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"397000121_0": "(調査班によって確保された聖遺物、\\n 『アリアドネの糸』……)",
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"397000121_1": "(ギリシャ神話の英雄、テセウスが迷宮の最奥から脱出する際、\\n これを辿ることで無事に帰ることができたという謂れがある……)",
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"397000121_2": "(これを応用すれば、かつてノーブルレッドが作り出し、\\n 装者のみなさんを閉じ込め、苦しめたダイダロスの迷宮……)",
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"397000121_3": "(そういった迷宮的危機から、\\n 逃れることを可能にするかもしれない)",
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"397000121_4": "(魔剣ダインスレイフの欠片をシンフォギアに組み込んだ時と\\n 同様、不可能ではないはず。ですが――)",
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"397000121_5": "「お邪魔するよ。\\n ああ、やっぱりこんな時間まで頑張ってた」",
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"397000121_6": "「お疲れ様。\\n あったかいものどうぞ」",
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"397000121_7": "「藤尭さん、友里さん。\\n あったかいものどうもです」",
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"397000121_8": "「それって、この前発見された聖遺物だよね?\\n 『アリアドネの糸』……だっけ?」",
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"397000121_9": "「はい。手が空いたので、なにか役立てられればと、\\n 解析していたんです」",
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"397000121_10": "「いやいや……\\n 手が空いたんなら休もうよ……」",
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"397000121_11": "「休憩も仕事のうちよ。\\n 適切に休まなきゃ、効率だって悪くなるでしょ?」",
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"397000121_12": "「確かにそうですね……わかりました。",
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"397000121_13": " 仕事をしっかりするためにも、ボクも適切な休憩を心がけます」",
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"397000121_14": "「とはいえ……こうも聖遺物が続けて発見されると、\\n 調べずにはいられないというか」",
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"397000121_15": "「まぁ、そわそわするのはわかるんだけどね。\\n 装者の皆も回収任務で出払ってるし」",
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"397000121_16": "「未知の聖遺物を回収するとなると、\\n もしものことが考えられるものね」 ",
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"397000121_17": "「回収したらしたで、安全な取り扱いのためにも、\\n エルフナインちゃんに解析してもらわなきゃだし……」",
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"397000121_18": "「任せてください、それがボクのやるべきことですからッ!",
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"397000121_19": " 解析するのは錬金術師の性ですし――」",
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"397000121_20": "「それに、嬉しいんです。\\n ボクもみなさんと一緒に戦えているんだってことが……」",
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"397000121_21": "「しかし、本部が手薄だとちょっと落ち着かないな。\\n 少し前にも、本部襲撃とか、色々あったし……」",
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"397000121_22": "「それは……茶蔵さんのこと?」",
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"397000121_23": "「あれは一応、明日香ちゃんを心配して乗り込んできたわけだから\\n さすがにあんな無茶は、もうしないと思いたいわね」",
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"397000121_24": "「司令と組手をするだけで、\\n 本部が半壊しかねないからなぁ……」",
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"397000121_25": "「そういえば……\\n 弦十郎さんはまだ戻らないんですか?」",
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"397000121_26": "「ええ。S.O.N.G.がいくら国連直轄とはいえ、\\n 日本政府の呼び出しを無下にはできないしね」",
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"397000121_27": "「おかげで、司令代行の緒川さんは休憩の暇もないみたい。\\n ……ここ数日、休んでいるところを見てないわね」",
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"397000121_28": "「司令ほどじゃないとはいえ、\\n あの人も常人離れしてるよな……」",
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"397000121_29": "「そのおかげでどうにか状況を処理できているのが実情よね」",
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"397000121_30": "「ほんと、なんなんだろうな、最近の聖遺物発見ラッシュは。\\n 景気がいいというか、なんと言うか」",
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"397000121_31": "「確かに、奇妙な話ね。芸術品の闇ブローカーが所持してたり、\\n 未発見の遺跡が発見されたり、状況は違うんだけど……」",
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"397000121_32": "「ミステリー、ですねッ」",
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"397000121_33": "「ミステリー?",
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"397000121_34": " フフ、響ちゃんみたいな表現ね」",
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"397000121_35": "「ミステリーといえば……聞いた?\\n ここんとこ噂になってる、ドッペルゲンガーの話」",
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"397000121_36": "「ドッペルゲンガー、ですか?」",
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"397000121_37": "「自分と瓜二つの人を見かける、というやつね。\\n よくある都市伝説や怪談の類が、どうかしたの?」",
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"397000121_38": "「それが最近、話題になってるみたいでさ。\\n ネットなんかでも、盛り上がってるみたいだよ」",
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"397000121_39": "「友人の友人が、自分にそっくりなヤツを、\\n 見たとか見なかったとか……」",
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"397000121_40": "「なにかの聖遺物や、\\n 超常現象の影響でしょうか……?」",
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"397000121_41": "「可能性はあるけど、実害が出てるわけじゃないから、\\n 調査の優先度が低いのよね」",
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"397000121_42": "「ただでさえ人手不足なんだから単なる悪戯であってほしいような、\\n 悪戯だったら、それはそれで勘弁してほしいような……」",
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"397000121_43": "「聖遺物の発見も、\\n いったん落ち着いてくれないものかなぁ」",
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"397000121_44": "「それについてなんですが……\\n 疑問に思っていることがありまして」",
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"397000121_45": "「というと?」",
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"397000121_46": "「最近、立て続けに発見された聖遺物に、\\n 『当たり』が多すぎるんです」",
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"397000121_47": "「当たり?」",
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"397000121_48": "「はい。根本的なことですが、そも『聖遺物』というものは、\\n 遺跡などから古い武具や道具が発掘されたとしても……」",
