94 lines
9.5 KiB
JSON
94 lines
9.5 KiB
JSON
{
|
||
"402000111_0": "セレナの苦悩",
|
||
"402000111_1": "「戦艦マーナガルム、安定高度に達しました」",
|
||
"402000111_2": "「そう、ご苦労様」",
|
||
"402000111_3": "「それで、目的地はいかがいたしますか?」",
|
||
"402000111_4": "「もう、焦らないの。\\n もう少しゆっくりしましょ?」",
|
||
"402000111_5": "「そう言われましても、前回の世界蛇降臨後から、\\n この戦艦マーナガルムに籠ったままでは……」",
|
||
"402000111_6": "「士気に関わる、といったところかしら?」",
|
||
"402000111_7": "「……有り体に申し上げますれば」",
|
||
"402000111_8": "「はあ……組織ってのも面倒なものね」",
|
||
"402000111_9": "「目指す先は世界蛇による破滅である以上、\\n 焦らなくても、迎える結末は同じ」",
|
||
"402000111_10": "「それでも死に急ぎたいなんて、面白い者たちね」",
|
||
"402000111_11": "「組織のために命を捧げる。\\n 彼らにはそれが使命であり、そして救いと考えているのです」",
|
||
"402000111_12": "「難儀なこと。\\n まあ、わたしの役に立ってくれるなら、なんでもいいけど」",
|
||
"402000111_13": "「……石屋、あなたは?」",
|
||
"402000111_14": "「私の望みは、ベアトリーチェ様の本懐を叶えることにあります」",
|
||
"402000111_15": "「私の本懐、ね……。\\n せっかくならいろいろ楽しみながら遂げたいわ」",
|
||
"402000111_16": "「……」",
|
||
"402000111_17": "「響といったかしら? あの子に埋め込んだ、\\n 悪意の種も無駄になっちゃったわね」",
|
||
"402000111_18": "「上手くいけば、かなり面白い見世物ができたのに」",
|
||
"402000111_19": "「……装者に興味がおありですか?」",
|
||
"402000111_20": "「間違えないで。わたしが興味があるのはあの子だけ、\\n 有象無象の装者ごときに、関心などないわ」",
|
||
"402000111_21": "「申し訳ございません」",
|
||
"402000111_22": "「まあ、いいわ。\\n ……それで、次の目的地を決めてほしいんだっけ?」",
|
||
"402000111_23": "「はい、各地に散った同士より、世界蛇の成長に\\n 最適な並行世界の情報が集まっております」",
|
||
"402000111_24": "「それらの世界でなら、十分な成果が得られましょう。\\n リストの方を用意いたしましょうか?」",
|
||
"402000111_25": "「いらないわ。だってそんなの面白くないじゃない。\\n ……それより、またライブをしたいわね」",
|
||
"402000111_26": "「ライブ……ですか?」",
|
||
"402000111_27": "「そう。ライブ」",
|
||
"402000111_28": "「そんなものを行わなくても、世界蛇降臨に必要な分の\\n エネルギーは、十分マーナガルムにも――」",
|
||
"402000111_29": "「あるから何?\\n まったく、あなたは未だにわかってないのね……」",
|
||
"402000111_30": "「……申し訳ございません」",
|
||
"402000111_31": "「ただの悲哀じゃない、ライブという最高の熱狂から、\\n 最悪の絶望へと堕ちていく人の姿――」",
|
||
"402000111_32": "「そして、絶望の化身として一切の希望を許さず、\\n 世界ごと食らいつくす世界蛇――」",
|
||
"402000111_33": "「そんな終末の光景を、特等席で眺めるのがいいのよ。\\n ただ世界が滅ぶだけの様子なんて、もう見飽きてるわ」",
|
||
"402000111_34": "「そういうものですか……」",
|
||
"402000111_35": "「そういうものなのよ。\\n あなたも私に仕えるなら、それくらいわかるようになりなさい」",
|
||
"402000111_36": "「善処いたします」",
|
||
"402000111_37": "「ところで、スクルドについてはどうお考えでしょうか?」",
|
||
"402000111_38": "「あれこそ諦めの悪い集団だから、今頃並行世界を回って、\\n 新しいミョルニルを探してるんじゃない?」",
|
||
"402000111_39": "「見つかったところで、あの程度の威力なら脅威にならないけど」",
|
||
"402000111_40": "「『パズル』に手を出す可能性もあるのではないでしょうか?」",
|
||
"402000111_41": "「ああ、それもあるかもしれない」",
|
||
"402000111_42": "「でも、あの人間嫌いで有名なドヴェルグを\\n 誑し込めるものかしらね」",
|
||
"402000111_43": "「……不可能でございましょうな」",
|
||
"402000111_44": "「しかし、念には念を、万全を期すために、\\n ここは妨害の人員を送り込むことも――」",
|
||
"402000111_45": "「そうね。でも放置でいいわ。\\n そうなったらそうなったで、楽しそうだし」",
