": "「ますます忍者っぽい……」",
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"328000112_33": "「隠れ里ってことデスね……」",
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"328000112_34": "「そこまで大層なものでは……。\\n ですが一応、掟のようなものもありまして」",
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"328000112_35": "「そりゃ本格的だな」",
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"328000112_36": "「古くは豊臣秀吉に仕えた忍者集団だったと聞いています」",
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"328000112_37": "「ほえー。なんだか知らないけどすごそうですね」",
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"328000112_38": "「実際、かなり由緒ある家系だと思うよ」",
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"328000112_39": "「あの、家族とかは?」",
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"328000112_40": "「兄と弟が1人ずついます」",
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"328000112_41": "「やっぱりみなさん、忍者なんですか?」",
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"328000112_42": "「兄の総司は、一族の頭領を務めています」",
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"328000112_43": "「頭領の弟さんなの?」",
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"328000112_44": "「ひょっとしてお坊ちゃん育ちデスか?」",
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"328000112_45": "「そんないいものではありませんよ」",
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"328000112_46": "「代々の頭首の血筋ということで、\\n ひたすら厳しく修行させられるばかりでしたからね」",
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"328000112_47": "「それって……」",
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"328000112_48": "「アタシたちみたいなものデスかね……」",
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"328000112_49": "「比較が難しいですが、近いかもしれません」",
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"328000112_50": "「弟さんは、今もお兄さんと一緒に?」",
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"328000112_51": "「いえ。弟も里を離れて、今は別の仕事をしています」",
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"328000112_52": "「別の仕事?」",
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"328000112_53": "「ええ。実は、歌舞伎町でホストをしていまして」",
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"328000112_54": "「ホ……ホストォォォッ!?」",
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"328000112_55": "「唐突に場違いな言葉が飛び出してきたわね」",
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"328000112_56": "「ああ……それは流石にわたしも初耳だ」",
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"328000112_57": "「全然、世を忍んでない……」",
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"328000112_58": "「そういえば、前に弟からお店の名刺を何枚かもらっていましたね」",
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"328000112_59": "「お店って、いわゆる1つのホストクラブデスか?」",
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"328000112_60": "「はい、どうぞ。みなさんがもう少し大人になったら、\\n 是非弟を訪ねてみてあげてください」",
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"328000112_61": "「あ、ありがとうデス」",
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"328000112_62": "「なんだか大人になった気分」",
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"328000112_63": "「へー。どれどれ……」",
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"328000112_64": "「絶対隷奴(アブソリュートゼロ)の亜蘭んんッ!?」",
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"328000112_65": "「ぎょへーッ! 想像以上にウェイ系なお店デスッ!」",
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"328000112_66": "「この写真の人が弟さん……?」",
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"328000112_67": "「確かに、顔立ちは緒川さんに似ているけど……」",
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"328000112_68": "「なんつーか……だいぶチャラついてるな……」",
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"328000112_69": "「服装も派手派手……」",
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"328000112_70": "「……まあ、ホストってそういうお仕事だし……」",
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"328000112_71": "「もちろん亜蘭は、源氏名で、本名は<ruby=すていぬ>捨犬</ruby>と言います」",
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"328000112_72": "「捨犬ッ!? ひどい名前デース……」",
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"328000112_73": "「緒川家にとって、三男は不要。\\n ゆえに捨犬と名付けられたんです」",
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"328000112_74": "「そんな……、家から不要って言われるなんて……」",
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"328000112_75": "「三男さんには、同情するデスよ」",
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"328000112_76": "「確かに酷いと思われても仕方ないですね」",
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"328000112_77": "「ですが、そのおかげで、\\n 弟は、緒川家の古い因習に縛られない自由を獲得したんです」",
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"328000112_78": "「……なんだか複雑で、難しいですね」",
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"328000112_79": "「話に花を咲かせているところ悪いが、\\n ぼちぼち訓練再開と行こうか」",
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"328000112_80": "「そうでした。みんな、そろそろ行くとしよう」",
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"328000112_81": "「わッ! これ食べ終わるまで、ちょっと待ってくださいッ!」",
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"328000112_82": "「やけに静かだと思ったら、まだ食ってたのかよッ!!」"
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