119 lines
11 KiB
JSON
119 lines
11 KiB
JSON
{
|
||
"317000311_0": "カーバンクルの宝珠",
|
||
"317000311_1": "「皆、まずはご苦労だった」",
|
||
"317000311_2": "「さて、1つ目だが、先ほど保護した女性に関して、\\n 未だ意識は戻っていない」",
|
||
"317000311_3": "「ですが、傷は命に関わるほどのものでは\\n ありませんので安心してください」",
|
||
"317000311_4": "「ひとまず回復するまでは、\\n S.O.N.G.で彼女を保護することにした」",
|
||
"317000311_5": "「彼女の素性はわかったのかしら?」",
|
||
"317000311_6": "「残念ながら身元が判明するようなものを持っていなくてな。\\n 現時点では、敵か味方かも判断できない」",
|
||
"317000311_7": "「意識が回復し次第、アルカ・ノイズに襲われていた\\n 理由など、詳しい事情を聞くことになるだろう」",
|
||
"317000311_8": "「そして、2つ目の問題がそれだな……」",
|
||
"317000311_9": "「キュー?」",
|
||
"317000311_10": "「その女性から手渡され、動物型に変化した宝石についてだ」",
|
||
"317000311_11": "「結論から言うと、正体は完全聖遺物だと判明しました」",
|
||
"317000311_12": "「やはり、そうだったか……」",
|
||
"317000311_13": "「名前は『カーバンクルの宝珠』です。敵の発言と、\\n 古い記録を照らし合わせ、判明しました」",
|
||
"317000311_14": "「カーバンクルの宝珠……」",
|
||
"317000311_15": "「とても完全聖遺物には見えないけどな」",
|
||
"317000311_16": "「こんなに可愛い聖遺物なんてあるんデスねー」",
|
||
"317000311_17": "「うん、今まで見てきたものと全然違う」",
|
||
"317000311_18": "「それで、そのカーバンクルの宝珠はどういう聖遺物なんだ?」",
|
||
"317000311_19": "「伝説では、カーバンクルは額に真紅の宝石を持った生き物で、\\n その宝石を手に入れた者は、富と名声を得ると伝えられています」",
|
||
"317000311_20": "「その姿は伝承によって様々に伝えられています。\\n 犬やリス、さらには竜のような姿など、諸説あるようです」",
|
||
"317000311_21": "「しかし、詳細な記録は残っておらず、\\n 残念ながら聖遺物としての特性はほとんどわかっていません」",
|
||
"317000311_22": "「確かなのは、自律型の聖遺物であるということくらいです」",
|
||
"317000311_23": "「自律型……ネフィリムと同じような特性ということね」",
|
||
"317000311_24": "「そうですね。その他の特性については、\\n 引き続き調査が必要です」",
|
||
"317000311_25": "「3つ目の問題が、お前たちを襲ったという\\n 錬金術師たちと謎の女性のことだ」",
|
||
"317000311_26": "「アイツら、見たことないアルカ・ノイズを出していたな」",
|
||
"317000311_27": "「普通のより堅いし鋭いし、すごく強かったデス……」",
|
||
"317000311_28": "「体の一部が宝石のように硬質化しているみたいだった……」",
|
||
"317000311_29": "「以前戦ったスピード特化型アルカ・ノイズのように、\\n 特別な改造を加えた個体だと推測されます」",
|
||
"317000311_30": "「便宜上『ジュエル型アルカ・ノイズ』と呼ぶことにします。\\n こちらも、詳しい調査が必要です」",
|
||
"317000311_31": "「ああ、敵は目的を達成していない以上、\\n 必ずまた攻撃を仕掛けてくるだろう」",
|
||
"317000311_32": "「ジュエル型アルカ・ノイズへの対策は必須だ」",
|
||
"317000311_33": "「カーバンクルはこの本部内で保護し、敵の襲撃に\\n 備えたいのだが……、 最後に最大の問題がある……」",
|
||
"317000311_34": "「キューッ! キュキュ」",
