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"372000311_0": "あの日々の記憶",
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"372000311_1": "「はぁ……はぁ……見失った……」",
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"372000311_2": "「逃走経路も入念に計算済み、か。\\n こちらの追跡を、こうも易々とかわすとは……」",
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"372000311_3": "「翼さんッ!」",
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"372000311_4": "「小日向……、\\n グラウスヴァインスーツの連中を見なかったか?」",
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"372000311_5": "「ごめんなさい。アルカ・ノイズの殲滅に\\n かかりきりで……」",
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"372000311_6": "「いや、わたしの落ち度だ。\\n 小日向が謝るようなことでは――」",
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"372000311_7": "「む、トレーラー……?」",
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"372000311_8": "「変ですね……この辺りは既に\\n 避難が完了しているはずなんですけど……」",
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"372000311_9": "(……待て。彼らとて常に\\n スーツを纏っている訳にはいかない)",
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"372000311_10": "(必ずそれを隠し、整備する拠点が必要だ)",
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"372000311_11": "(それこそ、神出鬼没を実現するため、\\n 移動式で市街地でも目立たないような――)",
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"372000311_12": "「小日向ッ! あとは頼んだぞッ!」",
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"372000311_13": "「つ、翼さんッ! どこにッ!?」",
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"372000311_14": "「わたしはあのトレーラーを追うッ!」",
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"372000311_15": "「……この辺りか。\\n トレーラーを見失ったのは。しかし――」",
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"372000311_16": "(轍の跡までは消し切れていないようだ。\\n これを追跡すれば、容易にたどり着けるだろう)",
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"372000311_17": "「司令……風鳴司令……」",
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"372000311_18": "「……駄目か。妨害電波の発生源は\\n あのトレーラーと見るべきだな」",
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"372000311_19": "(未だ本部との通信は回復しない。\\n だが、この機を逃せば雲隠れされないとも限らない)",
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"372000311_20": "(なんとしても彼らの正体に繋がる情報を\\n 持ち帰らねば……)",
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"372000311_21": "(いたッ! 先程のトレーラーだ。\\n こんな所を拠点としているのか?)",
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"372000311_22": "「コソコソついて来やがって……」",
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"372000311_23": "「――ッ!? その声……」",
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"372000311_24": "「相も変わらず空気の読めないガキだね」",
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"372000311_25": "「環……さん……ッ!?」",
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"372000311_26": "「黙って立ち去る者の事情も考えず、\\n ケツをつけ回すなんざ、ガキとしか言いようがないだろ」",
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"372000311_27": "「それは――ッ!?」",
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"372000311_28": "「おっと、不服かい? そりゃそうか。\\n なにせ、世界を災厄から何度も救った大英雄……」",
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"372000311_29": "「『シンフォギア装者様』だもんな。\\n ご活躍は方々から聞こえてくるよッ!」",
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"372000311_30": "「ハッ! えらいえらい」",
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"372000311_31": "「……お久しぶりです。\\n そんな当てつけはやめてください」",
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"372000311_32": "「……環さんこそ、グラウスヴァインスーツで、\\n いったい何をされているんですか?」",
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"372000311_33": "「あれは危険ゆえ、\\n 研究を凍結されて久しいと聞き及んでいます」",
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"372000311_34": "「……フン。あんたらシンフォギア装者に憧れて、\\n 少々真似事をしているだけさ」",
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"372000311_35": "「別に捕まえてもらっても構わないよ?\\n アタシらは所詮犯罪者だ」",
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"372000311_36": "「……ッ! やはり違法所持……\\n なぜ、そんなことを……ッ!!」",
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"372000311_37": "「ハッ、やっぱりまだガキのままだね。\\n すぐ正義を振り翳しやがる」",
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"372000311_38": "「……何とでも言ってください。\\n すぐにグラウスヴァインスーツを手放すべきです」",
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"372000311_39": "「今ならまだ――」",
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"372000311_40": "「間に合うってか? バカ言うんじゃないよ。\\n 後戻りできる段階はとっくに超えてんだ」",
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"372000311_41": "「このこと……\\n 仁さんは何も言わなかったのですか?」",
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"372000311_42": "「――は?」",
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"372000311_43": "「……ッ!」",
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"372000311_44": "(この人は……こんな目をする人だったか?\\n これではまるで、羅刹――)",
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"372000311_45": "「……死んじまった人間に、\\n 口出しなんてできる訳がないだろ」",
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"372000311_46": "「……え? 今、なんて……」",
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"372000311_47": "「仁はとっくに逝っちまったって言ったんだよ」",
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"372000311_48": "「――奏が死んだ、あのライブの惨劇で\\n 負った怪我が原因でな」",
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"372000311_49": "「そんな……嘘だ……」",
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"372000311_50": "「信じたくないんなら、それでいいさ」",
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"372000311_51": "「で、ですが……\\n 怪我をして二課を辞めたという話しか……」",
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"372000311_52": "「周りが甘ちゃんだったんだろう?\\n 良かったじゃないか。保護者に護ってもらえて」",
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"372000311_53": "(……ッ! わたしに配慮して、\\n あえて真実を隠した、とでも……)",
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"372000311_54": "(そんな……奏のみならず……仁さんまで、\\n わたしの……力が及ばなかったばかりに……)",
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"372000311_55": "「今回の騒ぎも、もとを正せば原因は\\n お前らシンフォギア装者たちだ」",
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"372000311_56": "「正義の味方ごっこでもやってるつもりだろうが\\n 恨みを買って周囲を巻き添えにしてるじゃないか」",
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"372000311_57": "「……それはッ!」",
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"372000311_58": "「ま、ガキに他人様の命を護るなんて到底無理な仕事だ。\\n だからアタシらはコレを纏い続ける、理解できたかい?」",
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"372000311_59": "「お嬢ちゃんたちは、もう十分に暴れたろ?\\n あとは任せて、青春でも謳歌してな」",
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"372000311_60": "「…………」",
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"372000311_61": "「おーい<ruby=あね>姐</ruby>さん。オレらのスーツのメンテ終わったぞ」",
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"372000311_62": "「――あら、驚きました。\\n 翼さん、辿り着いてしまいましたか……」",
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"372000311_63": "「……ッ! あなた方は確か、\\n 当時、海宝夫妻のアシスタントだった……」",
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"372000311_64": "「翼さんッ! 覚えててくれたんですねッ!\\n 仁さんの助手だった、穂岳と……」",
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"372000311_65": "「菅井だ。元気そうでなによりだな」",
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"372000311_66": "「無駄口は終いだ。行くよ」",
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"372000311_67": "「……いいのか?」",
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"372000311_68": "「あぁ、今更あいつに話すことは何もない」",
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"372000311_69": "「ま、待てッ! 待つんだッ!!」",
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"372000311_70": "(呼び止めてどうする?\\n わたしがどんな声をかければいいと言うのだ……)",
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"372000311_71": "(――散々追い回した挙句、\\n 呼び止める言葉さえ失うとは……)",
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"372000311_72": "(……だが、正体は割れた。今はそれで十分だろう)",
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"372000311_73": "(あとは本部に報告すればいい)",
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"372000311_74": "(……そして環さんたちは捕まる)",
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"372000311_75": "(だが……それで本当にいいのか?\\n 原因は、わたしにあると言うのに……?)",
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"372000311_76": "(奏を失い……仁さんさえも救えなかった、\\n このわたしに、彼女を裁く権利なんて……)",
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"372000311_77": "(いったい……どうすれば……)"
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