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{
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"321000221_0": "「……なるほど。そうですか」",
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"321000221_1": "「何かわかったデスか?」",
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"321000221_2": "「ええ、鮮血の針についての有力な情報が\\n 幾つか寄せられました」",
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"321000221_3": "「本当デスか?」",
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"321000221_4": "「どうやら、鮮血の針には、\\n ヴァンパイアの魂が封じられていたようです」",
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"321000221_5": "「ヴァンパイアの……魂?」",
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"321000221_6": "「ええ。さらに、先方の研究所の調べでは、針には猛毒ともいえる\\n 高純度の呪いも付与されていたそうです」",
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"321000221_7": "「これに刺された者は苦しみの末にヴァンパイアに変化するか、\\n 耐え切れず死ぬかのいずれかになるのだと――」",
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"321000221_8": "「そんなッ!?」",
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"321000221_9": "「まさか、そんな物、実際に使ってみたんデスか?」",
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"321000221_10": "「いえ。向こうの研究所で起動は成されたのですが、効果の実験を\\n 行う前に1人の研究員が針と共に姿を消してしまったそうです」",
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"321000221_11": "「その研究員っていうのは――」",
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"321000221_12": "「ええ。事件現場に倒れていた彼で間違いありません」",
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"321000221_13": "「恐らくは、聖遺物の起動と共に目覚めたヴァンパイアの魂に\\n 操られ、今回の事件を引き起こしたのでしょう」",
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"321000221_14": "「それで、肝心の治療法はわかったんデスかッ!?」",
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"321000221_15": "「……いいえ、残念ながら。\\n 今の所は、有効な対処法は見つかっていません」",
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"321000221_16": "「どうしてデスッ!?」",
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"321000221_17": "「鮮血の針の毒は、毒と言っても超常的な呪いの産物です。\\n 投薬や外科的なものでその効果を消すことは不可能でしょう」",
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"321000221_18": "「そ、そんな……それじゃ、どうすれば……」",
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"321000221_19": "「文献によれば、\\n 鮮血の針は、別名『カズィクル・ベイ』とも呼ばれ――」",
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"321000221_20": "「針を刺された者は、刺した者――。この場合は\\n ヴァンパイアですが――それに連なる<ruby=けんぞく>眷属</ruby>になる、とあるそうです」",
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"321000221_21": "「その呪いは、刺したヴァンパイア当人を倒すことで\\n 消失する、ともあるそうですが……」",
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"321000221_22": "「が? 何か問題があるデスか?」",
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"321000221_23": "「しかし、ひとたび\\n 完全にヴァンパイアの<ruby=けんぞく>眷属</ruby>となってしまえば……」",
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"321000221_24": "「どうなるデス?」",
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"321000221_25": "「ヴァンパイアとの間に霊的なパスが結ばれてしまうため、祖と\\n なるヴァンパイアが死ねば同時に<ruby=けんぞく>眷属</ruby>も死んでしまうと――」",
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"321000221_26": "「そ、そんなッ!?」",
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"321000221_27": "「ですから、彼女たちが<ruby=けんぞく>眷属</ruby>となり果てる前に、\\n ヴァンパイア本体を倒す必要があります」",
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"321000221_28": "「結局、やらなきゃいけないことは変わらないデスね……」",
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"321000221_29": "「誰です?」",
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"321000221_30": "「ッ!?」",
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"321000221_31": "「マリアッ!!」",
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"321000221_32": "「どうしてこんなところに? そんな身体で無茶デスよッ!」",
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"321000221_33": "「話は、聞こえていたわ……」",
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"321000221_34": "「ッ!?」",
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"321000221_35": "「正直に教えて、マム」",
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"321000221_36": "「わたしたちには、どれくらいの時間があるの?」",
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"321000221_37": "「推測ですが、もってあと数日でしょう……」",
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"321000221_38": "「そんなッ!? 短すぎデスよッ!\\n なんとかならないデスかッ?」",
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"321000221_39": "「私もギリギリまでその進行を遅らせられるよう、\\n 努力はしますが……」",
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"321000221_40": "「恐らく、それ以上はあなたたち自身の身体が保ちません」",
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"321000221_41": "「死ぬか、それともヴァンパイアになり果てるか……。\\n どちらにしても、そうなれば……」",
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"321000221_42": "「そう……」",
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"321000221_43": "(マリア……)",
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"321000221_44": "「マリアッ! 心配無用デスよッ!」",
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"321000221_45": "「アタシが必ずヴァンパイアをやっつけてやるデスッ!\\n だから、ほんの少しの辛抱デス」",
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"321000221_46": "「切歌……ありがとう。\\n そして、ごめんなさい……」",
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"321000221_47": "「この状態では、わたしはとても手助けできない。\\n あなたばかりに負担をかけることになってしまった……」",
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"321000221_48": "「だけど……切歌、無茶だけはしないでね」",
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"321000221_49": "「アイツは……あのヴァンパイアの力は……」",
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"321000221_50": "「わかってるデスよ」",
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"321000221_51": "「だから、マリアたちは心配しないで、ゆっくり休んでるデス」",
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"321000221_52": "「絶対……絶対に、アタシがやり遂げてみせるデスからね」",
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"321000221_53": "「切歌……」",
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"321000221_54": "「ッ!? ううッ!!」",
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"321000221_55": "「また発作ですかッ!?\\n すぐにメディカルルームへ――」",
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"321000221_56": "「ち……違う、わ……」",
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"321000221_57": " 「違うって、ならなんデスかッ!?」",
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"321000221_58": "「この感じ……アイツの気配が……」",
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"321000221_59": "「緊急事態発生ッ! 研究所外の監視カメラに複数の敵影ッ!\\n 先日のオオカミタイプと思われますッ!」",
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"321000221_60": "「向こうから打って出てきましたか」",
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"321000221_61": "「ヴァンパイア本体は?」",
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"321000221_62": "「いえ、目下の所確認出来ておりません」",
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"321000221_63": "「ヴァンパイアがいようがいまいが、\\n このまま野放しにしておくわけにはいかないデスよ」",
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"321000221_64": "「それはそうですが……。\\n くれぐれも気をつけてください」",
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"321000221_65": "「わかってるデス。\\n マムはマリアたちのこと、お願いするデスよッ!」",
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"321000221_66": "「切、歌……」"
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