112 lines
11 KiB
JSON
112 lines
11 KiB
JSON
{
|
||
"328000711_0": "緒川慎次の戦い",
|
||
"328000711_1": "「待たせたなッ!」",
|
||
"328000711_2": "「応援に来たわよ」",
|
||
"328000711_3": "「2人とも、よく来てくれた」",
|
||
"328000711_4": "「その顔色だと、あまり状況はよくないみたいね」",
|
||
"328000711_5": "「ああ……」",
|
||
"328000711_6": "(わたしが失敗したばかりに……)",
|
||
"328000711_7": "(見たところ、何かあったみたいね……)",
|
||
"328000711_8": "「……まずは状況を聞かせて頂戴」",
|
||
"328000711_9": "「じゃあ、アレはそのままってことか」",
|
||
"328000711_10": "「ああ。状況が状況だったのでな……。\\n やむを得なかった」",
|
||
"328000711_11": "「大丈夫なの?」",
|
||
"328000711_12": "「……もし、ヤツがアレを悪用しようとしたなら、\\n 全力で俺が取り返す」",
|
||
"328000711_13": "「しかし、取引を承諾した以上、理由なく反故にもできん。\\n ヤツが草薙と戦っている限りは、様子見といったところだ」",
|
||
"328000711_14": "「相変わらずだな……」",
|
||
"328000711_15": "「ま、司令らしいといえば、らしいけどね」",
|
||
"328000711_16": "「まったく……どこかの男がRN式ガングニールを壊したり\\n しなければ、あんなことにはならなかったのに……」",
|
||
"328000711_17": "「面目次第もない。\\n しかし、耐久性は改良の余地があるんじゃないか?」",
|
||
"328000711_18": "「あなたが頑丈すぎるのよ。\\n 生身の方より先にRN式の兵装が限界を迎えるなんて……」",
|
||
"328000711_19": "「……まあ、それでもあそこまで酷使することはなかったし、\\n いいデータは手に入ったわ。お望み通り改良してあげる」",
|
||
"328000711_20": "「頼んだ」",
|
||
"328000711_21": "「なあ、RN式天羽々斬をおっさんが使うことは\\n できなかったのか?」",
|
||
"328000711_22": "「そうね。それができればよかったんだけど」",
|
||
"328000711_23": "「本来のシンフォギアのコンダクト程ではないけれど、\\n RN式にも装着者との相性はあるの」",
|
||
"328000711_24": "「開発中にもちろん試しはしたのだけど……」",
|
||
"328000711_25": "「どうもRN式ガングニールのようには\\n いかなくてな……」",
|
||
"328000711_26": "「そういうことだったのね」",
|
||
"328000711_27": "「時間をかければ、RN式の方を合うように調整もできるけど、\\n 今の段階では取り返しても使えないわ」",
|
||
"328000711_28": "「そりゃ、どうしようもないな……」",
|
||
"328000711_29": "「RN式の件は仕方ないとして、\\n 草薙の方はどうなのかしら?」",
|
||
"328000711_30": "「そうだな。アイツらの目的とかわかったのか?」",
|
||
"328000711_31": "「この国を牛耳る――と、彼奴はそう言っていた。\\n しかし、そう簡単にいくものだろうか」",
|
||
"328000711_32": "「暗殺集団1つの暗躍で崩れる程には、\\n 流石にこの国の体制は脆弱ではないと思うわ」",
|
||
"328000711_33": "「そうだな」",
|
||
"328000711_34": "「だが連中は目的を遂げるための手段に、\\n なんらかの目処を立てているはずだ」",
|
||
"328000711_35": "「何をどうするかはともかく、タイミング的には、\\n やはり世界サミット絡みかしらね……」",
|
||
"328000711_36": "「ああ。サミットに合わせて事を起こされると厄介だな」",
|
||
"328000711_37": "「各国政府相手に一席ぶった立場としてはどう思う?」",
|
||
"328000711_38": "「そ、そういう話の振り方、やめてくれるかしら?」",
|
||
"328000711_39": "「……確かに首脳陣が集まるサミットは、\\n 何かを仕掛けるには絶好の契機だと思うわ」",
|
||
"328000711_40": "「己の存在感の誇示と、主張を全世界に発信するには、\\n それこそうってつけよ」",
|
||
"328000711_41": "「けれど……結局の所、単発的なテロリズムでは、\\n 現行の支配体制を覆すことはできないわ」",
|
||
"328000711_42": "「そうか?」",
|
||
"328000711_43": "「ええ。仮にサミットで各国首脳を誘拐なり暗殺なりすれば、\\n 確かに日本政府の権威失墜には繋がるかもしれない」",
|
||
"328000711_44": "「けれど、それは同時に草薙自体が世界を敵に回すのと同義。\\n この国の支配者に取って代わることには繋がらないわ」",
|
||
"328000711_45": "「ああ。普通に考えれば、草薙を掃討した上で、\\n 発言力の弱まった日本政府に諸外国が介入してくるだろうな」",
|
||
"328000711_46": "「やはり、普通の道理であれば、\\n そうなのかもしれません……」",
|
||
"328000711_47": "「まだ納得いかない?」",
|
||
"328000711_48": "「いや、そうではないが。\\n あのオロチという男の確信に満ちた顔が嫌にちらついて……」",
|
||
"328000711_49": "「ただの狂人の世迷い言とは、片付けがたい気がするのだ」",
|
||
"328000711_50": "「別の隠された意図があるってことか?」",
|
||
"328000711_51": "「それって、フロンティア事変の時の月落下のような?」",
|
||
"328000711_52": "「そこまではわからないが……」",
|
||
"328000711_53": "「それに、追手として差し向けられた忍びの中に、\\n 少々気になる存在があった」",
|
||
