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"320000411_0": "巫女修業",
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"320000411_1": "「疲れているところ、すまないな」",
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"320000411_2": "「いえ、それより本題はなんでしょうか?」",
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"320000411_3": "「ああ、かねてからの災禍の魔物の件について、\\n 意見の交換をと思ってな」",
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"320000411_4": "「前回の古文書のこともありましたし、\\n みなさんにも改めて聞き取りをした方がいいと思ったんです」",
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"320000411_5": "「調神社については、敵の数と宮司さんが避難していないという\\n 状況もあるので、今回は警備の方を優先してもらいました」",
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"320000411_6": "「そういうことだ。悪いが付き合ってくれ」",
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"320000411_7": "「まずは各自の防衛状況と人的被害について\\n 改めて報告してくれるか?」",
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"320000411_8": "「えっと、わたしの担当神社は鳥居の一部が欠けたのと、\\n 近所のおじいちゃんが驚いて転んだくらいです」",
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"320000411_9": "「鳥居は災禍の魔物が破壊したのか?」",
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"320000411_10": "「えーと、その……い、勢いあまってッ!」",
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"320000411_11": "「壊したのは響くんの方だったか……。\\n 未来くんはどうだ?」",
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"320000411_12": "「わたしも同じようなところです。\\n 建物に被害はでていませんが、偶然からのけが人が少し」",
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"320000411_13": "「そうか……クリスくんは?」",
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"320000411_14": "「けが人は出てない」",
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"320000411_15": "「それは何よりだ。神社の方はどうだ?」",
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"320000411_16": "「……ちょっと穴が開いた」",
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"320000411_17": "「そ、そうか……本当にちょっとなのか?」",
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"320000411_18": "「……数は多いけど、ひとつひとつの穴は小さいから、\\n ちょっとでいいんだよッ!」",
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"320000411_19": "(それは蜂の巣っていうんじゃ……)",
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"320000411_20": "「つ、翼はどうだ?」",
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"320000411_21": "「防衛対象の建物、人的被害共にほぼありません。\\n ただ――」",
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"320000411_22": "「ただ?」",
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"320000411_23": "「交戦中に電線を切断してしまいまして、\\n 付近一帯が停電になりました……」",
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"320000411_24": "「……ま、まあ仕方ないだろう」",
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"320000411_25": "「人的被害についてはおかげで軽微と言っていいだろう。\\n 建物も修繕すれば済む範囲……だとは思う」",
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"320000411_26": "「それで、敵の数についてだが、やはり増えているか?」",
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"320000411_27": "「……はい。戦えば戦うほど、敵の数は増えるようです」",
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"320000411_28": "「なあ、このままだといつか無理が出るんじゃないか?」",
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"320000411_29": "「確かに、だんだんと1人じゃ\\n さばききれなくなってきてる……」",
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"320000411_30": "「……最悪、一時的にでも一部の土地の放棄も\\n 視野に入れるべきかもしれんな」",
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"320000411_31": "「そんなのダメですッ!\\n 無理でもなんでもわたしたちが守りますッ!」",
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"320000411_32": "「よく言った立花。防人が守るべき場所を、人を捨てては、\\n なんの意味もない。放棄など、わたしも容認できません」",
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"320000411_33": "「ああ、ここまで守ったんだ。放棄ってのはあたしも反対だ」",
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"320000411_34": "「わたしも反対です。\\n 最後まで守り抜きたいです」",
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"320000411_35": "「……お前たちの気持ちはわかった。\\n ならば、状況打開の一手が完成するまで、続けて防衛を頼む」",
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"320000411_36": "「状況打開の一手?」",
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"320000411_37": "「そんなもんあるのかよッ!?」",
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"320000411_38": "「ああ、上手くいくかは半々だが、期待はできる」",
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"320000411_39": "「つい先日の戦闘にて、宮司さんの協力により一部の災禍の魔物の\\n 浄化に成功したんです。それをもっと大規模化するために――」",
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"320000411_40": "「マリアさんたちが『巫女型ギア』の心象訓練に入りました」",
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"320000411_41": "「さて、それでは舞についてのお勉強を始めましょうか」",
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"320000411_42": "「お願いします」",
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"320000411_43": "「お願いするデース」",
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"320000411_44": "「天照大神が岩戸に篭もってしまったのを、楽しい宴会で\\n おびき出したってお話なんですけれど」",
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"320000411_45": "「ごめんなさい。不勉強です……」",
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"320000411_46": "「いえいえ、そんなことはないですよ。舞の起源はその岩戸隠れの時、\\n アメノウズメが舞った舞と言われています」",
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"320000411_47": "(知らなかった……)",
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"320000411_48": "(アメノ……なんちゃらって翼さんが持ってそうな名前デース……)",
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"320000411_49": "「つまり舞とは、神に捧げられるものなのです。\\n 神への感謝、尊敬、そういった心が無くては、舞足りえません」",
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"320000411_50": "「これは常に忘れないようにしてください」",
