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2024-12-22 15:59:32 +03:00

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{
"391000611_0": "迷子たち、かく語りき",
"391000611_1": "「この崖の向こう岸に、\\n お姉ちゃんたちの世界があるのかな」",
"391000611_2": "「……どうかな。\\n わたしの世界とは、多分違うかも」",
"391000611_3": "「どういうこと?」",
"391000611_4": "「えっと……世界は1つだけじゃない。\\n 色んな世界があるんだよ」",
"391000611_5": "「この先にあるかもしれないのは、数多の世界の中の1つ。\\n わたしたちがいるこの世界も、その中の、つなんだ」",
"391000611_6": "「うーん……?\\n ヒビキお姉ちゃんって、難しいこと言うよね」",
"391000611_7": "「そうかな……ごめん」",
"391000611_8": "「でも、わたしの話が難しいというより、\\n 並行世界ってもの自体が難しいっていうか……」",
"391000611_9": "「……正直、わたしもよくわかってないのかも。\\n とにかく、色んな世界があるとしか……」",
"391000611_10": "「うーん……? それってさ、\\n ヒビキお姉ちゃんにはヒビキお姉ちゃんの世界があって」",
"391000611_11": "「マリアお姉ちゃんには、マリアお姉ちゃんの世界。\\n ミクお姉ちゃんには、ミクお姉ちゃんの世界があるってこと」",
"391000611_12": "「え、えーと……、\\n そういうことじゃなくって……」",
"391000611_13": "(いや、違わないのかな……?)",
"391000611_14": "(わたしの世界……それは単に、\\n わたしが生まれた世界を指す意味じゃなくて……",
"391000611_15": "「んー……じゃあさ、やっぱり……」",
"391000611_16": "「やっぱりヒビキお姉ちゃんは、\\n ヒビキお姉ちゃんの世界に帰りたいと思ってるの」",
"391000611_17": "「他の誰かの世界じゃなくて、\\n ヒビキお姉ちゃんの世界に」",
"391000611_18": "「――え?",
"391000611_19": " そうだね。帰りたい……かな」",
"391000611_20": "「そっか……。\\n じゃあ、帰らなきゃだねッ」",
"391000611_21": "「……ストレートに言うなぁ」",
"391000611_22": "「帰れないこともあるんだよ」",
"391000611_23": "(……帰れるものなら、帰りたい。\\n わたしの陽だまりが待っている、あの世界へ。でも――",
"391000611_24": "(わたしは、贖罪を終えるまで、\\n 帰ることはできないんだ",
"391000611_25": "(投げ出しちゃいけない。\\n 投げ出すもんか……",
"391000611_26": "「わかんないよ。\\n なんで帰りたいのに帰れないの」",
"391000611_27": "「あッ!\\n わかった、ヒビキお姉ちゃん、迷子なんでしょッ」",
"391000611_28": "「はぁ。\\n そうじゃなくて……ええとね」",
"391000611_29": "「わたしは、自分がやるべきことをやり遂げるまでは、\\n 自分の世界に帰らないって、そう決めたんだ」",
"391000611_30": "「でも、わたしは弱いから。やるべきことが、\\n 本当に正しいのか、わからなくなるときがあって……」",
"391000611_31": "「そんなときは、\\n 進むことができずに、立ち止まってしまうんだ」",
"391000611_32": "「だから、いつまでも帰れない。\\n わたしの弱さが、わたしを邪魔してるから」",
"391000611_33": "(……わたし、どうしてこんな小さな子に\\n こんなこと話してるんだろう",
"391000611_34": "「…………」",
"391000611_35": "「ギン?」",
"391000611_36": "「んっと……あのね? \\n たとえばぼくが、お菓子屋さんに行きたくなったとするよね」",
"391000611_37": "「……え?\\n う、うん」",
"391000611_38": "「そのお菓子屋さんには究極のアイスが売ってるんだッ!\\n ぼくはお菓子屋さんに行くための道を調べて、覚えて……」",
"391000611_39": "「早く行きたくなっちゃって、ヒビキお姉ちゃんたちを待たずに、\\n 人で飛び出して行っちゃって……」",
"391000611_40": "「そのとき、もしも途中で、\\n ぼくが迷子になっちゃったとしたら――」",
