xdutranslations/Missions/2010200/201020011_translations_jpn.json

123 lines
11 KiB
JSON
Raw Blame History

This file contains invisible Unicode characters

This file contains invisible Unicode characters that are indistinguishable to humans but may be processed differently by a computer. If you think that this is intentional, you can safely ignore this warning. Use the Escape button to reveal them.

This file contains Unicode characters that might be confused with other characters. If you think that this is intentional, you can safely ignore this warning. Use the Escape button to reveal them.

{
"201020011_0": "秘密のさしいれ",
"201020011_1": "とある並行世界に停泊中のエアーキャリアーにて――",
"201020011_2": "「1・2ッ! 1・2ッ!」",
"201020011_3": "「1・2ッ! 1・2ッ!」",
"201020011_4": "「全隊……止まれッ!」",
"201020011_5": "「みんな、お疲れ様。\\n 今日の訓練はここまでッ」",
"201020011_6": "「ありがとうございましたッ!」",
"201020011_7": "「……と、言いたいところなんだけれど……」",
"201020011_8": "「ひー……ひー……ふひー……」",
"201020011_9": "「ナツミ、頑張ってッ!\\n もう少しよッ」",
"201020011_10": "「そ……そんなこと言われても……つらいっス……。\\n こんなの……納得できないっス……ッ」",
"201020011_11": "「無駄口を叩く余裕があるのなら、\\n もう周追加しましょうか」",
"201020011_12": "「隊長ッ! 科学的に質問させて\\n いただきたいっスッ」",
"201020011_13": "「ええ、いいわよ。\\n わたしに答えられることなら」",
"201020011_14": "「あたしはこれでも、\\n 自分の仕事には自信があるっス」",
"201020011_15": "「ええ、いつも部隊を支えてもらっているわね。\\n ありがとう」",
"201020011_16": "「そんなあたしが……、\\n 何故、このような走り込みを……」",
"201020011_17": "「ナツミに格闘をさせるつもりはないわ。\\n とはいえ、この部隊の人員には余裕がないの」",
"201020011_18": "「自分の身を護る……いえ、\\n 走って逃げられるくらいの体力は必要でしょう」",
"201020011_19": "「た……確かに……ここのところ座ってばかりで\\n すっかり足腰がなまっていたっス」",
"201020011_20": "「今回の訓練で、科学的にも証明されたっス。\\n まさか、子供の足にもついていけないとは……」",
"201020011_21": "「……誰が子供ですって?」",
"201020011_22": "「あ、いや、その……」",
"201020011_23": "「異論があるのなら科学的に訂正してみせなさいッ!\\n さもなくば、もう周追加するわよッ」",
"201020011_24": "「ひ……ひええ……、\\n もう走れないっスーッ」",
"201020011_25": "「姉さん、そのくらいにしてあげましょうよ」",
"201020011_26": "「あら、セレナ。戻ってたのね」",
"201020011_27": "「副隊長、サボリっスか?」",
"201020011_28": "「そんなわけないでしょッ!」",
"201020011_29": "「わたしには別の任務があったので。\\n 一緒に訓練できなくてごめんなさい」",
"201020011_30": "「その代わりに……はい、さしいれですよ」",
"201020011_31": "「わおー、ドーナツっスかッ!」",
"201020011_32": "「気が利くじゃない。さすがはセレナね」",
"201020011_33": "「ありがとうございますっス、副隊長ッ!」",
"201020011_34": "「ちゃんと人数分ありますから……ほら、焦らないで」",
"201020011_35": "「みんな、良かったわね」",
"201020011_36": "「むぐむぐ……これは……ランニングによって\\n 消耗されたエネルギーを補給しつつ」",
"201020011_37": "「脳に必要な糖分も満たされていく……、\\n 科学的にも非常に有効な栄養摂取っス」",
"201020011_38": "「あら、1つだけ残ってるドーナツは……、\\n 姉さんの」",
"201020011_39": "「せっかく副隊長が買ってきてくれたのに\\n いらないんっスか」",
"201020011_40": "「こ、子供じゃあるまいし、ドーナツなんて。\\n それに、わたしは隊長なんだから……」",
"201020011_41": "「ふむ、その動機づけは非科学的っスけど、\\n あたしの身体は科学的に糖分を求めてるっス」",
"201020011_42": "「なおかつ、ドーナツは時間が経過するほどに\\n 油が劣化していくっス」",
"201020011_43": "「これらの科学的因果関係から\\n 導き出される結論は……」",
"201020011_44": "「あなたが食べたいのね」",
"201020011_45": "「さすが隊長、その通りっスッ! やっぱり科学は\\n いつだって万人を唯一絶対の真理へと導くっス」",
"201020011_46": "「わたしは構わないけど、\\n そこは科学でなく、セレナに感謝しなさいよ」",
"201020011_47": "「副隊長、改めてありがとうございましたっスッ!\\n それでは……いただきますっス」",
"201020011_48": "「まったく、さっきは人のことを\\n 子供扱いしてたくせに」",
"201020011_49": "「子供にも大人にも糖分は必要っスー♪」",
"201020011_50": "「まったく、どっちが子供だか。\\n フフ……」",
"201020011_51": "「姉さん……」",
"201020011_52": "「フフ……フフ……」",
