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{
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"398000311_0": "ノイズを呼ぶ幽霊",
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"398000311_1": "「事情はわかった……。",
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"398000311_2": " だが、にわかには信じがたいな……」",
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"398000311_3": "「ああ。ポルターガイストを操ったり、特定の人物の周りで\\n 頻繁にノイズが現れるなんて話、聞いたことがない」",
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"398000311_4": "「あたしも資料を見たときはそう思ったよ。",
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"398000311_5": " だけど、身をもって体験しちゃったからな」",
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"398000311_6": "「あたしが屋敷に入ったときも、明らかにあたしを狙って\\n ポルターガイストをけしかけてきたし……」",
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"398000311_7": "「2人のときもそうだったんじゃないのか?」",
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"398000311_8": "「それはまぁ、確かにそうだな。\\n そこを前提に色々考えた方が早い……ってことか」",
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"398000311_9": "「……1つ聞いてもいいか?」",
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"398000311_10": "「ん?」",
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"398000311_11": "「あの子を見た手前、\\n こう言うのは憚られるのだが……」",
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"398000311_12": "「明確な『攻撃』を受けた以上、\\n 一旦退くべきだったのではないか?」",
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"398000311_13": "「普段の雪音であれば、わたしに言われるまでもなく\\n そうしていただろう?」",
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"398000311_14": "「なのに、なぜ今回は帰還日を過ぎても\\n 戻ってこなかったんだ……?」",
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"398000311_15": "「そりゃ、そうなんだけど……」",
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"398000311_16": "「……あいつを見てたら、\\n なんつーか……昔の自分を思い出したんだ」",
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"398000311_17": "「…………」",
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"398000311_18": "(この広い屋敷の中、ひとりぼっちで過ごす少女……)",
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"398000311_19": "(そんな彼女の孤独を、\\n 雪音は感じ取ったのか……)",
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"398000311_20": "「……そうか。\\n 話してくれて助かった」",
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"398000311_21": "「……おう」",
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"398000311_22": "「とりあえず、情報の共有はこんなところだ。\\n 他に聞きたいことはあるか?」",
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"398000311_23": "「ひとまず大丈夫だ。\\n ありがとな」",
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"398000311_24": "「それにしても、不思議な力か。……うーん、\\n どんな原理なのかわかれば対処できそうだけど――」",
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"398000311_25": "「そうだッ! あの子とスキンシップを取って\\n 確かめるってのはどうだ?」",
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"398000311_26": "「はぁッ!?\\n なんでそうなるんだよッ!」",
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"398000311_27": "「不思議な力を持ってるなら、\\n 他人を操るような力とかを持ってる可能性もあるだろ?」",
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"398000311_28": "「危険視してるってわけじゃないが……\\n あたしたちは実際おまえの『影』も見てるしな」",
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"398000311_29": "「合流するまで単独行動を取ってたんだ。\\n 何かしら影響を受けてるかもしれない」",
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"398000311_30": "「そんなわけ――」",
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"398000311_31": "「確かに……ッ!」",
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"398000311_32": "「先輩までッ!?」",
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"398000311_33": "「ってなわけで、確かめるために\\n ちょっと行ってくるなッ!」",
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"398000311_34": "「雪音はそこで待っていてくれッ!」",
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"398000311_35": "「……案ずるな、奏もわたしも、\\n あの子をいたずらに傷つけるような真似はしないつもりだ」",
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"398000311_36": "(……ったく、先輩ってあの人が絡むと\\n いつもと調子が変わるんだよなぁ)",
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"398000311_37": "(大事な人ってのは、\\n ……ま、影響を受けるもんか)",
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"398000311_38": "「…………」",
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"398000311_39": "(本を読んでいる……)",
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"398000311_40": "(机の上にもたくさん本が置いてあるし、\\n 読書が好きなのだろうか? ……よしッ!)",
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"398000311_41": "「やあ」",
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"398000311_42": "「――ッ!」",
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"398000311_43": "「わたしも隣で本を読んでもいいだろうか?」",
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"398000311_44": "「…………」",
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"398000311_45": "「あ、あの、きみ……」",
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"398000311_46": "(これは、わたしを警戒して離れているのか……?\\n それとも隣を空けてくれているのだろうか……?)",
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"398000311_47": "(できれば後者であってほしい……ッ!)",
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"398000311_48": "「おッ、この本懐かしいなッ!\\n あたしも読んだことあるよ」",
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"398000311_49": "「主人公3人組のかけあいが面白いんだよな。\\n ストーリーもシンプルな冒険モノで、わくわくするしッ!」",
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"398000311_50": "(奏ッ!)",
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"398000311_51": "「…………。\\n ……好きなの?」",
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"398000311_52": "「ああッ!\\n このシリーズ面白いよなッ!」",
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"398000311_53": "「…………うん……」",
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"398000311_54": "「だよなーッ!」",
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"398000311_55": "「レイ、だっけ?\\n おまえ、頭に糸屑が――」",
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"398000311_56": "「――ッ!」",
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"398000311_57": "「うわわッ!」",
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"398000311_58": "「ポルターガイスト……ッ!\\n どうしてッ!?」",
