101 lines
11 KiB
JSON
101 lines
11 KiB
JSON
{
|
||
"506000721_0": "「はああッ!\\n キョウ、後はッ!」",
|
||
"506000721_1": "「任せてッ!」",
|
||
"506000721_2": "「はあ、はあ……、\\n 大幅に力が落ちてる……か」",
|
||
"506000721_3": "「ヨウ、身体は……?」",
|
||
"506000721_4": "「今は、まだ動く。\\n それで十分だよ」",
|
||
"506000721_5": "「――さて、いつまでも逃げ回るわけにはいかない。\\n そっちの世界に帰る方法は?」",
|
||
"506000721_6": "「コネクトギアに蓄積した、デュプリケイターのエネルギー。\\n これを使って空間と空間を繋ぐつもりです」",
|
||
"506000721_7": "「ま、力任せにドアをこじ開けようって考えだな」",
|
||
"506000721_8": "「けど、出発したときよりも力を感じない……」",
|
||
"506000721_9": "「カヴァーチャとの戦いで、\\n かなりギリギリになってるんだと思う」",
|
||
"506000721_10": "「けど、最初に来た場所からなら、帰還ルートが観測できてる。\\n きっとまだ足りるはずだよ」",
|
||
"506000721_11": "「……その予測は、そちらの世界からこちらの世界へ、\\n 移動した時の消費量を前提にしているのか?」",
|
||
"506000721_12": "「うん。",
|
||
"506000721_13": " ……もしかして、何か問題が?」",
|
||
"506000721_14": "「大有りだ。覚えてるだろう?\\n エネルギーは高いところから低いところに流れるんだ」",
|
||
"506000721_15": "「おまえたちの言うアーティファクトホール……おそらく\\n カヴァーチャは、それを利用してエネルギーをこちらに引き込んだ」",
|
||
"506000721_16": "「その法則は物体が移動する時も変わらない。",
|
||
"506000721_17": " 阻む力があったとすれば、それはこの世界からの拒絶……」",
|
||
"506000721_18": "「……」",
|
||
"506000721_19": "「……とにかく、あちらからこちらへは、下るが故に少ない力で済むが、\\n こちらからあちらへは、上るために大きな力が必要だ」",
|
||
"506000721_20": "「カヴァーチャの妨害を抜けた後の、引き込まれるような感覚。\\n あれはエネルギーの流れに乗ったからか……」",
|
||
"506000721_21": "「じゃあ戻るには、\\n 来た時と同じエネルギーじゃ足りないってことッ!?」",
|
||
"506000721_22": "「ギリギリのエネルギーでは、かなりの不足が出るはずだ。",
|
||
"506000721_23": " 無理に押し通ることは可能かもしれないが……」",
|
||
"506000721_24": "「この宇宙で無理を通そうとするなら必ず『代償』を支払います。\\n その重みは、軽く考えるべきではないかと」",
|
||
"506000721_25": "「そんな……どうしよう……」",
|
||
"506000721_26": "「デュプリケイターに並ぶエネルギーなんて、\\n 簡単には調達できないね……」",
|
||
"506000721_27": "「この世界の資源は何かを消費しなければ得られないはず。\\n わたしたちが帰るために犠牲を出すなんて……」",
|
||
"506000721_28": "「――消費できる物なら、\\n ここにある」",
|
||
"506000721_29": "「ええ。\\n あなたたちに助けられた、この命が」",
|
||
"506000721_30": "「残されたこの身に代えても、\\n あなたたちを、あなたたちの宇宙へと返してみせる」",
|
||
"506000721_31": "「それがせめてもの贖罪です」",
|
||
"506000721_32": "「――ッ!\\n そんなのは――」",
|
||
"506000721_33": "「<size=40>わかってないッ!!!</size>」",
|
||
"506000721_34": "「み、未来……?」\\n「…………」",
|
||
"506000721_35": "「……え?」",
|
||
"506000721_36": "「……2人とも、わかってない」",
|
||
"506000721_37": "「なんにもわかってないよッ!\\n そんなのは贖罪じゃないッ!」",
|
||
"506000721_38": "「あなたたちの願いを叶えたくて、\\n 幸せになって欲しくて、ここまできたのッ!」",
|
||
"506000721_39": "「あなたたちを助けたいと思った人たちの気持ちが、\\n 全然わかってないッ!」",
|
||
"506000721_40": "「……ッそ、それは……\\n その……」",
|
||
"506000721_41": "「……けど、あたしたちにできることは……」",
|
||
"506000721_42": "「2人を放って置けない理由、よくわかった……\\n わたしと似てるから、ってだけじゃない」",
|
||
"506000721_43": "「ありもしない罪を背負って、償わなきゃって追い詰められて、\\n 自分を犠牲にするのが正しいんだって思い込むッ!」",
|
||
"506000721_44": "「昔の響にそっくりなんだッ!」",
|
||
"506000721_45": "「未来……」",
|
||
"506000721_46": "「わたしたちの、幸せ……」",
|
||
"506000721_47": "「なら、この贖罪を受け入れてくれることだって……\\n 終わってしまった命でおまえたちを救えるのなら、満足だよ」",
|
||
"506000721_48": "「違う。\\n 違うよッ!!」",
|
||
"506000721_49": "「そんなことじゃない、本当の想いがあるから、\\n わたしたちと手を取ったんでしょうッ!?」",
|
||