"201020011_53": "(はあ……わたしってば何をやってるんだか。\\n せっかくセレナが気を遣って用意してくれたのに",
"201020011_54": "(体裁にこだわって、\\n あの子の厚意を無下にしてしまった",
"201020011_55": "(どうしたらよかったのかしらね。\\n わたしだって、食べたかったのに……",
"201020011_56": "(まさか、ドーナツ1つで\\n こんなに思い悩むことになるなんて……ッ",
"201020011_57": "「マリア姉さん、ちょっといい?」",
"201020011_58": "「ええ、構わないわ」",
"201020011_59": "「どうしたの、こんな時間に」",
"201020011_60": "「実は……他の隊員たちにもドーナツを配ってたんだけど、\\n うっかり多めに買ってたみたいで」",
"201020011_61": "(もしかして、それは……ッ)",
"201020011_62": "「セ、セレナがそういう失敗をするなんて\\n 珍しいわね」",
"201020011_63": "「うん。でも、他の隊員に融通するのも角が立つし」",
"201020011_64": "「そうかもね。\\n みんな、ちょっと子供っぽいところがあるから」",
"201020011_65": "「ということで……わたしたちで\\n こっそり食べちゃうのが、番丸く収まるかな、って」",
"201020011_66": "「でも、隊長がそんな\\n 内緒で食べるなんてことしていいのかしら」",
"201020011_67": "「もう、2人きりのときまで\\n そういう肩書きにこだわらなくてもいいのに」",
"201020011_68": "「わたしは妹として、姉さんに秘密のさしいれを\\n 持ってきただけなんだから」",
"201020011_69": "(……ああ、わたしったら\\n また同じ過ちを繰り返すところだったわね",
"201020011_70": "(変なところで肩肘張ってしまって\\n 余計に気を遣わせてしまったばかりなのに",
"201020011_71": "「そ、そこまで言うのならいただくわ。\\n 時間が経つと油が劣化してしまうものね」",
"201020011_72": "「うん、科学的に」",
"201020011_73": "「科学的に証明されてるらしいから、仕方ないわよね」",
"201020011_74": "(やっぱり、甘いものを食べてるときの姉さんは可愛い……ッ!)",
"201020011_75": "(こうやって抱かれるのは姉らしくないけど……、\\n ここは甘受しておきましょうか。今日の反省の意味でも、ね",
"201020011_76": "「隊長、すみませんっス」",
"201020011_77": "「は、はいッ!?」",
"201020011_78": "「隊長、実は……って",
"201020011_79": " 副隊長も一緒だったんっスか」",
"201020011_80": "「ええ。大事な話なら席を外しましょうか?」",
"201020011_81": "「いやいや、それほどのことでもないっス。\\n ただ、昼間は申し訳なかったっス」",
"201020011_82": "「それは、あなたが訓練に\\n ついてこれなかったこと」",
"201020011_83": "「いえいえ、そちらではないっスッ!」",
"201020011_84": "「あの状況で、糖分を必要としていたのは\\n 隊長も同じだったっス」",
"201020011_85": "「むしろ、科学的に比較して、身体の小さな隊長こそ\\n 栄養素を欲していたはずっス」",
"201020011_86": "「小さい言うなッ!」",
"201020011_87": "「そこで、遅ればせながら、このナツミ ヒメジマ、\\n 隊長のために甘味を持参した次第でありまして……」",
"201020011_88": "「ええッ!? あなたもッ!?」",
"201020011_89": "「そうっス。午後の自由時間にちょっと外に出て、",
"201020011_90": " ……ん?」",
"201020011_91": "「も、とは……? むむ? もしかして隊長、\\n 副隊長とこっそりドーナツ食べてたっスか」",
"201020011_92": "「いえッ! そんなこと……」",
"201020011_93": "「姉さん、口の周りに……」",
"201020011_94": "「く、油断したわ……ッ!」",
"201020011_95": "「とはいえ、あたしも持ってきちゃいましたし、\\n せっかくっスから、ここは人でいかがっス」",
"201020011_96": "「姉さん、せっかくだから……」",
"201020011_97": "「まったくもう、今回だけよ?」",
"201020011_98": "「すみません、隊長」",
"201020011_99": "「今度は誰ッ!?」",
"201020011_100": "「夜分に失礼します。昼間の訓練で……」",
"201020011_101": "「あれ?」",
"201020011_102": "「もしかして、あなたもドーナツを……?」",
"201020011_103": "「隊長、失礼します」",
"201020011_104": "「……って、\\n みなさんお揃いでどうしたんですか」",
"201020011_105": "「その手にしている紙袋の中身は、まさか……ッ!」",
"201020011_106": "「みんな、考えることは一緒だったのかも」",
"201020011_107": "「というか、ひょっとしてあなたたち、\\n 自分がドーナツを食べたかっただけじゃないのッ」",
"201020011_108": "(ギクギクッ!?)",
"201020011_109": "「そんなことないよッ!?」",
"201020011_110": "「セレナが違うことはわかってるから……」",
"201020011_111": "「みんな、隊長のことが大好きなだけっスよ」",
"201020011_112": "「というかナツミ、あなたのはドーナツどころか\\n カステラじゃないッ」",
"201020011_113": "「か、科学的に考えて、\\n 玉子の含まれるカステラのほうが……」",
"201020011_114": "「玉子はドーナツにも含まれてるわッ!\\n それ、絶対あなたが食べたかっただけよねッ」",
"201020011_115": "「隊長、お疲れ様です」",
"201020011_116": "「隊長の好きな……。",
"201020011_117": " ……はて、こんなに集まって、これから何が始まるんですか?」",
"201020011_118": "「えーと……ドーナツパーティでも開こうかな、って」",
"201020011_119": "「カステラもあるっスよッ!」",
"201020011_120": "「……今後、さしいれは\\n 最初から素直にいただくことにするわ……」"
}