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"398000311_59": "「――ッ、\\n ご、ごめん……なさいッ!」",
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"398000311_60": "「……収まった」",
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"398000311_61": "「…………」",
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"398000311_62": "「<size=25>あたし、\\n なんか気に障るようなことしちゃったかな……</size>」",
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"398000311_63": "「<size=25>奏のせいじゃない。\\n たぶん、わたしが不用意だったせいで……</size>」",
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"398000311_64": "「<size=25>違う違うッ!\\n ったく、先輩ってなんでこの人相手だとそうなるんだ?</size>」",
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"398000311_65": "「<size=25>たぶん、撫でられたのに驚いて\\n 暴発しちゃったんだと思う</size>」",
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"398000311_66": "「<size=25>撫でられたのに……?",
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"398000311_67": " ……なるほど、そういったことに慣れてないってことか</size>」",
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"398000311_68": "「<size=25>ああ。あいつは人馴れしてないタイプだと思う。\\n 過度なスキンシップは控えた方がいい</size>」",
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"398000311_69": "「<size=25>了解だ。",
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"398000311_70": " ……悪いことしちゃったな</size>」",
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"398000311_71": "「<size=25>あとで謝りにいこう。",
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"398000311_72": " それと……</size>」",
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"398000311_73": "「<size=25>接した感じ、操られているような感覚はないが、彼女が\\n ポルターガイストを起こしている信憑性は高まったな</size>」",
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"398000311_74": "「<size=25>ポルターガイストや影を生み出す謎の能力か……。\\n 説明を受けたときは『サイキック少女』とだけ?</size>」",
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"398000311_75": "「<size=25>ああ。\\n 資料にも生まれつきの能力だって記載があった</size>」",
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"398000311_76": "「<size=25>けど、ノイズとも関係がある感じなら……\\n もしかしたら聖遺物が関わってる可能性だってある</size>」",
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"398000311_77": "「<size=25>……ありえるかもな</size>」",
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"398000311_78": "「<size=25>彼女自身の力、そして聖遺物……\\n 両方の線で探っていこう</size>」",
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"398000311_79": "「あ……ああ……ッ!\\n 嫌だ、来ないでッ!」",
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"398000311_80": "「どうしたんだッ!?」",
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"398000311_81": "「いや、いやぁぁぁッ!」",
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"398000311_82": "「きゃあああッ!」",
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"398000311_83": "「外からも悲鳴がッ!?」",
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"398000311_84": "「あッ、窓の外ッ!」",
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"398000311_85": "「ノイズッ!?\\n また湧きやがったかッ!」",
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"398000311_86": "「急ごうッ!」",
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"398000311_87": "「うんッ!」",
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"398000311_88": "「あたしも……ッ!」",
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"398000311_89": "「もうイヤだ……。\\n 来ないで……来ないでよ……ッ!」",
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"398000311_90": "「――ッ!」",
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"398000311_91": "(こんなに怯えてる子を1人にゃできないッ!)",
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"398000311_92": "「――ッ、あたしはこいつの側にいるッ!\\n 2人に任せてもいいか?」",
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"398000311_93": "「もちろんッ!」",
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"398000311_94": "「その子と一緒にいてやってくれッ!」",
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"398000311_95": "「頼んだッ!」",
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"398000311_96": "「ああッ!\\n 行くぞ翼ッ!」",
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"398000311_97": "「うんッ!」",
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"398000311_98": "「そ、その姿……\\n やっぱり、あなたたちも戦えるの?」",
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"398000311_99": "「いかにもッ!\\n どんな毒牙をも、きみに届かせないと約束しようッ!」",
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"398000311_100": "「わたしを……護って、くれるっていうの……?\\n あなたたちが……?」",
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"398000311_101": "「――ッ!?」",
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"398000311_102": "「おい、どうしたッ!?」",
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"398000311_103": "「わ、わからないッ!\\n おまもりが、急に熱く……ッ!」",
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"398000311_104": "「ダメ……ッ! これが、わたしの力なら収まってよッ!\\n ママがくれた大事なおまもりなのッ! 変なことしないでッ!!」",
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"398000311_105": "「力を制御できてないのか……ッ!?\\n 落ち着け、あたしが側にいるッ!」",
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"398000311_106": "「これは……ッ!?」",
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"398000311_107": "「ギアが、変化した……ッ!?」",
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"398000311_108": "――――",
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"398000311_109": "「――ッ!?」",
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"398000311_110": "「翼、今のって……」",
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"398000311_111": "「うん、わたしにも聞こえた……\\n 何を言っていたかまでは聞き取れなかったけれど……」",
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"398000311_112": "「この力はきっと、レイを護るための――」",
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"398000311_113": "「え……?」",
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"398000311_114": "「ヤダヤダ、来ないでよッ!\\n 誰か、助けて……ッ!!」",
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"398000311_115": "「――ッ!!\\n どうやら、戸惑ってる時間は無さそうだッ!」",
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"398000311_116": "「あ、ああ……。\\n 行こう、奏ッ!」"
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