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"372000821_0": "「――本当に良かったの?\\n 二課への異動、私だけでも良かったのに」",
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"372000821_1": "「まだ言ってるのかい? 確かにシンフォギアは\\n ノイズに対して大層有効なんだろうが……」",
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"372000821_2": "「政治家や軍部の大人たちは、あの子らに押し付けて\\n 全部解決したような顔してやがる」",
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"372000821_3": "「あの子らが戦えなくなったとき、怖くなったとき、\\n 周りの大人が今の調子だと、辞めたいとさえ言えないだろうよ」",
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"372000821_4": "「早いとこ新兵器をこさえて、あの子たちが\\n 嫌になったら辞めてもいいんだと、思わせてやらないとな」",
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"372000821_5": "「環の本音を知る私には、とてもいい話なんだけどね。\\n もう少し装者ちゃんたちに優しくしてあげられないかな?」",
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"372000821_6": "「それは難しいね。\\n 気を抜いたら灰になっちまうような敵を相手してんだ」",
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"372000821_7": "「嫌われようが、目の敵にされようが、\\n あの子らが慢心しないように見ててやんないとだからね」",
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"372000821_8": "「まるでオカンだね。知ってるかい?\\n 母親のことじゃなくて、おせっかいなオバサン」",
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"372000821_9": "「オカンでも、オカカでもいいんだよッ!」",
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"372000821_10": "「わが細君は驚くほど不器用だよね。\\n 本当は私以上に子供好きのくせに」",
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"372000821_11": "「うるさいッ! ……それより新兵器の構想、できたのかい?\\n グラウスヴァインスーツはもう使えないんだよッ!」",
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"372000821_12": "「あぁ、それなんだけどね――」",
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"372000821_13": "(……この時はなんだかんだ楽しかったな)",
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"372000821_14": "(ガキどもを呪われた運命から救うんだって、\\n 正義の味方なんか気取ってさ)",
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"372000821_15": "(そして、本当にバカだった。\\n 時間はいくらでもあると、勘違いしていたんだ)",
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"372000821_16": "(死神はすでに、ガキどもの喉元へ\\n 鎌を突き付けていたってのに――)",
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"372000821_17": "「――随分、人が減ったな」",
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"372000821_18": "(無理もない……ライブ会場の惨劇で、\\n 何人死んだと思ってんだ)",
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"372000821_19": "(仁だって……助かるかどうか……)",
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"372000821_20": "「……」",
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"372000821_21": "「翼……」",
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"372000821_22": "(奏を目の前で喪って、この子は……)",
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"372000821_23": "「……なんだ、その。\\n なんて言ったらいいか……」",
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"372000821_24": "「環さん……。\\n 今日は……今は無理なんです。すみませんッ!」",
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"372000821_25": "「……クソッ!\\n ガキはアタシだなッ!」",
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"372000821_26": "「あんなクソみてえに落ち込んでるガキ1人に、\\n 慰めの言葉もかけてやれないのかよ……ッ!!」",
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"372000821_27": "「――環さん、あまり自分を責めるな。\\n 今回の出来事、責任はすべて俺にある」",
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"372000821_28": "「おう……あんたはそうだろうよ。\\n 本部であぐらかきながら指示出せばいいんだからよ」",
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"372000821_29": "「けどな……ガキどもは……奏はッ!\\n 戦ってッ! 死んでんだぞッ!!」",
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"372000821_30": "「海宝さん。やめてください。\\n 今は風鳴司令も……」",
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"372000821_31": "「緒川、止めるな。\\n 俺には聞かねばならん責任がある」",
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"372000821_32": "「環さんの怒りはもっともだ。\\n 好きなだけ、俺やこの組織の業を誹ればいい」",
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"372000821_33": "「ただ、この組織から去らないでほしい。\\n 仁さんの掲げる理想は、装者たちに必要になるものだからな」",
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"372000821_34": "「チッ! 勝手なことばかり言いやがってッ!」",
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"372000821_35": "「仁さん……必ず無事で戻ってくれよ……」",
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"372000821_36": "数日後――",
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"372000821_37": "「……海宝だ」",
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"372000821_38": "『――海宝仁さんの奥様でいらっしゃいますかッ!\\n すぐに病院へお越しになってくださいッ!』",
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"372000821_39": "『仁さんの容態が――』",
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"372000821_40": "「――蘇生処置を試みましたが、\\n 残念ながら……」",
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"372000821_41": "「そうか、仁……\\n あんた、死んじまったのかい?」",
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"372000821_42": "「奏には……会えたのか……?」",
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"372000821_43": "「…………」",
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"372000821_44": "「……ハハ、変だな。\\n さすがに泣くと思ってたんだがね」",
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"372000821_45": "「仁さんッ!!」",
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"372000821_46": "「そんな――どうして……ッ!\\n 良い人ばっかり、先に逝ってしまうんですかッ!」",
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"372000821_47": "「……なんでだろうな」",
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"372000821_48": "「奏が死んで、仁が死んで、\\n なんでアタシら、生き残ってんだ?」",
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"372000821_49": "「……<ruby=あね>姐</ruby>さん?」",
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"372000821_50": "「違うよな……アタシみたいな捻くれた者より、\\n よっぽどあいつらの方が未来があった」",
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"372000821_51": "「こんなの……間違ってる」",
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"372000821_52": "「戦えるのが他にいないからって、\\n ガキを戦場に送り込むなんざ、狂気の沙汰だ」",
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"372000821_53": "「仁は正しかった。アタシも正しかった」",
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"372000821_54": "「誰かが、やらなきゃいけないんだよ……」",
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"372000821_55": "「誰かが仁の想いを継いで……\\n 装者を解き放たなくちゃ――」",
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"372000821_56": "「……アタシは新兵器開発に\\n すべてを捧げるため、二課を辞めた」",
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"372000821_57": "「その少し後、仁の遺品整理をしていたときに仁の端末が、\\n 封印されたはずのグラウスヴァインの反応を示したのさ」",
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"372000821_58": "「恥ずかしながら、\\n アタシにはそれが仁の導きに思えた」",
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"372000821_59": "「装者たちを救い出してやってくれって\\n 声まで聞こえた気がしたもんさ」",
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"372000821_60": "「……なぜ、言ってくれなかったのですか」",
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"372000821_61": "「確証もないこと、言えるわけないだろ。\\n 希望を持たせる訳にもいかないしな」",
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"372000821_62": "「……これで分かったろ? 翼を恨んだりなんかしちゃいない。\\n もちろん他の装者たちもね」",
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"372000821_63": "「大人になれば、嫌でも責任なんて背負わされるんだ」",
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"372000821_64": "「子供でいて許される間は、子供にしかできないことを\\n 目一杯やってほしいのさ」",
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"372000821_65": "「だから頼む……今からでもいい。\\n 逃げてくれ」",
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"372000821_66": "「あんたたちに……、\\n 死んでほしくないんだ……」"
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