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Executable File
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"206030211_0": "エキスパートメイド②",
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"206030211_1": "「まず、心象実験とはどういうものか、説明しますね」",
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"206030211_2": "「今回、着目するのはギアの心象変化です」",
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"206030211_3": "「心象変化というと、聖遺物トリアイナとカルマノイズの件で\\n 突発的な変化をした水着型や――」",
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"206030211_4": "「哲学兵装ムラマサんときの和装型もあったな」",
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"206030211_5": "「サンタさんのクリスマス型もあったデースッ!」",
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"206030211_6": "「大火の振袖の際の……振袖型はやや特殊かもしれないが」",
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"206030211_7": "「はい。しかしこれまでのギアの変化は、偶発的な物や\\n 起きた状況を対処するために行った、場当たり的な運用です」",
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"206030211_8": "「当然、それは容易ではなく、\\n ときにはうまくギアの変化が起きないこともありました」",
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"206030211_9": "「雪山の時は、アタシだけギアが変わらなくて、\\n 苦労したデス……」",
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"206030211_10": "「今回の心象実験は、そのギアの変化を意図的に起こす訓練を行い、\\n 様々な状況に対処できるようにすることを目的としたものです」",
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"206030211_11": "「ふむ。その場に最適なギアを常に発現できれば、\\n 有利に事を運べるのは間違いないな」",
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"206030211_12": "「はい」",
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"206030211_13": "「えーっと、それでどういうことするの?」",
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"206030211_14": "「具体的には、本部内で特別な状況を介さずに\\n 新しいギアの変化を目指してもらう、という形になります」",
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"206030211_15": "「なるほど?」",
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"206030211_16": "「つまり戦闘や実戦訓練なしに、様々なアプローチで\\n ギアの変化を起こそうというわけだ」",
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"206030211_17": "「ふうん……やることは分かったけどよ。\\n ここで全員で闇雲に念じりゃいいのか?」",
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"206030211_18": "「それは目指すギアによって異なりますが、\\n なるべくシミュレータと日常の範囲で変化を観察したいです」",
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"206030211_19": "「ともかく今回はあくまで実験だ。\\n 全員分のデータは必要無いので、希望者を募る」",
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"206030211_20": "「それなら、わたしが立候補します」",
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"206030211_21": "「調?」",
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"206030211_22": "「メイド型になりたいです。メイドになれば、\\n おさんどんの技術が上がるはず」",
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"206030211_23": "「ギアの変化をカップめんの再現に使うんデスかッ!?」",
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"206030211_24": "「もっと家事をできるようになるなら、\\n 手段は選ばず、ギアの変化だって利用したい」",
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"206030211_25": "「調、あなたはひと通りの家事はできるじゃない。\\n それでもまだ足りないって言うの……ッ!?」",
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"206030211_26": "「ギアは戦闘や災害救助に用いられるものですので、\\n 家事を行うメイドを模したギアでは用途が無いのでは?」",
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"206030211_27": "「ふむ」",
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"206030211_28": "「メイドはご主人様を護るために\\n 戦う能力も有していると聞きました」",
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"206030211_29": "「はい、わたしの友達が言ってましたッ!」",
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"206030211_30": "「だからそれはフィクションだっつーの」",
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"206030211_31": "「いいだろう。今回の心象実験プログラムの目標は\\n 調くんの言う、メイド型にしよう」",
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"206030211_32": "「本当にメイド型にするんですか?」",
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"206030211_33": "「ああ。我々は人類のメイドのようなものだからな」",
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"206030211_34": "「わたしたちが、人類のメイド……?」",
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"206030211_35": "「藤尭、シミュレータの準備を頼む」",
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"206030211_36": "「はい」",
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"206030211_37": "「まずは調くん。\\n 他に、立候補者はいるか?」",
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"206030211_38": "「調が立候補するならッ!」",
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"206030211_39": "「うむ」",
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"206030211_40": "「つっても目指すのはメイドだろ……?」",
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"206030211_41": "「わたしと翼が入るとスケジュール的に実験が飛び飛びに\\n なってしまいそうね」",
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"206030211_42": "「そうだな。他の者がいなければ、\\n わたしたちに日程を合わせる形の実験でも構わないが」",
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"206030211_43": "「わたしがやりますッ!」",
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"206030211_44": "「これで3名ですか。3名いれば実験は可能ですが」",
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"206030211_45": "「今回は実戦を伴わない実験だから未来くんも参加できるが、\\n どうする?」",
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"206030211_46": "「それなら、わたしも立候補します。\\n いざという時のために、少しでも経験を積んでおきたいので」",
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"206030211_47": "「うむ。では以上の4名で実験をやって貰おう」",
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"206030211_48": "「未来、一緒にがんばろうね」",
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"206030211_49": "「うん」",
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"206030211_50": "「切ちゃん、わたしたちもがんばろう」",
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"206030211_51": "「デースッ!」",
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"206030211_52": "「それでは、さっそく心象実験プログラムに入りましょう」",
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"206030211_53": "「わたしたちは何をしたらいいのかな?\\n いつもの訓練みたいにノイズと戦うんじゃダメなんだよね?」",
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"206030211_54": "「今までのギアの変化から考えて、対象を強くイメージできるよう\\n 印象付けることが大切だと思います」",
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"206030211_55": "「そこで、君たちにはまず、家事の練習をしてもらおう。\\n 講師も呼んでおいた」",
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"206030211_56": "「家事の講師ですか」",
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"206030211_57": "「はい」",
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"206030211_58": "「い、いきなり現れたデスッ!」",
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"206030211_59": "「緒川さんが講師をしてくれるんですか?」",
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"206030211_60": "「まずは僕が掃除の手ほどきをしましょう」",