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"320000411_51": "「感謝と尊敬の気持ち……」",
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"320000411_52": "「さて、次に具体的に舞に使うものがあるのですが、\\n それについては知っておりますかな?」",
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"320000411_53": "「なんかこう、鈴がたくさんついた棒とかデスッ!」",
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"320000411_54": "「正解ですぞ」",
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"320000411_55": "「やったデスッ!」",
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"320000411_56": "「扇とか……?」",
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"320000411_57": "「えっと、ギザギザの紙のついたハタキみたいな……」",
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"320000411_58": "「確か、植物なんかも無かったかしら?」",
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"320000411_59": "「みなさん、正解です。\\n 他にも剣や弓といった武器的なものもありますな」",
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"320000411_60": "「剣……」",
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"320000411_61": "「なんか親近感がわくね、姉さん」",
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"320000411_62": "「剣舞というものもありますからな」",
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"320000411_63": "「か、鎌は無いデスかッ!」",
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"320000411_64": "「鋸……」",
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"320000411_65": "「流石に鎌や鋸を使った舞は私も知りませんな……」",
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"320000411_66": "「これが格差社会というものデスか……」",
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"320000411_67": "「わたしたちは日陰者なんだね、切ちゃん……」",
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"320000411_68": "「……コホン。採物とは舞の際に持つ物のことを指し、\\n これは神の依り代とする意味があります」",
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"320000411_69": "「何でなければいけない、というわけではないですが、\\n 舞の種類によっておおむね決まっているのが普通です」",
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"320000411_70": "「色々あるデスね……」",
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"320000411_71": "「さて、退屈な話はこれくらいにして、\\n 実技の方に参りましょうか」",
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"320000411_72": "「……と、こんな感じです。\\n 足の運びからまず覚えるようにしてください」",
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"320000411_73": "「……え、違う、こっちじゃなくて――」",
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"320000411_74": "「ああッ!」",
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"320000411_75": "「マリア姉さん、大丈夫?」",
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"320000411_76": "「ええ……これは予想以上に難しいわね」",
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"320000411_77": "「わたしもやってみる」",
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"320000411_78": "「えっと、こうして……次にこっち――」",
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"320000411_79": "「きゃッ!」",
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"320000411_80": "「セレナッ!?」",
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"320000411_81": "「だ、大丈夫……。確かに難しいね……」",
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"320000411_82": "「次はアタシデスッ!\\n この華麗なステップを――」",
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"320000411_83": "「わッ!」",
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"320000411_84": "「痛いデス……」",
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"320000411_85": "「もう、背伸びして無理するからよ?\\n さて、最後は調ね」",
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"320000411_86": "「うん……自信はないけど……」",
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"320000411_87": "「えっと、こっち……それからこうして――」",
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"320000411_88": "「流石、調ッ! いい調子デスよッ!」",
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"320000411_89": "「うん、ありがとう、切ちゃ――」",
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"320000411_90": "「わッ!?」",
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"320000411_91": "「どうやら集中が途切れてしまったようですな」",
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"320000411_92": "「ごめんなさいデース……」",
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"320000411_93": "「ううん、切ちゃんは悪くないよ」",
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"320000411_94": "「足の運びだけでもこんなに難しいなんて……」",
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"320000411_95": "「うん。巫女さんって大変なんだね」",
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"320000411_96": "「最初はみんなそんなものですよ。\\n さて、練習を続けましょうか」",
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"320000411_97": "「わあッ!?」",
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"320000411_98": "「えッ!?」",
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"320000411_99": "「――きゃッ!」",
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"320000411_100": "「く――ッ!」",
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"320000411_101": "「いやはや、こうしてみなさんが一生懸命、舞の練習を\\n している姿を見ていると、娘のことを思い出しますな」",
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"320000411_102": "「宮司さんの娘さんも巫女さんなんですか?」",
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"320000411_103": "「ええ。巫女修業は、\\n 娘も大変苦労していましたなー」",
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"320000411_104": "「さて、今日はこれぐらいにしましょうか」",
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"320000411_105": "「ありがとうございました(デース)……」"
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