xdutranslations/Missions/2010229/201022911_translations_jpn.json
2021-05-22 15:36:29 +02:00

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{
"201022911_0": "もしも未来の中にシェム・ハが……",
"201022911_1": "「<size=25>んー</size><size=28>……むにゃ……</size>もう、あさ……、",
"201022911_2": " んん……今……何時……?」",
"201022911_3": "「え、もうこんな時間ッ!?」",
"201022911_4": "「響ッ!\\n 急がないと学校遅刻しちゃう――」",
"201022911_5": "「あ……そっか。\\n 任務でいないんだっけ」",
"201022911_6": "「それじゃ、準備して早く出ないと……ッ!」",
"201022911_7": "(少し身体がだるい気がするけど……、\\n 大丈夫だよね……",
"201022911_8": "「はぁはぁ……急げばまだ間に合うかな……?」",
"201022911_9": "(わたしは小日向未来。\\n どこにでもいる普通の高校生……",
"201022911_10": "(……のはずなんだけど、\\n 実は最近、少し変わった生活を送っていて――",
"201022911_11": "「あの……どうして起こしてくれなかったんですか?」",
"201022911_12": "(…………)",
"201022911_13": "「シェム・ハさん、聞こえてますか?」",
"201022911_14": "(なんだ? 不要な時に話しかけるなと言ったのは、\\n お前のほうではないか",
"201022911_15": "「遅刻しないようにわたしを起こすのは、\\n 必要なことだと思いますけど……」",
"201022911_16": "(学校とやらがそんなに大事か)",
"201022911_17": "「大事に決まってるじゃないですか」",
"201022911_18": "(足が止まっているぞ。\\n 急がなくてよいのか",
"201022911_19": "「――そうだったッ!」",
"201022911_20": "(やれやれ、今日はいつにも増して騒々しいな)",
"201022911_21": "「騒々しいって……仕方ないじゃないですか。\\n シェム・ハさんがわたしの中にいる状態なんだし……」",
"201022911_22": "(難儀な状況よな。こうなった理由もわからぬし、\\n いまだ解決策も見つからぬとは……",
"201022911_23": "(まあ、仕方ない。しばらくはお前を見守っておいてやろう。\\n お前はあまりにも危なっかしいからな",
"201022911_24": "「むぅ……ただ見てるだけなら意味ないじゃないですか」",
"201022911_25": "(では本当に苦境に陥ったときは、\\n 何かしら力になってやるとしよう",
"201022911_26": "(それと、一応忠告しておいてやろう。\\n どうやら今日のお前の身体は、不調なようだぞ",
"201022911_27": "「……え? あッ、言われると確かに……。",
"201022911_28": " そういえば、起きる時も少し辛かった気が……」",
"201022911_29": "(体温が平均値を大きく上回っている。\\n 頭痛、倦怠感、眩暈も感知……",
"201022911_30": "(風邪というやつであろう。\\n ヒトという生き物は脆い。すぐに療養が必要だ",
"201022911_31": "「……ううん、これくらいで\\n 休むわけにはいかないですから」",
"201022911_32": "「響の代わりに授業を聞いて、\\n ちゃんとートも取っておかないと……」",
"201022911_33": "(……響、響と、\\n お前はそればかりを話題にする",
"201022911_34": "「話したらダメなんですか?」",
"201022911_35": "(……やつのことは好かぬ)",
"201022911_36": "「そうですか……」",
"201022911_37": "(そういえば、この身体になったことは\\n 響も知っているけど……",
"201022911_38": "(こうなってから、シェム・ハさんと響が直接話したことは、\\n まだないんだよね",
"201022911_39": "(せっかくだし、仲良くしてほしいところだけど……)",
"201022911_40": "「えー、人類が誕生したのは、400万年前のアフリカ、\\n アウストラロピテクスと呼ばれる猿人が……」",
"201022911_41": "「…………」",
"201022911_42": "「――小日向さん」",