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"397000121_49": "「その段階ではあくまで、\\n 『聖遺物らしき未知のアイテム』でしかありません」",
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"397000121_50": "「形状や土地柄から、神話や伝承の記述。\\n そして、その『未知のアイテム』が世界に及ぼす影響……」",
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"397000121_51": "「基本的にボクたちは、\\n それらを材料に、聖遺物の正体を<ruby=るいすい>類推</ruby>しているにすぎないんです」",
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"397000121_52": "「だからこそ、アウフヴァッヘン波形……聖遺物が励起状態に\\n なった際のパターンを今日まで記録してきているわけですが……」",
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"397000121_53": "「実のところ、調査段階が『それ以前』である場合、調べたものの\\n 実はただの骨董品だった――というのは、よくあることなんです」",
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"397000121_54": "「しかし、最近立て続けに発見されている品は、\\n 『当たり』が多すぎる。……ボクが気に掛かっているのは、ここです」",
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"397000121_55": "「『アレクトリアの石』『アリアドネの糸』『ゴーレム』\\n 『キビシス』『ケストス』『アスクレピオスの杖』……」",
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"397000121_56": "「どれもが神話に語られる、いわば『格のある』ものなんです。\\n そしていずれも、アウフヴァッヘン波形の確認がされています」",
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"397000121_57": "「なるほど……。\\n 確かに、不自然といえば不自然ね」",
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"397000121_58": "「ん……通信が。",
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"397000121_59": " 緒川さんからだわ」",
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"397000121_60": "「友里です。……ええ、エルフナインちゃんのところです。\\n ……了解しました」",
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"397000121_61": "「なんだって?」",
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"397000121_62": "「マリアさんと調ちゃんが帰投したそうよ。\\n メディカルチェックの準備をお願い」",
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"397000121_63": "「了解しました」",
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"397000121_64": "「はぁぁ……\\n 休憩は終わりかー」",
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"397000121_65": "「ほら、ぼやかないでさっさと動く」",
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"397000121_66": "「……フフフッ」",
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"397000121_67": "「ん?\\n どうかした?」",
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"397000121_68": "「いえいえ。 こうしてお話しするだけで、\\n 心を軽くしてくれるみなさんがいれば……」",
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"397000121_69": "「何があっても、きっと大丈夫だって、\\n 改めて思っただけですッ!」",
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"397000121_70": "「うん――よし。\\n お2人とも、数値に異常は見られないです」",
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"397000121_71": "「悪いわね。\\n あなたも色々と忙しいでしょうに」",
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"397000121_72": "「いえいえ。\\n みなさんの健康が一番大事ですからッ!」",
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"397000121_73": "「フフ、ありがと。ちなみに……\\n 切ちゃんや他のみんなは、まだ帰ってないの?」",
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"397000121_74": "「世界中を飛び回っているので、しばらくかかると思います。\\n お2人は、まだ近い方でしたので」",
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"397000121_75": "「そっか……。\\n 切ちゃん、慣れない国でお腹壊してないといいけど」",
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"397000121_76": "「あの子のことだから、むしろ喜んで現地のごちそうを\\n 食べてる頃かもね」",
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"397000121_77": "「むぅ……\\n 切ちゃんのお腹は、わたしがいっぱいにしてあげたいのに」",
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"397000121_78": "「それにしても調ちゃん、思ったより早く帰ってこられたみたいね。\\n もう少しかかる予定と聞いていたけど」",
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"397000121_79": "「特にトラブルもなかったので、\\n 意外とあっさり済んじゃいました」",
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"397000121_80": "「調が担当していたのは、確か『ゴーレム』だったわよね。\\n 剣呑なイメージだけど……大丈夫だったの?」",
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"397000121_81": "「うん。\\n ぴくりとも動かなかったよ」",
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"397000121_82": "「ゴーレム……\\n 製作者の命令を忠実に遂行する土人形ですね」",
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"397000121_83": "「近づく者を迎撃しろ、等の命令が与えられていれば\\n 危なかったかもしれません……」",
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"397000121_84": "「そうなの?",
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"397000121_85": " なら、なにもなくてラッキーだったんだね」",
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"397000121_86": "「はい。そしてここから先は、ボクたちの戦いです。\\n 本当に『なにもない』のかを、確認するための――ッ!」",
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"397000121_87": "「……なんて、ちょっと大げさでしたね」",
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"397000121_88": "「フフ、そんなことはないわよ。エルフナインの『戦い』は、\\n わたしたちにはできないものだしね」",
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"397000121_89": "「なんにせよ、無事に終わったのならよかったわ。\\n 2人とも、今はゆっくり休んで――」",
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"397000121_90": "「あら? また緒川さんだわ。",
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"397000121_91": " ――はい。ええ、ちょうど済んだところです。」",
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"397000121_92": "「……えッ!?」",
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"397000121_93": "「どうかしたの?」",
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"397000121_94": "「それが……新しい任務だって。\\n また新たに聖遺物が見つかったと……」",
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"397000121_95": "「ええッ!?\\n 今、帰ってきたばかりなのにですか……?」",
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"397000121_96": "「ま、仕方ないわね。エルフナインたちに負けないように、\\n わたしたちも気張るとしましょうか」",
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"397000121_97": "「切ちゃんが帰ってくるのをお迎えしたかったけど……",
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"397000121_98": " そうだよね、それがわたしたちの役目だもの」"
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