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"392000811_0": "健全な人間関係の成立",
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"392000811_1": "「スズメバチは女王蜂を頂点とした、\\n 高い統率力を誇る軍隊のような生き物だ」",
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"392000811_2": "「奴らの戦い、行動原理は\\n 全てが『女王』を護るためのもの……」",
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"392000811_3": "「奴らにとって女王蜂とは、\\n まさに『神』にも等しい存在なのだ」",
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"392000811_4": "「神に率いられた、軍隊……」",
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"392000811_5": "「じゃあ、さっきスズメバチたちが\\n トンボと戦っていたのは……」",
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"392000811_6": "「それも女王を護るためだ。\\n 人間にしろ、他の虫たちにしろ……」",
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"392000811_7": "「奴らからしてみれば、神の存在を脅かす\\n 危険な侵略者、というわけだ」",
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"392000811_8": "「し、侵略者ぁッ!?\\n アタシたちがデスかッ!?」",
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"392000811_9": "「そんなのヒドい思い違いデスよッ!\\n アタシたちはただ、無事に帰りたいだけで……」",
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"392000811_10": "「それを連中にどうやって伝える?\\n 白旗を挙げたとて、その意味が通じる相手だとは思えんな」",
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"392000811_11": "「それは……」",
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"392000811_12": "「『神』を戴く相手に説得は通じぬ。\\n 人間と同じだ」",
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"392000811_13": "「…………」",
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"392000811_14": "「わたしたちに、『神殺し』をやれと?」",
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"392000811_15": "「神殺しか……フ、そうだな。\\n 我々の生き残る道はそれしかあるまい」",
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"392000811_16": "「…………」",
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"392000811_17": "「皮肉なものですね。\\n 食糧難を解決するための研究だったはずなのに……」",
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"392000811_18": "「ほんと……どこでどう間違えて、\\n 失敗してしまったのかしら……」",
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"392000811_19": "「失敗……?\\n 『失敗』とまでは言い切れんだろう」",
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"392000811_20": "「彼らのやり方では上手くいかなかった。\\n それがわかっただけでも『成功』ではないか」",
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"392000811_21": "「え……?」",
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"392000811_22": "「発明とは、1%のアイデアと\\n 99%の努力によって成る」",
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"392000811_23": "「私なら、昆虫の巨大化などという\\n 面白いアイデアは捨てんぞ」",
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"392000811_24": "「現に、ここの連中が遺した研究を元に、\\n 私はコレを開発したのだからな」",
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"392000811_25": "「――ッ!?",
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"392000811_26": " それは……ッ!」",
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"392000811_27": "「さっきアタシのギアに組み込んでくれた……ッ!」",
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"392000811_28": "「そう、追加で完成したインセクトギアは2つ」",
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"392000811_29": "「アトラスオオカブトの持つ装甲と、\\n チョウトンボの機動力だ」",
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"392000811_30": "「いずれもスズメバチどもへの特効装備……\\n 『神殺しの剣』として期待できるだろう」",
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"392000811_31": "「神殺しの剣……ッ!?\\n そんなものを、これだけの短時間で……」",
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"392000811_32": "「さすがは元・悪のマッド科学者デスッ!」",
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"392000811_33": "「誰がマッドだ、言葉を慎め」",
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"392000811_34": "「いやあ、誰がどう見てもマッドっスよ」",
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"392000811_35": "「――ッ!?」",
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"392000811_36": "「ナツミ……ッ!?",
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"392000811_37": " よかった、気がついたのねッ!」",
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"392000811_38": "「し、心配かけて申し訳ないっス。\\n まだちょっとぼんやりしてるっスけど……」",
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"392000811_39": "「自分のことはさておき、\\n その男の技術力だけは確かっスからねぇ」",
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"392000811_40": "「科学者ならば誰もが知る名、\\n トーマス・エジソン」",
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"392000811_41": "「……それは、きっとどの並行世界でだって、\\n 『発明王』の名前っす。不屈の、ね」",