|
||
"402000111_46": "「……わかりました」",
|
||
"402000111_47": "「不満?」",
|
||
"402000111_48": "「いえ……そのようなことは」",
|
||
"402000111_49": "「なんでも効率と結果だけを追い求めればいいものじゃないわ。\\n あなたも過程を楽しみなさい」",
|
||
"402000111_50": "「はい……」",
|
||
"402000111_51": "「どうやらトラブルの様です。\\n 対処に向かいます」",
|
||
"402000111_52": "「ええ、お願い」",
|
||
"402000111_53": "「……わたし自身も、もっと過程を楽しまないとね。\\n フフ、またあの子にも会いたいわ……」",
|
||
"402000111_54": "「……スクルドの監視に当たっていたメンバーからの\\n 連絡が途絶えた、ですか」",
|
||
"402000111_55": "「はい。恐らくはスクルド側の手練れによるものかと」",
|
||
"402000111_56": "「やはり、ミョルニルを失っても変わらず我々の障害となるか……」",
|
||
"402000111_57": "「わかりました。それではこちらも腕利きを用意して、\\n 新たにスクルドの動向を監視してください」",
|
||
"402000111_58": "「はッ、報告の頻度はいかがいたしましょう?」",
|
||
"402000111_59": "「3時間ごとの定時報告と、動きがあった際の連絡の徹底を。\\n また、報告は全て私のところへお願いします」",
|
||
"402000111_60": "「……ベアトリーチェ様にはお伝えしなくて\\n よろしいのでしょうか?」",
|
||
"402000111_61": "「その判断は私が行います。いいですね?」",
|
||
"402000111_62": "「はッ、失礼いたしましたッ!\\n それでは即時手配を行いますッ!」",
|
||
"402000111_63": "(ベアトリーチェ様は放置でいいとおっしゃられましたが、\\n やはりスクルドについては、なんらかの対応は必要……)",
|
||
"402000111_64": "(それに再び我らの障害となる可能性を摘むなら、\\n ミョルニルを失っている、今が好機でしょう)",
|
||
"402000111_65": "「そう、ベアトリーチェ様のための権謀術数こそ、私の役割。\\n 邪魔なスクルドと、再びの邂逅といきましょうか……」",
|
||
"402000111_66": "「……考えてみれば、これも過程を楽しむことになるのかも\\n しれませんね」",
|
||
"402000111_67": "「……」",
|
||
"402000111_68": "「……」",
|
||
"402000111_69": "「2人とも動こうとしないデスね……」",
|
||
"402000111_70": "「先に動くと不利になるって考えてるんだと思う」",
|
||
"402000111_71": "「アタシなら先手必勝って攻めまくるデスけど」",
|
||
"402000111_72": "「2人とも慎重に考えて行動するタイプだし、\\n まず攻撃を防いで、隙を作ろうとしてるはず」",
|
||
"402000111_73": "「おお……達人同士の戦いみたいデスねッ!」",
|
||
"402000111_74": "「うん、一瞬で勝負がつくかも……」",
|
||
"402000111_75": "(マリア姉さんに、半端な攻撃は通用しない……。\\n 下手に攻撃すれば、弾かれて反撃を受けちゃう)",
|
||
"402000111_76": "(何か、隙を作る方法を考えないと……。\\n マリア姉さんは隙が無いから……あれ?)",
|
||
"402000111_77": "(セレナ、最近よく訓練を頼んでくるけど、\\n 悩みでもあるのかしら……)",
|
||
"402000111_78": "(頑張っているセレナを応援したいけど、\\n 今はわたしが相手役なのよね……)",
|
||
"402000111_79": "(手加減はセレナに失礼だけど、かといってセレナを\\n 傷つけたくはないし……ああ、もうッ!)",
|
||
"402000111_80": "「……マリア、集中できてなさそうデスよ。\\n いつの間にやら隙だらけデス」",
|
||
"402000111_81": "「みたいだね……。\\n これはセレナ有利かも」",
|
||
"402000111_82": "「<size=40>――マリアッ!</size>」",
|
||
"402000111_83": "「ひゃいッ!? ど、どうしたのマムッ!?」",
|
||
"402000111_84": "「集中なさい。これではセレナの訓練になりません」",
|
||
"402000111_85": "「わ、わかったわ……」",
|
||
"402000111_86": "「セレナ、ごめんなさい。\\n ちょっと気持ちを入れ直すわ」",
|
||
"402000111_87": "「ううん、気にしないで」",
|
||
"402000111_88": "「それにしても、どうして仕掛けてこなかったの?\\n わたし、隙だらけだったでしょ?」",
|
||
"402000111_89": "「うん……でも、訓練で不意を突いて勝っても、意味がないから。\\n わたしは、強いマリア姉さんと訓練したいの」",
|
||
"402000111_90": "「セレナ……。\\n わかったわ、本気で行くわよッ!!」",
|
||
"402000111_91": "「うん、お願いッ!」"
|
||
} |