|
||
"317000311_35": "「えっと……、わたしですか……?」",
|
||
"317000311_36": "「フフ、カーバンクルちゃん、未来から絶対\\n 離れようとしないんだね」",
|
||
"317000311_37": "「確かに、ものすごい懐きようだよな」",
|
||
"317000311_38": "「笑い事じゃないよ……。 ものすごく懐いてて、\\n 絶対離れようとしないし、離そうとすると暴れるし……」",
|
||
"317000311_39": "「どうしたものかしら……」",
|
||
"317000311_40": "「まるで動物のように感情のある聖遺物なんて……、驚きです。\\n 銃から護ったというのも、通常では考えられません」",
|
||
"317000311_41": "「キュキューッ!」",
|
||
"317000311_42": "「わッ! もう……。ほら、ここにいるから大丈夫だよ」",
|
||
"317000311_43": "「未来、その子のお母さんみたいだね」",
|
||
"317000311_44": "「ええッ!? わたしがお母さん?」",
|
||
"317000311_45": "「ということは、お父さんは……」",
|
||
"317000311_46": "「そんなの1人しかいないデスよッ!」",
|
||
"317000311_47": "「わ、わたしッ!?」",
|
||
"317000311_48": "「そりゃそうだろ……」",
|
||
"317000311_49": "「こんなに可愛い子のお父さんだったら嬉しいかもッ!」",
|
||
"317000311_50": "「……」",
|
||
"317000311_51": "「ほーら、おいでー。お父さんだよー」",
|
||
"317000311_52": "「キュキュッ!」",
|
||
"317000311_53": "「……あれ? 今、手を避けた?\\n こ、怖くないよー、未来とは大親友で――」",
|
||
"317000311_54": "「フーッ! キューッ!」",
|
||
"317000311_55": "「うわ、噛まれたッ!?」",
|
||
"317000311_56": "「大丈夫ッ!?」",
|
||
"317000311_57": "「フーフーッ! キュキュキュッ!」",
|
||
"317000311_58": "「い、い……あれ、痛くない?\\n ぷにぷにってしてて、くすぐったいかも」",
|
||
"317000311_59": "「ふぅ、よかった……。\\n ダメでしょ、人を噛んだりしたら」",
|
||
"317000311_60": "「キュゥ……」",
|
||
"317000311_61": "「未来さん以外には懐かないんでしょうか」",
|
||
"317000311_62": "「でも、アタシたちには触らせてくれるデスよ?」",
|
||
"317000311_63": "「ふわふわ、もこもこ……気持ちいい」",
|
||
"317000311_64": "「キュイキュイ」",
|
||
"317000311_65": "「動物に嫌われるタイプなんじゃないのか?」",
|
||
"317000311_66": "「ええッ!? そんなことないよッ!」",
|
||
"317000311_67": "「きっと嫉妬してるんデスよ。\\n 2人の関係を動物的な勘で察したに違いないデス」",
|
||
"317000311_68": "「動物にもわかる仲の良さ。\\n お母さんを取られるかもしれないって思ったのかも」",
|
||
"317000311_69": "「そんな、わたしだけ触れられないなんて……」",
|
||
"317000311_70": "「ううむ……。カーバンクルのみ保護しようにもこれでは無理だ。\\n 下手に拘束し、暴れられても困るからな」",
|
||
"317000311_71": "「感情がある以上、ストレスを与えてしまうと\\n 何が起こるかわかりません」",
|
||
"317000311_72": "「そこで、未来くんに提案がある。当面の間、\\n カーバンクルとともにここで生活をしてもらえないだろうか」",
|
||
"317000311_73": "「君は一般人だ、無理強いすることは出来ないが……」",
|
||
"317000311_74": "「やりますッ! わたしにも、協力させてくださいッ!」",
|
||
"317000311_75": "「……いいのか?」",
|
||