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"392000811_42": "「ナツミさん……」",
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"392000811_43": "「フン……技術力だけは、か」",
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"392000811_44": "「おや、人間性まで信じろとでも?\\n ンフフ、信じてほしくなっちゃいました?」",
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"392000811_45": "「気持ち悪いことを<ruby=のたま>宣</ruby>うな。\\n 貴様らと慣れあうなど、想像しただけで……」",
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"392000811_46": "「――フッ」",
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"392000811_47": "「つべこべうるさいわね。\\n 問題は、このギアが使い物になるかでしょッ!」",
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"392000811_48": "「ナツミが……わたしの家族が信じるあんたの技術……\\n 神殺しの剣、頼りにさせてもらうわよッ!」",
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"392000811_49": "「姉さん……ッ!」",
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"392000811_50": "「そうだ、それでいい。\\n それでこそ健全な人間関係というものだ」",
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"392000811_51": "「これが健全……デスか?\\n なんというか、よっぽど今まで友達に恵まれなかったデスね……」",
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"392000811_52": "「そう、ある意味では哀れな男なんスよ。\\n 人を信じることに臆病すぎちゃって……」",
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"392000811_53": "「慎重と言ってもらおうか」",
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"392000811_54": "「フフ、ものは言いようっスね」",
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"392000811_55": "「チッ……」",
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"392000811_56": "「で、残り1つの新ギアは\\n どっちのセレナが装着するデスか?」",
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"392000811_57": "「それはやっぱり、\\n マリアさんと息の合ってる……」",
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"392000811_58": "「……いいえ。\\n これはあなたが使うべきだと思う」",
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"392000811_59": "「――ッ!?」",
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"392000811_60": "「わたしは、さっきの戦いでのダメージが\\n まだ残ってます……」",
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"392000811_61": "「こんな状態だと、いざというときに\\n みんなの足を引っ張ってしまうかもしれない」",
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"392000811_62": "「でも、それだと……ッ」",
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"392000811_63": "「そうよ、あなただって\\n 警報フェロモンを受けてるのよッ!?」",
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"392000811_64": "「もしまた集中攻撃を受けたら……ッ!」",
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"392000811_65": "「大丈夫、ナツミさんが動けるようになれば、\\n わたしたちもここから移動できます」",
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"392000811_66": "「それに……\\n こちらには、エジソンもいますから」",
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"392000811_67": "「な……ッ!?」",
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"392000811_68": "「『制約』のためにナツミさんを護らなければならないという\\n 理由があれば、あなたも一緒に戦ってくれるでしょう?」",
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"392000811_69": "「…………」",
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"392000811_70": "「沈黙をもってイエスと認めるっス。\\n 大丈夫、この男はまだまだやってくれるっスよ」",
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"392000811_71": "「フン……」",
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"392000811_72": "「わたしが脱出のしんがりを務めるから、\\n その間に、女王蜂を……ッ!」",
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"392000811_73": "「セレナさん……」",
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"392000811_74": "「わかった、副隊長の覚悟を信じるわ。\\n みんなのこと、頼んだわよッ!」",
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"392000811_75": "「はいッ!」",
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"392000811_76": "「セレナ、あなたはわたしたちと一緒に\\n 女王蜂と戦ってくれるわね?」",
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"392000811_77": "「もちろんですッ!」",
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"392000811_78": "「もう1人の<ruby=わたし>セレナ</ruby>の分まで、\\n わたしがマリアさんを支えてみせますッ!」",
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"392000811_79": "「ええ。\\n ありがとう、セレナ……」",
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"392000811_80": "「み、皆さん大変ですッ!\\n スズメバチの軍団がすぐそこまで……ッ!」",
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"392000811_81": "「来たわね……ッ!\\n さあ2人とも、行くわよッ……!」",
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"392000811_82": "「はいッ!\\n 終わらせて……みんなで帰りましょうッ!」",
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"392000811_83": "「さぁ、蹴散らすデースッ!」"
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