"201022911_43": "「…………」",
"201022911_44": "「小日向さん、大丈夫ですか?」",
"201022911_45": "「は、はいッ!?\\n わたしですかッ」",
"201022911_46": "「ぼうっとするなんて、あなたらしくないわね。\\n どこか具合でも悪いの」",
"201022911_47": "「いえ、その……、\\n すみません、少し考えごとをしていて……」",
"201022911_48": "(何故、真実を言わぬのだ?)",
"201022911_49": "(別に、これくらい大したことないですから……)",
"201022911_50": "(我に嘘をつけると思うのか?)",
"201022911_51": "(…………)",
"201022911_52": "(それにしても腑に落ちぬな。\\n そこまで意地を張る必要がどこにあるというのだ",
"201022911_53": "(……響に心配をかけたくないですから)",
"201022911_54": "(またあいつの話か)",
"201022911_55": "(だって響は、きっと今もどこかで戦ってるんです)",
"201022911_56": "(それなのに、わたしの体調不良なんかで\\n 心配事を増やしたくなくて……",
"201022911_57": "(響が安心して家を空けられるように、\\n わたしは元気でいなきゃいけないんです",
"201022911_58": "(青ざめた顔で言う台詞ではない)",
"201022911_59": "(……………)",
"201022911_60": "(……む)",
"201022911_61": "「…………はぁ……はぁ……」",
"201022911_62": "(どうやら脳が休眠を必要としているようだな)",
"201022911_63": "(ちょっと、眩暈がしただけ……、\\n 分したら……おこ……して……",
"201022911_64": "(……不服である。\\n 我を目覚ましか何かだと――",
"201022911_65": "「えー、では小日向さん。人類の文明の成り立ちについて、\\n 私が言ったことをまとめてみなさい」",
"201022911_66": "「…………」",
"201022911_67": "(呼びかけられたところで、\\n こやつが答えることはできぬのだがな",
"201022911_68": "「どうしたの? 居眠り?\\n ……ん もしかして、どこか具合でも悪いの」",
"201022911_69": "「寝てるの? 珍しくない? あの小日向さんが……」",
"201022911_70": "「大丈夫かな? ちょっと様子がおかしかったみたいだけど……」",
"201022911_71": "「ちょっと、大丈夫?\\n まさか意識がないんじゃ……」",
"201022911_72": "(……このままでは騒ぎが大きくなってしまうな。\\n それでは結局、心配させることになるではないか",
"201022911_73": "(仕方ない。先ほど口約束をしてしまった手前、\\n 見過ごすわけにもいかぬ",
"201022911_74": "「誰かッ! 急いで保健室に行って――」",
"201022911_75": "「――愚問である」",
"201022911_76": "「……は?」",
"201022911_77": "「あまりにも稚拙な質問だったので、\\n 欠伸をしていたところだ」",
"201022911_78": "「では逆に問おう。アヌンナキ――カストディアンは、\\n 何故ルル・アメルから統一言語を奪った」",
"201022911_79": "「ちょ、ちょっと待って小日向さん。\\n 急になんの話をしている……というか大丈夫なの」",
"201022911_80": "「あの時バラルの呪詛が発動されなければ、\\n お前たちの今は全く違ったものになっていたということだ」",
"201022911_81": "「いや、だから体調は……」",
"201022911_82": "「そうやって築かれた文明をただ享受しているお前が、\\n 起源を語ろうなどとは――」",
"201022911_83": "「わ、わかったわッ! もう十分ッ!\\n 調子もいいみたいだし、もう座っていいわよ……」",
"201022911_84": "(論戦では我に勝てぬと思い逃げたか。\\n まあ、それもよいだろう",
"201022911_85": "(周りの者たちも静まり返っておるし、\\n 無事に場を収められたな",
"201022911_86": "(……我にかかれば、なり代わることなど造作もない。\\n では暫く、こやつを休ませてやるとするか",
"201022911_87": "「……ねえ、今日のヒナ、なんか変じゃない?」",
"201022911_88": "「変というかまるで別人ですわ。\\n 体育の授業、100m走でぶっちぎりの位でしたし……」",
