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"370000611_0": "罪悪の残響",
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"370000611_1": "「……さん?」",
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"370000611_2": "「マリア姉さんッ!」",
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"370000611_3": "「えッ! あ、ごめんなさい。",
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"370000611_4": " 少し考え込んでしまったようね」",
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"370000611_5": "「姉さん、謝ってッ!\\n 自分が何を言ったのか分かっているのッ!?」",
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"370000611_6": "「あ、あの……わたし……」",
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"370000611_7": "「ひどいことを言ってしまったわ……。\\n その……ごめんなさい」",
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"370000611_8": "「…………」",
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"370000611_9": "「あったかいものどうぞ」",
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"370000611_10": "「あの……わたし……」",
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"370000611_11": "「強さにもいろいろあるわよ」",
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"370000611_12": "「ありがとうございます。\\n そう……ですね」",
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"370000611_13": "「ごめんなさい。\\n 最低なことを言った自覚はある」",
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"370000611_14": "「だけど、本心じゃないの……。\\n 本当に、ごめんなさい」",
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"370000611_15": "「あの……」",
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"370000611_16": "「いいの。気にしないで。\\n 本気で言ったわけではないことは分かってる」",
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"370000611_17": "「姉さん……」",
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"370000611_18": "「とにかく、一度休んで冷静さを取り戻してくれると助かる。\\n 今話し合ったところで、建設的な意見は出ないだろう」",
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"370000611_19": "「やっぱり疲れてるんだよ……」",
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"370000611_20": "「どれほどの業物であっても、\\n 手入れを怠った刀の切れ味は鈍るものだからな」",
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"370000611_21": "「睡眠と食事をたくさん摂ってください」",
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"370000611_22": "「友里、悪いが2人を客室に案内してやってくれ」",
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"370000611_23": "「分かりました」",
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"370000611_24": "「心配するな。\\n 我々S.O.N.G.とて、この件を放置するつもりはない」",
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"370000611_25": "「そうだよッ!\\n みんな付いてるからねッ!」",
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"370000611_26": "「手伝えることがあったら、なんでも頼ってほしいデース」",
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"370000611_27": "「欲を言うと、もう少し情報があればいいんですけどね……」",
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"370000611_28": "「あッ! 風鳴司令」",
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"370000611_29": "「今回、<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機の再プログラミングを命じられた隊員が\\n この端末を渡されていたようなのですが……」",
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"370000611_30": "「変わった端末ですね?」",
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"370000611_31": "「<ruby=ろかく>鹵獲</ruby>機たちにプログラムやコマンドを送ったりする他、\\n 命令もこの端末で受信していたそうです」",
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"370000611_32": "「なるほど、有用な情報が入手できるかも知れんな。\\n 預かってもいいか?」",
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"370000611_33": "(あの頃のわたしが、大人になったわたしを責めている……?\\n そんな錯覚に陥ってしまった)",
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"370000611_34": "(それは、わたしが乗り越えたと思っていた罪の意識の残響?)",
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"370000611_35": "「ここにいたか」",
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"370000611_36": "「みっともない所を見せてしまったかしら……」",
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"370000611_37": "「気にするな。\\n 誰しも触れられたくないことの1つや2つはある」",
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"370000611_38": "「あら? わたしが傷ついたと思ったのかしら?」",
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"370000611_39": "「違ったのか?」",
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"370000611_40": "「亡くなったセレナのお陰で強くなれたことは認めてるし、\\n セレナへの想いや決意が揺らがないことも事実よ」",
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"370000611_41": "「ただ、あの姉妹を見てると、折角2人揃っているのだから、\\n もっと大切にしてほしいとか思ってしまうのよ」",
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"370000611_42": "「それは、仕方のないことなんじゃないのか?」",
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"370000611_43": "「そうね……」",
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"370000611_44": "「マリアさんはどうしてますか?」",
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"370000611_45": "「余程疲れていたようで、\\n 今は隣の部屋でぐっすり眠っています」",
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"370000611_46": "「それならよかったです。クーデターが起きたり監禁されたり、\\n 精神的なショックも大きかったでしょうから」",
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"370000611_47": "「ありがとうございます。\\n 確かに……隊長としての責任を重く感じていたようです」",
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"370000611_48": "「それから……あの……」",
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"370000611_49": "「フフッ……やっぱり他にも用があったみたいですね。\\n どうしたんですか?」",
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"370000611_50": "「……どうすれば、おふたりみたいになれるかなと思って」",
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"370000611_51": "「わたしと姉みたいに?」",
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"370000611_52": "「はい。お互いに大切に思いあっているのは分かるんですけど、\\n 遠慮がないと言うか、信頼しあってると言うか……」",
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"370000611_53": "「なるほど……。あなたは、マリアさんに\\n 信頼されていないと思っているんですか?」",
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"370000611_54": "「いえ、全くされていないとは思ってないんですけど、\\n マリア姉さんからしてみれば、わたしは庇護対象と言うか……」",
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"370000611_55": "「そっか……。でも、逆にあなたからも、\\n マリアさんに遠慮があるんじゃないですか?」",
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"370000611_56": "「……それは……話すときとかに、つい考えてしまうんです。\\n 実の妹ではないわたしが、こんなことを言っていいのか……」",
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"370000611_57": "「実の妹のセレナさんなら、こんな風に言わないんじゃないか。\\n そうやって悩んでいる間に話が終わってたりして……」",
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"370000611_58": "「それは深刻ですね……」",
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"370000611_59": "「あなたたちは、互いに『実の姉妹じゃないから』ということに\\n 意識を向けすぎているように感じます」",
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"370000611_60": "「えッ?」",
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"370000611_61": "「例えば響さんや未来さんと話すときに、\\n 『姉妹じゃない』と考えてから言葉を選ばないでしょう?」",
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"370000611_62": "「そっか……『実の姉妹じゃない』って考えてしまうから\\n 距離ができてしまうんですね」",
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"370000611_63": "「わたしたちは並行世界の同一存在ですから、\\n 姿を見て重ねてしまうのは仕方ないことですけど……」",
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"370000611_64": "「過ぎた遠慮は、本当に信頼しあうことへの弊害に\\n なってしまうと思います」",
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"370000611_65": "「ありがとうございますッ!\\n 月読さんや暁さんが、先生って呼ぶのも当然ですねッ!」",
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"370000611_66": "「それほどでもありませんよ」",
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"370000611_67": "「わたし、頑張ってみますッ!」",
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"370000611_68": "「それで1つお願いがあるんですけど……」",
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"370000611_69": "「分かりましたッ!\\n 楽しそうだし、やってみましょうッ!」"
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