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"332000121_0": "「そうそう。\\n で、生地の端同士を丁寧に縫って……」",
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"332000121_1": "「うん……。\\n でもここって、どのくらい内側を縫えばいいの?」",
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"332000121_2": "「その部品は縫い代を大きめに取ってるから、\\n そんなにギリギリじゃなくて大丈夫だよ」",
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"332000121_3": "「ただ、表返した時に輪郭がデコボコにならないように、\\n 針を小まめに入れて柔らかいカーブを意識できるといいかな?」",
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"332000121_4": "「あ。もちろん、できる範囲でね?」",
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"332000121_5": "「うん、できるだけ……ね。\\n よいしょ……っと」",
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"332000121_6": "「わちゃッ? だいぶズレちゃった……」",
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"332000121_7": "「針の刺した位置がちょっと悪いなと思ったら、\\n 慌てずにいったん抜いて、位置を調整して刺し直せばいいから」",
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"332000121_8": "「えーっと、刺し直して……この辺、かな?」",
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"332000121_9": "「そうそう、いい調子。\\n じゃあ針を反対側まで通して、糸をたぐって……」",
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"332000121_10": "「ぐいーっと」",
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"332000121_11": "「そこの部品、生地が柔らかめだから糸を強く引きすぎないでね。\\n 皺になったり、目が広がって縫い目の穴が大きくなっちゃうから」",
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"332000121_12": "「そういうところで、毎回失敗しちゃうんだよね……」",
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"332000121_13": "「焦らなくていいから、今度こそゆっくり丁寧にやろう」",
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"332000121_14": "「ふう……ありがと。\\n 未来のおかげでちょっとだけ慣れてきたかも」",
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"332000121_15": "「どういたしまして」",
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"332000121_16": "「おー、やってるね。おふたりさん?」",
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"332000121_17": "「どう? 完成しそう?」",
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"332000121_18": "「まだまだ……やっと本格的にパーツを縫い始めたくらい」",
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"332000121_19": "「それは……前途多難みたいですわね」",
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"332000121_20": "「授業ん時に最初から助けを求めてれば良かったのにねえ」",
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"332000121_21": "「だって、未来の作業の邪魔しちゃ悪いし、\\n 自分1人でなんとかなるかなって思ったんだけどね……」",
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"332000121_22": "「ビッキー、こういうの大ざっぱそうだからなあ」",
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"332000121_23": "「自覚してるからわざわざ言わなくていいよ。\\n とほほ……」",
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"332000121_24": "「あいたあッ! また刺したッ!」",
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"332000121_25": "「気をつけてッ!\\n 縫いながらよそ見しないで、喋る時はいったん手を止めて。ね?」",
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"332000121_26": "「う、うん。そうだね。ゴメンゴメン」",
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"332000121_27": "「ちょっと根詰めすぎたかもね。\\n 少し休もうか」",
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"332000121_28": "「うん、そうだね。\\n あー疲れた」",
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"332000121_29": "「お疲れさん。\\n はい、飲み物」",
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"332000121_30": "「あ、ありがと」",
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"332000121_31": "「ぷはー。生き返ったよッ!」",
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"332000121_32": "「よかったですわ」",
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"332000121_33": "「ヒナの教え方がいいせいか、\\n ずいぶんと人形らしい形になってきたじゃん」",
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"332000121_34": "「授業の時はホラーアニメの怪物みたいな形だったもんねえ。\\n 名状しがたいナニか的な」",
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"332000121_35": "「ホラーって、さ、流石に言い過ぎだってば」",
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"332000121_36": "「いや、だいぶそんな感じだったけど」",
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"332000121_37": "「あ……そうだ、人形っていえばさ。\\n 切歌ちゃんが怖い人形が出る映画を見たんだって」",
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"332000121_38": "「へー。なんの映画だろ?」",
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"332000121_39": "「題名までは聞かなかったなあ……なんか洋館から血塗れの人形の\\n 顔がこっちを覗いてニタアッ! って言ってたけど」",
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"332000121_40": "「洋館で呪いの人形、ですか……。\\n それだけでは幾らでもありそうですね」",
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"332000121_41": "「展開もテンプレート過ぎるしね」",
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"332000121_42": "「洋館っていえばさ、リアルに洋館の噂は聞いた?」",
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"332000121_43": "「洋館の噂?」",
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"332000121_44": "「そう。なんと一晩で出現した、呪いの館の話」",
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"332000121_45": "「え、何それ?」",
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"332000121_46": "「それまで何もなかった土地に突如として現れた洋館から、\\n 夜な夜な叫び声が聞こえてくるんだって」",
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"332000121_47": "「またまた。そんなのあるわけないじゃん」",
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"332000121_48": "「それが実際に行った人の話なんだってば」",
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"332000121_49": "「知り合いに聞いたの?」",
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"332000121_50": "「いやまあ、人づてに聞いたんだけどね」",
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"332000121_51": "「ともかく、住民の姿も気配もない洋館の中に入ると、\\n そこには恐ろしい顔の人形がいて、侵入者に襲いかかって――」",
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"332000121_52": "「<size=40>デデデデ――スッ!!</size>」",
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"332000121_53": "「わああああ――――ッ!?」",
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"332000121_54": "「アタシは何も聞いてないデースッ!!」",
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"332000121_55": "「あ、切歌ちゃんッ?」",
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"332000121_56": "「びっくりしたあ……いつの間に来てたんだろ?」",
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"332000121_57": "「まるでアニメみたいな逃げ方だったねえ……」"
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