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"502000621_0": "「グリッドマン……ッ!",
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"502000621_1": " わたしに、伝えたいことってッ!?」",
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"502000621_2": "(――よかった。\\n 響。まずは、また巻き込んでしまったことを申し訳なく思う)",
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"502000621_3": "「そんなこと、気にしないでくださいッ!\\n それに、わたしにとっても関係のないことじゃありませんッ!」",
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"502000621_4": "「でも……どうして今までは、\\n 声が聞こえなかったんですか?」",
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"502000621_5": "(それは――この世界が、『アレクシス・ケリヴを斃す』という\\n 立花洸の強い願いが作った世界だからだ)",
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"502000621_6": "「アレクシスさんを斃すための、世界……ッ!?」",
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"502000621_7": "(私が立花洸の願いを断った時――\\n 彼は私に対し、怪獣を操る力を使った)",
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"502000621_8": "(本来、それは私を従えるような力ではない。\\n だが……事実として、私は彼に、私の力の制御権を奪われた)",
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"502000621_9": "「つまり、彼はその力でグリッドマンを支配下におき、\\n この<ruby=檻>世界</ruby>を作り上げたというわけか」",
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"502000621_10": "「なるほど、合点がいったよ。\\n グリッドマン、ヒーローの力……」",
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"502000621_11": "「それを使って、彼の中の確固たる『悪』である私を\\n 捉える檻としたわけだね」",
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"502000621_12": "「『ヒーローは悪を逃さない』。\\n つまるところはそういった概念かな」",
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"502000621_13": "「概念……。\\n この世界全てが、哲学兵装の檻っていうこと……?」",
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"502000621_14": "「さっき、響くんも見ただろう?\\n 彼が怪獣の動きを縛るために使った力を」",
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"502000621_15": "「は、はい……」",
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"502000621_16": "「本来はそんな大それたことができる力ではないはずなんだがね。\\n だが、彼の執念が、その力を変質させたようだ」",
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"502000621_17": "「いやはや、人の執念というのは凄まじいねぇ」",
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"502000621_18": "「まさか彼みたいな平凡な男が、\\n 一部とはいえグリッドマンの力を制御するなんて」",
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"502000621_19": "(そして、彼の力はアレクシス・ケリヴを\\n どこまでも追跡し、この世界に引き込んだんだ)",
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"502000621_20": "「いや、人の可能性というのは、実におもしろい」",
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"502000621_21": "「大したことはできないと思っていた彼のような男が、\\n これだけのことをやってのけるのだからね」",
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"502000621_22": "「だが……おそらくは、\\n 響くん共々この世界に落ちてきたことで、その理に綻びができた」",
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"502000621_23": "「わ、わたしがッ!?」",
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"502000621_24": "「うん。グリッドマンはともかく……\\n 響くん、君は自分自身をヒーローだと思ったことはあるかい?」",
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"502000621_25": "「悪は許すべくもない、斃すべきものと断じ、\\n 戦ったことはないんじゃないのかな?」",
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"502000621_26": "「――ッ」",
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"502000621_27": "(『手を繋ぎたい』――。\\n 相手のことを、わかりたい)",
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"502000621_28": "(響が胸に抱く、その大切な<ruby=歌>想い</ruby>こそが……\\n 彼の強固な檻を打ち砕く鍵だったんだ)",
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"502000621_29": "(そもそも、扱いきれない力を無理矢理使って形成した世界には、\\n 綻びがあった)",
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"502000621_30": "(その綻びを補うように、この世界は、他のいくつもの世界を\\n 巻き込み、つぎはぎのように補修し始めた)",
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"502000621_31": "「そうか。だから……世界が繋がって、\\n わたしの世界にも、怪獣が現れたんですねッ!?」",
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"502000621_32": "(そこまで状況が進行していたか……)",
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"502000621_33": "(響。\\n もはや一刻の猶予もない。事態の解決は急を要する)",
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"502000621_34": "「解決……。\\n それはもしかして、お父さんを……」",
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"502000621_35": "(安心してほしい。立花洸の絶望はあまりに深く、\\n ゆえに心が闇に染まってしまった)",
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"502000621_36": "(油断していたとはいえ、私を支配下に置くほどに)",
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"502000621_37": "(だが……その悲しみの深さを垣間見たからこそ、\\n 私は彼を助けたい。いや、助けなければならないのだ)",
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"502000621_38": "(なぜならば――\\n 彼の悲しみは、彼が大切に想う者への愛情故だからだ)",
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"502000621_39": "「――わたしだって、同じですッ!」",
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"502000621_40": "「あのお父さんが目覚めを待っている『響』は、\\n わたしじゃないけど……だからこそッ!」",
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"502000621_41": "「『響』が目覚めた時、笑顔で向き合えるように、\\n わたしが、お父さんを止めなきゃッ!」",
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"502000621_42": "「泣かせるねぇ。たとえ別人だと知っていても、\\n 放ってはおけないか。家族の愛とは、実に美しいものだねぇ」",
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"502000621_43": "「――ッ!!」",
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"502000621_44": "「なら……\\n アレクシスさんも手伝ってくださいッ!」",
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"502000621_45": "「おや?\\n 私もかい?」",
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"502000621_46": "「お願いしますッ!」",
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"502000621_47": "「……変わっているねぇ。\\n 私は君のお父さんを誑かしたとさえ言えるというのに」",
