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"506000321_0": "観測記録 No. 1258900283.",
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"506000321_1": "『ミストルティン』世界――",
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"506000321_2": "「ああもうッ!\\n 何がどうなってんだッ!」",
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"506000321_3": "「暴れ回ってたカルマノイズが消えてなくなったと思ったらッ!\\n ギャラルホルンのゲートまで消えちまって……ッ!」",
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"506000321_4": "「――落ち着いて、翼。ゲートの消失は前にもあった。\\n きっと非常事態なんだと思う」",
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"506000321_5": "「それならそれで、助けに行きたいのに……ッ!",
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"506000321_6": " 何がなんだかわからないってのが、一番座りが悪いな……」",
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"506000321_7": "「うん……\\n うまく言えないけど、前の消失とも違う気がするし……」",
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"506000321_8": "「なんだかね、\\n 『正しい』のはむしろ、今の状態なんだって気がするの」",
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"506000321_9": "「……」",
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"506000321_10": "「だって――元を辿れば、\\n この世界にゲートなんてなかった」",
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"506000321_11": "「……そりゃ、そうだけど……\\n そんなのは、だって……」",
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"506000321_12": "「ああもうッ!」",
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"506000321_13": "「受け入れちゃったら、寂しいだろうがッ!」",
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"506000321_14": "「……」",
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"506000321_15": "「知ってしまったものは、もう知らないとは言えない。\\n あいつらが戦ってるなら、オレは見過ごしたくなんかないねッ!」",
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"506000321_16": "「フフ。\\n うん、それはわたしも同じ気持ち」",
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"506000321_17": "「それなら、わたしたちが今できることは――」",
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"506000321_18": "「――緊急ですッ! 生命力を奪う、青い化け物を発見。\\n 至急対応をお願いします」",
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"506000321_19": "「狩り残しか……なら、愚痴を言うのもここまでだ。\\n 今はできることをするしかない」",
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"506000321_20": "「うん。\\n つまり、いつも通り、だね」",
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"506000321_21": "「いいや、いつもを取り戻すために戦うんだ」",
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"506000321_22": "「……そんで、みんながいる『いつも』が帰ってきたら、\\n シャロンも交えてまたお喋りでもできたらいいよな」",
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"506000321_23": "「うん。……フフ、きっとうんと賑やかだね。",
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"506000321_24": " じゃあ――」",
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"506000321_25": "「ああ、行こう。\\n 目の前のことを片づけて、その先へッ!!」",
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"506000321_26": "観測記録 No. 1258900421.",
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"506000321_27": "『フロッティ世界』――",
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"506000321_28": "「化け物が暴れて、カルマノイズも暴れて、倒して倒して……\\n 最後は並行世界へのゲートと一緒に、さっぱり消えてなくなった」",
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"506000321_29": "「助手はどう見る?」",
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"506000321_30": "「…………きゅう」",
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"506000321_31": "「……はぁ。\\n 3日寝てないくらいで、軟弱」",
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"506000321_32": "「あの……調。\\n じょ、助手さんは大丈夫デスかね……」",
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"506000321_33": "「大丈夫でしょ。……けど、サポートの都度こうなられるのは困る。\\n 上手な仮眠の取りかたくらい教えるべきかな、1週間くらい動けるやつ」",
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"506000321_34": "「ひょ、ヒョエエ……」",
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"506000321_35": "「そんなことより、この状況。また何か起きたのは間違いない。\\n これを使えばゲートがなくても確認に行ける……はずなんだけど」",
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"506000321_36": "「けど、なんデス?」",
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"506000321_37": "「使用回数がネック……」",
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"506000321_38": "「軽く解析にかけたから、莫大なエネルギーを秘めてるのは確実。\\n だけど……」",
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"506000321_39": "「そもそも、どうしても必要ってわけじゃないのに、\\n 安全か確かめるだけで使っていいのか――多分よくない」",
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"506000321_40": "「聞いてると使わない方がいい気がするデス……」",
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"506000321_41": "「でも青い化け物が出た時期から、\\n この星から宇宙へと力の流出が起きてるの」",
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"506000321_42": "「――ッ!?」",
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"506000321_43": "「青い化け物のせいかと思ったけど……\\n カルマノイズも消えた後にその勢いが急増してる」",
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"506000321_44": "「それも放っておくと星ごと滅ぶような、\\n ちょっと元気な勢いで」",
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"506000321_45": "「そんなことが起きてたんデスかッ!?\\n 全然気づかなかったデスよッ!?」",
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"506000321_46": "「助手が勝手に置いてたレイライン探査装置、\\n びーびーうるさいからすぐ消した」",
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"506000321_47": "「でも……無視するには危険な数値が出てた。\\n 危機は去っていないか、次の危機が起きてるのかも……」",
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"506000321_48": "「放っておけないデスね……、\\n 調査に行くデスか?」",
