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"321000211_0": "ヴァンパイアの呪い",
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"321000211_1": "「……この感じ、どうやら口だけではなさそうだな」",
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"321000211_2": "「その力に興味はあるが……、\\n 今はまだ生を受けたばかり、慎重に事を運ぶべきか」",
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"321000211_3": "(なッ!? オオカミに変身したデスかッ!?)",
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"321000211_4": "「待つデスよッ!」",
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"321000211_5": "「うッ……」",
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"321000211_6": "(ぜ、絶唱の……バックファイア、が……?)",
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"321000211_7": "(途中で止めてたのにこれ、デスか……)",
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"321000211_8": "「みん、な……」",
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"321000211_9": "「う……ん……」",
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"321000211_10": "「あれ……ここ……は……?」",
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"321000211_11": "「目が覚めましたか」",
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"321000211_12": "「マム……アタシ、は……?」",
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"321000211_13": "「マム、みんなはッ!?」",
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"321000211_14": "「隣に寝ていますよ」",
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"321000211_15": "「…………」",
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"321000211_16": "「…………」",
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"321000211_17": "「……う……ん……」",
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"321000211_18": "「よかった、無事だったんデスね……」",
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"321000211_19": "「いえ、そうとは言えません」",
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"321000211_20": "「なんでデスかッ!?」",
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"321000211_21": "「切歌、起きられそうですか?」",
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"321000211_22": "「少しだけ眩暈がするけど……もう大丈夫デス」",
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"321000211_23": "「そうですか。なら、場所を変えて話すとしましょう」",
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"321000211_24": "「何を……デスか?」",
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"321000211_25": "「一緒に来ればわかります」",
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"321000211_26": "(マムの顔、暗いデス……。\\n すごく、嫌な予感がするデスよ……)",
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"321000211_27": "「それで、話っていうのは――?」",
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"321000211_28": "「実は爆発によって監視カメラが損傷してしまい、あなたたちが\\n 到着した後の保管庫周辺の映像が残っていなかったのです」",
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"321000211_29": "「ある程度は通信越しに把握していますが、こちらの情報とすり\\n 合わせをしたいので、まず当時の状況を教えて頂けますか?」",
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"321000211_30": "「は、はいデス……」",
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"321000211_31": "「ええと、聖遺物保管庫に向かう途中、オオカミみたいなのとか\\n <ruby=こうもり>蝙蝠</ruby>みたいな化け物がたくさん襲ってきたデス」",
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"321000211_32": "「そいつらをやっつけて進んだら、火の手が上がった森の奥に、\\n 黒いマントを着た男がいたデス」",
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"321000211_33": "「そいつの足下に、警備員の人たちが干からびて死んでて……」",
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"321000211_34": "「あ。そうだ、1人だけ、白衣の研究員の人が倒れてたんデス」",
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"321000211_35": "「で……そのマントの男は、\\n 『身体を返してもらった』とか言ってたデスね」",
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"321000211_36": "「身体を――やはり、ですか」",
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"321000211_37": "「やはり?」",
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"321000211_38": "「はい。\\n 保管庫周辺の森に設置されたカメラの映像によると――」",
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"321000211_39": "「その研究員が、警備の者を吹き飛ばし、\\n 移送中のミイラに接触していた場面が残っていました」",
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"321000211_40": "「それじゃ、その人が犯人デスか?」",
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"321000211_41": "「恐らく、ある意味では」",
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"321000211_42": "「でも、どうして死んでたんデス? 仲間割れデスか?」",
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"321000211_43": "「わかりません。ですが、ミイラが起き上がると同時に、\\n 彼はまるで糸が切れるように倒れてしまったのです」",
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"321000211_44": "「残された遺体の損傷状況から、\\n その段階で絶命していたものと思われます」",
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"321000211_45": "「残念ながら、映像はここまでです」",
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"321000211_46": "「マントの男は、そのミイラから復活した\\n ヴァンパイア……ということなのでしょう」",
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"321000211_47": "「そういえば……。確かにアイツは、\\n 自分のことをヴァンパイアだって言ってたデスよ」",
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"321000211_48": "「そうですか……」",
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"321000211_49": "「警備員たちが皆、全身の血を抜かれる形で絶命していたのも、\\n 彼が真正のヴァンパイアであることの証左でしょう」",
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"321000211_50": "「そ、それって、血を吸われた人たちも、ヴァンパイアに――?」",
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"321000211_51": "「いえ、遺体を調査しましたが、伝承のように血を吸われた\\n 者がヴァンパイア化するような兆候は見られませんでした」",
