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{
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"367000421_0": "「はぁ……はぁ……」",
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"367000421_1": "「シッ! 息をひそめろ」",
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"367000421_2": "「んぐ……ッ!」",
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"367000421_3": "「ふぅ……、やっと行ったか」",
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"367000421_4": "「結局隠れるのだな」",
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"367000421_5": "「こっちには体力ってもんがある。\\n 対して相手は疲れ知らずの機械」",
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"367000421_6": "「ずっと同じようにはいかないだろ」",
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"367000421_7": "「フン、無人兵器であるブリルロイドの\\n 有用性が証明されたわけだ」",
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"367000421_8": "「こっちを褒めたり、すかしたり\\n 忙しいやつだな……」",
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"367000421_9": "「それより、今は少し休んどけ」",
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"367000421_10": "「しかし……」",
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"367000421_11": "「眼だけでも閉じてろ。気休めにはなる」",
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"367000421_12": "「……分かった」",
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"367000421_13": "「…………」",
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"367000421_14": "「……なあ」",
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"367000421_15": "「すう……すう……」",
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"367000421_16": "「マジで寝るのかよッ!\\n まったく、こうしてみると可愛いんだけどな……」",
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"367000421_17": "「すう……」",
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"367000421_18": "「……あれ? オレは……?」",
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"367000421_19": "「レオポルド、居眠りなんかしてどうしたの?\\n 午前の訓練がよっぽど堪えた……?」",
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"367000421_20": "「モーリッツ……ッ!」",
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"367000421_21": "「いや、違うんだ。\\n ただちょっと、ぼーっとしちゃって……」",
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"367000421_22": "「えーっと、なんの話だっけ?」",
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"367000421_23": "「海だよ」",
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"367000421_24": "「ああ。地球の表面の7割を占める、大量の水、だっけ」",
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"367000421_25": "「うん。そう習ったし、資料映像で見ることもできる。\\n でもボクは、自分の目で見て、感じてみたいんだ」",
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"367000421_26": "「目の前に見渡す限りの水が広がってるって、\\n どんな感じなんだろう」",
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"367000421_27": "「きれいなのかな。匂いはどんなだろう……。\\n とにかく、その時ボクがどんな気持ちになるか知りたいんだ」",
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"367000421_28": "「やっぱり、モーリッツは頭がいい。\\n そんなこと、オレは考えたこともなかった」",
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"367000421_29": "「オレとモーリッツが総統候補のトップ2だって言われてるけど、\\n モーリッツが総統になるべきだと思うな」",
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"367000421_30": "「妄想好きなだけさ。\\n ボクは、勇気のあるレオポルドこそふさわしいと思っているよ」",
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"367000421_31": "「なら、オレたちのどちらかが総統になれば、\\n ブリル協会は最強だな」",
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"367000421_32": "「きっと、抵抗する愚民たちを黙らせ地球を統治して、\\n 人々を導くことができる」",
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"367000421_33": "「……統治か」",
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"367000421_34": "「モーリッツ?」",
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"367000421_35": "「戦いと支配……。本当にそんなもの必要なのかな?」",
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"367000421_36": "「支配なんてしなくても、\\n みんなで仲良く暮らしたら……」",
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"367000421_37": "「それ以上言ったらだめだッ! モーリッツ、何を言ってるんだ?\\n そんなこと、もし冗談だとしても大人に聞かれたら……」",
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"367000421_38": "「ごめん……。本当に冗談だから、忘れて。\\n もう2度とこんなこと言わないよ」",
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"367000421_39": "「…………」",
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"367000421_40": "(今のは……夢?)",
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"367000421_41": "(いや、記憶だ。何年も前の……)",
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"367000421_42": "(オレに、まだ友達がいたころの――)",
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"367000421_43": "「…………」",
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"367000421_44": "「んだよ。\\n やっと目が覚めたのか?」",
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"367000421_45": "「寝てなどいない、目を閉じていただけだ」",
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"367000421_46": "「じゃあ、海がどうのこうのって言ってたの、\\n 寝言じゃなかったんだな」",
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"367000421_47": "「――ッ!」",
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"367000421_48": "「なあ、なんで海に行きたいんだ?\\n 協会から抜け出してまで……」",
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"367000421_49": "「総統にあるまじき行動をしているのは分かっているが、\\n 1度でいいから、この目で見て、感じてみたい」",
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"367000421_50": "「お前はいいよな。海など慣れっこで、\\n わざわざ行くまでもないのだろう?」",
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"367000421_51": "「……そうでもないぞ。実は、あいつらと\\n 海に行く約束をしてて――」",
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"367000421_52": "「本当かッ!?\\n やはり、海はいいものなのかッ!?」",
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"367000421_53": "「ま、まあ。\\n 泳いだり、夕日を眺めたり、花火をしたりして……」",
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"367000421_54": "「すごく、楽しそうだな……」",
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"367000421_55": "「ああ。本当に、楽しみだったんだ……」",
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"367000421_56": "「……なあ、どうして地球の統治なんてしようとしてるんだ?」",
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"367000421_57": "「言っただろう。優れた人間が統治することこそが、\\n 世界の安寧に繋がると――」",
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"367000421_58": "「そんな受け売りのスローガンみたいなものじゃなくて、\\n お前はどうなんだよ?」",
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"367000421_59": "「本当にやりたくて総統なんてやってるのか?」",
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"367000421_60": "「あ、当たり前だッ!」",
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"367000421_61": "「オレには、総統としての責任があるッ!\\n 皆がオレに向けてくれる期待に応える義務があるッ!」",
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"367000421_62": "「厳しい環境に耐え生きてきたブリル協会の皆に、\\n 安心して暮らせる場所を与える義務がッ!」",
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"367000421_63": "「だからこそ、地球の統治は必須なのだッ!」",
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"367000421_64": "「……なるほどな。\\n お前にも護りたいものがあるってわけか」",
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"367000421_65": "「やっと分かったか」",
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"367000421_66": "「分かったよ。分かったけど……、\\n お前が護りたいもののために、本当に戦いは必要なのか?」",
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"367000421_67": "「なにッ!?」",
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"367000421_68": "「戦い以外の方法は考えなかったのかよ?」",
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"367000421_69": "「ここで暮らす人々にだって、護りたいものがあって、\\n 帰る場所がある」",
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"367000421_70": "「それを奪うつもりなら、あたしは戦うしかない」",
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"367000421_71": "「でも、お前が大切なものを護るために、\\n 違う方法を選ぶなら、もしかしたら――」",
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"367000421_72": "「戦い以外の、方法だと……ッ!?」",
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"367000421_73": "「そんなもの、あるはずがないッ!\\n だって、地球人類は野蛮で、卑劣で……」",
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"367000421_74": "「見つかっちまったか……ッ!」",
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"367000421_75": "「く……」",
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"367000421_76": "「ところでお前、こいつらに命令して黙らせられないのか?\\n 総統なんだろ」",
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"367000421_77": "「無理だな。\\n ブリルロイドの命令権は、軍事司令が握っている」",
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"367000421_78": "「――軍事司令……」",
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"367000421_79": "「まあ、聞いてみただけだ。",
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"367000421_80": " 行くぞッ! また捕まってろッ!」"
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