"317000311_76": "「わたしはこの子を護ってあげたい。\\n でも、結局護られたのはわたしのほうです……」",
|
||
"317000311_77": "「だから、今度こそ、わたしはこの子を護りたいッ!」",
|
||
"317000311_78": "「力の無いわたしでも、きっとやれることはあるから。\\n できることをできる限りやりたいんですッ!」",
|
||
"317000311_79": "「せめて、あの人が目覚めて、この子の帰る場所が\\n わかるまでの期間だけでも……」",
|
||
"317000311_80": "「ああ、ありがとう」",
|
||
"317000311_81": "「それなら、わたしもここに泊まりますッ!\\n 未来1人でなんて――」",
|
||
"317000311_82": "「シャーッ!」",
|
||
"317000311_83": "「完全に嫌われちゃってるみたいね……」",
|
||
"317000311_84": "「これでは、一緒に生活することは無理そうだな……」",
|
||
"317000311_85": "「響……」",
|
||
"317000311_86": "「未来……」",
|
||
"317000311_87": "「ごめんね。でも、わたしのことを護ってくれた\\n この子のためにも、わたしも役に立ちたいの」",
|
||
"317000311_88": "「うん、未来の気持ちはわかってるよ。\\n でも、1人だと寂しいよね……」",
|
||
"317000311_89": "「それは、うん……」",
|
||
"317000311_90": "(いつも響と一緒だったもんね。\\n でも、今回は……)",
|
||
"317000311_91": "「……」",
|
||
"317000311_92": "「大丈夫、わたしは――」",
|
||
"317000311_93": "「ちょっと待て」",
|
||
"317000311_94": "「クリス……?」",
|
||
"317000311_95": "「あたしもここに泊まる。おっさん、構わないだろ?\\n 敵が攻めてきてもすぐに対応できた方がいいしな」",
|
||
"317000311_96": "「もちろん構わない。\\n 協力してくれるというなら、こちらとしても助かる」",
|
||
"317000311_97": "「でも、本当にいいの?」",
|
||
"317000311_98": "「世話はやってくれよ。\\n あたしはそいつが変なことしないように見張るだけだ」",
|
||
"317000311_99": "「うん、ありがとうッ!」",
|
||
"317000311_100": "「では、正式に要請させてくれ。\\n 両名にカーバンクルの宝珠の護衛任務を頼む」",
|
||
"317000311_101": "「はいッ!」",
|
||
"317000311_102": "「任せとけってッ!」",
|
||
"317000311_103": "「それでは、宿泊用の設備の用意をしておこう。\\n 2人は一度帰って荷物を取ってきてくれ」",
|
||
"317000311_104": "「未来の荷物はわたしが持ってくるね。\\n それにしても、いいなあ……。クリスちゃんだけずるい……」",
|
||
"317000311_105": "「一緒に泊まりたかったらカーバンクルに好かれないとな」",
|
||
"317000311_106": "「よーしッ! 撫でてあげるッ! だから……」",
|
||
"317000311_107": "「フーッ!」",
|
||
"317000311_108": "「ダメみたいだな……」",
|
||
"317000311_109": "「うう……、今は諦めるよ……」",
|
||
"317000311_110": "「わたしがいないからって夜更かししちゃダメだよ?\\n ちゃんと寝る前は歯を磨いて、あとそれから……」",
|
||
"317000311_111": "「そうそう、寂しかったらメールして。\\n わたしもちゃんと返すからね」",
|
||
"317000311_112": "「うん、わかった……。\\n いっぱいメールしちゃうと思うけど、いいかな?」",
|
||
"317000311_113": "「うん、もちろんだよ」",
|
||
"317000311_114": "「じゃあ、離れ離れになる前に\\n 未来の温もりを――」",
|
||
"317000311_115": "「シャーッ!」",
|
||
"317000311_116": "「それもさせてくれないのッ!?」"
|
||
} |