"506000721_50": "「それは……でも、叶えてもらいました。\\n 最期に……わたしが終わってしまう前に、ヨウと手を繋げた」",
|
||
"506000721_51": "「キョウの笑顔を見られた。\\n だから、ここで終わっていいんだ」",
|
||
"506000721_52": "「……で、次の英雄ってやつに\\n その運命を押し付けていくのか?」",
|
||
"506000721_53": "「――え?」",
|
||
"506000721_54": "「まだお前たちは見つけてないんだろ。\\n 世界を救う道筋も、隣の相棒を護る方法も」",
|
||
"506000721_55": "「何の答えも得られないまま\\n 世界を護るという命題ごと、次の誰かに押し付けるのか?」",
|
||
"506000721_56": "「でもカヴァーチャに否定された今、\\n わたしたちには何も残ってなんて――」",
|
||
"506000721_57": "「……わたしは戦う時は、いつも命を失う覚悟をしてる。\\n でも決して死にたくなんてない」",
|
||
"506000721_58": "「死ぬのが怖くて、それでも戦えるのは、\\n 未来を、自分の周りの大切な人を護りたいから」",
|
||
"506000721_59": "「……」",
|
||
"506000721_60": "「みんなが大切だから、\\n 知らない誰かのためにだって戦えるんだ」",
|
||
"506000721_61": "「……」",
|
||
"506000721_62": "「……ホントはね、混ざっちゃうこともある。\\n 戦っている最中、バカみたいに必死で」",
|
||
"506000721_63": "「誰のためにとか、自分のためにとか、考える余裕なんてなくて。",
|
||
"506000721_64": " だからわたしは、これだけ握りしめてることにしてるんだ」",
|
||
"506000721_65": "「目の前の大切な誰かに、手を伸ばしたい。\\n 届くのなら握って、抱きしめて……伝えたいんだ」",
|
||
"506000721_66": "「わたしたちは……生きている人たちはみんな、」",
|
||
"506000721_67": "「みんな……自分のわがままを叶えるために、\\n 生きてていいんだって」",
|
||
"506000721_68": "「……。\\n …………わがまま……?」",
|
||
"506000721_69": "「……うん。わがままだよ。\\n わたしだって、わかってる」",
|
||
"506000721_70": "「けど――どうしたって、捨てられない想いが……\\n 貫きたい、胸の歌がある」",
|
||
"506000721_71": "「キョウちゃんも、ヨウちゃんも……\\n そうだったんじゃない?」",
|
||
"506000721_72": "「…………わたし、たちは……」",
|
||
"506000721_73": "「2人も世界を救うために戦ってた。",
|
||
"506000721_74": " たまに、こっそり歌も唄って」",
|
||
"506000721_75": "「――ッ!」",
|
||
"506000721_76": "「歌を禁じられた世界でも……唄うことで、戦うことで……\\n みんなに幸せになって欲しいって、願ってたんでしょ?」",
|
||
"506000721_77": "「わたしたちの世界と戦う前から、\\n そうやって生きてたって、教えてもらったよ」",
|
||
"506000721_78": "「うん、その想いは、絶対に嘘じゃない。本当のあなたたちの想い。\\n カヴァーチャに押し付けられた願いなんかじゃないはずだよ」",
|
||
"506000721_79": "「……まだ終わってない。\\n 2人の願いは、叶えられるはずなんだ」",
|
||
"506000721_80": "「わたしたちの願い――。\\n 世界を護りたいという想い……」",
|
||
"506000721_81": "「ほんの微かでも、唄ったのは……\\n 口笛なんてものにしてまで、縋ったのは……」",
|
||
"506000721_82": "「……ああ、そうだ。覚えてる……\\n あのときわたしは確かに、世界が動いた気がしたんだ――」",
|
||
"506000721_83": "「そうだ……誰かに届いた気がした。投げやりな気持ちなんかじゃない。\\n みんなを助けたい。心からそう願って、あそこに立ったんだ」",
|
||
"506000721_84": "「けど、それには捨てなきゃいけないものだってあって……」",
|
||
"506000721_85": "「ヨウと生きたいって願いは、本当の本当に、本当です。\\n けど……だからって、英雄としての願いは、嘘にならない……」",
|
||
"506000721_86": "「うん。\\n 絶対にッ!」",
|
||
"506000721_87": "「そうか……\\n そう、ですね……」",
|
||
"506000721_88": "「……英雄として生きる道が絶たれて、楽な道を選ぼうとしてた。\\n 終わってしまいたいと逃げてたのかも……」",
|
||
"506000721_89": "「死は甘え、か。\\n 優しくないな。この世界は」",
|
||
"506000721_90": "「……この世界だけじゃない。\\n どの世界だって、どの宇宙だって、きっと同じだよ」",
|
||
"506000721_91": "「……そうですね。\\n それが……きっと、世界というものなのでしょう」",
|
||
"506000721_92": "「それなら……\\n あたしたちができることは……」",
|
||
"506000721_93": "「――ああ、そうさ。そうだった。\\n 笑ってしまうくらいの危険はあるが、方法は……あるッ!!」",
|
||
"506000721_94": "「そうこないとなッ!」",
|
||
"506000721_95": "「聞かせてくれ、その方法ってやつを」",
|
||
"506000721_96": "「――カヴァーチャを使うんだ」",
|
||
"506000721_97": "「もう一度――",
|
||
"506000721_98": " ううん、今度こそ、世界を護るために」"
|
||
} |