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"201001011_0": "淑女の休息",
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"201001011_1": "「ふむ、ここがこの地で最も有名な温泉宿か」",
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"201001011_2": "「目玉の泉質は硫黄泉に塩化物泉、\\n 事前に調べていた通りで間違いはないな」",
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"201001011_3": "「硫黄や塩は、近代錬金術における3原理論の2柱。\\n 魔力を癒し英気を養うにはこれ以上の場所はないッ!」",
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"201001011_4": "「さあ、存分に癒してもらおうかッ!」",
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"201001011_5": "「あら~、かわいいお客様。でもね、お嬢ちゃんひとりじゃ\\n 泊まることはできないの~。今度は親御さんと来てね~」",
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"201001011_6": "「な――ッ!<speed=0.5>?</speed>\\n くッ、外見を理由に客を選ぶなど愚かしいッ!」",
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"201001011_7": "「……いいだろう<speed=0.5>。</speed>\\n ならば、ダウルダヴラのファウストローブッ!」",
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"201001011_8": "「これくらいやれば不足はなかろう」",
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"201001011_9": "「――さあ、俺をもてなすがいいッ!」",
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"201001011_10": "「あら~、セクシーなお客様~。でもね申し訳ないんだけど、\\n 本日満席なんですよ~。またお越しをお待ちしております~」",
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"201001011_11": "「なッ――ならば何故最初にそう言わなかったッ<speed=0.5>!</speed>\\n 私を欺き、弄んだのか――ッ!」 ",
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"201001011_12": "「……許さぬ、否、サービス業の名にあるまじき対応をする\\n 仲居がいる宿など、断じて許しておいてはならぬッ!」",
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"201001011_13": "「ダウルダヴラの力を持って、原子すらも切り刻み、\\n 廃業という末路に導いてやるわッ!」",
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"201001011_14": "「ストーップ<speed=0.5>。</speed>この平和で長閑な温泉宿で、\\n なーに物騒なことをやろうとしているのかしら?」",
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"201001011_15": "「なんだ貴様は……。\\n 邪魔をするというなら、貴様もまとめて――ッ!」",
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"201001011_16": "「そう慌てるものじゃないわ。\\n いいから、ちょっと待ってなさい」",
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"201001011_17": "「……何をする気だ?」",
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"201001011_18": "「すみませ~ん、予約しておいた櫻井ですけど~」",
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"201001011_19": "「はいはい、櫻井様。\\n お待ちしておりましたよ~」",
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"201001011_20": "「あの~、急な話で申し訳ないんだけど~。\\n 連れがいるの。相部屋にしてもらえないかしら?」",
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"201001011_21": "「はい、もちろん大丈夫ですよ。\\n ただ、料理は同じものとはいきませんけども~」",
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"201001011_22": "「ありがとう、そのくらいは問題ないわ。\\n さ、これでいいでしょう? 一緒に入りましょうか」",
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"201001011_23": "「ちょっと待て、この俺が相部屋だと……ッ!\\n どこまで甘く見るつもり――なッ!?」",
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"201001011_24": "(ファウストローブを纏った俺が、動けないだと……ッ!<speed=0.5>?</speed>\\n この女……いったい何者ッ!?)",
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"201001011_25": "「……あなたも温泉、入りたいのでしょう?\\n 個室風呂もついている豪華な部屋だし、どう?」",
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"201001011_26": "「……面白い。いいだろうッ<speed=0.5>!</speed>\\n お前のような女と相部屋で一晩を共にするのもまた一興ッ!」",
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"201001011_27": "「よろしい。そうと決まったら部屋に案内してもらいましょう。\\n あ、荷物お願いしま~す」",
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"201001011_28": "「ほらほら~、もっと飲みなさいよ~」",
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"201001011_29": "「ぐ、いい加減にしろッ<speed=0.5>!</speed> ひっつくなッ! 熱いッ!」",
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"201001011_30": "「ど~うして~?\\n 相部屋にしてあげたんだし、つきあいなさいよ~」",
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"201001011_31": "(ぬかった……これが目的だったか……ッ!\\n 絡み酒に気づけぬとは、不覚……ッ!)",
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"201001011_32": "「温泉だって気持ちよかったでしょう?」",
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"201001011_33": "「ああ、温泉は素晴らしかった。ゆったりとした浴槽、\\n 源泉掛け流しの湯は体に染み渡り、思わず声が漏れた」",
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"201001011_34": "「注文してあげた料理だって、美味しかったでしょう?」",
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"201001011_35": "「確かに、新鮮な海の幸で作られたサシミや、\\n A5クラスの牛肉の鍋には舌鼓を鳴らした……」",
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"201001011_36": "「だったら後はお酒しかないじゃないの~♪\\n ひとりで飲むのは寂しいんだから、ほらお猪口を持って~」",
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"201001011_37": "「……ああ、温泉宿の選択は正しかったが、\\n 貴様との相部屋だけは過ちだッ!」",
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"201001011_38": "「そんなこと言わないの。\\n めくるめく大人の世界はこれからなんだから」",
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"201001011_39": "「……それとも、お酒も窘めないお子ちゃまなのかしら?」",
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"201001011_40": "「何を……ッ! 俺はお子様ではないッ!」",
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"201001011_41": "「それなら遠慮しないでもう一献。\\n 甘口で飲みやすいから、怖がっていないで、くいっと♪」",
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"201001011_42": "「んん……ッ<speed=0.5>!</speed> ぷはぁッ<speed=0.5>!</speed>\\n どうらぁ、のんれやったぞッ! うぃっくッ!」",
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"201001011_43": "「いい飲みっぷり♪ そしたら次は辛口にいっちゃう?\\n それともワインが良いかしら?」",
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"201001011_44": "「もう、なんれもいいからもっれこ~いッ!」",
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"201001011_45": "「あははははッ! なんだかすっごく楽しくなってきたわッ!\\n もう、全部開けちゃいましょうッ!",
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"201001011_46": "「開けれしまえ開けれしまえッ!\\n 端から端まで飲み尽くしれやるッ!」",
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"201001011_47": "「うぐお……お、おおお……」",
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"201001011_48": "「あらあら、マスター。頭抑えてどうされたんです?\\n 温泉に行ってリフレッシュされたのでは?」",
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"201001011_49": "「……魔女だ」",
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"201001011_50": "「は?」",
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"201001011_51": "「サバトに巻き込まれた……。\\n く……ご覧の有様だ……」",
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"201001011_52": "「……要するに二日酔いですね。ま~ったく、英気を養いに\\n 行った先で、余計に疲弊してきてどうするんですか?」",
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"201001011_53": "「うるさいッ<speed=0.5>!</speed> ……うッ、うう、黙っていてくれ。\\n 頭に響く……ううぅ……全部、あの魔女のせいだ……」",
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"201001011_54": "「お水、いります?」",
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"201001011_55": "「……頼む」"
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