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"355000821_0": "「大きくなったね、キャロル」",
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"355000821_1": "(パパが、オレに話しかけて……ッ!)",
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"355000821_2": "(いや……パパは確実に死んでいる)",
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"355000821_3": "(このパパは、オレの想い出や、ブローチに遺された想い出が\\n 作用して作り上げられた存在、きっとそういう物なのだろう)",
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"355000821_4": "(それでも、オレは……)",
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"355000821_5": "「会いたかったよ、キャロル」",
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"355000821_6": "「オレも……ううん、わたしも……ッ!」",
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"355000821_7": "「その髪型も、似合っている」",
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"355000821_8": "「うん……」",
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"355000821_9": "「錬金術師としても、すごく成長したみたいだ」",
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"355000821_10": "「見ただけでわかるの?」",
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"355000821_11": "「もちろんだよ。ここに来られたんだからね。\\n もう、パパより立派になったみたいだ」",
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"355000821_12": "「そんなことないよ。\\n パパの命題も、まだまだ達成できそうにない……」",
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"355000821_13": "「世界を識ることはできたかな」",
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"355000821_14": "「ずいぶん遠回りしちゃったから……。\\n だけど、大丈夫。パパの命題の意味は、もう間違えないよ」",
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"355000821_15": "「そうか。さすがはキャロルだね」",
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"355000821_16": "「パパ……ッ!」",
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"355000821_17": "「……でも、このままじゃそれもできなくなっちゃう。\\n アダムが……ッ!」",
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"355000821_18": "「それで、ここに来てくれたんだね」",
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"355000821_19": "「うん」",
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"355000821_20": "「もうわかっていると思うけど、\\n アダムは、パパの親友なんだ」",
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"355000821_21": "「うん、わかっているよ」",
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"355000821_22": "「アダムは、錬金術師協会の局長として、\\n 人類を護り、世界の調和を保とうとしていた……」",
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"355000821_23": "「ぱっと見は大雑把で、人任せな\\n 困った人だけど……」",
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"355000821_24": "「ハハハハハ……。\\n 彼も変わっていないんだね」",
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"355000821_25": "「そして、道を間違えたわたしに、\\n 居場所と仲間を与えてくれた」",
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"355000821_26": "「そうか……。\\n 僕との約束を、果たしてくれたんだね」",
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"355000821_27": "「だけど、彼は変わってしまった……。\\n そうだね?」",
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"355000821_28": "「わたしは、わからない。\\n アダムを信じたい、だけど、アダムを倒さなくちゃいけない……」",
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"355000821_29": "「信じていいんだ。彼は、キャロルが思っている通りの男だよ」",
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"355000821_30": "「じゃあ、どうして……ッ!」",
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"355000821_31": "「束ねた人の想像力は『概念』と化し強い力を持つ。それは、\\n 完成された彼の在り方ですら、捻じ曲げる可能性がある」",
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"355000821_32": "「それじゃ、やっぱりアダムは……」",
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"355000821_33": "「僕の想い出は見ただろう?\\n あの男が、持っていた聖遺物を――」",
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"355000821_34": "「あれは、人の想像力をいたずらに掻き立て、\\n 思考を現実のものとして認識させる、蛇の声なんだ」",
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"355000821_35": "「蛇の声……\\n それにアダムは操られているの?」",
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"355000821_36": "「少し違う。\\n アダムは『アダム』ゆえに罠から逃れられないんだ」",
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"355000821_37": "「だけど、真実に気づいて、\\n 語りかけてくる者の正体が見えさえすれば……」",
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"355000821_38": "「僕に言えるのはここまでだ……。\\n だけど、キャロルならわかるはずだよ」",
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"355000821_39": "「…………」",
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"355000821_40": "「そうか……\\n だからリンゴのブローチなんだねッ!」",
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"355000821_41": "「さすがだよ」",
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"355000821_42": "「だけど、わたしにできるかな……」",
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"355000821_43": "「キャロル……」",
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"355000821_44": "「すまなかったね。\\n 僕は、君の傍に居ることができなかった……」",
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"355000821_45": "「パパ……」",
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"355000821_46": "「だけど、僕の命題の意味に気づけたということは、\\n キャロルの周りには大切な人がいるんじゃないかな」",
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"355000821_47": "「うん……いる。たくさんいるよ……」",
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"355000821_48": "「アダムはどうだい?」",
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"355000821_49": "「アダムも……。本当は恩返しがしたい、助けたい……ッ!」",
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"355000821_50": "「うん、わかっているさ……」",
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"355000821_51": "「僕もね、傍に居てあげることはできないけれど、\\n いつだってキャロルの味方だ」",
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"355000821_52": "「自信を持って言える。\\n 今のキャロルならやり遂げられるよ」",
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"355000821_53": "「ありがとう、パパ……」",
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"355000821_54": "「そうだ……。今のわたしは、昔とは違う。\\n みんながいる……ッ!」",
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"355000821_55": "「アダム1人とすらわかり合えないで、何が世界を識るだッ!」",
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"355000821_56": "「救ってみせるよ。わたしは……オレはッ!\\n アダムのことを……ッ!」",
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"355000821_57": "「倒れてもらうぞ、\\n ド派手にな……ッ!」",
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"355000821_58": "「ぐおおおお……ッ!\\n 生意気だよ、どうにもね……ッ!」",
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"355000821_59": "「させるかッ!」",
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"355000821_60": "「相殺……だとッ!?\\n なぜそんなにも……」",
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"355000821_61": "「私には負けられない理由がある。\\n マスターを護る使命がある……ッ!」",
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"355000821_62": "「負けられない理由なら、\\n 僕にだって……」",
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"355000821_63": "「…………」",
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"355000821_64": "「そうさ、許されないんだよ、\\n 負けることなんてえええええッ!」"
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