108 lines
8.3 KiB
JSON
108 lines
8.3 KiB
JSON
{
|
||
"321001011_0": "夜が明けて",
|
||
"321001011_1": "「ふう、やっと帰ってこられたデスよ……」",
|
||
"321001011_2": "「あたしらは、久々に来たって感覚の方が強いけどな」",
|
||
"321001011_3": "「こっちに来て、すぐに切歌ちゃんのところに飛んでったもんね」",
|
||
"321001011_4": "「たった2日かそこらデスけど、\\n アタシはとてつもなく長い時間のように感じるデス……」",
|
||
"321001011_5": "「うんうん。\\n わたしたちが行くまで、1人で頑張ってたんだもんね」",
|
||
"321001011_6": "「そうデス……」",
|
||
"321001011_7": "「なーに泣きそうな面してんだ?」",
|
||
"321001011_8": "「な、泣いてなんかないデスよッ!」",
|
||
"321001011_9": "「それよりも、切歌ちゃん。ほら」",
|
||
"321001011_10": "「なんデス?」",
|
||
"321001011_11": "「あ……」",
|
||
"321001011_12": "「し……調ぇ――ッ!」",
|
||
"321001011_13": "「ただいまデースッ!」",
|
||
"321001011_14": "「お帰りなさい、切ちゃん」",
|
||
"321001011_15": "「よかった……よかったデスよ、調……」",
|
||
"321001011_16": "「どうどう。もう、大丈夫だから」",
|
||
"321001011_17": "「うん……ホントに、ホントによかったデス……」",
|
||
"321001011_18": "「お帰り、切歌」",
|
||
"321001011_19": "「暁さん、お疲れ様でした」",
|
||
"321001011_20": "「マリアとセレナも……。\\n もう動いていいんデスか?」",
|
||
"321001011_21": "「ええ、おかげ様でね」",
|
||
"321001011_22": "「熱が引いたら、ぜんぜん、なんともなくなったんです」",
|
||
"321001011_23": "「あなたがわたしたちを助けてくれたのよ」",
|
||
"321001011_24": "「うん。そうだよ、切ちゃん」",
|
||
"321001011_25": "「暁さんは、すごいです」",
|
||
"321001011_26": "「そ、そんな。\\n 改めて言われると照れるデスよ」",
|
||
"321001011_27": "「でも……でも……ホントによかったデス……」",
|
||
"321001011_28": "「切歌? どうしたの?」",
|
||
"321001011_29": "「アイツを倒すのが間に合って、\\n ホントによかったデスよ……」",
|
||
"321001011_30": "「みんながヴァンパイアになったらどうしようかって、\\n ずっとずっと思ってたデス」",
|
||
"321001011_31": "「だから、ホントにホントに、よかったデスよ……」",
|
||
"321001011_32": "「お前さっきから、よかったしか言ってないぞ。\\n なけなしの語彙力はどこに置いてきた?」",
|
||
"321001011_33": "「よかったものはよかったんデスから\\n 何度よかったって言ってもいいんデスよッ!」",
|
||
"321001011_34": "「わけがわかんないっての」",
|
||
"321001011_35": "「アハハ」",
|
||
"321001011_36": "「ご苦労様、響、クリス」",
|
||
"321001011_37": "「あ、未来」",
|
||
"321001011_38": "「おう、お前もな」",
|
||
"321001011_39": "「留守番ありがとう、未来」",
|
||
"321001011_40": "「ううん。わたしは何も」",
|
||
"321001011_41": "「それじゃ、こっちは襲われなかったんだ」",
|
||
"321001011_42": "「うん。1回もね」",
|
||
"321001011_43": "「まあ、あいつが無茶やって\\n 奴らの目を引きつけてたみたいだからな」",
|
||
"321001011_44": "「ったく、1人で抱え込みすぎだっての」",
|
||
"321001011_45": "「フフ……まるで昔のクリスみたいだね」",
|
||
"321001011_46": "「あッ、あたしはあんなじゃなかったッ!」",
|
||
"321001011_47": "「そうだっけ?」",
|
||
"321001011_48": "「まあまあ」",
|
||
"321001011_49": "「みなさん、今回はご苦労様でした」",
|
||
"321001011_50": "「マム……ただいまデス」",
|
||
"321001011_51": "「ロンドンに蔓延した疫病も無事収束したそうです。\\n これもあなたたちのおかげです」",
|
||
"321001011_52": "「終わったデスか。ほっとしたデスよ……」",
|
||