"201022911_89": "「世界史の先生とのやり取り覚えてる? 数学のときにも、\\n 先生によくわからない問題けしかけて泣かせてたし」",
"201022911_90": "「ビッキーロスでおかしくなっちゃったのかな……」",
"201022911_91": "「いいえ、誰しも一度は通る道、\\n 彼女もまた堕ちたのよ」",
"201022911_92": "「どこに?」",
"201022911_93": "「ずばり、中二病の道にねッ!」",
"201022911_94": "「きっとアニメの登場人物に憧れて、\\n なりきってるに違いないわッ」",
"201022911_95": "「なりきっただけで、\\n いきなり足が速くなったりしないと思うけど……」",
"201022911_96": "「――お前たち、我の言動に不服でもあるのか?」",
"201022911_97": "「ヒ、ヒナ……」",
"201022911_98": "(いや、不服っていうか……)",
"201022911_99": "(何から何まで突っ込みどころしかないですわ……)",
"201022911_100": "「ねえ、ビッキーも心配するし、\\n あんまりその、変なことはしない方が……」",
"201022911_101": "「…………」",
"201022911_102": "「えっと……1人が寂しいなら、\\n わたしたちを頼ってくれてもいいですわよ」",
"201022911_103": "「…………」",
"201022911_104": "「あ……そ、それとも構ってほしくて\\n わざと変なキャラ演じてるとか」",
"201022911_105": "「…………ッ!」",
"201022911_106": "「ひッ……」",
"201022911_107": "「下らぬ……」",
"201022911_108": "「ええッ!? ウソ……、\\n 今あの子、ジャンプして木の枝に飛び上がったよね……」",
"201022911_109": "「しかもぴょんぴょんと、枝の上を移動していきましたわ……。\\n あれは演じてるとかそういうレベルではないのでは……」",
"201022911_110": "「ていうか、信じられないくらい怖い目で睨まれたんだけどッ!」",
"201022911_111": "(……全く、何をしているのだ我は)",
"201022911_112": "(たかがヒトのために、何故ここまで……)",
"201022911_113": "「あそこにいますわ……。\\n どうやら木の上で立ったまま休んでるみたいですけれど……」",
"201022911_114": "「カ、カッコイイ……ッ!」",
"201022911_115": "「えー……」",
"201022911_116": "(次は……ふむ。音楽の授業か)",
"201022911_117": "「未来ーーーッ!\\n ただいまーーーーッ」",
"201022911_118": "「……ッ!?\\n 貴様がなぜここに……ッ」",
"201022911_119": "「任務が思ったより早く終わったのッ!」",
"201022911_120": "「そのまま家に帰ってもよかったんだけど、\\n 未来に会いたくて、登校してきたんだッ」",
"201022911_121": "「そ、そうか……」",
"201022911_122": "「……それよりクラスの子から聞いたよ?\\n 未来の様子がおかしいって」",
"201022911_123": "「われ――わたしは、\\n 別にいつも通り、普通……だよ……」",
"201022911_124": "「そっか。ならよかったッ!」",
"201022911_125": "「……ッ!\\n なぜ寄りかかろうとする……」",
"201022911_126": "「会えなくて寂しかったからだよ。\\n 未来こそなんでよけるの さあ、いつも通りに――」",
"201022911_127": "「や、やめろ……ッ!」",
"201022911_128": "「…………」",
"201022911_129": "(迂闊……ッ!\\n つい拒否反応が……",
"201022911_130": "「……やっぱり未来、なんか変だよ」",
"201022911_131": "「き、気のせいだ……」",
"201022911_132": "「ううん、未来のことなら\\n なんでもわかるもん」",
"201022911_133": "「ぜーったいなんか隠してるッ!」",
"201022911_134": "「否……、\\n 隠しごとなどある訳が……」",
"201022911_135": "「じゃあもうちょっと\\n くっついてもいいじゃーんッ」",
"201022911_136": "「む、無茶苦茶な理屈を……ッ!」",