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"506000321_49": "「……うん。わたしがやるべきことは、\\n 目の前の危機から目をそらさないこと」",
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"506000321_50": "「すぐに動こう。きっと、ほかの並行世界の人たちも動いてる。",
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"506000321_51": " ――切ちゃんも、手伝ってくれる?」",
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"506000321_52": "「当然デスッ!\\n 任せておくデスッ!」",
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"506000321_53": "観測記録 No. 1258900423.",
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"506000321_54": "『スヴォル』世界――",
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"506000321_55": "「苛立たしいッ! 腹立たしいッ!\\n 忌々しいッ!!!」",
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"506000321_56": "「カルマノイズが一斉に消えたと思ったら、\\n 突然にギャラルホルンのゲートまで消失するとはッ!」",
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"506000321_57": "「この英雄に理解できない謎がこうも堆積するなどッ!\\n 不愉快でなりませんねッ!」",
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"506000321_58": "「カルマノイズの消失は、\\n ベアトリーチェが関わっているだろうことは推測できるとして……」",
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"506000321_59": "「ゲートの消失は痛いわね。",
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"506000321_60": " この世界にはゲートを使える人間はいないとはいえ……」",
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"506000321_61": "「その謎を解明するために手を借りているのだ。\\n 頼りにしている」",
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"506000321_62": "「ならばそのデュプリケイターとかいう道具、\\n この天才に解析させてはどうなのですッ!?」",
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"506000321_63": "「詳しく調べたらどうも胡散臭いのよ、このアイテム。\\n 高濃度のエネルギーを限界まで圧縮してあるような、そんな代物」",
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"506000321_64": "「正しい手順で使うのなら大丈夫でしょうけど、下手に弄くり回して、\\n この星ごと大爆発なんてしたら笑い話にもならないわ」",
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"506000321_65": "「それに今は、レイラインの流れに大きな異常がある。\\n 世界間移動の道具なんて、封印しておくのが妥当よ」",
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"506000321_66": "「ふん、そっちはあなたに任せたのですから、\\n 精々働くことですね、英雄使いの荒い魔女めッ!」",
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"506000321_67": "「星の命が奪われている、か……。\\n どうにかなりそうか?」",
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"506000321_68": "「各国のデータを無断借用して、状況は概ねわかってるわ。\\n 今は根本的な解決へ向かうための、時間稼ぎってところね」",
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"506000321_69": "「とはいえエネルギーの向かう先は、はるか宇宙の彼方。\\n すぐに対処するのは難しそうね……」",
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"506000321_70": "「状況から察するに、鍵となるのはS.O.N.G.の世界。\\n 今はこの世界を護り切ることが最優先か」",
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"506000321_71": "「あら、楽観的ね。\\n 私が難しいと口に出したのがどれだけ重いか、理解してる?」",
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"506000321_72": "「わかっているさ。\\n 『またしても』かつてない世界の危機だということはな」",
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"506000321_73": "「だからこそ、俺は緩むことなく目の前の危機に対処しよう。\\n <ruby=みらい>未来</ruby>への対処は君に任せるとするさ」",
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"506000321_74": "「……いいわ、このまま負けっぱなしでいるつもりもないし。\\n 私の世界へ手を伸ばした報い、必ず受けさせましょう」",
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"506000321_75": "観測記録 No. 1258900748.",
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"506000321_76": "『グレイプニル世界』――",
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"506000321_77": "「どう、かな?\\n ヴェイグさん……」",
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"506000321_78": "「――最悪ではない、ってところだな」",
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"506000321_79": "「ミレニアムパズルを用いた、\\n 星命力の流出阻止にはなんとか成功してる」",
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"506000321_80": "「本当ッ!? \\n やりましたッ!」",
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"506000321_81": "「だが、まだ喜べるような状況じゃないぞ」",
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"506000321_82": "「星を離れるエネルギーを可能な限りパズルに閉じ込め、\\n 手元に残しているだけだ」",
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"506000321_83": "「レイラインからエネルギーが流出していることは変わらない。\\n パズルの力にも限界はある、今だって漏れは生じている……」",
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"506000321_84": "「そうですか……。\\n やっぱり原因をなんとかしないといけないんですね」",
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"506000321_85": "「ああ、オレたちができることには限りがある。\\n 特にギャラルホルンへ異常が起きた今は」",
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"506000321_86": "「……きっと、姉さんたちも動いてくれています。\\n わたしの戦いは、現状に精一杯抗うことッ!」",
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"506000321_87": "「パズルの規模を広げて、\\n もっと多くの命を護りますッ!」 ",
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"506000321_88": "(どうか勝ってください、みなさん。\\n わたしもここで、精一杯戦います――ッ!)",
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"506000321_89": "観測記録 No. 1258902080.",
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"506000321_90": "『ドラウプニル』世界――",
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"506000321_91": "「――ドッペルゲンガーの掃討は終わったぞ。\\n そっちの仕事はどうした」",
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"506000321_92": "「順調ではないね、不甲斐ないことに。\\n どうにも効果が薄いんだよ、こちらの手札の」",
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"506000321_93": "「それにしても……本気で言っているのか? \\n レイラインの制御など、片手間でやってのけるだろうに」",
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"506000321_94": "「普段ならば、ね。\\n それに――それはこの世界の中で起こっている循環に限る」",