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"206030211_61": "「なるほど、緒川さんなら翼の部屋の掃除で手慣れているものね」",
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"206030211_62": "「くッ――不甲斐無い……」",
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"206030211_63": "「納得ですねッ!\\n よろしくお願いしますッ!」",
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"206030211_64": "「お願いします」",
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"206030211_65": "「わッ! シミュレータが大きなお屋敷に」",
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"206030211_66": "「雰囲気を出すため、背景を切りかえておこう。\\n 少しはメイドの気分が味わえるはずだ」",
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"206030211_67": "「なんだかメイドになれそうな気がしてきました」",
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"206030211_68": "「それでは、まず僕がやって見せますので、\\n 同じ要領で掃除をしてみてください」",
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"206030211_69": "「シミュレータ内の背景を散らかりモードに切りかえます」",
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"206030211_70": "「ああ……せっかくの豪華なお屋敷がゴチャゴチャデスよ」",
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"206030211_71": "「翼さんの部屋みたいだね」",
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"206030211_72": "「あいつ容赦ねーな……」",
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"206030211_73": "「た、立花、それ以上言ってくれるな……ッ!」",
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"206030211_74": "「掃除の基本は、効率良く、計画的に――」",
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"206030211_75": "「……と、このように」",
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"206030211_76": "「えッ! えッ!?」",
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"206030211_77": "「いやいやいや、速すぎてわかんないデスよッ!\\n ナチュラルに分身して片付けられても困るデスッ!」",
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"206030211_78": "「できれば、分身は無しで……」",
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"206030211_79": "「もう1回お願いします」",
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"206030211_80": "「これはうっかりしてました。\\n では、もう一度。掃除の基本は、効率良く、計画的に――」",
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"206030211_81": "「と、このように」",
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"206030211_82": "「すごく良く考えられた動き……。まるで最初から最後まで\\n 掃除と片付けの手順と結果が見えてるみたいでした」",
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"206030211_83": "「これがプロの掃除なんだ……ッ!」",
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"206030211_84": "「あとは実践ですね。やってみて下さい」",
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"206030211_85": "「シミュレータ内の背景、再び散らかりモードに切りかえます」",
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"206030211_86": "「拭き掃除は上から下へッ!」",
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"206030211_87": "「お、お片付けは……詰め込めばオッケーデースッ!」",
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"206030211_88": "「切ちゃん、それじゃ後で使うときに困るよ」",
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"206030211_89": "「う、でもどうすれば収まるか……」",
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"206030211_90": "「掃き掃除は、\\n 最速で最短でまっすぐに、一直線にいぃ――わたたッ!?」",
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"206030211_91": "「きゃッ、響ッ!?」",
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"206030211_92": "「あたたた……」",
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"206030211_93": "「もう、響ったら。ちゃんと足元見てないから」",
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"206030211_94": "「素早くしないといけないと思って……」",
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"206030211_95": "「考え無しで動いては、かえって遅くなります。\\n それが、家事の奥深いところだと思います」",
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"206030211_96": "「その通りですね。家事は計画性が大事です」",
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"206030211_97": "「計画性かぁー、むずかしい……」",
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"206030211_98": "「マリアと調はいつもこんなことやってたデスか……ッ!」",
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"206030211_99": "「たかが家事と思ってたけど、\\n 意外とひと筋縄じゃいかないみたいだな……」",
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"206030211_100": "「計画性というのは立花の最も苦手とするところだからな。\\n この難境をどうするか」",
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"206030211_101": "「調はそつなくこなしているようだけれど、\\n 後のメンバーは怪しいところね……」",
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"206030211_102": "「はぁ、はぁ……や、やっと掃除が終わったデス」",
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"206030211_103": "「ノイズと戦うよりも難しいかも……ッ!」",
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"206030211_104": "「次は皆さんに料理を作って頂きます。\\n 藤尭さん、食材と調理器具をお願いします」",
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"206030211_105": "「こちらが、今日作って貰う料理の食材です。\\n レシピもあるのでそんなに難しくないですよ」",
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"206030211_106": "「おおお、こ、これは、カ、カニデスよッ!",
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"206030211_107": "「高級食材……ッ!」",
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"206030211_108": "「このまま焼いて食べたくなってきましたッ!」",
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"206030211_109": "「このカニとパスタと他の食材で、何を作ればいいんですか?」",
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"206030211_110": "「タリアテッレ・コン・サルサ・ディ・フィノッキ・\\n クレマ・エ・ポルパ・ディ・グランキオです」",
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"206030211_111": "「た、タレれんこん猿でヒノキくれポリポリグラタン?\\n って何?」",
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"206030211_112": "「違うデスよ。\\n タラコを猿で火の車っぽいグラウンドデスよ」",
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"206030211_113": "「いえ、タリアテッレ・コン・サルサ・ディ・フィノッキ・\\n クレマ・エ・ポルパ・ディ・グランキオです」",
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"206030211_114": "「あ、あの、もう1回おねがい」",
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"206030211_115": "「タリアテッレ・コン・サルサ・ディ・フィノッキ・\\n クレマ・エ・ポルパ・ディ・グランキオです」",
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"206030211_116": "「まず料理の名前すら覚えられない……ッ!」",
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"206030211_117": "「はぁ、はぁ、はぁ……ッ!」",
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"206030211_118": "「完成はしたけど……ッ! これが、メイドへの道……ッ!」",
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"206030211_119": "「こんなに厳しいなんて……」",
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"206030211_120": "「でもこれ、はむッ、むぐッ、すごくおいしいよッ!」",
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"206030211_121": "「カニとフェンネルのクリームソースパスタですからね。\\n フェンネルは魚介と良く合うんですよ」",
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"206030211_122": "「最初から日本語で言って欲しかった……」"
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