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"321000211_52": "「で、でも。\\n アイツはアタシたちを仲間にしてやるって言ってたデス」",
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"321000211_53": "「調とセレナが倒れたとき、アイツは変な赤い針を見せて――」",
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"321000211_54": "「アタシを庇ったマリアも、\\n 同じ針に刺されて倒れたんデスよ……」",
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"321000211_55": "「赤い針――」",
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"321000211_56": "「あれが何か知っているデスか?」",
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"321000211_57": "「ええ。実は、白衣の男の遺体の身元を調べたところ、\\n 他の聖遺物研究所の研究員だったことが判明しました」",
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"321000211_58": "「その赤い針は、その研究所から持ち出された\\n 聖遺物だったようです」",
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"321000211_59": "「なんデスとッ!?」",
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"321000211_60": "「その研究所では『鮮血の針』と呼んでいたようですね。\\n 随分と特殊な聖遺物であるようです」",
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"321000211_61": "「効果がわかってるデスか?」",
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"321000211_62": "「今わかっているのは、伝承レベルの話に過ぎませんが」",
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"321000211_63": "「どんな伝承デス?」",
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"321000211_64": "「その針に刺されることで人間が不死になれる――、\\n といった伝承があるようです」",
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"321000211_65": "「不死にッ!? それって、まさか――」",
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"321000211_66": "「ええ。あの男の言葉からしても、恐らくヴァンパイア的な\\n ものへと変貌してしまうのではないかと……」",
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"321000211_67": "「そ、それじゃ……調やセレナやマリアは……」",
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"321000211_68": "「今の昏睡状態は、その変貌過程にあるのかもしれません」",
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"321000211_69": "「そんなッ!?」",
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"321000211_70": "「その進行には波があるのか、ひどく苦しんでは落ち着くのを、\\n 時間を空けつつ、何度も繰り返しています」",
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"321000211_71": "「ですが、その周期も徐々に縮まっているようです。\\n このままでは――」",
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"321000211_72": "「マリアたちが、本物のヴァンパイアに……?」",
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"321000211_73": "「恐らくは」",
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"321000211_74": "「なんとかならないデスかッ!?」",
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"321000211_75": "「あなたが寝ている間にも、あの針を保管していた研究機関から\\n 関連資料を取り寄せていたところです」",
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"321000211_76": "「じきに到着するはず。\\n 対策はそれを元に考えましょう」",
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"321000211_77": "「そんなの待ってられないデスッ!\\n アタシがアイツを探して、みんなを助け――」",
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"321000211_78": "「――ううッ!?」",
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"321000211_79": "「そんな身体では無茶です」",
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"321000211_80": "「む、無茶も……へったくれも……ないデス、よ……」",
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"321000211_81": "「今無理をしてどうします?\\n もう少しだけお待ちなさい」",
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"321000211_82": "「でも、このままじゃ、みんながッ!」",
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"321000211_83": "「時間が無いのはわかっています。ですが――」",
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"321000211_84": "「相手の居場所もわからないこの状況下で、\\n 当てもなくどこを探すつもりですか?」",
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"321000211_85": "「それこそ時間と体力の無駄というものです」",
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"321000211_86": "「そ、それは……」",
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"321000211_87": "「仮に見つけたとしても。まだ絶唱のバックファイアの影響で\\n まともに動けぬ身体。一体どうやって戦うつもりですか?」",
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"321000211_88": "「鎌がまともに振るえなくても、絶唱を唄えば――」",
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"321000211_89": "「もしそんな状態でもう一度絶唱を唄えば、\\n 間違いなく命を落とすことになりますよ?」",
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"321000211_90": "「それを、皆が望むと思いますか?」",
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"321000211_91": "「うぐッ……」",
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"321000211_92": "「今は、身体を休めなさい。何かわかればすぐに知らせます」",
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"321000211_93": "「でも――じっとしていられないデス」",
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"321000211_94": "「……仕方ありませんね」",
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"321000211_95": "「どうしてもと言うなら、\\n シミュレータルームを開放しておきます」",
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"321000211_96": "「徐々に身体をならして、\\n 必要な時のためにコンディションを整えておいてください」",
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"321000211_97": "「マムッ!? ありがとうデス」",
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"321000211_98": "「でも、無理のしすぎは絶対に禁物ですよ?」",
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"321000211_99": "「わ、わかったデス……」",
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"321000211_100": "(切歌は人一倍仲間想いの強い子、\\n それを引き金に暴走しないといいのですが……)"
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