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"502000511_0": "娘のために",
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"502000511_1": "その頃、響たちは――",
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"502000511_2": "「その子は……響の友達か?」",
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"502000511_3": "「あ、えっと、そうなんだけど……」",
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"502000511_4": "「……はぁ。",
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"502000511_5": " 遅いからちょっと心配して来てみれば、なるほどな」",
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"502000511_6": "「その、クリスちゃん、これは……」",
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"502000511_7": "「……ちょっと来い」",
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"502000511_8": "「え?\\n ――わわッ!?」",
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"502000511_9": "(で?\\n この世界の親父さんにあんな顔させて……何があった?)",
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"502000511_10": "(え、ええっと……これには、海よりも深くて山よりも高い\\n 事情がございまして……)",
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"502000511_11": "(だから、\\n その事情を話せって)",
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"502000511_12": "(……この世界のわたし、ずっと昏睡状態らしいんだ。\\n お父さん、それを自分のせいだって思ってるみたいで……)",
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"502000511_13": "(……なるほどな。戻りが遅かったのは、\\n そんな親父さんを放っておけなかったってわけか)",
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"502000511_14": "(うん……)",
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"502000511_15": "(だけど、わかってるだろ?)",
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"502000511_16": "(あたしたちはこの世界の立花響や雪音クリスじゃない。\\n それに、いつまでもこの世界にいるわけにはいかないんだぞ)",
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"502000511_17": "(うん、わかってる。\\n わかってるよ……でも――ッ!)",
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"502000511_18": "(……はぁ。まったく、このバカ……。\\n 仕方ない、しばらくは話を合わせてやるよ)",
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"502000511_19": "(まことに助かります……)",
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"502000511_20": "「あー……待たせたな。\\n あたしは雪音クリス、こいつの友達だ」",
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"502000511_21": "「ああ、そうなんだね。\\n 娘がお世話になってるみたいで……ありがとう」",
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"502000511_22": "「……それにしても、君の顔、どこかで見たような……。\\n もしかして、さっき響と一緒に戦っていた……」",
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"502000511_23": "「えッ!? あー……まあ、あれだけデカくなってりゃ\\n 隠しようがないか。けど、あれは、その……」",
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"502000511_24": "「……いや、深くは聞かないよ。事情があるんだろう。\\n 君にも、響にも」",
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"502000511_25": "「でも……それは、君たちが……。\\n 響がやらなきゃいけないことなのかい?」",
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"502000511_26": "「だって……\\n 相手は怪獣だろうッ!?」",
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"502000511_27": "「――ッ!」",
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"502000511_28": "「子供が命を懸けるなんて、そんなの馬鹿げてる。\\n そういうのは、大人の役割だ」",
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"502000511_29": "「……戦い方を知りもしない俺なんかが、\\n 言えた義理じゃないかもしれないけど……」",
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"502000511_30": "「どうか、\\n もう危ないことはしないでくれないか……?」",
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"502000511_31": "「……言いたいことはわかるよ。",
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"502000511_32": " けど、あたしたちは――」",
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"502000511_33": "「クリスちゃんと言ったね。\\n 君も、できれば無茶な真似はしないでほしい」",
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"502000511_34": "「あ、あたしもか?」",
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"502000511_35": "「そういうのは、大人に任せておけばいい。",
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"502000511_36": " 君たちからしたら、頼りないかもしれないけど」",
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"502000511_37": "(……なんか、\\n あたしらの世界の親父さんと雰囲気違うな……)",
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"502000511_38": "(経緯が違えば、内面も変わってくる。\\n ここはやっぱり、並行世界なんだな……)",
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"502000511_39": "(うん……)",
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"502000511_40": "「……にしても親父さん、娘があんなバカデカくなってても、\\n その部分にはそんなに驚かないんだな」",
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"502000511_41": "「それは……怪獣が暴れまわる世の中なんだ。\\n それと戦う巨人が現れることも、ない話じゃないだろう?」",
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"502000511_42": "「そういうもんか……?」",
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"502000511_43": "「よりによって、その怪獣と戦っているのが、\\n 自分の娘だとは思わなかったけどね」",
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"502000511_44": "「……親父さん。あんたの気持ちもわかるけど……\\n 今、この世界を護れるのは、こいつや、あたしたちだけだ」",
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"502000511_45": "「悪いけど、こいつにはあたしと一緒に来てもらう」",
