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"321000911_0": "銀弾の軌跡",
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"321000911_1": "「楽しかった夜も、じきに白み始める頃合いだ。\\n 名残惜しいが、そろそろ宴もお開きといこうか」",
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"321000911_2": "「まさか……日の出の時が……?」",
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"321000911_3": "「……マムからの通信デスか?」",
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"321000911_4": "「切歌、急いでくださいッ!」",
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"321000911_5": "「マリアたちの発作が止まりませんッ!\\n もう一刻も猶予はありませんッ!」",
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"321000911_6": "「そんな、マリアさんたちが――」",
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"321000911_7": "「くッ……」",
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"321000911_8": "「マリア……調……セレナ……。もう少しの辛抱デスよ……」",
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"321000911_9": "「今アタシが……アイツの魂を刈り取ってやるデスッ!!」",
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"321000911_10": "「おいッ! お前、まさか――」",
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"321000911_11": "「絶唱……ッ!? それは絶対にダメだよッ!」",
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"321000911_12": "「この前使用したばっかりだってナスターシャ教授が言ってた。\\n こんな短期間に使ったら――」",
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"321000911_13": "(よせ、暁ッ!)",
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"321000911_14": "「他に方法は無いんデスッ!」",
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"321000911_15": "「調たちを助けるためには、こいつを倒すしかないんデスよ」",
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"321000911_16": "「例え……アタシの命に代えてでもッ!」",
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"321000911_17": "「ああ、そうであったな……」",
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"321000911_18": "「最初の邂逅で我は確かにその刃、\\n その特性に危機感を覚え、退いた……」",
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"321000911_19": "「万物の頂点、ヴァンパイアの王であるこの我が、だ……」",
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"321000911_20": "「その汚名は雪いでおかなければなるまい。\\n 新世界の支配を開始する前に」",
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"321000911_21": "「いいだろう……その力、使ってみせるがいいッ!」",
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"321000911_22": "「だが、あの時とは違うぞ。我が肉体と魂は完全に結びつき、\\n 太陽がその光を失っている今まさにこの時にッ!」",
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"321000911_23": "「それでも不死身の我の魂をその刃が刈ることができるのか否か、\\n 試してみようではないかッ!」",
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"321000911_24": "「お望みなら……みせてやるデスッ!」",
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"321000911_25": "「挑発に乗るなッ!」",
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"321000911_26": "「うるさいデスッ!」",
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"321000911_27": "「アタシには、命に代えてでも\\n アイツを倒さなければいけない理由があるんデスッ!」",
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"321000911_28": "「大切な家族のためなら、この命ッ!\\n くれてやったって全然惜しくないデスッ!」",
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"321000911_29": "「それは、アイツに一族を滅ぼされたクルースニクさんだって、\\n 知ってるはずデスよッ!」",
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"321000911_30": "「ああ……確かに、俺も過去にこの命を捨てて奴を討った……」",
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"321000911_31": "「しかし、思念だけとなった俺に残ったのは、後悔だけだった」",
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"321000911_32": "「大切な者がいるなら、尚更その命の使い方を間違えるなッ!」",
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"321000911_33": "「お前の家族にとっても、お前は大切な者のはずだッ!」",
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"321000911_34": "「アタシ……も……」",
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"321000911_35": "「大切な者が消えた世界では、誰も笑えないんだッ!」",
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"321000911_36": "「お前の家族が、お前が死んで喜ぶと思うのかッ?」",
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"321000911_37": "「そうだよ、切歌ちゃん……」",
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"321000911_38": "「マリアさんだって、セレナちゃんだって、調ちゃんだってッ!」",
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"321000911_39": "「何よりも、切歌ちゃんが無事に帰ってくるのを待ってるはずだよッ!」",
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"321000911_40": "「ア、アタシは……」",
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"321000911_41": "「暁、ヴァンパイアを倒すのに必要なのは――」",
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"321000911_42": "「クルー……スニクさん?」",
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"321000911_43": "「なッ……」",
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"321000911_44": "「え……消え、た……?」",
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"321000911_45": "「我が戦いに、いつまでも水を差すでないわ」",
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"321000911_46": "「力を失った無様な亡霊ごときが<ruby=さえず>囀</ruby>りおって……。\\n やっと消えて、せいせいしたわ」",
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"321000911_47": "「あ……あああ……」",
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"321000911_48": "「さあ、見せてみよ。\\n その刃が、本当に我の魂を刈るに足るものかどうかをッ!」",
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"321000911_49": "「あ、アタシ……は……」",
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"321000911_50": "(アタシは、みんなに笑っていてほしい)",
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"321000911_51": "(アタシが死んでも、調たちが悲しむのは一刻デス。\\n 少しでも時間が経てば……笑うようになってくれるはずデス……)",
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"321000911_52": "(だから、あの手紙も……、\\n 少しでも悲しみが和らげられればって……)",
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"321000911_53": "(…………本当にそうデス? 調たちは……、笑ってくれるデスか?)",
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"321000911_54": "「どうした? その刃を我に突き立てるのではなかったのか?」",
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"321000911_55": "「フ……まさか、今頃になって怖じ気づいたのではあるまいな?」",
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"321000911_56": "「違うデスッ! 命が惜しいわけなんかじゃ……でも……」",
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"321000911_57": "「ならば迷うことはあるまい」",
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"321000911_58": "「早くしなければ、お前の大事な家族とやらが\\n 鮮血の針の呪毒により我が<ruby=けんぞく>眷属</ruby>となり果てるぞ?」",
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"321000911_59": "「無論、我はそれでも構わぬがなッ!」",
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"321000911_60": "「ッ!?」",
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"321000911_61": "(そうデス、今すぐにこいつを倒さないと――)",
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"321000911_62": "「やってやるデスッ!\\n これがアタシの、絶唱――」",
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"321000911_63": "「やらせるかッ!」",
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"321000911_64": "「そうだよ、切歌ちゃんッ!」",
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"321000911_65": "「え?」",
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"321000911_66": "「なんでも、1人でしょい込もうなんて考えるんじゃねーッ!」",
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"321000911_67": "「そうだよ。わたしたちも一緒だよ」",
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"321000911_68": "「だから、みんなでやろうッ!」",
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"321000911_69": "「一緒に……? あッ!」",
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"321000911_70": "「そうデス、S2CAなら、絶唱の反動を――」",
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"321000911_71": "「きゃああ――ッ!?」",
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"321000911_72": "「ぐあああ――ッ!!」",
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"321000911_73": "「響さんッ!? クリス先輩ッ!?」",
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"321000911_74": "「亡者の次は死に損ないどもが……しゃしゃり出るでないわッ!」",
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"321000911_75": "「我はその者と話しているのだ。\\n 雑魚どもが邪魔をするな」",
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"321000911_76": "「お前こそ黙ってろ……こいつはあたしらの問題だ」",
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"321000911_77": "「クリス先輩、無理は駄目デスよッ!」",
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"321000911_78": "「それこそあたしらの台詞だっての」",
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"321000911_79": "「確かにこれは、あいつらのために負けられない戦いだ……」",
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"321000911_80": "「けど、お前が1人犠牲になるなんて、\\n 誰も望んじゃいねーんだよッ!」",
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"321000911_81": "「そうだよ、切歌ちゃん……。\\n みんなで帰らないと、なんの意味も無いんだからッ!」",
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"321000911_82": "「帰る……」",
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"321000911_83": "「いってらっしゃい。早く帰ってきてね」",
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"321000911_84": "「そうデス……アタシは……」",
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"321000911_85": "「帰って調にただいまを言わなくちゃいけないんデスッ!」"
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