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"330000821_0": "「F.I.S.での利用価値が無いと断じられたわたしたちは、\\n 別の軍事研究施設へ移送された」",
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"330000821_1": "「異端技術とは無関係な研究施設に移ったと聞いたわ」",
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"330000821_2": "「ああ、表向きにはな。だが、現実はその逆。わたしたちが\\n 送られたのは、異端技術を違法に研究する施設だった」",
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"330000821_3": "「そう……だったの……」",
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"330000821_4": "「異端技術の力を我が物にせんと欲する……。\\n よくある話だろう」",
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"330000821_5": "「そこで行う研究の実験体として必要になったのが、\\n わたしたちだったんだ」",
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"330000821_6": "「そこにはわたしたちだけではなく、\\n 方々から孤児が集められていたようだな」",
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"330000821_7": "「待っていたのは、無機質な待機室で実験体になる順番を\\n 待つだけの日々……」",
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"330000821_8": "「そして、実験体として研究室に連れて行かれた子どもは\\n もう二度と、戻ってくることはなかった……」",
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"330000821_9": "(そんな……。F.I.S.は、マムによって子供たちの\\n 安全は護られていた)",
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"330000821_10": "(だけどF.I.S.を離れ、より安全な生活をしていると思っていた\\n ジャンヌたちが、そんな目に遭っていたなんて……)",
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"330000821_11": "「子供が少しずつ減っていくことで、メルは怯えていた。わたしは\\n 妹を励ましながら、助けがいつか来ると信じて待っていたんだ」",
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"330000821_12": "「わたしが歌を唄うと、メルは一緒に唄って微笑んでくれた……。\\n わたしたち姉妹の、最後の思い出だ」",
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"330000821_13": "「それから、いくら待っても助けなんて来なかった。\\n ついにメルの番が回ってきてしまったんだ」",
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"330000821_14": "「あの子が連れて行かれそうになる中、\\n わたしは必死の思いで研究者にしがみついた」",
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"330000821_15": "「メルより先に、自分を実験体にしろと叫んだ。\\n メルを護るため、わたしが実験を成功させると……」",
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"330000821_16": "(メルのことが誰よりも大切だったのね……。\\n 世界にたった1人の家族。その気持ちは、痛いほどわかるわ)",
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"330000821_17": "「わたしの申し出は受け入れられ、実験室に連れていかれた」",
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"330000821_18": "「そこでやっとわかったのは、行われていた実験が\\n 人間と聖遺物を融合させるためのものということだった」",
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"330000821_19": "「融合により人間に聖遺物の力を制御させることで、\\n 軍事利用しやすくなると考えたんだ」",
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"330000821_20": "「先に実験体として連れていかれた子供たちは、\\n 全員アルゴスの眼の負荷に耐えられず死んでいったらしい」",
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"330000821_21": "「研究者たちは、子供の死などどうでもよく、実験がうまくいくか\\n どうかにしか興味が無かったようだ」",
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"330000821_22": "「あいつらは嬉々としてわたしに\\n アルゴスの眼の因子を打ち込んだよ」",
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"330000821_23": "「そして、あなたは実験を成功させたのね……」",
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"330000821_24": "「フッ……。そうだったらどんなに良かったか。\\n だけど、現実はそううまくはいかなかった……」",
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"330000821_25": "「な……ッ! だって、現に今あなたはッ!」",
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"330000821_26": "「確かに、聖遺物の融合には成功した。\\n しかし、起動させることができず、力を行使できなかったんだ」",
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"330000821_27": "「あいつらの失望の眼差しを今でも覚えている」",
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"330000821_28": "「わたしを失敗と判断した研究者たちは妹であるメルにも\\n 適正があると考え、あの子を実験対象に選んだ……」",
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"330000821_29": "「……」",
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"330000821_30": "「わたしは何度も訴えたッ!\\n 今はダメでも必ず使いこなしてみせると」",
