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"398000621_0": "「……なるほど、きみたちはあの子のクラスメイトなのか」",
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"398000621_1": "「まあ、クラスメイトだからって\\n 別に仲いいわけでもなかったけど……」",
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"398000621_2": "「ユウレイは占いとかオカルト好きみたいだったから、\\n そもそもアタシたちとグループ違うしね」",
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"398000621_3": "「へえ……あの子、占いが好きなのか。\\n 全然知らなかったよ」",
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"398000621_4": "「別のグループにいた子なのに、\\n きみはずいぶん詳しいんだな」",
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"398000621_5": "「べ、別にッ! 昼休みによく占いの雑誌読んでたから\\n そうかなって思っただけだしッ!」",
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"398000621_6": "「でも、ユウレイのいるところで、\\n 今日みたいなことが起こるようになっちゃったんだよね……」",
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"398000621_7": "「最初はもちろん偶然かもって思ってたんだけど、\\n 毎回ユウレイがいるところで、ってなると……」",
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"398000621_8": "「そうそう。それで騒ぎになっちゃって、ユウレイのやつ\\n 保護者から『呪われてるッ!』とか言われ出したし」",
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"398000621_9": "「それは……あんまりだろ」",
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"398000621_10": "「オトナってどうしても頭がカタイっていうか、ジョーシキに\\n トラワレすぎて、わからないものを怖がるっていうか?」",
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"398000621_11": "「アタシのママに比べたら、お姉さんたちは\\n まだ柔らかいみたいだから、話が通じてよかった」",
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"398000621_12": "「それできみたちも、\\n その……彼女を責めに来たのか……?」",
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"398000621_13": "「はぁ?\\n そんなわけないでしょ」",
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"398000621_14": "「では、\\n どうして彼女にあんな質問をしたんだ……?」",
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"398000621_15": "「あんたたちには関係な――」",
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"398000621_16": "「…………」",
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"398000621_17": "「…………。\\n ……気に食わないから」",
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"398000621_18": "「なぜ?」",
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"398000621_19": "「だってさ『ノロイ』なんてあるわけないじゃん。\\n だから、あいつは普通の人間なわけ」",
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"398000621_20": "「それなのにさ、さも『自分は特別です』『幽霊です』みたいな\\n 顔しちゃってさ……そういうとこが気に入らないの」",
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"398000621_21": "「そうそうッ! わたしたちがめっちゃ声かけてるのに\\n オドオドしちゃって反応してくんないしッ!」",
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"398000621_22": "「少しなら、あたしらだって占いとかオカルト話とか\\n 全然聞くのにさッ!」",
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"398000621_23": "「それは、つまり……」",
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"398000621_24": "「要するに、きみらの輪に入れようとしたけど、\\n 断られたから意地悪しちゃってたってわけか」",
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"398000621_25": "「は……はぁッ!?\\n 全然違うんですけどッ!」",
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"398000621_26": "「それだと、あたしたちが仲良くしたいみたいじゃんッ!」",
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"398000621_27": "「フフッ……そうだな。\\n 違うのか?」",
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"398000621_28": "「違わ……ないけど……」",
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"398000621_29": "「…………」",
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"398000621_30": "「なるほどな……。\\n そういうことだったのか」",
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"398000621_31": "「でもな、おまえら。\\n 誰だって、自分のペースってもんがある」",
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"398000621_32": "「それがいきなり乱されりゃ驚くし、驚いてるうちに\\n ガンガンこられたら、答えられるものだって答えられない」",
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"398000621_33": "「おまえらだって、お母さんから、\\n 身に覚えのないことを『やったでしょ』って強く言われたら」",
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"398000621_34": "「まず驚いて、うろたえるんじゃないか?」",
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"398000621_35": "「……」",
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"398000621_36": "「心配してたけど……素直になれないだけで、いい子たちだな。\\n ま、ちょっと意地悪だったかもしれないけど」",
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"398000621_37": "「子供は分別はつかないかもしれないが、馬鹿じゃない。",
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"398000621_38": " ……今回はあたしたちの方が馬鹿だったかもしれないな」",
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"398000621_39": "「ったく。\\n アタマの硬いオトナにならないよう気をつけないとな」",
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"398000621_40": "「……そうだね」",
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"398000621_41": "(……そういえば幼い頃、\\n 少しだけ似たような経験をしたことがある)",
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"398000621_42": "(風鳴の家に生まれたわたしは、周囲の大人たちの言動から\\n 微妙な立ち位置の子供なのだと唐突に理解した瞬間があった)",
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"398000621_43": "(わたしも一歩間違えれば、玲と同じようなことを\\n していたかもしれないし、されていたかもしれない)",
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"398000621_44": "(そうならずに済んだのは、近しい大人たちが\\n わたしを見守り、支えてくれたからだ)",
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"398000621_45": "「まだ、大人になれた気はしないけど……わたしたちも年上なら、\\n 年下の子が悩んでいたら手助けくらいはしないとね」",
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"398000621_46": "「ああ、少しくらいの世話焼きはやらせてもらおう。\\n あの子たちが、お互い一歩踏み込めるように」",
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"398000621_47": "「うんッ!」",
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"398000621_48": "「…………」",
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"398000621_49": "「レイッ!\\n 戻ってきてくれてよかったッ!」",
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"398000621_50": "「…………」",
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"398000621_51": "「待って、奏。\\n 何か様子がおかしい……ッ!」",
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"398000621_52": "「レイの後ろから、ノイズがッ!?」",
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"398000621_53": "「くそッ、間に合わなかったか――ッ!」",
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"398000621_54": "「雪音……ッ!",
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"398000621_55": " くッ、いったいどうなってるんだッ!?」"
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