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"506000321_95": "「何かの法則が働いているようだ、歪なものがね。\\n 対処は難しいだろう、その摂理を手にしなければ」",
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"506000321_96": "「世界を識ろうと挑む、\\n オレたちすら知らぬ法則、か……」",
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"506000321_97": "「……ねえ、一応確認するわよ?\\n 本当に、局長が犯人じゃないのね?」",
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"506000321_98": "「レイラインからの強制的なエネルギー奪取、\\n 局長やキャロル以外には不可能なワケダ」",
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"506000321_99": "「しかし、キャロルも局長も、\\n この世界を<ruby=おびや>脅</ruby>かす動機など最早ない――そうでしょう?」",
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"506000321_100": "「おや、フフ……。\\n 嬉しいものだね、キミたちからの信頼というものは」",
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"506000321_101": "「フン……」",
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"506000321_102": "「――もう一度会いたい、などと温いことを言うつもりはないが、\\n あれが別れというのも気にいらない」",
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"506000321_103": "「この世界に割り込んだ法則が何であれ、\\n すぐに既知へと堕としてやる」",
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"506000321_104": "「オレの命題への妨害は、\\n 何であろうとさせるものかッ!」",
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"506000321_105": "観測記録 No. 1258900748.",
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"506000321_106": "『ナグルファル』世界――",
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"506000321_107": "「――これでも、\\n 他の並行世界に飛ぶことはできない、か……」",
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"506000321_108": "(世界間の移動が妨害されてるわけじゃない。\\n ベアトリーチェの障壁とは違う)",
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"506000321_109": "(今まではあった、世界を繋ぐガイドラインが消えている感じ。\\n ルートがわからなくて上手く移動ができてない……?)",
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"506000321_110": "(だとしたら正確に世界の座標を理解して、\\n わたしとエレクライトがナビゲーターになれば――)",
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"506000321_111": "(……でも、それを、\\n どうすればいいのかがわからない……)",
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"506000321_112": "「――だ、誰かぁぁぁッ!\\n 助けて、ば、化け物が……ッ」",
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"506000321_113": "「――ッ!!",
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"506000321_114": " 今行くからッ!!」",
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"506000321_115": "(今は……\\n できないことを考えても仕方がないッ!)",
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"506000321_116": "(全部救うんだッ!!\\n せめて、この手の届く範囲、全部くらいはッ!!)",
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"506000321_117": "(だって、これは……\\n わたしがやりたいことッ!!)",
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"506000321_118": "観測記録 No. 1258910002.",
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"506000321_119": "『ミョルニル』世界発、APPLEの艦――",
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"506000321_120": "「状況はッ!?」",
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"506000321_121": "「各並行世界への跳躍不能ッ!\\n 流れが断たれていますッ!」",
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"506000321_122": "「ひぃ〜ン……ッ!\\n 今までこんなことなかったっスよぉ……」",
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"506000321_123": "「改良を重ねたデュプリケイターも、\\n この状況じゃ使っても爆発するのが関の山っスーッ!」",
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"506000321_124": "「それでもどうにかするのが、\\n 私たちの科学だろうがッ!!」",
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"506000321_125": "「この『鍵』は、可能性の塊だ……ッ」",
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"506000321_126": "「あらゆる点と点、事象と事象を結び、シュレディンガーの猫を\\n 箱から引き摺り出すことすら可能かもしれない鍵ッ!」",
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"506000321_127": "「だが、その本質は……",
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"506000321_128": " フフフッ、かつて訪れた虫島に、思考のヒントがあろうとは……ッ!」",
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"506000321_129": "「このようなものを前に、私にまた諦めろとッ!?\\n ふざけるな、この艦の科学者がそんなことで諦めてどうするッ!?」",
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"506000321_130": "「あらまぁ。ナツミと研究室に引っ込んでる間に、\\n 随分とこの艦の乗組員らしくなっちゃって」",
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"506000321_131": "「ええ、嬉しい誤算ですね」",
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"506000321_132": "「新入りが、これだけこの逆境に抗っているんだもの。\\n わたしたちが早々に情けない顔をするわけにはいかないわッ!」",
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"506000321_133": "「ナツミさんはエジソンとデュプリケイターの改良を進めてください。\\n その力は、わたしたちを繋ぐ希望です。手放すなんてできないッ!」",
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"506000321_134": "「〜〜〜ッ!\\n ……ッス!!!」",
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"506000321_135": "「ベソかきつつだけど、良い顔になったわね」",
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"506000321_136": "「それなら――このまま進むわよ、\\n このバカみたいに大きい、うねりの中をッ!!」",
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"506000321_137": "「全員、衝撃に備えてくださいッ!!\\n どこに抜けるか、抜けられるかもわからないッ!」",
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"506000321_138": "「それでも、進み続けますッ!\\n この状況を、打破するまで――ッ!」",
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"506000321_139": "「APPLE――わたしの艦、わたしの家族。\\n さあ、行くわよッ」",
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"506000321_140": "「「全速、前進ッッ!!!!」」"
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