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"330000821_31": "「しかし、あいつらはわたしを相手にしなかった。\\n そして、メルが実験体に……」",
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"330000821_32": "「泣き叫ぶメルに、わたしは何もすることができなかった。\\n ただ、あの子に因子が撃ち込まれるのを見ていることしか……」",
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"330000821_33": "「研究者たちが考えた通り、実験は成功したかに見えた。\\n メルはアルゴスの因子と融合し、その力を起動させた」",
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"330000821_34": "「しかし、その力は大きすぎたんだ。\\n 到底、メルに制御しきれるような力ではなかった」",
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"330000821_35": "「聖遺物の力の暴走……」",
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"330000821_36": "「その通りだ。メルは研究員を巻き込んで、\\n その研究施設を破壊しつくした」",
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"330000821_37": "「起動の衝撃で気絶していたわたしが目を覚ますと、瓦礫と死体の\\n 山と、暴走に苦しみもだえる妹の姿だけがそこにあった……」",
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"330000821_38": "「そして力を使い果たしたメルは昏倒し、アルゴスの眼に蝕まれる\\n 苦しみに苛まれながら、眠り続けることとなったというわけだ」",
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"330000821_39": "「今の話だと、現状と繋がらないわ。今、あなたは\\n アルゴスの眼の力を使っているじゃない」",
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"330000821_40": "「暴走するメルを見て、わたしの眼に融合したアルゴスの眼も\\n 呼応するように起動したんだ」",
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"330000821_41": "「妹を助けるためにあれほど起動を願っても出来なかったという\\n のに、手遅れになってからあっさりとな」",
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"330000821_42": "「巨大な力に飲まれ、わたしも妹と同じように暴走しかけたが、\\n わたしはそれを抑え込むことに成功した」",
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"330000821_43": "「施設を壊滅させるほどのエネルギーを、どうやって……ッ!?」",
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"330000821_44": "「怒りだ。わたしは、妹を救えなかったという怒りを力に変えて、\\n アルゴスの眼の暴走を抑え込むことができたらしい」",
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"330000821_45": "「だが、全ては遅すぎた」",
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"330000821_46": "「……そう、だったの……。\\n だから、復讐を?」",
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"330000821_47": "「そうだ。メルを苦しめたあいつらへ、復讐を行うッ!」",
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"330000821_48": "「死んだ人間にどうやって復讐するの。\\n そんなこと、誰もできないわ」",
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"330000821_49": "「米国では今も、異端技術を研究する極秘施設が\\n いくつも存在している」",
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"330000821_50": "「みんな同じだッ! あいつらさえいなければ、メルは\\n 今も元気に笑っていられたはず……」",
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"330000821_51": "「わたしは、あいつらに融合させられたこの力を使って、\\n あいつらの同類を皆殺しにするのだ」",
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"330000821_52": "「軍事兵器、異端技術に関わる全ての大人たちを根絶やしにし、\\n わたしはメルと平和に暮らせる世界を創り出すッ!」",
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"330000821_53": "「復讐と理想の実現……。あなたの思惑はわかったわ」",
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"330000821_54": "「だけどもう1つ、あなたにはやらなくてはならないことが\\n あるんでしょう」",
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"330000821_55": "「それが、メルの救済。そうしなければ、理想の世界を創っても\\n 意味がないものね」",
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"330000821_56": "「ああ、その通りだ。そのためにはメルを蝕んでいる\\n アルゴスの眼を取り除かなければいけない」",
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"330000821_57": "「そして行き着いた。\\n アルゴスを滅ぼせる聖遺物の存在に」",
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"330000821_58": "「それが、ヘルメスの剣……」",
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"330000821_59": "「アルゴス殺しの伝説を持つ神ヘルメス。\\n その力を持っている聖遺物ならばッ!」",
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"330000821_60": "「何年も探し続けた。\\n そしてやっと、ヘルメスの剣を見つけることができたのだッ!」",
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"330000821_61": "「だから、お前には必ずヘルメスの剣を起動してもらう。\\n どんな手を使ってでも……ッ!」"
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