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"104500311_0": "先史文明期の遺跡",
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"104500311_1": "「助かったゼ、ヴァネッサ」",
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"104500311_2": "「おかげで力も戻ったであります」",
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"104500311_3": "「ううん、それより<ruby=まれけつ>稀血</ruby>の交換と合わせて、\\n 隠れ家の提供についても要望は出してみたんだけど……」",
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"104500311_4": "「やっぱりダメだったみたい。\\n 不甲斐ないお姉ちゃんでゴメンね」",
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"104500311_5": "「ヴァネッサのせいじゃない。\\n あいつらがケチ臭いだけだゼ」",
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"104500311_6": "「待遇改善について、今度は3人で抗議するでありますよ」",
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"104500311_7": "「ありがとう。ミラアルクちゃん、エルザちゃん」",
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"104500311_8": "「ところで、これからウチらはどうするんだゼ?」",
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"104500311_9": "「恐らくだけど、近い内にまた同じような任務の連絡が\\n あるはずよ。それまでは、待機ね」",
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"104500311_10": "「次は、研究所の襲撃とデータの奪取でありますね……。\\n できればその前にあの技を完成させておきたいであります……」",
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"104500311_11": "「それもそうだけど、\\n 何度も練習なんてしたら、またすぐにバタンキューだゼ?」",
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"104500311_12": "「思った以上に負担が大きいものね……」",
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"104500311_13": "「ですが、練習無しでは成功しないであります」",
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"104500311_14": "「……それこそ、練習以外になんか成功率を上げる方法とか\\n あればいいんだけどな」",
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"104500311_15": "「先立っての戦いでは、空間形成の甘さから、\\n 逃れられてしまったであります」",
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"104500311_16": "「ウチら3人の息が少しズレてたってことだよな」",
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"104500311_17": "「それなら、息を合わせるために、\\n もっと、お互いのことを知るのが一番じゃないかしら」",
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"104500311_18": "「お互いを知る……でありますか?」",
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"104500311_19": "「ええ。わたしたち3人の絆は十分強いものだと思ってるけど、\\n みんな話したがらないこともあるじゃない」",
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"104500311_20": "「話したがらないこと?」",
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"104500311_21": "「昔のこと」",
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"104500311_22": "「…………」",
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"104500311_23": "「……それは……」",
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"104500311_24": "「あんまり楽しい話じゃないとは思うけど、\\n いい機会だと思うし、どうかしら?」",
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"104500311_25": "「もちろん、強制は出来ないけど……」",
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"104500311_26": "「……ウチは構わないゼ。\\n 2人には、知っていてほしい」",
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"104500311_27": "「……わたくしめも同じ気持ちであります」",
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"104500311_28": "「ありがとう。なら、言い出しっぺのお姉ちゃんから」",
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"104500311_29": "「……わたしの生まれは香港でね、\\n これでも映画製作会社の社長令嬢だったの――」",
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"104500311_30": "「――事故の直後、なんとか無事だった生体部分を<ruby=シルエット>義体</ruby>に移植、\\n こうして生き永らえ、あなたたちと出会うことになったの」",
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"104500311_31": "「その後は、2人も知っている通りよ」",
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"104500311_32": "「人に歴史あり……だゼ」",
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"104500311_33": "「その……両親はどうしたのでありますか?」",
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"104500311_34": "「……こんな身体になったわたしは、もう娘ではないらしいわ」",
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"104500311_35": "「……胸くそ悪いゼ」",
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"104500311_36": "「いいのよ。\\n 捨てられたからこそ、わたしは2人に会えたんだもの」",
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"104500311_37": "「……次はウチが話すゼ」",
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"104500311_38": "「ウチはオーストリアの出身で、\\n こうなる前まではそれこそごく普通に生きてきた――」",
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"104500311_39": "「――で、ウチを好き勝手に傷つけたその拷問倶楽部の連中に\\n 売り払われて、今度は結社の実験体にされたんだゼ……」",
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"104500311_40": "「ミラアルクちゃん、辛かったわね……」",
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"104500311_41": "「痛々しいであります……」",
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"104500311_42": "「ウチはあの時の苦しみを、痛みを、絶望を覚えてる。\\n 人間どもなんて、どいつもこいつも信用できない」",
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"104500311_43": "「人間ってだけで全部ウチの敵だ。\\n ウチの仲間、家族はヴァネッサとエルザの2人だけだゼ」",
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"104500311_44": "「……次は、わたくしめでありますね」",
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"104500311_45": "「わたくしめはフランスで生まれたのでありますが、\\n ずっと、外を知らずに生きてきたであります――」",
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"104500311_46": "「――そうやって長く忌み子として蔑まれ、暗く、狭い地獄から\\n 連れ出された先が、あの実験室だったであります……」",
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"104500311_47": "「エルザちゃんも家族に恵まれなかったのね……」",
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"104500311_48": "「ウチがエルザの痛みを思い知らせてやりたいゼ。\\n ちょっと行って、ぶっ殺してきてやろうか?」",
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"104500311_49": "「……それは、もういいでありますよ」",
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"104500311_50": "「本当にいいのか?\\n 長い間、監禁され、傷つけられてきたってのに……」",
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"104500311_51": "「恨む気持ちはもちろんあるであります。\\n けれど、今のわたくしめには、2人がいるでありますから」",
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"104500311_52": "「復讐するより、3人で人間に戻りたいであります。\\n ヴァネッサとミラアルクと、人間として生きたいでありますよ」",
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"104500311_53": "「優しい子ね、エルザちゃんは」",
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"104500311_54": "「そうだな。ま、エルザがいいならそれでいいゼ。\\n でも、そいつらを殺してほしくなった時は言えよな」",
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"104500311_55": "「はい、ありがとうであります」",
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"104500311_56": "「……いろいろ話してのどが渇いたわね。\\n 紅茶でも淹れましょうか」",
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"104500311_57": "「うんと甘めで頼むゼ」",
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"104500311_58": "「わたくしめはミルクのみがいいであります」",
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"104500311_59": "「はいはい、わかってるわ。\\n ちょっと待ってね?」",
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"104500311_60": "「――ッ!? がるるる……」",
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"104500311_61": "「エルザッ! もしかして――」",
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"104500311_62": "「敵が近づいているでありますッ!」",
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"104500311_63": "「もう、ゆっくり紅茶も飲ませてくれないのね……」"
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