99 lines
8.4 KiB
JSON
99 lines
8.4 KiB
JSON
{
|
||
"333000921_0": "「うく……わたし……」",
|
||
"333000921_1": "「翼ッ!?」",
|
||
"333000921_2": "「気が付きましたか?」",
|
||
"333000921_3": "「九皐さん、翼はッ!?」",
|
||
"333000921_4": "「出て行ってしまいました。\\n 私が止める声は届かなかったようです……」",
|
||
"333000921_5": "「そんな……」",
|
||
"333000921_6": "「確かにシャロンさんを救いたい気持ちはわかります」",
|
||
"333000921_7": "「ですが、ドゥームズデイを見過ごすわけにはいかない。\\n 私たちの手で、必ず破壊しなくてはいけません」",
|
||
"333000921_8": "「そして、ドゥームズデイを攻めるなら\\n 今だということです」",
|
||
"333000921_9": "「…………」",
|
||
"333000921_10": "「ダメージを受けたドゥームズデイは\\n 恐らくどこかに潜み、自己修復をしているのでしょう」",
|
||
"333000921_11": "「しかし近い内に再び動き出すのは間違いありません。\\n チャンスは今しかないのです」",
|
||
"333000921_12": "「それなのに翼さんは冷静さを失い、\\n 影護の目的を見失っている」",
|
||
"333000921_13": "「翼は自分を責めているんです……」",
|
||
"333000921_14": "「え?」",
|
||
"333000921_15": "「助けられる状況にいたのに先生の仇討ちに囚われ、\\n あの子を救い出すことができなかったから……」",
|
||
"333000921_16": "「でもあの時は仕方なかったんです」",
|
||
"333000921_17": "「目の前に先生の仇がいて……、\\n 引くに引けなかったんです」",
|
||
"333000921_18": "「わかっています。私の中にも、弦十郎の――、\\n 弟の仇を討ちたいという気持ちはありますから」",
|
||
"333000921_19": "「翼はどうなるんですか……?」",
|
||
"333000921_20": "「残念ながら、翼さんが戻ってきたとしても、\\n 再び影護に受け入れるわけにはいきません」",
|
||
"333000921_21": "「組織において、もっとも重要なのは決め事です」",
|
||
"333000921_22": "「ルール、法律、掟、呼び方は様々ですが、\\n これを曲げてしまえば、組織は成り立たなくなります」",
|
||
"333000921_23": "「私は、弦十郎から影護を託され、\\n 今までどうにか維持してきたつもりです」",
|
||
"333000921_24": "「その影護の決定に従えないということは、\\n 弦十郎の遺志にも反するということ……」",
|
||
"333000921_25": "「…………」",
|
||
"333000921_26": "「クリスさんは、どうしますか?」",
|
||
"333000921_27": "「影護に残るのか、それとも、翼さんを追うのか?」",
|
||
"333000921_28": "「…………」",
|
||
"333000921_29": "「……影護は、先生がわたしに用意してくれた\\n 唯一の居場所なんです」",
|
||
"333000921_30": "「戦争で家族を失い、帰る場所を無くしたわたしの大切な家」",
|
||
"333000921_31": "「そして、翼は、わたしの大好きな家族なんです」",
|
||
"333000921_32": "「わたしには、どちらかなんて選べません……」",
|
||
"333000921_33": "「いいえ、どちらも無いとダメなんです」",
|
||
"333000921_34": "「クリスさん……」",
|
||
"333000921_35": "「九皐さん、チャンスをくれませんか?」",
|
||
"333000921_36": "「わたしが、翼と一緒にあの子を助けて、\\n 翼をここへ連れ戻します」",
|
||
"333000921_37": "「そして、ドゥームズデイも破壊します」",
|
||
"333000921_38": "「だから、わたしの大切な家と家族を\\n そのままにしてほしい」",
|
||
"333000921_39": "「翼を連れ戻したら、一緒に罰を受けます。\\n だから……」",
|
||
"333000921_40": "「先ほど、翼さんの説得に失敗したあなたが、\\n 今度は大丈夫だと?」",
|
||
"333000921_41": "「わたしには、まだ、翼に伝えていない\\n 想いがありますから――」",
|
||
"333000921_42": "(わたしは、ずっと翼に護られてきた……)",
|
||
"333000921_43": "(戦争で両親を失って、\\n 悲しむわたしに手を差し伸べてくれたのが翼だった)",
|
||
"333000921_44": "(それから、度々両親を思い出し、\\n 泣くわたしの横には、必ず翼がいてくれた)",
|
||
