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"501000631_0": "「このまま歩き続けるに当たって、\\n 重要なのは水分、そして食糧の確保だ」",
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"501000631_1": "「この身1つで放り込まれたんだ。\\n 飲み物なんて持っちゃいないぞ」",
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"501000631_2": "「どこかに水場でもあればいいのだが――」",
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"501000631_3": "「そんなものがないことは、\\n この土地の有り様を見て想像がつくだろう」",
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"501000631_4": "「……だが、補給が必要なのは確かだろう?\\n お前たちとて、飲まず食わずで生きられるわけでもあるまい」",
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"501000631_5": "「わかっている。\\n 対処する方法があるから、慌てていないだけだ」",
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"501000631_6": "「何か方法があるのッ!?」",
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"501000631_7": "「ええ。\\n この<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>を使います」",
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"501000631_8": "「……?\\n なぁに、それ?」",
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"501000631_9": "「これによって、空気中の水分を絞り出し、\\n 飲料水を精製することが可能です」",
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"501000631_10": "「あなたたちの分も用意できますので、\\n ご心配なく」",
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"501000631_11": "「……良かった。\\n ありがとうございます」",
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"501000631_12": "「それに、食糧だが……。\\n そちらにも一応アテはある」",
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"501000631_13": "「こんな、命の枯れ果てた世界であっても、\\n しぶとく生きている生物は多少なりともいるものだ」",
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"501000631_14": "「ほら、そこ。\\n 見てみろ」",
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"501000631_15": "「そこって言われても、\\n 腐った沼があるようにしか見えないぞ?」",
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"501000631_16": "「見るべきは、沼の周りに生えている植物だ。\\n 少ないが、腹の足しにはなる」",
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"501000631_17": "「これまで通って来た途上で、\\n 体液を水分として利用できそうな生物も確保してあります」",
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"501000631_18": "「いつの間に――」",
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"501000631_19": "(慣れている……ということか。\\n 普段から、どれほど過酷な環境に身を置いているのだ)",
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"501000631_20": "(自分たちの世界を、\\n 『見放された世界』と称するのも、頷ける……)",
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"501000631_21": "(ああ。どこの並行世界であっても、\\n ここまで追い詰められていた連中はいなかった――)",
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"501000631_22": "(こいつらから見たら、あたしたちの世界は、\\n さぞかし恵まれているように見えるんだろうな)",
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"501000631_23": "「――ほら。\\n 水分が精製できましたよ」",
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"501000631_24": "「すごいッ!\\n 『<ruby=アーティファクト>人工聖遺物</ruby>』って、こんなことができるんだッ!」",
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"501000631_25": "「……ええ、すごいんですよ。\\n わたしたちの世界が生み出した技術ですから」",
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"501000631_26": "「この技術で、\\n あたしたちは生き延びてきたんだからな」",
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"501000631_27": "「だから、絶対に。\\n 滅ぼさせなんか、しない――」",
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"501000631_28": "「…………」"
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