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"502000511_46": "「それに……\\n こいつはあんたの娘の『響』じゃないんだよ」",
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"502000511_47": "「ク、クリスちゃんッ!?」",
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"502000511_48": "「……先延ばしにするべきじゃないだろ、\\n こういうのは」",
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"502000511_49": "「ど……\\n どういうことだい?」",
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"502000511_50": "「信じられないかもしれないけど、\\n あたしたちは並行世界――別の世界から来たんだよ」",
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"502000511_51": "「こいつは確かに立花響だけど、あんたの娘の『響』とは別人だ。",
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"502000511_52": " あんたの娘さんは、おそらく、まだ……」",
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"502000511_53": "「…………」",
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"502000511_54": "「…………」",
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"502000511_55": "「……戻るぞ。\\n みんながグリッドマンと連絡を取る手段を探してる」",
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"502000511_56": "「うん……」",
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"502000511_57": "「グリッドマンとアレクシス・ケリヴを引き合わせれば、\\n きっと何かわかるはずだ」",
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"502000511_58": "「――ッ!?」",
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"502000511_59": "「そうすれば、この世界で怪獣を暴れさせてる黒幕に\\n たどり着けるかもしれない」",
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"502000511_60": "「うん……わかった。",
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"502000511_61": " お父さん、あのね、わたし……」",
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"502000511_62": "「待ってくれ、今……\\n アレクシス・ケリヴと言ったのか?」",
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"502000511_63": "「え?」",
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"502000511_64": "「答えてくれッ! あの男を……\\n アレクシス・ケリヴを知っているのかッ!?」",
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"502000511_65": "「な、なんだよ急に……ッ!?\\n なんで親父さんがあいつのことを……」",
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"502000511_66": "「お、お父さん、落ち着いてッ!」",
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"502000511_67": "「アレクシスさんは、わたしたちの仲間だよッ!\\n 協力して怪獣と戦ってるのッ!」",
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"502000511_68": "「…………ッ!\\n なんてことだ……ッ!」",
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"502000511_69": "「どうしたってんだよ?\\n 親父さん、あいつのこと知ってんのか?」",
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"502000511_70": "「響も、クリスちゃんも……すぐに奴から離れるんだ。\\n ……あいつに、あの男に関わってはいけない」",
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"502000511_71": "「あいつは言葉巧みに人の心の弱みにつけこんで利用する、\\n 悪の権化のような男だッ!」",
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"502000511_72": "「行ってはいけないッ!\\n あいつに利用されるぞッ!!」",
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"502000511_73": "「お父さん……?\\n いったい、アレクシスさんと何が……」",
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"502000511_74": "「――お、いたいた」",
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"502000511_75": "「よっ。",
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"502000511_76": " ……なんだぁ? 2人して辛気臭い顔してんな」",
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"502000511_77": "「それに、その後ろの人って……」",
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"502000511_78": "「おまえら……なんでここに?\\n ふらわーで合流する手筈だったろ?」",
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"502000511_79": "「思ったよりもずっと早く、ジャンクが見つかったのでな。\\n こちらから迎えに行くことにしたのだ」",
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"502000511_80": "「……何か問題でもあったか?」",
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"502000511_81": "「いや、それが……」",
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"502000511_82": "「やあやあ。\\n 響くん、クリスくん」",
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"502000511_83": "「あ……ッ」",
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"502000511_84": "「心配したんだよ?\\n いつまでたっても帰ってこないからねぇ」",
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"502000511_85": "「……おや?\\n そこにいるのは、響くんが助けた人かな?」",
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"502000511_86": "「どうもどうも。\\n 私はアレクシス・ケリヴ。どうぞよろしく――」",
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"502000511_87": "「<size=40>――アレクシス・ケリヴッ!!</size>」",
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"502000511_88": "「……うん?\\n いかにも、私がアレクシス――」",
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"502000511_89": "「やっと……やっと見つけたぞッ! よくもノコノコと……ッ!\\n 俺の娘にまでちょっかいをかけやがってッ!!」",
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"502000511_90": "「お前を許しはしない……\\n 許すものかッ!!」",
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"502000511_91": "「ふむ?\\n 君は……」",
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"502000511_92": "「……誰だったかな?」"
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