"321001011_53": "「特に切歌……今回は私の力不足から、\\n あなた1人に大変な負担をかけてしまいましたね」",
|
||
"321001011_54": "「そ、そんなことないデスよ……」",
|
||
"321001011_55": "「いいえ。よくぞやり遂げて……。\\n そして、無事に戻ってきてくれました」",
|
||
"321001011_56": "「マム……」",
|
||
"321001011_57": "「今だから言えますが、あの時のあなたの様子では、\\n もう会えないかもと、正直覚悟していました」",
|
||
"321001011_58": "「それは……」",
|
||
"321001011_59": "(切ちゃん……?)",
|
||
"321001011_60": "「ですが……一番大切なものを見失わずに済んだみたいですね」",
|
||
"321001011_61": "「はいデス……。\\n 全部、先輩たちと、クルースニクさんのおかげデス」",
|
||
"321001011_62": "「そうですか。\\n ならば今度、私もその方にお礼を言わないといけませんね」",
|
||
"321001011_63": "「あ、そうデス」",
|
||
"321001011_64": "「マム……これ、返すデスよ」",
|
||
"321001011_65": "「銀の弾丸……、\\n 確かに受け取りました」",
|
||
"321001011_66": "「あの、たまに会いに来てもいいデスか?」",
|
||
"321001011_67": "「もちろんですよ。この方もきっと喜ぶでしょう」",
|
||
"321001011_68": "「ありがとうデスッ!」",
|
||
"321001011_69": "「よかったね、切ちゃん」",
|
||
"321001011_70": "「ヘヘ……調にもいつか、クルースニクさんに会わせてあげるデスよ」",
|
||
"321001011_71": "「うん、楽しみにしてるね」",
|
||
"321001011_72": "「はあ……色々安心したら、お腹がますます減ってきたデス」",
|
||
"321001011_73": "「調のご飯をお腹いっぱい食べたいデースッ!」",
|
||
"321001011_74": "「うん。切ちゃんの好きな物、たっくさん用意してあるから」",
|
||
"321001011_75": "「やったデ……ス……」",
|
||
"321001011_76": "「切ちゃんッ?」",
|
||
"321001011_77": "「…………」",
|
||
"321001011_78": "「な、なんだ、どうした?」",
|
||
"321001011_79": "「まさか怪我してたのッ!?」",
|
||
"321001011_80": "「そこにそっと降ろしてッ!」",
|
||
"321001011_81": "「う、うん……」",
|
||
"321001011_82": "「すぅ……すぅ……」",
|
||
"321001011_83": "「……寝てるみたい」",
|
||
"321001011_84": "「んだよ人騒がせなッ!」",
|
||
"321001011_85": "「まるでスイッチが切れたみたいだったね」",
|
||
"321001011_86": "「仕方ないよ。切歌ちゃん、ずっと夜通し戦ってたし」",
|
||
"321001011_87": "「帰りも森に入るまでえらくはしゃいでたけど、\\n 抜ける頃には死人みたいな顔色でグッタリしてたな」",
|
||
"321001011_88": "「その上、帰りの飛行機でも寝てなかったし。\\n こうなって当たり前だ」",
|
||
"321001011_89": "「ええッ? 寝てなかったの?」",
|
||
"321001011_90": "「ああ、機内で傷の治療をした後も、\\n 興奮して寝れないとか言ってな」",
|
||
"321001011_91": "「もしかして、クリスちゃんも起きてた?」",
|
||
"321001011_92": "「あたしは仮眠くらいは取ったけどな」",
|
||
"321001011_93": "「離陸直後から着陸まで\\n バカ面晒して爆睡してたのはお前くらいだ」",
|
||
"321001011_94": "「バカ面は酷いよ、クリスちゃん……」",
|
||
"321001011_95": "「なるほど……安心して疲れが一気に出ちゃったのね」",
|
||
"321001011_96": "「でも……なんか、幸せそうに寝てるね」",
|
||
"321001011_97": "「フフ……そうね」",
|
||
"321001011_98": "「あんなに辛い戦いをしてきたばかりなのに」",
|
||
"321001011_99": "「あ……でも、ご飯、どうしよう……」",
|
||
"321001011_100": "「ご飯は後にして、しばらくは寝かせておいてあげましょう」",
|
||
"321001011_101": "「うん……そうだね」",
|
||
"321001011_102": "「ありがとう、暁さん」",
|
||
"321001011_103": "「お疲れ様、切歌」",
|
||
"321001011_104": "「切ちゃん……」",
|
||
"321001011_105": "「わたしたち、これからもずっとずっと、一緒だよ」"
|
||
} |