"201022911_137": "「ほらほら、さあさあ……」",
"201022911_138": "(くッ……だ、ダメだ……ッ!\\n 立花響に……抱き着かれるのだけは……",
"201022911_139": "(不快な……あの時の記憶が蘇る……ッ!)",
"201022911_140": "「あッ!\\n 待ってよ未来ッ」",
"201022911_141": "「これ以上、我に構うな……ッ!」",
"201022911_142": "「構わせてよッ! 何があったのッ!?」",
"201022911_143": "「悩みがあるなら、わたしに相談してッ!」",
"201022911_144": "「悩みだと……ッ!?」",
"201022911_145": "(愚問である……ッ!\\n 元を正せば家を空けた貴様が原因……ッ",
"201022911_146": "(なぜ我が、ここまでしてやらねばならぬのか……ッ!)",
"201022911_147": "「もーッ! こうなったら話してくれるまで、\\n 絶対逃がさないんだからーッ」",
"201022911_148": "「やめろ……ッ! 我に……我に……」",
"201022911_149": "「<size=40>抱き着くのはよせーッ!!</size>」",
"201022911_150": "「なーんだ。じゃあ、あの時の未来は未来じゃなくて\\n シェム・ハさんだったんだ」",
"201022911_151": "「ごめんね。意識を失ったわたしの代わりに、\\n 授業を受けてくれてたみたいで……」",
"201022911_152": "「もう、無理しちゃダメだよ?」",
"201022911_153": "「そうだね。これからはちゃんと休むときは休むことにする。\\n 余計に心配させちゃうもんね」",
"201022911_154": "「今はもうだいぶよくなったから、大丈夫だよ」",
"201022911_155": "「そっか、安心した。\\n 今日は代わりに授業に出てくれて本当にありがとうね」",
"201022911_156": "「わたしも未来のことは信じてるから。\\n 過ぎた心配はしないよ」",
"201022911_157": "「それに、シェム・ハさんもいることだしね」",
"201022911_158": "「シェム・ハさん、これからもわたしがいないときは\\n 未来のことを助けてあげてください」",
"201022911_159": "(…………)",
"201022911_160": "「……断るって」",
"201022911_161": "「えー、そんなぁ~……」",
"201022911_162": "(……結局、杞憂に終わるとはな。\\n 我の苦労は一体なんだったのか……",
"201022911_163": "(ご、ごめんなさい……でも、嬉しかったです。\\n わたしのためにいろいろと頑張ってくれたこと",
"201022911_164": "(……遺憾である。\\n 二度と手助けなどするつもりはないからな",
"201022911_165": "(そ、そんなこと言わないでください……シェム……)",
"201022911_166": "「……しぇむ、しぇむ……」",
"201022911_167": "「フフ、変な寝言」",
"201022911_168": "「ん……あれ? わたし……」",
"201022911_169": "「珍しいね。わたしの方が早起きなんて」",
"201022911_170": "「やっぱり、まだ体調は悪い?\\n 今日のお出かけは、また今度にしよっか」",
"201022911_171": "「お出かけ? 学校は……」",
"201022911_172": "「今日は休みでしょ。昨日から少し体調が悪そうだったから、\\n 起こさなかったんだけど……大丈夫」",
"201022911_173": "「……そっか。うん、体調はよくなったと思う。\\n ただ、ちょっと変な夢を見てたみたい」",
"201022911_174": "「変な夢?」",
"201022911_175": "「えーっとね、はっきりとは覚えてなくて……」",
"201022911_176": "「……うん。変だけど、すごく楽しい夢だった気がする」",
"201022911_177": "「うまく説明できないんだけど……、\\n 『もしも、こんなことがあったら……』みたいな感じで……」",
"201022911_178": "「よくわからないけど、\\n 未来が元気になってきたならいいや」",
"201022911_179": "「うん、変な夢を見たのもきっと体調のせいなんだと思う。\\n もしもまた体調を崩したらそのときは――」",
"201022911_180": "「あッ……」",
"201022911_181": "「どうかした?」",
"201022911_182": "「ううん、なんでもない。\\n もしもの話はこれでおしまいッ」"
}