"333000921_45": "(先生との厳しい修行のときも、影護の任務のときも、\\n いつも翼は、わたしを護ってくれた)",
|
||
"333000921_46": "(先生や了子さんが亡くなって、泣いたときも――)",
|
||
"333000921_47": "「うう……う……」",
|
||
"333000921_48": "「クリス、泣いてばかりじゃ、先生に怒られるぞッ!」",
|
||
"333000921_49": "「だって、もう先生も、了子さんもいないんだよ……」",
|
||
"333000921_50": "「影護のみんなも……」",
|
||
"333000921_51": "「う……う……、先生に、みんなに会いたい……」",
|
||
"333000921_52": "「クリス、オレはいなくならないからな」",
|
||
"333000921_53": "「え……?」",
|
||
"333000921_54": "「オレ1人じゃ大したことはできないけど、\\n 悲しんでるクリスの隣にいることぐらいならできる」",
|
||
"333000921_55": "「翼……」",
|
||
"333000921_56": "「今は、悲しいかもしれないけど……、\\n でも、この先、笑顔でいられる日が必ずやってくるッ!」",
|
||
"333000921_57": "「だから、前に進もうッ!」",
|
||
"333000921_58": "「うん……」",
|
||
"333000921_59": "(翼は、本当に強くて、すごいなーって思った)",
|
||
"333000921_60": "(でも、あの日――)",
|
||
"333000921_61": "「翼、どこだろう?\\n もうすぐ、出発なのに……」",
|
||
"333000921_62": "「くそッ!」",
|
||
"333000921_63": "「今の声、翼……?」",
|
||
"333000921_64": "「うぐ……う……」",
|
||
"333000921_65": "「オレには……先生がいないと、ダメなんだよ……」",
|
||
"333000921_66": "「どうして……、どうして、死んじまったんだよ、\\n 先生……」",
|
||
"333000921_67": "「会いたいよ……先生……」",
|
||
"333000921_68": "(…………)",
|
||
"333000921_69": "(あの時、わたしは、\\n 悲しむ翼に声を掛けることもできなかった……)",
|
||
"333000921_70": "(翼は、いつでもわたしを支えてくれるのに、\\n わたしは、翼に何もしてあげられない……)",
|
||
"333000921_71": "(そんな、自分自身がすごく嫌で、大嫌いだったッ!)",
|
||
"333000921_72": "(だからわたしは――、\\n 翼の力になりたいッ!)",
|
||
"333000921_73": "(翼を護りたいッ! 翼の隣に立ちたいッ!)",
|
||
"333000921_74": "(わたし自身が、胸を張って、\\n いつまでも翼と一緒にいられるためにッ!)",
|
||
"333000921_75": "(そう――、\\n わたしは、この想いを、まだ翼に伝えてないッ!)",
|
||
"333000921_76": "「その想いを伝えて、必ず連れ戻しますッ!」",
|
||
"333000921_77": "「わかりました。\\n ですが、影護の司令として約束はできません」",
|
||
"333000921_78": "「無事に戻ったあと、判断させていただきます」",
|
||
"333000921_79": "「はい、それで構いません」",
|
||
"333000921_80": "(翼を、1人でなんて行かせない――ッ!)",
|
||
"333000921_81": "「邪魔するなッ!」",
|
||
"333000921_82": "「どういうことだッ!?\\n なんで、こいつらがここに?」",
|
||
"333000921_83": "「そこを……退けえッ!」",
|
||
"333000921_84": "「がッ、ぐう――ッ!」",
|
||
"333000921_85": "「ヘリはどこだ……ッ!\\n あの子はここら辺にいるんじゃないのかッ!?」",
|
||
"333000921_86": "「ぐあ……ッ!」",
|
||
"333000921_87": "「くそッ、なんで……」",
|
||
"333000921_88": "(……そうか、いつもならクリスが援護してくれるから)",
|
||
"333000921_89": "(いいやッ、もうオレは影護を抜けたんだ……!\\n 1人であの子を救い出すッ!)",
|
||
"333000921_90": "「誰にも頼るわけにはいかないんだッ!」",
|
||
"333000921_91": "「くそッ、くそ……ッ!」",
|
||
"333000921_92": "「さっきから全然前に進まない……ッ!」",
|
||
"333000921_93": "「早く、あの子を見つけないとッ!」",
|
||
"333000921_94": "「――ッ!?\\n しまった――」",
|
||
"333000921_95": "「…………」",
|
||
"333000921_96": "「クリスッ!?」"
|
||
} |