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{
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"391000421_0": "「はぁ……はぁ……」",
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"391000421_1": "「大丈夫？\\n 隠れながらの移動ばっかりで、疲れちゃったよね」",
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"391000421_2": "「ううん、ぼくは大丈夫だよ。",
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"391000421_3": " お姉ちゃんたちこそ、戦いっぱなしで疲れないの？」",
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"391000421_4": "「わたしたちなら平気よ。\\n こんなときのために、普段から鍛えているもの」",
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"391000421_5": "「お姉ちゃんたち、\\n やっぱりすごいなぁ……」",
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"391000421_6": "「……戦うことに問題はないんだけど。\\n 今の状況は、少し……居心地が悪いかな」",
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"391000421_7": "「居心地が悪い？」",
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"391000421_8": "「……うん。\\n まるで誰かに、『戦え』って強制されているみたいで」",
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"391000421_9": "（『戦え』か……）",
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"391000421_10": "（戦うことを強いるような何者かの意志。\\n 確かにわたしも感じている。これは、ともすれば――）",
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"391000421_11": "（イグナイトモジュール使用時の、\\n 己の内側から湧き上がる衝動と、似ているかもしれないわ）",
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"391000421_12": "（けれど、わたしたちも、\\n この立花響だって、イグナイトモジュールを持ち合わせていない）",
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"391000421_13": "（だとしたら、\\n いったい何に語りかけられているというのかしら）",
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"391000421_14": "「マリアさん？」",
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"391000421_15": "「気にしないで、ちょっとした考え事よ。\\n この子の手前強がってみせたけど、わたしも疲れたのかも」",
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"391000421_16": "「ぼくも戦えたら、お姉ちゃんたちの役に立てるのに。\\n ごめんね。なんの役にも立てなくて……」",
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"391000421_17": "「あ、違うのよ。\\n そういう意味じゃ……」",
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"391000421_18": "「役に立ってないなんて、そんなことない」",
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"391000421_19": "「……え？」",
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"391000421_20": "「確かに、敵はどんどん出てくるし、\\n この世界のことは、わからないままだけど……」",
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"391000421_21": "「そんな中でもわたしたちが戦い続けられるのは、\\n ギンがいるからだよ」",
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"391000421_22": "「でもぼく……\\n 何もしてないよ？」",
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"391000421_23": "「ううん。\\n ギンがいてくれるから、ギンを護るために戦える」",
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"391000421_24": "「誰かを護るための……助けるための戦いなら。\\n わたしは、いくらでも戦い続けられるんだ」",
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"391000421_25": "「ヒビキお姉ちゃん……」",
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"391000421_26": "「だから、ギンのことを護って、\\n ギンの戻るべき場所へ、ちゃんと送り届けたい」",
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"391000421_27": "「こんなこと、\\n ギンに言うのはおかしいのかもしれないけど……」",
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"391000421_28": "「しばらくの間、\\n それを、わたしの戦う理由にしてもいいかな？」",
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"391000421_29": "「……うんッ！\\n もちろんッ！」",
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"391000421_30": "「そんな風に言ってもらえるなんて、\\n ぼく、なんだかとっても嬉しいな……」",
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"391000421_31": "「ねえ、マリアお姉ちゃんたちもそうなの？\\n 誰かを護るために戦ってるの？」",
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"391000421_32": "「フフ……。\\n まったく、急に元気になっちゃって」",
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"391000421_33": "「そうね、わたしの場合は……誰かを護るというよりも、\\n 自分の望みを貫くために戦っているかもしれないわ」",
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"391000421_34": "「……自分の望み？\\n どういう意味？」",
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"391000421_35": "「わたしが戦うのは、\\n 決して、何かを害したいためじゃないわ」",
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"391000421_36": "「そしてそれはきっと、\\n 遍く戦う者たちが、そうだと思う」",
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"391000421_37": "「結果として、『敵』とぶつかることはあるし、\\n それを――<ruby=たお>斃</ruby>して、進むことだってあるけれど」",
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"391000421_38": "「その根幹にあるのは、誰かの役に立ちたいという望みとか、\\n この世界を平和にしたい、という望みとか……」",
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"391000421_39": "「彼女の言うように、\\n 誰かを護りたい、という望みとか」",
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"391000421_40": "「……」",
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"391000421_41": "「人それぞれに違うかもしれないけど、\\n それでも大切な望みのために、戦っているの」",
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"391000421_42": "「そうですね。\\n わたしも、きっとその御多分に洩れず……」",
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"391000421_43": "「たとえ、どんなに小さくて、\\n 他の人にとっては価値のない望みだとしても――」",
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"391000421_44": "「わたしにとって、何よりも大切な望みだから。\\n 何があろうと、胸の中に抱いていられるんだと思います」",
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"391000421_45": "「そして、大事に抱き続ければ……。\\n 今度は、その望みが、自分自身を創っていく――」",
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"391000421_46": "「そういう望みのために……自分を貫くために、\\n わたしたちは戦っているのかも……」",
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"391000421_47": "「ヒビキなんて、\\n その最たるじゃないかな？」",
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"391000421_48": "「え……」",
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"391000421_49": "「自分が大事に抱き続けた望みが、\\n 自分自身を創っていく……」",
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||
"391000421_50": "「そう……なのかな。\\n わたしは、２人ほどそう言い切れないけど……」",
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"391000421_51": "「……？」",
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"391000421_52": "「えっと……\\n でも、さ？」",
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"391000421_53": "「もしも、お姉ちゃんたちの言う『望み』同士が\\n ぶつかっちゃったら、どうするの？」",
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"391000421_54": "「……え？」",
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"391000421_55": "「みんなが、自分の望みを持っているんだとしたら、\\n それがぶつかっちゃうこともあるよね？」",
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"391000421_56": "「どっちも正しくて、どっちも間違ってなくて、\\n それでも片方を砕かないと、自分の望む果てに辿り着けない――」",
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"391000421_57": "「そんな『望み』を目の前にしたら、\\n たとえばヒビキお姉ちゃんなら、どうするの？」",
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"391000421_58": "「わ、わたし？\\n どっちも正しくて片方を砕かないと、辿り着けない、なら……」",
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"391000421_59": "「それは――……」",
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"391000421_60": "「…………」",
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"391000421_61": "「ヒビキお姉ちゃんにも難しいことなんだ……ッ！？」",
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"391000421_62": "「ご、ごめんね。\\n ただちょっとだけ気になっちゃっただけなんだッ！」",
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"391000421_63": "「ええと、……ほらッ！ ここら辺はもう何もないみたいだし、\\n 向こうのほうに行ってみようよッ！」",
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"391000421_64": "「あッ！？\\n ギンくん、ちょっと待ってーッ！」",
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"391000421_65": "「まったく、落ち着きがないったらッ！」",
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"391000421_66": "「……」",
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"391000421_67": "（誰かの望みと、わたしの望みが、\\n ぶつかってしまうときが来るとしたら……）",
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"391000421_68": "（そのとき、わたしは……？）"
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