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"502000621_48": "「でも、それはグリッドマンたちと一緒に戦う前の\\n アレクシスさんなんですよね?」",
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"502000621_49": "「……君もグリッドマンと同じで、\\n 私が変わったと思っているのかい?」",
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"502000621_50": "「それは……",
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"502000621_51": " まったくもって、わかりませんッ!」",
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"502000621_52": "「んん?」",
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"502000621_53": "「でも、わたしは今、こうやってアレクシスさんと\\n 話をすることができる」",
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"502000621_54": "「だったら、手を取り合うことも、\\n 協力することだってできるはずですッ!」",
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"502000621_55": "「……ま、それも悪くないかもねぇ」",
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"502000621_56": "「なんにしろ、\\n 彼もそろそろ限界みたいだしね」",
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"502000621_57": "「ハァ、ハァ、ハァ……ッ!\\n ぐ……、くそ……ッ思うように、力が、操れない……ッ!!」",
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"502000621_58": "「お父さん……ッ!」",
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"502000621_59": "(私の力を制御下に置くのみならず、\\n あれだけの数の怪獣に影響を及ぼしているんだ)",
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"502000621_60": "(その負担は尋常なものではない。\\n そう長くはもたない!)",
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"502000621_61": "「響……ッ、\\n 逃げてくれ……ッ!」",
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"502000621_62": "「わたしは――ッ!」",
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"502000621_63": "「たとえッッ!!!」",
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"502000621_64": "「――たとえ、お前が、俺の娘の響じゃなくても、\\n 俺が、お前を巻き込むわけにはいかないんだ……ッ!!」",
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"502000621_65": "「お父さん……わたしが並行世界から来たって……\\n もしかして、最初からわかってたの……?」",
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"502000621_66": "「いいや……初めは、俺のことを嫌って、\\n 嘘をついているんだろうと思っていたさ」",
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"502000621_67": "「だけど……\\n その小さな身体で怪獣に立ち向かおうとする姿を見て、わかった」",
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"502000621_68": "「……君は、俺の娘の『響』じゃない。\\n こんなに強く成長した『響』を、俺は知らない……」",
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"502000621_69": "「……それでもッ! 響は響だッ!\\n 俺の勝手に巻き込むわけにはいかないッ!!」",
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"502000621_70": "「だったらッ!\\n こんなことはもうやめようよッ!」",
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"502000621_71": "「それはできないッ! 俺は『響』のために、\\n その男を許すわけにはいかないんだ――ッ!!」",
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"502000621_72": "「そのためだったらこの程度……\\n へいき、へっちゃらだッ!」",
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"502000621_73": "「――ッ!」",
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"502000621_74": "「だから……\\n 逃げてくれッ、響ッ!」",
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"502000621_75": "「お父、さん……」",
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"502000621_76": "「…………」",
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"502000621_77": "「……ううん。\\n わたしは逃げないよ」",
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"502000621_78": "「――ッ!」",
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"502000621_79": "「わたしはお父さんの『響』じゃない。\\n でも……わかるんだ」",
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"502000621_80": "「この世界の『響』だって、\\n それがわたしの可能性の1つであるならば――」",
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"502000621_81": "「生きるのを諦めたり、しているはずがないッ!!」",
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"502000621_82": "「『響』はきっと、目覚めようと今も頑張ってるッ!\\n 『響』のためにも、お父さんにそんな顔はさせられないッ!」",
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"502000621_83": "「眠っている『響』のかわりに――\\n わたしが、あなたを止めるッ!」",
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"502000621_84": "「…………ッ!",
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"502000621_85": " 響……」",
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"502000621_86": "「グリッドマンッ!\\n お願い、わたしに力を貸してくださいッ!」",
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"502000621_87": "(私からもお願いしよう。\\n 響、力を貸してくれ)",
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"502000621_88": "(そして、アレクシス・ケリヴ――)",
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"502000621_89": "「わたしたちに……\\n 力を貸してくださいッ!」",
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"502000621_90": "「フッフフ、フフ……いいよ。乗りかかった船だ。\\n それに、響くんがどこまでやれるのか、私も興味があるしね」",
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"502000621_91": "(行こう、2人とも!)",
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"502000621_92": "「行きましょうッ!」",
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"502000621_93": "「ひび、き……」",
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"502000621_94": "「お父さんッ!?」",
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"502000621_95": "(力を使い過ぎて気絶したようだ。\\n 命に別状はない。それより――)",
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"502000621_96": "(彼の安全を確保しつつも、\\n 制御を離れた怪獣をどうにかするのが先決だ!)",
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"502000621_97": "「はいッ!\\n ――それなら、今こそッ!!」",
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"502000621_98": "「<size=40>アクセス・フラーーーーーッシュッ!!!!</size>」"
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