"328000711_54": "「自動人形ね……」",
|
||
"328000711_55": "「また錬金術師の陰謀か?」",
|
||
"328000711_56": "「うむ……異端技術を保有する組織の関与があるとすると、\\n 単純な話では済まないかもしれんな……」",
|
||
"328000711_57": "「どちらが主でどちらが従かによっても、\\n 意味合いが変わってくるでしょうけどね」",
|
||
"328000711_58": "「ところで、草薙について政府は何か言ってきているの?」",
|
||
"328000711_59": "「いえ、今のところは何も通達はありません」",
|
||
"328000711_60": "「まあそうでしょうね。\\n 連中、草薙という存在自体を公式には認めていないんだもの」",
|
||
"328000711_61": "「草薙の存在が明るみに出ることを望んでいない以上、\\n 対応命令が正式に下ることもない、か……」",
|
||
"328000711_62": "「そういうこと」",
|
||
"328000711_63": "「ッ! どいつもこいつも、腐ってやがるッ!」",
|
||
"328000711_64": "「いっそ草薙と一緒にそいつらも、まとめてぶっ潰してやるかッ?」",
|
||
"328000711_65": "「それができたら楽なのだけどね」",
|
||
"328000711_66": "「いずれにしても、サミットが近付く中で草薙の蠢動を\\n むざむざ看過するわけにもいかん」",
|
||
"328000711_67": "「命令が下らぬのであれば、\\n 非公式であっても独自に対応行動を開始するべきだろう」",
|
||
"328000711_68": "「わたしたちも協力させてもらうわ」",
|
||
"328000711_69": "「まあ、乗りかかった舟だしな」",
|
||
"328000711_70": "「すまない。恩に着る」",
|
||
"328000711_71": "「――って、勢い込んだのはいいけど」",
|
||
"328000711_72": "「新しい情報が入るまで、ひとまずこの部屋で休んでろってか」",
|
||
"328000711_73": "「だが時間があるならちょうどいい。\\n 少し相談に乗ってもらえないか?」",
|
||
"328000711_74": "「相談?」",
|
||
"328000711_75": "「――というわけで、今後再び緒川さんと\\n 接触する可能性は高いと思うのだが……」",
|
||
"328000711_76": "「我々の存在を、どこまで話したものか悩みどころでな」",
|
||
"328000711_77": "「この世界にいないはずの人間、\\n 存在しないはずのシンフォギア……、怪しさ振り切れてるしな」",
|
||
"328000711_78": "「今の段階では、どこまで話したの?」",
|
||
"328000711_79": "「今のところ、並行世界などの話は一切していない」",
|
||
"328000711_80": "「だが、あなたではないあなたを知っていると――\\n それだけ説明してある」",
|
||
"328000711_81": "「それだけ聞いたのでは緒川さんもさぞ困惑したでしょうに」",
|
||
"328000711_82": "「ああ。初めはオカルトかと思われた」",
|
||
"328000711_83": "「でしょうね……」",
|
||
"328000711_84": "「だが、理解はせずとも、最後は信用はしてくれた様に思う」",
|
||
"328000711_85": "「その辺、うまくはぐらかすわけにはいかなかったの?」",
|
||
"328000711_86": "「質問されては何も説明しないわけにもいくまい。\\n 互いの命を預けようという相手には、特に」",
|
||
"328000711_87": "「まあ、あたしらがいきなり名前を言い当てたせいで、\\n はぐらかすにも限度があっただろうしな」",
|
||
"328000711_88": "「翼やこちらの司令の話から、信用できる人間にも思えるし、\\n いっそ全部教えるというのは?」",
|
||
"328000711_89": "「それも、考えはした」",
|
||
"328000711_90": "「だが、わたしの一存で並行世界――ひいてはギャラルホルンに\\n 繋がる情報を与えていいものか、俄に判断がつかなかった」",
|
||
"328000711_91": "「並行世界の情報開示は、毎回難しいよな……」",
|
||
"328000711_92": "「それなら、こっちの世界の風鳴司令に相談するのはどうかしら?」",
|
||
"328000711_93": "「確かに、二課にも関係する話であるわけだし、\\n 緒川さんにRN式を貸与しているということもある……」",
|
||
"328000711_94": "「ええ。わたしたちが勝手に話すよりは、\\n こちらの代表の判断を仰ぎましょう」",
|
||
"328000711_95": "「ああ……そうするか」",
|
||
"328000711_96": "「そうと決まれば、早速行くか?」",
|
||
"328000711_97": "「ちょっと待ってくれ、その前に1つ頼みたいことがある」",
|
||
"328000711_98": "「どうしたんだ?」",
|
||
"328000711_99": "「これを……」",
|
||
"328000711_100": "「……ペンダント?\\n 随分傷ついているわね」",
|
||
"328000711_101": "「草薙の忍び、オロチとの戦いでこの有様に」",
|
||
"328000711_102": "「……これじゃ、\\n ギアを纏うことはできないんじゃないのか?」",
|
||
"328000711_103": "「ああ、試したが無理だった」",
|
||
"328000711_104": "「今のわたしは無力だ……。\\n このままではなんの力にもなれない」",
|
||
"328000711_105": "「頼む。ペンダントをS.O.N.G.へ持ち帰り\\n 修理をお願いしてきてくれないだろうか?」",
|
||
"328000711_106": "(……それで、浮かない表情だったのね)",
|
||
"328000711_107": "「もちろんよ。すぐに修理を依頼してくるわ」",
|
||
"328000711_108": "「ああ、ギアが纏えないんじゃ、元の世界へも戻れないしな」",
|
||
"328000711_109": "「ありがとう。迷惑をかけてすまない……」"
|
||
} |