70 lines
6.4 KiB
JSON
70 lines
6.4 KiB
JSON
{
|
||
"201010021_0": "「……よかった。雨、やんだみたい」",
|
||
"201010021_1": "(……今日こそ、会うんだ。\\n 会って、謝って、それから――)",
|
||
"201010021_2": "「響……」",
|
||
"201010021_3": "(わたしのこと、覚えていてくれてるかな……。\\n あんなお別れになっちゃって、許してくれるかな……)",
|
||
"201010021_4": "「響の実家、ひどい様子だったよね……。\\n きっと、響もすごく辛かったはず……」",
|
||
"201010021_5": "(家、誰もいなくなってたな……)",
|
||
"201010021_6": "(響も、響の家族も、みんな優しい人たちだったのに……。\\n あんなに、あったかい家だったのに……)",
|
||
"201010021_7": "(響……)",
|
||
"201010021_8": "「……うん、\\n 今日は学院の方に行ってみようッ!」",
|
||
"201010021_9": "「ダメ、かー……」",
|
||
"201010021_10": "(個人情報だから部外者には教えられないって……。\\n 友だちだって言ってるのに、それでもダメだって……)",
|
||
"201010021_11": "「……わたしはただ会いたいだけなのにッ!」",
|
||
"201010021_12": "「大丈夫だったかなぁ……」",
|
||
"201010021_13": "「もう、まだ気にしてるの?\\n あの子のこと……」",
|
||
"201010021_14": "(あ、ここの寮の人かな?)",
|
||
"201010021_15": "「だって、立花さんあんなに雨に濡れてたし……。\\n 風邪ひいたりしたら、かわいそうだよ」",
|
||
"201010021_16": "(立花……?\\n もしかして――ッ!)",
|
||
"201010021_17": "「好きで雨の中歩いてたんだし、仕方ないじゃない」",
|
||
"201010021_18": "「あ、あのッ!\\n ちょっといいですかッ!」",
|
||
"201010021_19": "「……それで雨の中、歩いていっちゃって……」",
|
||
"201010021_20": "「そうですか……」",
|
||
"201010021_21": "「……確認してきた。まだ寮には戻ってないみたい。\\n あの子、いつも遅いみたいよ」",
|
||
"201010021_22": "(いつも遅い……? 響が……?)",
|
||
"201010021_23": "「やっぱり……」",
|
||
"201010021_24": "「ありがとうございました。\\n わたし、ちょっと探してみますッ!」",
|
||
"201010021_25": "「その……立花さんのお友だちなんですよね?」",
|
||
"201010021_26": "「はいッ!」",
|
||
"201010021_27": "「……その、なんて言ったらいいかわからないけど、\\n ちゃんと学院に来てほしいって伝えてください……」",
|
||
"201010021_28": "「……はい。ありがとうございますッ!」",
|
||
"201010021_29": "「行っちゃった。あの子にもちゃんと友だちいたんだね……」",
|
||
"201010021_30": "「もう、そんなこと言っちゃダメだよ。\\n ――あッ、そうだッ! 名前、聞けばよかった……」",
|
||
"201010021_31": "(――あれ、これは――)",
|
||
"201010021_32": "(……そうか、また、この夢なんだ……)",
|
||
"201010021_33": "(わたしが……、\\n 奴らを殺す、力を手に入れた時の――)",
|
||
"201010021_34": "(辛くて、苦しくて、誰も傍にいてくれなくて……。\\n みんなが、わたしが悪い、どうして生きてるんだって――)",
|
||
"201010021_35": "(わたしだって、好きで生き残ったわけじゃない。\\n ただ偶然こうなっただけなのに――)",
|
||
"201010021_36": "(気づけば友だちはみんないなくなってて、\\n 家族もバラバラになって――)",
|
||
"201010021_37": "(……そうして、いたたまれなくなって逃げ出したわたしの前に、\\n 奴らが現れた――)",
|
||
"201010021_38": "「どう……して?\\n また、こいつらが――」",
|
||
"201010021_39": "(ああ、そっか。\\n わたしを殺しにきたんだ……)",
|
||
"201010021_40": "(……わたしがちゃんとあそこで死ななかったから……)",
|
||
"201010021_41": "「……もう、いいんだ。わたしなんて……。\\n だから、今度はちゃんと殺して――」",
|
||
"201010021_42": "「――ッ!?」",
|
||
"201010021_43": "「……え? どうして……」",
|
||
"201010021_44": "「……許せない。また、わたしだけ生き残らせるのか。\\n また、わたしにあんな想いをさせるのか――」",
|
||
"201010021_45": "「……それなら、わたしがお前たちを――ッ!!」",
|
||
"201010021_46": "「――ッ!?」",
|
||
"201010021_47": "(なに……これ……?\\n 胸の中から、光? それに――)",
|
||
"201010021_48": "「……歌が、聴こえる……?」",
|
||
"201010021_49": "「Balwisyall Nescell gungnir tron――」",
|
||
"201010021_50": "「これは……、力が漲ってくる」",
|
||
"201010021_51": "「この力があれば、あいつらをッ!」",
|
||
"201010021_52": "「砕けろッ!! はああああ――ッ!!」",
|
||
"201010021_53": "「……やった……倒して、やった……ハハ……」",
|
||
"201010021_54": "「……この力ならどんな理不尽だって打ち壊せる。わたしに\\n あんな想いをさせたノイズを、こんなふうに壊せるんだから――」",
|
||
"201010021_55": "「う、うわあああああ――ッ!」",
|
||
"201010021_56": "「まだ、ノイズが――ッ!」",
|
||
"201010021_57": "「……え? いない……?」",
|
||
"201010021_58": "「……どうして、逃げるの?\\n もう、あいつらは倒したのに……」",
|
||
"201010021_59": "(……人には倒せない、ノイズを壊したのに……)",
|
||
"201010021_60": "「……人には、倒せない?\\n ……じゃあ、わたしは……?」",
|
||
"201010021_61": "「……ん。\\n ……ああ、ちょっと寝ちゃってたんだ……」",
|
||
"201010021_62": "(……わたしが手に入れた力は、人の物じゃなかった。\\n わたしはあの時から、変わっちゃったんだ……)",
|
||
"201010021_63": "(人とは違う、人とは相いれない異物に。\\n 周りが望んだとおりの、化物に……)",
|
||
"201010021_64": "(でも……)",
|
||
"201010021_65": "(あの姿になると……、少しだけ、胸が温かくなる)",
|
||
"201010021_66": "(あれは何?)",
|
||
"201010021_67": "「…………」"
|
||
} |