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"304000411_0": "陽だまりの無い世界",
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"304000411_1": "「どうだ?\\n 響くんから、何か聞き出せたか?」",
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"304000411_2": "「いえ、まったく……」",
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"304000411_3": "「あれから何度も接触してみたけど、\\n 毎回、ほとんど言葉も交わせずじまいで……」",
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"304000411_4": "「話を聞くどころか、まともな対話も出来ないわ。\\n 正直、どうしたらいいか……」",
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"304000411_5": "「何なんだよ、あいつはッ! 本当にあいつなのかよッ」",
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"304000411_6": "「……すまない」",
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"304000411_7": "「いや、おっさんが謝る事じゃねーけど……」",
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"304000411_8": "「彼女がああまで頑なになってしまった理由、\\n もしかして知っているの?」",
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"304000411_9": "「それは……」",
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"304000411_10": "「何か知っているなら、教えて頂けないかしら」",
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"304000411_11": "「…………」",
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"304000411_12": "「言いにくい話かもしれないけれど、それでも今、わたしたちは\\n 藁にもすがりたい状況なの」",
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"304000411_13": "「彼女との対話のきっかけを掴まないことには、\\n 事態は何も進展しない、だから……」",
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"304000411_14": "「……わかった。\\n ……俺の責任で話せることを話すとしよう」",
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"304000411_15": "「話が分かるじゃねーか」",
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"304000411_16": "「彼女には、ある辛い過去があってな。\\n それ以来、誰も信じることができないでいる状態なんだ」",
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"304000411_17": "「我々も何度も接触し、彼女を支えようとしたが……\\n 残念ながら、一切聞く耳を持ってくれん」",
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"304000411_18": "「ただ、ノイズとの戦いには興味というか、執着があるのか、\\n 戦場に駆けつけ、ノイズと戦ってはくれている……」",
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"304000411_19": "「辛い過去……?」",
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"304000411_20": "「実は、彼女はさる事件の生き残りなのだが――」",
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"304000411_21": "「もしかして、ツヴァイウィング……\\n 翼と天羽奏のライブ中に起こった、ノイズ襲撃事件かしら」",
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"304000411_22": "「知っているなら話が早い」",
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"304000411_23": "「あのライブ事変を生き残った彼女は、犠牲となった者の遺族から\\n 謂われのない非難や中傷、差別を一身に受けたようだ」",
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"304000411_24": "「家族以外は誰も傍にいない状況で、自分のせいで\\n 唯一の拠り所の家族までもが、理不尽な中傷を受ける……」",
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"304000411_25": "「それは当時の彼女にとって、どれだけ深い傷になったのか。\\n 当事者では無い我々には、到底計り知れるものではない……」",
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"304000411_26": "「ちょ、ちょっと待ってくれ、おっさん」",
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"304000411_27": "「ん?」",
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"304000411_28": "「今、『家族以外はいない』って言ったか?\\n でも……あいつはいたんだろう?」",
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"304000411_29": "「あいつ……? それは、誰のことだ?」",
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"304000411_30": "「小日向未来のことね」",
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"304000411_31": "「小日向……? いや、彼女の近辺に\\n そんな人物がいるとは聞いたことないが……」",
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"304000411_32": "「なんだって……?」",
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"304000411_33": "「いったい全体、どういうことなんだ?」",
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"304000411_34": "「どうやらあの子が立花響の傍にいないのは確かなようね」",
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"304000411_35": "「だったら、あいつはどこにいるんだよ?\\n あいつがあのバカの傍にいないなんて……」",
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"304000411_36": "「わからないわ。どこかで生きているのか、既に死んで\\n いるのか……それとも存在そのものが無いのか……」",
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"304000411_37": "「縁起でもないこと言うなよ」",
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"304000411_38": "「ともかく、今大事なのは、そこではないわ」",
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"304000411_39": "「この世界の彼女の生い立ちや、今の状況は把握できた」",
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"304000411_40": "「その上で、彼女との対話へとこぎつけ、\\n 目撃したノイズの情報を聞き出さないと」",
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"304000411_41": "「あいつの気持ちは二の次ってことかよ?」",
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"304000411_42": "「そうは言ってないわ。でも優先順位が少し違うというだけ……」",
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"304000411_43": "「ちッ! ノイズが現れたのかッ!?」",
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"304000411_44": "「彼女もやってくるかもしれない。接触するチャンスね」",
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"304000411_45": "「……ノイズを放っておくわけにもいかねえしな」",
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"304000411_46": "「2人とも、手を貸してくれるのか?」",
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"304000411_47": "「ええ。それで、状況は?」",
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"304000411_48": "「近隣住民の避難がまだ終わっていないのだ。\\n ノイズにこれ以上街中を闊歩させるわけにはいかん」",
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"304000411_49": "「人手が欲しかったところだ。正直、助かる」",
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"304000411_50": "「人手っていや……あいつも、騒ぎを嗅ぎつけて来たんだな」",
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"304000411_51": "「立花か……」",
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"304000411_52": "「…………」"
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