"391000611_41": "「ぼくはどうしたらいいんだろう?」",
"391000611_42": "「そんなの、迎えに――」",
"391000611_43": "「そのときのぼくは、お姉ちゃんたちがお迎えに来られないくらい、\\n すごーく難しい迷子になってるんだッ」",
"391000611_44": "「……フフッ。\\n 難しい迷子って、何」",
"391000611_45": "「でも、そうだな。\\n それなら……」",
"391000611_46": "「地図で、今いる場所を確かめて、\\n お菓子屋さんへのルートをもう度確認する、とか」",
"391000611_47": "「うん、ぼくもそうすると思うな。\\n だって、度は覚えたんだからッ」",
"391000611_48": "「その場に立ち止まって、\\n ゆっくり、じっくり思い出そうとするッ」",
"391000611_49": "「……」",
"391000611_50": "「だからさ、なんていうか……\\n いいじゃん、立ち止まったって」",
"391000611_51": "「ぼくもきっと、迷子になったら、すごく、",
"391000611_52": " すごく不安になるけど……」",
"391000611_53": "「立ち止まって一生懸命考えてることって、行きたい場所に\\n 行くためには、どうすればいいのかってことでしょ」",
"391000611_54": "「行きたい場所に……」",
"391000611_55": "「もちろん、地図を見る以外にも方法はあると思うんだ。",
"391000611_56": " たとえば……手当たり次第に走り回ってみるとかッ!」",
"391000611_57": "「お菓子屋さんは案外近くにあって、\\n 走り回ってたら、すぐ見つかるかもしれないもんね」",
"391000611_58": "「それに、ヒビキお姉ちゃんたちみたいな優しい人に会えれば、\\n 道を訊くことだってできるかも」",
"391000611_59": "「だからさ、えっとね、ぼくが言いたいのは……",
"391000611_60": " んーと、えーっと……」",
"391000611_61": "「お菓子屋さんに着く方法はたくさんあるッ!\\n ……っていうコトッ」",
"391000611_62": "「……ギン」",
"391000611_63": "「エヘヘ。ヒビキお姉ちゃんなら、\\n いつか絶対にお菓子屋さんに着けるよッ」",
"391000611_64": "「……フフ。わたし、いつの間にか\\n お菓子屋さんに行きたかったことになってる」",
"391000611_65": "「うーん……あれ?",
"391000611_66": " そうかも……なんでだろう……」",
"391000611_67": "「んー……でも、ヒビキお姉ちゃんはカッコイイから、\\n お菓子屋さんになんて行かなかったりする」",
"391000611_68": "「か、カッコイイかは別として……",
"391000611_69": " お菓子屋さんくらいは、行く……んじゃないかな」",
"391000611_70": "「別じゃないよッ! その紫色の服、すごくカッコイイッ!",
"391000611_71": " ヒビキお姉ちゃんにすっごく似合ってると思うよッ!」",
"391000611_72": "(なんだ、エレクライトのことか。",
"391000611_73": " 似合っているなんて、初めて言われたかも……)",
"391000611_74": "「そんなにカッコイイんだしさ、\\n この崖とか、ビューンッ って越えることはできないの」",
"391000611_75": "「それで、ヒビキお姉ちゃんが\\n 帰りたいところに帰るんだ」",
"391000611_76": "「いやいや、それこそカッコイイとは別問題だよ。\\n 対岸も見えないくらいに距離があるし……」",
"391000611_77": "「むう……そっか。\\n それじゃあ――」",
"391000611_78": "「ぼくがヒビキお姉ちゃんを、\\n 帰りたいところに帰らせてあげなきゃだねッ」",
"391000611_79": "「えッ!?」",
"391000611_80": "(ギン……。\\n 悩んでいるわたしを励まそうとして……",
"391000611_81": "「……フフ」",
"391000611_82": "「え、どうして笑うのッ!?\\n ぼくは本気で言ってるのにッ」",
"391000611_83": "「あー、わかったッ! ぼくには無理だって思ってるんでしょッ!\\n 本当に本当なんだからねッ」",
"391000611_84": "「ごめんごめん。\\n でも、ありがとうね」",
"391000611_85": "「……そうだよね。\\n 今は、この世界から無事に脱出することを考えないと」",
"391000611_86": "「わたしたち、\\n 人全員揃って――」"
}